JP3829500B2 - 研磨治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨装置及び研磨治具に関し、特に、非球面状の凹面の研磨に適した研磨装置及びその研磨装置に用いられる研磨治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
乱視を矯正する眼鏡レンズのトーリック面(互いに直行する断面での曲率半径を異にする面)等の非球面状の凹面を研磨する装置としては、例えば図9に示すようなLOH社製のToro−X−2000と呼ばれる研磨装置が知られている。
【0003】
図9は、その研磨装置の主要部を示すもので、被研磨物としてのレンズ20は、凸面側が保持具130に固定され、凹面21側を下にして取り付けられる。保持具130は、下方に保持したレンズ20を所定の空気圧で押圧できるようになっていると共に、応力が加わると自由に下向きの角度を変えることができる首振り機構が設けられている。また、この保持具130は、駆動装置に取り付けられ、紙面左右方向や紙面前後方向に所定の往復運動が与えられるようになっている。また、この駆動装置は保持具130を上下方向に昇降できるようになっている。
【0004】
一方、レンズ20の凹面を研磨するドーム状の研磨治具101は、アルミニウムや鋳鉄で作られていて、首振り旋回運動を行う揺動装置140の先端に着脱自在に装着されている。レンズ20を保持する保持具130は、このような研磨治具101の首振り旋回運動の力を受け、研磨治具101の首振り旋回運動に対応した首振りを行っている。
【0005】
このような保持具130の往復運動と研磨治具101の首振り旋回運動により、研磨の軌跡が1周毎に少しずつずれる無軌道研磨軌跡が形成される。
【0006】
このような研磨装置でレンズの研磨を行うときは、ドーム状の研磨治具101の表面に研磨材を保持する研磨布を貼着し、研磨材を研磨布に保持させる。また、レンズ20を保持具130に固定する。そして、保持具130を下降させてレンズ凹面21と研磨治具101とを密着させた後、駆動装置を駆動させて保持具130に往復運動を与えると共に、揺動装置140を駆動させて研磨治具101に首振り旋回運動を与える。
【0007】
これにより、この研磨装置は、保持具130に与えられる空気圧による押圧と首振りでレンズ凹面21と研磨治具101とを均一な研磨圧力で密着させながら、研磨治具101の首振り旋回運動と保持具130の往復運動を組み合わせて無軌道研磨軌跡で良好な研磨を行うことができる。
【0008】
そのため、研磨治具101と被研磨物であるレンズ凹面21は、上述したように常に密着して研磨を行わなければならないため、研磨治具101のドーム形状は、レンズ凹面21の面形状と完全に一致する必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レンズ凹面21がトーリック面であると、研磨治具101のドーム形状は3000〜4000種類も必要である。このような多数の研磨治具101を必要とすることは、広大な研磨治具の保管スペースを必要とし、かつ、コスト高を招く大きな要因になっており、コスト低減並びに保管スペースの低減から、研磨治具101の必要な保有数を減少させる自由度の高い研磨治具が要望されていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、トーリック面のような非球面形状あるいは任意の自由曲面形状を有する凹面を研磨する自由度の高い研磨治具を用いて研磨治具の必要な数を減少できる研磨装置及びその研磨装置に用いられる研磨治具を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、被研磨物を保持する保持具に所定の往復運動を与える駆動装置と、前記被研磨物を介して前記駆動装置に対向配置され、前記被研磨物を研磨するドーム状の研磨治具と、前記研磨治具を着脱自在に先端に装着できると共に、この研磨治具に首振り旋回運動を与える揺動装置とを備える研磨装置を構成する前記研磨治具において、流体を供給する流体口を有する固定治具本体と、前記固定治具本体上に流体圧力で膨らんでドーム状を形成する可撓性シートの周端部を固定し、前記固定治具本体と前記可撓性シートとの間に封入空間を形成させるリング状の押圧治具とから構成されるシート固定治具を有し、更に、前記押圧治具の上面の一方向の両端部において前記一方の方向に移動可能に配置される押さえ板を有することを特徴とする研磨治具を提供する。
【0012】
すなわち、上述した無軌道研磨軌跡を与える研磨装置のドーム状の研磨治具を、アルミニウムや鋳鉄などの硬い材質から可撓性シートに変更し、この可撓性シートに流体圧力で風船状に膨らませてドームを形成するようにしたものである。
【0013】
このようないわば風船研磨治具を用いることにより、流体圧力でドーム状に膨らんだ可撓性シートを被研磨物の凹面を押圧させると、可撓性シートは、被研磨物の凹面の形状に応じて変形し、凹面全体に同じ圧力で密着できる。また、可撓性シートをゴムなどの弾性を有するシートとすれば、流体圧力を変えることにより、ドームの曲率を変えることができる。そのため、可撓性シートを用いた風船式の研磨治具は、自由度が高く、一つで広い範囲の凹面の形状に対応することができるので、多数の研磨治具を用意することが不要になり、研磨治具の数を大幅に減らすことができる。
【0015】
可撓性シートをゴムのような弾性を有するシートで構成すれば、流体圧力を上げると研磨治具のドームが膨らみを増してドームの曲率を小さくすることができ、したがって、ドームの曲率を流体圧力の圧力変化で変えることができる。これによって、研磨治具がより多数の被研磨物の凹面の形状に対応できるので、更に研磨治具の数を減らすことができる。
【0017】
レンズのトーリック面の互いに直行する断面での曲率が大幅に異なる場合、球面状のドームではこのような凹面に追随できないおそれがある。そのため、ドームの形状を球面ではなく、トーリック面に近づける必要があり、ドームの曲率を互いに直交する方向で異ならしめることが有効である。
【0019】
研磨治具のドームの互いに直交する方向の一方の方向の両端部近傍において、流体圧力による膨らみを抑制することにより、ドームの曲率を互いに直交する方向で異ならしめることができる。
【0021】
前述した研磨装置の揺動装置に着脱自在に装着される研磨治具であり、可撓性シートを風船状に膨らませるために、可撓性シートと封入空間を構成するシート固定治具と、この封入空間に流体を送る流体口とを備えた構成となっている。
【0023】
この研磨治具は、可撓性シートを風船状に膨らませるために、シート固定治具に可撓性シートの周端部を押圧治具で挟むことにより、可撓性シートを風船として機能させ、流体圧力でドーム状に膨らませることができる。
【0025】
押さえ治具で可撓性シートのドーム両端部を押さえることにより、その方向のドームの曲率が小さくなり、押さえ治具で押さえない方向のドームの曲率は変化しないので、可撓性シートのドームの曲率を互いに直交する方向で異ならしめることができる。また、この押さえ治具は、移動可能となっているため、可撓性シートを押さえる位置を変更でき、これによって、ドームの曲率が小さい方の曲面の曲率を変えることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の研磨装置の一実施形態の主要部を示すものである。
【0030】
被研磨物としてのレンズ20は、凸面側が保持具30に固定される。被研磨物20の凸面は、この保持具30の接着部材31に固定され、この接着部材31は取り付け治具32に固定されている。この取り付け治具32は保持具本体33に設けられている柔軟な風船部材34に着脱自在に取り付けられている。保持具30は、後述する駆動装置で昇降できるようになっている。
【0031】
また、図2に示すように、空気圧が供給されて形状を維持する風船部材34が柔軟な首振り機構として機能し、被研磨物20に研磨治具1から応力が加わると、図の一点鎖線で示すように、自由に下向きの角度を変えることができるようになっている。
【0032】
一方、レンズ凹面21を研磨する研磨治具1は、首振り旋回運動を行う揺動装置40の先端に着脱自在に装着できるようになっている。この研磨治具1は、被研磨物20の面積より大きい面積の略円形の可撓性シート2と、この可撓性シート2を固定しているシート固定治具3とから構成されている。
【0033】
可撓性シート2は、空気などの流体の圧力を受けて膨らみ、膨らんだ後にも変形するものであればよく、例えばゴムシートが好ましい。このゴムシートは、予めドーム状に成形されていても良い。
【0034】
シート固定治具3は、可撓性シート2とほぼ同径の円盤状の固定治具本体4と、この固定治具本体4とほぼ同じ外径を有する平板リング状の押圧治具5とを備え、可撓性シート2を固定治具本体4に被せ、更に、押圧治具5を可撓性シート2の上に置き、押圧治具5と固定治具本体4とをボルト6で固定した構造になっている。したがって、可撓性シート2と固定治具本体4とは封入空間7を構成する。また、固定治具本体4には空気や油などの流体を封入空間7に流入させる流体口8が取り付けられており、圧力空気配管等と接続することにより、流体圧力を封入空間7に供給し、内部から可撓性シート2を膨張させ、図1に示すように、可撓性シート2をドーム2aに形成できるようになっている。なお、シート固定治具3あるいは圧力空気源との間の配管には、図示しない圧力調整弁が設けられ、可撓性シート2のドーム2aが被研磨物20を押圧するときに生じる体積減少による圧力増加を抑制するため、封入空間7内の空気を逃がして圧力を一定に保つようになっている。
【0035】
固定治具本体4の下面には、逆テーパーのチャッキング部9が突出し、揺動装置40の先端に配置されているチャック用爪41でチャッキング部9を押さえて着脱自在に固定できるようになっている。
【0036】
図3に、研磨装置全体の構成を示す。この研磨装置100は、被研磨物20を保持する保持具30と、保持具30に所定の往復運動を与える駆動装置50と、被研磨物20を研磨する研磨布を保持する研磨治具1と、研磨治具1を装着できると共に、この研磨治具1に首振り旋回運動を与える揺動装置40とを備える。 被研磨物20を保持する保持具30は、駆動装置50に取り付けられている。この駆動装置50は、保持具30を上下に昇降できると共に、空気圧で被研磨物20をその下に配置されている研磨治具1に押圧できるようになっている。また、この駆動装置50は、保持具30に対し、紙面の左右方向に往復運動及び紙面前後方向に支点51を中心として往復運動を与えることができるように構成されている。
【0037】
このような保持具30に与えられる往復運動と研磨治具1に与えられる首振り旋回運動の組み合わせにより、図4(a)や図4(b)に示すような無軌道研磨軌跡が形成され、研磨の軌跡が1周毎に少しずつずれる研磨を行うことができるようになっている。
【0038】
この研磨装置100で、被研磨物凹面21を研磨するには、ドーム2aの表面に、研磨材を保持する図示しない研磨布を貼着し、研磨材を研磨布に保持させる。あるいは、研磨布を貼着した可撓性シート2をシート固定治具3に装着してもよい。また、レンズ20の凸面を接着部材31に固定し、保持具30に装着する。そして、研磨治具1に所定の圧力の流体を流体口8から封入空間7に流入させて可撓性シート2を膨張させてドーム2aを形成する。次に、保持具30を下降させてレンズ凹面21と研磨治具1の可撓性シート2(研磨布)とを所定の圧力で密着させる。これにより、空気圧による保持具30の下方への押圧力と、これに対向する研磨治具1の流体圧力による形状維持性により、被研磨物凹面21に所定の圧力で研磨治具1の可撓性シート2が密着する。その後、駆動装置50を駆動させて保持具30に往復運動を与えると共に、揺動装置40を駆動させて研磨治具1に首振り旋回運動を与える。
【0039】
これにより、この研磨装置100は、流体圧力で膨張した可撓性シート2のドーム2aが、被研磨物凹面21の表面形状に追随して常に凹面21に密着しながら、研磨治具1の首振り旋回運動と保持具30の往復運動を組み合わせた無軌道研磨軌跡で良好な研磨を行うことができる。
【0040】
本発明の研磨治具1は、流体圧力で膨らんだ可撓性シート2でドーム2aが形成されるので、ドームの形状を保持すると共に、被研磨物の凹面21の表面形状に追随できるため、凹面21がトーリック面のような非球面であっても、非球面の形状に倣って変形し、密着性を保ち、均一な研磨を行うことができる。大きい曲率と小さい曲率を有するトーリック面の研磨を行うときは、これらの曲率の平均に近い曲率のドーム2aを形成して研磨を行うことが好ましい。また、本発明の研磨治具1は、トーリック面のみならず、任意の自由曲面形状を有する凹面を、高精度かつごく短時間で研磨することができる。例えば、通常は累進多焦点レンズの凸面に形成されている曲面を凹面側に形成したレンズの凹面の研磨にも極めて有効である。
【0041】
また、本発明の研磨治具1は、可撓性シート2を弾性を有する素材、例えばゴムで構成した場合、流体圧力を変更すると、膨張の程度が異なってくるので、流体圧力を変更することにより、ドームの曲率も変更できる。この場合の圧力は、例えば1.2〜2kg/cm2の範囲とすることができる。
【0042】
このように、本発明の研磨治具1は、自由度が高く、一つの研磨治具で従来の数十〜数百種類の硬質の研磨治具を兼用できるため、必要な研磨治具は、従来の3000〜4000の必要数に対し、例えば10種類程度で足り、必要な研磨治具の数を大幅に低減できる。
【0043】
また、被研磨物20より研磨治具1を大きくすることにより、研磨時に研磨治具1の可撓性シート2が被研磨物20を包み込むように押圧するため、被研磨物の端面、レンズでいうコバと凹面21が交差する鋭角部が包囲されるように研磨されることから、いわば面取りを行うことになり、後の面取り作業が容易になる利点もある。
【0044】
本発明の研磨装置100は、このような研磨治具1を用いているので、必要な研磨治具の数が大幅に減少するため、コストを低減できると共に、研磨治具の保管スペースを低減できる。また、研磨治具の取り替えの回数も減少し、生産性も良好である。
【0045】
本発明の研磨治具は、レンズのトーリック面のような非球面の研磨に好適であるが、レンズのトーリック面の互いに直交する断面での大きい曲率と小さい曲率が大幅に異なる場合、球面状のドームではこのような凹面に追随できず、凹面全体に密着することができなくなるおそれがある。そのため、ドームの形状を球面ではなく、トーリック面に近づける必要があり、ドームの曲率を互いに直交する方向で異ならしめることが有効である。
【0046】
図5は、ドームの曲率を互いに直交する方向で異ならしめるための研磨治具の一形態を示すもので、(a)は一部断面を含む側面図、(b)は平面図である。
【0047】
この研磨治具1bは、上述した研磨装置100を構成するもので、円盤形の固定治具本体4の上面にドーム状の可撓性シート2が配置され、可撓性シート2の周端部が固定治具本体4と同じ径を有する平板リング状の押圧治具5で挟まれ、固定治具本体4と押圧治具5がボルト6で締められている。その結果、可撓性シート2の周端部と固定治具本体4の周端部とが気密状態で密着し、固定治具本体4と可撓性シート2とが封入空間7を構成し、可撓性シート2が風船として膨張できるようになっている。固定治具本体4の下面には、固定治具本体4を貫通して封入空間7内に連通している流体口8と逆テーパー状のチャッキング部9とが設けられている。この流体口8には、圧力空気のパイプが接続でき、封入空間7内に圧力空気を導入できるようになっている。また、チャッキング部9は、揺動装置40のチャック用爪41で噛み合わされ、揺動装置30に着脱自在に固定できるようになっている。
【0048】
この研磨治具1bの中心から紙面左右方向(C方向)の押圧治具5の両方には、ドーム2bの端部を上から押さえて膨らみを抑制する押さえ板10が、押圧治具5と固定治具本体4とを固定しているボルト6で固定されている。この押さえ板10は、c方向に移動して固定できるようになっている。
【0049】
この押さえ板10により、ドーム2bのC方向は、端部近傍で押さえ板10で膨らみが抑制され、図5(a)の破線に示す元の大きな曲率から、押さえ板10の端縁から立ち上がる実線で示す小さな曲率に変更されている。一方、ドーム2bの中心でC方向と直交する方向のS方向の曲率は破線で示すように変更がなく、ドーム2bのS方向の曲率は、図5(a)の破線で示すように、押圧治具5の内周縁から立ち上がる大きな曲率である。その結果、C方向で曲率が小さく、S方向で曲率が大きく、互いに直交する方向で曲率の異なるドーム2bが形成されたことになる。この変形ドーム2bは、レンズのトーリック面の表面形状に近くなり、単純な球面状のドームよりも深いトーリック面を研磨するのに適した形状となっている。
【0050】
この研磨治具1bでは、押さえ板10の位置を変更することにより、S方向の曲率をそのままにしてC方向の曲率を変更することができる。したがって、トーリック面の表面形状によって、押さえ板10の位置を適宜変更して、S方向とC方向の曲率の比を変えることができる。
【0051】
また、この変型ドーム2bでも、可撓性シート2をゴムのような弾性を有するシートとすれば、流体圧力を変えることによって、C方向、S方向それぞれの曲率を変更することができる。そのため、押さえ板10の位置を変更できることと合わせて、ドーム2bの形状の変更の自由度はかなり高い。
【0052】
図6は、同じくドームの曲率を互いに直交する方向で異ならしめるための研磨治具の他の形態を示すもので、(a)は一部断面を示す側面図、(b)は平面図である。
【0053】
この研磨治具1cは、固定治具本体4は図5と同じであるが、押さえ治具がなく、代わりに押圧治具12が、単純なリング状から、C方向の内面側に張り出した2つの押さえ部12aが設けられている構造に変更されている。この押さえ板により、ドーム2cのC方向の端部近傍で膨らみが抑制され、C方向の曲率が小さくなるようになっている。
【0054】
この押圧治具12の構造では、ドーム2cを押さえる位置を変更できないが、押さえ部12aの位置を変更したいくつかの押圧治具12を用意しておくことにより、広い種類のトーリック面に対応できる。
【0055】
更に、図7は、可撓性シート2自体がC方向とS方向で互いの曲率が異なるドーム2dに形成され、ドーム2dの曲率を互いに直交する方向で異ならしめるようになっている研磨治具1dを示している。このようなドーム2dは、例えば配合剤の混練りが終わったゴムを所定の型に入れて加硫することにより得ることができる。
【0056】
本実施形態の研磨装置及び研磨治具は、主にレンズの凹面を研磨する場合について説明してきたが、レンズに限らず、あらゆる種類の凹面の研磨に適用できることはいうもでもない。
【0057】
【実施例】
図5に示した研磨治具1bを用いて、S方向とC方向のゴムシートのドーム2bの曲率Rを空気圧の圧力を変えて測定した。ドームの直径は150mm、押さえ治具10によるドーム2bの押さえ位置は、ドームの端縁から10mmの位置である。ドームの中心、その中心から20mm、40mmのS方向とC方向のそれぞれの位置でのドーム2bの直径を測定した。なお、圧力はゲージ圧で示している。その結果を図8に示す。(a)はドーム2bの曲率の大きいS方向の測定結果、(b)はドーム2bの曲率の小さなC方向の測定結果を示す。
【0058】
図8の結果より、例えば、空気圧が0.3kg(ゲージ圧)ではドーム中心のS方向のドーム直径は144Rであるのに対し、C方向のドーム直径は114Rであり、空気圧が0.9kg(ゲージ圧)では、ドーム中心のS方向のドーム直径は99Rであるのに対し、C方向のドーム直径は77Rである。
【0059】
このように、押さえ板10の効果により、S方向のRが大きく、C方向のRが小さくなっていて、レンズのトーリック面に近いドーム形状が得られていることを示している。また、空気圧の上昇により、ゴムシートが膨張するため、ドーム2bの直径が小さくなることが認められる。このことから、空気圧を調整することにより、ドーム2bの直径をある程度自由に調整できることが認められる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の研磨装置は、可撓性シートでドームを形成した研磨治具を用いたことにより、トーリック面に限らず、任意の自由曲面形状を有する凹面を、高精度かつごく短時間で研磨することができるので、一つの研磨治具で広い範囲の被研磨物の研磨面形状に柔軟に対応できる。そのため、従来の硬い材質で形成したドームの必要数より大幅に減少した数の研磨治具を用意すればよいので、コストを低減することができると共に、研磨治具の保管スペースを大幅に低減できる。
【0061】
また、本発明の研磨治具は、本発明の研磨装置に着脱自在に取り付けることができる研磨治具であり、可撓性シートでドームを形成したことにより、トーリック面に限らず、任意の自由曲面形状を有する凹面を、高精度かつごく短時間で研磨することができるので、一つの研磨治具で広い範囲の被研磨物の研磨面形状に柔軟に対応でき、そのため、用意する研磨治具の数を少なくできるので、コストを低減することができると共に、研磨治具の保管スペースを大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨装置の主要部を示す概念図である。
【図2】保持具の首振りを説明する概念図である。
【図3】本発明の研磨装置の全体の構成を示す概略図である。
【図4】(a)、(b)は、それぞれ本発明の研磨装置の無軌道研磨軌跡を示す概念図である。
【図5】本発明の研磨治具の一実施形態を示すもので、(a)は一部断面を含む側面図、(b)は平面図である。
【図6】本発明の研磨治具の他の実施形態を示すもので、(a)は一部断面を含む側面図、(b)は平面図である。
【図7】本発明の研磨治具の更に他の実施形態を示す側面図である。
【図8】押さえ治具を用いてドームの互いに直交する方向の曲率を変えた実験の結果を示すグラフであり、(a)は大きな直径の方向のドームの直径、(b)は小さな直径の方向のドームの直径を示す。
【図9】従来の研磨装置の主要部を示す概念図である。
【符号の説明】
1b、1c、1d…研磨治具
2…可撓性シート
2a、2b、2c、2d…ドーム
4…固定治具本体
5…押圧治具
6…ボルト
7…封入空間
8…流体口
9…チャッキング部
10…押さえ治具
20…被研磨物
21…凹面
30…保持具
40…揺動装置
50…駆動装置
100…研磨装置
Claims (1)
- 被研磨物を保持する保持具に所定の往復運動を与える駆動装置と、
前記被研磨物を介して前記駆動装置に対向配置され、前記被研磨物を研磨するドーム状の研磨治具と、前記研磨治具を着脱自在に先端に装着できると共に、この研磨治具に首振り旋回運動を与える揺動装置とを備える研磨装置を構成する前記研磨治具において、
流体を供給する流体口を有する固定治具本体と、前記固定治具本体上に流体圧力で膨らんでドーム状を形成する可撓性シートの周端部を固定し、前記固定治具本体と前記可撓性シートとの間に封入空間を形成させるリング状の押圧治具とから構成されるシート固定治具を有し、
更に、前記押圧治具の上面の一方向の両端部において前記一方の方向に移動可能に配置される押さえ板を有することを特徴とする研磨治具。
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