JP3832695B2 - 中空カムシャフトの製造方法および中空カムシャフト - Google Patents

中空カムシャフトの製造方法および中空カムシャフト Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用エンジンの吸排気弁を駆動するカムシャフトの製造方法に係わり、さらに詳しくは、中空の一体構造をなし、エンジンの軽量化に寄与するカムシャフトを優れた生産性のもとに製造することができる中空カムシャフトの製造方法、およびこのような製造方法により製造した中空カムシャフトの形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記したようなエンジン用カムシャフトは、従来、鋳造や鍛造、あるいは丸棒鋼からなるシャフトにカムピースやジャーナルピースを溶接することによって製造されていたが、最近ではエンジンの軽量化を目的として、シャフトに鋼管を用いた中空カムシャフトが実用化され、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンに広く採用されている。
【0003】
このような中空カムシャフトは、耐摩耗性を備えたカムピースやジャーナルピースに鋼管を通した状態で、鋼管内部に液圧をかけて拡管させることによって、鋼管の外周部にカムピースやジャーナルピースを固定するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の中空カムシャフトにおいては、例えば、図8に示すように、焼結、あるいは鍛造したのち浸炭焼入れを施すことによってそれぞれ作成したカムピース101やジャーナルピース102を金型100内にセットしたのち、これらカムピース101やジャーナルピース102にあらかじめ形成した挿通孔に鋼管103を通して液圧拡管を行う工程となっていることから、部品点数が多く、製造工程が多段階にわたるために生産性が低いという問題と共に、このような中空カムシャフトにおいては、カムピース101およびジャーナルピース102を鋼管103の外周面に強固に固定する必要があることから、カムピース101やジャーナルピース102を中空化することが困難なために、軽量化にも限界があるという問題点があって、これらの問題点を解決することが、中空カムシャフトの製造コストを低減し、中空カムシャフトのさらなる軽量化のための課題となっていた。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、従来の中空カムシャフトにおける上記課題に着目してなされたものであって、生産性に優れ、カムシャフトのより以上の軽量化が可能な中空カムシャフトの製造方法と、このような方法によって製造され、構造的に強度および耐久性に優れた中空カムシャフトを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、素材鋼管に塑性加工を施して最終仕上げ形状に近似した形状を有するカムシャフト粗材を形成したのち、該カムシャフト粗材のカム摺動面の一部もしくは全部にレーザ肉盛りを施して中空カムシャフトを製造するに際し、素材鋼管の外径をカムシャフト粗材の最大外周寸法となるカムロブ部の外面直径(Rb+h2 )と最小寸法となるジャーナル部の外径(2Rj )との中間寸法とし、当該素材鋼管のジャーナル相当部位を成形型を用いた塑性加工によってあらかじめ50%以下の縮径率に縮径加工したのち、カムロブ部を膨出成形し、気筒間におけるカムシャフト軸部の外径寸法(2Rs )をカムロブ部間に位置するジャーナル部の外径(2Rjf)よりも大きくし、かつカムシャフト粗材のカムロブ部における肉盛り面を仕上げカム形状に対して0.3〜0.7mmだけ小さく成形したのち、カムシャフト粗材のカム摺動面に耐摩耗材料をレーザ肉盛りする構成としており、中空カムシャフトの製造方法におけるこのような構成を前述した従来の課題を解決するための手段としたことを特徴としている。
【0007】
本発明の中空カムシャフトの製造方法の実施態様として請求項2に係わる製造方法においては、カムシャフト粗材におけるカムロブ部のベースサークル径(2Rb )よりも小さく、かつ回転軸芯からカムロブ部のノーズトップまでの距離(h2 )よりも大きい外径の素材鋼管を用いる構成とし、同じく実施態様として請求項3に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、膨出成形に際して、少なくともカムロブ成形部を含む部分とそれ以外の部分とが分割された構造の成形型を使用し、カムロブ成形部を含む型をカムシャフトのカムロブ間隔よりも広い間隔で配置した状態の成形型に縮径加工後の鋼管をセットしたのち、カムロブ成形部を含む型を所定のカムロブ間隔となるように軸方向に移動させながら、鋼管に内圧を負荷する構成としたことを特徴としている。
【0008】
また、実施態様として請求項4に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、膨出成形に際して、鋼管への内圧負荷と同時に、カムロブ部の軸方向寸法が最終寸法となるようにカムロブ成形部を含む型をすべて同時に移動させる構成、同じく実施態様として請求項5に係わる中空カムシャフトの製造方法においては膨出成形に際して、鋼管を軸方向に圧縮しながら内圧を高める構成、請求項6に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、縮径加工後の鋼管における隣接する縮径部位の間に挟まれる部分の長さをカムシャフトの隣接するジャーナル部により挟まれる部分の長さよりもカムロブ幅の1/2〜2倍の長さだけ長くする構成、請求項7に係わる中空カムシャフトの製造方法においては膨出成形に際して、縮径加工後の鋼管に80〜200MPaの内圧をかける構成、請求項8に係わる中空カムシャフトの製造方法においてはカムシャフト粗材におけるジャーナル部の外径(2Rj )を研削仕上げ加工後のジャーナル部の外径(2Rjf)に対して、2Rjf+0.1mm≦2Rj ≦2Rjf+0.5mmの範囲に成形する構成とし、請求項9に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフト粗材のカムロブ部におけるジャーナル部側の縦壁面がカムシャフト回転軸に対して垂直であると共に、前記縦壁面がカムシャフト軸部に対してジャーナル部を含むカムロブ部の間の距離の0.1倍以下の曲率半径を備えた曲面を介して連続する形状に成形する構成とし、請求項10に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフト粗材におけるカムロブ部のイベント部からノーズトップにわたる部分をレーザ肉盛りする構成とし、当該請求項10記載の製造方法の実施態様として請求項11に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフト粗材のカムロブ部におけるベースサークル径(2Rb )を研削仕上げ加工後のベースサークル径(2Rbf)に対して、2Rbf+0.5mm≦2Rb ≦2Rbf+1.5mmの範囲に成形する構成としたことを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明の中空カムシャフトの製造方法の実施態様として請求項12に係わる製造方法においては、カムシャフト粗材の一方の端部外径よりも大きい内径の挿着孔をスプロケット取付ピースに形成すると共に、該挿着孔に前記カムシャフト粗材の一方の端部を挿通した状態でカムシャフト粗材の一方の端部を拡管し、当該端部にスプロケット取付ピースを固定する構成とし、当該製造方法の実施態様として請求項13に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフト粗材の一方の端部における内径寸法よりも大きな外径を備えたプラグをカムシャフト粗材の他方の端部側から挿入してカムシャフト粗材の一方の端部を拡管する構成としたことを特徴としており、このような中空カムシャフトの製造方法の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0010】
本発明の請求項14に係わる中空カムシャフトは、請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、気筒間におけるカムシャフト軸部の外径(2Rs )と、カムロブ部間に位置するジャーナル部の外径(2Rjf)と、カムロブ部のベースサークル径(2Rbf)の間に、1.2Rjf<Rs <0.9Rbfの関係が成り立つ構成としたことを特徴としており、本発明の請求項15に係わる中空カムシャフトは、請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムロブ部における気筒間側の縦壁面と気筒間のカムシャフト軸部の間が連結面を介して連続している構成とし、実施態様として請求項16に係わる中空カムシャフトにおいては前記連結面が気筒間のカムシャフト軸部と接する点と、連結面がカムロブ部における気筒間側の縦壁面と接する点とを結ぶ直線がカムシャフト回転軸に垂直な面に対してなす角度が10°〜80°の範囲である構成としたことを特徴としており、本発明の請求項17に係わる中空カムシャフトは、請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムロブ部のイベント部からノーズトップにわたる部分の肉厚が0.9〜1.4mm、ベースサークル部の肉厚が2.0〜4.0mmの範囲である構成としたことを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明の請求項18に係わる中空カムシャフトは、請求項1ないし請求項11のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムシャフトの一端側にスプロケット取付部が一体成形してある構成としたことを特徴としており、中空カムシャフトにおけるこのような構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフトの最終仕上げ形状に近似した形状を備えたカムシャフト粗材を鋼管から塑性加工するに際し、カムシャフト粗材の最大外周寸法であるカムロブ部外面直径、すなわち図1(d)に示す(Rb +h2 )とカムシャフト粗材の最小寸法であるジャーナル部の外径(2Rj )の中間の外径を有する鋼管を素材として使用し、ジャーナル部となる素材鋼管のジャーナル相当部位に型を押し当てながら縮径加工を施した上で、カムロブ部分を膨出成形することにより、その後のレーザ肉盛り加工や研削加工のための加工代(しろ)を考慮したカムシャフトの概略形状に加工するものであって、例えば、図3(a)ないし(c)に示すように、素材として、例えば低炭素鋼の電縫管のような鋼管11のジャーナル相当部位に、縮径加工用の成形型20を押し当てながら鋼管11を回転させる、いわゆる転造加工によって鋼管11にあらかじめ縮径加工を施し、ジャーナル部12を成形しておく。
【0013】
この縮径加工においては、縮径率を50%以下とすることによって、加工時の亀裂や割れの発生を防止することができる。すなわち、100(D0 −D)/D0 (D:縮径後の径,D0 :原径)で定義される縮径率が50%を超えると、縮径加工時に素材鋼管11の表面に剥離状の割れが発生したり、縮径部とこれに隣接する部分の間に亀裂が発生し易くなったりする傾向がある。このとき、カムシャフト1の軸強度を向上させるため、図1(b)に示す気筒間におけるカムシャフト軸部4の外径寸法2Rs をカムロブ部3,3の間に位置するジャーナル部2の外径2Rjfよりも大きく設定する。
また、素材鋼管11の外径については、請求項2に記載しているように、カムシャフト粗材のベースサークル径2Rbよりも小さく、かつ回転軸芯Oからカムノーズトップまでの距離h2よりも大きい(図1(d)参照)ものを使用することが、縮径加工および膨出加工時の成形割れを防止すると共に、加工工程を少なくするという観点からより好ましい。これは、素材鋼管11の外径がベースサークル径2Rb以上の場合には、ベースサークル径2Rbにまで縮径する工程が必要となって生産性が低下し、回転軸芯Oからカムノーズトップまでの距離h2以下の場合には、膨出成形時に所望の肉厚を確保することが困難となり、場合によっては成形割れが発生しやすくなる傾向があることによる。
【0014】
図3(a)ないし(c)に示した工程によってジャーナル相当部位に縮径加工が施された素材鋼管11は、例えば図4(a)に示すような膨出加工用の成形型30に移動され、当該成形型30内に、図4(b)に示すようにセットされたのち、図4(c)に示すように圧縮力を負荷しながら鋼管11の中空部内な液圧をかけることによって、所望の部分を膨出成形させる、いわゆるバルジ加工によって図1(d)に示したような断面形状を備えたカムシャフト粗材10に成形される。
【0015】
この膨出加工用の成形型30は、請求項3に記載しているように、カムシャフト粗材10のカムロブ部13を成形するカムロブ型31と、それ以外の部分、すなわちカムシャフト粗材10のスプロケット側端部14を成形する端部型32、ジャーナル部12を成形するジャーナル型33、およびカムシャフト粗材10の気筒間軸部15を成形する気筒間型34とがそれぞれ分割された構造となっており、素材鋼管11のセットに際しては、図4(a)あるいは(b)に示すように、カムシャフト粗材10のカムロブ部13を成形するカムロブ型31を仕上り状態のカムシャフト1における気筒間のカムロブ間隔LC(図1(b)参照)よりも広い間隔に配置しておき、膨出成形時に、請求項4に記載しているように内圧をかけながら、同時にカムロブ型31を前記カムロブ間隔LCになるまで移動させることが膨出部分の肉厚を保持し、成形割れを防止する観点から望ましい。
【0016】
膨出成形に際して素材鋼管11に負荷する内圧としては、請求項7に記載しているように、80〜200MPaの範囲とすると共に、請求項5に記載しているように内圧を徐々に高めていくことが所望の膨出形状を得るために好ましい。このとき、内圧が80MPaより小さいとカムロブ部13やジャーナル部12を所望の形状に成形し難くなる傾向があり、内圧が200MPaより大きいと急激な肉厚変化による強度不足や成形割れが生じ易くなる傾向がある。
【0017】
また、請求項6に記載しているように、縮径加工後の鋼管11における隣接する縮径部位12,12の間に挟まれる部分の長さLO (図3(c)参照)をカムシャフト1の隣接するジャーナル部2,2により挟まれる部分の長さ、すなわち図1(b)に示す気筒間のカムロブ間隔LCよりもカムロブ幅Wの1/2〜2倍の長さだけ長くし、この分をいわゆる寄せ代とすることが肉余りによるしわの発生の防止、あるいは膨出部分の肉厚を確保し、成形割れを防止する観点から望ましい。これは、上記寄せ代がカムロブ幅Wの1/2より短いと膨出成形に際して成形割れが発生しやすく、カムロブ幅Wの2倍の長さよりも長いとしわが発生しやすくなる傾向があることによる。
【0018】
本発明に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、前述したように、カムシャフト粗材の膨出成形に際して、膨出成形後に行う耐摩耗材料の肉盛りや、研削仕上げ加工を考慮した寸法に成形するものであるが、カムシャフト粗材10のジャーナル部12の外径2Rj (図1(d)参照)については、請求項8に記載しているように、研削仕上げ加工後、すなわち製品としてのカムシャフト1のジャーナル部2の外径2Rjf(図1(c)参照)に対して、+0.1mmから+0.5mmまでの範囲(2Rjf+0.1mm〜2Rjf+0.5mm)に成形することがジャーナル部の駄肉を最小限にすると共に、必要な肉厚を確保して加工工程を少なくする観点において望ましい。また、ジャーナル部12の仕上げ加工工数を削減するためには、請求項9に記載しているように、図2(a)および(b)に示すカムシャフト粗材10におけるカムロブ部13のジャーナル部12の側の縦壁面Aがカムシャフト粗材10の回転軸に対して垂直であると共に、この縦壁面Aがカムシャフト軸部に対して、ジャーナル部12を含むカムロブ部13,13の間の距離Lj の0.1倍以下の曲率半径R(R≦0.1Lj )を備えた曲面を介して連続するようにカムシャフト粗材10を成形することが望ましい。すなわち、縦壁面Bと軸部との間を結ぶ曲面の曲率半径Rが0.1Lj を超える場合には、カムシャフトの形状によっては他の部品との干渉を避けるために、ジャーナル部12の両端部の加工を施す必要が生じるのに対し、前記曲率半径Rを0.1Lj 以下とすることにより、ジャーナル部12とカムロブ部13の間に溝加工を施す必要がなくなり、仕上げ加工時間が短縮されると共に、カムシャフト1の精度品質を向上させることができる。
【0019】
そして、カムシャフト粗材10のカムロブ部13におけるカム摺動面に耐摩耗材料をレーザ肉盛りするに際しては、カムシャフト粗材10の肉盛り面を仕上げカム形状(製品形状)に対して、あらかじめ0.3〜0.7mmだけ小さく膨出成形しておくことによって、肉盛り厚さを確保してカムシャフト粗材10にカムシャフトとして必要な耐摩耗性を付与することができる。これは、仕上げカム形状との寸法差が0.3mmに満たない場合は、肉盛り後の研削仕上げ加工の工数が増すと共に、肉盛り層の厚さが不足して耐摩耗性が十分に得られず、逆に寸法差が0.7mmを超えた場合には、肉盛り工数および耐摩耗材料の消費量が増加してコストアップの原因となることによる。また、カム摺動面への耐摩耗材料のレーザ肉盛りに際しては、カムシャフトとしての耐摩耗性を向上させるためには、その全周に肉盛りを施すことが望ましいが、特に必要な部位のみに耐摩耗性を付与して加工時間および耐摩耗材料の付加を最小限にして当該カムシャフトのコスト低減を図るためには、請求項10に記載しているように、カムロブ部13のイベント部からノーズトップに亘って耐摩耗材料を肉盛りするようになすこともできる。なお、この場合のカムシャフト粗材10におけるカムロブ部13のベースサークル径2Rb(図1(d)参照)については、請求項11に記載しているように、研削仕上げ加工後、すなわち製品としてのカムシャフト1のカムロブ部3の外径2Rbf(図1(c)参照)に対して、+0.5mmから+1.5mmまでの範囲(2Rb+0.1mm〜2Rb +0.5mm)に成形することが望ましく、これによって必要な肉厚を確保すると共に、仕上げ加工時間を短縮することができ、生産性およびコスト面で有利なものとなる。この場合、レーザ肉盛りを施すカムロブ部13のイベント部からノーズトップにわたる部分について、仕上げカム寸法に対して0.3〜0.7mmだけ小さく成形しておくことは前述の通りである。
【0020】
カムシャフト1の端部には、ピストンの往復作動に同期させて吸排気弁を開閉させるべく当該カムシャフト1を回転させるためのスプロケットを装着するスプロケット取付ピースが固定されるが、このスプロケット取付ピースの取付けに際しては、請求項12に記載しているようにスプロケット取付ピースに挿入したカムシャフト粗材10の端部を拡管することによって、かしめ固定するようになすことができる。
【0021】
すなわち、図5(a)ないし(c)は、カムシャフト粗材10の端部にスプロケット取付けピースを固定する要領を示すものであって、3個の円板状部品5aないし5cからなるスプロケット取付ピース5には、図5(a)に示すように、カムシャフト粗材10の端部14における外径寸法よりも僅かに大きい内径を有する挿着孔5dがそれぞれ形成してある。そして、図5(b)に示すように、スプロケット取付ピース5に形成した挿着孔5d内にカムシャフト粗材10の端部14を挿通した状態で当該端部14を拡管することによって、例えば請求項13に記載しているようにカムシャフト粗材10の端部14における内径寸法よりも大きい外径を備えたプラグ6を粗材10の反対側の端部から挿入することによって粗材10の端部14を拡管し、図5(c)に示すようにカムシャフト粗材10の端部14にスプロケット取付ピース5をかしめて固定することができる。このような方法の採用により、例えば溶接などによる接合に較べて、熱による歪みが発生せず、しかも特別な工具を必要としないので、簡単な工程にも拘らず製品の寸法精度および生産性が大幅に向上することになる。
【0022】
なお、この他には、プラグ6を使用することなく、カムシャフト粗材10の膨出成形に際して、鋼管11の端部にあらかじめスプロケット取付ピース5を装着した状態で内圧を負荷し、カムロブ部13の成形と同時に鋼管端部14を拡管することによってスプロケット取付ピース5を固定することも可能である。さらには、スプロケット取付ピースの形状に相当する空隙部を備えたバルジ成形型を用いることによって、図6に示すようにカムシャフト粗材10の膨出成形と同時にスプロケット取付部7を一体的に成形するようになすことも可能である(請求項18)。
【0023】
本発明に係わる中空カムシャフトは、上記した方法によって製造されたものであるが、タベットおよびバルブリフターに対する本来の接触部以外の部位の干渉を防止すると共に、カムシャフト形状への膨出成形時の材料流入を容易にして成形割れやしわなどの発生を防止するためには、請求項14に記載しているように、気筒間におけるカムシャフト軸部4の外径2Rsを、ジャーナル部3の外径2Rjfの1.2倍より大きく、かつカムロブ部3のベースサークル径2Rbfの0.9倍よりも小さくなるようにすることができる。
【0024】
また、カムシャフト粗材10の膨出成形を行うに際して、カムロブ部13のノーズトップへの材料流れを容易にし、気筒間のカムシャフト軸部に発生する歪みを緩和し、割れなどの欠陥発生を未然に防止するために、請求項15に記載しているように、図1(a)および(b)に示すカムロブ部3における気筒間側の縦壁面B(気筒間の軸部4の側の縦壁面)と気筒間のカムシャフト軸部4との間を連結面C(図2(a)および(b)参照)を介して連続するようになすことができ、さらには、請求項16に記載しているように、前記連結面Cが気筒間のカムシャフト軸部4と接する点をP点、カムロブ部3の気筒間側の縦壁面Aと接する点をS点とするとき、これらP点およびS点を結ぶ直線がカムシャフト1の回転軸に垂直な面に対してなす角度θ(図2(b)参照)が10°〜80°の範囲となるようにすることが望ましく、これによってカムシャフトの使用時に発生する圧力によってカムロブ部3のイベント部からノーズトップ部に至る部分が潰れる現象を未然に防止することができるようになる。なお、上記連結面C、および連結面Cの角度θについて、カムシャフト粗材10の形状を示す図2(a)および(b)を用いて説明したが、これは当該部分については仕上げ加工後の製品としてのカムシャフト1との間に形状差がないことによる。
【0025】
そして、本発明に係わる中空カムシャフトの肉厚については、請求項17に記載しているように、カムロブ部3のイベント部からノーズトップに至る部分およびベースサークル部の肉厚がそれぞれ0.9〜1.4mmおよび2.0〜4.0mmの範囲のものとすることができ、これによって中空構造でありながらカムシャフトとして必要な強度および耐久性が確保されることになる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わる中空カムシャフトの製造方法は、上記構成、すなわちレーザ肉盛りなどを施して中空カムシャフトに仕上げるためのカムシャフト粗材を鋼管から塑性加工するに際し、素材として、成形しようとするカムシャフト素材の最大外周寸法であるカムロブ部外面直径(Rb+h2 )と最小寸法であるジャーナル部の外径(2Rj )との中間の外径を有する鋼管を用い、素材鋼管のジャーナル相当部位を成形型を用いた塑性加工によってあらかじめ50%以下の縮径率に縮径加工したのち、カムロブ部を膨出成形して、気筒間におけるカムシャフト軸部の外径寸法(2Rs )をカムロブ部間に位置するジャーナル部の外径(2Rjf)よりも大きくし、かつカムシャフト粗材のカムロブ部における肉盛り面を仕上げカム形状に対して0.3〜0.7mmだけ小さく成形したのち、カムシャフト粗材のカム摺動面に耐摩耗材料をレーザ肉盛りするようにしているので、縮径加工時の亀裂や割れの発生を防止しつつ、耐摩耗性を備えた層の肉厚を確保して、カムシャフトとして必要な耐摩耗性および耐久性を十分に発揮することができ、しかも軸強度に優れ、高回転で高い負荷がかかるエンジンのカムシャフトとして安定した性能を備えた中空カムシャフトを製造することができるという極めて優れた効果をもたらすものである。
【0027】
本発明の中空カムシャフトの製造方法の実施態様として請求項2に係わる製造方法においては、素材鋼管として、成形しようとするカムシャフト粗材のカムロブ部におけるベースサークル径(2Rb )より小さく、回転軸芯からカムロブ部のノーズトップまでの距離(h2 )よりも大きい外径を有する鋼管を用いるようにしているので、成形割れや肉厚不足による強度低下を起こすことなく、縮径加工の工程を必要最小限のものとすることができ、中空カムシャフトの製造コストの削減が可能になる。
【0028】
また、同じく実施態様として請求項3に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムロブ部を成形するカムロブ成形部を含む型とそれ以外の部分の型とを分割構造とした成形型を用い、カムロブ成形部の型を目的のカムロブ間隔よりも広い間隔で配置した成形型に縮径加工した鋼管をセットしたのち、カムロブ成形部を含む型を所定のカムロブ間隔となるように軸方向に移動させながら、鋼管に内圧を負荷して膨出成形するようにしているので、成形割れを生じることなく膨出部分の肉厚を確保することができ、当該請求項3の製造方法の実施態様として請求項4に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、膨出成形に際して、鋼管に内圧を負荷すると同時に、カムロブ成形部を含む型をすべて同時に移動させるようにしているので、成形割れを発生させることなく、とくにカムロブ部の膨出成形部を所望の形状に成形することができ、すべてのカムロブ部が同時に成形されることから、逐次的な膨出成形に較べて工程を短縮することができ、型数が少なくてすむので生産性の高い成形が可能になり、請求項5に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、膨出成形に際して、鋼管を軸方向に圧縮しながら内圧を高めるようにしているので、肉厚減少による強度低下や成形割れが発生せず、所望の形状を備えた良好な品質の中空カムシャフトを得ることができ、さらに実施態様として請求項6に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、縮径加工後の鋼管における隣接する縮径部位の間に挟まれる部分の長さをカムシャフトの隣接するジャーナル部により挟まれる部分の長さよりもカムロブ幅の1/2〜2倍の長さ分だけ寄せ代として長くするようにしていることから、膨出成形に際して、成形割れと共にしわの発生を防止することができ、本発明の中空カムシャフトの製造方法の実施態様として請求項7に係わる製造方法においては、膨出成形に際して、縮径加工後の鋼管に80〜200MPaの内圧をかけるようにしているので、肉厚減少による強度低下や成形割れのない、所望の形状を備えた良好な品質の中空カムシャフトを得ることができるという優れた効果がもたらされる。
【0029】
本発明の中空カムシャフトの製造方法の実施態様として請求項8に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフト粗材におけるジャーナル部の外径(2Rj )を研削仕上げ加工後のジャーナル部の外径(2Rjf)に対して、0.1mm〜0.5mmの範囲の寸法だけ大きく成形するようにしているので、ジャーナル部の駄肉を最小限のものとして加工工数を少なくすることができ、生産性の向上およびコスト低減が可能になり、同じく実施態様として請求項9に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフト粗材のカムロブ部におけるジャーナル部側の縦壁面がカムシャフト回転軸に対して垂直であると共に、この縦壁面がカムシャフト軸部に対してジャーナル部を含むカムロブ部の間の距離の0.1倍以下の曲率半径を備えた曲面を介して連続するような形状に成形するようにしているので、ジャーナル部とカムロ部との境に溝加工を施す必要がなくなってジャーナル部の仕上げ加工工数を削減することができ。また、実施態様として請求項10に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、耐摩耗材料のレーザ肉盛りに際して、カムシャフト粗材におけるカムロブ部のイベント部からノーズトップにわたる部分をレーザ肉盛りするようにしているので、とくに必要な部位に耐摩耗性を付与することができ、肉盛り加工工数および耐摩耗材料の使用量を必要最小限のものとして生産性の向上およびコスト低減が可能になり、請求項10に係わる製造方法の実施態様として請求項11に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフト粗材のカムロブ部におけるベースサークル径(2Rb)を研削仕上げ加工後のベースサークル径(2Rbf)に対して、0.5mm〜1.5mmの範囲の寸法だけ大きく成形するようにしているので、仕上げ加工工数の削減が可能となり、生産性が向上するという効果がもたらされる。
【0030】
さらに、本発明の中空カムシャフトの製造方法の実施態様として請求項12に係わる製造方法においては、スプロケット取付ピースの取付けに際して、当該取付ピースに設けた挿着孔にカムシャフト粗材の端部を挿通した状態でこの端部を拡管することによってカムシャフト粗材端部にスプロケット取付ピースを固定するようにしているので、短時間で歪みの発生なく高精度に固定することができると共に、各種仕様のエンジンに容易に適用することができ、当該製造方法の実施態様として請求項13に係わる中空カムシャフトの製造方法においては、カムシャフト粗材の内径寸法よりも大きな外径を備えたプラグを他方の端部側から挿入することによってカムシャフト粗材の端部を拡管するようにしているので、特別な工具や治具を必要とせず、スプロケット取付ピースをより簡単かつ高精度に固定することができるという優れた効果が得られる。
【0031】
本発明の請求項14に係わる中空カムシャフトは、請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、気筒間におけるカムシャフト軸部の外径(2Rs )と、カムロブ部間に位置するジャーナル部の外径(2Rjf)と、カムロブ部のベースサークル径(2Rbf)の間に、1.2Rjf<Rs <0.9Rbfの関係が成り立っているので、中空カムシャフトの軸強度をさらに向上させることができると共に、タベットおよびバルブリフターに対する本来の接触部以外の部位の干渉を未然に防止でき、さらに塑性加工時の材料流入が円滑に行われ、成形不良の発生が減少して生産性が向上するばかりでなく、さらなる軽量化が可能になるという極めて優れた効果をもたらすものである。
【0032】
また、本発明の請求項15に係わる中空カムシャフトは、同様に請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムロブ部における気筒間側の縦壁面と気筒間のカムシャフト軸部の間が連結面を介して連続しているので、目的のカム形状への塑性加工に際してノーズトップ部への材料流入が円滑なものとなり、カムシャフトの気筒間部分に発生する歪みを緩和して割れなどの欠陥の発生を未然に防止することができ、生産性の向上が可能になり、実施態様として請求項16に係わる中空カムシャフトにおいては前記連結面が気筒間のカムシャフト軸部と接する点と、連結面がカムロブ部における気筒間側の縦壁面と接する点とを結ぶ直線がカムシャフト回転軸に垂直な面に対してなす角度が10°〜80°の範囲となっているので、使用時の圧力によるカムイベント部からノーズトップ部の潰れを未然に防止することができるという極めて優れた効果がもたらされる。
【0033】
さらに、本発明の請求項17に係わる中空カムシャフトは、同様に請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムロブ部のイベント部からノーズトップまでの部分およびベースサークル部の肉厚がそれぞれ0.9〜1.4mmおよび2.0〜4.0mmの範囲としたものであるから、カムロブ部として必要とされる強度を中空構造によって得ることができ、中空カムシャフトの耐久性を向上させることができる。さらに、本発明の請求項18に係わる中空カムシャフトは、請求項1ないし請求項11のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムシャフトの一端側にスプロケット取付部が一体成形してあるので、スプロケット取付部をカムロブ部などの膨出成形と同時に成形することができ、生産性向上が達成できるという優れた効果がもたらされる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
【0035】
実施例1〜16
素材鋼管11として、低炭素鋼管STKM11A(JIS G 3445)に該当する外径25ないし35mm、肉厚3mmの電縫管を使用し、図3(a)ないし(c)に示した要領によって、素材鋼管11のジャーナル相当部位に各種の縮径率で縮径加工を施したのち、図4(a)に示した成形型30にセットして、図4(b)および(c)に示した要領により、各種の条件の下に鋼管11内に液圧を加えると共に各型31,33,34を同時に移動させつつ、鋼管11を軸方向、図中左側に圧縮することによって、図1(d)および図2(a),(b)に示すような形状を備えたカムシャフト粗材10を得た。これらカムシャフト粗材10の寸法については、回転軸Oからノーズトップまでの距離h2 を27mm、ベースサークル径2Rb を36mmとそれぞれ一定とすると共に、ジャーナル部12の表面からノーズトップまでの距離h1 を12mm,15mm,17mmの3仕様とし(ジャーナル部12の外径2Rj については、距離h1 の仕様に応じてそれぞれ30mm,24mm,20mmとなる)、カムロブ部13の幅Wについてはすべて12mmとした。このようにして得られたカムシャフト粗材10の成形性および欠陥の発生状況などの品質について調査した結果を成形条件と共に表1に示す。
【0036】
なお、上記カムシャフト粗材10には、引き続いてカムロブ部13のカム摺動面に耐摩耗材料がレーザ肉盛りされたのち、当該カム摺動面およびジャーナル部12に研削仕上げ加工が施されると共に、図5(a)ないし(c)に示した要領により、スプロケット取付ピース5がプラグ6を挿入することによってカムシャフト粗材10の端部に取付けられ、図1(a)ないし(c)に示す形状のカムシャフト1が完成する。
【0037】
【表1】
Figure 0003832695
【0038】
表1の実施例1ないし9の結果から明らかなように、外径29〜35mmの素材鋼管11を50%以下の縮径率に縮径加工したのち、分割型を用いて、縮径された鋼管11に成形しようとするカムロブ部13の膨出サイズ、すなわちジャーナル部12の表面からノーズトップまでの距離h1 に応じて80〜190MPaの内圧をかけて膨出成形することにより、成形割れやしわ等のない、良好な形状のカムシャフト粗材10が得られることが確認された。
【0039】
これに対し、実施例10ないし16においては、いずれも許容レベル以上の品質を示したが、膨出成形時の内圧が70MPaとやや低い実施例10においては、カムロブ部13の膨出量が不足しがちで、目的のカムロブ形状が得られにくくなる傾向が認められ、逆に350MPaと膨出成形時の内圧が高い実施例11においては、カムロブ部13に割れが発生しやすくなる傾向があった。また、縮径加工における縮径率が60%と比較的高い実施例14においては過度の縮径に起因する亀裂が生じ易く、外径が25mmと比較的小さい素材鋼管11を用いた実施例15においては膨出成形時に割れが発生し易く、さらに分割されていない一体タイプの成形型を用いて膨出成形を行った実施例16の場合には膨出成形時に肉寄せをうまく行うことができず、割れが発生しやすくなる傾向がそれぞれ認められた。
【0040】
実施例17
素材鋼管11として、中炭素鋼管STKM13A(JIS G 3445)に該当する外径32mm、肉厚3mmの電縫管を使用し、表1に示す実施例3と同じ条件の下に、同様のカムロブ形状を備えたカムシャフト粗材10を得るに際して、膨出成形を2段階に分け、その間に焼鈍を施した。
【0041】
その結果、割れなどの欠陥発生のない良好な形状および品質を備えたカムシャフト粗材10を得ることができ、STKM11Aと比較して成形性が劣る素材を使用した場合にも、膨出成形工程を2段あるいはそれ以上に多段化することによって良好な品質のカムシャフト粗材10が得られることが確認された。
【0042】
実施例18〜23
素材鋼管11として、低炭素鋼管STKM11Aに該当する外径32mm、肉厚3mmの電縫管を使用して、図3(a)ないし(c)に示した要領によって、素材鋼管11のジャーナル相当部位に縮径率40%の縮径加工を施したのち、図4(a)に示した成形型30を用いて、図4(b)および(c)に示した要領により、鋼管11内に150MPaの液圧を加えながら各型31,33,34を同時に移動させ、鋼管11を軸方向に圧縮することによって、図1(d)および図2(a),(b)に示すような形状を備え、ジャーナル部12の軸外径2Rj を23.0〜25.0mmの範囲としたカムシャフト粗材10を得た。そして当該カムシャフト粗材10のジャーナル部12を所定の仕上げ径(2Rjf)23.0mmに研削仕上げ加工するのに要する加工時間および表面の仕上げ状態について評価した。その結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0003832695
【0044】
表2の結果から明らかなように、膨出成形後のジャーナル部、すなわちカムシャフト粗材10のジャーナル部12の外径2Rj が23.1mm〜23.5mmの範囲となるように膨出成形された実施例18ないし20においては、ジャーナル部12の加工が研削加工のみで済むため、加工時間が短く、良好な仕上げ状態となっているのに対し、ジャーナル部12の外径2Rj がほとんど仕上げ径寸法2Rjfに等しい実施例21においては、膨出加工の精度によっては部分的な削り残しが生じる可能性があり、ジャーナル部12の外径2Rj が仕上げ寸法2Rjfに対して24.0mmおよび25.0mmと比較的大きい実施例22および23においては、仕上げ状態は良好であるものの、研削代が多くなって仕上げ加工時間が長くなる傾向が認められた。
【0045】
実施例24〜31
素材鋼管11として、低炭素鋼管STKM11Aに該当する外径32mm、肉厚3mmの電縫管を使用し、上記実施例と同様に、図3(a)ないし(c)に示した要領によって、素材鋼管11のジャーナル相当部位に縮径率40%の縮径加工を施したのち、図4(a)に示した成形型30を用いて、図4(b)および(c)に示した要領により、鋼管11内に150MPaの液圧を負荷しながら各型31,33,34を同時に移動させ、鋼管11を軸方向に圧縮することによって、図1(d)および図2(a),(b)に示すような形状を備えたカムシャフト粗材10を得た。そして、当該カムシャフト粗材10のカムロブ部13のイベント部からノーズトップにかけて耐摩耗材料をレーザ肉盛りすると共に、当該カムロブ部13のカム摺動面およびジャーナル部12に研削仕上げ加工を施すことによって、図1(a)ないし(c)に示す形状を有し、種々の寸法を備えた8種類のカムシャフト1を得た。なお、カムシャフト素材10の形状および寸法については、膨出成形後の肉盛りおよび仕上げ研削加工を考慮して、ジャーナル部12の外径2Rj についてはその製品寸法2Rjfよりも約0.3mm大きく、カムロブ部13のイベント部からノーズトップにかけての部分については製品寸法よりも約0.5mm小さく、さらにカムロブ部13のベースサークル径2Rb については製品寸法2Rbfよりも約1mmだけ大きく成形すると共に、カムロブ部13のジャーナル部側縦壁面Aとジャーナル部12を形成するカムシャフト軸部との間の曲率半径Rについては1mmとなるように、カムロブ部13の気筒側縦壁面Bと気筒間のカムシャフト軸部との間の連結面Cが回転軸に垂直な面に対してなす角度θについては45°となるように成形した(図2(b)参照)。
【0046】
また、カム摺動面へのレーザ肉盛りに際しては、Hv550の硬さが得られる鋳鉄粉を耐摩耗材料として用いると共に、最大出力3kWのYAGレーザを使用した。
【0047】
この様にして得られた8種類のカムシャフト1は、図7に示すように、ジャーナル部2の中央部に200kgfの荷重をかけ、隣接するジャーナル部2,2で当該カムシャフト1を支持したときの中央部におけるたわみ変位量を測定することによって、その曲げ剛性が評価された。その結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
Figure 0003832695
【0049】
表3から明らかなように、気筒間におけるカムシャフト軸部4の外径2Rs がジャーナル部2の外径2Rjfに等しい実施例28および30(比較例)においては、変位量が大きく軸強度が劣る傾向があるのに対し、気筒間のカムシャフト軸部4の外径2Rs がジャーナル部2の外径2Rjfよりも大きい実施例24ないし27においては、いずれも変位量が小さく軸強度に優れることが確認された。また、気筒間における軸部4の外径2Rs がジャーナル部2の外径2Rjfよりも大きいものの、カムロブ部13のベースサークル径2Rbfに等しい実施例31およびほとんど等しい実施例29においては、軸強度に優れるものの、エンジンに搭載した場合に他部品との干渉が生じる可能性が高くなることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 本発明に係わる中空カムシャフトの最終仕上げ形状を示す斜視図である。
(b) 図1(a)に示した中空カムシャフトの縦断面図である。
(c) 図1(a)に示した中空カムシャフトの形状および寸法を示すカムロブ部における横断面図である。
(d) カムシャフト粗材の形状および寸法を示すカムロブ部における横断面図である。
【図2】(a) 図1(d)に示したカムシャフト粗材の1気筒分の形状および寸法を示す部分断面図である。
(b) 図1(d)に示したカムシャフト粗材の形状をさらに詳しく説明する図2(a)の拡大図である。
【図3】(a)ないし(c)は素材鋼管の縮径加工の手順を示す工程図である。
【図4】(a)ないし(c)は縮径加工された鋼管に膨出成形を施すことによってカムシャフト粗材を成形する手順を示す工程図である。
【図5】(a)ないし(c)はカムシャフト粗材の端部にスプロケット取付けピースを固定する手順を示す工程図である。
【図6】スプロケット取付けピースが一体成形された中空カムシャフトの例を示す断面図である。
【図7】中空カムシャフトの曲げ剛性の評価要領を示す説明図である。
【図8】従来の中空カムシャフトの成形要領を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中空カムシャフト
2 ジャーナル部
3 カムロブ部
4 気筒間の軸部
5 スプロケット取付ピース
5d 挿着孔
6 プラグ
A (ジャーナル部側の)縦壁面
B (気筒間側の)縦壁面
C 連結面
10 カムシャフト粗材
11 素材鋼管
12 (カムシャフト粗材の)ジャーナル部
13 (カムシャフト粗材の)カムロブ部
30 成形型(膨出加工用)
31 カムロブ型(カムロブ成形部を含む型)
O 回転軸芯

Claims (18)

  1. 素材鋼管に塑性加工を施して最終仕上げ形状に近似した形状を有するカムシャフト粗材を形成したのち、該カムシャフト粗材のカム摺動面の一部もしくは全部にレーザ肉盛りを施して中空カムシャフトを製造するに際し、
    素材鋼管の外径をカムシャフト粗材の最大外周寸法となるカムロブ部の外面直径(Rb +h2 )と最小寸法となるジャーナル部の外径(2Rj )との中間寸法とし、当該素材鋼管のジャーナル相当部位を成形型を用いた塑性加工によってあらかじめ50%以下の縮径率に縮径加工したのち、カムロブ部を膨出成形し、気筒間におけるカムシャフト軸部の外径寸法(2Rs )をカムロブ部間に位置するジャーナル部の外径(2Rjf)よりも大きくし、かつカムシャフト粗材のカムロブ部における肉盛り面を仕上げカム形状に対して0.3〜0.7mmだけ小さく成形したのち、カムシャフト粗材のカム摺動面に耐摩耗材料をレーザ肉盛りすることを特徴とする中空カムシャフトの製造方法。
  2. カムシャフト粗材におけるカムロブ部のベースサークル径(2Rb )よりも小さく、かつ回転軸芯からカムロブ部のノーズトップまでの距離(h2)よりも大きい外径の素材鋼管を用いることを特徴とする請求項1記載の中空カムシャフトの製造方法。
  3. 膨出成形に際して、少なくともカムロブ成形部を含む部分とそれ以外の部分とが分割された構造の成形型を使用し、カムロブ成形部を含む型をカムシャフトのカムロブ間隔よりも広い間隔で配置した状態の成形型に縮径加工後の鋼管をセットしたのち、カムロブ成形部を含む型を所定のカムロブ間隔となるように軸方向に移動させながら、鋼管に内圧を負荷することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の中空カムシャフトの製造方法。
  4. 膨出成形に際して、鋼管への内圧負荷と同時に、カムロブ部の軸方向寸法が最終寸法となるようにカムロブ成形部を含む型をすべて同時に移動させることを特徴とする請求項3記載の中空カムシャフトの製造方法。
  5. 膨出成形に際して、鋼管を軸方向に圧縮しながら内圧を高めることを特徴とする請求項3または請求項4記載の中空カムシャフトの製造方法。
  6. 縮径加工後の鋼管における隣接する縮径部位の間に挟まれる部分の長さをカムシャフトの隣接するジャーナル部により挟まれる部分の長さよりもカムロブ幅の1/2〜2倍の長さだけ長くすることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の中空カムシャフトの製造方法。
  7. 膨出成形に際して、縮径加工後の鋼管に80〜200MPaの内圧をかけることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の中空カムシャフトの製造方法。
  8. カムシャフト粗材におけるジャーナル部の外径(2Rj)を研削仕上げ加工後のジャーナル部の外径(2Rjf)に対して、2Rjf+0.1mm≦2Rj ≦2Rjf+0.5mmの範囲に成形することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の中空カムシャフトの製造方法。
  9. カムシャフト粗材のカムロブ部におけるジャーナル部側の縦壁面がカムシャフト回転軸に対して垂直であると共に、前記縦壁面がカムシャフト軸部に対してジャーナル部を含むカムロブ部の間の距離の0.1倍以下の曲率半径を備えた曲面を介して連続する形状に成形することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の中空カムシャフトの製造方法。
  10. カムシャフト粗材におけるカムロブ部のイベント部からノーズトップにわたる部分をレーザ肉盛りすることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の中空カムシャフトの製造方法。
  11. カムシャフト粗材のカムロブ部におけるベースサークル径(2Rb )を研削仕上げ加工後のベースサークル径(2Rbf)に対して、2Rbf+0.5mm≦2Rb ≦2Rbf+1.5mmの範囲に成形することを特徴とする請求項10記載の中空カムシャフトの製造方法。
  12. カムシャフト粗材の一方の端部外径よりも大きい内径の挿着孔をスプロケット取付ピースに形成すると共に、該挿着孔に前記カムシャフト粗材の一方の端部を挿通した状態でカムシャフト粗材の一方の端部を拡管し、当該端部にスプロケット取付ピースを固定することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の中空カムシャフトの製造方法。
  13. カムシャフト粗材の一方の端部における内径寸法よりも大きな外径を備えたプラグをカムシャフト粗材の他方の端部側から挿入してカムシャフト粗材の一方の端部を拡管することを特徴とする請求項12記載の中空カムシャフトの製造方法。
  14. 請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、気筒間におけるカムシャフト軸部の外径(2Rs )と、カムロブ部間に位置するジャーナル部の外径(2Rjf)と、カムロブ部のベースサークル径(2Rbf)の間に、1.2Rjf<Rs <0.9Rbfの関係が成り立つことを特徴とする中空カムシャフト。
  15. 請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムロブ部における気筒間側の縦壁面と気筒間のカムシャフト軸部の間が連結面を介して連続していることを特徴とする中空カムシャフト。
  16. 前記連結面が気筒間のカムシャフト軸部と接する点と、連結面がカムロブ部における気筒間側の縦壁面と接する点とを結ぶ直線がカムシャフト回転軸に垂直な面に対してなす角度が10°〜80°の範囲であることを特徴とする請求項15記載の中空カムシャフト。
  17. 請求項1ないし請求項13のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムロブ部のイベント部からノーズトップにわたる部分の肉厚が0.9〜1.4mm、ベースサークル部の肉厚が2.0〜4.0mmの範囲であることを特徴とする中空カムシャフト。
  18. 請求項1ないし請求項11のいずれかの方法により製造された中空カムシャフトであって、カムシャフトの一端側にスプロケット取付部が一体成形してあることを特徴とする中空カムシャフト。
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