JP3838765B2 - 眼圧計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼圧を測定するための眼圧計に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、緑内障の発見やその治療効果を調べるため等に、眼圧計による眼圧測定が行われている。眼圧には個人差があるため、緑内障の治療効果や進行状況を調べる場合等には、定期的に測定を行うことによって日内変動等の周期変動を調べる必要がある。このため、自宅等で簡易に眼圧を測定できる眼圧計が切望されている。
【0003】
眼圧計としては、主に、角膜を直接圧平する接触圧平式眼圧計と、空気により圧平を行う非接触式眼圧計とが知られている。
高精度な接触圧平式眼圧計としては、例えば、ゴルドマン(Goldmann)圧平眼圧計が知られている。このゴルドマン圧平眼圧計は、点眼麻酔をしてから、被検眼の角膜に押圧部材を直接押し付けて圧平し、所定の圧平面積になるのに要した押圧力から眼圧を求める装置である。
【0004】
また、携帯性に優れた接触圧平式眼圧計として、マッケイ−マーグ(Mackay−Marg)眼圧計の測定原理を用いたものがある(特公平8−000107号公報)。この眼圧計では、中央ポストの周囲にベースを設けた平面状の接触ヘッドで角膜を圧平するとともに、中央ポストに加わる力を測定し、この力の波形における降下点から眼圧を求めるようにしている。
すなわち、球面状の角膜を圧平していくと、中央ポストに加わる力は、角膜の圧平面積が中央ポストの接触面の面積と等しくなるまで増加し、さらに圧平して圧平面積が接触面の面積を超えると、周囲のベースに角膜が接触し、角膜の剛性による力がベースに分散されて中央ポストにかかる力が減少し、圧平量と力との関係を示す波形において下向きのピークができる。この眼圧計では、ピークの頂部となる降下点では、角膜の剛性による力はベースに完全に分散されたとみなして、この降下点の値を眼圧として採用している。
【0005】
一方、非接触式眼圧計は、角膜に向かって空気を噴出するとともに、風圧による角膜の変形状態を光学的に検出し、角膜が平面になるまでの時間、或いは、角膜が平面になったときの空気噴出系の内圧から眼圧を求める装置である。
【0006】
しかしながら、これらの接触式/非接触式眼圧計は、角膜に直接応力を加えるものであるため、被検者に恐怖感を与えるという問題がある。
このような問題を解消するものとして、近年、被検眼を加圧体により瞼の上から間接的に加圧し、この加圧体の押し込み量と当該加圧体に加わる荷重との相対変化から眼圧を求める荷重検出式眼圧計が提案されている(特開平6−038930号公報、特開平6−105811号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような荷重検出式眼圧計では、加圧体の押し込み量をその移動量から求めるため、加圧体に作用する荷重の測定以外に移動量を測定する手間が生じるうえ、移動量の測定のために、被検眼に対する加圧体の位置決めを行わなければならず、煩雑であり、装置が複雑化するという問題がある。
また、非接触式眼圧計は、角膜の圧平状態を判定するための精密な光学系が必要なため、装置が複雑なうえに高価である。
【0008】
一方、接触圧平式眼圧計による眼圧測定では、角膜を直接圧平するため、前述したように被検者に恐怖感を与えるうえ、点眼麻酔が必要なために測定が煩雑である。また、測定の操作に習熟していないと角膜を傷つけるおそれがある。
とくに、マッケイ−マーグ眼圧計の測定原理を用いた特公平8−000107号公報の眼圧計では、中央ポストに作用する力の波形における降下点の値から眼圧を求めるので、降下点の値を検出するための処理や処理手段が複雑になるという問題がある。
また、この降下点では、角膜の剛性による力の影響はないとされているものの、降下点の値は、眼球を角膜の上から圧平して測定した値であるため、角膜の剛性による力を完全に除去しきれない。
【0009】
発明の目的は、簡単な構成で高精度かつ安価に眼圧測定を行える眼圧計を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被検眼の眼圧を測定するための眼圧計であって、先端の接触面で前記被検眼を圧平するロッドと、このロッドの周囲に設けられて前記接触面と略同一平面内にガイド面を有するガイドと、前記ロッドおよび前記被検眼が接触したときの接触力を検出するための接触力検出手段と、この接触力の検出値から当該接触力の最大値を求める最大接触力検出手段と、角膜の剛性による反力を含み眼圧による力以外であって前記接触力の検出値に含まれる不要な力成分に基いて前記接触力の最大値を補正することにより前記被検眼の眼圧を求める最大値補正手段とを備え、前記不要な力成分は、基準となる眼圧計で予め測定した前記被検眼の標準眼圧と、予め検出された前記接触力の最大値との関係に基いて求められることを特徴とする。
なお、本発明を被検眼の眼圧を測定するための眼圧測定方法として説明するならば、先端に接触面を有するロッドを用い、予め、前記被検眼を前記ロッドの接触面の全面で圧平して、当該接触面の面積および前記被検眼の圧平面積が同じになった状態で前記ロッドに作用する接触力を測定し、角膜の剛性による反力を含み眼圧による力以外であって前記接触力の検出値に含まれる不要な力成分を予め求めておき、眼圧測定の際に、前記被検眼を前記ロッドの接触面の全面で圧平して、当該接触面の面積および前記被検眼の圧平面積が同じになった状態で前記ロッドに加わる接触力を測定し、この接触力の測定値を、予め求めた前記不要な力成分に基づいて補正して、前記被検眼の眼圧を求めることになる。
【0011】
ここで、接触力とは、ロッドおよび被検眼が接触したときにロッドの接触面に加わる単位面積当たりの力のことをいう。
ロッドにより球状の被検眼を圧平すると、圧平に対する被検眼の反発力によりロッドに接触力が加わる。この接触力には、眼圧による力以外に、角膜の剛性による反力等を含む不要な力成分が含まれている。
この不要な力成分は被検眼毎に一定であるため、所定の被検眼について、ロッドの接触面全面で圧平を行ったときの接触力(以下、全面接触力という)と、基準となる眼圧計で測定した標準眼圧との関係、つまり、接触力に含まれる不要な力成分を求めることができる。
本発明においては、ロッドおよびガイドで球状の被検眼を圧平しながら、接触力検出手段によりロッドに加わる接触力を検出する。すると、被検眼の圧平に対する反発力から、ロッドにかかる接触力は、被検眼を圧平していくとともに増加し、被検眼の圧平面積がロッドの接触面の面積と等しくなった時点で最大になる。この状態において、接触力には、眼圧による力以外に、角膜や瞼の剛性による力等の不要な力成分が含まれている。
さらに圧平していくと、圧平面積が接触面の面積を超えて、被検眼が接触面の周囲のガイド面に接触し、ロッドに作用していた角膜の剛性による力等がガイドに分散されて接触力が減少する。
このように、接触力は、被検眼の圧平面積と接触面の面積とが等しくなったときに最大となる。
【0012】
本発明では、このような関係に基づいて、全面接触力の測定値を補正して眼圧を求めるため、角膜の反力等を含む不要な力成分を全面接触力の値から完全に除去できるから、優れた測定精度が得られる。
また、ロッドに加わる接触力のみから眼圧を求めることができるので、ロッドの移動量の測定やその位置決め等をしなくてもよくなるから、眼圧測定に係る構造を簡略化できる。
本発明の眼圧計は、接触力の最大値を求める最大接触力検出手段を備えているため、接触力の最大値、つまり、全面接触力を簡単かつ確実に検出できる。従って、前述したように、予め全面接触力と眼圧との関係を求めておき、この関係により接触力の最大値を補正すれば、全面接触力から角膜の剛性による力等の不要な力成分を完全に除去できるので、高精度な眼圧測定を実現できる。
また、最大値の検出は、降下点の検出よりも簡単な処理で行えるので、眼圧計の複雑化を抑制できる。
さらに、被検眼の圧平状態を観察しなくても、全面接触力を接触力の最大値として検出できるので、従来の非接触式眼圧計のような複雑な光学系が必要なくなり、構造を簡単にできるとともに安価に製造できる。
【0014】
ここで、接触力の最大値とは、圧平による接触力の変化を示す波形における最初のピーク値(極大値)である。
また、略同一平面とは、ロッドおよびガイドの製造時、例えば、加工時や組立時等において、接触面およびガイド面に対して若干の誤差が生じた場合等を含むことを意味する。
ロッドおよびガイドにより球状の被検眼を圧平していくと、ロッドに加わる接触力は増加し、被検眼の圧平面積が接触面の面積と等しくなった時点で最大になる。さらに圧平していくと、圧平面積が接触面の面積を超えて、被検眼が接触面の周囲のガイド面に接触し、ロッドに作用していた角膜の剛性による力等がガイドに分散されて接触力が減少する。
従って、接触力の最大値は、接触面の面積および圧平面積が同じときの接触力、つまり、全面接触力の値と略同じになるので、この最大値を補正して眼圧を求めることで、圧平面積を測定しなくても、眼圧測定に必要な全面接触力の値を簡単に検出できる。
【0015】
そして、前記ロッドおよびガイドは、前記被検眼を瞼の上から圧平するものであることが好ましい。
このように、瞼の上から被検眼を圧平しても、瞼の剛性による力は、角膜の剛性による力とともに、接触力中の不要な力成分に含まれるため、前述した補正によって除去できるから、眼圧を精度よく測定できる。
また、このようにすれば、被検者に恐怖感を与えることがなくなるとともに、角膜の損傷を防止でき、点眼麻酔が不要になるので測定を容易化できる。従って、被検者自身或いは測定に習熟しない検者でも眼圧を測定できるから、在宅での簡易な眼圧測定を実現できる。
【0016】
また、前述したように、従来の接触圧平式/非接触式眼圧計による眼圧測定では、角膜に直接応力が加わるので恐怖感を与えるうえ、特に、接触圧平式眼圧計を用いた場合には、測定に習熟を要するうえに麻酔が必要なことから、在宅での簡易な眼圧測定には不向きであった。
本発明では、被検眼の圧平を瞼の上から行うため、被検者に恐怖感を与えることがなくなるとともに、角膜の損傷を防止でき、点眼麻酔が不要になるので測定を容易化できる。従って、被検者自身或いは測定に習熟しない検者でも眼圧を測定できるようになり、在宅での簡易な眼圧測定を実現できる。
【0022】
そして、眼圧計には、前記被検眼の視点を固定するために、当該被検眼でない方の眼に前方を固視させるための固視灯が設けられていることが好ましい。
このような固視灯を眼圧測定時に点灯させ、被検眼でない方の眼に前方を固視させれば、この他方の眼とともに被検眼の視点が固定されるので、被検眼を容易にロッドに正対させることができる。
とくに、瞼の上から被検眼を圧平する場合には、被検眼とロッドとを正対させることが困難なため、固視灯による視点固定効果が顕著に得られる。
【0023】
さらに、接触力検出手段は、ロードセルを有して構成されていることが好ましく、これによると、簡単に構成できるうえ、接触力を電気的に検出できるので、最大接触力検出手段における接触力の最大値の検出を容易に行える。
また、本発明の眼圧計では、前記不要な力成分を求めてメモリに格納する校正モードと、前記メモリに格納された前記不要な力成分に基いて前記被検眼の眼圧を求める測定モードとを有することが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の眼圧計1が示されている。眼圧計1は、被検眼4(図2参照)を圧平してその反力を検出する測定部10と、この測定部10の出力から眼圧を求めるための処理部20と、被検眼4の視点を固定させるための固視灯30とを有して構成されている。
【0025】
測定部10は、被検眼4を圧平するためのロッド11と、このロッド11の周囲に設けられたガイド12と、ロッド11に加えられた力を検出するための接触力検出手段であるロードセル13とを備えている。
ロッド11は、先端に平面状の接触面11Aを有して円柱状に形成され、この接触面11Aで瞼41(図2参照)の上から被検眼4を押圧するようになっている。
このロッド11の基端部には、前記ロードセル13が接続され、被検眼4の圧平によって接触面11Aにかかる力を検出できるようになっている。なお、ロードセル13の種類は特に限定されないが、眼圧による力は比較的小さいことから、例えば、歪みゲージ式ロードセルを採用できる。
【0026】
ガイド12は、ロッド11の周囲に円筒状に設けられ、ロッド11およびロードセル13を覆うカバー14と一体的に形成されている。
ガイド12の接触面11A側の端面は、ガイド面12Aとされ、当該ガイド面12Aは、ロッド11の接触面11Aと略同一平面内に面一に形成されている。このような接触面11Aおよびガイド面12Aにより、平面状の圧平面10Aが構成されている。
【0027】
固視灯30は、被検眼4から見て測定部10よりも後方に配置されている。
眼圧測定の際には、この固視灯30を被検眼4でない他方の眼5(図2参照)で視て、被検眼4の角膜42(図2参照)の位置を前方に固定させ、その状態で、測定部10を被検眼4に向かって移動させ、圧平面10Aを瞼41の上から角膜42に押し当てて徐々に圧平する。すると、圧平によりロッド11に加わる力がロードセル13で検出される。
【0028】
処理部20は、ロードセル13に接続された接触力検出手段としての接触力測定回路21と、この接触力測定回路21に接続された最大接触力検出手段である最大値検出回路22と、この最大値検出回路22に接続された最大値補正手段としての接触力−眼圧換算・表示回路23と、この接触力−眼圧換算・表示回路23に接続された表示部24およびメモリ25と、メモリ25に接続された入力手段26および校正用演算回路27とを有して構成されている。
【0029】
接触力測定回路21は、ロードセル13の出力信号の増幅等の処理を行うとともに、ロードセル13で検出したロッド11に加わる力としてのデータを、ロッド11の接触面11Aの単位面積当たりに作用する力、つまり接触力に変換する処理を行う。
最大値検出回路22は、接触力測定回路21の出力から、ロッド11に加えられた接触力の最大値を検出するものである。
接触力−眼圧換算・表示回路23は、最大値検出回路22の出力信号から眼圧値を求める後述の演算処理を行って、表示部24に表示させる。
【0030】
メモリ25は、この演算処理に必要なデータ、例えば、接触力の最大値に含まれる不要な力成分(後述)のデータ等を格納するためのものである。
校正用演算回路27は、この不要な力成分を求めるための部分であり、ここでの演算処理に必要なデータは、入力手段26によってメモリ25に書き込めるようになっている。
【0031】
なお、本実施形態の眼圧計1は、図示しないモード選択スイッチを備え、このモード選択スイッチを切り換えることにより、接触力の最大値から不要な力成分を求める処理を行う校正モードと、メモリ25に格納された接触力中の不要な力成分のデータに基づく処理を行って眼圧値を求める測定モードとを選択できるようになっている。
【0032】
このような本実施形態の眼圧計1を用いた眼圧測定は、次のような手順で行う。
先ず、眼圧計1をモード選択スイッチにより測定モードとし、図2に示すように、被検眼4および測定部10の圧平面10Aを対向させるとともに、被検眼4を閉眼状態とし、当該被検眼4でない他方の眼5を開眼状態とする。
そして、この他方の眼5で、点灯させた固視灯30を視ることで、被検眼4の角膜42の位置を前方に固定し、角膜42を圧平面10Aと同一軸上に正対させる。
【0033】
その状態で、測定部10を被検眼4に向かって前進させ、瞼41の上から眼球を圧平する。すると、圧平によってロッド11に加わる力が、ロードセル13により検出されて接触力測定回路21に入力される。接触力測定回路21は、ロードセル13の出力信号を処理して、ロッド11の接触面11Aに作用する単位面積当たりの力、つまり、接触力を求める。
【0034】
ここで、圧平に伴う接触力の変化を、図3および図4を参照して説明する。
瞼41の上から被検眼4の圧平を開始すると、被検眼4の表面となる瞼41の表面は半球状の曲面であるため、図3(A)に示すように、被検眼4への接触は、圧平面10Aの接触面11Aから始まる(図4中の▲1▼)。
被検眼4を徐々に圧平していくと、圧平に対する反発力により、接触力が徐々に増加する。このとき、被検眼4の圧平面積Sは、接触面11Aの面積Rよりも小さい(S<R)。
【0035】
さらに圧平を続けると、図3(B)に示すように、ロッド11の接触面11Aの全面が被検眼4に接触して、圧平面積Sがロッド11の接触面11Aの面積Rと等しくなり(S=R)、この時点でロッド11に加わる接触力が最大になる(図4中の▲2▼)。
このように、被検眼4にロッド11のみが接触した状態においては、眼圧による力とともに、圧平に対する瞼41の反力および角膜42の反力がロッド11に作用する。このため、接触力には、眼圧による力以外に、瞼41および角膜42の剛性による力が、不要な力成分として含まれるようになる。
【0036】
さらに圧平していくと、図3(C)に示すように、圧平面積Sが接触面11Aの面積Rを超えて(S>R)、被検眼4が接触面11Aの周囲のガイド面12Aに接触する。すると、これまでロッド11に作用していた瞼41の剛性による力および角膜42の剛性による力がガイド12に分散されて、接触力が減少する(図4中の▲3▼)。
このように、ロッド11に加わる接触力は、被検眼4の圧平面積Sとロッド11の接触面11Aの面積Rとが等しくなったときに最大となる。
【0037】
このような接触力のデータ、つまり、接触力測定回路21の出力信号は、最大値検出回路22に入力される。
最大値検出回路22は、接触力測定回路21の出力信号から最初のピーク値を検出し、図4中の▲2▼に示される接触力の最大値、つまり、圧平面積Sが接触面11Aの面積Rと等しくなった状態(S=R)の接触力である全面接触力を検出して出力する。
【0038】
この最大値検出回路22の出力信号は、接触力−眼圧換算・表示回路23により、メモリ25に格納された全面接触力に含まれる不要な力成分のデータに基づいて補正され、眼圧として検出される。
つまり、本実施形態の眼圧計1では、瞼41の上から被検眼4を圧平するため、接触力の最大値には、眼圧による力だけでなく、瞼41の剛性による力および角膜42の剛性による力等が不要な力成分として含まれている。この不要な力成分は、被検眼4毎に一定であるため、予め求めておいてメモリ25に格納しておく。
【0039】
この全面接触力に含まれる不要な力成分を求める作業は、眼圧測定を行う前に行う。
すなわち、予め、ゴルドマン眼圧計等の基準となる眼圧計を用いて被検眼4の眼圧を測定して標準となる眼圧を求め、この標準眼圧を入力手段26によりメモリ25に入力しておく。
そして、本実施形態の眼圧計1を用い、モード選択スイッチにより処理モードを校正モードとする以外は前述した手順と同様にして、被検眼4の測定を行う。この眼圧計1による測定は、被検眼4の眼圧が前述した標準眼圧の測定時と同じとき、例えば、標準眼圧の測定の直後等に行う。これにより、最大値検出回路22により検出される接触力の最大値は、先に測定した標準眼圧に、瞼41および角膜42の剛性による力等の不要な力成分を加わえたものとして得られる。
【0040】
校正モードでは、最大値検出回路22の出力が、校正用演算回路27に入力される。校正用演算回路27は、メモリ25から予め測定した標準眼圧のデータを読み出し、接触力の最大値のデータと比較して、この最大値に含まれる不要な力成分を求めてメモリ25に記憶させる。
【0041】
このようにして求めた不要な力成分のデータは、測定モードでの眼圧測定において、接触力−眼圧換算・表示回路23による処理に用いられる。この接触力−眼圧換算・表示回路23は、メモリ25から不要な力成分のデータを読み出して、接触力の最大値から不要な力成分を除去して眼圧値を求め、その眼圧値を表示部24に表示させる。
【0042】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
すなわち、予め基準となる眼圧計で被検眼4の眼圧を測定し、この標準眼圧と全面接触力との関係を求めておき、眼圧測定の際には、この関係に基づいて全面接触力の値を補正して眼圧を求めるため、全面接触力に含まれる瞼41および角膜42の剛性による力等の不要な力成分を完全に除去できるから、優れた測定精度が得られる。
また、ロッド11に加わる接触力のみから眼圧を求めることができるので、ロッド11の移動量の測定やその位置決め等をしなくてもよくなるから、眼圧測定を簡略化できる。
【0043】
さらに、ロッド11の周囲に、その接触面11Aと略同一平面内にガイド面12Aを有するガイド12を設け、被検眼4を圧平しながらロッド11の接触力を測定して接触力の最大値を求めることで、全面接触力を求めるため、圧平面積Sを測定しなくても、眼圧を求めるのに必要な全面接触力の値、つまり、圧平面積Sおよび接触面11Aの面積Rが同じときの接触力を簡単に検出できる。
【0044】
また、本実施形態の眼圧計1は、最大値検出回路22を有するので、接触力の最大値、つまり、圧平面積Sと接触面11Aの面積Rとが等しくなったときの接触力(全面接触力)を簡単かつ確実に検出できる。
また、最大値の検出は、降下点の検出よりも簡単に行えるので、最大値検出回路22を簡単に構成できるから、眼圧計1の複雑化を抑制できる。
さらに、測定時に被検眼4の圧平状態を判定しなくてもよいので、従来の非接触式眼圧計のような複雑な光学系が必要なくなり、構造を簡単にできるとともに安価に製造できる。
そして、ロッド11に加わる接触力のみから眼圧を求めることができるので、従来の荷重検出式眼圧計のようにロッド11の移動量の測定やその位置決めを行う手段等が必要なくなるから、構造の簡略化を図ることができる。
【0045】
そして、被検眼4の圧平を瞼41の上から行うことで、被検者に恐怖感を与えることがなくなるとともに、角膜42の損傷を防止でき、点眼麻酔が不要になるので測定を容易化できる。従って、被検者自身或いは測定に習熟しない検者でも眼圧を測定できるようになり、在宅での簡易な眼圧測定を実現できる。
この場合、瞼41の剛性による力は、角膜42の剛性による力とともに、眼圧による力以外の不要な力成分として接触力に含まれるので、接触力−眼圧換算・表示回路23による補正によって除去できるから、眼圧を精度よく測定できる。
【0046】
そして、眼圧計1には、固視灯30が設けられているため、被検眼4の視点を固定させることができるから、瞼41の下の角膜42をロッド11と容易に正対させることができる。
【0047】
さらに、ロードセル13を用いて接触力を検出するようにしたので、簡単に構成できるうえ、接触力を電気的に検出できるので、最大値の検出を最大値検出回路22により容易に行える。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。
すなわち、前記実施形態では、瞼41の上から被検眼4の圧平を行う場合について説明したが、角膜を直接ロッドで圧平してもよい。この場合、瞼の剛性による力は、接触力に含まれる不要な力成分から除去されるが、瞼の上から測定した場合と同様な原理で眼圧を測定できる。
【0049】
前記実施形態では、ロードセル13で検出したロッド11に加わる力を、接触力測定回路21で接触力に変換してから、最大値検出回路22において接触力の最大値を検出するようにしたが、ロードセルに加わる力を接触力のデータに変換する前に、ロードセルに作用する力の最大値を検出し、この最大値のみを接触力のデータに換算するようにしてもよい
要するに、処理部は、接触力検出手段と最大接触力検出手段と最大値補正手段とを含むものであれば、その構成は任意である。
【0050】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の眼圧計によれば、基準となる眼圧計で測定した眼圧と、被検眼をロッドの接触面の全面で圧平したときの接触力との関係を予め求め、この関係に基づいて、ロッドの接触面の全面で被検眼を圧平したときの接触力の測定値を補正して眼圧を求めるため、角膜の反力等を含む不要な力成分を全面接触力の値から完全に除去できるから、優れた測定精度が得られる。
また、接触力のみから眼圧を求めることができるので、ロッドの移動量の測定やその位置決め等をしなくてもよくなるから、眼圧測定を簡略化できる。
【0051】
また、本発明の眼圧計によれば、被検眼およびロッドが接触したときの接触力の最大値を求める最大接触力検出手段を備えているため、接触力の最大値、つまり、ロッドの接触面の全面で被検眼を圧平したときの接触力を簡単かつ確実に検出できる。
この最大値の検出は、降下点の検出よりも簡単な処理で行えるので、眼圧計の複雑化を抑制できる。
さらに、被検眼の圧平状態を観察する手段が不要になるため、従来の非接触式眼圧計のような複雑な光学系が必要なくなり、構造を簡単にできるとともに安価に製造できる。
そして、ロッドに加わる接触力のみから眼圧を求めることができるので、従来の荷重検出式眼圧計のようにロッドの移動量の測定やその位置決め等を行う手段が不要になるから、構造の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す図。
【図2】前記実施形態の眼圧計を用いた眼圧測定時の様子を示す図。
【図3】前記実施形態の眼圧測定における被検眼の圧平状態を示す図。
【図4】前記実施形態の接触力と被検眼の圧平量との関係を示す線図。
【符号の説明】
1 眼圧計
4 被検眼
11 ロッド
11A 接触面
12 ガイド
12A ガイド面
13 ロードセル(接触力検出手段)
21 接触力測定回路(接触力検出手段)
22 最大値検出回路(最大接触力検出手段)
30 固視灯

Claims (5)

  1. 被検眼の眼圧を測定するための眼圧計であって、
    先端の接触面で前記被検眼を圧平するロッドと、
    このロッドの周囲に設けられて前記接触面と略同一平面内にガイド面を有するガイドと、
    前記ロッドおよび前記被検眼が接触したときの接触力を検出するための接触力検出手段と、
    この接触力の検出値から当該接触力の最大値を求める最大接触力検出手段と
    角膜の剛性による反力を含み眼圧による力以外であって前記接触力の検出値に含まれる不要な力成分に基いて前記接触力の最大値を補正することにより前記被検眼の眼圧を求める最大値補正手段とを備え、
    前記不要な力成分は、基準となる眼圧計で予め測定した前記被検眼の標準眼圧と、予め検出された前記接触力の最大値との関係に基いて求められることを特徴とする眼圧計。
  2. 請求項1に記載した眼圧計において、
    前記ロッドおよびガイドは、前記被検眼を瞼の上から圧平するものであることを特徴とする眼圧計。
  3. 請求項1または請求項2に記載した眼圧計において、
    前記被検眼の視点を固定するために、当該被検眼でない方の眼に前方を固視させるための固視灯が設けられていることを特徴とする眼圧計。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載した眼圧計において、
    前記接触力検出手段は、ロードセルを有して構成されていることを特徴とする眼圧計。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載した眼圧計において、
    前記不要な力成分を求めてメモリに格納する校正モードと、前記メモリに格納された前記不要な力成分に基いて前記被検眼の眼圧を求める測定モードとを有することを特徴とする眼圧計。
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