JP3839556B2 - Method for producing dyed paper - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は染色紙に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般に染色紙は、パルプ等の紙原料を水に懸濁した紙料に、染料及び／または顔料を溶解または懸濁し染めることで得られる。染料には、直接染料、塩基性染料、酸性染料、カチオン染料等があり、顔料には有機顔料、無機顔料がある。しかしいずれの染料及び／または顔料にも、紙パルプ繊維に対する吸着量に限界があるため、染料及び／または顔料ごとに異なるある一定以上の染色濃度になるとそれ以上は濃い色の紙を得られなくなる。また、それ以下の染色濃度においても、抄紙機を用いて工業的に製造する場合、ある濃度を越えると紙パルプ繊維に吸着していない染料及び／または顔料が抄紙工程において白水と一緒に大量に流れ出し、環境への汚染や排水システムへの負荷、あるいは白水循環系においては循環した染料及び／または顔料が上紙の色濃度に影響し、安定した抄造を阻害するといった問題が生じる。したがって、濃い色の染色紙を作ることには一定の限界がある。
【０００３】
一般に染色紙の色はＪＩＳ Ｚ８７２１にあるように色相・明度・彩度の三属性で表される。色相は使用する染料及び／または顔料に固有のものであり、黒い染料及び／または顔料では色相はほぼ存在せず無彩色となる。明度と彩度は使用する染料及び／または顔料の量によって増減する。一般に多くの染料及び／または顔料を用いれば明度が下がり濃い色になる。彩度は、色相によっても異なるが、あるところまでは増加し鮮やかになるが、それを越えると減少し色彩感も減少する。また、実際の染料及び／または顔料による染色紙で得られる彩度は、光の正反射等のため理想値よりも小さくなっている。したがって、低い明度でかつ十分な彩度を持った染色紙を得ることにはやはり限界がある。
【０００４】
一般に色の表示にはＪＩＳ Ｚ８７２１にあるように三属性をマンセル値のＨ（色相） Ｖ（明度）／Ｃ（彩度）で表示することができる。しかし、マンセル値は精密な値を算出することが難しいので、ＪＩＳ Ｚ８７３０によるＬ＊ａ＊ｂ＊表色系によってこれに代えることが可能である。これによればＬ＊が明度に相当し、さらにａ＊とｂ＊によって表される平面座標上の点の方位は色相に相当し、原点を通るＬ＊軸からの平面距離、すなわちａ＊とｂ＊の二乗平均値Ｃ＊が彩度に相当する。原点を通るＬ＊軸上の色は無彩色である。本発明では、このＬ＊ａ＊ｂ＊表色系を用いて説明する。この場合、Ｌ＊が小さいほど明度が低い、すなわち濃い色ということになり、ａ＊及び／またはｂ＊が大きいほど彩度が大きいということになり、色彩感が強いことになる。
【０００５】
本発明における濃色化とは、Ｌ＊が小さくなることであり、視覚的に明確に感知できる−０．５（相対値）以下を濃色効果があったとし、本発明では−２．０以下の濃色効果があることが望ましい。また有彩色においてはＣ＊が大きくなることも望ましい。有彩色においては、Ｃ＊が＋０．５以上（相対値）あれば彩度が向上したとし、本発明では＋２．０以上が望ましい。さらに、変色等による色相の変化が大きいと実用上問題があるため、ａ＊ｂ＊座標平面における原点からの方位角の変化量（ラジアン）を色相の変化を表す値とし、時計回りをプラス方向として本発明では実用上±０．２以下を許容範囲とする。
【０００６】
真空グロー放電スパッタによるエッチングは、スパッタエッチングとも呼ばれ、０．０１〜１００Ｐａ程度の真空中にて、放電が起こる条件内で０．５ｃｍ以上の間隔を置いた電極間に数百から数千Ｖの電圧を印可し、陰極上またはごく近傍に目的物を置くことによって、放電によって発生したガス陽イオンが目的物に衝突して起こる。絶縁体をエッチングする場合、数十ＫＨｚ以上の高周波を印可することによって放電およびスパッタが可能になる。通常は１３．５６ＭＨｚの高周波（ＲＦ）を用いるため、ＲＦスパッタないしＲＦスパッタリングによるエッチング、またはＲＦスパッタエッチングとも呼ばれる。また通常、電極間の放電回路と、高周波発信器とのインピーダンス整合のために、電極の前にマッチング回路（タンク回路）が設けられる。
【０００７】
従来、スパッタエッチングは、金属、半導体、セラミック、合成高分子フィルム、合成繊維、羊毛や絹などの天然繊維の分子構造や結晶構造の研究、それらの接着性や濡れ性の向上の研究、生物試料の顕微観察手法としての研究などが行われてきた。しかし、製紙用植物繊維に対しこの手法を用いて染色紙の濃色化をはかった例はない。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、染色紙において通常の抄紙過程では得られないような濃い黒色、あるいは有彩色においては濃色かつ高彩度の紙を製造するための発明である。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、主として植物性繊維からなる染色紙の表面をスパッタエッチング処理することで、色の濃さすなわち低い明度、あるいは有彩色においては彩度も向上することを見出し、本発明を完成させたのである。すなわち本発明は、染料及び／又は顔料で染色した、主として植物性繊維からなる紙表面をスパッタエッチング処理することで、ＪＩＳ Ｚ ８７３０によるＬ＊ａ＊ｂ＊表色系によるＬ＊の値を相対値で−０．５以上としたり、有彩色の染料及び／又は顔料で染色した、主として植物性繊維からなる紙表面をスパッタエッチング処理することで、Ｃ＊の値を相対値で＋０．５以上とし、かつ、ａ＊ｂ＊座標平面における原点からの方位角の変化量（ラジアン）を色相の変化を表す値とし、時計回りをプラス方向として±０．２以下であることを特徴とする染色紙の製造方法である。
【００１０】
次に本発明の濃色紙を製造する例について述べる。本発明では植物性繊維からなるパルプを使用する。例えば、針葉樹晒クラフトパルプ（ＮＢＫＰ）、広葉樹晒クラフトパルプ（ＬＢＫＰ）、針葉樹晒サルファイトパルプ（ＮＢＳＰ）、サーモメカニカルパルプ（ＴＭＰ）などの木材パルプや麻、楮、雁皮、三椏などの靱皮繊維パルプや、竹、ワラ、ケナフなどの非木材パルプ等の製紙用植物パルプを適宜用いて常法に従い紙料を調製する。この紙料に、もとめる色の染料及び／又は顔料を、白水への流出や操業安定性の面で許される量を投入し、常法に従い染色紙を製造する。この際、各種填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤等の製紙用副資材も必要に応じて併用することが出来る。さらに、抄紙工程で型押し等の模様付けやカレンダー処理も可能である。
【００１１】
このように得られた染色紙を、０．０１〜１００Ｐａ望ましくは０．１〜２０Ｐａの真空中において、放電が可能なように０．５ｃｍ以上の間隔で置いた平板あるいは曲面の対抗電極の陰極側（高周波電圧の場合は面積の小さい側）の電極上、またはごく近傍に置き、数百Ｖ〜数千Ｖの印加によって０．０４Ｗ／ｃｍ2以上、ガス圧にもよるが望ましくは０．２〜２Ｗ／ｃｍ2の電力密度にて、数十ＫＨｚ以上（一般的には１３．５６ＭＨｚ）の高周波電圧を印可し、４〜１５０Ｊ／ｃｍ2望ましくは１０〜７０Ｊ／ｃｍ2のエネルギー密度になる時間、放電処理しスパッタエッチングを行う。
【００１２】
必要ならその後調湿を行う。また、サイズプレス、含浸あるいは印刷などでさらに着色を行う事も出来る。
【００１３】
残存気体は、空気、酸素、窒素、アルゴン、アンモニアその他様々な気体を用いることが出来るが、望ましくは染料や紙繊維への化学的影響の少ないアルゴンまたは他の稀ガスまたは窒素が良い。具体的には真空ポンプにて吸引を連続して行いながら、使用する気体をチャンバー内に漏洩させ、一定の真空度に保つと良い。
【００１４】
電極のインピーダンスと印加電圧にもよるが、電極間隔が約０．５ｃｍより小さいと放電が起こらない。反対に、あまり遠いと発生したガスイオンが効率よく紙に到達しなかったり、やはり電極周辺部と中心部でエッチングの程度に差が出てしまう。
【００１５】
エネルギー密度は、４Ｊ／ｃｍ２以上でないとＣ＊が＋０．５以上の濃色化が起こらないし、１５０Ｊ／ｃｍ２以下でないとかえって淡色化や変色が起こってしまう。ガス圧によって変わるが、望ましくは１０〜７０Ｊ／ｃｍ２の範囲になるよう放電電力密度と処理時間を調整すると良い。
【００１６】
ただし放電電力密度は０．０４Ｗ／ｃｍ2より小さすぎるとエッチングが効率よく行われず、大きすぎると紙繊維の破壊や染料及び／または顔料の除去や分解が起こりやすくかえって明度Ｌ＊が上がったり、変色や有彩色の彩度Ｃ＊の低下を招きやすい。望ましくは０．２〜２Ｗ／ｃｍ2の範囲の放電電力密度で行うと濃色化について効率が良い。
【００１７】
残存ガス圧については、５Ｐａ以下になると放電が開始しにくくなることがあるので、一度ガス圧を５Ｐａ程度以上にして放電を開始してから圧力を下げたり、高電圧を印加して放電を開始する必要がある。圧力が０．０１Ｐａより低すぎると、放電の維持が困難になったり、発生するガスイオンが減るためエッチング効率が極端に低下し、濃色化が起こりにくい。また、圧力が１００Ｐａより高すぎると、発生したガスイオンが他のガス分子に衝突する可能性が増し、紙の表面に到達してエッチングに寄与するイオンが減るため、エッチング効率が落ちる。さらに、発生した大量のプラズマが紙表面の組成変化や染料及び／または顔料の酸化をもたらし、かえって明度Ｌ＊の上昇や、変色や有彩色の彩度Ｃ＊の低下を招く。望ましくは０．１〜２０Ｐａの範囲が最も濃色化に効率が良い。
【００１８】
残存ガスの種類によってもエッチング速度や状態が異なる。特に酸素や他の活性ガスを含んだ場合、繊維の破壊や変質が起こりやすく、短時間でも大きな凹凸が生成する場合もあるが、同時に吸着染料及び／または顔料の分解や除去速度も大きく、明度Ｌ＊の増加、変色や有彩色の彩度Ｃ＊の低下が起こりやすく条件設定が難しいため、使用できないわけではないがあまり有効ではない。
【００１９】
放電用真空容器に入れる紙は、吸着ガスや水分を含んでいるために、あらかじめ出来るだけ乾燥しておき、望ましくは予備排気容器内で真空乾燥してから放電真空容器に移すと良い。また、スパッタエッチングを開始すると、予備排気や真空乾燥していても、一定の真空度を保つためには通常の真空設備より大きい容量の真空ポンプが必要である。スパッタエッチング処理後、紙の水分調整が必要ならば行う。
【００２０】
適当な条件でスパッタエッチングすると、紙表面の繊維に０．１〜１μｍ程度の微細孔や凹凸が生成する。この微細構造によって、繊維表面に入射した可視光の正反射が抑制され、拡散反射する光が増える。これによって染料及び／または顔料によって吸光される光の量が増え、濃色化や有彩色の彩度向上が起こる。この凹凸は小さすぎても大きすぎても拡散光の増加による濃色化への寄与が小さくなってしまい、約０．１〜０．４μｍの時に濃色化の効果が大きい。
【００２１】
【実施例】
実施例１
使用パルプとして未叩解ＬＢＫＰを用い、３％のパルプ懸濁液中に黒色の直接染料ＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＢＬＡＣＫ１９を対パルプ４％添加し、３０分攪拌した後、定着剤（硫酸バンド）を４重量部加え抄紙機を使用して坪量６０ｇ／ｍ2（絶乾重量換算）で抄紙した。その後、１０Ｐａのアルゴンガス中で、１３．５６ＭＨｚの高周波を用い電力密度０．４Ｗ／ｃｍ2で４５秒間（１８Ｊ／ｃｍ2）スパッタエッチングした。
【００２２】
実施例２
処理時間を１０秒間（４Ｊ／ｃｍ2）とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００２３】
実施例３
処理時間を２５秒間（１０Ｊ／ｃｍ2）とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００２４】
実施例４
処理時間を１７５秒間（７０Ｊ／ｃｍ2）とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００２５】
実施例５
処理時間を３７５秒間（１５０Ｊ／ｃｍ2）とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００２６】
実施例６
電力密度０．０４Ｗ／ｃｍ2で４５０秒間（１８Ｊ／ｃｍ2）とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００２７】
実施例７
電力密度０．２Ｗ／ｃｍ2で９０秒間（１８Ｊ／ｃｍ2）とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００２８】
実施例８
電力密度２Ｗ／ｃｍ2で９秒間（１８Ｊ／ｃｍ2）とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００２９】
実施例９
電力密度３Ｗ／ｃｍ2で３秒間（９Ｊ／ｃｍ2）とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００３０】
実施例１０
０．０１Ｐａのアルゴンガス中で処理した以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００３１】
実施例１１
０．１Ｐａのアルゴンガス中で処理した以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００３２】
実施例１２
２０Ｐａのアルゴンガス中で処理した以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００３３】
実施例１３
１００Ｐａのアルゴンガス中で処理した以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００３４】
実施例１４
１０Ｐａの窒素ガス中で処理した以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００３５】
実施例１５
１０Ｐａの酸素ガス中で処理した以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００３６】
実施例１６
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３とした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００３７】
実施例１７
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３とした以外は実施例２と同様とした染色紙を製造した。
【００３８】
実施例１８
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３とした以外は実施例３と同様とした染色紙を製造した。
【００３９】
実施例１９
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３とした以外は実施例４と同様とした染色紙を製造した。
【００４０】
実施例２０
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３とした以外は実施例５と同様とした染色紙を製造した。
【００４１】
実施例２１
使用パルプをＬＢＫＰ７０％、ＮＢＫＰ３０％とし、６％パルプ懸濁液中に染料として、ＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＯＲＡＮＧＥ３９を対パルプ０．４４％、ＣＩＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３を対パルプ０．２６％、ＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＢＬＡＣＫ１５４を対パルプ３．５％、顔料として粉末カーボンブラックを２．３３％添加し、約３０分撹拌後、フリーネスを４００ｍｌＣ．Ｓ．Ｆとし、通常のロジンサイズ剤を対パルプ０．６％、カチオン化澱粉を対パルプ３％、硫酸バンドを対パルプ３．５％添加し、坪量８１ｇ／ｍ2（絶乾重量換算）で機械漉きした。その後、１０Ｐａのアルゴンガス中で、１３．５６ＭＨｚの高周波を用い電力密度０．４Ｗ／ｃｍ2で４５秒間スパッタエッチングした。
【００４２】
実施例２２
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３を対パルプ２．１％およびＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ８１を０．４％とした以外は実施例２１と同様とした染色紙を製造した。
【００４３】
実施例２３
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＹＥＬＬＯＷ１４２を対パルプ１．３％およびＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３を０．０５％およびＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＢＬＵＥ２００を０．４％およびＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＢＬＵＥ２３６を０．３７％とした以外は実施例２１と同様とした染色紙を製造した。
【００４４】
実施例２４
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＹＥＬＬＯＷ５０を対パルプ０．０７％およびＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ８１を０．０３％およびＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＢＬＵＥ２００を３．７％およびＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＢＬＡＣＫ１６を０．０４％とした以外は実施例２１と同様とした染色紙を製造した。
【００４５】
比較例１
使用パルプとして未叩解ＬＢＫＰを用い、３％のパルプ懸濁液中に黒色の直接染料ＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＢＬＡＣＫ１９を対パルプ４％添加し、３０分攪拌した後、定着剤（硫酸バンド）を４重量部加え抄紙機を使用して坪量６０ｇ／ｍ2（絶乾重量換算）で抄紙し、染色紙を製造した。
【００４６】
比較例２
電力密度０．４Ｗ／ｃｍ2で４００秒間（１６０Ｊ／ｃｍ2）スパッタエッチングした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００４７】
比較例３
電力密度０．４Ｗ／ｃｍ2で８秒間（３Ｊ／ｃｍ2）スパッタエッチングした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００４８】
比較例４
電力密度０．０３Ｗ／ｃｍ2で６００秒間（１８Ｊ／ｃｍ2）スパッタエッチングした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００４９】
比較例５
ガス圧を０．００５Ｐａとした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００５０】
比較例６
ガス圧を１１０Ｐａとした以外は実施例１と同様とした染色紙を製造した。
【００５２】
比較例８
使用染料をＣＩ ＤＩＲＥＣＴ ＲＥＤ２３とした以外は比較例１と同様とした染色紙を製造した。
【００５３】
比較例９
スパッタエッチングをしない以外は実施例２１と同様とした染色紙を製造した。
【００５４】
比較例１０
スパッタエッチングをしない以外は実施例２２と同様とした染色紙を製造した。
【００５５】
比較例１１
スパッタエッチングをしない以外は実施例２３と同様とした染色紙を製造した。
【００５６】
比較例１２
スパッタエッチングをしない以外は実施例２４と同様とした染色紙を製造した。
【００５７】
こうして製造した染色紙の評価を行った。評価は次の方法によった。
明度（色の濃さ）：ＪＩＳ Ｚ８７３０のＬ＊ａ＊ｂ＊表色系のＬ＊で評価した。Ｌ＊が小さいほど濃い色である。
明度変化：本発明によるスパッタエッチング処理を行わない場合（比較例）との明度（Ｌ＊）の差異（ｄＬ＊）。
色相：ＪＩＳ Ｚ８７３０のＬ＊ａ＊ｂ＊表色系のａ＊とｂ＊で表した。
色相変化：ａ＊ｂ＊座標平面における原点からの方位の変化量（ラジアン）。時計回りをプラス方向とする。
彩度：ＪＩＳ Ｚ８７３０のＬ＊ａ＊ｂ＊表色系のａ＊とｂ＊の二乗平均を新たにＣ＊とし、これで評価した。Ｃ＊が大きいほど彩度が高い。
彩度変化：本発明によるスパッタエッチング処理を行わない場合（比較例）との彩度（Ｃ＊）の差異（ｄＣ＊）。
評価結果を表１〜表３に示す。
【００５８】
【表１】
【表２】
表３ 各比較例の評価結果
表から明らかなように、リークするガスの種類によらず、０．０１から１００Ｐａのガス圧で、０．０４Ｗ／ｃｍ2以上の電力密度、および、４から１５０Ｊ／ｃｍ2のエネルギー密度に調整し、スパッタエッチングを行うことによって、−０．５以下のＬ＊値の低下や、＋０．５以上のＣ＊値の向上が見られ、染色紙の濃色化に有効なことがわかる。また、この効果は使用する染料種や、染料の色にもよらない。すなわち、スパッタエッチングによる濃色化効果は、スパッタ条件によって異なる。−０．５以下のＬ＊値の低下、または、＋０．５以上のＣ＊値の向上が見らた場合を有効とする。実施例２と実施例５を比較例２及び比較例３と対比させると、効果が現れるのは、エネルギー密度が４以上１５０Ｊ／ｃｍ2以下の範囲である事がわかる。また、実施例１と実施例６を比較例４と対比させると、同様な効果が得られる電力密度は０．０４Ｗ／ｃｍ2以上であることが解る。また、実施例１０と実施例１３を比較例５と比較例６を対比させると、同様な効果が得られるガス圧は０．０１以上、１００Ｐａ以下であることがわかる。またこれらのスパッタ条件のうち、１つでも満足しないものがあると、濃色化効果に乏しい事もわかる。また、実施例１４と実施例１５を比較例１と対比させると、リークするガスの種類によらないこともわかる。実施例１、実施例３、実施例４、実施例７、実施例８、実施例１１、実施例１２、実施例１４，実施例１５は、これらスパッタ条件を満足したもので、濃色化効果が現れている。また実施例１６から実施例２０を比較例８と対比すると、スパッタ条件を満足すれば、染料の色にもよらず、効果がある事がわかる。また、実施例２１から２４を比較例９から１２と対比させると、複数の染料を使用し、自由な色に染めた紙にも有効な事がわかる。
【００６２】
【発明の効果】
従来、濃色の染色紙を得ようとすると、染料及び／または顔料の紙パルプ繊維に対する吸着量の限界のため、染色時の染料及び／または顔料濃度を増しても一定以上の濃い色にはならない、あるいは抄紙工程の白水が着色し操業に支障が生じる等の限界があった。本発明では、通常に得られる程度の濃色紙を、真空グロー放電スパッタによるエッチングすなわちスパッタエッチング処理をすることで、従来の方法では得られなかったような濃い色や、有彩色においてはかつ彩度の高い染色紙を得ることができる。このような濃色紙は、意匠性が高く、例えば書籍の内装など様々な用途に用いることができる。[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to dyed paper.
[0002]
[Prior art]
Generally, dyed paper is obtained by dissolving or suspending dyes and / or pigments in a paper stock in which paper raw materials such as pulp are suspended in water. Examples of the dye include a direct dye, a basic dye, an acid dye, and a cationic dye. Examples of the pigment include an organic pigment and an inorganic pigment. However, since any dye and / or pigment has a limited amount of adsorption to paper pulp fibers, when the dyeing density exceeds a certain level that differs for each dye and / or pigment, no more dark paper can be obtained. . In addition, in the case of industrial production using a paper machine even at a dyeing density lower than that, if a certain density is exceeded, a large amount of dye and / or pigment not adsorbed on the paper pulp fiber together with white water in the paper making process. In the case of runoff, pollution to the environment, load on the drainage system, or white water circulation system, the circulated dyes and / or pigments affect the color density of the upper paper, resulting in the problem of inhibiting stable papermaking. Therefore, there is a certain limit to making a dark colored dyed paper.
[0003]
Generally, the color of dyed paper is represented by three attributes of hue, lightness, and saturation as in JIS Z8721. The hue is specific to the dye and / or pigment used, and the black dye and / or pigment has almost no hue and is achromatic. Lightness and saturation vary depending on the amount of dye and / or pigment used. Generally, if a large number of dyes and / or pigments are used, the lightness decreases and the color becomes darker. Although the saturation varies depending on the hue, it increases up to a certain point and becomes brighter, but beyond that, it decreases and the color feeling also decreases. Further, the saturation obtained with dyed paper with actual dyes and / or pigments is smaller than the ideal value due to regular reflection of light and the like. Therefore, it is still limited to obtain a dyed paper having low brightness and sufficient saturation.
[0004]
In general, three attributes can be displayed in Munsell value H (hue) V (lightness) / C (saturation) as shown in JIS Z8721. However, since it is difficult to calculate a precise Munsell value, it can be replaced by the L * a * b * color system according to JIS Z8730. According to this, L * corresponds to lightness, and the orientation of the point on the plane coordinates represented by a * and b * corresponds to hue, and the plane distance from the L * axis passing through the origin, that is, a * and The root mean square value C * of b * corresponds to the saturation. The color on the L * axis passing through the origin is an achromatic color. In the present invention, description will be given using this L * a * b * color system. In this case, the smaller the L *, the lower the lightness, that is, the darker the color, and the greater a * and / or b *, the greater the saturation and the stronger the color.
[0005]
In the present invention, darkening means that L * is small, and it is assumed that there is a dark color effect of −0.5 (relative value) or less that can be clearly perceived visually. It is desirable to have the following dark color effect. It is also desirable for C * to be large for chromatic colors. In chromatic colors, if C * is +0.5 or more (relative value), it is assumed that the saturation is improved, and in the present invention, +2.0 or more is desirable. Furthermore, since there is a practical problem if the hue change due to discoloration or the like is large, the amount of change in azimuth (radian) from the origin in the a * b * coordinate plane is set to a value representing the hue change, and the clockwise direction is a positive direction. In the present invention, ± 0.2 or less is practically acceptable.
[0006]
Etching by vacuum glow discharge sputtering is also referred to as sputter etching, and in the vacuum of about 0.01 to 100 Pa, several hundred to several thousand V between electrodes separated by 0.5 cm or more within the conditions under which discharge occurs. When a target is placed on or near the cathode, gas cations generated by discharge collide with the target. When etching an insulator, it is possible to discharge and sputter by applying a high frequency of several tens of KHz or more. Usually, since 13.56 MHz radio frequency (RF) is used, it is also called etching by RF sputtering or RF sputtering, or RF sputter etching. In general, a matching circuit (tank circuit) is provided in front of the electrodes for impedance matching between the discharge circuit between the electrodes and the high-frequency transmitter.
[0007]
Conventionally, sputter etching has been studied on the molecular structure and crystal structure of natural fibers such as metals, semiconductors, ceramics, synthetic polymer films, synthetic fibers, wool and silk, research on improving their adhesion and wettability, biological samples Research has been conducted as a microscopic observation technique. However, there is no example in which the dyed paper is darkened using this technique for plant fiber for papermaking.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention is an invention for producing a dark black color paper that cannot be obtained by a normal papermaking process in dyed paper, or a dark and high chroma paper for chromatic colors.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to solve the above-mentioned problems, the present inventors have carried out a sputter etching process on the surface of a dyed paper mainly made of vegetable fibers, so that the color strength, that is, low brightness, or chromatic color is saturated. The present invention was completed by finding that the degree of improvement was also improved. That is, according to the present invention, the surface of a paper mainly composed of plant fibers dyed with a dye and / or pigment is subjected to a sputter etching treatment, so that the L * value according to the L * a * b * color system according to JIS Z 8730 is relatively determined. The value of C * is +0.5 or more in relative value by sputter-etching the paper surface mainly composed of plant fibers dyed with chromatic dyes and / or pigments with a value of −0.5 or more. And the amount of change in azimuth angle (radian) from the origin in the a * b * coordinate plane is a value representing a change in hue, and the clockwise direction is a plus direction, which is ± 0.2 or less. This is a paper manufacturing method.
[0010]
Next, an example of producing the dark paper of the present invention will be described. In the present invention, pulp made of vegetable fiber is used. For example, wood pulp such as softwood bleached kraft pulp (NBKP), hardwood bleached kraft pulp (LBKP), softwood bleached sulfite pulp (NBSP), and thermomechanical pulp (TMP), and bast fiber pulp such as hemp, cocoon, husk, and trilobe A paper stock is prepared according to a conventional method using plant pulp for papermaking such as non-wood pulp such as bamboo, straw and kenaf as appropriate. A dyed paper is produced according to a conventional method by adding the dye and / or pigment of the color to be obtained to the paper stock in an amount allowed for outflow into white water and operational stability. At this time, auxiliary materials for papermaking such as various fillers, sizing agents, dry paper strength enhancers, and wet paper strength enhancers can be used together as necessary. Furthermore, patterning such as embossing and calendar processing can be performed in the paper making process.
[0011]
The cathode of the counter electrode having a flat plate or a curved surface, in which the dyed paper thus obtained is placed in a vacuum of 0.01 to 100 Pa, preferably 0.1 to 20 Pa, at intervals of 0.5 cm or more so as to enable discharge. The electrode is placed on or very close to the electrode on the side (in the case of a high-frequency voltage, on the side having a small area), and is 0.04 W / cm 2 or more by application of several hundred V to several thousand V, preferably depending on the gas pressure. at a power density of 2~2W / cm 2, by applying a high frequency voltage of several tens KHz or more (generally 13.56MHz is), 4~150J / cm 2 preferably the energy density of 10~70J / cm 2 Sputter etching is performed after the discharge treatment for a certain period of time.
[0012]
If necessary, adjust the humidity afterwards. Further, further coloring can be performed by size press, impregnation or printing.
[0013]
As the residual gas, air, oxygen, nitrogen, argon, ammonia and other various gases can be used. Desirably, argon or other rare gas or nitrogen having a small chemical influence on the dye or paper fiber is preferable. Specifically, the gas to be used may be leaked into the chamber and kept at a certain degree of vacuum while continuously performing suction with a vacuum pump.
[0014]
Depending on the impedance of the electrodes and the applied voltage, discharge does not occur if the electrode spacing is smaller than about 0.5 cm. On the other hand, if the gas ions are too far away, the generated gas ions do not efficiently reach the paper, or the difference in the degree of etching occurs between the peripheral portion of the electrode and the central portion.
[0015]
If the energy density is not 4 J / cm 2 or more, darkening with C * of +0.5 or more does not occur, and if it is not 150 J / cm 2 or less, lightening or discoloration occurs. Although it varies depending on the gas pressure, it is desirable to adjust the discharge power density and the treatment time so that it is preferably in the range of 10 to 70 J / cm 2 .
[0016]
However, if the discharge power density is less than 0.04 W / cm 2 , etching is not performed efficiently, and if it is too large, destruction of paper fibers and removal and decomposition of dyes and / or pigments are likely to occur, resulting in increased lightness L * and discoloration. And chromatic color saturation C * is likely to be lowered. If the discharge power density is desirably in the range of 0.2 to 2 W / cm 2, the efficiency of darkening is good.
[0017]
As for the residual gas pressure, discharge may become difficult to start when the pressure is 5 Pa or less, so once the gas pressure is increased to about 5 Pa or higher, the pressure is lowered or the high voltage is applied to start the discharge. There is a need to. When the pressure is lower than 0.01 Pa, it becomes difficult to maintain the discharge, or the generated gas ions are reduced, so that the etching efficiency is extremely lowered and darkening hardly occurs. On the other hand, if the pressure is higher than 100 Pa, the possibility that the generated gas ions collide with other gas molecules increases, and the ions that reach the surface of the paper and contribute to the etching decrease, so that the etching efficiency decreases. Further, the large amount of plasma generated causes a change in the composition of the paper surface and oxidation of the dye and / or pigment, which in turn leads to an increase in lightness L * and a discoloration or a decrease in chromatic color saturation C *. Desirably, the range of 0.1 to 20 Pa is most effective for darkening.
[0018]
The etching rate and state vary depending on the type of residual gas. In particular, when oxygen or other active gas is included, fiber breakage or alteration is likely to occur, and large irregularities may be generated even in a short time, but at the same time, the decomposition and removal rate of the adsorbed dye and / or pigment is large, and the lightness L * increases, discoloration, and chromatic color saturation C * tend to occur, and it is difficult to set conditions.
[0019]
Since the paper to be put into the discharge vacuum container contains adsorbed gas and moisture, it is preferable to dry it as much as possible, preferably after vacuum drying in the preliminary exhaust container, and then transfer it to the discharge vacuum container. Further, when sputter etching is started, a vacuum pump having a capacity larger than that of a normal vacuum facility is required to maintain a certain degree of vacuum even if preliminary exhaust or vacuum drying is performed. After the sputter etching process, the moisture content of the paper is adjusted if necessary.
[0020]
When sputter etching is performed under appropriate conditions, fine holes and irregularities of about 0.1 to 1 μm are formed in the fibers on the paper surface. With this fine structure, regular reflection of visible light incident on the fiber surface is suppressed, and light diffusely reflected increases. This increases the amount of light absorbed by the dyes and / or pigments, resulting in darker colors and improved chromatic saturation. If the unevenness is too small or too large, the contribution to the darkening due to the increase in diffused light is small, and the darkening effect is large when it is about 0.1 to 0.4 μm.
[0021]
【Example】
Example 1
Unpulverized LBKP was used as the pulp used, 4% black direct dye CI DIRECT BLACK19 was added to 3% pulp suspension, stirred for 30 minutes, and then 4 parts by weight of fixing agent (sulfuric acid band) was added. Paper making was performed using a paper machine at a basis weight of 60 g / m 2 (in terms of absolute dry weight). Thereafter, sputter etching was performed for 45 seconds (18 J / cm 2 ) at a power density of 0.4 W / cm 2 using a high frequency of 13.56 MHz in an argon gas of 10 Pa.
[0022]
Example 2
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the treatment time was 10 seconds (4 J / cm 2 ).
[0023]
Example 3
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the treatment time was 25 seconds (10 J / cm 2 ).
[0024]
Example 4
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the treatment time was 175 seconds (70 J / cm 2 ).
[0025]
Example 5
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the treatment time was 375 seconds (150 J / cm 2 ).
[0026]
Example 6
A dyed paper was produced in the same manner as in Example 1 except that the power density was 0.04 W / cm 2 and the time was 450 seconds (18 J / cm 2 ).
[0027]
Example 7
A dyed paper was produced in the same manner as in Example 1 except that the power density was 0.2 W / cm 2 and the time was 90 seconds (18 J / cm 2 ).
[0028]
Example 8
A dyed paper was produced in the same manner as in Example 1 except that the power density was 2 W / cm 2 for 9 seconds (18 J / cm 2 ).
[0029]
Example 9
A dyed paper was produced in the same manner as in Example 1 except that the power density was 3 W / cm 2 and the time was 3 seconds (9 J / cm 2 ).
[0030]
Example 10
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the treatment was performed in 0.01 Pa of argon gas.
[0031]
Example 11
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the treatment was performed in an argon gas of 0.1 Pa.
[0032]
Example 12
A dyed paper was produced in the same manner as in Example 1 except that the treatment was performed in 20 Pa argon gas.
[0033]
Example 13
A dyed paper similar to that of Example 1 was produced except that the treatment was performed in 100 Pa of argon gas.
[0034]
Example 14
A dyed paper was produced in the same manner as in Example 1 except that it was treated in 10 Pa of nitrogen gas.
[0035]
Example 15
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the treatment was performed in 10 Pa oxygen gas.
[0036]
Example 16
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the dye used was CI DIRECT RED23.
[0037]
Example 17
A dyed paper similar to Example 2 was produced except that the dye used was CI DIRECT RED23.
[0038]
Example 18
A dyed paper similar to Example 3 was produced except that the dye used was CI DIRECT RED23.
[0039]
Example 19
A dyed paper similar to Example 4 was produced except that the dye used was CI DIRECT RED23.
[0040]
Example 20
A dyed paper similar to Example 5 was produced except that the dye used was CI DIRECT RED23.
[0041]
Example 21
The pulp used is 70% LBKP, 30% NBKP, and as a dye in a 6% pulp suspension, CI DIRECT ORANGE39 is 0.44% pulp, CIDIRED RED23 is 0.26% pulp, and CI DIRECT BLACK154 is pulp 3. 5% and 2.33% of powdered carbon black as a pigment were added. After stirring for about 30 minutes, the freeness was 400 ml C.I. S. F, normal rosin sizing agent 0.6% pulp, cationized starch 3% pulp, sulfuric acid band 3.5% pulp, basis weight 81g / m 2 (absolute dry weight conversion) I whispered the machine. Thereafter, sputter etching was performed for 45 seconds at a power density of 0.4 W / cm 2 using a high frequency of 13.56 MHz in 10 Pa of argon gas.
[0042]
Example 22
A dyed paper was produced in the same manner as in Example 21, except that CI DIRECT RED23 was 2.1% for pulp and CI DIRECT RED81 was 0.4%.
[0043]
Example 23
The same as in Example 21, except that CI DIRECT YELLOW 142 was used with 1.3% of pulp, CI DIRECT RED 23 was 0.05%, CI DIRECT BLUE 200 was 0.4%, and CI DIRECT BLUE 236 was 0.37%. A dyed paper was produced.
[0044]
Example 24
The same as Example 21 except that CI DIRECT YELLOW50 was 0.07% to pulp, CI DIRECT RED81 was 0.03%, CI DIRECT BLUE200 was 3.7%, and CI DIRECT BLACK16 was 0.04%. A dyed paper was produced.
[0045]
Comparative Example 1
Unpulverized LBKP was used as the pulp used, 4% black direct dye CI DIRECT BLACK19 was added to 3% pulp suspension, stirred for 30 minutes, and then 4 parts by weight of fixing agent (sulfuric acid band) was added. Using a paper machine, paper was made at a basis weight of 60 g / m 2 (in terms of absolute dry weight) to produce a dyed paper.
[0046]
Comparative Example 2
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that sputter etching was performed at a power density of 0.4 W / cm 2 for 400 seconds (160 J / cm 2 ).
[0047]
Comparative Example 3
A dyed paper was produced in the same manner as in Example 1 except that sputter etching was performed at a power density of 0.4 W / cm 2 for 8 seconds (3 J / cm 2 ).
[0048]
Comparative Example 4
A dyed paper was manufactured in the same manner as in Example 1 except that sputter etching was performed at a power density of 0.03 W / cm 2 for 600 seconds (18 J / cm 2 ).
[0049]
Comparative Example 5
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the gas pressure was 0.005 Pa.
[0050]
Comparative Example 6
A dyed paper similar to Example 1 was produced except that the gas pressure was 110 Pa.
[0052]
Comparative Example 8
A dyed paper similar to Comparative Example 1 was produced except that the used dye was CI DIRECT RED23.
[0053]
Comparative Example 9
A dyed paper similar to Example 21 was produced except that sputter etching was not performed.
[0054]
Comparative Example 10
A dyed paper similar to Example 22 was produced except that the sputter etching was not performed.
[0055]
Comparative Example 11
A dyed paper similar to Example 23 was produced except that the sputter etching was not performed.
[0056]
Comparative Example 12
A dyed paper similar to Example 24 was produced except that the sputter etching was not performed.
[0057]
The dyed paper thus produced was evaluated. Evaluation was based on the following method.
Lightness (color density): Evaluated by L * a * b * color system L * of JIS Z8730. The smaller L *, the darker the color.
Lightness change: difference (dL *) in lightness (L *) from the case where the sputter etching process according to the present invention is not performed (comparative example).
Hue: represented by a * and b * in the L * a * b * color system of JIS Z8730.
Hue change: Amount of change in azimuth from the origin in the a * b * coordinate plane (radians). Clockwise is the positive direction.
Saturation: The square average of a * and b * in the L * a * b * color system of JIS Z8730 was newly set as C * and evaluated. The greater the C *, the higher the saturation.
Saturation change: difference (dC *) in saturation (C *) from the case where the sputter etching process according to the present invention is not performed (comparative example).
The evaluation results are shown in Tables 1 to 3.
[0058]
[Table 1]
[Table 2]
Table 3 Evaluation results of each comparative example
As can be seen from the table, regardless of the type of leaking gas, the gas pressure of 0.01 to 100 Pa is adjusted to a power density of 0.04 W / cm 2 or more and an energy density of 4 to 150 J / cm 2. Then, by performing sputter etching, a decrease in L * value of −0.5 or less and an improvement in C * value of +0.5 or more are seen, and it can be seen that this is effective for darkening dyed paper. This effect does not depend on the type of dye used or the color of the dye. That is, the darkening effect by sputter etching varies depending on the sputtering conditions. Effective when a decrease in L * value of −0.5 or less or an improvement in C * value of +0.5 or more is observed. When Example 2 and Example 5 are compared with Comparative Example 2 and Comparative Example 3, it can be seen that the effect appears when the energy density is in the range of 4 to 150 J / cm 2 . Further, when Example 1 and Example 6 are compared with Comparative Example 4, it can be seen that the power density at which a similar effect is obtained is 0.04 W / cm 2 or more. Further, when Example 10 and Example 13 are compared with Comparative Example 5 and Comparative Example 6, it can be seen that the gas pressure at which a similar effect is obtained is 0.01 or more and 100 Pa or less. It can also be seen that if any one of these sputtering conditions is not satisfied, the darkening effect is poor. Moreover, when Example 14 and Example 15 are compared with the comparative example 1, it turns out that it does not depend on the kind of leaking gas. Example 1, Example 3, Example 4, Example 7, Example 8, Example 11, Example 12, Example 14, Example 14 and Example 15 satisfy these sputtering conditions and have a darkening effect. Appears. Further, when Example 16 to Example 20 are compared with Comparative Example 8, it can be seen that if the sputtering conditions are satisfied, there is an effect regardless of the color of the dye. Further, when Examples 21 to 24 are compared with Comparative Examples 9 to 12, it can be seen that it is also effective for paper dyed in a free color using a plurality of dyes.
[0062]
【The invention's effect】
Conventionally, when trying to obtain dark colored dyed paper, due to the limit of the amount of dye and / or pigment adsorbed to the paper pulp fiber, even if the dye and / or pigment concentration at the time of dyeing is increased, a dark color exceeding a certain level is obtained. There was a limit such as that it was not possible, or white water in the paper making process was colored, causing trouble in operation. In the present invention, dark paper of a degree normally obtained is etched by vacuum glow discharge sputtering, that is, sputter etching, so that it is not possible to obtain by a conventional method, and in a chromatic color and saturation. High dyed paper can be obtained. Such dark paper has high design properties and can be used for various purposes such as the interior of books.
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