JP3838867B2 - 固体微粒子の表面改質方法 - Google Patents

固体微粒子の表面改質方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な固体微粒子の表面改質方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
顔料、磁性粉、セラミックス粉体等の固体微粒子は、そのまま単独で使用されるよりも、着色、補強、充填等といった機能を付与する目的で、種々の用途における各種組成物中に添加されて使用される場合が多い。
【0003】
しかしながらこのような固体微粒子、特にその一次粒子径がサブミクロン以下である微粒子の多くは、粒子間の凝集力に比べて他の物質、例えば、水、有機溶剤あるいは有機高分子といったものとの親和力が弱く、二次凝集を生じやすい。従って、上記したような各種組成物においてより優れた特性を得ようとする場合、これら固体微粒子をいかに均一に分散させるかが問題となる。
【0004】
そこで、これら固体微粒子を上記したような各種組成物中に均一に分散させる手段として、物理的な攪拌によって分散処理を行なう手法がとられている。このような物理的な攪拌手段としては、各種の湿式分散処理装置ないし湿式粉砕処理装置が使われている。これら湿式分散処理装置ないし湿式粉砕処理装置を用いて、固体微粒子を上記したような各種組成物中に均一に分散させるには、通常、分散体が加熱により変性を受け、例えば、分散剤が劣化するとの理由から低温冷却下で固体微粒子を分散媒と攪拌混合することにより行なわれていた。
【0005】
しかしながら、攪拌混合によって生じる物理的な外力によって分散状態を形成しているものであるために、得られる分散液の分散安定性(例えば、分散液の分散処理直後の低い粘度を長期間安定して保持する性質など)は十分なものとは言えず、また分散処理に長持間を要するといった問題があった。そのため、顔料、磁性粉、セラミックス粉体等の多種多様な固体微粒子に適用できる表面改質手段により、低粘度でかつ安定性の良い固体微粒子の分散液を得ることはできていないものであった。
【0006】
そこで、本発明者らは、特開平8−337737号公報において、表面に官能基を有する固体微粒子と、該固体微粒子の表面官能基と反応し得る反応性基を有する反応性ポリマーとを、分散媒中に配合し、加熱下に分散処理することで、表面官能基と反応性基との反応に適した温度に加熱し反応せしめることにより固体微粒子の表面を改質する方法を提案している。
【0007】
しかしながら、上記公報に記載の表面改質方法は、特定の固体微粒子と特定の反応性ポリマーとの間の反応により固体微粒子表面に反応性ポリマーを化学結合して表面改質を行うものであり、個々の固体微粒子ごとに反応性ポリマーを見出す必要があり、上記公報においても特定のブロックないしグラフトポリマーが開示されているだけであり、反応性基を有しないものについては、何らの技術的に有為な知見は与えられていないのが現状であり、また、反応性基を有しないものについては、固体微粒との間で表面改質に必要な反応が期待できず、低粘度でかつ安定性の良い固体微粒子の分散液を得ることはできないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、固体微粒子の表面官能基と反応し得る反応性基を有する反応性ポリマーによらずに、顔料、磁性粉、セラミックス粉体等のいかなる固体微粒子についても、水、有機溶剤あるいは有機高分子といった分散媒に対する分散安定性を改善することのできる表面改質方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、固体微粒子の表面官能基と反応し得る反応性基を有する反応性ポリマーによらずに、低粘度でかつ安定性の良い固体微粒子の分散液を得るための固体微粒子の表面改質方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、固体微粒子の表面官能基と反応し得る反応性基を有する反応性ポリマーによらない表面改質方法につき鋭意研究を重ねた結果、上記公報のような記載にある明確な反応を伴わないものについて、加熱パターンを加えることにより、理論的に固体微粒子表面がどのようになっているかは明確でないものの、一種のメカノケミカル的な反応が生起しているものと推測されることや、分散液が加熱により膨張し、通常の低温分散と異なった分散の場が提供され、固体微粒子の改質が進むものと考えられ、結果的に分散安定性を改善することのできる表面改質方法を見出し、これにより長期間にわたり低粘度でかつ分散安定性のよい固体微粒子の分散体が得られることを知り、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明の上記目的は、下記(1)〜(2)に記載の固体微粒子の表面改質処理方法によって達成されるものである。
【0012】
(1) 固体微粒子と分散剤とを分散媒中に配合し、
前記固体微粒子と分散剤とを加熱下に分散処理させる固体微粒子の表面改質方法であって、
前記加熱下での分散処理工程が、
60℃以上の温度範囲で分散する高温分散工程(I)と、
高温分散工程(I)の後に低温で分散する低温分散工程(II)とを有し、
前記高温分散工程(I)の処理温度と低温分散工程(II)の処理温度との温度差を20℃以上とすることを特徴とする固体微粒子の表面改質方法。
【0013】
(2) 前記加熱下での分散処理工程が、
前記高温分散工程(I)の前に60℃を超えない温度で分散する予備分散工程(I’)を有することを特徴とする上記(1)に記載の固体微粒子の表面改質方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の固体微粒子の表面改質方法は、第1に、固体微粒子と分散剤とを分散媒中に配合し、前記固体微粒子と分散剤とを加熱下に分散処理させることを特徴とするものである。
【0015】
第2に、前記加熱下での分散処理工程が、60℃以上の温度範囲で分散する高温分散工程(I)を有するものである。
【0016】
さらには、以下のいずれかの実施の形態を有するものである。すなわち、(a)前記分散処理工程が、▲1▼60℃以上の温度範囲で分散する高温分散工程(I)と、▲2▼その後に低温で分散する低温分散工程(II)とを有し、高温分散工程(I)と低温分散工程(II)との温度差を20℃以上とするものである。(b)▲1▼60℃以上の温度範囲で分散する高温分散工程(I)と、▲2▼その後に60℃を超えない温度で分散する低温分散工程(II)とを有するものである。(c)上記高温分散工程(I)の前に、さらに60℃を超えない温度(低温)で分散する予備分散工程(I’)を有するものである。
【0017】
以下、本発明を実施の形態に基づき、より詳細に説明する。
【0018】
本発明に係る固体微粒子の表面改質方法において、処理対象となる固体微粒子としては、特に限定されるものではなく、分散剤がその表面に吸着(後述する実施例の「分散剤吸着率の測定法」参照のこと)し得るものであればよく、具体的には、例えば、顔料、磁性粉、セラミックス粉体、有機微粒子など各種のものが挙げられる。
【0019】
このうち顔料、特に無機顔料、例えば、カーボンブラック、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、消石灰、水酸化マグネシウム、ベンガラ、セメント、アルミナ、ジルコニア、シリカ、炭化珪素、窒化珪素等、および磁性粉に対して有用な処理法であり、特に、カーボンブラックに対して有用な処理法である。かかるカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のいずれの種類のものを用いることができ、通常の市販品をそのまま使用できる。
【0020】
一方、本発明に係る固体微粒子の表面改質方法において使用される分散剤は、上記固体微粒子の表面に吸着(後述する実施例の「分散剤吸着率の測定法」参照のこと)し得るものであればよく、特に制限されるべきものではなく、例えば、界面活性剤、高分子分散剤などが挙げられる。これらの分散剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。好ましい分散剤としては、高分子分散剤が挙げられる。
【0021】
上記界面活性剤としては、特に制限されるべきものではなく、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤のいずれも用いることができる。
【0022】
このうちノニオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリスチレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ジグリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノミリスチレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
アニオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリなどの脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカリスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
カチオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートなどのアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩などがある。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
両性イオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどがある。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記高分子分散剤(上記界面活性剤を除く)としては、例えば、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマーに代表されるブロックポリマーや、グラフトポリマー、くし形ポリマーなどが挙げられるが、具体的には、スチレンアクリル酸系共重合体(Johncryl社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(いずれも共栄社油脂化学工業製)、メガファックF171、F172,F173(いずれも大日本インキ化学工業製)、フロラードFc430、Fc431(いずれも住友スリーエム製)、ソルスパス12000、13240、20000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(いずれもゼネカ製)、ディスパースビック111、161、164、165(いずれもビックケミー製)などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、従来公知の分子内に異なる2種以上のセグメントを持つグラフトもしくはブロックポリマーであってもよい。
【0027】
本発明の表面改質方法において、これらの固体微粒子および分散剤を配合する分散媒としては、特に限定されるものではなく、水溶性または非水溶性の各種のものを使用することができ、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のグリコールないしその誘導体類;グリセロール、グリセロールモノエチルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のグリセロールないしその誘導体類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;流動パラフィン、デカン、デセン、メチルナフタレン、デカリン、ケロシン、ジフェニルメタン、トルエン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、シクロヘキサン、部分水添されたトリフェニル等の炭化水素類、ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロジフェニル、クロロジフェニルメタン等のハロゲン化炭化水素類、ダイルロル(ダイキン工業(株)製)、デムナム(ダイキン工業(株)製)等のふっ化物類、安息香酸エチル、安息香酸オクチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、セバシン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル等のエステル化合物類などが、固体微粒子の種類、得ようとする分散液の用途等に応じて適宜選択して使用される。
【0028】
また、上記分散媒中において固体微粒子への分散剤の吸着を阻害しない範囲において、従来公知のモノマー、ポリマー、各種安定剤などを適宜選択し、それぞれの持つ作用効果を有効に発現し得る範囲内にて適量を適時添加してもかまわない。
【0029】
本発明の表面改質方法は、上記したような分散媒に対し、固体微粒子および分散剤を配合し、これらを加熱下で分散処理を行なうことにより行なわれるものであるが、固体微粒子に対する分散剤の配合割合としては、使用される分散剤の種類、得ようとする製品の用途等に応じて左右されるものであるため、一概には規定できないが、固体微粒子100質量部に対し、分散剤1〜1000質量部、好ましくは5〜500質量部、より好ましくは20〜300質量部の範囲とすることが望ましい。すなわち、固体微粒子100質量部に対して分散剤が1質量部未満の場合には、固体微粒子の表面性状を十分に改質することが困難となる虞れがある。一方、固体微粒子100質量部に対して分散剤が1000質量部を超える場合には、固体微粒子の表面に吸着する分散剤の量が多くなり、本来的に要求される固体微粒子の特性を損なう虞れがある。
【0030】
また、分散媒への固体微粒子および分散剤(ここでは、固体微粒子および分散剤を「分散質」と称する)の合計配合量としては、使用する分散装置の種類や加熱(さらには冷却)効率、昇温(さらには降温)速度の制御容易性、撹拌子による撹拌力の伝達効率などの観点から、分散媒100質量部に対し、分散質0.01〜300質量部、好ましくは0.1〜200質量部、より好ましくは1〜100質量部の範囲とすることが望ましい。すなわち、分散媒100質量部に対して分散質が0.01質量部未満の場合には、分散すべきものが少なく効率が悪くなる虞れがある。一方、分散媒100質量部に対して分散剤が300質量部を超える場合には、分散剤の存在による分散液の増粘化により分散の効率が悪くなる虞れがある。
【0031】
本発明の固体微粒子の表面改質方法では、第1に、固体微粒子と分散剤とを分散媒中に配合し、該固体微粒子と分散剤とを加熱下に分散処理させることを特徴とするものである。これにより、上述したように理論的に固体微粒子表面がどのようになっているかは明確でないものの、一種のメカノケミカル的な反応が生起しているものと推測されることや、分散液が加熱により膨張し、通常の低温分散と異なった分散の場が提供され、固体微粒子の改質が進むものと考えられ、結果的に分散安定性を改善することができるのである。すなわち、従来、低温分散処理を行うことで固体微粒子を物理的に攪拌することで分散処理するだけでは、固体微粒子の表面改質はなされず、その後、長期間保存する間に、分散安定性が十分に保持できず、再凝集化により、分散液の粘度が上昇する問題があったが、そうかといって、わざわざ固体微粒子表面の官能基との反応性を有する反応性基を持つ反応性ポリマーを見つけ出さなくとも、界面活性剤や高分子分散剤という反応性基を持たない従来公知の分散剤を加えて、加熱下で分散処理することで、意外にも、こうした分散剤が固体微粒子の表面に強固に吸着し、固体微粒子の表面改質が行われ、さらに一旦分散剤が吸着することで長期間保存した状態でも分散安定性を損なうことなく保持でき、簡単に分散性が低下し再凝集化することがないという、全く予想外の効果を得ることができるものである。
【0032】
第2に、前記加熱下での分散処理工程が、少なくとも60℃以上の温度範囲で分散する高温分散工程(I)を有するものである。
【0033】
さらには、以下のいずれかの実施の形態を有するものであることが好ましい。具体的には、(a)前記分散処理工程が、▲1▼60℃以上の温度範囲で分散する高温分散工程(I)と、▲2▼その後に低温で分散する低温分散工程(II)とを有し、高温分散工程(I)と低温分散工程(II)との温度差を20℃以上とするものである。(b)▲1▼60℃以上の温度範囲で分散する高温分散工程(I)と、▲2▼その後に60℃を超えない温度で分散する低温分散工程(II)とを有するものである。(c)上記高温分散工程(I)の前に、さらに60℃を超えない温度(低温)で分散する予備分散工程(I’)を有するものである。以下、これらの好適な実施の形態につき説明する。
【0034】
なお、本発明においては、これらの分散処理工程における分散処理温度および以下に規定する昇温ないし降温速度に関する温度は、いずれも分散装置の内温とする。これは、後述するように装置内部全体を均一に加熱ないし冷却しえるように加熱ないし冷却装置を設けることが一般的であり、測定位置によるバラツキがほとんどないためである。
【0035】
上記実施の形態(a)〜(c)のいずれかによる分散処理を行うことにより、理由(理論的な作用機序)は明らかでないが、後述する実施例に示すように、分散処理直後の安定性およびその後の経時的な安定性(長期安定性)への影響が大きく、固体微粒子のより一層の表面改質効果が得られていることがわかった。言い換えれば、高温分散工程(I)の後に、さらに低温分散工程(II)を施すことで、全く予期していなかった表面改質効果のより一層の向上がなされ、製造ロットによらず常に再現性よく低粘度、低TI(Thixotropy Index;チキソトロピー指数)値を分散処理直後から長期間に安定して保持することができることを見出したものである。すなわち、上記高温分散処理を行うことで固体微粒子の表面改質がなされ、その後に、引き続いて分散処理を続けても更なる表面改質が得られないため、分散剤の吸着により固体微粒子表面全体を被覆しこの時点で表面改質が完了しており、その後に既に表面改質がなされた固体微粒子につき、さらに低温分散処理を継続して行っても表面改質することはできないとの技術的な知見に反し、全く予想外の効果を得ることができたものである。
【0036】
また、通常、固体微粒子を低温で分散させ、細かになった粒子に対し、高温にせしむることにより、より高い表面改質が行われることが当事者からは容易に類推されるが、全く逆の知見が得られた。
【0037】
ここで、上記実施の形態(a)〜(c)における上記分散処理工程の高温分散工程(I)および低温分散工程(II)の分散処理温度は、使用される分散剤の種類等によっても左右されるため、一概には規定できないものといえる。具体的には、以下に規定する温度範囲であればよいが、かかる温度範囲を外れる場合であっても、以下に説明する各実施の形態の条件を満足するものであれば、本発明の作用効果を発現することができるものであり、本発明の範囲に含まれるものである。
【0038】
すなわち、上記実施の形態(a)では、高温分散工程(I)の分散処理温度と低温分散工程(II)の分散処理温度との温度差を30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上の範囲である。かかる温度差が30℃未満の場合には、実施の形態(a)において加熱処理時間を単に延長した場合と左程変わりなく、固体微粒子の表面改質効果をさらに高めることができず、分散液の分散安定性をより一層高めることが困難となる場合があり、製造ロットによらず常に、高い再現性にて高品質で、低粘度、低TI値の分散液の安定性を高温分散工程(I)だけを行う実施の形態のもの以上に高めることのが困難となる虞れがある。
【0039】
また、上記実施の形態(a)〜(c)における上記分散処理工程の高温分散工程(I)における分散処理温度は、使用される分散剤の種類等によっても左右されるため、一概には規定できないが、60℃以上、好ましくは60〜400℃、より好ましくは70〜300℃、特に好ましくは80〜250℃の範囲である。すなわち、高温分散工程(I)における分散処理温度が60℃未満の場合には、固体微粒子表面への分散剤の吸着が十分に進行しない。一方、高温分散工程(I)における分散処理温度の上限としては、特に制限されるものではないが、400℃を越える場合には、さらに温度を高めることによる固体微粒子のより一層の表面改質効果が期待できず不経済であるばかりでなく、使用可能な分散剤や分散媒が制限されたり、分散装置の耐熱性や耐圧性を高めておくことが必要となる。
【0040】
次に、上記実施の形態(a)〜(c)における上記分散処理工程の低温分散工程(II)における分散処理温度は、60℃を超えない温度、好ましくは−50〜55℃、より好ましくは−20〜45℃、特に好ましくは0〜40℃の範囲である。低温分散工程(II)における分散処理温度が、60℃を越える場合には、高温分散工程(I)だけを行う実施の形態において加熱処理時間を単に延長した場合と左程変わりなく、固体微粒子の表面改質効果をさらに高めることができず、分散液の分散安定性をより一層高めることが困難となる場合があり、製造ロットによらず常に、高い再現性にて高品質で、低粘度、低TI値の分散液の安定性を高温分散工程(I)だけを行う実施の形態のもの以上に高めることのが困難となる虞れがある。一方、低温分散工程(II)における分散処理温度の下限としては、特に制限されるものではないが、−50℃未満の場合には、別途、低温用の冷媒により−50℃未満にまで冷却可能な手段を増設する必要があり、また固体微粒子表面へのより緻密な分散剤による吸着、被覆化による経時的な分散安定性を十分に保持することができない虞れがある。
【0041】
また、上記実施の形態(c)における上記分散処理工程の高温分散工程(I)における分散処理温度は、使用される分散剤の種類等によっても左右されるため、一概には規定できないが、60℃以上、好ましくは60〜400℃、より好ましくは70〜300℃、特に好ましくは80〜250℃の範囲である。すなわち、高温分散工程(I)における分散処理温度が60℃未満の場合には、固体微粒子表面への分散剤の吸着が十分に進行しない。一方、高温分散工程(I)における分散処理温度の上限としては、特に制限されるものではないが、400℃を越える場合には、さらに温度を高めることによる固体微粒子のより一層の表面改質効果が期待できず不経済であるばかりでなく、使用可能な分散剤や分散媒が制限されたり、分散装置の耐熱性や耐圧性を高めておくことが必要となる。
【0042】
さらに、本発明の上記実施の形態(c)では、前記分散処理工程において、上記高温分散工程(I)の前に、60℃を超えない温度(低温)で分散する予備分散工程(I’)を有するものである。これにより、本発明者らは、上記実施の形態(a)〜(b)に説明した本発明に固有の作用効果をより一層高めることができることを見出したものである。すなわち、予備分散工程(I’)を設けることにより、理由(理論的な作用機序)は明らかでないが、後述する実施例に示すように、分散安定性への寄与が認められ、固体微粒子のより一層の表面改質効果が得られることがわかった。言い換えれば、予備分散工程(I’)を施すことで、固体微粒子への局所的な吸着を起こすことなく表面全体に吸着点を形成させることができ、その後の高温分散工程(I)、さらには低温分散工程(II)にて表面全体に均質に吸着し、粒子同士のバラツキや再凝集化もなく、改質効果が著しく高められ、分散液の安定性(経時的な安定性を含む)に大きく寄与し得るものといえる。これにより、既に述べたように全く予期していなかった表面改質効果のより一層の向上がなされ、製造ロットによらず常に再現性よく、より低粘度で、より低いTI値の分散状態を分散処理直後から安定して長期間保持し続けることができることを見出したものである。また、低温分散での効果は、小粒子径化、グロスの向上、ヘイズの低減などに効果がある。
【0043】
ここで、上記実施の形態(c)における分散処理工程の予備分散工程(I’)における分散処理温度は、使用される分散剤の種類等によっても左右されるため、一概には規定できないが、60℃を超えない温度、好ましくは−50〜55℃、より好ましくは−20〜45℃、特に好ましくは0〜40℃の範囲である。予備分散工程(I’)における分散処理温度が、60℃を超える場合には、上記実施の形態において高温分散工程(I)の加熱処理時間を単に延長した場合と左程変わりなく、固体微粒子の表面改質効果をさらに高めることができない虞れがある。一方、予備分散工程(I’)における分散処理温度の下限としては、特に制限されるものではないが、−50℃未満の場合には、別途、低温用の冷媒により−50℃未満下にまで冷却可能な手段を増設する必要があり、また固体微粒子表面へのより緻密な分散剤による吸着、被覆化による経時的な分散安定性を十分に保持することができない虞れがある。
【0044】
なお、上記実施の形態(a)〜(c)において、固体微粒子と分散剤とを分散媒中に配合する際の温度としては、特に制限されるべきものではなく、通常、室温下にて配合処理すればよい。
【0045】
上記実施の形態(a)〜(c)における高温分散工程(I)の処理時間としては、被処理液量、使用する分散装置の種類や能力等、処理形態がバッチ式ないし連続式であるかなどによっても左右されるため、一概には規定できないが、通常0.5〜50時間、好ましくは1〜25時間、より好ましくは2〜20時間である。高温分散工程(I)の処理時間が、0.5時間未満の場合には、処理可能な分散液量が制限されるため、大量に工業生産する上で非効率的であったり、分散剤の吸着が生じにくく、十分な表面改質処理を行うことができない場合があるなど好ましくない。一方、高温分散工程(I)の処理時間が、50時間を超える場合には、改良すべき固体微粒子の表面積には限界があり無意味であるほか、上述したように単に高温分散処理を長持間行っても本発明のような表面改質効果が得られないため、生産効率が低下し、かつ不経済でもあるなど好ましくない。
【0046】
上記実施の形態(a)〜(c)における低温分散工程(II)の処理時間としては、被処理液量、使用する分散装置の種類や能力等、処理形態がバッチ式ないし連続式であるかなどによっても左右されるため、一概には規定できないが、通常0.1〜50時間、好ましくは1〜25時間、より好ましくは2〜20時間である。低温分散工程(II)の処理時間が、0.1時間未満の場合には、充分な低温での分散効果があがらないほか、処理可能な分散液量が制限されるため、大量に工業生産する上で非効率的であったり、より一層の表面改質効果をあげることができない場合があるなど好ましくない。一方、低温分散工程(II)の処理時間が、50時間を超える場合には、低温分散が高温分散に近い状態になり、低温での分散効果が得られなかったりするほか、低温分散を継続することによるさらなる効果が得られないため、生産効率が低下し、かつ不経済でもあるなど好ましくない。
【0047】
上記実施の形態(c)における予備分散工程(I’)の処理時間としても、被処理液量、使用する分散装置の種類や能力等、処理形態がバッチ式ないし連続式であるかなどによっても左右されるため、一概には規定できないが、通常0.01〜5時間、好ましくは0.05〜4時間、より好ましくは0.1〜2時間である。予備分散工程(I’)の処理時間が、0.1時間未満の場合には、充分な予備分散が行いえないほか、処理可能な分散液量が制限されるため、大量に工業生産する上で非効率的であるなど好ましくない。一方、予備分散工程(I’)の処理時間が、5時間を超える場合には、予備分散を継続することによるさらなる効果が得られないため、生産効率が低下し、かつ不経済でもある。また、後述する比較例に示す冷却分散処理だけを行う場合と同様に、当該予備分散にて固体微粒子の表面改質化が進行しすぎてしまい、その後に高温分散処理を行っても、得られる分散液の経時的な安定性を確保することが困難となる虞れがあるなど好ましくない。
【0048】
また、上記実施の形態(a)〜(c)において、固体微粒子と分散剤とを分散媒中に配合した後、上記高温分散工程(I)の分散処理温度への昇温(加熱)速度としては、特に制限されるべきものではない。すなわち、加熱手段や分散装置サイズ(特に加熱対象となる分散液の容量ないし熱量)などにより異なるため一義的に規定されるべきものではないが、通常0.001〜50℃/min、好ましくは0.01〜40℃/min、より好ましくは0.05〜30℃/minの範囲である。昇温(加熱)速度が0.001℃/min未満の場合には、高温分散工程(I)への移行に長持間を要するため、生産効率が低下するなど好ましくない。一方、昇温(加熱)速度が50℃/minを超える場合には、実質上、系全体にわたるのが困難であるほか、加熱手段近傍の分散液が沸騰したり、分散剤の固体微粒子への不均一な吸着が進行してしまい、その後の高温分散工程(I)での改質処理への影響が大きく、良好な改質効果が付与しきれない場合があるなど好ましくない。
【0049】
また、上記実施の形態(c)において、予備分散工程(I’)を施す場合、固体微粒子と分散剤とを分散媒中に配合後、予備分散工程(I’)の分散処理温度への昇温(加熱)速度としては、特に制限されるべきものではない。すなわち、加熱手段や分散装置サイズ(特に加熱対象となる分散液の容量ないし熱量)などにより異なるため一義的に規定されるべきものではないが、通常0.001〜50℃/min、好ましくは0.01〜40℃/min、より好ましくは0.05〜30℃/minの範囲である。昇温(加熱)速度が0.001℃/min未満の場合には、予備分散工程(I’)への移行に長持間を要するため、生産効率が低下するなど好ましくない。一方、昇温(加熱)速度が50℃/minを超える場合には、実質上、系全体にわたるのが困難であるほか、加熱手段近傍の分散液が沸騰したり、急激な温度上昇により装置内の分散液の温度にバラツキが生じやすく、その後の予備分散工程(I’)での固体微粒子全体の表面改質の度合いにバラツキが生じやすく、良好な改質効果が付与しきれない場合があるなど好ましくない。
【0050】
また、上記実施の形態(c)において、予備分散工程(I’)を施す場合、予備分散工程(I’)の分散処理温度から高温分散工程(I)の分散処理温度への昇温(加熱)速度としては、特に制限されるべきものではない。すなわち、加熱手段や分散装置サイズ(特に加熱対象となる分散液の容量ないし熱量)などにより異なるため一義的に規定されるべきものではないが、通常0.001〜50℃/min、好ましくは0.01〜40℃/min、より好ましくは0.05〜30℃/minの範囲である。昇温(加熱)速度が0.001℃/min未満の場合には、高温分散工程(I)への移行に長持間を要するため、生産効率が低下するなど好ましくない。一方、昇温(加熱)速度が50℃/minを超える場合には、系全体にわたるのが困難であるほか、加熱手段近傍の分散液が沸騰したり、急激な温度上昇により装置内の分散液の温度にバラツキが生じやすく、その後の高温分散工程(I)での固体微粒子全体の表面改質の度合いにバラツキが生じやすく、固体微粒子全体に均質で良好な改質効果を付与しきれない場合があるなど好ましくない。
【0051】
また、上記実施の形態(a)〜(c)において、高温分散工程(I)の分散処理温度から低温分散工程(II)の分散処理温度への降温(冷却)速度としては、特に制限されるべきものではない。すなわち、冷却手段や分散装置サイズ(特に冷却対象となる分散液の容量ないし熱量)などにより異なるため一義的に規定されるべきものではないが、通常0.001〜50℃/min、好ましくは0.01〜40℃/min、より好ましくは0.1〜30℃/minの範囲である。降温(冷却)速度が0.001℃/min未満の場合には、高温分散工程(I)から低温分散工程(II)への移行に長持間を要50℃/minを超える場合には、実質上、このような冷却操作は困難であるほか、急冷手段が必要であり、通常の水冷ないし空冷といった簡易かつ安価な冷却手段のみを利用するだけでは達成し得ない場合があり、より大型でかつ高価な冷却設備を必要とするなど好ましくない。
【0052】
なお、上記低温分散工程(II)終了後、得られた分散液は、そのまま併設された各種用途への加工装置にパイプラインなどを通じて搬送し、利用(消費)してもよいし、適当な冷却手段(放冷を含む)にて冷却し、分散装置より回収してもよいなど、特に制限されるべきものではない。
【0053】
したがって、上記低温分散工程(II)終了後に冷却する際の降温(冷却)速度としては、特に制限されるべきものではない。すなわち、冷却手段や分散装置サイズ(特に冷却対象となる分散液の容量ないし熱量)などにより異なるため一義的に規定されるべきものではないが、通常0.001〜50℃/min、好ましくは0.01〜40℃/min、より好ましくは0.1〜30℃/minの範囲である。降温(冷却)速度が0.001℃/min未満の場合には、冷却に長持間を要するため、生産効率が低下するなど好ましくない。一方、降温(冷却)速度が50℃/minを超える場合には、実質上、系全体にいきわたるのが困難であるほか、急冷手段が必要であり、通常の水冷ないし空冷といった簡易かつ安価な冷却手段のみを利用するだけでは達成し得ない場合があり、より大型でかつ高価な冷却設備を必要とするなど好ましくない。
【0054】
また、高温分散工程所要時間(T1)と低温分散工程所要時間(T2)との比率は、分散液が用いられる用途に応じ適宜決定すればよいが、T1:T2=20:1程度からT1:T2=1:20の範囲が好ましい。
【0055】
さらに、上記分散処理工程において、固体微粒子に加わる剪断応力としては、固体微粒子の種類、撹拌子の充てん量や種類や大きさ等によっても左右されるため、特に限定されるものではないが、102Pa以上、好ましくは103Pa〜1010Pa、特に好ましくは104Pa〜108Paとすることが望まれる。固体微粒子に加わる剪断応力が102Pa未満の場合には、実質上、分散に寄与しないなど好ましくない。なお、固体微粒子に加わる剪断応力の上限に関しては、特に制限されるべきものではないが、1010Paを超える場合には、過度の粉砕、分散剤の劣化を生じやすいほか、高速撹拌能力を有する装置や撹拌子の種類や強度などが制限されるなど好ましくない。
【0056】
このような適当な剪断応力を加えながら加熱下において分散処理するために、本発明においては、この一連の分散処理工程(高温分散工程(I)、さらには低温分散工程(II)や予備分散工程(I’)を有する一連の工程)は、好ましくは、被処理流体を内部に収容するためのベッセル、このベッセル内部において回転する攪拌子、ベッセル内部に収容された被処理流体を加熱ないし冷却するための装置(この装置は、加熱装置と冷却装置を併用してもよいし、加熱及び冷却が切り替えにより行える熱交換装置を用いてもよい。)、および、ベッセル内部に収容された複数の粒状分散媒体を有してなるバッチ式ないし循環式の湿式分散処理装置によって行なわれる。
【0057】
攪拌子とビーズ等の粒状分散媒体を併用して攪拌ないし解砕を行なうバッチ式ないし循環式の湿式分散処理装置ないし湿式粉砕処理装置は、公知のものとして数多く知られているが、本発明においては、このような処理装置に、被処理流体を加熱するための加熱装置(さらには被処理流体を冷却するための冷却装置)を付加するという装置構成として用いるものである。以下、その構成例を示す。
【0058】
図1は、本発明に係る固体微粒子の表面改質処理方法に使用される加熱装置を付加してなるバッチ式の湿式分散処理装置の一実施態様の構成を模式的に示す断面図であり、図2は、本発明に係る固体微粒子の表面改質処理方法に使用される冷却装置を付加してなるバッチ式の湿式分散処理装置の一実施態様の構成を模式的に示す断面図である。
【0059】
図1に示す実施態様の加熱装置を付加してなるバッチ式の湿式分散処理装置は、円筒型閉塞容器体からなるベッセル1を備えた縦型の処理装置(アトライター)である。このベッセル1には、回転軸2がベッセル外部よりベッセル内部空間へとベッセルの軸線に沿って液密に挿通されている。そして、この回転軸2のベッセル内部空間に位置する部位には、円盤状の複数の攪拌子3がそれぞれ所定間隔離間されてこの回転軸2に略垂直な方向に沿って取付けられており、一方ベッセル外部においてこの回転軸2は図示しない駆動装置に連結されている。また、ベッセル1の内部空間内には、分散媒体として多数の球状ビーズ4が充填されている。そして、このアトライターは、加熱装置としてヒーターを内設した湯浴21による加熱が可能なように該湯浴21中に浸漬されており、ベッセル1内部空間に収容される被分散液を加熱することができる構成とされている。
【0060】
同様に、図2は、図1と同様の装置構成を有するアトライターにおいて、該アトライターが、冷却装置として氷を詰めた水浴23による冷却が可能なように該水浴23中に浸漬されており、ベッセル1内部空間に収容される被分散液を冷却することができる構成とされている。
【0061】
そして、本発明の実施の形態(a)〜(c)のような加熱分散後に冷却分散を行う場合には、同一のアトライターに対して、上記湯浴21から水浴23に取り替えることにより加熱工程から冷却分散工程に移行することができるものである。また、予備分散工程を設ける場合には、湯浴21に内設されたヒーターによる温度調節によっても良いし、温度の異なる湯浴21に取り替えるようにしてもよい。
【0062】
以上は、湿式分散処理装置の構成を図示した実施態様に基づき説明したが、この装置において、ベッセル内の被処理流体を加熱するための加熱装置としては、ベッセル内の被処理流体を有効に加熱できるものである限り、任意の様式のものとすることができ、上記したような熱媒循環方式、リボンヒーター以外にも、例えば、セラミックスヒーターないし赤外加熱方式、高周波誘導加熱方式、コイルヒーター等各種のものを採用することが可能であり、またその配置位置としても上記実施態様におけるようにベッセルの外周や外部に配置するもののみならず、攪拌子の回転に支障をきたさない限りベッセルの内部空間に配置することも可能であり、加熱装置を、例えば、ベッセル内面、攪拌子ないし回転軸、あるいは固定子ないし邪魔板に組付けるといったことも可能である。このうち、装置の構造あるいは温度制御の面からベッセルの外周部に加熱装置を配置するのが好ましい。
【0063】
一方、ベッセル内の被処理流体を冷却するための冷却装置としては、ベッセル内の被処理流体を有効に冷却できるものである限り、任意の様式のものとすることができ、上記したような冷媒を利用した冷却装置や冷媒循環方式以外にも、例えば、クーリングタワーや外部式の冷却装置として、蒸発器で熱を吸収して発生した冷媒蒸気を,圧縮機で圧縮して圧力・温度を高め,凝縮器で熱を捨てて液化、この液体を膨張弁から噴出させて蒸発器に戻す圧縮式冷却装置、アンモニアなどの冷媒蒸気を溶液に吸収させ、加熱により濃厚蒸気を放出させて凝縮器に送る吸収式冷却装置、水を冷媒としてその圧縮を蒸気エゼクタで行なう蒸気噴射式冷却装置など各種のものを採用することが可能であり、またその配置位置としても上記実施態様におけるように、ベッセルの外周や外部に配置することも可能であり、攪拌子の回転に支障をきたさない限りベッセルの内部空間に配置することも可能であり、冷却装置を、例えば、ベッセル内面、攪拌子ないし回転軸、あるいは固定子ないし邪魔板に組付けるといったことも可能である。このうち、装置の構造あるいは温度制御の面からベッセルの外周や外部に冷却装置を配置するのが好ましい。
【0064】
また、この装置において、加熱ないし冷却装置以外の湿式分散処理装置の基本的構成、例えば、循環式ないしバッチ式、ベッセルの材質、形状、攪拌子の材質、形状ないし配置位置、分散媒体の材質、形状および粒径等についても特に限定されるものではなく、得ようとする分散液ないし処理される固体微粒子の性質および比重、粒度等の物理的性質等に応じて、適宜選択可能である。
【0065】
ベッセルとしては、アルミナ、ジルコニア、ステアタイト、窒化珪素、炭化珪素、タングステンカーバイト等の各種セラミックス、各種ガラス、鋼、クロム鋼、ハステロイ等のニッケル系合金などの各種金属等を一種あるいは2種以上用いて構成される、横置ないし縦置の、例えば、円筒型、円錐型、半円筒型、例えばアトライターミルのようなもの、特公平2−27018号に開示されるものあるいはダイアモンドファインミル(三菱重工業株式会社製)等におけるような断面W字ないしコの字型のもの、さらには例えば特公平6−73620号に開示されるもののように内部に分散媒体を収容してなるベッセル(攪拌子を備えた、ないし攪拌子がベッセル壁面の一部を形成する)をその内外の流体(分散液)流通を可能なものより大きな容器体内部に配置したものなど、各種の様式のものとすることができる。
【0066】
また攪拌子としては、ベッセルと同様、アルミナ、ジルコニア、ステアタイト、窒化珪素、炭化珪素、タングステンカーバイト等の各種セラミックス、各種ガラス、鋼、クロム鋼、ハステロイ等のニッケル系合金などの各種金属等が適宜選択される。なお、この材質はベッセルの材質と異なっていても何等さしつかえない。また、形状としては、例えば、上記した円盤状(ディスク型)、ピン型以外に、ディスクタービン型、ファンタービン型、プロペラ型、螺旋軸翼型、螺旋帯翼型、ゲート型、アンカー型、円筒状、パドル型といった各種の形状のもの、さらにはこれらに通液性の孔を形成するなどの改良を付したものなどを、単一であるいは多段に配することが可能である。また、この攪拌子の形状に応じて、適当な形状を有する邪魔板ないし固定子を設けることが可能である。さらにこのような攪拌子を形成する回転軸は、ベッセルと共軸的に配するもののみならず、ベッセルの中心軸より変位させて、あるいは2軸もしくは多軸に配置することも可能である。
【0067】
さらに、分散媒体としては、処理される固体微粒子の種類、ベッセルないし攪拌子の形態等に応じて、適宜変更可能であり、アルミナ、ジルコニア、ステアタイト、窒化珪素、炭化珪素、タングステンカーバイドなどの各種セラミックス、各種ガラス、鋼、クロム鋼、ハステロイ等のニッケル系合金などの各種金属から構成される球状、円筒状、回転楕円体状等の形状のものが用いられ得るが、このうち、特にアルミナ、ジルコニア、鋼およびクロム鋼などの材質から構成される球状のビーズで、通常、直径0.05〜20mm程度、より好ましくは0.1〜5mmのものが望ましい。また、これらの分散媒体のベッセルへの充填割合は、ベッセルないし攪拌子の形態等によっても左右されるものであるため、限定されるものではないが、例えばベッセルの有効容積の20〜90%、より好ましくは30〜80%とされる。なお、充填割合が極端に少ないと、二次凝集状態にある固体微粒子の十分な解砕、および固体微粒子表面への分散剤の吸着等が十分なものとはならず、一方充填割合が極端に多いと分散媒体の磨耗によるコンタミネーションの増大を引き起こす虞れがある。
【0068】
本発明の固体微粒子の分散液は、上記固体微粒子の表面改質方法により得られてなることを特徴とするものである。これにより、固体微粒子の表面改質が十分になされており、長期間にわたり低粘度でかつ分散安定性がよいという優れた効果を奏することができる。
【0069】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。なお、以下の実施例および比較例中の「部」は、すべて質量による。
【0070】
比較例1(高温分散)
固体微粒子としてカーボンブラック微粒子(pH=7;カーボンブラックのpHの試験法はJIS K 6211によるものである。以下同様。)20部、分散剤としてジョンクリルJ682(ジョンソンポリマー株式会社製)10部、分散媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGM−Ac)70部を配合し、図1で示す加熱装置を有する分散装置(アトライター)に投入した。この際の分散液の原料の配合物の温度は室温(約25℃)とした。
【0071】
図1で示す分散装置(アトライター)の内温が100℃程度になるように、図1で示す加熱装置の湯浴内に内設されたヒーターを調節し、昇温速度0.5℃/minにて昇温し、内温100℃程度のままの状態にて3時間高温分散処理を行った。その後、降温速度4℃/minにて冷却し、適温(約25℃)まで冷却後、分散装置(アトライター)内から比較用分散液1を取り出した。
【0072】
実施例1(高温分散→低温分散)
比較例1の分散液の原料の配合組成と同一とし、図1で示す加熱装置を有する分散装置(アトライター)に加え、さらに図2に示す冷却装置(水浴)に途中で切り替えて分散処理を行った。
【0073】
まず、図1で示す分散装置(アトライター)の内温が120℃になるように、図1で示す加熱装置の湯浴内に内設されたヒーターを調節し、昇温速度1℃/minにて昇温し、分散装置の内温120℃のままの状態にて2時間高温分散処理を行った(高温分散工程(I))。その後、湯浴から図2に示す氷を詰めた水浴に取り替え、降温速度5℃/minにて冷却し、分散装置(アトライター)の内温が40℃を超えないように1時間低温分散処理を行った(低温分散工程(II))。その後常温(約25℃)に戻し、分散装置(アトライター)内から分散液1を取り出した。
【0074】
比較例2(低温分散)
比較例1の分散液の原料の配合組成と同一とし、図2で示す冷却装置を有する分散装置(アトライター)を用いて行った。
【0075】
まず、撹拌による加熱があるため、図2に示す分散装置(アトライター)の内温が40℃を超えないように、図2に示す冷却装置の水浴により氷冷し冷却しながら3時間低温分散処理を行った。適温(約25℃)まで冷却後、各分散装置内から比較用分散液2を取り出した。
【0076】
評価1
上記分散液1および比較用分散液1〜2につき、下記に示す「分散液の粘度の測定法」により、分散処理後初期および分散処理1週間後の分散液の粘度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0077】
【表1】
Figure 0003838867
【0078】
上記結果は、高温分散処理による比較用分散液1では、低温分散処理による比較用分散液2に比して経時的にみて大幅な分散安定性が図られるものである。さらに、高温分散処理の後、低温分散処理することによる分散液1では、分散処理直後においては比較用分散液2と同等の優れた分散安定性を有し、低粘度の分散状態を確保でき、かつその後の凝集や劣化をほとんど受けることなく分散処理直後の低粘度でかつ安定な分散状態を長期間維持できるという優れた経時安定性が図られていることを示すものであり、固体微粒子の大幅な改質が図れていることを示すものである。
【0079】
《分散液の粘度の測定法》
分散液そのものをB型粘度計にて室温(25℃)にて測定を行った。
【0080】
比較例3(高温分散)
固体微粒子としてカーボンブラック微粒子(pH=7)10部と、分散剤としてポリビニルピロリドン(K60)4部と、分散媒としてN−メチルピロリドン86部を配合し、配合組成液を作製した後、図1で示す加熱装置を有する分散装置(アトライター)に投入した。この際の配合組成液の温度は室温(約25℃)とした。
【0081】
図1で示す分散装置(アトライター)の内温が140℃になるように、図1で示す加熱装置の湯浴内に内設されたヒーターを調節し、昇温速度2℃/minにて昇温し、内温140℃のままの状態にて5時間高温分散処理を行った。適温(約25℃)まで冷却後、分散装置(アトライター)内から比較用分散液3を取り出した。
【0082】
実施例2(高温分散→低温分散)
比較例3と同様の配合組成液を作製し、図1で示す加熱装置を有する分散装置(アトライター)に該配合組成液を投入し、さらに図2に示す冷却装置(水浴)に途中で切り替えて分散処理を行った。
【0083】
まず、図1で示す分散装置(アトライター)の内温が140℃になるように、図1で示す加熱装置の湯浴内に内設されたヒーターを調節し、昇温速度0.5℃/minにて昇温し、内温140℃のままの状態にて3時間高温分散処理を行った(高温分散工程(I))。その後、湯浴から図2に示す氷を詰めた水浴に取り替え、降温速度2℃/minにて冷却し、50℃を超えないように2時間低温分散処理を行った(低温分散工程(II))。適温(約25℃)まで冷却後、分散装置(アトライター)内より分散液2を取り出した。
【0084】
実施例3(予備分散→高温分散→低温分散)
比較例3と同様の配合組成液を作製し、図1で示す加熱装置を有する分散装置(アトライター)に該配合組成液を投入し、さらに図2に示す冷却装置(水浴)に途中で切り替えて分散処理を行った。
【0085】
まず、図1で示す加熱装置の湯浴内に内設されたヒーターを調節し、昇温速度1℃/minにて昇温し、図1で示す分散装置(アトライター)の内温が50℃を超えないように1時間予備分散処理を行った(予備分散工程(I’))。その後、図1で示す加熱装置の湯浴内に内設されたヒーターを調節し、昇温速度0.2℃/minにて昇温し、分散装置(アトライター)の内温が140℃になるように制御しながら3時間高温分散処理を行った(高温分散工程(I))。その後、湯浴から図2に示す氷を詰めた水浴に取り替え、分散装置(アトライター)の内温が50℃を超えないように1時間冷却分散処理を行った(低温分散工程(II))。適温(約25℃)まで冷却後、分散装置(アトライター)内より分散液3を取り出した。
【0086】
比較例4(低温分散)
比較例3と同様の配合組成液を作製し、図2で示す冷却装置を有する分散装置(アトライター)に該配合組成液を投入し、分散処理を行った。
【0087】
まず、撹拌による加熱があるため、図2に示す分散装置(アトライター)の内温が50℃を超えないように、図2に示す冷却装置の水浴により氷冷し冷却しながら5時間低温分散処理を行った。その後、適温(約25℃)までもっていった後、分散装置(アトライター)内から比較用分散液4を取り出した。
【0088】
評価2
上記分散液2〜3および比較用分散液3〜4につき、上記に示す「分散液粘度の測定法」により、分散処理直後の分散液粘度を測定すると共に、下記に示す「分散剤吸着率の測定法」により固体微粒子表面への分散剤の吸着率を算出した。これらの結果を下記表2に示す。
【0089】
【表2】
Figure 0003838867
【0090】
上記表2に示す結果は、高温分散(比較例3)により、分散剤の吸着率が低温分散(比較例2)に比して大幅に増加することを示し、さらに、高温と低温の温度パターンを用いて高温分散と低温分散の分散パターン(実施例2、3)にて分散することにより、吸着率を高く保ったまま低粘度化させることができる。このことは、固体微粒子の表面改質が促進されていることを示す。
【0091】
《分散剤の吸着率の測定法》
上記表2に示す分散剤の吸着率は、「固体微粒子量/分散剤吸着量の比率(質量比)」として表されるものである。以下に、これらの測定法を工程に従って説明する。
【0092】
(a)遠心分離工程
・使用機器:日立 CP60E
・使用ローター:P50A2T
・使用チューブ:40PAチューブ 35ml
分散液2〜3および比較用分散液3〜4、並びに配合組成液(比較例3に記載した配合組成液)をN−メチルピロリドン(NMP)で10倍に希釈し、チューブに約27g入れて遠心分離(40000rpm、30分間)を施す。次に上澄液(吸着しなかった分散剤)と沈殿物とをデカンテーションにより素早く分離する。分離された沈殿物は室温にて24時間で乾燥する。
【0093】
(b)熱天秤工程
・使用装置:島津 TGA−50H
・昇温条件:▲1▼窒素雰囲気中、室温から600℃まで昇温速度20℃/分にて昇温し、600℃で10分間保持する。600℃到達後、30分後に空気に切り替える。▲2▼空気雰囲気中、600℃から1000℃まで昇温速度20℃/分にて昇温する。
【0094】
乾燥した試料を白金セルに約20mg入れて測定開始する。最初は窒素雰囲気中で分散剤成分を熱分解させ、その後空気雰囲気中で固体微粒子(カーボンブラック)を燃焼させる。窒素雰囲気中での質量減少分を分散剤由来、空気雰囲気中での質量減少分を固体微粒子(カーボンブラック)由来として、固体微粒子量/吸着した分散剤量の質量比率を分散剤の吸着率として算する。
【0095】
【発明の効果】
本発明の固体微粒子の表面改質方法では、固体微粒子の表面官能基と反応し得る反応性基を有する反応性ポリマーによらずに、顔料、磁性粉、セラミックス粉体等のいかなる固体微粒子についても、水、有機溶剤あるいは有機高分子といった分散媒に対する分散安定性を改善することができ、低粘度でかつ安定性の良い分散液を提供することができる。すなわち、本発明の表面改質処理を行うことにより、分散処理直後の分散安定性およびその後の経時的な分散安定性への寄与が大きく、固体微粒子のより一層の表面改質効果を奏することができる。
【0096】
さらに、本発明の固体微粒子の表面改質方法では、高温分散工程、低温分散工程、さらには予備分散工程を設けることにより、製造ロットによらず常に再現性よく高い安定性(経時安定性を含む)を有し、低粘度、低TI値の分散液を長期間保持することができ、連続して大量に工業生産を行っても、常に製品の高い品質安定性を保持できる。
【0097】
よって、本発明の固体微粒子の表面改質方法により得られる固体微粒子の分散液では、固体微粒子の表面改質がなされ、均一かつ安定した分散安定性を長期にわたって保持することができるため、各種の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る固体微粒子の表面改質処理方法に使用される加熱装置を付加してなるバッチ式の湿式分散処理装置の一実施態様の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】 本発明に係る固体微粒子の表面改質処理方法に使用される冷却装置を付加してなるバッチ式の湿式分散処理装置の一実施態様の構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…ベッセル、 2…回転軸、
3…攪拌子、 4…分散媒体(球状ビーズ)、
21…湯浴、 23…水浴。

Claims (2)

  1. 固体微粒子と分散剤とを分散媒中に配合し、
    前記固体微粒子と分散剤とを加熱下に分散処理させる固体微粒子の表面改質方法であって、
    前記加熱下での分散処理工程が、
    60℃以上の温度範囲で分散する高温分散工程(I)と、
    高温分散工程(I)の後に低温で分散する低温分散工程(II)とを有し、
    前記高温分散工程(I)の処理温度と低温分散工程(II)の処理温度との温度差を20℃以上とすることを特徴とする固体微粒子の表面改質方法。
  2. 前記加熱下での分散処理工程が、
    前記高温分散工程(I)の前に60℃を超えない温度で分散する予備分散工程(I’)を有することを特徴とする請求項1に記載の固体微粒子の表面改質方法。
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