JP3819871B2 - 光デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光デバイスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットのブロードバンド化が進む中で、光ファイバーを家庭まで引き込むFTTH(Fiber To The Home)が導入されはじめている。このような光通信ネットワークを家庭まで普及させるには、光通信デバイスの低コスト化がかぎとなる。光通信デバイスのキーデバイスの一つである光導波路の形成において、高い生産性が得られ、低コストで作製できる手法として、微細な凹凸パターンが設けられたスタンパ(型)を用いた形成手法があり、型を有機高分子材料に押し付けるだけの比較的簡便な手段で、任意の導波路の断面形状を得ることができる。
【0003】
特許文献1には、凸構造の導波路コアを形成するために型にその反転した形状の凹溝が形成され、その型で転写された凸構造の導波路は周囲の上部クラッドの屈折率を適当に選択することにより、高屈折率差を利用した導波路形状が形成可能であると記載されている。図19は、特許文献1に記載の方法で導波路コアを形成する工程を模式的に説明する図である。図19に示すように、基板81に有機高分子材料をコートしクラッド83およびコア85を形成する。別途製作された導波路形状の凹凸が転写面に形成されたガラス型87を、基板81に押し当てた後、UV光等を照射し硬化する。こうしてコア89が形成される。また、型の製作においては、フォトリソグラフィー等によりレジストで最終導波路形状となる凹凸を形成し、このレジストが形成された基板に電気メッキが施され、それを剥離することにより反転形状の凹凸が形成される。このような形成法を用いることにより、比較的簡便な方法で任意の導波路断面形状が形成可能である。
【0004】
ところが、上記手法の凹型スタンパで形成された導波路においては、図19に示したように、ガラス型87とクラッド83との間に、コア材料で残留コア層91が形成される場合がある。なお、基板81がクラッド83を兼ねる場合もある。この残留コア層91が、コア85の厚さに対して厚い場合は、光伝搬時にコア89からこの残留コア層91を通して光が漏れ、漏れ量が多い場合には光導波路としての性能を低下させることがあった。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−131202号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光デバイスのコアからの伝搬光漏洩を抑制する技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、コアと、前記コアの周囲に形成されたクラッドと、を含む光デバイスであって、前記コアと同一平面上に設けられるとともに前記コアと同時に形成され、前記コアを構成する材料と同一材料からなるポケットを有することを特徴とする光デバイスが提供される。なお、光デバイスは、ガラス等の基板上に形成されたものとすることもできる。
【0008】
また、本発明によれば、基板上に、成形時に流動するコア材料からなる層を形成する工程と、コア形成用の第一の凹部および余剰の前記コア材料を収容する第二の凹部を含む成形面を備えた型を用い、前記層に前記成形面を当接させた状態で加圧し、余剰の前記コア材料を前記第二の凹部に導きながら第一の凹部によりコアを形成する工程と、を含むことを特徴とする光デバイスの製造方法が提供される。
【0009】
本発明の光デバイスにおいては、基板上に設けられたコアの周囲にクラッドが形成されている。ここで、基板は、少なくとも表面がコアよりも屈折率が低い材料により構成されている。基板全体がコアに対してクラッドとなる材料で構成されていてもよい。また、基板上に第一のクラッドを有し、第一のクラッド上にコアおよび第二のクラッドが形成された構成であってもよい。また、本発明の光デバイスにおいて、ポケットは、コアと同一材料により基板上に形成された領域である。
【0010】
また、本発明の光デバイスは、基板上にコア材料からなる層を形成した後、コア材料からなる層に型を押し当てることにより、コアが形成される。コア材料からなる層に型を押し当てる際に、コア材料の一部が型の成形面に形成されたコア形成用の第一の凹部に導かれてコアを形成する。一方、凹部に埋め込まれない余剰のコア材料は、型の成形面に形成された第二の凹部に導かれ、ポケットを形成する。
【0011】
このため、本発明の光デバイスにおいては、コアの作製と同時に形成されたコア材料からなるポケットが形成される。凹状に形成された逃げ領域に型の成形面に第二の凹部が形成され、これがコア材料の逃げ領域となるため、余剰のコア材料が基板表面から除去され、ポケットを形成する。よって、基板の表面にコア材料からなる層が残留することが抑制される。残留コア層の厚さを薄くすることにより、コアからの光の漏出を抑制することができる。
【0012】
このように、本発明に係る光デバイスは、残留コア層の形成を抑制し、コアからの光損失が低減される構造を安定的に製造することが可能な構成である。
【0013】
本発明において、ポケットは、コアにおける光の伝搬方向に沿って、コアの片側に設けることができる。また、コアの両側に設けてもよい。両側に設けることにより、残存コア層の形成をさらに効果的に防ぐことができる。
【0014】
また、ポケットは、コアと分離して形成することができる。ここで、分離とは、コアを伝搬する光の損失が無視できる程度に分離されていることをいう。このようにすることにより、コアから残留コア層へ光が漏れ出さないため、光損失を低減することができる。なお、コアとポケットとの間に残留コア層が存在する場合、たとえばその厚さを4μm以下とすることができる。
【0015】
本発明において、前記コアの延在方向に直交する前記コアの断面の幅が、前記基板から上方に向かうに従って減小していてもよい。こうすることにより、余剰のコア材料が確実に型の成形面に形成された第一の凹部から第二の凹部に向かって排出され、ポケットを形成する。このため、基板表面の残留コア層の形成をさらに抑制することができる。また、コアからの光の漏洩を好適に抑制することができる。
【0016】
本発明の光デバイスにおいて、前記コアの延在方向に直交する前記コアの断面が半円形であってもよい。ここで、半円形を形成する円弧は、真円の弧であってもよいし、楕円の弧であってもよい。半円の円弧のうち一部であってもよい。
【0017】
本発明の光デバイスにおいて、ポケットは、周囲をクラッドで覆われており、コアの延在方向に直交する断面が所定の幅をもって形成されていてもよい。ポケットは、たとえばコアに並行して形成されていてもよいし、コアの近傍の一部に形成されていてもよい。また、本発明において、前記コアの延在方向に直交する前記ポケットの断面が、前記基板から上方に向かうに従って減小していてもよい。このような構成は、型の成形面に平行な断面における第二の凹部の面積が、成形面の表面から型の内部に向かうに従って減少する形状している構成の型を用いることにより得ることができる。このような構成とすることにより、余剰のコア材料を基板表面からさらに効率よく第二の凹部に導くことができる。
【0018】
本発明の光デバイスにおいて、前記コアの延在方向に垂直な断面における前記コアと前記ポケットとの間に形成された前記クラッドの幅が、前記コアの頂部から前記基板に向かって減小していてもよい。このような構成では、型をコア材料からなる層に当接し、加圧した際に、コアまたはポケットなる領域以外の領域に集中して圧力が付与される。このため、余剰のコア材料を、型の成形面に設けられた第一の凹部から第二の凹部にむかってより一層効率よく排出し、第二の凹部に溜めることができる。従って、残留コア層の形成をより一層確実に抑制することができる。
【0019】
本発明の光デバイスは、たとえば光導波路とすることができる。ポケットは、光導波路の進行方向に沿って設けられていてもよい。このとき、ポケットは、光導波路の進行方向全体に形成されていてもよいし、
【0020】
また、本発明の光デバイスにおいて、前記コアが分岐を有する光導波路を構成してもよい。また、光の導波方向に直交するコアの断面を半円形とすれば、光の導波方向に平行なコアの断面が分岐点において、円弧等の曲線を有する形状となるため、分岐点における漏れ光の発生をさらに抑制することができる。
【0021】
本発明の光デバイスの製造方法において、前記成形面に、前記型を前記基板に対して平行に押し当てるための突起が設けられていてもよい。こうすることにより、コアを形成する際に、突起を支持部として型を基板に平行に当接させることができる。このため、光デバイスを効率よく安定的に製造することができる。
【0022】
本発明の光デバイスの製造方法において、前記成形面に離型剤が付着した前記型を前記層に当接させてもよい。こうすることにより、被成形材料と型との離型性を向上させることができる。また、被成形材料へのクラックの発生を抑制することができる。よって、光デバイスをより一層安定的に高い歩留まりで製造することができる。
【0023】
本発明において、コア(およびポケット)ならびにクラッドは、有機系材料、または有機無機複合体材料により構成することができる。
【0024】
有機無機複合体材料は、少なくとも1種の金属アルコキシドを含む。有機無機複合体材料は、さらに、有機重合体を含むこともできる。
【0025】
金属アルコキシドとしては、一般には、M(OR)(Mは金属、Rはアルキル基、nは2、3、4または5)、R′M(OR)n−1(Mは金属、Rはアルキル基、R′は有機基、nは2、3、4または5)、またはR′M(OR)n−2(Mは金属、Rはアルキル基、R′は有機基、nは2、3、4または5)で表されるものを用いることができる。金属アルコキシドは、オルガノアルコキシシランおよびシランカップリング剤と称されるものも含むことができる。
【0026】
金属(M)としては、Si、Ti、Zr、A1、Sn、Zn等が好ましく用いられる。たとえば、金属(M)が4価の金属の場合、M(OR)、R′M(OR)、またはR′M(OR)で表される金属アルコキシドを用いることができる。
【0027】
アルキル基(R)としては、炭素数1〜5のアルキル基を用いることができる。
有機基(R′)としては、たとえば、アルキル基、アリール含有基、アクリロキシ含有基、メタクリロキシ含有基、スチリル含有基、エポキシ含有基等を用いることができる。
【0028】
金属アルコキシドとしては、アルコキシシラン、チタンアルコキシド、またはジルコニウムアルコキシドが好ましく用いられ、特にアルコキシシランが好ましく用いられる。
【0029】
アルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0030】
チタンアルコキシドとしては、チタンイソプロポキシド、またはチタンブトキシド等が挙げられる。
【0031】
ジルコウムアルコキシドとしては、ジルコニウムイソプロポキシド、またはジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
【0032】
有機重合体としては、金属アルコキシドと有機無機複合体を形成し得るものであればどのようなものを用いることもできる。有機重合体としては、たとえば、カルボニル基を有する高分子重合体、ベンゼン環を有する高分子重合体、およびナフタレン環を有する高分子重合体を挙げることができる。有機重合体の具体例としては、たとえば、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。光学的透明性に優れた有機無機複合体材料を形成する観点からは、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンまたはこれらの混合物が有機重合体として好ましく用いられる。
【0033】
さらに、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランの加水分解重縮合物、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解重縮合物、p−スチリルトリエトキシシランの加水分解重縮合物、およびp−スチリルトリメトキシシランの加水分解重縮合物も、有機重合体として好ましく用いられる。これらの有機重合体を用いて、ゾルゲル法により上記有機無機複合体材料を準備する場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノール等のアルコールを溶媒として用いることができる。
【0034】
一方、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、およびポリビニルナフタレン等の樹脂を有機重合体として用いる場合には、N−メチル2−ピロリドン、およびジメチルホルムアミド等の溶媒を用いることができる。
【0035】
また、コアは、種々のUV硬化樹脂により構成することができる。このようなUV硬化樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ系UV硬化樹脂、アクリル系UV硬化樹脂、エポキシアクリレート系UV硬化樹脂、ポリウレタン系等UV硬化樹脂を用いることができる。
【0036】
本発明に係る光デバイスは、光導波路や光ファイバ等の光伝搬路構造、これらを含む光ビームスプリッタ、光送受信モジュール、光カプラ、光コネクタ、光スイッチ、可変光減衰器、光サーキュレータ、光アイソレータ、光変調器、光増幅器、波長フィルタ、合波分波器、波長スプリッタ、インターリーバ、分散補償器等の光通信デバイスの分野に好適に用いることができる。また、本発明の光デバイスは、電気配線用基板、機械部品用材料、反射防止膜、表面保護膜等の各種コーティング材料、眼鏡、光学レンズ、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)用を含む光学フィルタ、回折格子、導光板、干渉計、光結合器、光合分波器、光センサ、ホログラム光学素子、その他光学部品用材料、光起電力素子、コンタクトレンズ、および医療用人工組織等にも適用することができる。
【0037】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態における光デバイス10の構成を示す断面図である。
光デバイス10は、第一のクラッド層12と、コア14と、第二のクラッド層16と、ポケット18と、基板20とを含む。
【0039】
基板20は、たとえば、ガラス、シリコン、セラミックス、有機無機複合体、または樹脂により構成される。なお、基板20は必ずしも必要でなく、たとえば光デバイスを作製後に除去することも可能である。
【0040】
光デバイス10を構成する第一のクラッド層12、第二のクラッド層16、コア14、およびポケット18には、上述したように、たとえば、有機系材料、または有機無機複合体材料とすることができる。有機無機複合体材料は、金属アルコキシドを含むことができる。また、金属アルコキシドおよび有機重合体を含んでもよい。このような有機無機複合体材料において、金属アルコキシドおよび有機重合体の混合比を適宜調整することにより、材料の屈折率を好適に設定することができる。また、第一のクラッド層12、第二のクラッド層16、およびポケット18として有機無機複合体材料を用いることにより、各層に金属アルコキシドのカルボニル基や水酸基が含まれることになるので、層間の接着性を良好にすることもできる。さらに、光デバイス10が、異なる屈折率を有する2種の有機無機複合体層を接触して積層した構造を含んでおり、当該接触する2層を構成する有機無機複合体の原料として、有機重合体及び金属アルコキシドの一方が共通して用いられていてもよい。
【0041】
光デバイス10に金属アルコキシドが含まれる場合、金属アルコキシドとして、たとえば光または熱により重合する二重結合基を有する材料を用いることができる。また、光または熱により重合する二重結合基を有する金属アルコキシドと二重結合基を有しない金属アルコキシドとから有機無機複合体が形成されてもよい。
【0042】
二重結合基は、たとえばアクリロキシ基またはメタクリロキシ基とすることができる。また、二重結合基を有する金属アルコキシドが、二重結合の反応により重合していてもよい。このような金属アルコキシドとして、具体的には、前述の化合物を用いることができる。
【0043】
図2は、光デバイス10の形成法を示す工程断面図である。まず、基板20上にスピナーにより、第二のクラッド溶液層16aを形成する(図2(a))。つづいて、第二のクラッド溶液層16a表面を加熱し、第二のクラッド溶液層16aを硬化する。これにより第二のクラッド層16が形成される(図2(b))。
【0044】
つづいて、第二のクラッド層16上にコア14を構成するコア溶液を滴下し、熱硬化させ、コア層14aとする(図2(c))。その後、ガラス型30をコア層14a上に配置する(図2(d))。コア層14aを加熱硬化させ、ガラス型30をコア層14aに押しあてる(図2(e))。その後、冷却し、ガラス型30を除去する。これにより、第二のクラッド層16上にコア14および誘導部13bに排出されたポケット18が形成される(図2(f))。ここで、ガラス型30には、凹部13aおよび誘導部13bが形成されている。このため、ガラス型30を第二のクラッド層16に押し当てた際に、第二のクラッド層16上の不要なコア材料を誘導部13bに容易に排出することができる。これにより、第二のクラッド層16の表面に残留コア層が形成されるのを抑制することができる。また、加熱温度は、コア材料の軟化点以上の温度とすることが好ましい。こうすることにより、確実にコア14を形成し、また残留コア層の形成を確実に抑制することができる。光デバイス10を安定的に作製され、歩留まりを向上させることを特徴とすることができる。
【0045】
つづいて、コア14およびポケット18上に第一のクラッド層12を構成するクラッド溶液を滴下し、第一のクラッド溶液層12aを形成する(図2(g))。この状態で加熱することにより第一のクラッド溶液層12aを硬化し、第一のクラッド層12を形成する。これにより、図1に示した光デバイス10が製造される。
【0046】
以上の方法では、加熱により軟化させた基板20上の被形成材料に誘導部13bを有するガラス型30を押し付けることにより、ガラス型30と反転した凹凸形状が被成形材料に形成される。このとき、凹部13aにコア14となる材料が充填される。また、ガラス型30の二つの凸部の外側には、誘導部13bが形成されているため、余分な形成材料は2つの凸部で挟まれた領域から滞ることなく誘導部13bへと排出される。また、この型の凸構造により、凸部に高い圧力を加えることができ、これらの相乗効果で第二のクラッド層16の表面への残留コア層の形成を抑制することができる。これにより残留コア層を通してコア14以外への光の漏れ出しが抑制されるため、光損失の少ない光学デバイスを簡便に形成することができる。たとえば、ガラス型30の凹部13aを溝状に形成することにより、低損失な光導波路が得られる。このとき、光導波路構造の形状は特に限定されず、たとえば、直線型、分岐型や曲がり導波路等とすることができる。
【0047】
図4(a)は、図1の光デバイス10のうち、基板20、第二のクラッド層16、コア14、およびポケット18、ならびにこれらに対応する形状のガラス型30を示す断面図である。図4(a)において、コア14とポケット18との間には凹部71が形成されている。ここで、凹部71の底面が角部を有しない形状とするとよい(図4(b))。さらに、凹部71の底面を曲面とするとさらに好ましい(図4(c))。これらの形状は、対応するガラス型30の凸部をこれらの形状とすることにより得られる。これらの形状とすることにより、ガラス型30をコア層14aに押し当てた際の接触面積が減少するため、ガラス型30の凸部により一層高い圧力を集中させることができる。このため、コア14とポケット18とが分離された、すなわち残留コア層を有しない光デバイス10を効率よく製造することができる。
【0048】
図5は、図4に示した凹部71のさらに別の形状を示す図である。図4(a)では、凹部71の側面が基板20の表面に垂直に形成されているのに対し、図5(a)では、凹部71の側面が、基板20から遠ざかるに従って拡大する形状となっている。このような構成とすることにより、ガラス型30と被形成材料との剥離性をさらに向上させることができる。この場合にも、図5(b)、図5(c)に示したように、凹部71の底面を曲面とするとより一層好ましい。なお、図5において、nは凹部71の入口幅を示し、lは凹部71の底部の幅を示す。
【0049】
これらの凹部71を有する構成は、凹部71の形状に対応する凸部を有するガラス型30を用いて作製することができる。コア14を形成する際に、型の凸部が基板と接触する面積は、図5(a)、図5(b)、図5(c)の順に小さくなるため、この順に、基板との接触部に付与される圧力が大きくなる。このため、コア層14aのコア材料をポケット18に誘導する効果はこの順に高い。特に、図5(c)では、ガラス型30と基板20上の第二のクラッド層16とが点接触に近い状態で当接されるため、基板20上にコア14が切断された領域を好適に形成することができる。
【0050】
図9は、直線状のコア14を有し、その両側にポケット18が形成された光デバイスの構成を模式的に示す図である。図9(a)は上面図であり、図9(b)および図9(c)は、それぞれ図9(a)のA−A’方向およびB−B’方向の断面図を、対応するガラス型30の形状とともに示した図である。図9(b)、図9(c)に示したように、図9(a)の光デバイスにおいてコア14およびポケット18を形成するために用いるガラス型30は、四隅に支持部73を有する。支持部73を有するガラス型30を用いることにより、ガラス型30をコア層14aに押し当てる際に、容易に基板20と平行な状態に保つことができる。このため、光デバイスをより一層安定的に効率よく製造することができる。
【0051】
支持部73を有するガラス型30の形状や設ける位置、個数等に特に制限はなく、基板20との平行を維持した状態で基板20上の第二のクラッド層16にガラス型30を当接させることができる態様の中から自由に設定可能であるが、たとえば図7のようにすることができる。図7(c)は図9(a)の光デバイスの作製に用いられるガラス型30の形状を示す上面である。図7(a)、図7(b)は、図7(c)のバリエーションを示す上面図である。図7(a)は被成形材料と型の平行を維持するためにコア部を形成する直線凸部以外に1箇所支持部73を設けた構成である。図7(b)、図7(c)は、支持部73を挟んで対向する場所に平行を維持する支持部73を設けた構成である。
【0052】
また、図7(d)および図7(e)は、2分岐導波路用のガラス型30を示す上面図である。これらは、分岐を有するY字型のコア14を形成するために用いられる。なお、Y字型の光導波路の構成は、たとえば図13(a)、図13(b)のようにすることができる。図13(a)では、第二のクラッド層16上において、ポケット18は、コア14およびその周囲に形成された第二のクラッド層16以外の領域全面にわたって形成されている。また、図13(b)のように、ポケット18を、コア14の近傍にストライプ状に形成してもよい。Y字型の光導波路を有する光デバイスについても、コア14とポケット18とを同時に成形することにより、残留コア層の発生を抑制することができる。
【0053】
次に、本実施形態で用いるガラス型30の作製方法について説明する。ガラス型30の作製方法に特に制限はないが、たとえばリソグラフィーにより作製することができる。図3は、図5(a)に示した形状の凹部71を基板20上に形成するためのガラス型30の作製方法を説明するための断面図である。以下、この形状を例にガラス型30の作製方法を示す。
【0054】
まず、ガラス型30となる石英ガラスの表面に、ウエットエッチング時のマスクとなるCrを成膜する。そして、フォトマスクを用いてレジスト製膜、露光、およびレジスト除去の一連のフォトリソプロセスにより、Cr膜77を所望のパターンに形成する(図3(a))。
【0055】
次いで、フッ化水素等を用いて室温でウエットエッチングを行い、ガラス型30表面のエッチングを行う。Cr膜77が除去された表面から等方的にエッチングされ、ガラス型30の表面に凹凸が形成される。そして、レジスト、Crマスク等を剥離する。こうして、所望のパターンのガラス型30が得られる(図3(b))。
【0056】
この方法において、ガラス型30の表面は、導波路パターンに対応して形成されたCr膜77の除去された部分より等方的にエッチングされる。このため、図3(b)に示したように、エッチングされたガラス型30の断面において、凹部13aおよび誘導部13bの側壁及び底部は曲線状となっている。このため、ガラス型30を用いてコア14を形成した際に、ガラス型30と被成形材料との良好な離型性が得られる。また、断面において角部を有しないため、後述する実施例で詳細に説明するように、被成形材料(上部クラッド)周辺のクラック発生を抑制することができる。
【0057】
また、ガラス型30を研削加工やドライエッチング(RIE)に供することにより、断面が矩形状や側面傾斜を有する構造が形成できる。さらに、Cr膜77の膜厚やマスキングする幅等の形成条件を適宜選定することにより、ガラス型30の凸部先端の角部を曲線に、また、先端部に頂点を有する半円形状に形成することができる。これらの形状にガラス型30を成形することにより、図5(a)〜図5(c)に示した形状の凹部71を有する光デバイス10を好適に形成することができる。
【0058】
以上、本発明を実施形態に基づき説明した。これらの実施形態は例示であり様々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0059】
たとえば、以上においては、クラッド層およびコア層14aの硬化は熱硬化することにより行ったが、これらの層を形成する材料として光硬化性材料を用い、光照射により成形を行ってもよい
【0060】
また、本実施形態で利用可能な型は、ガラスに限定されることはなく、上述のプロセスで形成されたガラス型をマスターにして、シリコーンゴム等をマスターに押し当てて離型し作製した型を用いても良い。熱硬化によりコア14を形成する(熱スタンプの)場合、転写時の加熱温度に対する耐熱性、加圧時に変形が少ない材料を用いることが好ましい。また、光硬化によりコア14を形成する場合には、型が光硬化用の光の波長に対して、比較的透過性のよい材料を用いることにより、導波路用基板の選択の自由度が上がるため、好ましい。このとき、液状の光硬化性材料を用いてコア14を形成してもよい。
【0061】
また、型の少なくとも被成形材料との接触面には、型と被成形材料を離型しやすくするために離型剤による皮膜を形成してもよい。離型剤には、フッ素系、シリコーン系や界面活性剤を含む油性の材料を用いることができる。また、水溶性の離型剤(界面活性剤を含む油脂材料)を使用することもできる。この場合、被成形材料の表面に離型剤の一部が転写され皮膜として形成される。その後工程で生じる埃などが被成形材料に付着すると、皮膜がない場合は取り除きにくいが、皮膜が形成されている場合は、洗浄により皮膜ごと取り除くことができるため、表面の清浄に有効である。
【0062】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【実施例】
(実施例1)
本実施例では、図8に示す断面を有する光導波路を有するデバイスを作製し、残留コア層の厚み及び光導波路の特性評価を行った。図8において、光導波路の凹凸のサイズは、凹部の幅80μm、凹部に囲まれた凸部の幅70μmとし、コア14およびポケット18の厚さを40μmとした。
【0063】
導波路は、以下の条件で型を被成形材料に押し付けて凹凸形状を転写し形成した。本実施例および本明細書中の以降の実施例では、以下の溶液および基板を用いた。
【0064】
i)上部、下部クラッド溶液
MPTES(3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン):9.6g、エタノール:16.8g、塩酸(0.05N):1.6g、PhTES(フェニルトリエトキシシラン):2.4gを混合することで作製した。
ii)コア溶液
PhTMS(フェニルトリメトキシシラン):39.6g、塩酸(0.05N):5.9g、NMP(N−メチル2−ピロリドン):53.6gの割合で混合した溶液A:19.1gと、NMP:82.5gにPMMA(ポリメタクリル酸メチル):17.5gの割合で溶解した溶液B:10.9gを混合することで作製した。
iii)下部クラッド/基板の下部クラッドの形成条件
下部クラッドは、本明細書における第二のクラッド層16に対応する層である。この下部クラッドは、ガラス基板上に厚さ2μm程度となるようスピンコートし、加熱硬化した。
iv)コア/下部クラッド/基板のコアの形成条件
下部クラッドが形成された基板に、コア溶液を塗布し、加熱硬化した。
v)転写条件
型を被成形材料に転写するときの条件は、荷重:500N、転写温度:140℃の条件で形成した。
【0065】
以上のようにして光デバイスを作製した結果、図8に示す光導波路(サンプル数:10個)の残留コア層の厚みは、約0.5μm〜4μmの範囲で形成できた。
【0066】
次に、本実施例で形成した光導波路の光伝搬損失をカットバック法にて測定した結果を表1に示す。表1より、波長650nmにおいて、光伝搬損失は0.4dB/cmがえられた。また、長波長(850nm、1300nm)の伝搬損失においても同等の特性が得られた。
【0067】
また、残留コア層の厚みには転写温度が影響すると考えられる。そのためコア/下部クラッド/基板に型を500Nで転写し、転写温度と残留コア層の厚みについて測定した。この測定においては、図19に示した形状のガラス型30を用いて評価を行った。その結果、図10に示したように、転写温度の上昇に伴い残留コア層が低減されるとともに、サンプル間の残留コア層のばらつきも低減されることがわかった。また、残留コア層の厚さを低減するためには、転写温度を約140℃以上にすることが有効であった。
【0068】
【表1】
Figure 0003819871
【0069】
(比較例1)
図19に示した形状のガラス型30を用いて、実施例1と同様にして光デバイスを作製した。本比較例で用いたガラス型30には、成形時に材料を逃がす誘導部13bを有さず、実施例1においてコアとなる凹部のみ形成された型を用いた。
【0070】
このようなガラス型30で転写された導波路構造の場合は、荷重を500Nとした場合においても残留コア層の厚みは約5μm〜10μmの範囲となった。また、残留コア層が約5μm程度有するときの伝搬損失は約0.7dB/cm(従来例)となった。なお、本比較例では、図19に示した形状のガラス型30を用いたため、ポケットは形成されなかった。
【0071】
実施例1および比較例1より、図8に示した導波路構造では、残留コア層が低減できることが確認できた。また、残留コア層を極力薄くすることにより、低損失導波路が形成できた。
【0072】
(実施例2)
本実施例では、ガラス型30と被成形材料が形成された基板20とが平行に維持された状態でコア14を形成するために、ガラス型30の2つの凸部とは別に支持部73となる凸部を設けた。すなわち、図9に示した形状のガラス型30を用いて実施例1と同様にして光デバイスを作製し、転写後の残留コア層の厚みを測定した。今回の実験では、導波路基板(コア/下部クラッド/基板)に型を転写し、形成された残留コア層の厚みをサンプル10個について測定した結果、約0.5μm〜1.5μmの範囲となり、残留コア層の厚さを薄くすることができた。また、平行を維持するために型に形成した支持部73により、第二のクラッド層16上の残留コア層の第二のクラッド16表面に対する傾きが0.01度から0.006度に抑制された。
【0073】
(実施例3)
本実施例では、被成形材料の凹部下面の残留コア層をさらに薄くするために、図4(b)に示すように、凹部71の角部の断面を曲線状にし、底部の直線領域の幅を狭くした導波路構造をガラス型により形成した。凹部の底部の幅は、約40μmとした。基板及び転写条件は実施例1と同様である。その結果、残留コア層は約0.3μm以下の厚みで形成することができた。さらに、図4(c)に示すように、凹部71の底部の断面形状が半円形状の光デバイスを作製した。その結果、凹部71と下部クラッド/基板に挟まれた領域の残留コア層が部分的に切断された領域が見られた。
【0074】
図4(b)に示した形状の光導波路の光伝搬損失を測定した結果、表1に示すとおり0.3dB/cmが得られ、比較例1に対して低損失な光導波路が形成可能であることを確認した。長波長(850nm,1300nm)においても同等の特性が得られた。
【0075】
(実施例4)
本実施例では、実施例1の形状の光デバイスを、光硬化方式により形成した。コア材料としてMPTMS(3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン):3.6g、エタノール:16.8g、塩酸(2N):1.6g、PhTMS(フェニルトリメトキシシラン):11.7gを混合した液体を下部クラッド上に滴下し、型を押し当てた状態で中心波長365nmの紫外線を照射し、硬化させることでコア14を形成した。
【0076】
そして、実施例1と同様にして上部クラッドを形成し、波長650nmの光で3層構造光導波路(上部クラッド/コア/下部クラッド/基板)の伝搬損失を測定した結果、0.3dB/cmが得られた。長波長(850nm,1300nm)も同等の特性が得られた。
【0077】
(実施例5)
本実施例では、図8のガラス型30の表面にフッ素系離型剤を塗布し、離型層を形成した。離型層の膜厚は1μm以下とした。離型層を形成したガラス型30を用いて実施例1に記載の方法を用いてコア14およびポケット18のパターンを転写した時の離型性は、サンプル10個に対し型の角部に部分的な欠損が3サンプルみられたものの離型性は良好であった。離型剤が形成されていない場合には、サンプル5個中全て型側に被成形材料が付着し、基板から被成形材料が剥離した。これより、離型層を形成することによりガラス型30の離型性が向上し、光デバイスの歩留まりを向上させることができることがわかった。
【0078】
(実施例6)
本実施例では、型と被成形材料の離型性をさらに向上させ、且つ矩形状の型による転写後の光導波路構造の欠損の発生を抑制するために、図5(b)に示すように、凹部71の断面底部の角部を除去し、曲面とした導波路構造を形成した。図5(b)において、nは約160μm、mは約80μm、lは約40μmとした。l、m、nはいずれも直径である。また、図中の基板及び転写条件は実施例1と同様である。その結果、サンプル10個について、欠損が殆どない導波路構造が得られると共に、残留コア層の厚さも0.5μm〜1.5μm程度と低減された。
【0079】
また、図5(b)に示す導波路断面の凹部71の幅mを300μmとより広く設定し、型で転写実験を行った結果、残留コア層の厚さは平均約2.1μmとなった。
【0080】
(実施例7)
図5(b)に記載の導波路形状を有する3層構造導波路を、実施例1に記載の方法を用いて形成した。3層構造導波路の概観及び断面を図11に示す。
【0081】
図11の導波路に光を入射し反対側の端面より出射した光の断面方向の強度分布をビームプロファイラにより測定した。図12(a)は、光が出射する端面の断面形状を模式的に示す図であり、測定を行ったのはA−A’方向である。結果を図12(c)に示す。図12(c)より、今回の断面構造の導波路では、漏れ光がほぼ抑制されていることを見出した。ポケットを有しない以外は本実施例と同様の構成を有する導波路構造を作製し、同様の測定を行ったところ、図12(b)に示す通り、残留コア層の厚さは約5μmとなり、コア部からの光の漏れがみられた。
【0082】
本実施例において、さらに残留コア層を薄くするために、導波路構造を図5(b)及び図5(c)に示す構造とした結果、図5(b)の構成では、残留コア層の厚さが0.3μm以下となり、図5(c)の凹部71形状とした場合、凹部71と第二のクラッド層16に挟まれた領域の残留コア層が部分的に切断された領域が形成された。
【0083】
(実施例8)
本実施例では、コアの断面形状を半円形状とした場合と矩形とした場合の導波路構造へのクラック発生の影響について評価を行った。図14は、本実施例で作製した光デバイスの断面形状を模式的に示す図である。図14(a)は、コアの断面形状が半円形状となるように、型で形成した3層構造導波路の断面を示す図である。また、図14(b)は、コアの断面形状が矩形となるように型で形成した3層構造導波路の断面を示す図である。
【0084】
図14(a)の断面形状を有するサンプル10個についてダイシングソーで切断した断面を顕微鏡により観察した結果、全てクラックは観察されなかった。一方、図14(b)の断面形状を有するサンプル10個について、同様に切断し断面を観察した結果、図14(b)に模式的に示したように、サンプル10個中7個にコアの角部から生じたクラックが観察された。したがって、コアの断面を曲線とすることにより、切断時のクラックの発生を抑制することができることがわかった。
【0085】
(実施例9)
本実施例では、図14(a)に示した断面形状を有するコアが分岐する光導波路を作製した。図6(b)は、得られた分岐導波路の形状を模式的に示す斜視図である。また、図15は、導波路の分岐部近傍における断面形状の変化の様子を示す図である。また、図16は、図6(b)のA−A’方向の断面図である。これらの図に示したように、コアの断面形状を半円形とすることにより、半円形状の形状から分岐が進むに従い、円形の最上部が徐々に窪み導波路が分岐されていく構造が形成できた。このような構造を形成するための型は、ガラスをウエットエッチングで形成した場合に生じる特徴的に得られる構造であり、本構造により段差のない滑らかな分岐を得ることができる。
【0086】
一方、図14(b)に示した断面形状を有するコアが分岐する分岐導波路を作製したところ、図6(a)に模式的に示す形状の導波路構造が得られた。図6(a)に示したように、コアの断面形状を矩形とした場合、コアの分岐部に壁面75が形成された。このため、図中の左側から光を入射した場合、壁面75において光損失が生じる。
【0087】
以上の結果より、コアの断面形状を半円形とすることにより、Y字型の分岐を有する光導波路の分岐点における光損失を好適に抑制することが可能となることがわかった。
【0088】
次に、図6(b)の形状のコア14を有する2分岐型光導波路を形成し、導波路の分岐特性について評価した。光導波路の作製方法を以下の通りである。まず、ガラス基板に下部クラッド材料をスピナーで塗布し、加熱して硬化させた。そして、下部クラッド層上に、コア材料を塗布し加熱硬化させた。次いで、コア/下部クラッド/基板を加熱しコア層を軟化させた。そして、別途作製した型をコア層に押し付け、パターンを転写した。これを冷却後、離型し、ダイシングにて導波路を切断した。前述の図13(a)は、この段階の光導波路の構成に対応した構造となっている。そして、コア層上に上部クラッド層を塗布、硬化する。
【0089】
このようにして形成した2分岐3層構造光導波路の評価は、分岐導波路の分岐前のコア端部に光ファイバーを結合して光を導波路に導入し、分岐後の導波路端部から出射される光出力を光検出器にて測定することにより行った。図18は、本実施例に用いた光検出器の構成と得られる光出力パターンを示す図である。波長650nmの光を導入し、光を伝搬させた結果、図17に示すように等分された分岐特性が得られた。また、長波長(850nm、1300nm)においても同等の性能が得られた。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、光デバイスのコアからの伝搬光漏洩を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に係る光デバイスを模式的に示す断面図である。
【図2】 実施の形態に係る光デバイスの製造工程を示す断面図である。
【図3】 実施の形態に係る光デバイスの製造に用いるガラス型の製造工程を示す断面図である。
【図4】 実施の形態に係る光デバイスの構成を説明するための断面図である。
【図5】 実施の形態に係る光デバイスの構成を説明するための断面図である。
【図6】 実施例の光導波路の構成を説明するための斜視図である。
【図7】 実施の形態に係る光デバイスの製造に用いるガラス型の製造工程を示す断面図である。
【図8】 実施例の光デバイスの構成を示す断面図である。
【図9】 実施の形態に係る光デバイスの構成を説明するための図である。
【図10】 実施例の光デバイスの転写温度と残留コア層の厚みとの関係を示す図である。
【図11】 実施例の光デバイスを説明するための図である。
【図12】 実施例の光デバイスの光学特性を説明する図である。
【図13】 実施例の光デバイスの構成を説明するための上面図である。
【図14】 実施例の光デバイスの構成を示す断面図である。
【図15】 実施例の光デバイスの構成を説明するための図である。
【図16】 図6(b)の光導波路のA−A’方向の断面図である。
【図17】 実施例の光デバイスの光学特性を説明する図である。
【図18】 実施例の光デバイスの光学特性の測定方法を説明する図である。
【図19】 従来の光デバイスの製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
10 光デバイス、 12 第一のクラッド層、 13a 凹部、 13b 誘導部、 14 コア、 14a コア層、 16 第二のクラッド層、 16a 第二のクラッド溶液層、18 ポケット、 20 基板、 30 ガラス型、 71 凹部、 73 支持部、 75 壁面、 77 Cr膜、 81 基板、 83 クラッド、 85 コア、 87 ガラス型、 89 コア、 91 残留コア層。

Claims (2)

  1. 基板上に、成形時に流動するコア材料を熱硬化させることによりコア層を形成する工程と、
    ガラスをウエットエッチングすることによって形成した型であって、分岐を有するコア形成用で、かつ断面が半円形状または半楕円形状の第の凹部および余剰の前記コア材料を収容する第二の凹部を含む成形面を備えた型を用い、前記コア層に前記成形面を当接させた状態で加熱するとともに加圧し、余剰の前記コア材料を前記第二の凹部に導きながら前記第一の凹部により前記基板上に凸状のコアを形成する工程と、
    を含むことを特徴とする光デバイスの製造方法。
  2. 請求項1に記載の光デバイスの製造方法において、前記成形面に離型剤が付着した前記型を前記層に当接させることを特徴とする光デバイスの製造方法。
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