JP3840850B2 - 超高圧発生用金型 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素等の焼結体の製造に用いられる超高圧発生用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業用ダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)等の硬質の結晶体の合成には、例えば4〜8万気圧程度の超高圧状態と、例えば1200〜2000℃程度の高温状態とが必要とされており、こうした超高圧高温状態を安定して発生させて、ダイヤモンドやCBN等の粉末から焼結体を製造する超高圧発生装置が知られている。
【0003】
図6は、上述した従来技術の一例による超高圧発生装置を示す側断面図であり、図7は図6に示す超高圧発生装置の中心部を拡大して示す要部側断面図であり、図8は図6に示すシリンダーを構成する第4締付リングと、第5締付リングとが押し嵌めされる状態を示す側断面図である。この超高圧発生装置10は、一対のアンビル11,11及びシリンダー12からなる超高圧発生用金型10aと、ガスケット13と、試料部14とを備えて構成されている。
アンビル11は、例えば円柱状のアンビル本体21と、このアンビル本体21と同軸に形成された截頭略円錐状のアンビル突出部22とから構成されており、アンビル突出部22は、中心軸線Oに沿ってアンビル本体21からアンビル突出部22の截頭面22Aに向かい縮径されたテーパ面状の外周面22Bを有している。
【0004】
シリンダー12は例えば超硬合金からなる円環状に形成されており、最も内周側に配置されたリング状のコア31の外周側に、複数、例えば6個の径が異なる第1締付リング32と、第2締付リング33と、第3締付リング34と、第4締付リング35と、第5締付リング36と、第6締付リング37とが、順次、中心軸線Oと同軸、かつ内周側の締付リングの外周面に外周側の締付リングの内周面が当接するように多重に嵌合されて構成されている。
図6に示すように、第1,…,第5締付リング32,…,36は、例えば略円環板状に形成されており、それぞれの内周面及び外周面は、例えば鉛直方向下方(図6における下方向)に向かい僅かに縮径したテーパ面状とされている。ここで隣接する締付リング、例えば図8に示す第4締付リング35と、第5締付リング36とに対しては、内側に位置する第4締付リング35の外周面35Aは、外側に位置する第5締付リング36の内周面36Bと当接するように形成されており、さらに、第4締付リング35の外周面35Aの上端の直径Rは、第5締付リング36の内周面36Bの下端の直径R1よりも小さく、かつ内周面36Bの上端の直径R2よりも大きくなるように設定されている。すなわち、第4締付リング35は、例えば押し嵌め等により第5締付リング36の内周側に圧入されている。
【0005】
さらに、図6及び図7に示すように、第1及び第2締付リング32,33の各上面32C,33Cは中心軸線Oに向かい所定の第1傾斜角θ1で下り勾配となるように傾斜し、各下面32D,33Dは中心軸線Oに向かい所定の第1傾斜角θ1で上り勾配となるように傾斜している。すなわち第1及び第2締付リング32,33は側断面視で台形状となるように形成されている。
シリンダー12の最も内側に配置されたリング状のコア31は、コア外周面31Aから中心軸線Oに向かい下り勾配となるように傾斜したコア上面31Cと、中心軸線Oに向かい上がり勾配となるように傾斜したコア下面31Dとが形成されており、図7に示すように、コア上面31Cはコア外周面31Aから中心軸線Oに向かう所定の位置において下り勾配の第1傾斜角θ1が第2傾斜角θ2(例えば、θ1≦θ2)へと変化しており、同様に、コア下面31Dはコア外周面31Aから中心軸線Oに向かう所定の位置において上り勾配の第1傾斜角θ1が第2傾斜角θ2へと変化している。そして、コア上面31C及びコア下面31Dのそれぞれと、コア内周面31Bとの接続部は側断面視で適宜の円弧状に形成されて滑らかに接続されている。
【0006】
中心軸線Oと同軸に配置されたシリンダー12に対して、図6及び図7に示すように、このシリンダー12を上下方向から挟み込むように、一対のアンビル11,11が互いの截頭面22A,22Aを所定の間隔だけ離間して対向させるように配置されている。これらの一対のアンビル11,11と、シリンダー12とで囲まれた領域の中心位置には試料部14が設けられており、この試料部14を埋設するように、例えばパイロフィライト等からなるガスケット13が挿入されている。
試料部14は、例えば、試料容器41と、封止部材42と、電極板43とを備えて構成されている。試料容器41は、例えば円筒状の黒鉛からなり、中心軸線Oと同軸に配置されている。そして、試料容器41内にダイヤモンドやCBN等の試料が充填され、例えば試料容器41の内径と等しい外径を有する円板状の超硬合金からなる2つの封止部材42,42により試料容器41の上部開口部及び下部開口部が封止されている。さらに、試料容器41の上面及び下面のそれぞれには、例えばモリブデン等からなる円板状の電極板43が当接するように配置されている。ここで、試料容器41は試料容器41内の試料を加熱するヒータを兼ねており、電極板43を介して試料容器41に交流が通電されることで試料の加熱が行われる。
【0007】
そして、一対のアンビル11,11が、図示しない油圧シリンダー装置等によって、対向する截頭面22A,22A間の距離を縮めるように上下方向に押動されることによって、ガスケット13を介して試料容器41の上部開口部及び下部開口部に嵌合された各封止部材42,42が押圧され、試料容器41内が超高圧に加圧される。なお、この圧力負荷時において、加圧されたガスケット13は適度な流動を伴って試料容器41内に発生した超高圧状態を保持する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような超高圧発生用金型10aでは、一対のアンビル11,11が鉛直方向に押動されて発生する超高圧によって、円環状のシリンダー12に引張応力(フープ応力)が作用する。この引張応力はシリンダー12の内周側になるほど大きくなり、シリンダー12を構成する材料、例えば超硬合金等の強度限界を超えるとシリンダー12が破損してしまう。そこで、シリンダー12の最も内周側に位置するコア31に対して、各締付リング32,…,37が多重押し嵌めされることによって、予め、圧縮応力が付加されており、超高圧による引張応力がコア31の強度限界を超えないように軽減され、シリンダー12の破損防止が図られている。
しかしながら、ダイヤモンドやCBN等を合成する収率を向上させたり、ダイヤモンドやCBN等の良質な焼結体を製造するためには、試料部14への加圧を高くする必要があり、これに応じて、例えばコア31に対する各締付リング32,…,37の締め代が大きくされる等によって、コア31に付加される圧縮応力が高くされる。この場合、コア31では、例えば超硬合金等の材質に固有のポアソン比に従って、図6及び図7における鉛直方向に作用する引張応力が増大し、この鉛直方向の引張応力がコア31の強度限界を超えると、例えば各締付リング32,…,37が押し嵌めされる時点等において、コア31が鉛直方向に引きちぎられるようにして破損してしまうという問題が発生する。ここで、特に破損しやすい箇所の一つはコア31の外縁部、すなわち外周面31Aの軸線方向の厚み中央部であり、この部分の軸線方向に作用する引張応力が最大となり破損するという問題が生じる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、予め、高い圧縮応力が付加された場合でもシリンダーが破損するのを防ぐことが可能な超高圧発生用金型を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1記載の本発明の超高圧発生用金型は、円環状のシリンダーと、前記シリンダーの軸線に沿って、前記シリンダーの内部を両側から挟み込む一対のアンビルとを備えてなる超高圧発生用金型において、前記シリンダーは、最も内周側に配置されたリング状のコアの外周側に、前記コアを内周側に向かい締め付ける締付リングが前記コアと同軸に嵌合されてなり、前記コアは、前記コアの外周部よりも半径方向内側に、前記軸線方向の厚さが最大となる位置が形成されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成の超高圧発生用金型では、シリンダーの最も内周側に位置するリング状のコアは、その軸線方向の厚さがコアの外周部よりも半径方向内側の位置において最大とされており、例えば外周部の位置のみにおいてその軸線方向の厚さが最大とされたコアの外周部と端部との交差稜線部、すなわちコアの外側に向かって突出した外縁部が、切除されたような形状に形成されている。このような形状では、コアの外周側に嵌合された締付リングによって半径方向内側へ向かう圧縮応力が付加された場合に、軸線方向の引張応力はコアの外周部と、コアの最大厚み部分での軸線方向断面近傍とに分散され、軸線方向の引張応力の最大値は低下し、コアの耐破損性を向上させることができる。
【0012】
さらに、請求項2記載の本発明の超高圧発生用金型は、前記コアの外周部は、前記軸線方向の外側から中央側に向い漸次拡径されたテーパ面を備えることを特徴としている。
上記構成の超高圧発生用金型では、コアの外周側に嵌合された締付リングによってコアに付加される圧縮応力は、コアの外周部に直交する方向、すなわちテーパ面においてはテーパ面に直交する方向に作用する。そして、この圧縮応力に起因してコアに作用する引張応力の方向は軸線方向から傾いた方向となり、軸線方向に引張応力が作用する場合に比べて、コアの端部に作用する引張応力の成分を小さくすることができ、より一層、コアが破損することを防ぐことができる。
【0013】
また、請求項3記載の本発明の超高圧発生用金型は、前記コアの前記厚さが最大となる位置近傍は、所定の曲率の凸曲面状に形成されていることを特徴としている。
上記構成の超高圧発生用金型では、コアの軸線方向の厚さが最大となる位置近傍が所定の曲率の凸曲面状に形成されて滑らかとされており、コアに作用する引張応力によって、例えば軸線方向に引きちぎられるようにして破損が生じやすい突出した部分が形成されていないことから、より一層、コアの耐破損性を向上させることがきる。
【0014】
また、請求項4記載の本発明の超高圧発生用金型は、前記コアの前記軸線方向における端部には、前記厚さが最大となる位置近傍と、前記軸線方向における前記締付リングの端部とを滑らかに接続するスペーサが設けられていることを特徴としている。
上記構成の超高圧発生用金型では、コアの軸線方向の厚さが最大となる位置がコアの外周部よりも半径方向内側に位置しているため、例えば締付リングの軸線方向の厚さがコアの厚さと同じ、もしくはコアの厚さよりも厚くされている場合には、コアの外周部と締付リングの内周部とが当接する位置おいて、軸線方向におけるコアの端部と締付リングの端部との接続が滑らかとはならず、コアの端部と締付リングの端部との間に、いわば切欠部が形成されたような形状とされている。ここで、この切欠部を埋めるようにしてスペーサが設けられていることによって、例えば、超高圧発生用金型と、この超高圧発生用金型の中心部に配置された試料との間に挿入された圧力封止用のガスケットが、切欠部に入り込んで変形等することが無く、超高圧発生用金型の中心部で発生された超高圧を確実に封止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による超高圧発生用金型について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態による超高圧発生用金型を備える超高圧発生装置を示す側断面図であり、図2は図1に示す超高圧発生装置の中央部を拡大して示す側断面図である。なお、上述した従来技術と同一部分には同じ符号を配して説明を簡略または省略する。本実施の形態に係る超高圧発生装置50は、一対のアンビル11,11及びシリンダー51からなる超高圧発生用金型50aと、ガスケット13と、試料部14とを備えて構成されており、上述した従来技術と大きく異なる点はシリンダー51中央部近傍の構造に関する点である。
シリンダー51は例えば超硬合金からなる円環状に形成されており、最も内周側に配置されたリング状のコア61の外周側に、複数、例えば6個の径が異なる第1締付リング62と、第2締付リング33と、第3締付リング34と、第4締付リング35と、第5締付リング36と、第6締付リング37とが、順次、中心軸線Oと同軸、かつ内周側の締付リングの外周面に外周側の締付リングの内周面が当接するように多重に嵌合されて構成されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、シリンダー51の最も内周側に配置されたリング状のコア61は、コア外周面(コアの外周部)61Aと、中心軸線Oに向かい所定の傾斜角θで下り勾配となるように傾斜したコア上面61Cとの交差稜線部が全周に亘って切除されて切除部上面(コアの端部)61aが形成されており、同様に、コア外周面61Aと、中心軸線Oに向かい所定の傾斜角θで上り勾配となるように傾斜したコア下面61Dとの交差稜線部が全周に亘って切除されて切除部下面61bが形成されている。
切除部上面61aはコア61の内周側から外周側に向かい、例えば所定角αで下り勾配となるように傾斜した平坦面をなしており、同様に、切除部下面(コアの端部)61bはコア61の内周側から外周側に向かい、例えば所定角βで上り勾配となるように傾斜した平坦面をなしている。
なお、コア外周面61Aの周方向に対する断面は、例えば直線状とされており、さらに、コア上面61C及びコア下面61Dのそれぞれと、コア内周面61Bとの接続部は側断面視で適宜の円弧状に形成されて滑らかに接続されている。
【0017】
コア61の外周側に嵌合されたリング状の第1締付リング62の上面(締付リングの端部)62Cは、第2締付リング33の上面33Cと滑らかに連なるように、中心軸線Oに向かい所定の第1傾斜角θ1で下り勾配となるように傾斜しており、同様に、第1締付リング62の下面(締付リングの端部)62Dは、第2締付リング33の下面33Dと滑らかに連なるように、中心軸線Oに向かい所定の第1傾斜角θ1で上り勾配となるように傾斜している。
また、第1締付リング62の上面62C及び下面62Dのそれぞれと第1締付リング62の内周面62Bとの各交差稜線部には、上部切欠部62aと下部切欠部62bとがそれぞれ全周に亘って形成されている。そして、コア上面61Cの外周側への延長面と、第1締付リング62の上面62Cの内周側への延長面と、第1締付リング62の上部切欠部62a及びコア61の切除部上面61aとで形成される領域を埋めるようにして、略円環状の上部スペーサ63aが設けられており、同様に、コア下面61Dの外周側への延長面と、第1締付リング62の下面62Dの内周側への延長面と、第1締付リング62の下部切欠部62b及びコア61の切除部下面61bとで形成される領域を埋めるようにして、略円環状の下部スペーサ63bが設けられている。
【0018】
各スペーサ63a,63bは、例えば超硬合金により形成されており、第1締付リング62の各切欠部62a,62bの周方向に所定の間隔をおいて配設された各ボルト装着穴64,…,64の開口部に臨むようにして、複数のボルト挿入孔65,…,65が貫設されており、ボルト装着穴64及びボルト挿入孔65にボルト66が螺着されることによって、各スペーサ63a,63bが、第1締付リング62の各切欠部62a,62bに固定されている。
【0019】
上述したように本実施の形態による超高圧発生用金型50aによれば、シリンダー51の最も内周側に配置されたリング状のコア61は、コア外周面61Aと、中心軸線Oに向かい所定の傾斜角θで下り勾配となるように傾斜したコア上面61Cとの交差稜線部が全周に亘って切除されて切除部上面61aが形成されており、同様に、コア外周面61Aと、中心軸線Oに向かい所定の傾斜角θで上り勾配となるように傾斜したコア下面61Dとの交差稜線部が全周に亘って切除されて切除部下面61bが形成されているため、例えばコア61の外縁部において外側に向かい突出するような部分、すなわちコア61に作用する引張応力によって破損が生じやすい部分が無いことから、コア61の耐破損性を向上させることができる。
また、コア外周面61Aと、コア上面61C及びコア下面61Dとの各交差稜線部が全周に亘って切除された部分には、略円環状の各スペーサ63a,63bが挿入されていることから、一対のアンビル11,11及びシリンダー51と、試料部14との間に挿入された圧力封止用のガスケット13が、この切除された部分に入り込んで変形等することを防ぐことができ、超高圧発生用金型50aの中心部で発生された超高圧状態を確実に試料部14内に維持することができる。
【0020】
なお、本実施の形態においては、切除部上面61aはコア61の内周側から外周側に向かい所定角αで下り勾配となるように傾斜しており、切除部下面61bはコア61の内周側から外周側に向かい所定角βで上り勾配となるように傾斜しているとしたが、これに限定されず、所定角α及びβがゼロ、すなわち切除部上面61a及び切除部下面61bが水平面であってもよい。この場合、切除部上面61aと切除部下面61bとの間の距離、すなわちコア61の厚さは一定となる。
また、本実施の形態においては、コア61と第1締付リング62との間の上部切欠部62a及び下部切欠部62bのそれぞれには、各スペーサ63a,63bが設けられるとしたが、これに限定されず、各スペーサ63a,63bは省略されてもよい。
【0021】
なお、本実施の形態においては、コア外周面61Aの周方向に対する断面は直線状に形成されているとしたが、これに限定されず、図3に示す本実施形態の第1変形例による超高圧発生用金型のコア71のように、コア外周面(テーパ面)71Aが、中心軸線Oと直交する中心線Pに向かい漸次拡径するようなテーパ面状に形成されてもよい。この場合、コア71に付加される圧縮応力は、コア71の外周面71Aに直交する方向に作用するため、この圧縮応力に起因してコア71に作用する引張応力の方向は中心軸線O方向から傾いた方向となり、中心軸線O方向に引張応力が作用する場合に比べて、コア71の外縁部に作用する引張応力の成分を小さくすることができ、より一層、コア71が破損することを防ぐことができる。
さらに、図4に示す本実施形態の第2変形例による超高圧発生用金型のコア72のように、コア外周面72Aが、中心線Pに向かい漸次拡径するようなテーパ状外周面(テーパ面)72aと、中心線P近傍に設けられた直径が一定の外周面72bとから形成されていても良い。
【0022】
また、本実施の形態においては、切除部上面61a及び切除部下面61bは平坦面をなすとしたが、これに限定されず、図5に示す本実施形態の第3変形例による超高圧発生用金型のコア73のように、切除部上面61a及び切除部下面61bが側断面視で適宜の円弧状に形成されても良い。さらに、これらの切除部上面61a及び切除部下面61bと、コア73の上面61C及び下面61Dとの接続部が円弧状に形成されて滑らかとされていても良い。この場合、圧縮応力付加時に破損が生じやすい突出した部分が形成されていないことから、より一層、コア73の耐破損性を向上させることがきる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明の超高圧発生用金型によれば、シリンダーの最も内周側に位置するリング状のコアは、その軸線方向の厚さがコアの外周部よりも半径方向内側の位置において最大とされており、例えば外周部においてその軸線方向の厚さが最大とされたコアにおいて、コアの外周部と端部との交差稜線部すなわちコアの外側に向かって突出した外縁部が、切除されたような形状に形成されているため、コアの軸線方向に引張応力が作用しても、この引張応力によって破損が生じやすい突出部分が無いことから、コアの耐破損性を向上させることができる。
さらに、請求項2記載の本発明の超高圧発生用金型によれば、コアの外周側に嵌合された締付リングによってコアに付加される圧縮応力は、コアの外周部に直交する方向、すなわちテーパ面においてはテーパ面に直交する方向に作用するため、この圧縮応力に起因してコアに作用する引張応力の方向は軸線方向から傾いた方向となり、軸線方向に引張応力が作用する場合に比べて、コアの軸線方向の外縁部に作用する引張応力の成分を小さくすることができ、より一層、コアが破損することを防ぐことができる。
【0024】
また、請求項3記載の本発明の超高圧発生用金型によれば、コアの軸線方向の厚さが最大となる位置近傍が所定の曲率の凸曲面状に形成されて滑らかとされており、圧縮応力付加時に破損が生じやすい突出した部分が形成されていないことから、より一層、コアの耐破損性を向上させることがきる。
また、請求項4記載の本発明の超高圧発生用金型によれば、コアの軸線方向の厚さが最大となる位置と、軸線方向における締付リングの端部とを滑らかに接続するようにしてスペーサが挿入されているため、例えば、超高圧発生用金型と、この超高圧発生用金型の中心部に配置された試料との間に挿入された圧力封止用のガスケットが変形等することを防いで、超高圧発生用金型の中心部で発生された超高圧を確実に封止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による超高圧発生用金型を備える超高圧発生装置を示す側断面図である。
【図2】 図1に示す超高圧発生装置の中央部を拡大して示す要部側断面図である。
【図3】 図1に示す本実施形態の第1変形例による超高圧発生用金型のコアの側断面図である。
【図4】 図1に示す本実施形態の第2変形例による超高圧発生用金型のコアの側断面図である。
【図5】 図1に示す本実施形態の第3変形例による超高圧発生用金型のコアの側断面図である。
【図6】 従来技術の一例による超高圧発生装置の側断面図である。
【図7】 図6に示す超高圧発生装置の中央部を拡大して示す要部側断面図である。
【図8】 図6に示すシリンダーを構成する第4締付リングと、第5締付リングとが押し嵌めされる状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10,50 超高圧発生装置
10a,50a 超高圧発生用金型
11 アンビル
12,51 シリンダー
13 ガスケット
14 試料部
21 アンビル本体
22 アンビル突出部
31,61,71,72,73 コア
32,62 第1締付リング
33 第2締付リング
34 第3締付リング
35 第4締付リング
36 第5締付リング
37 第6締付リング
41 試料容器
42 封止部材
43 電極板
61A コア外周面(コアの外周部)
61B コア内周面
61C コア上面(コアの端部)
61D コア下面(コアの端部)
61a 切除部上面(コアの端部)
61b 切除部下面(コアの端部)
63a 上部スペーサ
63b 下部スペーサ
71A コア外周面(テーパ面)
72a テーパ状外周面(テーパ面)
O 中心軸線
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素等の焼結体の製造に用いられる超高圧発生用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業用ダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)等の硬質の結晶体の合成には、例えば4〜8万気圧程度の超高圧状態と、例えば1200〜2000℃程度の高温状態とが必要とされており、こうした超高圧高温状態を安定して発生させて、ダイヤモンドやCBN等の粉末から焼結体を製造する超高圧発生装置が知られている。
【0003】
図6は、上述した従来技術の一例による超高圧発生装置を示す側断面図であり、図7は図6に示す超高圧発生装置の中心部を拡大して示す要部側断面図であり、図8は図6に示すシリンダーを構成する第4締付リングと、第5締付リングとが押し嵌めされる状態を示す側断面図である。この超高圧発生装置10は、一対のアンビル11,11及びシリンダー12からなる超高圧発生用金型10aと、ガスケット13と、試料部14とを備えて構成されている。
アンビル11は、例えば円柱状のアンビル本体21と、このアンビル本体21と同軸に形成された截頭略円錐状のアンビル突出部22とから構成されており、アンビル突出部22は、中心軸線Oに沿ってアンビル本体21からアンビル突出部22の截頭面22Aに向かい縮径されたテーパ面状の外周面22Bを有している。
【0004】
シリンダー12は例えば超硬合金からなる円環状に形成されており、最も内周側に配置されたリング状のコア31の外周側に、複数、例えば6個の径が異なる第1締付リング32と、第2締付リング33と、第3締付リング34と、第4締付リング35と、第5締付リング36と、第6締付リング37とが、順次、中心軸線Oと同軸、かつ内周側の締付リングの外周面に外周側の締付リングの内周面が当接するように多重に嵌合されて構成されている。
図6に示すように、第1,…,第5締付リング32,…,36は、例えば略円環板状に形成されており、それぞれの内周面及び外周面は、例えば鉛直方向下方(図6における下方向)に向かい僅かに縮径したテーパ面状とされている。ここで隣接する締付リング、例えば図8に示す第4締付リング35と、第5締付リング36とに対しては、内側に位置する第4締付リング35の外周面35Aは、外側に位置する第5締付リング36の内周面36Bと当接するように形成されており、さらに、第4締付リング35の外周面35Aの上端の直径Rは、第5締付リング36の内周面36Bの下端の直径R1よりも小さく、かつ内周面36Bの上端の直径R2よりも大きくなるように設定されている。すなわち、第4締付リング35は、例えば押し嵌め等により第5締付リング36の内周側に圧入されている。
【0005】
さらに、図6及び図7に示すように、第1及び第2締付リング32,33の各上面32C,33Cは中心軸線Oに向かい所定の第1傾斜角θ1で下り勾配となるように傾斜し、各下面32D,33Dは中心軸線Oに向かい所定の第1傾斜角θ1で上り勾配となるように傾斜している。すなわち第1及び第2締付リング32,33は側断面視で台形状となるように形成されている。
シリンダー12の最も内側に配置されたリング状のコア31は、コア外周面31Aから中心軸線Oに向かい下り勾配となるように傾斜したコア上面31Cと、中心軸線Oに向かい上がり勾配となるように傾斜したコア下面31Dとが形成されており、図7に示すように、コア上面31Cはコア外周面31Aから中心軸線Oに向かう所定の位置において下り勾配の第1傾斜角θ1が第2傾斜角θ2(例えば、θ1≦θ2)へと変化しており、同様に、コア下面31Dはコア外周面31Aから中心軸線Oに向かう所定の位置において上り勾配の第1傾斜角θ1が第2傾斜角θ2へと変化している。そして、コア上面31C及びコア下面31Dのそれぞれと、コア内周面31Bとの接続部は側断面視で適宜の円弧状に形成されて滑らかに接続されている。
【0006】
中心軸線Oと同軸に配置されたシリンダー12に対して、図6及び図7に示すように、このシリンダー12を上下方向から挟み込むように、一対のアンビル11,11が互いの截頭面22A,22Aを所定の間隔だけ離間して対向させるように配置されている。これらの一対のアンビル11,11と、シリンダー12とで囲まれた領域の中心位置には試料部14が設けられており、この試料部14を埋設するように、例えばパイロフィライト等からなるガスケット13が挿入されている。
試料部14は、例えば、試料容器41と、封止部材42と、電極板43とを備えて構成されている。試料容器41は、例えば円筒状の黒鉛からなり、中心軸線Oと同軸に配置されている。そして、試料容器41内にダイヤモンドやCBN等の試料が充填され、例えば試料容器41の内径と等しい外径を有する円板状の超硬合金からなる2つの封止部材42,42により試料容器41の上部開口部及び下部開口部が封止されている。さらに、試料容器41の上面及び下面のそれぞれには、例えばモリブデン等からなる円板状の電極板43が当接するように配置されている。ここで、試料容器41は試料容器41内の試料を加熱するヒータを兼ねており、電極板43を介して試料容器41に交流が通電されることで試料の加熱が行われる。
【0007】
そして、一対のアンビル11,11が、図示しない油圧シリンダー装置等によって、対向する截頭面22A,22A間の距離を縮めるように上下方向に押動されることによって、ガスケット13を介して試料容器41の上部開口部及び下部開口部に嵌合された各封止部材42,42が押圧され、試料容器41内が超高圧に加圧される。なお、この圧力負荷時において、加圧されたガスケット13は適度な流動を伴って試料容器41内に発生した超高圧状態を保持する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような超高圧発生用金型10aでは、一対のアンビル11,11が鉛直方向に押動されて発生する超高圧によって、円環状のシリンダー12に引張応力(フープ応力)が作用する。この引張応力はシリンダー12の内周側になるほど大きくなり、シリンダー12を構成する材料、例えば超硬合金等の強度限界を超えるとシリンダー12が破損してしまう。そこで、シリンダー12の最も内周側に位置するコア31に対して、各締付リング32,…,37が多重押し嵌めされることによって、予め、圧縮応力が付加されており、超高圧による引張応力がコア31の強度限界を超えないように軽減され、シリンダー12の破損防止が図られている。
しかしながら、ダイヤモンドやCBN等を合成する収率を向上させたり、ダイヤモンドやCBN等の良質な焼結体を製造するためには、試料部14への加圧を高くする必要があり、これに応じて、例えばコア31に対する各締付リング32,…,37の締め代が大きくされる等によって、コア31に付加される圧縮応力が高くされる。この場合、コア31では、例えば超硬合金等の材質に固有のポアソン比に従って、図6及び図7における鉛直方向に作用する引張応力が増大し、この鉛直方向の引張応力がコア31の強度限界を超えると、例えば各締付リング32,…,37が押し嵌めされる時点等において、コア31が鉛直方向に引きちぎられるようにして破損してしまうという問題が発生する。ここで、特に破損しやすい箇所の一つはコア31の外縁部、すなわち外周面31Aの軸線方向の厚み中央部であり、この部分の軸線方向に作用する引張応力が最大となり破損するという問題が生じる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、予め、高い圧縮応力が付加された場合でもシリンダーが破損するのを防ぐことが可能な超高圧発生用金型を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1記載の本発明の超高圧発生用金型は、円環状のシリンダーと、前記シリンダーの軸線に沿って、前記シリンダーの内部を両側から挟み込む一対のアンビルとを備えてなる超高圧発生用金型において、前記シリンダーは、最も内周側に配置されたリング状のコアの外周側に、前記コアを内周側に向かい締め付ける締付リングが前記コアと同軸に嵌合されてなり、前記コアは、前記コアの外周部よりも半径方向内側に、前記軸線方向の厚さが最大となる位置が形成されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成の超高圧発生用金型では、シリンダーの最も内周側に位置するリング状のコアは、その軸線方向の厚さがコアの外周部よりも半径方向内側の位置において最大とされており、例えば外周部の位置のみにおいてその軸線方向の厚さが最大とされたコアの外周部と端部との交差稜線部、すなわちコアの外側に向かって突出した外縁部が、切除されたような形状に形成されている。このような形状では、コアの外周側に嵌合された締付リングによって半径方向内側へ向かう圧縮応力が付加された場合に、軸線方向の引張応力はコアの外周部と、コアの最大厚み部分での軸線方向断面近傍とに分散され、軸線方向の引張応力の最大値は低下し、コアの耐破損性を向上させることができる。
【0012】
さらに、請求項2記載の本発明の超高圧発生用金型は、前記コアの外周部は、前記軸線方向の外側から中央側に向い漸次拡径されたテーパ面を備えることを特徴としている。
上記構成の超高圧発生用金型では、コアの外周側に嵌合された締付リングによってコアに付加される圧縮応力は、コアの外周部に直交する方向、すなわちテーパ面においてはテーパ面に直交する方向に作用する。そして、この圧縮応力に起因してコアに作用する引張応力の方向は軸線方向から傾いた方向となり、軸線方向に引張応力が作用する場合に比べて、コアの端部に作用する引張応力の成分を小さくすることができ、より一層、コアが破損することを防ぐことができる。
【0013】
また、請求項3記載の本発明の超高圧発生用金型は、前記コアの前記厚さが最大となる位置近傍は、所定の曲率の凸曲面状に形成されていることを特徴としている。
上記構成の超高圧発生用金型では、コアの軸線方向の厚さが最大となる位置近傍が所定の曲率の凸曲面状に形成されて滑らかとされており、コアに作用する引張応力によって、例えば軸線方向に引きちぎられるようにして破損が生じやすい突出した部分が形成されていないことから、より一層、コアの耐破損性を向上させることがきる。
【0014】
また、請求項4記載の本発明の超高圧発生用金型は、前記コアの前記軸線方向における端部には、前記厚さが最大となる位置近傍と、前記軸線方向における前記締付リングの端部とを滑らかに接続するスペーサが設けられていることを特徴としている。
上記構成の超高圧発生用金型では、コアの軸線方向の厚さが最大となる位置がコアの外周部よりも半径方向内側に位置しているため、例えば締付リングの軸線方向の厚さがコアの厚さと同じ、もしくはコアの厚さよりも厚くされている場合には、コアの外周部と締付リングの内周部とが当接する位置おいて、軸線方向におけるコアの端部と締付リングの端部との接続が滑らかとはならず、コアの端部と締付リングの端部との間に、いわば切欠部が形成されたような形状とされている。ここで、この切欠部を埋めるようにしてスペーサが設けられていることによって、例えば、超高圧発生用金型と、この超高圧発生用金型の中心部に配置された試料との間に挿入された圧力封止用のガスケットが、切欠部に入り込んで変形等することが無く、超高圧発生用金型の中心部で発生された超高圧を確実に封止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による超高圧発生用金型について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態による超高圧発生用金型を備える超高圧発生装置を示す側断面図であり、図2は図1に示す超高圧発生装置の中央部を拡大して示す側断面図である。なお、上述した従来技術と同一部分には同じ符号を配して説明を簡略または省略する。本実施の形態に係る超高圧発生装置50は、一対のアンビル11,11及びシリンダー51からなる超高圧発生用金型50aと、ガスケット13と、試料部14とを備えて構成されており、上述した従来技術と大きく異なる点はシリンダー51中央部近傍の構造に関する点である。
シリンダー51は例えば超硬合金からなる円環状に形成されており、最も内周側に配置されたリング状のコア61の外周側に、複数、例えば6個の径が異なる第1締付リング62と、第2締付リング33と、第3締付リング34と、第4締付リング35と、第5締付リング36と、第6締付リング37とが、順次、中心軸線Oと同軸、かつ内周側の締付リングの外周面に外周側の締付リングの内周面が当接するように多重に嵌合されて構成されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、シリンダー51の最も内周側に配置されたリング状のコア61は、コア外周面(コアの外周部)61Aと、中心軸線Oに向かい所定の傾斜角θで下り勾配となるように傾斜したコア上面61Cとの交差稜線部が全周に亘って切除されて切除部上面(コアの端部)61aが形成されており、同様に、コア外周面61Aと、中心軸線Oに向かい所定の傾斜角θで上り勾配となるように傾斜したコア下面61Dとの交差稜線部が全周に亘って切除されて切除部下面61bが形成されている。
切除部上面61aはコア61の内周側から外周側に向かい、例えば所定角αで下り勾配となるように傾斜した平坦面をなしており、同様に、切除部下面(コアの端部)61bはコア61の内周側から外周側に向かい、例えば所定角βで上り勾配となるように傾斜した平坦面をなしている。
なお、コア外周面61Aの周方向に対する断面は、例えば直線状とされており、さらに、コア上面61C及びコア下面61Dのそれぞれと、コア内周面61Bとの接続部は側断面視で適宜の円弧状に形成されて滑らかに接続されている。
【0017】
コア61の外周側に嵌合されたリング状の第1締付リング62の上面(締付リングの端部)62Cは、第2締付リング33の上面33Cと滑らかに連なるように、中心軸線Oに向かい所定の第1傾斜角θ1で下り勾配となるように傾斜しており、同様に、第1締付リング62の下面(締付リングの端部)62Dは、第2締付リング33の下面33Dと滑らかに連なるように、中心軸線Oに向かい所定の第1傾斜角θ1で上り勾配となるように傾斜している。
また、第1締付リング62の上面62C及び下面62Dのそれぞれと第1締付リング62の内周面62Bとの各交差稜線部には、上部切欠部62aと下部切欠部62bとがそれぞれ全周に亘って形成されている。そして、コア上面61Cの外周側への延長面と、第1締付リング62の上面62Cの内周側への延長面と、第1締付リング62の上部切欠部62a及びコア61の切除部上面61aとで形成される領域を埋めるようにして、略円環状の上部スペーサ63aが設けられており、同様に、コア下面61Dの外周側への延長面と、第1締付リング62の下面62Dの内周側への延長面と、第1締付リング62の下部切欠部62b及びコア61の切除部下面61bとで形成される領域を埋めるようにして、略円環状の下部スペーサ63bが設けられている。
【0018】
各スペーサ63a,63bは、例えば超硬合金により形成されており、第1締付リング62の各切欠部62a,62bの周方向に所定の間隔をおいて配設された各ボルト装着穴64,…,64の開口部に臨むようにして、複数のボルト挿入孔65,…,65が貫設されており、ボルト装着穴64及びボルト挿入孔65にボルト66が螺着されることによって、各スペーサ63a,63bが、第1締付リング62の各切欠部62a,62bに固定されている。
【0019】
上述したように本実施の形態による超高圧発生用金型50aによれば、シリンダー51の最も内周側に配置されたリング状のコア61は、コア外周面61Aと、中心軸線Oに向かい所定の傾斜角θで下り勾配となるように傾斜したコア上面61Cとの交差稜線部が全周に亘って切除されて切除部上面61aが形成されており、同様に、コア外周面61Aと、中心軸線Oに向かい所定の傾斜角θで上り勾配となるように傾斜したコア下面61Dとの交差稜線部が全周に亘って切除されて切除部下面61bが形成されているため、例えばコア61の外縁部において外側に向かい突出するような部分、すなわちコア61に作用する引張応力によって破損が生じやすい部分が無いことから、コア61の耐破損性を向上させることができる。
また、コア外周面61Aと、コア上面61C及びコア下面61Dとの各交差稜線部が全周に亘って切除された部分には、略円環状の各スペーサ63a,63bが挿入されていることから、一対のアンビル11,11及びシリンダー51と、試料部14との間に挿入された圧力封止用のガスケット13が、この切除された部分に入り込んで変形等することを防ぐことができ、超高圧発生用金型50aの中心部で発生された超高圧状態を確実に試料部14内に維持することができる。
【0020】
なお、本実施の形態においては、切除部上面61aはコア61の内周側から外周側に向かい所定角αで下り勾配となるように傾斜しており、切除部下面61bはコア61の内周側から外周側に向かい所定角βで上り勾配となるように傾斜しているとしたが、これに限定されず、所定角α及びβがゼロ、すなわち切除部上面61a及び切除部下面61bが水平面であってもよい。この場合、切除部上面61aと切除部下面61bとの間の距離、すなわちコア61の厚さは一定となる。
また、本実施の形態においては、コア61と第1締付リング62との間の上部切欠部62a及び下部切欠部62bのそれぞれには、各スペーサ63a,63bが設けられるとしたが、これに限定されず、各スペーサ63a,63bは省略されてもよい。
【0021】
なお、本実施の形態においては、コア外周面61Aの周方向に対する断面は直線状に形成されているとしたが、これに限定されず、図3に示す本実施形態の第1変形例による超高圧発生用金型のコア71のように、コア外周面(テーパ面)71Aが、中心軸線Oと直交する中心線Pに向かい漸次拡径するようなテーパ面状に形成されてもよい。この場合、コア71に付加される圧縮応力は、コア71の外周面71Aに直交する方向に作用するため、この圧縮応力に起因してコア71に作用する引張応力の方向は中心軸線O方向から傾いた方向となり、中心軸線O方向に引張応力が作用する場合に比べて、コア71の外縁部に作用する引張応力の成分を小さくすることができ、より一層、コア71が破損することを防ぐことができる。
さらに、図4に示す本実施形態の第2変形例による超高圧発生用金型のコア72のように、コア外周面72Aが、中心線Pに向かい漸次拡径するようなテーパ状外周面(テーパ面)72aと、中心線P近傍に設けられた直径が一定の外周面72bとから形成されていても良い。
【0022】
また、本実施の形態においては、切除部上面61a及び切除部下面61bは平坦面をなすとしたが、これに限定されず、図5に示す本実施形態の第3変形例による超高圧発生用金型のコア73のように、切除部上面61a及び切除部下面61bが側断面視で適宜の円弧状に形成されても良い。さらに、これらの切除部上面61a及び切除部下面61bと、コア73の上面61C及び下面61Dとの接続部が円弧状に形成されて滑らかとされていても良い。この場合、圧縮応力付加時に破損が生じやすい突出した部分が形成されていないことから、より一層、コア73の耐破損性を向上させることがきる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明の超高圧発生用金型によれば、シリンダーの最も内周側に位置するリング状のコアは、その軸線方向の厚さがコアの外周部よりも半径方向内側の位置において最大とされており、例えば外周部においてその軸線方向の厚さが最大とされたコアにおいて、コアの外周部と端部との交差稜線部すなわちコアの外側に向かって突出した外縁部が、切除されたような形状に形成されているため、コアの軸線方向に引張応力が作用しても、この引張応力によって破損が生じやすい突出部分が無いことから、コアの耐破損性を向上させることができる。
さらに、請求項2記載の本発明の超高圧発生用金型によれば、コアの外周側に嵌合された締付リングによってコアに付加される圧縮応力は、コアの外周部に直交する方向、すなわちテーパ面においてはテーパ面に直交する方向に作用するため、この圧縮応力に起因してコアに作用する引張応力の方向は軸線方向から傾いた方向となり、軸線方向に引張応力が作用する場合に比べて、コアの軸線方向の外縁部に作用する引張応力の成分を小さくすることができ、より一層、コアが破損することを防ぐことができる。
【0024】
また、請求項3記載の本発明の超高圧発生用金型によれば、コアの軸線方向の厚さが最大となる位置近傍が所定の曲率の凸曲面状に形成されて滑らかとされており、圧縮応力付加時に破損が生じやすい突出した部分が形成されていないことから、より一層、コアの耐破損性を向上させることがきる。
また、請求項4記載の本発明の超高圧発生用金型によれば、コアの軸線方向の厚さが最大となる位置と、軸線方向における締付リングの端部とを滑らかに接続するようにしてスペーサが挿入されているため、例えば、超高圧発生用金型と、この超高圧発生用金型の中心部に配置された試料との間に挿入された圧力封止用のガスケットが変形等することを防いで、超高圧発生用金型の中心部で発生された超高圧を確実に封止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による超高圧発生用金型を備える超高圧発生装置を示す側断面図である。
【図2】 図1に示す超高圧発生装置の中央部を拡大して示す要部側断面図である。
【図3】 図1に示す本実施形態の第1変形例による超高圧発生用金型のコアの側断面図である。
【図4】 図1に示す本実施形態の第2変形例による超高圧発生用金型のコアの側断面図である。
【図5】 図1に示す本実施形態の第3変形例による超高圧発生用金型のコアの側断面図である。
【図6】 従来技術の一例による超高圧発生装置の側断面図である。
【図7】 図6に示す超高圧発生装置の中央部を拡大して示す要部側断面図である。
【図8】 図6に示すシリンダーを構成する第4締付リングと、第5締付リングとが押し嵌めされる状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10,50 超高圧発生装置
10a,50a 超高圧発生用金型
11 アンビル
12,51 シリンダー
13 ガスケット
14 試料部
21 アンビル本体
22 アンビル突出部
31,61,71,72,73 コア
32,62 第1締付リング
33 第2締付リング
34 第3締付リング
35 第4締付リング
36 第5締付リング
37 第6締付リング
41 試料容器
42 封止部材
43 電極板
61A コア外周面(コアの外周部)
61B コア内周面
61C コア上面(コアの端部)
61D コア下面(コアの端部)
61a 切除部上面(コアの端部)
61b 切除部下面(コアの端部)
63a 上部スペーサ
63b 下部スペーサ
71A コア外周面(テーパ面)
72a テーパ状外周面(テーパ面)
O 中心軸線
Claims (4)
- 円環状のシリンダーと、前記シリンダーの軸線に沿って、前記シリンダーの内部を両側から挟み込む一対のアンビルとを備えてなる超高圧発生用金型において、
前記シリンダーは、最も内周側に配置されたリング状のコアの外周側に、前記コアを内周側に向かい締め付ける締付リングが前記コアと同軸に嵌合されてなり、
前記コアは、前記コアの外周部よりも半径方向内側に、前記軸線方向の厚さが最大となる位置が形成されていることを特徴とする超高圧発生用金型。 - 前記コアの外周部は、前記軸線方向の外側から中央側に向い漸次拡径されたテーパ面を備えることを特徴とする請求項1に記載の超高圧発生用金型。
- 前記コアの前記厚さが最大となる位置近傍は、所定の曲率の凸曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の超高圧発生用金型。
- 前記コアの前記軸線方向における端部には、前記厚さが最大となる位置近傍と、前記軸線方向における前記締付リングの端部とを滑らかに接続するスペーサが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の超高圧発生用金型。
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