JP3843319B2 - 触覚インターフェイス及びその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触覚インターフェイス及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、触覚インターフェイスとして、仮想空間における物体にぶつかるときの抵抗感覚や重量感覚を手若しくは指先1点に表現するものとしては、非特許文献1(従来技術1)のシリアルリンク型のPHANToMがある。又、他に、日商エレクトロニクス社のパラレルリンク型のHa ptic Masterがある(従来技術2)。
【0003】
又、シリアルリンク型の触覚インターフェイスを2台設置して、2本の指先に力提示する研究(非特許文献2)もある(従来技術3)。
他の触覚インターフェイスとして、多点の力の提示を可能とするために、人間の手の甲や腕にフォースフィードバック機構を装着するものがある。代表例としては、非特許文献3(従来技術4)や、非特許文献4がある(従来技術5)。
【0004】
さらに、仮想物体の重量感覚を提示するために、こうしたフォースフィードバック機構とアーム機構を装着し、アーム機構を手に固定するシステムとして、米国Virtual Technology社の3D Interraction(従来技術6)及び非特許文献5(従来技術7)がある。
【0005】
【非特許文献1】
米国 SensAble Technology社[平成15年2月6日検索](インターネット<URL:http://www.Sensable.com/>)
【非特許文献2】
吉川恒夫、名倉彰宏:3次元空間用無負荷時非接触型力感覚提示装置,日本バーチャルリアリティ学会論文誌,Vol.3,No.3,pp.75-82,1998
【非特許文献3】
Force Feedback Glove(H.Kawasaki,and T.Hayashi:"Force Feedback Glove for Manipulation of Virtual Objects,Journal of Robotics and Mechatronics",Vol.5,No.1,pp.79-84 1993
【非特許文献4】
米国Virtual Technology社、[平成15年2月6日検索](インターネット<URL:http://www.virtex.com/>)のCyberGrasp
【非特許文献5】
Force Feedback装置(鈴木直樹、服部麻木 他5名:触覚を伴った手術作業が可能なバーチャル手術システムの開発,日本バーチャルリアリティ学会論文誌Vol.3,No.4,pp.237-24,1998
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1及び従来技術2は、これらは、一箇所での触覚の提示はできるが、人間に対し、多点(複数)の指先への直角の提示は困難である。
【0007】
従来技術3は、その可動範囲は極めて狭い問題がある。又、従来技術1〜3のようなこうした設置型は、操作者が受ける違和感や負担感は少ないが、操作空間が広く、多点の力感覚を提示する触覚インターフェイスは研究開発されていない。
【0008】
又、従来技術4や従来技術5では、人間の複数の指先に力を提示できるが、アームと連動していないため、仮想物体の重量感覚を提示することは困難である。又、人間の手や腕に触覚インターフェイスを装着するため、圧迫感や触覚インターフェイスの重量感を人間に与えている。
【0009】
又、従来技術6及び従来技術7は、アーム機構や指先のフォースフィードバック機構を人間に装着するため、圧迫感、違和感或いは負担感を人間に与えている。
【0010】
本発明の目的は、人間の複数の指先に力感覚を提示する触覚インターフェイスにおいて、操作空間が広く、仮想物体の重量感覚を提示でき、操作者に圧迫感や装置の重量感を感じさせることのない触覚インターフェイスを提供することにある。
【0011】
又、他の目的は、上記触覚インターフェイスに好適な制御方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、操作者の指先の運動に追従可能な複数の触覚指を触覚指ベースに配置し、前記触覚指ベースをアーム機構で空間運動を可能とする触覚インターフェイスにおいて、前記触覚指ベースを操作者の手に対向させ、手の位置及び姿勢に連動させて前記触覚指ベースを駆動制御し、操作者の指先の動きに連動させて前記触覚指を駆動制御する制御手段を備え、前記制御手段は、各触覚指に作用している力(F i )と、指先での目標力(F di )との力誤差を用いて、前記触覚指ベースを駆動するアーム機構と前記触覚指を制御することを特徴とする触覚インターフェイスを要旨とするものである。
【0014】
請求項の発明は、請求項において、前記アーム機構に設けられた能動関節のアーム関節角度を検出するアーム関節角度検出手段と、前記触覚指に設けられた能動関節の触覚指関節角度を検出する触覚指関節角度検出手段と、前記触覚指の動きを検出する動き検出手段とを備え、前記制御手段は、前記各触覚指の先端から前記アーム機構のベースまでの運動学的ヤコビ行列を、前記アーム関節角度、前記触覚指関節角度に基づいて、演算する第1演算手段と、前記動き検出手段の検出に基づいて得られた各触覚指の先端に作用している力(Fi)と指先での目標力(Fdi)との力誤差の力フィードバック制御のために、前記アーム関節角度、前記触覚指関節角度、前記運動学的ヤコビ行列、及び前記力誤差に基づいて、前記触覚指の能動関節及び前記アーム機構の能動関節への制御入力を演算する第2演算手段と、を備え、前記制御入力に基づいて前記触覚指の能動関節及び前記アーム機構の能動関節を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、請求項1又は請求項において、前記触覚指及び前記アーム機構は、それぞれ能動関節を備え、前記能動関節が可動範囲限界内の所定の閾値から限界方向に位置している場合、前記制御手段は、前記能動関節を現在位置に保持する位置制御を行うことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1又は請求項において、前記触覚指及び前記アーム機構に設けられた能動関節が可動範囲限界内の所定の閾値から限界方向に位置している場合、前記制御手段は、前記能動関節を現在位置に保持する位置制御を行い、前記能動関節が可動範囲限界内の所定の閾値の範囲内に位置している場合、前記制御手段は、各触覚指に作用している力(Fi)と、指先での目標力(Fdi)との力誤差を用いて制御することを特徴とする。
【0016】
請求項の発明は、請求項1又は請求項において、前記触覚指に設けられた全ての能動関節が可動範囲にあるときは、前記制御手段は、前記触覚指を前記触覚指に作用する力(Fi)と指先での目標力(Fdi)との力誤差を用いて制御するとともに、前記アーム機構を現在位置に保持する位置制御することを特徴とする。
【0017】
請求項の発明は、請求項1又は請求項において、前記制御手段は、前記触覚指を、前記触覚指に作用する力(Fi)と指先での目標力(Fdi)との力誤差を用いて制御し、前記触覚指ベースを位置制御し、前記触覚指ベースと前記触覚指とを含むハンドの可操作性を最大とするように前記触覚指ベースの目標位置姿勢を設定することを特徴とする。
【0018】
請求項の発明は、アーム用能動関節を備えたアーム機構と、前記アーム機構に設けられた触覚指ベースと、前記触覚指ベースに設けられ、操作者の指先を連結する指先連結部を備えるとともに、指用能動関節を備えた複数の触覚指と、前記操作者の手の位置及びその姿勢を検出する第1検出手段と、前記第1検出手段の手の位置及びその姿勢の検出に基づいて前記アーム用能動関節を制御して触覚指ベースを操作者の手に対向させる第1制御手段と、操作者の指先の動きを検出する第2検出手段と、第2検出手段の指先の動き検出に基づいて、同指先の動きに連動して指用能動関節を制御する第2制御手段を備えた触覚インターフェイスを要旨とするものである。
【0019】
請求項の発明は、請求項において、前記第2検出手段は、触覚指に設けた多軸の力センサであり、第2制御手段は、力フィードバック制御により、操作者の指先に与える力を制御することを特徴とする。
【0020】
請求項の発明は、請求項において、前記第2制御手段は、操作者の指先に与える力がゼロとなるように力フィードバック制御することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項乃至請求項のうちいずれか1項において、前記アーム機構は、アーム用能動関節により、6自由度以上の運動の自由度を有していることを特徴とする。
【0021】
請求項11の発明は、請求項乃至請求項10のうちいずれか1項において、前記触覚指は指用能動関節により3自由度以上の運動の自由度を有することを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項乃至請求項11のうちいずれか1項において、前記指先連結部は、触覚指の先端側に設けたことを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項12において、前記指先連結部には、触覚指の先端側に転動自在に設けた受動球関節と、同受動球関節に設けた操作者の指先を連結する指取付部を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項14の発明は、請求項13において、前記指先連結部には、前記受動球関節を吸着保持する吸着手段を備えたことを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項14において、前記吸着手段は、受動球関節を磁力により吸着保持する磁力発生手段であることを特徴とする。
【0024】
請求項16の発明は、請求項15において、前記磁力発生手段は、永久磁石であることを特徴とする。
請求項17の発明は、請求項15において、前記磁力発生手段は、電磁石であり、さらに、外部信号により、前記電磁石の磁力を可変する磁力制御手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項18の発明は、請求項乃至請求項15のうちいずれか1項において、第1検出手段には、前記触覚指ベースに設けられた操作者の手の位置を計測するセンサを含むことを特徴とする。
【0026】
請求項19の発明は、アーム用能動関節を備えたアーム機構と、前記アーム機構に設けられた触覚指ベースと、前記触覚指ベースに設けられ、操作者の指先を連結する指先連結部を備えるとともに、指用能動関節を備えた複数の触覚指とを備えた触覚インターフェイスの制御方法において、操作者の手の位置及びその姿勢の検出結果に基づき、操作者の指先が構成する仮想平面に対して操作者の手の位置と面対称となる位置に触覚指ベースを位置させるように前記アーム用能動関節を制御して、同触覚指ベースを操作者の手に対向させることを特徴とする触覚インターフェイスの制御方法を要旨とするものである。
【0027】
請求項20の発明は、請求項19において、触覚インターフェイスは、さらに操作者の手の位置及びその姿勢を検出する第1検出手段を備え、第1検出手段による手の位置及びその姿勢の検出結果を用いて触覚指ベースの位置を制御することを特徴とする。
【0028】
請求項21の発明は、請求項20において、触覚インターフェイスは、さらに操作者の指先の動きを検出する第2検出手段を備え、第2検出手段の指先の動き検出に基づいて、同指先の動きに連動して指用能動関節を制御することを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を多指触覚インターフェイスに具体化した第1実施形態を図1及び図2を参照して説明する。
【0030】
図1は多指触覚インターフェイスの概略を示す斜視図、図2は本実施形態の触覚指の斜視図である。
多指触覚インターフェイス10は、ベース11、アーム部12、ハンド13を備えている。アーム部12は、第1アーム14及び第2アーム15からなる。第1アーム14は、ベース11に対して、3自由度を有する第1腕関節16を介して連結されている。本実施形態では、第1腕関節16は図1に示すように第1腕関節16の中心において互いに直交する軸x0, y0,z0の周りでそれぞれ第1アーム14を回転する。この軸x0,y0,z0は基準座標系の軸となる。
【0031】
又、第2アーム15は第1アーム14に対して1自由度を有する第2腕関節17(肘部)を介して連結されている。本実施形態では、第2腕関節17は、第2アーム15を図1に示すように第2腕関節17の中心線である軸mの周りで能動回転する。
【0032】
ハンド13は触覚指ベース20と、触覚指ベース20に設けられた5本の触覚指21〜25を備えている。5本の触覚指21〜25は、人間の拇指〜小指の5本の指と相対可能に、列状に配置されている。すなわち、第1触覚指21が人間の拇指、第2触覚指22が人差し指、第3触覚指23が中指、第4触覚指24が薬指、第5触覚指25が小指と向かい合うように触覚指ベース20に配置されている。触覚指ベース20の基端側に設けられた取付部は、第2アーム15の先端部に対して手首関節18(図3参照)を介して取付けされている。本実施形態では、手首関節18は図1に示すように手首関節18の中心において互いに直交する軸xm,ym,zmの周りでそれぞれ触覚指ベース20を回転する。
【0033】
この軸xm,ym,zmは触覚指ベース座標系の軸となる。
第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18は、駆動源としての駆動モータをその自由度の数に一致する個数分備えており、各駆動モータを制御することにより、前述した軸の周りで回転する。
【0034】
又、第1腕関節16、及び第2腕関節17及び手首関節18において、前述した各軸の周りで回転駆動する駆動モータには回転角度を検出する回転角度検出手段としてのロータリエンコーダARE1〜ARE7が設けられている(図3参照)。これらのロータリエンコーダARE1〜ARE7により、前記各軸の周りの回転角度が検出される。なお、図3では、説明の便宜上、ロータリエンコーダARE1〜ARE7をまとめて図示している。
【0035】
前記ロータリエンコーダARE1〜ARE7にて検出された回転角度は、本実施形態及び他の実施形態において、以下、それぞれアーム関節角度q(i=1,…7)という。アーム関節角度qのiは、アーム機構の自由度の数に対応している。
【0036】
なお、第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18はアーム機構に設けられた能動関節、すなわち、アーム用能動関節及びアーム関節に相当する。又、アーム部12、第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18はアーム機構を構成している。従って、アーム機構は、7自由度を備えている。前記アーム機構により、前記触覚指ベース20は空間運動が可能にされている。
【0037】
図2には、第2触覚指22の詳細が示されている。
第1触覚指〜第5触覚指21〜25は基本的に同じ機能を有する部材にて構成されているため、以下では、第2触覚指22の構成について説明し、他の触覚指については説明を省略する。
【0038】
第2触覚指22は第1リンク35、第2リンク36、第1指関節27、第2指関節28、受動球関節29、及び指固定部材30を備えている。第1リンク35は第1指関節27を介して触覚指ベース20に取付けされている。
【0039】
第1指関節27は2軸の関節であって、図2に示すように第1指関節27の中心において互いに直交する第1軸27a及び第2軸27bの周りでそれぞれ第1リンク35を能動回転する。
【0040】
すなわち、第1軸27aの周りで第1指関節27にて第1リンク35が回転する場合は、隣接する他の触覚指に対し近接又は離間する方向(内外転方向)に向かう回転(内外転)となる。第2軸27bの周りで第1指関節27にて第1リンク35が回転する場合は、前後屈回転となる。なお、ここで、前とは、触覚指22が握り方向に屈曲する方向であり、後は、その180度反対方向である。
【0041】
又、第2リンク36は第1リンク35に対して前後屈への1自由度を有する第2指関節28を介して連結されている。すなわち、第2指関節28は、第2リンク36を図2に示すように第2指関節28の中心線である第3軸28aの周りで能動回転する。
【0042】
第1指関節27及び第2指関節28は、駆動源としての駆動モータ(図示しない)をその自由度の数に一致する個数分備えており、各駆動モータを制御することにより、前述した第1軸27a〜第3軸28aの周りでそれぞれ回転する。
【0043】
又、第1指関節27及び第2指関節28において、前述した第1軸27a〜第3軸28aを駆動する駆動モータには回転角度を検出する回転角度検出手段としてのロータリエンコーダURE1〜URE3がそれぞれ設けられている。これらのロータリエンコーダURE1〜URE3により、前記各軸の周りの回転角度が検出される。
【0044】
前記ロータリエンコーダURE1〜URE3にて検出された回転角度は、本実施形態及び他の実施形態において、以下、それぞれ触覚指関節角度pij(i=1,…5,j=1,…3)という。なお、pijのiは、触覚指の数に対応する。pijのjは、触覚指の自由度の数に対応し、すなわち、第1軸27a〜第3軸28aという軸の数(軸数)に対応する。
【0045】
第1指関節27,第2指関節28は触覚指に設けられた能動関節、すなわち、指用能動関節及び触覚指関節に相当する。
受動球関節29は、円球状をなし、第2リンク36の先端に半球状に凹設された取付凹部26aに対して着脱自在に、かつ360度のいずれの範囲においても回転自在に嵌合されている。受動球関節29は鉄等の強磁性体からなる。永久磁石31は、第2リンク36の取付凹部26aに近接した部位において第2リンク36に内装されている。永久磁石31の磁力(吸着力)により、受動球関節29は常には取付凹部26a内に嵌合保持されている。しかし、受動球関節29に、前記磁力を超える引っ張り力が加わった際には、受動球関節29は、取付凹部26aから離脱可能である。
【0046】
永久磁石31は、吸着手段及び磁力発生手段に相当する。
指固定部材30は受動球関節29の露出した頂部に一体に固定されており、先端の周面は指取付部32が凹設されている。指取付部32は、長さ方向の先端側半分は断面半円状に凹設され、基端側半分は、指の先端(指先)が、受動球関節29の頂部に近接する位置まで挿入可能に断面円形状に形成されている。
【0047】
又、指取付部32に対応して、指固定部材30の先端の周面には、リング状に形成された有弾性の締付バンド33が固定されている。本実施形態では、締付バンド33は合成ゴム等からなるバンドにて形成されている。締付バンド33と指取付部32との間には人の人差し指が差し込み可能な空間が形成され、人差し指を差し込みした際、締付バンド33が同指を安定して指取付部32に対して添わせる。
【0048】
指固定部材30は、指先連結部に相当する。
なお、第2触覚指22と同様に第1触覚指21、第3触覚指23〜第5触覚指25の指取付部32及び締付バンド33は、それぞれ人間の拇指、中指、薬指、小指を接続可能である。
【0049】
第2リンク36の先端周部には3軸力センサK2が設けられている。3軸力センサK2は、第2触覚指22に働く、互いに直交する3軸方向の並進力を検出可能である。3軸力センサK2は、第2検出手段及び多軸の力センサに相当する。
【0050】
なお、他の触覚指の3軸力センサについては、第1触覚指〜第5触覚指21〜25の数え順の番号に一致した符号を図3に示すようにKに付すものとする。
なお、他の触覚指におけるロータリエンコーダURE1〜URE3は、図3では、説明の便宜上、それぞれ触覚指毎にまとめて図示している。
【0051】
次に多指触覚インターフェイス10に関する装置の電気的構成について説明する。
3次元位置姿勢計測装置41は、多指触覚インターフェイス10を扱う人(以下、操作者Hという)の手首Rに装着された3次元位置姿勢センサ42と無線で通信可能にされている。3次元位置姿勢センサ42は、操作者Hの手Haの位置(3次元的な空間位置)、及びその姿勢を検出し、その検出信号を3次元位置姿勢計測装置41に無線で通信する。
【0052】
なお、前記手Haの位置とは、操作者Hの3次元位置姿勢センサ42を装着した手Haの座標系(以下、ハンド座標系(xh,yh,zh)という)の原点位置Ohを示す3つのパラメータである。又、手Haの姿勢は、軸xh,yh,zhが軸x0,y0,z0へそれぞれのなす角度からなる3つのオイラーパラメータで示され、ハンド座標系の姿勢と一致する。
【0053】
3次元位置姿勢センサ42は、第1検出手段に相当する。
3次元位置姿勢計測装置41は、3次元位置姿勢センサ42から送信された検出信号を受信すると、その信号を手Haの位置及びその姿勢に関するハンド座標系の位置データ及び姿勢データとして信号処理し、制御装置40に出力する。
【0054】
制御装置40は、CPU40a(中央処理装置)、ROM40b、RAM40cを備えている。ROM40bには、多指触覚インターフェイス10を制御するための制御プログラムを始め各種制御プログラムが格納されている。RAM40cは、CPU40aが演算処理する際の作業用メモリとなり、後述する制御プログラムを実行したときの、各種演算結果や、検出値を格納する。
【0055】
CPU40aは、制御手段、第1制御手段及び第2制御手段に相当する。
第2触覚指駆動装置45は、制御装置40に電気的に接続され、制御装置40からの第2触覚指制御信号に基づいて、第2触覚指22の第1軸27a,第2軸27bを備えた第1指関節27、及び第3軸28aを備えた第2指関節28を駆動する。
【0056】
第1触覚指21、第3触覚指23〜第5触覚指25においても、第2触覚指22と同様に駆動装置を備えており、制御装置40からの第1、第3〜第5触覚指制御信号に基づいてそれぞれの第1指関節27及び第2指関節28を同様に駆動する。なお、図3では、説明の便宜上、第2触覚指22の第2触覚指駆動装置45等についてのみ図示し、他の触覚指に関する、駆動装置、第1指関節27及び第2指関節28については省略している。
【0057】
アーム駆動装置46は制御装置40に電気的に接続され、制御装置40からのアーム制御信号に基づいて、第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18を駆動する。
【0058】
ロボット制御装置100は、人間型ハンド(以下、ロボットハンドという)を有するロボットを多指触覚インターフェイス10にて遠隔制御するために設けられており、制御装置40とは、無線又は、通信線を介して、交信が行われる。前記ロボットハンドは、人間の手と同様に5本の指及び腕を備えている。ロボット制御装置100は、多指触覚インターフェイス10にて入力された教示データに基づいてこのロボットハンドを駆動制御する。
【0059】
(制御フローチャートの説明)
さて、上記のように構成された多指触覚インターフェイス10の作用について、図4に示す制御フローチャートを参照して説明する。同フローチャートは教示制御プログラムであり、制御装置40のCPU40aが周期的に実行する。
【0060】
この制御プログラムは、仮想空間でのロボットの作業の制御プログラムである。この制御プログラムは仮想空間にあるロボットハンドをもつロボットに、操作者Hのデモンストレーションに基づいて、ロボットハンドの指先の位置と力を教示する。この制御プログラム実行中、操作者Hの5本の指は、第1触覚指21〜第5触覚指25の各指固定部材30の指取付部32に締付バンド33にて保持されており、操作者Hが手Haを動かすと、各触覚指に力が作用し、その力は、各3軸力センサK1〜K5にて検出される。
【0061】
又、操作者Hの手Haの位置及びその姿勢は、3次元位置姿勢センサ42が検出し、3次元位置姿勢計測装置41に検出信号を送信する。そして、3次元位置姿勢計測装置41では、その信号をハンド座標系の位置データ及び姿勢データとして信号処理し、制御装置40に出力する。
【0062】
又、アーム機構のロータリエンコーダARE1〜ARE7は、アーム機構の各関節における各軸の周りの回転角度を検出する。すなわち、ロータリエンコーダARE1〜ARE7はアーム関節角度qiを検出し、制御装置40に出力する。
【0063】
なお、qi中、i=1,…,7は、アーム機構の第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18(アーム用能動関節)において、7自由度を付与する各軸に対応させたものである。又、各触覚指21〜25のロータリエンコーダURE1〜URE3は、各関節の各軸の周りの触覚指関節角度pijを検出し、制御装置40に出力する。
【0064】
なお、pij中、iは、i=1,…,5で、それぞれ第1触覚指21〜第5触覚指25に対応する。又、jは、j=1,…,3で、第1軸27a,第2軸27b,第3軸28aにそれぞれ対応する。
【0065】
(ステップ10(以下、ステップをSという))
さて、教示制御プログラムが開始されると、S10では操作者Hの手Haを自由に動かせるように、制御装置40のCPU40a(以下、単にCPU40aという)はアーム部12及び各触覚指を駆動制御する。
【0066】
まず、CPU40aは、触覚指ベース20の位置及びその姿勢を、操作者Hの手Haの位置、及びその姿勢と対向するように制御する。又、同時に、CPU40aは操作者Hの指先で作られる仮想平面αに対して面対称となるように、アーム駆動装置46にアーム制御信号を出力してアーム部12を駆動制御する。
【0067】
すなわち、CPU40aは、3次元位置姿勢計測装置41から、操作者Hの手Haの位置及びその姿勢に関するハンド座標系の位置データ及び姿勢データを入力すると、これらのデータを基準座標系を介して触覚指ベース座標系に変換する。
【0068】
そして、この触覚指ベース座標系において、触覚指ベース20の位置及びその姿勢を手Haの位置及びその姿勢と対向するように、操作者Hの指先で作られる仮想平面αに対して面対称となるように、アーム駆動装置46にアーム制御信号を出力してアーム部12を駆動制御する。この後、S30に移行する。
【0069】
前記アーム部12、第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18からなるアーム機構は7自由度を有するため、この対向はアーム機構の動作可能範囲であれば常に実現できる。
【0070】
ここで、仮想平面αについて説明する。
本実施形態では、仮想平面αは、操作者Hの拇指、人差し指、中指の3本の指先で作られる平面を基本としている。なお、これら3本の指がほぼ直線状に並ぶときは、他の指を含め、最小2乗法で指先を乗せる平面を決定している。
【0071】
又、本実施形態では、手Haの指先の位置は、第1触覚指21〜第5触覚指25の各指固定部材30の指取付部32に保持されていることから、各触覚指の先端位置(指取付部32の位置)と同じである。このため、CPU40aは仮想平面αを決定するために必要な各触覚指の先端位置(3次元位置)を、触覚指の触覚指関節角度pij、触覚指の長さ、アーム機構のアーム関節角度qi、アーム機構の長さに基づいて演算する。
【0072】
なお、各触覚指の触覚指関節角度pij及びアーム機構のアーム関節角度qiは、各触覚指のロータリエンコーダURE1〜URE3の検出値及びアーム機構のロータリエンコーダARE1〜ARE7の検出値に基づいてそれぞれ演算する。又、各触覚指の長さ及びアーム機構の長さは、触覚指及びアーム機構を構成している各部材の長さであり、これらの値は予めROM40bに格納されている。
【0073】
(S20)
次のS20では、仮想空間でのロボットハンドと仮想物体との干渉があるか、否かを判定する。
【0074】
なお、ロボット制御装置100は、仮想空間でロボットハンドと仮想物体との接触があるときは、干渉信号(ロボットハンドにおける各指についての干渉力の大きさと、各指における干渉方向を示す信号)を制御装置40に出力し、接触していない場合には、干渉信号を出力しないようにされている。
【0075】
このため、仮想空間でのロボットハンドと仮想物体との干渉がない場合、前記干渉信号を入力しないため、CPU40aはS20の判定を「NO」と判定し、S30に移行する。反対に、仮想空間でのロボットハンドと仮想物体との干渉がある場合、前記干渉信号を入力するため、CPU40aはS20の判定を「YES」と判定し、S40に移行する。
【0076】
(S30)
S30では、CPU40aは、各触覚指による指先での3軸方向(各3軸力センサK1〜K5が検出可能な方向)の力がゼロになるように各触覚指を力フィードバック制御する。すなわち、各3軸力センサK1〜K5の検出値が0となるように各触覚指の第1指関節27の第1軸27a及び第2軸27b、第3軸28aの駆動モータをフィードバック制御する。
【0077】
この力フィードバック制御時においても、CPU40aは、各触覚指の先端位置(3次元位置)を触覚指の触覚指関節角度pij、触覚指の長さ、アーム機構のアーム関節角度qi、アーム機構の長さに基づいて演算する。
【0078】
そして、このとき得られた、各触覚指の先端位置(指取付部32の位置:3次元位置)が仮想空間におけるロボットハンドに教示すべき目標空間位置となる。なお、CPU40aは、仮想空間でのロボットハンドと仮想物体との干渉がないため、仮想空間における力の教示データはゼロとする。
【0079】
このS30の処理後、S50に移行する。
(S40)
S40は、ロボットハンドと仮想物体の間に干渉力を生じさせる処理である。CPU40aは入力した干渉信号に基づいて、干渉方向に操作者Hに力感覚、すなわち、干渉力を提示するため、各触覚指21〜25をそれぞれ干渉方向に力フィードバック制御する。
【0080】
又、干渉方向と直交する平面に沿う運動は、自由に触覚指が運動できるように、その方向における操作者Hの指先の力がゼロとなるように各触覚指を力フィードバック制御する。この後、S50に移行する。
【0081】
なお、この力フィードバック制御時においても、CPU40aは、各触覚指の先端位置(3次元位置)を触覚指の触覚指関節角度pij、触覚指の長さ、アーム機構のアーム関節角度qi、アーム機構の長さに基づいて演算する。
【0082】
そして、このとき得られた、各触覚指の先端位置(指取付部32の位置:3次元位置)が仮想空間におけるロボットハンドに教示すべき目標空間位置となる。又、前記力フィードバック制御時に、各触覚指の各3軸力センサK1〜K5にて検出される干渉方向の力がロボットハンドに教示すべき力の教示データとなる。
【0083】
(S50)
S50では、CPU40aは前のS30又はS40で演算したロボットのロボットハンドの目標空間位置や、ロボットハンドに教示すべき力の教示データをロボット制御装置100に出力し、このフローチャートを一旦終了する。
【0084】
従って、本実施形態において、仮想物体とロボットハンドとの干渉がない場合には、操作者Hの手Haを自由に動かせるようにCPU40aにてアーム部12及び、触覚指22が制御されることになる。
【0085】
又、仮想物体とロボットハンドとの干渉がある場合には、S40において、アーム部12の可動範囲において、操作者Hの複数の指に干渉力を提示できる。
次に、受動球関節29の作用について説明する。
【0086】
操作者Hの指先は各触覚指において指固定部材30の指取付部32に保持されているが、受動球関節29により、同じ指先位置でその姿勢を変えることが可能である。このことにより、各触覚指と操作者Hの連結が円滑となっており、各触覚指インターフェイスのサイズと操作者Hの腕や手Haのサイズの差異が機構的に吸収される。
【0087】
又、受動球関節29は、永久磁石31により、吸引されて各触覚指の取付凹部26aに保持されている。このため、操作者Hの指先に過度の引っ張り力が作用すると、自動的に受動球関節29は触覚指から離脱し、操作者Hの指先に引っ張り力が生じない。
【0088】
本実施形態によると、次のような作用効果を奏する。
(1) 本実施形態の多指触覚インターフェイス10では、第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18(アーム用能動関節)を備えたアーム部12、第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18(アーム機構)を設けた。又、触覚指ベース20と、触覚指ベース20に設けられ、操作者の指先を連結する指固定部材30(指先連結部)を備えるとともに、指先の運動に連動可能な第1指関節27,第2指関節28(指用能動関節)を備えた複数の触覚指を設けた。
【0089】
そして、操作者Hの手Haの位置及びその姿勢を検出する3次元位置姿勢センサ42(第1検出手段)を備えた。さらに、3次元位置姿勢センサ42の手Haの位置及びその姿勢の検出に基づき第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18を制御して触覚指ベース20を操作者Hの手Haに対向させるCPU40a(第1制御手段)を備えた。
【0090】
さらに、操作者Hの指先の動きを検出する3軸力センサK1〜K5(第2検出手段)と、3軸力センサK1〜K5の指先の動き検出に基づいて、同指先の動きに連動して第1指関節27,第2指関節28を制御するCPU40a(第2制御手段)を設けた。
【0091】
この結果、本実施形態での多指触覚インターフェイス10は、人間の複数の指先に力感覚を提示でき、その作業領域はほぼアーム機構の作業領域となり、広い領域(操作空間)が確保できる。
【0092】
又、操作者Hは多指触覚インターフェイス10の重量感や、手Haが多指触覚インターフェイス10と接続されて負担感を感ずることもない。
又、操作者Hの指先への力の提示が人間の手自体に装着するものではないため、違和感も感じさせない効果がある。
【0093】
(2) 本実施形態では、CPU40aは、各触覚指に設けた各3軸力センサK1〜K5(多軸の力センサ)とし、CPU40aは、力フィードバック制御により、操作者の指先に与える力を制御するようにした(S30,S40)。
【0094】
この結果、好適に操作者Hの指先に干渉力を付与しなかったり、或いは、干渉力を付与することかできる。
(3) 本実施形態では、CPU40aは、操作者Hの指先に与える力がゼロとなるように力フィードバック制御するようにした。
【0095】
この結果、ロボットハンドと仮想物体との干渉がない場合には、操作者Hに対して操作者Hの手Haの自由を束縛することがなくなる。
(4) 本実施形態では、アーム部12、触覚指ベース20(すなわち、アーム機構)は、第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18(アーム用能動関節)により、7自由度の運動の自由度を有するようにした。
【0096】
この結果、触覚指ベース20の位置及びその姿勢を手Haの位置及びその姿勢と対向するように、操作者Hの指先で作られる仮想平面αに対して面対称となるように、アーム部12を駆動制御する際、この対向はアーム機構の動作可能範囲であれば常に実現できる。
【0097】
(5) 本実施形態では、各触覚指は第1指関節27,第2指関節28(指用能動関節)により3自由度の運動の自由度を有するようにした。
この結果、各触覚指に3自由を有する多指触覚インターフェイス10においても、上記(1)乃至(4)の作用効果を実現できる。
【0098】
(6) 本実施形態では、指固定部材30(指先連結部)を、触覚指の先端側に設けた。
例えば、指固定部材30を触覚指の基端側に設けた場合には、操作者Hの指が触覚指の先端部と干渉する虞があるが、この場合に比して、操作者Hの指の動きに干渉するものがなく、容易に指先を指固定部材に連結することができる。
【0099】
(7) 本実施形態では、指固定部材30には、触覚指の先端側に転動自在に設けた受動球関節29と、受動球関節29に設けた操作者Hの指先を連結する指取付部32を備える。
【0100】
この結果、受動球関節29により、同じ指先位置でその姿勢を変えることができ、各触覚指と操作者Hの連結が円滑となり、触覚指インターフェイスのサイズと操作者Hの腕や手Haのサイズの差異が機構的に吸収できる。
【0101】
(8) 本実施形態では、指固定部材30には、受動球関節29を吸着保持する永久磁石31(吸着手段)を備えた。
この結果、永久磁石31により、指固定部材30に受動球関節29が吸着(吸引)されて保持され、操作者Hの指先に過度の引っ張り力が作用すると、自動的に受動球関節29は触覚指から離脱し、操作者Hの指先に引っ張り力が生じない。
【0102】
(9) 本実施形態では、永久磁石31は、吸着手段として、受動球関節29を磁力により吸着保持する磁力発生手段とした。
この結果、受動球関節29を磁力により、上記(8)の作用効果を実現できる。
【0103】
(10) 本実施形態の制御方法では、操作者Hの手Haの位置及びその姿勢の検出結果に基づき操作者Hの指先が構成する仮想平面αに対して操作者Hの手Haの位置と面対称となる位置に触覚指ベース20を位置させるように第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18(アーム用能動関節)を制御した。そして、触覚指ベース20を操作者Hの手Haに対向させるようにした。
【0104】
この結果、操作者Hの指先が形成する仮想平面αに対して、手Haの位置と面対称となる位置に触覚指ベース20を好適に対向させることができる。
(11) 本実施形態での制御方法では、多指触覚インターフェイス10は、操作者Hの手Haの位置及びその姿勢を検出する3次元位置姿勢センサ42(第1検出手段)を備え、3次元位置姿勢センサ42による手Haの位置及びその姿勢の検出結果を用いて触覚指ベース20の位置を制御するようにした。
【0105】
この結果、3次元位置姿勢センサ42の検出結果を使用することにより、上記(10)の作用効果を実現できる。
(12) 本実施形態での制御方法では、多指触覚インターフェイス10は、操作者Hの指先の動きを検出する3軸力センサK1〜K5(第2検出手段)を備えた。又、3軸力センサK1〜K5の指先の動き検出に基づいて、同指先の動きに連動して第1指関節27,第2指関節28(指用能動関節)を制御するようにした。
【0106】
この結果、3軸力センサK1〜K5の検出結果を使用することにより、上記(10)の作用効果を実現できる。
(第2実施形態)
次に図5を参照して、第2実施形態を説明する。なお、本実施形態を始めとして、以下に記載の実施形態では、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して、説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0107】
第2実施形態では、永久磁石31の代わりに、電磁石50が設けられているところが異なっている。電磁石50は、吸着手段及び磁力発生手段に相当する。
さらに、本実施形態では、CPU40aは電磁石50のコイルの励磁電流を供給する駆動回路を制御可能になっている。すなわち、外部の入力装置(図示しない)の操作により入力する信号(外部信号)に基づいて、CPU40aは、前記駆動回路を制御して電磁石50の磁力調整を行い、受動球関節29の指固定部材30への吸着保持力を可変できるようにした。
【0108】
前記外部の入力装置からの入力信号は外部信号に相当し、CPU40aは、磁力制御手段に相当する。
本実施形態では、第1実施形態の(1)〜(12)の効果の他に、操作者Hが男性又は女性、或いは、操作者Hの年齢等に応じて、操作者Hの指先で生じる引っ張り力の限界を調整できる。このため、より安全な多指触覚インターフェイス10とすることができる。
【0109】
(第3実施形態)
次に第3実施形態を図6を参照して説明する。
本実施形態では、第1実施形態の構成中、3次元位置姿勢計測装置41及び3次元位置姿勢センサ42が省略されている。この代わりに、操作者Hの手Haにおいて、3つの超音波距離センサの発信部55a〜55cがそれぞれ異なる位置である所定部位にターゲットとして装着されている。なお、前記発信部55a〜55cのハンド座標系の座標位置は予めROM40bに格納されている。
【0110】
又、触覚指ベース20には、超音波距離センサの受信部56が設けられている。なお、受信部56の触覚指ベース座標系の座標位置は予めROM40bに格納されている。受信部56は、各発信部55a〜55cから発信された超音波を受信し、触覚指ベース20と各ターゲット(手Haの所定部位)間の距離を計測するためのものである。
【0111】
制御装置40のCPU40aは、受信部56から各ターゲット間の3つの距離計測値、前記発信部55a〜55c、及び受信部56の座標位置に基づいて操作者Hの手Haの位置及びその姿勢を演算する。
【0112】
そして、以下、演算した手Haの位置及び姿勢データに基づいて、第1実施形態と同様にCPU40aはアーム部12や、各触覚指を駆動制御するようにされている。
【0113】
本実施形態では、超音波距離センサの受信部56及びCPU40aが、第1検出手段に相当する。すなわち、受信部56により、手Ha側の発信部55a〜55cの距離計測値(手の位置を計測した値)が得られる。
【0114】
本実施形態で使用した超音波距離センサは、3次元位置姿勢計測装置41及び3次元位置姿勢センサ42よりも低コストである。このため、第1実施形態に比較して、多指触覚インターフェイス10単独でシステムが構成できるとともに、簡便なシステムとすることができ、コストがかからない効果を奏する。
【0115】
(第4実施形態)
次に第4実施形態を、図7〜図9を参照して説明する。
第4実施形態は、図7及び図8に示すように、第1実施形態のハード構成中、3次元位置姿勢計測装置41及び3次元位置姿勢センサ42が省略されているところが異なっている。このため、第1実施形態と同一構成又は相当する構成については同一符号を付す。
【0116】
又、第4実施形態では、CPU40aが図9に示す制御プログラムを所定制御周期毎に実行するところが異なっている。CPU40aは、制御手段、第1演算手段及び第2演算手段に相当する。
【0117】
以下、この制御プログラムを図9を参照して説明する。
なお、第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、仮想空間でのロボットハンドと仮想物体との接触があるときは、ロボット制御装置100から干渉信号(ロボットハンドにおける各指についての干渉力の大きさと、各指における干渉方向を示す信号)が入力される。又、仮想空間でロボットハンドと仮想物体とが接触していない場合には、ロボット制御装置100から干渉信号が入力されないようにされている。
【0118】
(S110)
この制御プログラムが開始されると、S110では、ロボット制御装置100から入力した干渉信号に基づいて、仮想空間で生成された干渉力を操作者Hの指先での目標力Fdi(i=1,…,5)として演算する。ロボット制御装置100では干渉がないときは、前記目標力Fdi(i=1,…,5)を0と演算する。なお、i=1,…,5は、それぞれ第1触覚指21〜第5触覚指25に対応させたものである。
【0119】
(S120)
S120では、CPU40aは操作者Hの指先により各触覚指に作用している力Fi(i=1,…,5)を、各3軸力センサK1〜K5からの検出値(検出信号)に基づいて検出を行う。なお、i=1,…,5は、それぞれ第1触覚指21〜第5触覚指25に対応させたものである。
【0120】
(S130)
S130では、各触覚指21〜25のロータリエンコーダURE1〜URE3の検出値(検出信号)に基づいて、CPU40aは各触覚指21〜25の第1指関節27及び第2指関節28における、第1軸27a〜第3軸28aの各軸の周りの触覚指関節角度pij(i=1,…,5,j=1,…,3)を検出する。
【0121】
前記ロータリエンコーダURE1〜URE3は触覚指関節角度検出手段に相当する。
(S140)
S140では、アーム機構のロータリエンコーダARE1〜ARE7の検出値(検出信号)に基づいて、CPU40aは各関節における各軸の周りの回転角度、すなわち、アーム関節角度qi(i=1,…,7)を検出する。
【0122】
前記ロータリエンコーダARE1〜ARE7はアーム関節角度検出手段に相当する。
(S150)
S150では、CPU40aは、前記触覚指関節角度pij及びアーム関節角度qiに基づいて、ヤコビ行列Ji(i=1,…,5)の演算をする。ヤコビ行列は、いわゆる運動学的ヤコビ行列である。
【0123】
ヤコビ行列Ji(i=1,…,5)は、第i触覚指の先端からアーム機構のベース11までの運動学の関係から導き出すヤコビ行列である。本実施形態では、ヤコビ行列Jiは、6×10の大きさの行列である。前記「6」は触覚指の位置(3)と姿勢(3)のパラメータ数の和であり、前記「10」は、アームの自由度(7)と触覚指の自由度(3)の和である。なお、アームの自由度とは、アーム機構における各関節の軸の数(軸数)に一致し、触覚指の自由度は、触覚指における指関節の軸の数(軸数)に一致する。
【0124】
又、前記触覚指の位置は、触覚指の触覚指ベース座標系の位置を示す3つのパラメータで示される。又、触覚指の姿勢は、軸xm,ym,zmが軸x0,y0,z0へそれぞれなす角度からなる3つのオイラーパラメータで示される。
【0125】
(S160)
S160では、CPU40aは、重力補償項gi(i=1,…,5)の演算を行う。前記重力補償項giは、アーム機構及び触覚指全体の重力分を、1つの触覚指に関して割り振ったものである。なお、i=1,…,5は、それぞれ第1触覚指21〜第5触覚指25に対応するものである。
【0126】
(S170)
S170では、前記S110乃至S150にて、検出又は演算した値に基づいて力制御(力フィードバック制御)による触覚指の制御入力ciの演算を式(2)にて行う。
【0127】
第i番(i=1,…,5)の触覚指に作用している力Fiと目標力Fdiに対して、第i番の触覚指(第1指関節27の第1軸27a及び第2軸27bの駆動モータ、及び第2指関節28の第3軸28aに係る駆動モータ)の制御入力をaiとする。又、第i番の触覚指の指先(触覚指の先端)に力を生ずるアーム関節(すなわち、第1腕関節16,第2腕関節17,手首関節18に係る駆動モータ)の制御入力をbiとする。なお、ai及びbiはベクトルである。
【0128】
iは、第i番の触覚指に着目したときに、この触覚指の指先(触覚指の先端)での力誤差による触覚指関節とアーム関節への比例積分制御入力となる。すなわち,
i=(ai T,bi TTとすると、
【0129】
【数1】
Figure 0003843319
である。
【0130】
なお、Tは転置行列を表している。又、K,Kはそれぞれ力誤差の比例と積分のフィードバックゲイン行列であり、予めROM40bに記憶されている。
(S180)
S180では、力制御(力フィードバック制御)によるアーム機構の制御入力bの演算を式(2)にて行う。
【0131】
【数2】
Figure 0003843319
すなわち、式(2)に示すように、アームの制御入力bは、各触覚指の指先(触覚指の先端)での力誤差の比例積分制御の入力を加算することにより得られるのである。
【0132】
(S190)
S190では、CPU40aは、各触覚指の先端位置(3次元位置)を触覚指の触覚指関節角度pij、触覚指の長さ、アーム機構のアーム関節角度qi、アーム機構の長さに基づいて演算する。
【0133】
そして、このとき得られた、各触覚指の先端位置(指取付部32の位置:3次元位置)が仮想空間におけるロボットハンドに教示すべき目標空間位置となる。又、制御時に、各触覚指の各3軸力センサK1〜K5にて検出される干渉方向の力がロボットハンドに教示すべき力の教示データとなる。
【0134】
(S200)
S200では、CPU40aは、S170及びS180で演算した制御入力ai及び制御入力bを、各触覚指における駆動装置(例えば、第2触覚指22では第2触覚指駆動装置45)及びアーム駆動装置46に出力する。又、CPU40aは仮想空間におけるロボットハンドの前記目標空間位置や、ロボットハンドに教示すべき力の教示データをロボット制御装置100に出力し、この制御プログラムのフローチャートを一旦終了する。
【0135】
各触覚指における駆動装置及びアーム駆動装置46は、制御入力ai及び制御入力bに基づいて、各触覚指の各駆動モータ及びアーム機構の関節の駆動モータを駆動する。
【0136】
この結果、仮想空間での図示しないロボットハンドと仮想物体との干渉がない場合、操作者Hは自由に手を動かせるように、各触覚指と触覚指ベース20が制御装置40によって運動制御される。このとき、触覚指ベース20の位置姿勢と触覚指は、指先で生ずる力F(i=1,…,5)が零となるように、すなわち、目標力Fdi(i=1,…,5)を0として、運動学的ヤコビ行列J(i=1,…,5)を用いて力誤差の比例積分制御される。
【0137】
一方、仮想空間での図示しないロボットハンドと仮想物体との干渉がある場合には、仮想空間で生成される干渉力を操作者Hの指先での目標力Fdiとして、運動学的ヤコビ行列J(i=1,…,5)を用いて、各触覚指と触覚指ベース20が制御装置40によって力誤差の比例積分制御がなされる。
【0138】
このようにして、この制御入力により、目標とする力が操作者の指先に提示される。
第4実施形態によると、次のような作用効果を奏する。
【0139】
(1) 第4実施形態の多指触覚インターフェイス10は、3次元位置姿勢計測装置41及び3次元位置姿勢センサ42が省略したという第1実施形態と異なる構成であるが、第1実施形態の(1)〜(3)、(5)、(6)〜(9)と同様の効果を奏する。
【0140】
(2) さらに、3次元位置姿勢計測装置41及び3次元位置姿勢センサ42が省略されているので、触覚インターフェイスの制御システムとして低価格に構成できる。
【0141】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態を図10を参照して説明する。
第5実施形態では、第4実施形態のハード構成と同一であるが、CPU40aが実行する制御プログラムが異なっているだけであるため、第4実施形態と同一構成又は相当する構成については同一符号を付す。
【0142】
図10は、第5実施形態の多指触覚インターフェイス10のCPU40aが所定の制御周期で実行する制御プログラムのフローチャートである。
なお、図10中、S110〜S180は第4実施形態と同じ処理であるため、説明を省略する。
【0143】
この制御プログラムが開始されると、S110〜S180の処理後、S300に移行する。S300〜S340はループ処理である。詳説すると、S300〜S340には、第1ループと第2ループとがある。ループ名が第1ループのループ始端はS300であり、ループ終端はS340である。又、ループ名が第2ループのループ始端は、S310であり、ループ終端はS330である。
【0144】
第1ループでは、触覚指関節角度pijに関して、i=1,…,5となるまで、S300〜S340の処理を反復繰り返す。すなわち、第1触覚指21〜第5触覚指25について、それぞれS320の判定を繰り返す。又、第2ループでは、触覚指関節角度pijに関して、j=1,…,3となるまで、S310〜S330の処理を反復繰り返す。
【0145】
この結果、CPU40aは下記のS320の処理を繰り返す。
S320では、触覚指の触覚指関節角度pijが、
(Lij)cw<pij<(Lij)ccw …(第1判定条件)
か否かを判定する。なお、iはi=1,…,5の数値をとり、それぞれ、第1触覚指21〜第5触覚指25に対応している。又、jはj=1,…,3の数値をとり、それぞれ触覚指の指関節の第1軸27a,第2軸27b,第3軸28aに対応したものである。
【0146】
ここで、(Lij)cwは、各触覚指の第1軸27a、第2軸27b、第3軸28aの周りで、時計回り方向への回動が許容されている回転角度の閾値である。この閾値は、時計回り方向への回動が許容されている各指関節における各軸の周りの最大回転角度(Lij)cwmaxに対して、(Lij)cwmax<(Lij)cwとされている。閾値(Lij)cwと最大回転角度(Lij)cwmaxの差は数度の範囲が好ましい。
【0147】
又、(Lij)ccwは、各触覚指の第1軸27a、第2軸27b、第3軸28aの周りで、反時計回り方向への回動が許容されている回転角度の閾値である。この閾値は、反時計回り方向への回動が許容されている各指関節における各軸の周りの最大回転角度(Li j)ccwmaxに対して、(Lij)cw<(Lij)ccwmaxとされている。閾値(Lij)ccwと最大回転角度(Lij)ccwmaxとの差は数度の範囲が好ましい。
【0148】
又、前記第1ループ処理及び第2ループ処理中に、S320の判定処理において、第1判定条件を、全ての触覚指関節角度pijが満たすときは、S350に移行することなく、S400に移行する。
【0149】
前記第1ループ処理及び第2ループ処理中に、S320の第1判定条件を満足しない触覚指関節角度pijがある場合には、第1判定条件を満たさない触覚指関節角度pijに関する当該の触覚指における指関節の軸(第1軸27a、第2軸27b、第3軸28a)に関して、S350の処理を行う。
【0150】
S350では、CPU40aは第1判定条件を満たさない指関節の軸(第1軸27a、第2軸27b、第3軸28a)周りの回転を停止保持、すなわち、当該触覚指の触覚指関節角度pijに基づいて現在位置を保持するように「位置の比例微分積分制御」の制御入力aijの演算を行う。このとき演算した制御入力aij(位置制御用入力)は、RAM40cに格納する。ここで、制御入力aijは第i触覚指の制御入力の第j要素であり、a=(ai1、i2、i3の関係がある。
【0151】
これは、現在位置からそれ以上、当該指関節の可動範囲の限界方向に向かうように当該指関節を駆動することは好ましくないからである。
この結果、第1判定条件を満たさない当該指関節の軸周りにおける可動範囲の限界を超える制御入力が出力されることがなくなる。
【0152】
第1ループ及び第2ループ処理が行われた後、S400〜S430の第3のループ処理を行う。第3ループのループ始端はS400であり、ループ終端はS420である。
【0153】
第3ループでは、アーム機構の各関節の各軸におけるアーム関節角度qiについて、i=1,…,7となるまで、S400〜S420の処理を反復繰り返す。この結果、CPU40aは、S410の処理を繰り返す。ここで、i=1,…,7は、アーム機構の第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18(アーム用能動関節)において、7自由度を付与する各軸に対応させたものである。
【0154】
S410では、アーム機構のアーム関節角度qiが、
(Mi)cw<qi<(Mi)ccw …(第2判定条件)
か否かを判定する。
【0155】
ここで、(Mi)cwは、アーム機構の各関節における各軸の周りで、時計回り方向への回動が許容されている回転角度の閾値である。この閾値は、時計回り方向への回動が許容されているアーム機構の各関節における各軸の周りの最大回転角度(Mi)cwmaxに対して、(Mi)cwmax<(Mi)cwとされている。閾値(Mi)cwと最大回転角度(Mi)cwmaxとの差は数度の範囲が好ましい。
【0156】
又、(Mi)ccwは、アーム機構の各関節における各軸の周りで、反時計回り方向への回動が許容されている回転角度の閾値である。この閾値は、反時計回り方向への回動が許容されている各関節における各軸の周りの最大回転角度(Mi)ccwmaxに対して、(Mi)cw<(Mi)ccwmaxとされている。閾値(Mi)ccwと最大回転角度(Mi)ccwmaxとの差は数度の範囲が好ましい。
【0157】
又、第3ループ処理を行っている中で、S410の判定処理において、第2判定条件を、全てのアーム関節角度qiが満たすときは、S430に移行することなく、S190に移行する。
【0158】
前記第3ループ処理を行っている中で、S410の第2判定条件を満足しないアーム関節角度qiがある場合には、第2判定条件を満たさないアーム関節角度qiに関する当該のアーム機構における関節の軸に関して、S430の処理を行う。アーム機構における関節の軸とは、第1腕関節16の軸x0,y0,z0、第2腕関節17の軸m、手首関節18の軸xm,ym,zmである。
【0159】
そして、S430では、CPU40aは第2判定条件を満たさない前記軸周りの回転を停止保持、すなわち、当該アーム機構の各関節におけるアーム関節角度qiに基づいて現在位置を保持するように「位置の比例微分積分制御」の制御入力dの演算を行う。ここで、diはアームの第i関節の制御入力であり、
b=(d、d、…、dの関係がある。dの演算により、制御入力bが演算されることになる。
【0160】
このとき演算した制御入力d,bは、RAM40cに格納する。
これは、現在位置からそれ以上、当該関節の可動範囲の限界方向に向かうように当該関節を駆動することは好ましくないからである。
【0161】
この結果、第2判定条件を満たさないアーム機構の当該関節の軸周りにおける可動範囲の限界を超える制御入力が出力されることがなくなる。
このループ処理が終了すると、S190に移行する。
【0162】
S190では、CPU40aは第4実施形態と同様の処理を行う。
又、S200では、CPU40aは、S170,S180,S350,S430で演算した制御入力ai及び制御入力bを、各触覚指における駆動装置(例えば、第2触覚指22では第2触覚指駆動装置45)及びアーム駆動装置46に出力する。
【0163】
すなわち、各触覚指の触覚指関節角度pijの全てがS320の第1判定条件を満足し、かつ、アーム機構のアーム関節角度qiの全てがS410の第2判定条件を満足する場合、CPU40aはS170,S180で演算した制御入力ai及び制御入力bを各触覚指の駆動装置及びアーム駆動装置46に出力する。
【0164】
一方、S320の第1判定条件を満足しない触覚指関節角度pijがある場合、CPU40aは当該触覚指関節角度pijの指関節の軸に関してはS350で演算した制御入力aを出力し、第1判定条件を満足した指関節の軸に関しては、S170で演算した制御入力aijを出力する。
【0165】
加えて、S410の第2判定条件を満たさないアーム機構のアーム関節角度qiがある場合、CPU40aはS430で演算した制御入力diを出力する。
併せて、S200では、CPU40aは仮想空間におけるロボットハンドの前記目標空間位置や、ロボットハンドに教示すべき力の教示データをロボット制御装置100に出力し、この制御プログラムのフローチャートを一旦終了する。
【0166】
第5実施形態によると、第4実施形態の作用効果に加え次のような作用効果を奏する。
(1) 第5実施形態の多指触覚インターフェイス10は、触覚指に関して触覚指関節角度pijが、(Lij)cw<pij<(Lij)ccwを満足しない場合、すなわち、触覚指におけるいずれかの指関節(能動関節)が可動範囲の限界近傍である場合、限界方向にその関節を駆動しない構成にした。すなわち、触覚指におけるいずれかの指関節(能動関節)が可動範囲の限界内である閾値よりも限界方向に位置している場合、限界方向にその関節を駆動しない構成にした。
【0167】
このように、触覚指における指関節の可動範囲の限界を超えた制御入力が出力されることがない。仮に可動範囲の限界を超えた制御入力があると、触覚指の指関節の駆動モータに過負荷が加わり、同駆動モータの損傷等の虞があるが、本実施形態では、指関節の図示しない駆動モータに過負荷が加わることがない。
【0168】
(2) 第5実施形態の多指触覚インターフェイス10は、アーム機構のアーム関節角度qiが、(Mi)cw<qi<(Mi)ccwを満足しない場合、すなわち、アーム機構におけるいずれかの関節が可動範囲の限界近傍である場合、限界方向にその関節を駆動しない構成にした。すなわち、アーム機構におけるいずれかの関節(能動関節)が可動範囲の限界内である閾値よりも限界方向に位置している場合、限界方向にその関節を駆動しない構成にした。
【0169】
このように、アーム機構の関節の可動範囲の限界を超えた制御入力が出力されることがない。仮に可動範囲の限界を超えた制御入力があると、アーム機構の各関節の駆動モータに過負荷が加わり、同駆動モータの損傷等の虞があるが、本実施形態では、アーム機構の関節の図示しない駆動モータに過負荷が加わることがない。
【0170】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態を図11を参照して説明する。
第6実施形態は、第5実施形態とはハード構成と同一であるが、CPU40aが所定周期毎に実行する制御プログラムが異なっている。このため、第5実施形態と同一構成又は相当する構成については同一符号を付す。
【0171】
図11は、第6実施形態の多指触覚インターフェイス10のCPU40aが所定の制御周期で実行する制御プログラムのフローチャートである。
なお、図11に示す制御プログラムのフローチャート中、S110〜S180は第5実施形態のフローチャートと同じ処理であるため、説明を省略し、フローチャートの異なるところを中心に説明する。
【0172】
この制御プログラムが開始されると、S110〜S180の処理後、S300に移行する。
第6実施形態において、S300〜S340は、第5実施形態と同様の第1ループ処理及び第2ループ処理である。S320で、第1判定条件を満足しない触覚指関節角度pijがあると、S350で、CPU40aは第1判定条件を満たさない指関節の軸周りの回転を停止保持すべく、当該触覚指の触覚指関節角度pijに基づいて現在位置を保持するように「位置の比例微分積分制御」の制御入力aの演算を行う。このとき演算した制御入力aij(位置制御用入力)は、RAM40cに格納する。
【0173】
そして、前記第1ループ処理及び第2ループ処理を抜けて、S190に移行する。
又、前記第1ループ処理及び第2ループ処理中に、S320の判定処理において、第1判定条件を、全ての触覚指関節角度pijが満たすときは、S350に移行することなく、S500に移行する。
【0174】
(S500)
S500では、位置制御により、アーム機構の制御入力bを演算する。すなわち、CPU40aは、アーム機構の各関節の現在位置を保持するための「位置の比例微分積分制御」によりアーム機構の制御入力bを演算する。この後、S190に移行する。
【0175】
このように、S300〜S340のループ処理の中で、全触覚指の全ての触覚指関節角度pijがS320の第1判定条件を満たすとき、すなわち、全ての指関節が可動範囲にあるときは、CPU40aはS500で演算したアーム機構の各関節の現在位置を保持するための制御入力bをS200で出力する。又、同時に、CPU40aは、S200において、S170で演算した制御入力aを各触覚指の駆動装置に出力する。
【0176】
この結果、アーム機構は現在位置を保持する「位置の比例微分積分制御」により、現在位置を保持する。又、このとき、触覚指の各関節は、S170で演算した制御入力aijにて力制御される。
【0177】
又、上記制御プログラムによれば、S300〜S340のループ処理において、触覚指関節角度pijがS320の第1判定条件を満たさないもの(軸)があるときは、CPU40aはS180で演算した力制御によるアーム機構の制御入力bをS200で出力する。又、同時に、CPU40aは、S200においては、触覚指関節角度pijがS320の第1判定条件を満たさない指関節の軸に関しては、S350で演算した制御入力aを出力する。又、触覚指関節角度pijがS320の第1判定条件を満たす指関節の軸に関しては、S170で演算した制御入力aijを各触覚指の駆動装置に出力する。
【0178】
この結果、アーム機構の各関節は力制御により駆動される。
又、触覚指の指関節のうち、触覚指関節角度pijがS320の第1判定条件を満たさないもの(軸)に関しては、現在位置を保持する「位置の比例微分積分制御」により、現在位置を保持する。触覚指の指関節のうち、触覚指関節角度pijがS320の第1判定条件を満たす(軸)に関しては、力制御により、駆動モータが駆動される。
【0179】
従って、第6実施形態では、下記の作用効果を奏する。
(1) 第6実施形態では、アーム機構の各関節は、全ての触覚指関節角度pijがS320の第1判定条件を満たす場合と、少なくとも1つの触覚指関節角度pijがS320の第1判定条件を満たさない場合に応じて、力誤差の比例積分制御と、現在位置を保持する「位置の比例微分積分制御」の切替がされる。
【0180】
このことにより、触覚指の微小な指先の位置変化の場合、ほとんどアーム機構の関節は動かず、触覚指の指関節のみが動き、操作者Hに対して安心感を与え、多指触覚インターフェイス10のシステム全体の消費電力も低減する。
【0181】
(2) 第6実施形態によれば、下記の作用効果がある。すなわち、前記第4実施形態の力誤差の比例積分制御では、操作者Hの微小な指先の力の変化であっても、触覚指とアーム機構の両者が同時に動く。触覚指は3自由度あるため、空間的に任意の点に触覚指の指先(触覚指の先端)を位置づけられる。
【0182】
それに対して、第6実施形態の制御プログラムでは、触覚指の指関節の可動範囲であるならば、指関節の動きのみにより、触覚指の指先(触覚指の先端)のみで目標力Fdiが生成できる。
【0183】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態を図12及び図13を参照して説明する。
第7実施形態は、第4実施形態とはハード構成と同一であるが、CPU40aが所定周期毎に実行する制御プログラムが異なっている。このため、第4実施形態と同一構成又は相当する構成については同一符号を付す。
【0184】
図12は、第7実施形態の多指触覚インターフェイス10のCPU40aが所定の制御周期で実行する制御プログラムのフローチャートである。図12に示す制御プログラムのフローチャート中、S110〜S140は第5実施形態のフローチャートと同じ処理であるため、説明を省略し、フローチャートの異なるところを中心に説明する。
【0185】
この制御プログラムが開始されると、S110〜S140の処理後、S600に移行する。
(S600)
S600では、ハンド13の可操作性を最大とする目標アーム関節角度の演算を行う。図13は、S600の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0186】
(S610)
S610では、触覚指のヤコビ行列Jhi(i=1,…,5)の演算と、ハンド13の可操作性を評価するために、可操作性評価関数PI(以下、単に評価関数PIという)の演算を行う。
【0187】
なお、ヤコビ行列Jhi(i=1,…,5)は、第i触覚指の先端から触覚指ベース20までの運動学の関係から導き出すヤコビ行列である。本実施形態では、ヤコビ行列Jhiは、3×3の大きさの行列である。前者の「3」は触覚指の位置のパラメータ数であり、後者の「3」は、触覚指の関節数である。
【0188】
この場合、ヤコビ行列Jhiは、アーム関節角度の関数として求める。従って、その行列式|Jhi|は、アーム関節角度の関数となる。
又、前記触覚指の位置は、触覚指の触覚指ベース座標系の位置を示す3つのパラメータで示される。又、触覚指の姿勢は、軸xm,ym,zmの軸が軸x0,y0,z0へそれぞれのなす角度からなる3つのオイラーパラメータで示される。
【0189】
又、評価関数PIは、
【0190】
【数3】
Figure 0003843319
である。ここで、前記wは、重み係数である。
【0191】
(S620)
S610の処理後、S620〜S650の第4ループ処理を行う。
第4ループのループ始端はS620であり、ループ終端はS650である。第4ループでは、式(4)について、i=1,…,Nとなるまで、S620〜S650の処理を反復繰り返す。なお、Nは、予め定められた所定回数である。
【0192】
この結果、CPU40aはS630及びS640の処理をN回繰り返す。
(S630)
S630では、評価関数PIを最大とする目標アーム関節角度を公知の最急降下法を使用して探索する。なお、評価関数PIが最大となることは、可操作性が最大となることを意味する。
【0193】
本実施形態での最急降下法は、最初は、目標アーム関節角度としてある適当な初期値(初期パラメータ)から始め、その値(パラメータ)を変化させて更新を繰り返し、最適なパラメータ(目標アーム関節角度)を求める方法である。
【0194】
(S640)
S640では、S630で更新前の値(パラメータ)を評価関数PIに代入して得たときの評価関数PIの値(PIk)と、更新した後の値(パラメータ)を評価関数PIに代入して得たときの評価関数PIの値(PIk+1)との差(評価関数PIの変化量)が、予め定めた閾値e以下か否かを判定する。なお、閾値eは、ROM40bに予め格納されている。なお、kは任意の回数を示す。
【0195】
S640で、評価関数PIの変化量が閾値e以下のものを目標アーム関節角度の候補としてRAM40cに格納する。
(S700)
前記ループ処理を終了すると、S700では、S640で得られた目標アーム角度の候補をローパスフィルタ処理する。
【0196】
この処理が必要な理由は下記の通りである。
ハンド13の可操作性を最大とするように、触覚指ベース20の位置、姿勢(アーム機構のアーム関節角度)を求めた場合、触覚指の動きに応じてアーム機構が大きく動くことがある。この場合、アーム機構を制御する制御系のエネルギー消費が大きくなり、さらには、操作者Hに不安を与える可能性がある。そこで、ローパスフィルタ処理を施すことにより、アーム機構が大きく動かないようにすることを目的に、アーム関節角度の急激な変化を抑制するために行うのである。
【0197】
(S710)
S710では、CPU40aは、重力補償項ghi(i=1,…,5)の演算を行う。前記重力補償項ghiは、触覚指全体の重力分を、1つの触覚指に関して割り振ったものである。なお、i=1,…,5は、それぞれ第1触覚指21〜第5触覚指25に対応する。
【0198】
(S720)
S720では、S700でローパスフィルタ処理された目標アーム関節角度に対して、この目標アーム関節角度になるように、位置制御により、アーム機構の制御入力bを演算する。この後、S730に移行する。
【0199】
(S730)
S730では、触覚指のヤコビ行列Jhi(i=1,…,5)の演算を行う(ヤコビ行列Jhi(i=1,…,5)については、前記S610を参照)。
【0200】
(S740)
S740では、力制御による触覚指の制御入力aiを下記の式(4)に基づいて演算する。
【0201】
【数4】
Figure 0003843319
ここで、Tは転置行列を表している。又、K,Kはそれぞれ力誤差の比例と積分のフィードバックゲイン行列であり、予めROM40bに記憶されている。ghiは重力補償項であり、当該触覚指の重力分を補償するためのものである。CPU40aは、重力補償項ghi(i=1,…,5)の演算も行う。前記重力補償項ghiは、触覚指全体の重力分を、1つの触覚指に関して割り振ったものである。なお、ここでのi=1,…,5は、それぞれ第1触覚指21〜第5触覚指25に対応する。
【0202】
(S190及びS200)
S190では、CPU40aは第4実施形態と同様の処理を行う。又、S200では、CPU40aは、S740及びS720で演算した制御入力ai及び制御入力bを、各触覚指における駆動装置(例えば、第2触覚指22では第2触覚指駆動装置45)及びアーム駆動装置46に出力する。
【0203】
この結果、アーム機構の各関節が位置制御されて、触覚指ベース20の目標位置姿勢rdは、現在の触覚指の先端位置を保持した状態で、ハンド13の可操作性を最大となるように制御される。
【0204】
仮操作性が最大となることは、操作者の指先の動きや操作力に対して、触覚指が最も追従しやすいあるいは大きな操作力を出力できることを意味する。
第7実施形態によれば、下記の作用効果を奏する。
【0205】
(1) 第7実施形態では、S720で位置制御によるアーム機構の制御入力bが演算されるため、触覚指ベース20の位置姿勢は、位置制御される。この位置制御では、ハンド13の可操作性を最大とする目標アーム関節角度の演算(S600)が行われ、触覚指ベース20は、この目標アーム関節角度に基づいて位置制御される。
【0206】
又、触覚指は、S740において、触覚指の指先(触覚指の先端)に作用している力Fi(i=1,…,5)が目標力Fdiとなるように触覚指の運動学的ヤコビ行列Jhi(i=1,…,5)を用いて力誤差の比例積分制御される。
【0207】
この結果、アーム機構の各関節が位置制御されて、触覚指ベース20の目標位置姿勢rdは、現在の触覚指の先端位置を保持した状態で、ハンド13の可操作性を最大となるように制御される。
【0208】
本発明の実施形態は、上記実施形態以外に次のように変更することも可能である。
(1) 前記各実施形態では、アーム部12、第1腕関節16、第2腕関節17及び手首関節18からなるアーム機構は7自由度を備えるようにしたが、いずれか一つの自由度を省略して6自由度としてもよい。すなわち、座標系においては、直交する3軸の原点位置を示す3つのパラメータと、各軸の周りの回転角度を示す3つのパラメータがあるため、各パラメータに対応した6自由度があればよい。
【0209】
(2) 又、前記各実施形態のアーム機構は、8自由度以上の自由度を備えるようにしても勿論よい。
(3) 前記第3実施形態では、ターゲットとして3つの各発信部55a〜55cを備えたが、発信部を1つとし、受信部56を3つとしてもよい。
【0210】
各受信部56は距離センサに相当する。
又、前記第3実施形態では、各発信部55a〜55cを手Ha側に設け、受信部56を触覚指ベース20に設けたが、互いに反対に設けてもよい。
【0211】
この場合も受信部56が距離センサに相当する。
(4) 前記各実施形態では、第1触覚指21〜第5触覚指25は第1指関節27,第2指関節28(指用能動関節)により3自由度の運動の自由度を有するようにした。しかし、これに限定するものではなく、4自由度等の3自由度を超える構成にしてもよい。
【0212】
(5) 前記各実施形態では、吸着手段として永久磁石31又は電磁石50を設けたが、取付凹部26aに単数又は複数の吸引孔を設け、同吸引孔を介して空気を吸引して、受動球関節29を吸着するようにしてもよい。この場合、吸着手段は、取付凹部26aに設けた吸引孔、及び空気を吸引するための装置、例えば、真空引き装置等が相当する。
【0213】
(6) 第2実施形態では、外部の入力装置(図示しない)の操作により入力する信号に基づいて、CPU40aは、駆動回路を制御して電磁石50の磁力調整を行い、受動球関節29の指固定部材30への吸着保持力を可変できるようにしたが、この構成を省略してもよい。すなわち、単に電磁石50に一定の励磁電流を供給するようにしてもよい。
【0214】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1乃至請求項18の発明によれば、人間の複数の指先に力感覚を提示でき、その作業領域はほぼアーム機構の作業領域となり、広い領域(操作空間)が確保できる。
【0215】
又、操作者は触覚インターフェイスの重量感や、手が触覚インターフェイスと接続されて負担感を感ずることもない効果がある。
又、操作者の指先への力の提示が人間の手自体に装着するものではないため、違和感も感じさせない効果がある。
【0216】
又、請求項19乃至請求項21は、請求項乃至請求項18の触覚インターフェイスが触覚指ベースを操作者の手に対して対向するように制御する際に、好適に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の多指触覚インターフェイスの概略図。
【図2】 第1実施形態の第2触覚指22の斜視図。
【図3】 多指触覚インターフェイスの電気ブロック図。
【図4】 同じくCPU40aが実行する制御フローチャート。
【図5】 第2実施形態の第2触覚指22の斜視図。
【図6】 第3実施形態の多指触覚インターフェイスの概略図。
【図7】 第4実施形態の多指触覚インターフェイスの概略図。
【図8】 第4実施形態の多指触覚インターフェイスの電気ブロック図。
【図9】 同じくCPU40aが実行する制御フローチャート。
【図10】第5実施形態のCPU40aが実行する制御フローチャート。
【図11】第6実施形態のCPU40aが実行する制御フローチャート。
【図12】第7実施形態のCPU40aが実行する制御フローチャート。
【図13】同じくCPU40aが実行する制御フローチャート。
【符号の説明】
10…多指触覚インターフェイス
12…アーム部
13…ハンド
14…第1アーム(アーム機構の一部を構成する)
15…第2アーム(アーム機構の一部を構成する)
16…第1腕関節(アーム用能動関節)
17…第2腕関節(アーム用能動関節)
18…手首関節(アーム用能動関節)
20…触覚指ベース
21〜25…第1触覚指〜第5触覚指
27…第1指関節(指用能動関節)
28…第2指関節(指用能動関節)
29…受動球関節
30…指固定部材(指先連結部)
31…永久磁石(吸着手段、磁力発生手段)
32…指取付部
42…3次元位置姿勢センサ(第1検出手段)
40…制御装置
40a…CPU(制御手段、第1制御手段、第2制御手段、磁力制御手段、第1演算手段、第2演算手段)
50…電磁石(吸着手段、磁力発生手段)
K1〜K5…3軸力センサ(第2検出手段)
56…超音波距離センサの受信部56(CPU40aとともに、第1検出手段を構成する)
α…仮想平面
H…操作者
Ha…手
ARE1〜ARE7…ロータリエンコーダ(アーム関節角度検出手段)
URE1〜URE3…ロータリエンコーダ(触覚指関節角度検出手段)

Claims (21)

  1. 操作者の指先の運動に追従可能な複数の触覚指を触覚指ベースに配置し、前記触覚指ベースをアーム機構で空間運動を可能とする触覚インターフェイスにおいて、
    前記触覚指ベースを操作者の手に対向させ、手の位置及び姿勢に連動させて前記触覚指ベースを駆動制御し、操作者の指先の動きに連動させて前記触覚指を駆動制御する制御手段を備え
    前記制御手段は、各触覚指に作用している力(F i )と、指先での目標力(F di )との力誤差を用いて、前記触覚指ベースを駆動するアーム機構と前記触覚指を制御すること
    たことを特徴とする触覚インターフェイス
  2. 前記アーム機構に設けられた能動関節のアーム関節角度を検出するアーム関節角度検出手段と、前記触覚指に設けられた能動関節の触覚指関節角度を検出する触覚指関節角度検出手段と、前記触覚指の動きを検出する動き検出手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記各触覚指の先端から前記アーム機構のベースまでの運動学的ヤコビ行列を、前記アーム関節角度、前記触覚指関節角度に基づいて、演算する第1演算手段と、前記動き検出手段の検出に基づいて得られた各触覚指の先端に作用している力(F i )と指先での目標力(Fdi)との力誤差の力フィードバック制御のために、前記アーム関節角度、前記触覚指関節角度、前記運動学的ヤコビ行列、及び前記力誤差に基づいて、前記触覚指の能動関節及び前記アーム機構の能動関節への制御入力を演算する第2演算手段と、を備え、前記制御入力に基づいて前記触覚指の能動関節及び前記アーム機構の能動関節を制御することを特徴とする請求項1に記載の触覚インターフェイス。
  3. 前記触覚指及び前記アーム機構に設けられた能動関節が可動範囲限界内の所定の閾値から限界方向に位置している場合、前記制御手段は、前記能動関節を現在位置に保持する位置制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の触覚インターフェイス。
  4. 前記触覚指及び前記アーム機構に設けられた能動関節が可動範囲限界内の所定の閾値から限界方向に位置している場合、前記制御手段は、前記能動関節を現在位置に保持する位置制御を行い、
    前記能動関節が可動範囲限界内の所定の閾値の範囲内に位置している場合、前記制御手段は、各触覚指に作用している力(F i )と、指先での目標力(F di )との力誤差を用いて制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の触覚インターフェイス。
  5. 前記触覚指に設けられた全ての能動関節が可動範囲にあるときは、前記制御手段は、前記触覚指を前記触覚指に作用する力(F i )と指先での目標力(F di )との力誤差を用いて制御するとともに、前記アーム機構を現在位置に保持する位置制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の触覚インターフェイス。
  6. 前記制御手段は、前記触覚指を、前記触覚指に作用する力(F i )と指先での目標力(F di )との力誤差を用いて制御し、前記触覚指ベースを位置制御し、前記触覚指ベースと前記触覚指とを含むハンドの可操作性を最大とするように前記触覚指ベースの目標位置姿勢を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の触覚インターフェイス。
  7. アーム用能動関節を備えたアーム機構と、
    前記アーム機構に設けられた触覚指ベースと、
    前記触覚指ベースに設けられ、操作者の指先を連結する指先連結部を備えるとともに、指用能動関節を備えた複数の触覚指と、
    前記操作者の手の位置及びその姿勢を検出する第1検出手段と、
    前記第1検出手段の手の位置及びその姿勢の検出に基づいて前記アーム用能動関節を制御して触覚指ベースを操作者の手に対向させる第1制御手段と、
    操作者の指先の動きを検出する第2検出手段と、
    第2検出手段の指先の動き検出に基づいて、同指先の動きに連動して指用能動関節を制 御する第2制御手段を備えた触覚インターフェイス。
  8. 前記第2検出手段は、触覚指に設けた多軸の力センサであり、第2制御手段は、力フィードバック制御により、操作者の指先に与える力を制御することを特徴とする請求項7に記載の触覚インターフェイス。
  9. 前記第2制御手段は、操作者の指先に与える力がゼロとなるように力フィードバック制御することを特徴とする請求項8に記載の触覚インターフェイス。
  10. 前記アーム機構は、アーム用能動関節により、6自由度以上の運動の自由度を有していることを特徴とする請求項7乃至請求項9のうちいずれか1項に記載の触覚インターフェイス。
  11. 前記触覚指は指用能動関節により3自由度以上の運動の自由度を有することを特徴とする請求項7乃至請求項10のうちいずれか1項に記載の触覚インターフェイス。
  12. 前記指先連結部は、触覚指の先端側に設けたことを特徴とする請求項7乃至請求項11のうちいずれか1項に記載の触覚インターフェイス。
  13. 前記指先連結部には、触覚指の先端側に転動自在に設けた受動球関節と、同受動球関節に設けた操作者の指先を連結する指取付部を備えることを特徴とする請求項12に記載の触覚インターフェイス。
  14. 前記指先連結部には、前記受動球関節を吸着保持する吸着手段を備えたことを特徴とする請求項13に記載の触覚インターフェイス。
  15. 前記吸着手段は、受動球関節を磁力により吸着保持する磁力発生手段であることを特徴とする請求項14に記載の触覚インターフェイス。
  16. 前記磁力発生手段は、永久磁石であることを特徴とする請求項15に記載の触覚インターフェイス。
  17. 前記磁力発生手段は、電磁石であり、さらに、外部信号により、前記電磁石の磁力を可変する磁力制御手段を備えたことを特徴とする請求項15に記載の触覚インターフェイス。
  18. 第1検出手段には、前記触覚指ベースに設けられた操作者の手の位置を計測するセンサを含むことを特徴とする請求項7乃至請求項15のうちいずれか1項に記載の触覚インターフェイス。
  19. アーム用能動関節を備えたアーム機構と、
    前記アーム機構に設けられた触覚指ベースと、
    前記触覚指ベースに設けられ、操作者の指先を連結する指先連結部を備えるとともに、指用能動関節を備えた複数の触覚指とを備えた触覚インターフェイスの制御方法において、
    操作者の手の位置及びその姿勢の検出結果に基づき、操作者の指先が構成する仮想平面に対して操作者の手の位置と面対称となる位置に触覚指ベースを位置させるように前記アーム用能動関節を制御して、同触覚指ベースを操作者の手に対向させることを特徴とする触覚インターフェイスの制御方法。
  20. 触覚インターフェイスは、さらに操作者の手の位置及びその姿勢を検出する第1検出手段を備え、第1検出手段による手の位置及びその姿勢の検出結果を用いて触覚指ベースの位置を制御することを特徴とする請求項19に記載の触覚インターフェイスの制御方法。
  21. 触覚インターフェイスは、さらに操作者の指先の動きを検出する第2検出手段を備え、第2検出手段の指先の動き検出に基づいて、同指先の動きに連動して指用能動関節を制御することを特徴とする請求項20に記載の触覚インターフェイスの制御方法。
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