JP3828844B2 - 家畜の下痢の予防・治療剤及び家畜の下痢の予防・治療方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家畜の下痢の予防・治療剤及び家畜の下痢の予防・治療方法に関する。詳しくは、豚や牛等の家畜の体力の損耗を防止できる家畜用の下痢の予防・治療剤及び家畜の体力の損耗を防止できる家畜用の下痢の予防・治療方法に関する。さらに詳しくは、まだ体力が十分でない子豚や子牛等の幼動物(幼畜)の下痢を予防・治療し、幼動物の発育に悪い影響を与えない幼動物用の下痢の予防・治療剤及び幼動物用の下痢の予防・治療方法に関する。
なお、本発明の全説明において、家畜の下痢を「予防・治療する」とは、家畜の下痢を予防し、かつ、下痢が発生しても早期に治療する、という意味である。したがって、本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤は、家畜の下痢を予防するために家畜に給与するとともに、万一下痢が発生した場合でも、その早期治療のためにさらに継続して給与するという「予防と治療」の両方に使用することの他、家畜の下痢の予防だけに用いてもよいし、家畜の下痢の治療だけに用いても差し支えない。
【0002】
【従来の技術】
畜産業において、従来から最大の問題となっているのは、家畜の下痢対策であり、特に幼畜期の下痢予防とその早期治療である。家畜が下痢をすると、成畜であっても体力が損なわれ、回復までに長期間を要し、以後の発育に影響することが多い。特に子豚や子牛等の幼動物は、哺乳期や育成期における下痢発生の頻度が高く、また下痢が原因となって発育停滞を起こし、酷い場合には死亡に至るケースが発生している。しかも治癒したとしても、この間の発育停滞がその後も影響して発育不良のままで終わることが多い。このように、畜産業にとって、家畜の下痢は古くて新しい厄介な疾病であり、その予防法と早期治療法の確立は、きわめて重要な問題である。
このため、幼動物をはじめ、家畜全般について、下痢の予防と治療に関する研究が続けられていて、いくつかの特許出願が見られる。
【0003】
すなわち、公開特許公報を見ると、例えば、特開平5−219897号公報には、ガラクトシルラクトース、ジガラクトシルラクトース等のガラクトオリゴ糖を家畜用飼料に配合して、家畜、特に母豚の下痢や軟便の防止に効果がある飼料について開示されている。また、特開平6−303918号公報には、L−グルタミン酸及びクエン酸を含有し、子豚及び鶏の軟便や下痢を防止できる飼料添加用組成物や配合飼料について開示されている。また、特開平7−16062号公報には、茶に由来する茶葉繊維を有効成分とし、乳牛、肉牛、豚、鶏等の家畜の整腸作用を促進し、下痢発症を低減できる家畜飼料用添加物が開示されている。また、特開平8−336358号公報には、ビール粕由来の高タンパク質含有物を配合してなり、アレルギーによる下痢を起こさない、子豚用人工乳が開示されている。また、特開平7−16062号公報には、茶由来のポリフェノール類を含有する、豚ウイルス性下痢症の予防治療剤について開示されている。さらに、特開2000−44473号公報には、茶ポリフェノール類を有効成分として含有する、家畜のヘルペスウイルス又はコロナウイルス感染予防剤について開示されている。また、特開2001−95502号公報には、シュガー系フレーバーと甘草抽出物及び/又はステビア抽出物からなり、牛、豚等の家畜の嗜好性を向上させ、子畜の下痢を軽減させる家畜用飼料添加剤が開示されている。さらに、特開2001−269125号公報には、デキストラン発酵副産物を添加した飼料を給与することによる豚の下痢症予防・治療方法について開示されている。
【0004】
しかしながら、これら家畜用の下痢予防・治療方法は、実用化されているものが少ない。また、未だ体力が十分でない幼動物にも安心して給与できる下痢の予防・治療剤や予防・治療方法はきわめて少ない。すなわち、畜産の現場においては、家畜の下痢対策の技術として、発症後の抗生物質の投与や電解質の経口投与等のごく限られた方法が実用化されているが、これらの方法は、下痢発生時の対症療法にすぎず、下痢発生そのものを防止する技術ではない。また、家畜の下痢は、その原因によってウイルス性、ストレス性、過食性等多岐にわたるが、そのいずれについても効果がある下痢の予防・治療剤や下痢の予防・治療法は、いまだ確立されていない。
【0005】
本発明者らは、家畜に下痢が発生してから施す対症療法ではなく、罹病する前の家畜に飼料とともに経口給与することによって家畜の下痢発生率を低減できる予防剤及び家畜の下痢発生率を低減できる予防方法の開発を指向して、各種素材をインビトロで予備評価し、その中からいくつかの素材を選んで、インビボでの給与実験を重ねた結果、幼動物についても下痢の発生を大幅に抑制でき、かつ、下痢が発生しても早期に治療できる素材を見いだし、さらに研究を続け、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の状況に鑑み、本発明は、牛や豚等の家畜に経口投与することによってその下痢を予防し、かつ、仮に下痢が発生しても早期の治療効果を奏し、もって家畜の体力を損耗させないで済む家畜の下痢の予防・治療剤を提供することを第一の課題とする。また、本発明は、牛や豚等の家畜の下痢を予防し、かつ、仮に下痢が発生しても早期に治療でき、もって家畜の体力を損耗させないで済む家畜の下痢の予防・治療方法を提供することを第二の課題とする。さらに、本発明は、子豚や子牛等のように体力が十分に備わっていない幼動物にも適用できる下痢の予防・治療剤及び下痢の予防・治療方法を提供することを第三の課題とする。
【0007】
上記課題を解決するための本発明のうち請求項1に記載する発明は、エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウのいずれか1種又は2種以上を有効成分として含有する家畜の下痢の予防・治療剤である。
【0008】
本発明のうち請求項2に記載する発明は、バナナ粉末及び/又はイナゴ豆の粉末にエゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウのいずれか1種又は2種以上を配合して成る家畜の下痢の予防・治療剤である。
【0009】
また、本発明のうち請求項3に記載する発明は、子豚用又は子牛用である請求項1又は2に記載の家畜の下痢の予防・治療剤である。
【0010】
また、本発明のうち請求項4に記載する発明は、請求項1から3のいずれかに記載の家畜の下痢の予防・治療剤を家畜に給与することを特徴とする家畜の下痢の予防・治療方法である。
【0011】
また、本発明のうち請求項5に記載する発明は、エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウのいずれか1種又は2種以上を、飼料1kg当たり原末換算でそれぞれ0.001〜0.500重量%添加した飼料を家畜に給与することを特徴とする家畜の下痢の予防・治療方法である。
【0012】
また、本発明のうち請求項6に記載する発明は、エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウのいずれか1種又は2種以上をバナナ粉末及び/又はイナゴ豆の粉末とともに飼料に添加して家畜に給与することを特徴とする家畜の下痢の予防・治療方法である。
【0013】
また、本発明のうち請求項7に記載する発明は、子豚又は子牛を対象とする請求項4から6のいずれかに記載の家畜の下痢の予防・治療方法である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0014】
本発明者らは、家畜の発育改善を目的として、従前から多くの植物が有する特性を研究してきた。その一連の実験を通して、家畜や発育改善に寄与することが確認された植物を選定し、下痢発生原因の指標として大腸菌(Escherichia coli)を用いて各々の植物について抗菌力確認試験をおこなった。
【0015】
本発明者らが今回の抗菌力確認試験に供試した植物は、アニス、エキナセア、エゾミソハギ、エゾヨモギギク、ガーリック、クローブ、コロハ、ジュニパーベリー、ジンジャー、セイヨウツナユキソウ、ターメリック、ベルガモット、ホースラディッシュ、マリアアザミ、ミルフォイルの15種である。本発明者らは、試験をおこなった結果、後記の試験例で示すように、これら供試植物中のエゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウツナユキソウの3種のハーブにそれぞれ強い抗菌力があることを発見した。
【0016】
エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウツナユキソウは、いずれも、家畜に経口服用させると、その消化器官におだやかに作用し、家畜の食欲を増進させる効果も有するので、長期間にわたって飼料とともに家畜に給与してもその体力を損耗するおそれがない。よって、本発明では、家畜の下痢の予防・治療剤の主成分として、上記3種のハーブをそれぞれ単独で又は2種もしくは3種を混合したものを用いることにした。本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤は、上記3種のハーブを主成分とするものであれば、副原料等について格別の制約はない。
また、本発明では、家畜の下痢の予防・治療方法として、上記3種のハーブをそれぞれ単独で又は2種もしくは3種を混合して、家畜の飼料に添加して給与することにした。本発明に係る家畜の下痢の予防・治療方法は、飼料に対して上記3種のハーブを有効量だけ配合する方法であれば、副原料の配合等についての格別の制約はない。
【0017】
本発明で用いるエゾミソハギは、Lythrum salicaria であり、ユーラシア大陸の温帯域に広く分布する多年草である。その若葉や花はサラダに用いることができる。また、エゾヨモギギクは、Tanacetum vulgare であり、ユーラシア大陸に広く分布し、全草に独特の香りを持つタンジー油を含み、ヨーロッパではその少量の葉を焼き込んだケーキ、特にカスタードプディングが有名である。その枝葉と花には防虫効果のある独特の香りを有し、枝葉からは緑黄色、頭花からは黄色の染料を採ることができる。また、セイヨウツナユキソウは、Filipendula ulmaria であり、やはりユーラシア大陸に広く分布する耐寒性の多年草であり、ハーブティーとして用いられる他にイギリスではこれを乾燥させ、ストローイングハーブとして多くの家庭で愛用されている。
【0018】
本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤の1日の投与量としては、家畜の体重1kg当たり2g程度を基準とするのが好ましい。また、本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤の投与方法としては、通常の配合飼料や人工乳や飲水もしくは代用乳等に添加し、均一に混合してから給与するのが好ましい。
また、本発明に係る家畜の下痢の予防・治療方法は、上記投与方法の他、エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウツナユキソウを単独で又はこれら3種のハーブを適宜に混合したものを通常の配合飼料や人工乳や飲水もしくは代用乳等に添加し、均一に混合してから給与する方法を採るのが好ましい。この場合、これら3種のハーブの飼料への添加量は、飼料1kg当たりそれぞれ原末換算で(すなわち、乾燥・粉末化した状態で)0.001〜0.500gの範囲で配合するのが好ましい。さらに、エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウツナユキソウは、いずれも水分含量2重量%以下程度に乾燥させたものを使用するのが好ましいが、これらのアルコール抽出物やアセトン抽出物を用いてもよい。また、これらのハーブは、粉末化したものであればさらに使用しやすい。
【0019】
このように、本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤ないし上記3種のハーブの投与量や飼料に対する配合量はきわめて微量であるから、これらをそのまま家畜に投与したり飼料に添加・混合するよりは、家畜の嗜好に適合する飼料原料を基材として、その基材にこれらを配合した状態で家畜に投与したり飼料に添加・混合する方が、家畜に給与しやすくなり、家畜も確実に摂取できるので、好ましい。また、本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤ないし上記3種のハーブを基材に均一に配合しておけば、必要に応じて適宜希釈して使用できるので、これを販売するにしても使用するにしても、きわめて扱いやすいものとなる。
【0020】
通常、飼料用の基材としては、特段の制限条件がないかぎり、安価な炭酸カルシウムや脱脂米ぬか等が用いられている。しかし、本発明者らは、本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤が子豚や子牛等の幼動物も重要な対象にしていることに鑑み、また飲水に溶解させて給与する場合も考慮して、上記通常の単なる希釈剤的な基材を使用することは止め、試験をおこない、家畜の下痢の予防・治療効果を無理なく増強できる効能を有する飼料原料を選定した。
【0021】
本発明において、家畜の下痢の予防・治療剤ないし上記3種のハーブを配合する基材は、家畜の嗜好に適した飼料原料であれば特に制限はないが、以下の試験例にも示すとおり、イナゴ豆の粉末又はバナナ粉末を使用するのがが好ましい。
【0022】
イナゴ豆(キャロブ)は、Ceratonia Siliqua であり、地中海から中近東、インド方面で採れる小ぶりな黒まめである。穀粒の大きさが均一であることから、かっては、分銅代わりに使われていたことがあり、アレルギー性が少ないので、食品分野では製菓原料として知られている。イナゴ豆は、水分含量5重量%以下程度に乾燥させ、粉末化したものを使用するのが好ましい。
また、バナナの繊維部分には古くから便秘予防、下痢止め効果があり、これに含まれる多量のカリウムは、高血圧や脳卒中の抑制にも効果があることが知られている。バナナは、水分含量5重量%以下程度に乾燥させ粉末化したものを使用するのが好ましい。
【0023】
本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤ないし上記3種のハーブをこれら2種の基材に配合する方法を例示すると、以下のとおりである。
水分含量を2重量%以下に乾燥させたエゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウをそれぞれ微粉末状に粉砕した後、その所要量を天秤で正確に秤量し、その2種又は3種を使用する場合はそれらを均一に混合する。次に、水分含量を5重量%以下にした乾燥バナナ及び/又はイナゴ豆をそれぞれ微粉末状に粉砕し、その中に、上記秤取したハーブ微粉末を添加して混合する。
上記3種のハーブと2種の基材の好ましい配合割合を下記に例示する。
【0024】
【実施例1】
すなわち、本発明において、基材とするイナゴ豆の粉末及び/又はバナナ粉末と、家畜の下痢の予防・治療剤の主成分であるエゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウとの配合比率は、前者「95重量部」に対して後者「5重量部」程度にするのが好ましい。
【0025】
本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤及び家畜の下痢の予防・治療方法は、まだ発育が十分でなく、体力的に未成熟である子豚や子牛等の幼動物に特に有効である。すなわち、本発明は、子豚であれば、生後21日齢前後のものから用いることができ、子牛であれば、生後7日から10週齢程度のものにも好ましく給与できる。
さらに、本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤は、エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウの1種又は2種以上を主成分とするものであるから、家畜の消化器官におだやかに作用するので、継続して給与しても副作用が生じない。したがって、まだ発育が十分でない幼動物に対しても安心して継続的に給与することができる。
【0026】
本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤及び家畜の下痢の予防・治療方法は、成豚や成牛についても大きな効果を示す。
また、本発明に係る家畜の下痢の予防・治療剤及び家畜の下痢の予防・治療方法は、ウイルス由来の下痢やストレス性又は過食性による下痢等あらゆる下痢症状の予防・治療について効果を挙げることができる。
以下、本発明を試験例をもってさらに説明する。
【0027】
【試験例1】
<抗菌力確認試験>
表1に示す各植物について、抗菌力確認試験(薬剤感受性試験)を、以下の手順により実施した。
(1)供試素材の調整
上記各植物のサンプルをその7倍量の50%濃度エタノール水溶液に加え、16時間抽出してアルコール抽出物とした。この抽出物をディスクに20μLを吸収させ、以下の方法で薬剤感受性試験を実施した。その結果を表1に示す。
(2)試験の方法等
イ.試験方法: 感受性ディスク法(阻止円形成)
食品衛生検査指針(微生物編)に準拠
ロ.使用菌: 大腸菌(Escherichia coli)
ハ.使用ディスク: 直径8mmディスク
ニ.使用培地: ミューラー・ヒントン寒天培地
ホ.培養温度: 35℃
ヘ.培養時間: 18時間培養
ト.計測用ノギス: デジタルノギス
【0028】
(3)試験結果
【表1】
各植物素材の抗菌力一覧
(4)考察
表1から、大腸菌に対する抗菌力は、セイヨウツナユキソウ、エゾミソハギ、エゾヨモギギクの3種が他の植物に抜きんでて大きく、また、上記3種の植物の抗菌力は、上記の順で大きいことが理解できる。
【0029】
【試験例2】
<子豚への給与試験1>
(1)試験方法
エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウの各粉末及びこれら3種のハーブの混合粉末の4試料を表2に示す量だけ添加して4通りの飼料を作成し、それぞれ離乳21日齢の子豚50頭に対して15日間継続給与して、子豚の発育に与える影響と下痢発生に及ぼす影響について確認した。供試した各飼料の配合割合を表2に示す。また、その試験結果を表3に示す。
【0030】
(2)供試飼料の配合割合
【表2】
(単位:重量%)
【0031】
(3)試験結果
【表3】
離乳子豚の発育試験データ
(4)考察
表3から、エゾミソハギ、エゾヨモギギク及びセイヨウナツユキソウは、それぞれ、子豚の発育向上と下痢防止に十分な効果を有すること、また、これら3種のハーブを混合して飼料に添加すると、子豚の発育向上と下痢防止にさらに好ましい効果を奏することが理解できる。
【0032】
【試験例3】
<基材の選定試験>
(1)試験方法
試験例2で用いた飼料に、小麦粉、脱脂粉乳、バナナ粉末、イナゴ豆粉末、イナゴ豆粉末・バナナ粉末の2種混合粉を添加して、表4に示す5通りの飼料を作成し、それぞれを離乳21日齢の子豚50頭に対して15日間継続給与して、子豚の発育に与える影響と下痢発生に及ぼす影響について確認した。その試験結果を表5に示す。
【0033】
(2)供試飼料の配合割合
【表4】
(単位:重量%)
【0034】
(3)試験結果
【表5】
離乳子豚の発育試験データ
(4)考察
表4から、イナゴ豆粉末とバナナ粉末を別々に添加した飼料及びこれらを混合して添加した飼料は、いずれも子豚の発育がよく、下痢も減少する傾向を示すことが理解できる。したがって、本発明の家畜の下痢の予防・治療剤は、イナゴ豆粉末とバナナ粉末をそれぞれ単独に又は適宜混合して基材として使用すると、子豚の嗜好にさらに適合し、しかも、下痢防止の効果が一段と向上するものと推定できる。
【0035】
【試験例4】
<子豚への給与試験2>
(1)試験方法
表6に示す3通りの原料配合の飼料を作成し、それぞれ離乳21日齢の子豚50頭に対して15日間継続給与して、子豚の発育に与える影響と下痢発生に及ぼす影響を確認した。その試験結果を表7に示す。
【0036】
(2)供試飼料の配合割合
【表6】
(単位:重量%)
【0037】
(3)試験結果
【表7】
離乳子豚の発育試験データ
(4)考察
表7から、エゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウのハーブ3種を同じ量だけ配合した飼料であっても、バナナ粉末とイナゴ豆粉末の混合粉を基材とする飼料の方が、子豚の発育がよく、下痢の発生も大きく減少する傾向を示すことが理解できる。
【0038】
【試験例5】
<子牛についての確認試験>
(1)試験方法
ホルスタイン雄子牛を各20頭用い、7日齢から6週齢までの35日間にわたって、表8に示す2通りの配合の代用乳(対照区と試験区)をそれぞれ継続給与して、子牛の発育に与える影響と下痢発生に及ぼす影響について確認した。試験期間中は、この代用乳のみを500g/日(250gを2回に分けて)給与し、人工乳や乾草は給与しなかった。
【0039】
(2)供試した代用乳の配合
【表8】
(単位:重量%)
【0040】
(3)試験結果
【表9】
(4)考察
表9から、イナゴ豆粉末とバナナ粉末を基材として、これにエゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウのハーブ3種を配合した飼料は、子牛の発育がよく、下痢の発生も減少する傾向を示すこと、したがって、バナナ粉末とイナゴ豆の粉末を基材とし、これにエゾミソハギ、エゾヨモギギク、セイヨウナツユキソウを配合した下痢の予防・治療剤は、子牛に対してもきわめて有効であることが理解できる。
【0041】
【試験例6】
<下痢治癒効果の確認試験>
(1)試験方法
下痢の発生したホルスタイン雄子牛5頭について、試験例5の試験区(表8)の配合と同じ代用乳を試験例5と同じ方法で給与し、下痢の治癒に及ぼす影響を確認した。その結果を表10に示す。
なお、本試験に用いた糞便スコアは以下のとおりである。
スコア1=硬い便、スコア2=正常便、スコア3=軟便
スコア4=下痢便、スコア5=水様便
【0042】
(2)試験結果
【表10】
(3)考察
表10に示すように、供試子牛の全部(5頭)が下痢ないし下痢に近い状態であったが、表8の試験区の代用乳(本発明に係る下痢の予防・治癒剤)を3日間給与しただけで、全部の子牛が正常便の状態に回復したことが確認された。
【0043】
【発明の効果】
以上詳しく説明のとおり、本発明によれば、本発明に係る下痢の予防・治療剤を家畜に給与することによって、家畜の下痢を予防することができ、また、仮に下痢が発症しても早期に治療できるので、下痢による家畜の体力の損耗を防止することができる。特に発育が十分でない子豚や子牛等の幼動物に用いるのに好適である。
本発明によって、家畜の下痢を容易にかつ確実に予防することが実務的に可能になった。また、本発明に係る下痢の予防・治療剤を家畜に給与しておけば、仮に下痢が生じたとしても迅速かつ十分な治療が実務的に可能となった。
したがって、本発明によれば、家畜の飼養効率を上げることができるので、畜産業に大きな効果をもたらすことができる。
Claims (4)
- エゾミソハギ、エゾヨモギギク及びセイヨウナツユキソウの3種のハーブを有効成分として含有する牛又は豚の下痢の予防・治療剤。
- さらにバナナ粉末及び/又はイナゴ豆の粉末を配合したことを特徴とする請求項1記載の牛又は豚の下痢の予防・治療剤。
- 請求項1又は2に記載の牛又は豚の下痢の予防・治療剤を牛又は豚に給与することを特徴とする牛又は豚の下痢の予防・治療方法。
- 牛又は豚の下痢の予防・治療剤を、飼料1kg当たり原末換算でそれぞれ0.001〜0.500重量%添加したことを特徴とする請求項3記載の牛又は豚の下痢の予防・治療方法。
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