JP3829009B2 - 溶銑用取鍋装置およびステンレス鋼溶銑の精錬方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼などの溶銑を運搬する溶銑用取鍋装置、およびその取鍋装置を用いて行うステンレス鋼溶銑の精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電気アーク炉を用いてステンレス鋼の溶銑を製造する際には、各種合金鉄、スクラップあるいは酸化物等が原料として装入される。装入された原料が溶解し混合された溶銑は、取鍋に出銑され、転炉や真空脱ガス炉などの後工程に運搬される。本件出願人は、電気アーク炉および後工程での操業効率を高めるため、たとえば特願平8−79445、特願平8−310462あるいは特願平9−11059などで、取鍋内でスラグおよび溶銑を撹拌し、ステンレス鋼溶銑の精錬工程の一部を行うことを提案している。
【0003】
特願平8−79445では、取鍋内で脱硫等の精錬作用を最大限に発揮させるため、スラグ塩基度を1.3〜2.2に調整し、取鍋内雰囲気の酸素濃度を10%以下に保持することを提案している。特願平8−310462では、取鍋内を非酸化性雰囲気とし、取鍋内に貯留される溶銑中にランスを浸漬し、ランスの先端から不活性ガスを吹出させて溶銑を撹拌する際に、取鍋の蓋とランスとの隙間にシールガスを送込んで大気の侵入を防止することを提案している。特願平9−11059では、取鍋内で不活性ガスを用いて溶銑を撹拌して脱硫する際に、シールのために取鍋内に供給するシールガスの流量を具体的に算出する数式を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
取鍋内に不活性ガスを吹込んでスラグおよび溶銑を撹拌するためには、取鍋の蓋にランスを差込むためにランス孔を設ける必要がある。取鍋の蓋は、電気アーク炉などから出銑される溶銑を受入れ、後工程の転炉などに溶銑を装入する際に取鍋から外しておかなければならない。このように取鍋に対する蓋は着脱可能であり、しかも蓋に対するランスも着脱可能とする必要があるので、取鍋と蓋との間、およびランスと蓋との間の気密性は、必ずしも良好ではない。本件出願人が特願平8−310462や特願平9−11059で提案しているようなシール用ガスを用いる方法も、大気中の酸素の侵入を防ぐためには必ずしも充分ではない。
【0005】
本発明の目的は、確実な雰囲気保持が可能な溶銑用取鍋装置、およびそのような溶銑用取鍋装置を用いて行うステンレス鋼溶銑の精錬方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上部が開口し、スラグおよび溶銑を貯留する取鍋本体と、
取鍋本体内に貯留されるスラグおよび溶銑に、不活性ガスを吹込んで撹拌するランスと、
ランスの挿入および引抜きが可能なランス孔を有し、取鍋本体上部の開口部に載置され、取鍋本体内を非酸化性の雰囲気に保つ機能を備えるシールカバーと、シールカバーのランス孔を開閉し、開いている状態でランス孔へのランスの挿入および引抜きが容易となるように、ランスとランス孔との間の隙間を大きくし、閉じている状態でランスとランス孔との間の隙間を封止するランス孔シール機構とを含むことを特徴とする溶銑用取鍋装置である。
【0007】
本発明に従えば、取鍋本体は、上部が開口し、スラグおよび溶銑を貯留する。取鍋本体の上部の開口部には、シールカバーが載置される。シールカバーは、取鍋本体内を非酸化性の雰囲気に保つ機能を備える。シールカバーには、ランス孔が形成され、取鍋本体内に貯留されるスラグおよび溶銑に不活性ガスを吹込んで撹拌するためのランスが挿入可能である。シールカバーのランス孔は、ランス孔シール機構によって、開閉することが可能である。ランス孔が開いている状態では、ランス孔へのランスの挿入および引抜きが容易となるように、ランスとランス孔との間の隙間が大きくなる。ランス孔が閉じている状態では、ランスとランス孔との間の隙間を封止する。ランス孔にランスを挿入し、ランスの先端から不活性ガスをスラグおよび溶銑に吹込んで撹拌を行っている状態では、取鍋本体の上部の開口部にはシールカバーが載置されて、取鍋本体内を非酸化性の雰囲気に保ち、しかもシールカバーのランス孔に挿入されるランスとランス孔との間の隙間はランス孔シール機構によって封止されるので、大気中の酸素が取鍋本体内部の空間に侵入しにくく、取鍋本体内を容易に非酸化性雰囲気に保つ。スラグと溶銑との間での脱硫やクロム還元などの反応を効率よく進行させ、原料の高歩留と製品の品質向上とを図ることができる。
【0008】
また本発明は、前記シールカバーと前記取鍋本体との接触部に、弾力性を有する断熱材が配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明に従えば、取鍋本体の上部の開口部にシールカバーを載置すると、シールカバーと取鍋本体との接触部には弾力性を有する断熱材が配置されるので、接触部の気密封止を行うことができる。取鍋本体内部の気密性が高まるので、溶銑やスラグの温度降下も小さくすることができる。
【0010】
また本発明は、前記シールカバー内面は耐火物で覆われ、
前記接触部近傍で該接触部よりも内側の耐火物は、下方に突出して形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、シールカバー内面を覆う耐火物のうち、シールカバーと取鍋本体との接触部近傍の内側の耐火物は、下方に突出して形成されるので、取鍋本体内に貯留されるスラグおよび溶銑がランスによって吹込まれる不活性ガスで撹拌される際に、スプラッシュが飛散してもシールカバーと取鍋本体の上部との接触部に到達しないように遮ることができる。接触部にスプラッシュが到達すると、接触部でのシールカバーと取鍋本体との接触部に介在して封止を妨げたり、弾力性を有する断熱材が接触部に配置されているときには、断熱材を侵食してしまうことを防ぐことができる。
【0012】
さらに本発明は、ステンレス鋼溶銑を、スラグとともに、上部が開口している取鍋本体内に出銑し、
取鍋本体の開口部に、ランス孔を有するシールカバーを載置して、接触部を気密に封止し、
ランス孔にランスを挿入して、ランスとランス孔との間の隙間を気密に封止し、
取鍋本体内を非酸化性雰囲気に保ちながら、ランスから取鍋本体内に不活性ガスを吹込んで、スラグおよび溶銑の撹拌を行うことを特徴とするステンレス鋼溶銑の精錬方法である。
【0013】
本発明に従えば、ステンレス鋼溶銑を取鍋本体内に出銑し、ステンレス鋼溶銑が取鍋本体内に貯留されている間に、取鍋本体の上部の開口部にはランス孔を有するシールカバーを載置して、接触部を気密に封止する。ランス孔には、ランスを挿入し、ランスとランス孔との間の隙間を気密に封止する。シールカバーによって気密に封止された取鍋本体内は、非酸化性雰囲気に保たれ、ランスからは取鍋本体内に貯留される溶銑およびスラグに対して不活性ガスが吹込まれスラグおよび溶銑の撹拌が行われる。非酸化性雰囲気内でスラグおよび溶銑の撹拌が行われるので、スラグによる脱硫やクロム還元などの精錬工程を効率よく進行させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態としての溶銑用取鍋装置1の部分的な構成を示す。取鍋本体2は、大略的に円筒状であり、上部は開口している。取鍋本体2内には、溶銑3が貯留され、溶銑3の上部にはスラグ4の溶融層が形成される。取鍋本体2の壁5の上部には、シールカバー6が載置され、取鍋本体2の開口部を封止する。壁5およびシールカバー6は、鉄皮と耐火物の内張りとから形成される。シールカバー6には、ランス孔7が設けられ、上方からランス8が挿入可能である。ランス8をランス孔7に挿入し、ランス8の先端のノズル9を溶銑3中に浸漬させた状態で、ノズル9から不活性ガスを吹込んで溶銑3およびスラグ4の撹拌を行う。
【0015】
シールカバー6に設けるランス孔7は、ランス8へのスプラッシュ付着や、取鍋本体2の位置ずれ等を考慮して、ランス8の外径に比較して大きめに形成しておく必要がある。しかしながら、ランス8とランス孔7との間の隙間が大きいと、取鍋本体2をシールカバー6によって封止しても、ランス孔7とランス8との間の隙間から大気中の酸素が取鍋本体2内に侵入しやすくなり、シール性の確保には不都合である。そこで、本実施形態では、ランス孔7に開閉機構10を設け、可動部材11を油圧シリンダ12で開閉可能なようにしている。
【0016】
図2は、ランス8をランス孔7に挿入して撹拌を行っている状態を示す。開閉機構10の可動部材11は油圧シリンダ12によって閉じた状態となる。可動部材11は、大略的に半円形状の形状を有し、中央部にはランス挿入用開口13が形成される。一対の可動部材11の対向する端面間には弾力性を有する断熱材であるブランケット14が装着され、閉じた状態で端面間を気密に封止する。ランス挿入用開口13の周縁にもブランケット14が装着され、挿入されている状態のランス8の周囲を気密に封止する。
【0017】
図1に示すように、一対の可動部材11は、油圧シリンダ12によって、実線で示す閉状態と仮想線で示す開状態との間でバタフライ状に開閉する。ランス8をシールカバー6の上方から下降させてノズル9を溶銑3に浸漬する移動時や、ランス8をランス孔7から引抜いて上昇させる移動時には、可動部材11を開いておく。図1に示すようなランス8がシールカバー6の上方に引上げられている状態では、可動部材11は閉じておく。
【0018】
取鍋本体2の壁5の上部に載置するシールカバー6と壁5の上縁との接触部15を気密に封止するため、シールカバー6には、可動部材11に用いるブランケット14と同様の弾力性を有する断熱材で形成される断熱層16を設ける。シールカバー6の内側には、キャスタブルなどと呼ばれる不定形耐火物17を内張りする。不定形耐火物17の接触部15近傍でやや内方寄りの位置には、シールガス吹出口18を設ける。シールガス吹出口18は、シールカバー6の周方向に間隔をあけて複数箇所設ける。シールガス吹出口18からは、シールガスホース19を介して供給される窒素(N2)ガスが吹出す。ランス孔7の周囲には、取鍋本体2内の雰囲気ガスを採取するガスサンプリング管20も設けられる。
【0019】
図3は、本実施形態のシールカバー6で採用されているシール性の改善のための構成を示す。図3(a)は、改善前のシールカバーであり、図3(b)は改善後のシールカバー6である。取鍋本体2は、溶銑を後工程に払出すための注ぎ口21を有し、壁5の上縁の形状は、平坦ではない。図3(a)はシールカバー6も、壁5の形状に合わせて形成され、シールカバー6を取鍋本体2に載置した状態で、隙間ができるだけ少ないように形成されている。しかしながら、取鍋本体2およびシールカバー6はかなり大形であり、溶銑3やスラグ4が付着して凝固したりすることもあるので、シールカバー6を取鍋本体2上に載置しただけでは充分な封止を行うことはできない。図3(b)では、接触部15に弾力性を有する断熱材で断熱層16を形成し、気密封止が可能にしている。
【0020】
図4、図5および図6は、取鍋本体2についての構成を示す。図4は正面図、図5は平面図、図6は取鍋本体2内の耐火物の装着状態を示す。取鍋本体2の壁5の中央付近には、補強環23が設けられ、取鍋本体2を傾動させる際の支点となるトラニオン24が装着される。取鍋本体2の底部には、取鍋本体2を傾動させる際にクレーンのフックで吊上げるための引上げ部25が設けられる。図6に示すように、取鍋本体2の壁5の内側は、耐火レンガ26で内張りされ、図1の溶銑3やスラグ4が貯留される。
【0021】
図7は、図1〜図6に示すような溶銑用取鍋装置1を用いてステンレス鋼溶銑の製造を1チャージ分行う工程を示す。ステップa1から製造工程を開始し、原料を電気アーク炉に装入する。ステップa2では、装入された原料を電気アーク炉で溶解する。ステップa3では溶解した溶銑を、取鍋本体2に出銑する。ステップa4では、取鍋本体2の上部にシールカバー6を載置する。ステップa5では、シールガスホース19を介してシールガス吹出口18にシール用ガスを供給する。ステップa6では、シールカバー6のランス孔7に設ける開閉機構の可動部材11を開く。ステップa7では、可動部材11が開いた状態のランス孔7に、ランス8を挿入し、ランス8の先端のノズル9を溶銑3中に浸漬する。ステップa8では、開閉機構10の可動部材11を閉じ、ランス8の周囲をブランケット14で気密に封止する。
【0022】
ステップa9では、ランス8の先端のノズル9から、アルゴン(Ar)などの不活性ガスを吹込んで、溶銑3およびスラグ4を撹拌する。取鍋本体2内は低酸素濃度の非酸化性雰囲気となっているので、撹拌によって溶銑3の脱硫反応およびスラグ4のクロム還元反応が促進される。還元されたクロムは、溶銑3中に回収され、原料の歩留を改善することができる。
【0023】
ステップa9の撹拌が終了すると、ステップa10で、開閉機構10の可動部材11を開き、ステップa11でランス8をランス孔7から引抜き、ステップa12で開閉機構10の可動部材11を再び閉じる。ステップa13でシールガス吹出口18から吹出すシール用ガスを停止し、ステップa14でシールカバー6を取鍋本体2上から除去する。ステップa14では、取鍋本体2を後工程まで移動させ、溶銑3の払出しを行い、ステップa16で1チャージ分の処理を終了する。
【0024】
図8および図9は、図7のステップa9の撹拌処理と雰囲気酸素濃度との関係を示す。図8は脱硫率についての関係を示し、図9はクロムの還元率についての関係を示す。図8に示す脱硫率は、撹拌前の硫黄(S)の量と撹拌後の硫黄の量との差を、撹拌前の硫黄の量で除算し、100倍した値である。なお、図8ではニッケル系のステンレス鋼溶銑に対するデータを示し、数字は撹拌後の硫黄濃度の値をppm単位で示す。図9はクロム還元率Δ〔%Cr〕のデータを示す。図8および図9では、斜線を施して示す雰囲気酸素濃度の低い部分が、本実施形態の気密封止によって実現される。
【0025】
次の表1は、取鍋本体2とシールカバー6とについて、実際に操業を行いながら種々の実験を行った際の、取鍋内雰囲気酸素濃度の変化を示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003829009
【0027】
第1回の実験では、単なる蓋を取鍋本体2の上部の開口部にかぶせるだけであり、気密性が不充分で酸素濃度が高い。第2回目の実験では、蓋を改善し、蓋の周囲が取鍋本体2の壁5の周囲まで覆うような形状としているけれども、取鍋内雰囲気の酸素濃度はあまり改善されない。第3回目から第6回目では、本実施形態のシールカバー6を用い、取鍋内雰囲気の酸素濃度を充分に低くすることが可能になっている。
【0028】
図10は、取鍋本体2に本実施形態のシールカバー6を載置し、シールガス吹出口18からシール用ガスを吹出した場合と吹出さない場合とでの温度降下を比較した試験結果を示す。また次の表2は、温度降下について、3つのサンプルの平均値として温度降下速度を示す。
【0029】
【表2】
Figure 0003829009
【0030】
カバーを改善することによって、シールガスの有無に拘わらず、温度降下速度を低下させ、保温性が改善されていることが分かる。
【0031】
図11は、本発明の実施の他の形態として、シールカバー6と壁5の接触部15に近接して、不定形耐火物27に突出部28を形成している例を示す。突出部28は、ランス8のノズル9から吹出す不活性ガスによって溶銑3およびスラグ4から飛散するスプラッシュ29を、接触部15に対して遮るように設けられている。断熱層16に用いる弾力性を有する耐火物は、一般に溶融スラグ等からの侵食には弱いので、突出部28によってスプラッシュ29が直接飛散して付着することを防ぎ、長寿命化と気密封止性の向上とを図ることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、取鍋本体内にスラグおよび溶銑を貯留しながら、シールカバーで取鍋本体の上部を封止し、取鍋本体内を非酸化性雰囲気に保ちながら、ランスから吹込まれる不活性ガスでスラグおよび溶銑を混合させ、非酸化性雰囲気でスラグと溶銑との間の反応を促進させることができる。シールカバーにはランスが挿入および引抜き可能なランス孔が設けられ、ランス孔のシールカバーへの挿入部分のランス孔とランスとの間の隙間は、ランス孔開閉機構を閉じた状態で封止することができる。ランス孔開閉機構を開いた状態では、ランスとランス孔との間の隙間が大きくなり、容易にランスをランス孔に挿入し、またランス孔から引抜くことができる。ランス孔に挿入したランスとランス孔との間の隙間をランス孔シール機構を閉じて封止することができるので、確実な雰囲気保持が可能となり、スラグと溶銑との間の脱硫やクロム還元の反応を効率よく進行させることができる。この結果、原料の高歩留と製品の品質向上とを達成することができる。
【0033】
また本発明によれば、取鍋本体とシールカバーとの接触部に弾力性を有する耐熱材を配置して、取鍋本体内を高気密状態に保つことができるので、スラグおよび溶鋼に対してランスから不活性ガスを吹込んで撹拌を行っても、スラグおよび溶鋼の温度低下を少なくすることができる。
【0034】
また本発明によれば、シールカバーの内面を覆う耐火物には、取鍋本体との接触部近傍で、接触部よりも内側の部分が下方に突出するように形成されるので、撹拌によって飛散するスプラッシュが直接シールカバーと取鍋本体との接触部に到達しないように遮ることができる。スプラッシュが接触部に到達すると、接触部での気密性を阻害し、また接触部に弾力性を有する耐熱材が載置されていれば、スプラッシュによって断熱材を劣化させるおそれがある。シールカバーの内部に設ける耐火物のうちの下方に突出する部分で、スプラッシュの飛散を遮ることができるので、良好な封止状態を保つことができる。
【0035】
さらに本発明によれば、取鍋内の気密を充分に保った状態で、取鍋内を非酸化性雰囲気とし、取鍋の上部の開口部を気密に封止するシールカバーから取鍋内にランスを挿入し、ランスの先端から不活性ガスを吹込んでスラグおよび溶銑の撹拌を行い、脱硫やクロム還元などの反応を効率的に行い、原料の歩留を高め、製品の品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の溶銑用取鍋装置1の概略的な構成を示す部分的な断面図である。
【図2】図1の開閉機構10に関連する構成を示す斜視図である。
【図3】図1のシールカバー6に断熱層16を設ける改善の前後の比較を示す部分的な正面図である。
【図4】図1の取鍋本体2の正面図である。
【図5】図1の取鍋本体2の平面図である。
【図6】図1の取鍋本体2の正面断面図である。
【図7】図1の溶銑用取鍋装置1を用いて行うステンレス鋼溶銑の精錬工程を示すフローチャートである。
【図8】図1の実施形態での撹拌による脱硫率と雰囲気酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図9】図1の実施形態の撹拌によるクロム還元率と雰囲気酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図10】図1の実施形態の温度降下の計測結果を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の他の形態の不定形耐火物の形状を示す部分的な断面図である。
【符号の説明】
1 溶銑用取鍋装置
2 取鍋本体
3 溶銑
4 スラグ
6 シールカバー
7 ランス孔
8 ランス
10 開閉機構
11 可動部材
13 ランス挿入用開口
14 ブランケット
15 接触部
16 断熱層
17,27 不定形耐火物
28 突出部
29 スプラッシュ

Claims (4)

  1. 上部が開口し、スラグおよび溶銑を貯留する取鍋本体と、
    取鍋本体内に貯留されるスラグおよび溶銑に、不活性ガスを吹込んで撹拌するランスと、
    ランスの挿入および引抜きが可能なランス孔を有し、取鍋本体上部の開口部に載置され、取鍋本体内を非酸化性の雰囲気に保つ機能を備えるシールカバーと、
    シールカバーのランス孔を開閉し、開いている状態でランス孔へのランスの挿入および引抜きが容易となるように、ランスとランス孔との間の隙間を大きくし、閉じている状態でランスとランス孔との間の隙間を封止するランス孔シール機構とを含むことを特徴とする溶銑用取鍋装置。
  2. 前記シールカバーと前記取鍋本体との接触部に、弾力性を有する断熱材が配置されることを特徴とする請求項1記載の溶銑用取鍋装置。
  3. 前記シールカバー内面は耐火物で覆われ、
    前記接触部近傍で該接触部よりも内側の耐火物は、下方に突出して形成されることを特徴とする請求項1または2記載の溶銑用取鍋装置。
  4. ステンレス鋼溶銑を、スラグとともに、上部が開口している取鍋本体内に出銑し、
    取鍋本体の開口部に、ランス孔を有するシールカバーを載置して、接触部を気密に封止し、
    ランス孔にランスを挿入して、ランスとランス孔との間の隙間を気密に封止し、
    取鍋本体内を非酸化性雰囲気に保ちながら、ランスから溶銑内に不活性ガスを吹込んで、スラグおよび溶銑の撹拌を行うことを特徴とするステンレス鋼溶銑の精錬方法。
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