JP3821882B2 - 捲回型電極の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒形状で、かつ高容量の捲回型電極を、歩留まりよく製造できる製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機や携帯型ノートバソコンなど、電子機器類のコートレス化,高性能化,小形軽量化の推進に伴って、これら電子機器類の電源となる二次電池の高容量化が要求されている。すなわち、電源となる二次電池は、従来使用されていた鉛蓄電池,ニッケルカドミウム電池の代りに、ニッケル水素二次電池の実用化が進められている。
【0003】
ところで、この種の二次電池は、一般的に、正極シート,層間絶縁用シート,負極シートおよび層間絶縁用シートの積層体を巻装して成る捲回型電極(起電部)を、円筒形の外装容器内に液密に封装した構成を採っている。そして、この円筒形電池の捲回型電極は、通常、半円筒形状部を有する一対の巻芯棒(巻芯体)で、1枚もしくは2枚の帯状のセパレータ(層間絶縁用シート)を挟持し、このセパレータに帯状の正極シート,帯状の負極シートを分けて沿わせた後、巻芯棒を回転させることによって、渦巻き状に巻装した後、巻芯棒を僅かに逆転し、巻芯棒との間に空間を作って巻芯棒を引き抜くことによって製造している。
【0004】
図2は、従来、捲回型電極の製造に使用されている製造装置の要部構成を平面的に示したものである。ここで、1は帯状の正極シート2,帯状の負極シート3および帯状の層間絶縁用シート4,4′を渦巻状に巻装する巻芯体1aを有する捲回機構本体、5は前記捲回機構本体1の巻芯体1aに、前記正極シート2,層間絶縁用シート4,負極シート3および層間絶縁用シート4′を各別に走行・供給するためのガイド機構、6a,6bは前記捲回機構本体1の巻芯体1aに対して進退・移動可能型に設置され、巻芯体1aに渦巻状に積層・巻装・形成される捲回型電極の外周面を一定の圧力で押さえ、密なる巻装化を図る加圧ローラである。
【0005】
なお、この構成では、捲回機構本体1の巻芯体1aが層間絶縁用シートを挟持可能とするため、対向する平坦面部を形成する断面半円筒状部を備えている。また、ガイド機構5は、ガイド用ブロック51 ,52 ,53 ,54 化し、これらガイド用ブロック51 ,52 ,53 ,54 の組み合わせで、所要の走行路5a,5b,5c,5dを形成ししており、さらに、ガイド用ブロック51 ,52 ,53 ,54 は、バキュームエアーによって、前記層間絶縁用シート4,4′が被走行面で摺動的に保持されるようになっている。
【0006】
そして、この製造装置による捲回型電極の製造は、次のように行われている。すなわち、巻芯体1aの対向する平坦面間に層間絶縁用シート(セパレータ)を挟持させ、かつこの層間絶縁用シート4に負極シート3を、また層間絶縁用シート4′に正極シート2を、それぞれ沿わせた形で供給する一方、捲回機構本体1の巻芯体1aを回転・駆動することによって巻き込む。換言すると、前記各シート2,3,4,4′を巻芯体1aに対して渦巻状に積層・巻装しながら、形成される渦巻の外周面を加圧ローラ6a,6bによって一定の圧力で加圧して、捲回型電極(起電部)を構成する。その後、前記巻芯体1aを僅かながら逆回転させ、捲回型電極の巻芯体1aに対する巻き付きを緩めて両者を分離している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の捲回型電極の製造方法の場合は、次のような不都合な問題がある。たとえば、ニッケル水素二次電池の小形・高容量化に伴って、正極シート2および負極シート3の厚さが厚くなる傾向にあり、一方では、所定寸法の電池外装缶に収納・装着するために、密な積層・巻装が要求されている。この密な積層・巻装は、小形・高容量化に適する捲回型電極の形成を可能にするが、巻装・形成した捲回型電極を巻芯体1aから分離することを困難にしている。
【0008】
すなわち、密な積層・巻装後、巻芯体1aの逆回転を行っても、巻芯体1aに近接している積層・巻装部が緩み難いため、形成された捲回型電極が全体的に逆回転して密な積層・巻装が壊される恐れがある。また、巻芯体1aに対する巻き付きの緩みが不完全のまま、巻芯体1aの引き抜きを行うと、巻芯体1aに近接している積層・巻装部の層間絶縁用シート4,4′や電極シート2,3の損傷を招来したりする。あるいは巻芯体1aに近接している積層・巻装部が巻芯体1aとともに引き抜かれ、所要の捲回型電極が得られないこともある。つまり、歩留まりよく、信頼性の高い高容量の捲回型電極を得ることが困難で、結果的に、二次電池の高容量化を困難にしている。
【0009】
したがって、本発明は緻密な巻装化が可能で、高容量化用の捲回型電極(起電部)を歩留まりよく作成できる製造装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、帯状の正極シート、層間絶縁用シート、負極シートおよび層間絶縁用シートを積層・渦巻状に巻装する正逆回転可能な巻芯体を有する捲回機構本体と、前記巻芯体上へ前記各シートを捲回して形成される円筒状電極を把持する断面円弧状の把持面を有し、前記把持面を前記巻芯体に対し同心円的に対向して配置された一対の円筒状電極保持ブロックと、前記円筒状電極保持ブロック間に進退可能に配置され、かつ前記円筒状電極に対応して、前記円筒状電極の巻装面を直径方向に対向押圧しながら一定方向のみに回転する加圧ローラとを具備することを特徴とする捲回型電極の製造装置である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の捲回型電極の製造装置において、円筒状電極保持ブロックが円筒状電極を保持して上下方向および左右方向に移動可能に設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1もしくは請求項2記載の捲回型電極の製造装置において、加圧ローラの回転方向が一方向クラッチ機構で制御され、かつ加圧ローラ面が積層・渦巻状巻装体の外周面に対接して巻芯体回転力によって回転することをする特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明は、巻芯体に捲回型電極形成用シートを渦巻状、かつ円筒状巻装しながら、その円筒状巻装体の外周面を加圧ローラで加圧し、緻密な巻装を行う一方、前記渦巻状、かつ円筒状の巻装終了後、巻芯体のみを選択的に逆回転させ、巻芯体に隣接もしくは近接する巻装のみの緻密な巻装を緩めて、巻芯体の引き抜き,分離を容易に行えるようにしたことを骨子とする。
【0014】
このように、本発明では、巻芯体に円筒状に巻装し、所要の捲回型電極を形成した後、捲回型電極の逆回転を抑止しながら、一方では巻芯体を逆回転させて、捲回型電極と巻芯体との間に僅かな空間部を形成する。したがって、捲回型電極に対する巻芯体の引き抜き,分離が容易に行われることになる。つまり、捲回型電極自体の損傷や緻密な巻装の崩壊など回避し、所要の高容量で、高品質な捲回型電極を歩留まりよく製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図1を参照して実施例を説明する。
【0016】
図1は、この実施例における捲回型電極の製造装置の要部構成を平面的に示したものである。図1において、7は矢印A方向に回転して帯状の負極シート8,正極シート9および層間絶縁用シート(セパレート)10,10′を渦巻状に巻装する一方、矢印B方向に逆回転を行える駆動機構(図示省略)付きの巻芯体(巻芯棒)7aを有する捲回機構本体である。ここで、巻芯体7aは、層間絶縁用シートを挟持することができるように、対向する平坦面部を形成する断面半円状部を備えた構成となっているている。また、11は前記捲回機構本体7の巻芯体7aに負極シート8,層間絶縁用シート10,正極シート9および層間絶縁用シート10′を供給するガイド機構である。
【0017】
さらに、 12a, 12bは前記巻芯体7aに対し同心円的に、かつ対向して配置され、巻装形成される円筒状電極の外周面を保持する対向面が半円筒以下の円弧を有する一対の円筒状電極保持ブロックである。ここで、円筒状電極保持ブロック 12a, 12bは、巻芯体7aに巻装形成された円筒状電極を挟着的に保持するもので、電極形成用シート8,9,10,10′を渦巻状に巻装している過程では、巻芯体7aから離隔・待機しており、巻装終了後に円筒状電極外周面に接近して挟着的に保持するように機能する。
【0018】
なお、円筒状電極保持ブロック 12a, 12bは、前記円筒状電極の挟着的に保持機能を高めるため、円筒状電極を挟着保持したまま、駆動機構によって上下方向や水平方向に移動可能(もしくは駆動可能)に設置されてもよい。つまり、巻芯体7aから引き抜ける状態にした円筒状電極を挟着保持し、上方に移動して巻芯体7aから引き抜き・分離した後、水平方向などの移動で所定位置に移動した時点で、円筒状電極の挟着保持を解放して元の状態・位置に戻るように構成しておくと、自動的に作業を進めることができる。
【0019】
また、 13a, 13bは前記円筒状電極保持ブロック 12a, 12b間に進退可能に配置され、かつ巻芯体7aに巻装・形成される円筒状電極に対応して直径方向に、たとえばエアーシリンダー 14a, 14bで押圧する一対の加圧ローラ、 15a, 15bは前記加圧ローラ 13a, 13bに内蔵された一方向クラッチ機構である。ここで、加圧ローラ 13a, 13bは、前記巻芯体7aの回転に対応して一方向(矢印C方向,D方向)にのみ回転し、巻芯体7aに巻装・形成されつつある円筒状電極の外周面を一定の圧力で加圧して、緻密な巻装・形成を図るものである。したがって、この加圧ローラ 13a, 13bは、前記円筒状電極の巻装・形成に対応して、巻芯体7aの直径方向に進退(移動)可能に設置されている。なお、加圧ローラ 13a, 13bによる加圧は、電極形成用シート8,9,10,10′の素材,厚さ,円筒状電極の容量・寸法などによって適宜選択調整される。
【0020】
次に、図1に要部構成を図示した製造装置によるの捲回型電極の製造例について説明する。
【0021】
先ず、巻芯体7aの離隔・対向平坦部間に、層間絶縁用シート10,10′として作用させるため、図示されていない巻き戻し型ローラに両端側が巻かれたテープ状の絶縁シートを挿着もしくは挟着する。ここで、絶縁シートは、たとえば厚さ 0.2mm,幅63mmのテープ状であり、一方側にたとえば厚さ 0.6mm,幅60mmのテープ状の正極シート9を沿わせ、また、他方側にたとえば厚さ 0.3mm,幅60mmのテープ状の負極シート8を沿わせて配置する。
【0022】
次いで、巻芯体7aを矢印A方向に駆動回転させ、ガイド機構11によって、正極シート9および絶縁シート10の積層体と、負極シート8および絶縁用シート10′の積層体とをそれぞれ摺動的に走行させて、巻芯体7aの外周面上に、渦巻状に巻装させる。この渦巻状に巻装に当たって、一対の加圧ローラ 13a, 13bは、矢印C方向,D方向にそれぞれ回転しながら、渦巻・巻装面に一定の圧力で対接したまま、前記渦巻・巻装が進められる。つまり、渦巻・巻装面に一定の圧力を加えた状態で渦巻・巻装を進めることによって、緩みのない緻密な渦巻・巻装を行う。 前記正極シート9および絶縁シート10の積層体と、負極シート8および絶縁用シート10′の積層体との渦巻状巻装の終了時において、換言すると、電池容量に対応する捲回型電極の製造・形成の最終的な段階では、正極シート9の巻装の終了後、この正極シート9の巻装終端部を越えて(被覆して)、負極シート8および絶縁用シート10′の積層体が巻装され、最終的には外周面が負極シート8で構成された円筒状電極が形成される。
【0023】
前記捲回型電極の製造終了時点で、渦巻状巻装体の外周面に加圧ローラ 13a, 13bを対接したまま、巻芯体7aを矢印B方向に駆動逆回転させる。このとき、積層・巻装されて成る捲回型電極は、その外周面が加圧ローラ 13a, 13bによって押圧・固定されているため、巻芯体7aの矢印B方向への逆回転による巻き戻りも抑止される。つまり、巻芯体7aに隣接もしくは近接する部分のみにおいて、前記巻芯体7aの逆回転作用を受けて、その部分緻密な積層・巻装が僅かに緩み、巻芯体7aに対して引き抜き可能な空間部が生じる。
【0024】
この状態で、円筒型電極保持ブロック 12a, 12bを図示を省略してある駆動機構によって駆動し、円筒状電極(捲回型電極)の外周面を挟着保持し、上方に移動して巻芯体7aから引き抜き・分離する。さらに、要すれば、水平方向などの移動で所定位置に移動した時点で、円筒状電極の挟着保持を解放した後、元の状態・位置に戻すことによって、自動的な作業の進行が可能である。
【0025】
上記したように、緻密な巻装が行われた外周面を所要の圧力で押圧・抑止しながら、一方では、巻芯体7aの逆回転による巻芯体7aと捲回型電極との分離が行われるので、この両者の分離化,巻芯体7aの引き抜きなどに伴う捲回型電極の損傷や緻密な巻装の崩れなどの現象が解消する。さらに、言及すると、高容量,小形で、かつ高品質の円筒状電極(捲回型電極)が歩留まりよく容易に提供され、強いては、信頼性の高い高容量の二次電池を提供できる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲でいろいろの変形を採り得る。たとえば、絶縁シート,正極シート,負極シートの厚さや幅などは対象とする二次電池の種類,容量に対応して適宜設定できる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、テープ状正極シート,テープ状負極シートおよび層間絶縁用シート(セパレータ)の巻装終了後、その巻装体外周面を適度の圧力で押圧し、緩みの発生などを回避もしくは抑制しながら、前記巻装体の巻き始め部(巻芯体隣接部)の巻装を選択的に緩めることができる。つまり、巻装体全体の緩み発生などを回避・抑制一方、巻芯体空の引き抜き・分離が可能な緩みもしくは空間を一定の領域にのみ形成できる。したがって、緻密な巻装で外径も小さく、高容量化が容易に図られる円筒状形の捲回型電極を歩留まりよく得ることができ、結果として、信頼性の高い二次電池の提供に大きく寄与する。
【0028】
請求項2および請求項3の発明によれば、緻密な巻装で外径も小さく、高容量化が容易に図られる円筒状形の捲回型電極の提供を、より効率的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る捲回型電極の製造装置の要部構造例を示す平面図。
【図2】従来の捲回型電極の製造装置の要部構造を示す平面図。
【符号の説明】
1,7……捲回機構本体
1a,7a……巻芯体
2,9……帯状の正極シート
3,8……帯状の負極シート
4,4′,10,10′……層間絶縁用シート
5,11……ガイド機構
6a,6b, 13a, 13b……加圧ローラ
12a, 12b……円筒型電極保持ブロック
14a, 14b……エアーシリンダー
15a, 15b……一方向クラッチ機構
Claims (3)
- 帯状の正極シート、層間絶縁用シート、負極シートおよび層間絶縁用シートを積層・渦巻状に巻装する正逆回転可能な巻芯体を有する捲回機構本体と、
前記巻芯体上へ前記各シートを捲回して形成される円筒状電極を把持する断面円弧状の把持面を有し、前記把持面を前記巻芯体に対し同心円的に対向して配置された一対の円筒状電極保持ブロックと、
前記円筒状電極保持ブロック間に進退可能に配置され、かつ前記円筒状電極に対応して、前記円筒状電極の巻装面を直径方向に対向押圧しながら一定方向のみに回転する加圧ローラと
を具備することを特徴とする捲回型電極の製造装置。 - 円筒状電極保持ブロックが円筒状電極を保持して上下方向および左右方向に移動可能に設定されていることを特徴とする請求項1記載の捲回型電極の製造装置。
- 加圧ローラの回転方向が一方向クラッチ機構で制御され、かつ加圧ローラ面が積層・渦巻状巻装体の外周面に対接して巻芯体回転力によって回転することをする特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の捲回型電極の製造装置。
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JP16303096A JP3821882B2 (ja) | 1996-06-24 | 1996-06-24 | 捲回型電極の製造装置 |
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JPH1012265A JPH1012265A (ja) | 1998-01-16 |
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1996
- 1996-06-24 JP JP16303096A patent/JP3821882B2/ja not_active Expired - Fee Related
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