JP3829820B2 - 音響室の施工方法、及び拡散パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望の音響特性を得ることができる音響室の施工方法、及び同施工方法において使用可能な、音の拡散性を有する拡散パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
壁によって区切られた閉空間においては、音源から発せられる音が、対向する壁面間で反射を繰り返す結果、音響障害が生じることがある。しかしながら、コンサートホール、楽器練習室又はホームシアター等の音響室においては、このような音響障害が発生するのは好ましくない。そこで、これらの室内の壁には、繰り返し反射を抑制するための処理が施されている。
【0003】
この音響障害を抑制するための処理の一例として、音を拡散させるための拡散面、及び音を吸収するための吸音面を壁面に設ける処理がある。ここで、音響障害の一つであるフラッタエコ−は、対向する壁面同士が平行である時に発生し易い。そこで、この処理では、湾曲面や複数の四角錐が形成された拡散面を壁面に設け、これにより壁面に入射する音が拡散されている。
従来、音響室を構築する際には、コンピュータシミュレーション等を利用することにより、所望の音響特性が得られるように、拡散面と吸音面の形状や配置が決定され、これに従い、拡散面と吸音面の壁への取り付けが行われていた。便宜的にこの技術を第1の従来技術と呼ぶことにする。
【0004】
上述の拡散面及び吸音面は、それぞれパネル化されている場合がある。これらパネル化された拡散面(以下『拡散パネル』)、及びパネル化された吸音面(以下『吸音パネル』)も、音響室の壁面に適切に配置されることによって、音響室に所望の音響特性を与えることができる。この技術を第2の従来技術と呼ぶことにする。第2の従来技術に関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−158750号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、音響室の音響特性を予測する場合の予測精度は、その音響室の大きさと密接な関係を有している。例えば、コンサートホールのような比較的大規模な音響空間においては、上述したコンピュータ等による音響特性の予測結果と実際の音響特性とは概ね一致する。従って、設計値通りに拡散面や吸音面を配置する事によって、所望の音響特性を得ることができる。しかしながら、例えば楽器演奏室やホームシアター等、比較的小規模の音響室においては、事前の予測結果と実際の音響特性とが大きく異なることが珍しくない。これは、音源と壁面が近い為に直接音と反射音との干渉が起こり易いことなどが影響する為である。従って、このような小規模な音響室では、施工後に、試聴を行うなどして実際の音響特性を確認し、その結果によっては拡散面や吸音面を配置し直す必要がある。
【0007】
このような要求に対して、第1の従来技術では、施工後は拡散面及び吸音面が壁面に固定されてしまっている為、配置を変更するには莫大な手間がかかる。最悪の場合、一旦、拡散面及び吸音面を全て撤去して、音響室を施工し直す必要があり、甚だ非効率である。
また、第2の従来技術では、拡散面が拡散パネル、吸音面が吸音パネルとしてそれぞれユニット化されているから、これらパネルを壁面に対し仮留めしておけば、試聴後に、例えば、ある拡散パネルを吸音パネルに交換する、といった配置調整も可能である。しかしながら、この第2の技術は、交換用のパネルを、拡散パネル及び吸音パネルの双方について用意しなければならず、経済的ではなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡便且つ経済的に所望の音響特性を実現し得る音響室の施工方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る音響質の施工方法は、音の拡散性を有する拡散パネルを音響室の壁面に複数配設する配設工程と、音の吸収性を有する吸音パネルを、前記配設工程で配設された隣り合う拡散パネルの一方から他方へ至るように、前記拡散パネルの前記壁面と反対側の面に仮留めして前記吸音パネルより前記壁面側に空気層を形成する仮留め工程と、前記吸音パネルが仮留めされた状態で、前記音響室において所望の音響特性が得られるかを確認する確認工程と、前記確認工程の結果に基づき、前記所望の音響特性を得るために前記吸音パネルの設置条件を変更する変更工程と、前記吸音パネルを前記拡散パネルに本留めする本留め工程とを有することを特徴としている。
かかる施工方法によれば、吸音パネルは、隣り合う拡散パネルの一方から他方へ至るようにして拡散パネルに固定されるので、拡散パネルの設置位置を固定することができ、試聴後の配置調整の際に予備の拡散パネルを用意する必要が生じない。この調整は、吸音パネルに対してのみ行えば良いから、非常に効率的且つ簡便に所望の音響特性を得ることが可能となる。
即ち、本発明は、拡散パネルと吸音パネルの設置条件をそれぞれ変更する代わりに、吸音パネルの設置条件を変更することによって相対的に拡散パネルの設置条件が変更されるようにしたものである。
【0009】
また、好ましい態様において、前記拡散パネルは、前記壁面の全域を覆っている。かかる構成により、室内の音拡散性が向上し、所望の音響特性が得られ易くなる。
また、好ましい態様において、前記壁面は、遮音性を有している。かかる構成によって、音響室内で生じた音の室外への漏洩が防止される。
また、好ましい態様において、前記壁面と前記拡散パネルとの間には、遮音層が配設されている。かかる構成により、壁面自体が遮音性を有していなくても、音響室内で生じた音の室外への漏洩が防止される。
また、好ましい態様において、前記拡散パネルは、遮音性を有している。かかる構成により、遮音性を有する壁面や遮音性を有する拡散パネルがなくても、音響室内で生じた音の室外への漏洩が防止される。
また、好ましい態様において、音透過性を有する透過パネルが、前記複数の拡散パネルの一部である隣り合った複数の拡散パネルを跨がり、かつ前記吸音パネルと重ならないように、各拡散パネルに取り付けられている。かかる構成によって、意匠的に見て違和感の少ない音響室が得られる。
また、好ましい態様において、前記透過パネルは、前記吸音パネルから吸音材が除去されたものである。かかる構成によって、外観上、吸音パネルと透過パネルの判別は難しくなり、意匠的な違和感が排除される。また、透過パネルと吸音パネルの共通化が可能となる。
【0010】
また、好ましい態様において、前記拡散パネルは、表面に湾曲部を有し、前記吸音パネルは、隣り合った2つの拡散パネルの各湾曲部に取り付けられる。
かかる構成によれば、良好な音響特性を簡便に得ることができる。
また、好ましい態様において、前記吸音パネルには複数のサイズが用意されており、前記隣り合った2つの拡散パネルの各湾曲部に取り付ける吸音パネルのサイズを選択することにより、前記壁から所望の距離だけ隔たった位置に前記吸音パネルが固定される。
かかる構成によれば、良好な音響特性を簡便に得ることができる。
【0011】
また、本発明に係る拡散パネルは、室内の壁面に取り付けられ、該室内において発生した音を拡散させる拡散パネルにおいて、表面が円状又は楕円状に湾曲した湾曲面を形成するように突出しており、前記壁に取り付けられた状態において前記湾曲面における前記壁からの距離が異なった複数の位置に、吸音パネルを着脱自在に保持するための複数の保持部を有することを特徴としている。
かかる拡散パネルによれば、前記保持部によって、正確な位置に確実に吸音パネルを取り付けることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態にかかる音響室の施工方法について説明する。
【0013】
<音響パネルの説明>
本実施形態において、音響パネルとは、拡散パネル、吸音パネル、及び透過パネルを指す。図1は、本実施形態において使用される音響パネルの構造を示す図である。
図1に示す拡散パネル10は、樹脂成型パネルである。この拡散パネル10の表面には、円状又は楕円状に湾曲した湾曲面10aが形成されており、当該表面に到達する音波を全方向に散乱させる。この湾曲面10aの両側部には、細長い帯状の平面10bが形成されている。また、拡散パネル10を囲っている4つの側面には、面取り、目地処理などが施されている。
図2に示す吸音パネル20は、直方体形状の枠材21を有しており、この枠材21には吸音材23が収納されている。枠材21において、4つの側面によって囲まれた2つの平面うち、吸音パネル20の表面となる方の面には、音透過性を有するクロスなどの表面保護材22が張られている。この吸音パネル20の表面に向かって入射してくる音は、表面保護材22を介して吸音材23に到達し、この吸音材23に吸収される。
図3には、透過パネル30が示されている。透過パネル30は、直方体形状の枠材31における2つの平面のうちの一方に、音透過性を有するクロスなどの表面保護材32を張ったものである。即ち、透過パネル30は、吸音パネル20から、吸音材23を除去したものである。
尚、枠材21、および枠材31を構成する材料は、主として樹脂、木材、金属等であるが、それ以外でも上記した吸音等の効果が阻害されない範囲で多様な材料が使用可能である。
【0014】
<施工方法の説明>
図4は、本実施形態に係る音響室40の壁面の一部を示す斜視分解図である。同図を使用して、本実施形態に係る音響室40の施工方法について説明する。
音響室40は、壁面50に対し、前述の音響パネルを適宜配置することによって構成される。また、壁面50は、音響室40内の音が室外に漏洩することを防止するために、一般的な室の壁面と異なり、遮音層51により全域が覆われている。
【0015】
始めに、第1の工程として、遮音層51に対して、複数の拡散パネル10が取り付けられる。これらの拡散パネル10は、各々の湾曲面10aを室内側に向けた状態で、遮音層51全体を隙間無く覆うように配置される。ここで、各拡散パネル10は、裏面に内装工事用の固着材などを塗布し、この裏面を遮音層51に接着させることにより壁面に固定される。既に説明したように、各拡散パネル10の4つの側面には、面取り、目地処理などが施されている。これにより、隣り合う拡散パネル同士の接触性が高められている。
【0016】
次に、第2の工程として、拡散パネル10の湾曲面10aに吸音パネル20が仮留めされる。図5は、室内の壁に配置された拡散パネル10と吸音パネル20を天井側から見た図である。吸音パネル20は、上下左右の4側面のうち、左右の2側面が、例えば、面ファスナーなどによって、2つの拡散パネル10の各湾曲面10aに着脱可能に固定されている。
このようにして吸音パネル20の仮留めが行われると、吸音パネル20、平面10b、及び湾曲面10aによって囲まれた背後空気層24が構成される。この背後空気層24は、その厚み、すなわち、拡散パネル10の平面10bから吸音パネル20の吸音材23までの距離が大きい程、低音を吸収することができる。また、吸音パネル20は、2つの湾曲面10aに挟まれるような状態で取り付けられるから、吸音パネル20の大きさにより、背後空気層24の厚みが異なってくる。このため、本実施形態においては、背後空気層24の厚みとして、50、100、150、200、250(単位は全てミリメートル)が選択できるように、大きさの異なった吸音パネル20が5種類用意されている。背後空気層24をどの程度の厚みとするかは、予めコンピュータシミュレーションなどの残響時間計算によって設計値として決められている。
【0017】
次に、第3の工程として、吸音パネル20の仮留めが行われた後の音響室40において、実際の使用状況を想定した試聴が行われる。この試聴において、所望の音響特性が得られていないと判断された場合は、次に示す第4の工程が行われる。
【0018】
第4の工程では、吸音パネル20の設置条件が変更される。この設置条件とは、吸音パネル20の設置位置、数量、又は大きさなどが挙げられる。具体的には、この第4の工程では、次のようなことが行われる。
a.仮留めされている吸音パネル20のうち所望のものを取り外す。
b.所望の位置に新たに追加の吸音パネル20を仮留めする。
c.仮留めされている吸音パネル20のうち所望のものを大きさの異なった他の吸音パネル20と交換する。
この第4の工程における、試聴と吸音パネル20の設置条件変更は、所望の音響特性が得られるまで繰り返される。この第4の工程においては、拡散パネル10には一切の変更が加えられない。また、実現すべき複数種類の背後空気層24の厚みを想定して複数種類の吸音パネル20が用意されている。さらに吸音パネル20は、拡散パネル10に仮留めされているだけである。このため、この第4の工程は、極めて簡便、且つ高い自由度をもって実行される。
【0019】
第4の工程によって、所望の音響特性が得られると、第5の工程として、吸音パネル20の本留めが行われる。この本留めの際、吸音パネル20は、枠材21の側面に内装工事用の固着材などを塗布し、これを拡散パネル10の湾曲面10aに接着させることにより、壁面に固定される。この状態で、音響室40は、所望の音響特性を実現することが可能となる。
図6は、吸音パネル20が本留めされた後の、音響室40の壁面の一部分を正面から見た図である。この音響室40は、遮音層51の全体を覆う拡散パネル10の随所に、吸音パネル20が配置された格好となっている。しかしながら、この状態では意匠上の違和感が残るので、本実施形態においては、透過パネル30を配設することによって、この意匠上の違和感を解決している。この透過パネル30は、吸音パネル20と同様な大きさ、外形を有する複数種類のものが用意されている。以下に、第6の工程として、この透過パネル30の配設工程を説明する。
【0020】
透過パネル30は、吸音パネル20と同様、2つの拡散パネルに跨がるように、枠材31の側面に塗布された内装用の固着材によって、拡散パネル10に固着される。その際には、透過パネル30は、隣の吸音パネル20と同じ大きさのものが選択される。このようにすることで、透過パネル30の表面保護材32と隣の吸音パネル20の表面保護材22とに着目した場合に、両者の拡散パネル10の平面10bからの距離が等距離になる。
第6の工程が終了すると、音響室40の壁面は、拡散パネル10の湾曲面10aの一部が露出している以外は、吸音パネル20、又は透過パネル30に覆われているように見える。また、透過パネル30は、前述のように吸音パネル20から吸音材23を除去したものであるので、外観上、吸音パネル20と透過パネル30との差異はない。従って、極めて経済的であるのに加えて、拡散パネル10の露出面の左右に同一模様のパネルが配設されているように見え、意匠上の違和感が排除される。図7には、このようにして透過パネル30が配設された音響室40の壁面の一部分が示されている。
以上説明したように、本実施形態に係る施工方法によれば、極めて簡便、且つ経済的に、所望の音響特性を有するだけでなく、意匠的にも美しい音響室を得ることができる。
【0021】
<第2実施形態>
上述の第1実施形態に係る音響室40は、拡散パネル10と壁面50との間に遮音層51を有していた。しかしながら、拡散パネル10に遮音性を付加することによって、遮音層51が不要となる場合がある。そのようにして遮音層を不要とした第2の実施形態に係る音響室60について説明する。
【0022】
音響室60の施工方法は、上記した第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。図8は、音響室60の壁面を音響室60の天井側から見た断面図である。上述の第1実施形態と重複する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。拡散パネル61は、壁面50の全域を覆うように配設されている。同図に示すように、拡散パネル61には、内部に遮音層62が内包されており、表面の湾曲形状によって音を散乱させる以外にも、外部に音を漏洩させないという特徴を有している。また、拡散パネル61同士のジョイント部分61aには、十分な目地処理が施されており、室内において発生した音が、当該ジョイント部分から壁面に向けて漏洩しないように留意されている。従って、第1実施形態のように、壁面50を覆う遮音層51が必要なくなり、施工上のコストが抑制される。
【0023】
<第3実施形態>
前述の実施形態は、内装工事によって音響室が施工されるケースを説明したものであった。一般にこのような工事は個人で行うには大規模なものである。しかしながら、例えば個人が自宅内にホームシアター等を構築できれば、その需要は計り知れない。ここでは、本発明の第3の実施形態として、一般家庭において個人で施工する場合に好適な音響室の施工方法について説明する。
【0024】
図9は、本発明の第3実施形態に係る音響室70の、壁面の一部分の斜視図である。上述の第1実施形態と重複する部分については同一の符号をつけて説明を省略する。
レール71は、壁面の天井に近接した部分に設けられ、水平方向に伸延したレール状の部材である。レール71には、複数のフック72が、レール71の伸延方向に対し滑動可能に設けられている。
遮音シート75は、第1実施形態における遮音層51と同様の役割をもつシートであり、その上部にはレール71にはめ込まれているフック72に引掛けられるように複数のリング73が設けられている。また、遮音シート75の表面には、拡散パネル10を左右両側から挟み、拡散パネル10の両側部を収容する案内レール74の対が複数対上下方向に延びている。
【0025】
拡散パネル10は、その側部を1対の案内レール74の間に滑り込ませるようにして、遮音シート73の全域を覆うように配設される(図9においては1枚の拡散パネルのみが示されている)。拡散パネル10の配設終了後は、上述の実施形態同様、試聴を繰り返しながら吸音パネル20、及び透過パネル30(いずれも図示略)が適宜配設される。このような施工方法によれば、一般家庭において、極めて簡便に音響室を構築することができる。また、レール71及びフック72は、カーテンレール等室内に既存の部材を使用できるようにすれば、更に簡便に音響室を構築できるようになる。
【0026】
また、本発明に係る音響室の施工方法において、吸音パネルの仮留め工程及び本留め工程は、同一の固定手段を用いてなされても良い。例えば、面ファスナー、工業用のファスナー、両面テープなど、着脱が比較的自由である固定手段であれば、同一のものを用いることができる。そのように固定手段を統一しても、本発明に係る効果は阻害されない。更に、このように固定手段を統一すると、施工上のコストが更に軽減される。
【0027】
また、拡散パネルの表面形状は、上述の湾曲面に限定されない。例えば四角錐が形成されていても良い。図10には、表面に四角錐が形成された拡散パネルが例示されている。
また、上述の実施形態においては、意匠上の違和感を排除するために透過パネル30を設置したが、透過パネル30は、音響特性には影響を与えないので、設置しなくても本発明に係る効果を享受することができる。また、透過パネルを設ける場合も、必ずしも吸音パネルと意匠が同一である必要はなく、施工後の音響室に対して、意匠上の統一感を付与させることができるものならば代替可能である。
【0028】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、背後空気層の厚みとして、複数種類の厚みの中から所望のものを選択できるように、大きさの異なった吸音パネルが複数種類用意された。本実施形態では、この所望の吸音パネルを選択して拡散パネルに固定する作業を容易にするため、拡散パネルの拡散面(湾曲面)に、吸音パネル(透過パネル)の仮留め及び本留め用の保持手段が予め設けられている。また、その保持手段は、確保可能な複数種類の背後空気層の厚みに応じて、一つの拡散面に複数設けられている。
【0029】
図11は、本発明の第4実施形態に係る拡散パネル100と、拡散パネル100に取り付けられる吸音パネル110の斜視図である。拡散パネル100は、上述の実施形態で用いられた拡散パネルと機能的には同等のものであるが、吸音パネルを取り付けるための、ネジ及びネジ孔からなる保持部が設けられている点が異なっている。尚、図11において、説明を分かり易くするために吸音パネル110は枠材のみが示されている。
【0030】
図11において、拡散パネル100の拡散面上、背面(壁に固定される側の面)からの距離が異なった複数の位置には上下一対のネジ孔101が設けられており、その孔は背面と平行な方向に延在している。また、図11において、拡散パネル100の上面には、ネジ孔101の位置を示すマーカ102が設けられている。
吸音パネル110を構成する枠材111の側部には、これを貫通する上下一対のネジ孔12が設けられており、対をなす各ネジ孔間の距離は、拡散パネル100における2個のネジ孔101間の距離と等しい。また、枠材111の上面には、その吸音パネルを使用することによって得られる背後空気層の大きさを示すマーカ113が設けられている。
このような構成の下、吸音パネル110は、ネジ孔112を貫通し、拡散パネル100のネジ孔101に至るネジ130によって拡散パネル100に取り付けられる。図12は、拡散パネル100と吸音パネル110との取り付け箇所を、図11において矢印方向に見下げた上面図である。図示の様に、枠材111の側部は、拡散パネル100における吸音パネル取り付け箇所の湾曲と面接触するように形成されており、ネジ130によって二つのパネルは隙間なく固定されている。
【0031】
ところで、拡散パネル100の拡散面は曲面であるから、取り付け箇所によって、取り付け可能な吸音パネル110の大きさ、及び枠材の形状は異なる。ここで、吸音パネル及び拡散パネルに、それについての情報が何ら記載されていないと、施工時に混乱をきたす恐れがある。そこで、本実施形態に係る各パネルは、上述のマーカ102及びマーカ113によって、極めて簡便に所望の吸音パネルを選択できるようになっている。
図13は、拡散パネル100と吸音パネル110との接合箇所を上方からみた拡大図である。拡散パネル100に設けられたマーカ102は、ネジ孔101の位置と、その場所に吸音パネル110を取り付けたときの背後空気層の大きさが記載されている(図中「50」、「100」、「150」)。また、吸音パネル110に設けられたマーカ113は、自身が取り付けられたときに得られる背後空気層の大きさが記載されている(図中「100」)。本実施形態に係る拡散パネルおよび吸音パネルは、施工時に、このマーカ102とマーカ113の数値とを合致させることによって、極めて簡便に必要な吸音パネルを取り付けることができるようになっている。
【0032】
吸音パネル110が本留めされた後、使用されなかったネジ孔101には、そのままネジ130が挿入される。拡散パネル100のネジ孔の深さは、吸音パネル110を介さないでネジ130を取り付けたときに、ネジ130を最後まで挿入できるように予め余裕をもって形成されている。従って、使われていないネジ孔101が露出することによる意匠的な違和感は生じない。このように、本実施形態に係る拡散パネル100は、簡便に吸音パネルを所望の箇所に着脱自在に取り付けることができるので、本発明に係る施工方法において、その施工品質を高めることができる。
【0033】
尚、拡散パネルに形成される保持部の構成は、本実施形態の態様に限定されない。例えば、面ファスナー、工業用のファスナー、両面テープなどが設けられていても良い。面ファスナーや、工業用ファスナーの場合は、それぞれ対となる部材が吸音パネルに設けられている必要があるが、施工品質を高める効果は失われない。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係る音響室の施工方法は、上記構成を有するので、所望の音響特性を有する音響室を簡便且つ経済的に提供することができる。
また、本発明に係る拡散パネルは、上記保持部によって、音響室の施工品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る拡散パネルの斜視図。
【図2】 同実施形態に係る吸音パネルの斜視図。
【図3】 同実施形態に係る透過パネルの斜視図。
【図4】 本発明の第1実施形態に係る音響室40の分解斜視図。
【図5】 同音響室40の一部壁面断面図。
【図6】 同実施形態に係る音響室40の施工方法における吸音パネル20の本留め工程実施後の音響室40の正面図。
【図7】 同施工方法における透過パネル30配設工程実施後の音響室40の正面図。
【図8】 本発明の第2実施形態に係る音響室60の壁面断面図。
【図9】 本発明の第3実施形態に係る音響室70の斜視図。
【図10】 拡散パネルの変形例として四角錐型の拡散パネルを例示する図。
【図11】 本発明の第4実施形態に係る拡散パネルの斜視図。
【図12】 同実施形態に係る拡散パネルと吸音パネルの接合部の上面図。
【図13】 同実施形態に係る拡散パネルと吸音パネルの接合部の拡大図。
【符号の説明】
10・・・拡散パネル、10a・・・湾曲面、10b・・・平面、20・・・吸音パネル、21・・・枠材、22・・・表面保護材、23・・・吸音材、24・・・背後空気層、30・・・透過パネル、31・・・枠材、32・・・表面保護材、40・・・音響室、50・・・壁面、51・・・遮音層、60・・・音響室、61・・・拡散パネル、61a・・・ジョイント部分、62・・・遮音層、70・・・音響室、71・・・レール、72・・・フック、73・・・リング、74・・・案内レール、75・・・遮音シート、100・・・拡散パネル、101・・・ネジ孔、102・・・マーカ、110・・・吸音パネル、111・・・枠材、112・・・ネジ孔、113・・・マーカ、130・・・ネジ。

Claims (4)

  1. 音の拡散性を有する拡散パネルを音響室の壁面に複数配設する配設工程と、
    音の吸収性を有する吸音パネルを、前記配設工程で配設された隣り合う拡散パネルの一方から他方へ至るように、前記拡散パネルの前記壁面と反対側の面に仮留めして前記吸音パネルより前記壁面側に空気層を形成する仮留め工程と、
    前記吸音パネルが仮留めされた状態で、前記音響室において所望の音響特性が得られるかを確認する確認工程と、
    前記確認工程の結果に基づき、前記所望の音響特性を得るために前記吸音パネルの設置条件を変更する変更工程と、
    前記吸音パネルを前記拡散パネルに本留めする本留め工程と
    を有することを特徴とする音響室の施工方法。
  2. 前記拡散パネルは、表面に湾曲部を有し、
    前記吸音パネルは、隣り合った2つの拡散パネルの各湾曲部に取り付けられること
    を特徴とする請求項1記載の音響室の施工方法。
  3. 前記吸音パネルは、複数のサイズが用意されており、前記隣り合った2つの拡散パネルの各湾曲部に取り付ける吸音パネルのサイズを選択することにより、前記壁から所望の距離だけ隔たった位置に前記吸音パネルを固定すること
    を特徴とする請求項に記載の音響室の施工方法。
  4. 室内の壁面に取り付けられ、該室内において発生した音を拡散させる拡散パネルにおいて、
    表面が円状又は楕円状に湾曲した湾曲面を形成するように突出しており、前記壁に取り付けられた状態において前記湾曲面における前記壁からの距離が異なった複数の位置に、吸音パネルを着脱自在に保持するための複数の保持部を有すること
    を特徴とする拡散パネル。
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