JP3818885B2 - 衛星放送受信用コンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、隣り合う複数の衛星から送信される電波を受信する衛星放送受信用コンバータに係り、特に、発振周波数の異なる2つの局部発振回路部を用いて各衛星の2つの偏波(例えば右旋円偏波と左旋円偏波)をそれぞれ異なる中間周波帯に周波数変換するようにした衛星放送受信用コンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
隣り合う複数の衛星の受信に際し、例えば2つの衛星から左旋円偏波と右旋円偏波の衛星放送信号がそれぞれ送信され、これら衛星放送信号を別々のフィードホーン及び導波管に入力して1つのLNBで受信する場合、導波管でピックアップした左旋円偏波信号と右旋円偏波信号をそれぞれ異なる中間周波帯に周波数変換する必要がある。この場合において、1衛星の左旋円偏波信号と右旋円偏波信号を2つの混合器で異なる中間周波帯に周波数変換し、2つの衛星に対する4つの混合器のうち、左旋円偏用の2つの混合器に第1の発振器を接続すると共に、右旋円偏用の2つの混合器に第2の発振器を接続すれば、発振周波数の異なる第1の発振器と第2の発振器とを用いて、2つの衛星のそれぞれの左旋円偏波信号と右旋円偏波信号を異なる中間周波帯に周波数変換することができる。
【0003】
このようなコンバータ回路を基板上にレイアウトする場合は、第1および第2の発振器と各混合器間を接続する発振信号ラインの一部を、各混合器から出力される中間周波信号の中間周波信号ラインと必ず交差させなければならない。例えば、第1および第2の発振器を挟んで2つの衛星のそれぞれの左旋円偏波信号ラインを内側に、その外側にそれぞれの右旋円偏波信号ラインをレイアウトした場合、外側に位置する右旋円偏の2つの混合器に第2の発振器を接続するためには、その発振信号ラインを各中間周波信号ラインと交差させる必要がある。そこで従来は、裏面にグランドパターンを有する基板の表面にコンバータ回路を設け、発振信号ラインが中間周波信号ラインと交差する部分において、基板の裏面に配置した同軸ケーブルの両端を基板を貫通して発振信号ラインに半田付けすることにより、発振信号ラインを基板の裏面側の同軸ケーブルを介して中間周波信号ラインに交差させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、複数の衛星からの放送信号を1つのLNBで受信する際に、発振信号ラインと中間周波信号ラインとを同軸ケーブルを用いて交差させるという従来技術によれば、各信号ラインにグランドがあるため、周波数の異なる信号間の干渉を低減させることができる。しかしながら、基板と別に同軸ケーブルを用い、この同軸ケーブルを基板の裏面から表面に突出させて信号ラインに半田付けしなければならないため、同軸ケーブルを接続する工程に手間がかかり、製造コストが上昇するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、接続に手間のかかる同軸ケーブルを省略して、製造コストの低減化が図れる衛星放送受信用コンバータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、隣り合う複数の衛星から送信される電波を受信し、1衛星の2つの偏波を第1および第2混合器で異なる中間周波帯に周波数変換すると共に、各第1混合器と各第2混合器がそれぞれ発振周波数の異なる2つの局部発振回路部のいずれか一方に接続されている衛星放送受信用コンバータにおいて、前記局部発振回路部と前記各混合器とを第1の回路基板の片面上で発振信号ラインによって接続すると共に、該第1の回路基板の他面と第2の回路基板の片面とをグランドパターンを介して接合し、この接合部位で前記各混合器から出力される中間周波信号の中間周波信号ラインを前記第1の回路基板の片面から前記第2の回路基板の他面へ導出し、かつ、該中間周波信号ラインと前記発振信号ラインとを交差させたことを特徴とする。
【0007】
このように構成すると、第1の回路基板と第2の回路基板とを重ね合わせることで、グランドを有したまま発振信号ラインと中間周波信号ラインを交差させることができるため、接続に手間のかかる同軸ケーブルを省略することができ、衛星放送受信用コンバータの製造コストを低減することができる。
【0008】
上記の構成において、グランドパターンは接合部位で第1の回路基板と第2の回路基板の少なくとも一方に設けられていれば良いが、これら第1の回路基板と第2の回路基板の両方にグランドパターンを設けると、各信号ラインに対して確実にグランドをとることができて好ましい。
【0009】
また、上記の構成において、中間周波信号ラインをスルーホール等によって第1の回路基板の片面から第2の回路基板の他面へ導出させても良いが、かかる導出手段として接続ピンを用いることが好ましい。
【0010】
また、上記の構成において、第1の回路基板と第2の回路基板は同一材料で形成しても良いが、回路基板のトータルコストを低減する上では、第2の回路基板を第1の回路基板よりもQ値の低い材料で形成することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
発明の実施形態例について図面を参照して説明すると、図1は実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータの断面図、図2は該衛星放送受信用コンバータを別方向から見た断面図、図3は導波管の斜視図、図4は導波管の正面図、図5は誘電体フィーダの斜視図、図6は誘電体フィーダの正面図、図7は誘電体フィーダを分解して示す説明図、図8は誘電体フィーダを導波管に取り付けた状態を示す説明図、図9は2つの誘電体フィーダの違いを示す説明図、図10はシールドケースと回路基板およびショートキャップを分解して示す斜視図、図11はシールドケースの裏面図、図12は回路基板をシールドケースに取り付けた状態を示す説明図、図13は図12のA−A線に沿う断面図、図14は第1の回路基板の部品実装面を示す図、図15は誘電体フィーダの位相変換部と微小放射パターンの位置関係を示す説明図、図16は導波管と回路基板およびショートキャップの取付状態を示す断面図、図17は防水カバーの補正部と放射パターンの関係を示す説明図、図18は補正部の変形例を示す説明図、図19はコンバータ回路のブロック図、図20は回路部品のレイアウト状態を示す説明図、図21は2枚の回路基板の接合部分を拡大して示す説明図である。
【0012】
本実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータは、第1および第2の導波管1,2と、導波管1,2の先端部にそれぞれ保持された第1および第2の誘電体フィーダ3,4と、シールドケース5と、シールドケース5の内部に取り付けられた第1および第2の回路基板6,7と、各導波管1,2の後部開口端を蓋閉する一対のショートキャップ8と、これらの部品を覆う防水カバー9等によって構成されている。
【0013】
図3と図4に示すように、第1の導波管1は金属平板を円筒状に巻回して接合し、その接合部分を複数のかしめ部1aで固定したものであり、各かしめ部1a間の距離は管内波長λgの約1/4波長に設定されている。第1の導波管1はほぼ円形の断面形状を呈しているが、その周面に円周方向に略90度の間隔を存して4つの平行部1bが形成されている。各平行部1bは第1の導波管1の中心軸と平行な長手方向へ延びており、それぞれの後端にスナップ爪1cが延設されている。また、対面する2つの平行部1bの途中にストッパ爪1dが形成されており、これらストッパ爪1dは第1の導波管1の内部に突出している。第2の導波管2は第1の導波管1と全く同一に構成されており、ここでは重複説明を省略するが、かしめ部2aと平行部2bとスナップ爪2cおよびストッパ爪2dを有している。
【0014】
第1の誘電体フィーダ3と第2の誘電体フィーダ4はいずれも誘電正接の低い合成樹脂材料からなり、本実施形態例の場合は価格の点を考慮して安価なポリエチレン(誘電率ε≒2.25)が用いられている。図5〜図7に示すように、第1の誘電体フィーダ3は、放射部10を有する第1の分割体3aと、インピーダンス変換部11および位相変換部12を第2の分割体3bとで構成されている。放射部10はラッパ状に広がる円錐形状をなし、その中心部には円形の貫通孔10aが穿設されている。貫通孔10aの内周面には嵌合凸部10bが設けられており、第1の分割体3aは射出成形時に嵌合凸部10bをパーティングラインとして型開きされるようになっている。また、放射部10の先広がりの端面には環状溝10cが形成されており、この環状溝10cの深さは当該環状部を伝播する電波波長λの約1/4波長に設定されている。
【0015】
インピーダンス変換部11は位相変換部12に向かって円弧状に窄まる一対の湾曲面11aを有し、これら湾曲面11aの断面形状は近似的な二次曲線となっている。インピーダンス変換部11の端面はほぼ円形であるが、その周縁に略90度の間隔を存して4つの平坦状の取付面11bが形成されている。また、インピーダンス変換部11の端面中央に円筒状の突起13が設けられており、この突起13の外周面に嵌合凹部13aが形成されている。そして、突起13を貫通孔10aに挿入してインピーダンス変換部11の端面を放射部10の後端面に突き合わせると、貫通孔10aの内部で嵌合凹部13aと嵌合凸部10bがスナップ結合し、これによって第1の分割体3aと第2の分割体3bとが一体化されるようになっている。
【0016】
その際、放射部10の後端面から嵌合凸部10bまでの長さをA、インピーダンス変換部11の端面から嵌合凹部13aまでの長さをBとすると、A寸法がB寸法よりも若干長くなるように設定されている。このため、嵌合凹部13aと嵌合凸部10bがスナップ結合した時点で、放射部10の後端面をインピーダンス変換部11の端面に圧接する方向の力が発生し、第1の分割体3aと第2の分割体3bはガタ付きなく一体化される。また、突起13の先端面にも環状溝13bが形成されており、第1の分割体3aと第2の分割体3bを一体化した時点で、両者の環状溝10c,13bは同心円に配列される。
【0017】
位相変換部12はインピーダンス変換部11の先窄まり部分に連続しており、第1の誘電体フィーダ3内に進入した円偏波を直線偏波に変換する90度位相器として機能する。位相変換部12はほぼ均一な厚みを有する板状部材であり、その先端部に複数の切欠き12aが形成されている。各切欠き12aの深さは管内波長λgの約1/4波長に設定されており、位相変換部12の端面と切欠き12aの底面とは電波の進行方向に対して直交する2つの反射面となっている。また、位相変換部12の両側面に長溝12bが形成されている。
【0018】
図8に示すように、このように構成された第1の誘電体フィーダ3は第1の導波管1に保持され、第1の分割体3aの放射部10と第2の分割体3bの突起13は第1の導波管1の開口端から突出し、第2の分割体3bのインピーダンス変換部11と位相変換部12は第1の導波管1の内部に挿入・固定される。その際、第1の導波管1の内周面に形成された4つの平行部1bに対し、インピーダンス変換部11の各取付面11bを対応する4つの平行部1bに圧入すると共に、位相変換部12の両側面を180度対向する2つの平行部1bに圧入することにより、第2の分割体3bを第1の導波管1に高い位置精度で簡単に取り付けることができる。さらに、2つの平行部1bに形成したストッパ爪1dが位相変換部12の長溝12bに食い込むことにより、第2の分割体3bの第1の導波管1からの抜け出しを確実に防止できるようになっている。
【0019】
第2の誘電体フィーダ4は、放射部14を有する第1の分割体4aと、インピーダンス変換部15および位相変換部16を第2の分割体4bとで構成されており、第1の分割体4aの貫通孔14aに第2の分割体4bの突起17を挿入・固定するという基本的構成は第1の誘電体フィーダ3と同じであるが、以下の2点が第1の誘電体フィーダ3と相違している。1つ目の相違点は両位相変換部12,16の長さを変えたことにあり、第1の誘電体フィーダ3の位相変換部12の長さL1と第2の誘電体フィーダ4の位相変換部16の長さL2とを比べると、L1>L2の関係に設定されている。2つ目の相違点は両第2の分割体3b,4bの色を変えたことにあり、例えば、第1の誘電体フィーダ3の第2の分割体3bを原材料の色で射出成形し、第2の誘電体フィーダ4の第2の分割体4bを原材料に赤色や青色等の着色を施して射出成形してある。
【0020】
すなわち、第1の誘電体フィーダ3と第2の誘電体フィーダ4の各構成部品のうち、両第1の分割体3a,4aは共通部品となっており、両第2の分割体3b,4bがそれぞれの位相変換部12,16の長さと色を異にする別部品となっている。両位相変換部12,16の長さを変える理由については後述するが、両第2の分割体3b,4bの色を変えると、図9に示すように、第1および第2の誘電体フィーダ3,4を対応する第1および第2の導波管1,2にそれぞれ保持した際に、両第1の分割体3a,4aの端面に露出する突起13,17の色を目視することにより、両第2の分割体3b,4bの誤挿入を簡単かつ確実にチェックすることができる。
【0021】
図10〜図13に示すように、シールドケース5は金属平板をプレス加工したものであり、その一側部に形成された傾斜面5aには一対のコネクタ18が取り付けられている。シールドケース5の平板状の天板には一対の貫通孔19と複数の透孔20が穿設されており、円形状をなす各貫通孔19の周縁に複数の支持部21がシールドケース5の外部に向けて直角に折り曲げ形成されている。また、シールドケース5の天板には各透孔20によって囲まれた複数の桟部5bが形成され、これら桟部5bの外縁に複数の係止爪22がシールドケース5の内部に向けて直角に折り曲げ形成されている。さらに、シールドケース5の桟部5bの裏面には複数の凹部23が形成されており、これら凹部23は透孔20の外縁に沿って細長形状に形成されている。
【0022】
第1の回路基板6は低誘電率で誘電損失の少ないフッ素樹脂系のポリテトラフルオロエチレン等の材料からなり、その外形は第2の回路基板7に比べて大型に形成され、適宜箇所に複数の貫通孔6aが設けられている。第2の回路基板7はガラス入りエポキシ樹脂等の第1の回路基板6に比べてQ値が低い材料からなり、1つの貫通孔7aが設けている。また、第1および第2の回路基板6,7の片面にグランドパターン24,25がそれぞれ設けられており、これらグランドパターン24,25は各凹部23内に充填された半田26を用いてシールドケース5に半田付けされている。この場合、予め各凹部23内にクリーム半田を充填した状態で、シールドケース5の天板裏面に両回路基板6,7のグランドパターン24,25を重ね合わせ、しかる後にクリーム半田をリフロー炉等で溶融させれば、両回路基板6,7をシールドケース5に簡単かつ確実に接地することができる。その際、図12と図13に示すように、各凹部23の一部を両回路基板6,7の外縁部よりも外側へ露出させておくと、半田不足等の不良を目視によって簡単にチェックすることができ、不足した半田を簡単に補充することができる。
【0023】
また、第1および第2の回路基板6,7はシールドケース5に半田付けされるだけでなく、各係止爪22を用いてシールドケース5の天板裏面に係止されている。この場合、両回路基板6,7の各貫通孔6a,7aをシールドケース5の各係止爪22に挿入した後、これら係止爪22を第1の回路基板6の板面側に折り曲げれば、両回路基板6,7をシールドケース5に係止することができる。特に、第2の回路基板7よりも大型の第1の回路基板6について見ると、中央部や周縁部を含む適宜箇所が複数の係止爪22によってシールドケース5の天板裏面に押し付けているため、第1の回路基板6の反りを確実に補正することができる。
【0024】
図14と図15に示すように、第1の回路基板6には一対の円形孔27が穿設されており、これら円形孔27内にはそれぞれ第1ないし第3の橋絡部27a〜27cが形成されている。第1の回路基板6をシールドケース5の内部に固定した状態において、両円形孔27はシールドケース5の貫通孔19にそれぞれ一致している。第1の橋絡部27aと第2の橋絡部27bは略90度の角度で交差しており、第3の橋絡部27cは第1および第2の橋絡部27a,27bに対して略45度の角度で交差している。ただし、図示左側の各橋絡部27a〜27cと図示右側の各橋絡部27a〜27cとは、第1の回路基板6の中心を通る直線Pに関して線対称の位置にある。第1の回路基板6のグランドパターン24と反対側は部品実装面になっており、この部品実装面において、両円形孔27の周囲に環状のアースパターン28が形成されている。これらアースパターン28はスルーホールを介してグランドパターン24と導通しており、各アースパターン28内にそれぞれ円周方向に略90度の間隔を存して4つの取付孔29が穿設されている。各取付孔29は長方形に形成されており、図示左側の4つの取付孔29と図示右側の4つの取付孔29も前記直線Pに関して線対称の位置にある。
【0025】
また、第1の回路基板6の部品実装面には、両第1の橋絡部27a上に位置する一対の第1のプローブ30a,30bと、両第2の橋絡部27b上に位置する一対の第2のプローブ31a,31bと、両第3の橋絡部27c上に位置する一対の微小放射パターン32a,32bとがそれぞれパターン形成されている。したがって、左右両側の第1のプローブ30a,30bと第2のプローブ31a,31bおよび微小放射パターン32a,32bの各対も前記直線Pに関して線対称の位置にあり、以下の説明では、図14における図示右側の微小放射パターン32aを第1の微小放射パターンと呼び、図示左側の微小放射パターン32bを第2の微小放射パターンと呼ぶ。
【0026】
ショートキャップ8は金属平板をプレス加工したものであり、図10に示すように、有底形状の開口端側に鍔部8aが形成されている。鍔部8aには円周方向に略90度の間隔を存して4つの取付孔33が穿設されており、各取付孔33は長方形に形成されている。ショートキャップ8は両導波管1,2の後部開口端を蓋閉する終端面として機能し、図15に示すように、ショートキャップ8と第1および第2の導波管1,2とは第1の回路基板6を介して一体化されている。すなわち、第1および第2の導波管1,2の各スナップ爪1c,2cは第1の回路基板6の各取付孔29を挿通して裏面側へ突出しており、これらスナップ爪1c,2cにショートキャップ8の各取付孔33をスナップインすることにより、第1の回路基板6が両導波管1,2と一対のショートキャップ8とで挟持・固定される。その際、第1の回路基板6のアースパターン28上に予めクリーム半田が塗布されており、ショートキャップ8のスナップイン後にリフロー炉でクリーム半田を溶融することにより、ショートキャップ8は第1の回路基板6のアースパターン28に半田付けされるようになっている。
【0027】
また、前述したように第1の回路基板6はシールドケース5の内部に固定されており、第1の導波管1と第2の導波管2のそれぞれは、第1の回路基板6に対して垂直に固定されると共に、第1の回路基板6からシールドケース5の貫通孔19を挿通して外部へ突出している。この場合、両導波管1,2は貫通孔19の周縁に形成された各支持部21に当接しており、これら支持部21によって両導波管1,2の傾き等の不所望な変形が防止されている。なお、両導波管1,2の突出方向と反対側のシールドケース5の開口は図示せぬカバーによって覆われている。
【0028】
図1と図2に戻り、前述した両導波管1,2と両誘電体フィーダ3,4およびシールドケース5等の各部品は防水カバー9の内部に収納され、一対のコネクタ18は防水カバー9から外部へ突出している。防水カバー9はポリプロピレンやASA樹脂等の耐候性に優れた誘電体材料からなり、両誘電体フィーダ3,4の放射部10,14は防水カバー9の前面部9aに対向している。この前面部9aのほぼ中央に一対の突壁34が設けられており、両突壁34は第1および第2の導波管1,2の間を横切るように延びている。これら突壁34は補正部として機能するもので、防水カバー9を通過する電波の位相が突壁34によって遅れるため、両導波管1,2に入射する電波の放射パターンを突壁34の体積比に応じて補正することができる。したがって、図17に示すように、放射パターンを破線形状(突壁34がない場合)から実線形状に補正することができ、小型化された反射鏡(ディッシュ)を使用することができる。なお、図18に示すように、防水カバー9の前面部9aのほぼ中央を厚くした厚肉部35を補正部とすることも可能である。
【0029】
本実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータは、上空に打ち上げられた隣り合う2つの衛星(第1の衛星S1と第2の衛星S2)から送信された電波を受信するものであり、第1および第2の衛星S1,S2からはそれぞれ左旋および右旋の円偏波信号が送信され、これらの円偏波信号は反射鏡で収束した後、防水カバー9を通過して第1および第2の導波管1,2の内部に入力される。例えば、第1の衛星S1から送信された左旋および右旋の円偏波信号は、放射部10と突起13の端面から第1の誘電体フィーダ3の内部に進入し、第1の誘電体フィーダ3の内部で放射部10からインピーダンス変換部11を経て位相変換部12へと伝播した後、位相変換部12で直線偏波に変換されて第1の導波管1の内部に進入する。すなわち、円偏波は等振幅で互いに90度の位相差を持つ2つの直線偏波の合成ベクトルが回転している偏波であるため、円偏波が位相変換部12内を伝播することによって90度ずれている位相が同相となり、例えば左旋の円偏波が垂直偏波に変換され、右旋の円偏波が水平偏波に変換される。
【0030】
その際、第1の誘電体フィーダ3の端面に約λ/4波長の深さを有する複数の環状溝10c,13bが形成されているので、放射部10の端面と環状溝10c,13bの底面で反射した電波の位相は逆転してキャンセルされ、放射部10の端面に向かう電波の反射成分が大幅に低減される。しかも、この放射部10は第1の導波管1の前方開口端から広がるラッパ形状となっているので、電波を効率良く第1の誘電体フィーダ3内に収束させることができると共に、放射部10の軸線方向の長さを短くすることができる。
【0031】
また、第1の誘電体フィーダ3の放射部10と位相変換部12との間にインピーダンス変換部11を設け、このインピーダンス変換部11に形成した一対の湾曲面11aの断面形状を近似的な二次曲線で連続することにより、第1の誘電体フィーダ3の厚みが放射部10から位相変換部12に向かって次第に薄くなるよう収束させたので、第1の誘電体フィーダ3内を伝播する電波の反射成分を効果的に低減することができるのみならず、インピーダンス変換部11から位相変換部12に至る部分の長さを短縮しても直線偏波に対する位相差が大きくなり、この点からも第1の誘電体フィーダ3の全長を大幅に短くすることができる。
【0032】
さらに、位相変換部12の端面に約λg/4波長の深さを有する切欠き12aを形成したので、切欠き12aの底面と位相変換部12の端面で反射した電波の位相は逆転してキャンセルされ、位相変換部12の端面におけるインピーダンスの不整合も解消することができる。
【0033】
第1の衛星S1から送信された左旋および右旋の円偏波信号は、このようにして第1の誘電体フィーダ3の位相変換部12で垂直および水平偏波信号に変換された後、第1の導波管1内をショートキャップ8に向かって進行し、垂直偏波は第1のプローブ30aによって検出され、水平偏波は第2のプローブ31aによって検出される。同様に、第2の衛星S2から送信された左旋および右旋の円偏波信号は、放射部14と突起17の端面から第2の誘電体フィーダ4の内部に進入し、第2の誘電体フィーダ4の位相変換部16で左旋の円偏波が垂直偏波に変換され、右旋の円偏波が水平偏波に変換される。そして、これら垂直偏波および水平偏波は第2の導波管1内をショートキャップ8に向かって進行し、垂直偏波は第1のプローブ30bによって検出され、水平偏波は第2のプローブ31bによって検出される。
【0034】
ここで、第1の回路基板6には第1および第2の微小放射パターン32a,32bが形成されており、第1の微小放射パターン32aは第1および第2のプローブ30a,31aの各軸線に対して略45度の角度で交差し、第2の微小放射パターン32bも第1および第2のプローブ30b,31bの各軸線に対して略45度の角度で交差しているため、両導波管1,2内における垂直偏波と水平偏波の電界の乱れがそれぞれ第1および第2の微小放射パターン32a,32bによって抑制され、垂直偏波と水平偏波との間のアイソレーションが確保されている。また、第1および第2の微小放射パターン32a,32bは各プローブ30a,31a,30b,31bの軸線に関して非対称な長方形であり、その大きさ(面積)が比較的小さく設定されているので、垂直偏波と水平偏波との間のアイソレーションを確保した上で、第1および第2の微小放射パターン32a,32bでの反射を低減することができる。
【0035】
ただし、第1および第2の微小放射パターン32a,32bは第1の回路基板6上で前記直線Pに関して線対称位置にあるため、図15から明らかなように、第1の微小放射パターン32aは第1の誘電体フィーダ3の位相変換部12に対して略直交し、第2の微小放射パターン32bは第2の誘電体フィーダ4の位相変換部16に対して略平行となる。この場合、第2の微小放射パターン32bが位相変換部16に略平行となる第2の導波管2内の電界分布に比べ、第1の微小放射パターン32aが位相変換部12と略直交する第1の導波管1内の電界分布が悪くなるため、この電界分布の悪化を位相変換部12の軸線方向の寸法を長くすることによって補正している。すなわち、前述したように、第1の誘電体フィーダ3の位相変換部12の長さL1と第2の誘電体フィーダ4の位相変換部16の長さL2とがL1>L2の関係に設定されており(図9参照)、位相変換部12を長寸にすることで、第1の導波管1内を進行する直線偏波に位相のズレが生じないようにしている。
【0036】
第1のプローブ30a,30bと第2のプローブ31a,31bによって検出された受信信号は、第1および第2の回路基板6,7上に実装されたコンバータ回路でIF周波数信号に周波数変換されて出力される。図19に示すように、このコンバータ回路は、第1の衛星S1と第2の衛星S2から送信された衛星放送信号を受信して後続する回路へ導出する衛星放送信号入力端部100と、入力された衛星放送信号を増幅して出力する受信信号増幅回路部101と、入力された衛星放送信号のイメージ周波数帯を減衰するフィルタ部102と、フィルタ部102から出力された衛星放送信号を周波数変換する周波数変換部103と、周波数変換部103から出力された信号を増幅する中間周波数増幅回路部104と、中間周波増幅回路部104で増幅された衛星放送信号を選択して出力する信号選択手段105と、受信信号増幅回路部101やフィルタ部102や信号選択手段105等の各回路部に電源電圧を供給する第1および第2のレギュレータ106,107等を備えている。
【0037】
第1の衛星S1と第2の衛星S2からは、それぞれ左旋および右旋円偏波の12.2GHz〜12.7GHzの衛星放送信号が送信され、これらの衛星放送信号は屋外アンテナ装置の反射鏡で収束して衛星放送信号入力端部100に入力される。衛星放送信号入力端部100は、第1の衛星S1から送信された左旋および右旋円偏波信号を検出する第1および第2のプローブ30a,31aと、第2の衛星S2から送信された左旋および右旋円偏波信号を検出する第1および第2のプローブ30b,31bとを有する。前述したように、第1の衛星S1から送信された左旋および右旋円偏波信号は、垂直偏波と水平偏波に変換されて第1および第2のプローブ30a,31aでそれぞれ検出され、第1のプローブ30aは左旋円偏波信号SL1を出力し、第2のプローブ31aは右旋円偏波信号SR1を出力する。一方、第2の衛星S2から送信された左旋および右旋円偏波は、垂直偏波と水平偏波に変換されて第1および第2のプローブ30b,31bでそれぞれ検出され、第1のプローブ30bは左旋円偏波信号SL2を出力し、第2のプローブ31bは右旋円偏波信号SR2を出力する。
【0038】
受信信号増幅回路部101は第1ないし第4の増幅器101a,101b,101c,101dを有している。第1の増幅器101aは右旋円偏波信号SR1を、第2の増幅器101bは左旋円偏波信号SL1を、第3の増幅器101cは左旋円偏波信号SL2を、第4の増幅器101dは右旋円偏波信号SR2をそれぞれ入力し、これらの信号を所定のレベルまで増幅してフィルタ部102に出力する。
【0039】
フィルタ部102は第1ないし第4のバンドエルミネートフィルタ102a,102b,102c,102dを有している。第1および第4のバンドエルミネートフィルタ102a,102dは、第1の中間周波信号FIL1および第4の中間周波信号FIL2のイメージ周波数帯である9.8GHz〜10.3GHzの周波数帯を減衰し、第2および第3のバンドエルミネートフィルタ102b,102cは、第2の中間周波信号FIH1および第3の中間周波信号FIH2のイメージ周波帯である16.0GHz〜16.5GHzの周波数帯を減衰する。そして、右旋円偏波信号SR1は第1のバンドエルミネートフィルタ102aを、左旋円偏波信号SL1は第2のバンドエルミネートフィルタ102bを、左旋円偏波信号SL2は第3のバンドエルミネートフィルタ102cを、右旋円偏波信号SR2は第4のバンドエルミネートフィルタ102dをそれぞれ通過した後に周波数変換部103に導出される。
【0040】
周波数変換部103は、第1ないし第4の混合器103a,103b,103c,103dと、第1の発振器108および第2の発振器109とを有している。第1の発振器108(発振周波数=11.25GHz)は第1の混合器103aと第4の混合器103dとに接続されており、第1のバンドエルミネートフィルタ102aから出力された衛星放送信号は第1の混合器103aにおいて950MHz〜1450MHzの第1の中間周波信号FIL1に周波数変換され、第4のバンドエルミネートフィルタ102dから出力された衛星放送信号は第4の混合器103dにおいて950MHz〜1450MHzの第4の中間周波信号FIL2に周波数変換される。また、第2の発振器109(発振周波数=14.35GHz)は第2の混合器103bと第3の混合器103cとに接続されており、第2のバンドエルミネートフィルタ102bから出力された衛星放送信号は第2の混合器103bにおいて1650MHz〜2150MHzの第2の中間周波信号FIH1に周波数変換され、第3のバンドエルミネートフィルタ102cから出力された衛星放送信号は第3の混合器103cにおいて1650MHz〜2150MHzの第3の中間周波信号FIH2に周波数変換される。
【0041】
中間周波数増幅回路部104は第1ないし第4の中間周波増幅器104a,104b,104c,104dを有しており、周波数変換部103から出力された第1ないし第4の中間周波信号を入力し、これを所定のレベルに増幅して信号選択手段105に出力する。すなわち、第1の中間周波信号FIL1は第1の中間周波増幅器104aに、第2の中間周波信号FIH1は第2の中間増幅器104bに、第3の中間周波信号FIH2は第3の中間周波増幅器104cに、第4の中間周波信号FIL2は第4の中間周波増幅器104dにそれぞれ入力され、それらの出力信号は信号選択手段105に導出される。
【0042】
信号選択手段105は第1および第2の110,111と信号切替制御回路112とを備えている。第1の信号合成回路110は、入力された第1の中間周波信号FIL1と第2の中間周波信号FIH1とを合成して信号切替制御回路112へ導出し、同様に、第2の信号合成回路111は、入力された第3の中間周波信号FIH2と第4の中間周波信号FIL1とを合成して信号切替制御信号112へ導出する。信号切替制御回路112は、第1の中間周波信号FIL1および第2の中間周波信号FIH1の合成信号と、第3の中間周波信号FIH2および第4の中間周波信号FIL2の合成信号とのうち、いずれか一つを選択して第1の出力端105aと第2の出力端105bにそれぞれ出力する。この切替制御については後述する。
【0043】
そして、第1および第2の出力端105a,105bには、それぞれ別個の衛星放送受信用テレビジョン(図示せず)が接続され、それぞれの衛星放送受信用テレビジョンからは、信号選択手段105を制御するコントロール信号と共に各回路部を動作するための電圧が供給される。例えば直流15Vの電圧に22kHzのコントロール信号が重畳されることにより、中間周波信号FIL1とFIH1の合成信号または中間周波信号FIL2とFIH2の合成信号を選択するかが区別される。すなわち、衛星放送受信用テレビジョンは、第1の衛星S1から送信された右旋円偏波信号SR1および左旋円偏波信号SL1を受信する場合と、第2の衛星S2から送信された右旋円偏波信号SR2および左旋円偏波信号SL2を受信する場合とを選択する時に、供給電圧に重畳させるコントロール信号をそれぞれ出力端105a,105bに供給するようになっている。これらの電圧は,第1の出力端105aから高周波阻止用のチョークコイル113を介して信号切替制御回路112に入力され、同様に第2の出力端105bから高周波阻止用のチョークコイル114を介して信号切替制御回路112に入力される。
【0044】
一方,第1の電圧および第2の電圧はそれぞれ高周波阻止用のチョークコイル113,114を介して第1および第2のレギュレータ106,107に入力され、第1および第2のレギュレータ106,107は各回路部に電源電圧(例えば8V)を供給する。そのため、第1および第2のレギュレータ106,107は同一構成となっており、集積回路によって電圧安定回路が構成されている。そして、第1および第2のレギュレータ106,107の出力端はそれぞれ逆流防止用のダイオード115,116を介して電源電圧出力端117に接続されている。したがって、いずれか一方の衛星放送受信用テレビジョンのみが動作している場合にも、各回路部に電源電圧が供給されるようになっている。また、第1および第2の出力端105a,105bはそれぞれレギュレータ106,107を介して電源電圧出力端117に接続されているため、第1および第2のレギュレータ106,107が有する素子間アイソレーションを利用して、例えば、第1の出力端105aから供給されるコントロール信号が信号切替制御回路112に入力されないようになっている。同様に、第2の出力端105bから供給されるコントロール信号が信号切替制御回路112に入力されないようになっている。
【0045】
図20に示すように、このように構成されたコンバータ回路のうち、周波数変換部103より前段のRF回路用構成部品は第1の回路基板6上に実装されると共に、中間周波増幅回路部104より後段のIF回路用構成部品は第2の回路基板7上に実装されており、かつ、第1の回路基板6と第2の回路基板7は部分的に重ねられて接合・一体化されている。
【0046】
この場合において、第1の回路基板6の最も外側に第1の衛星S1と第2の衛星S2の右旋円偏波信号SR1,SR2の信号ラインを、その内側に第1の衛星S1と第2の衛星S2の左旋円偏波信号SL1,SL2の信号ラインをそれぞれレイアウトし、外側の右旋円偏波信号SR1,SR2を第1の発振器108に接続した第1および第4の混合器103a,103dによって950MHz〜1450MHzの第1および第4の中間周波信号FIL1,FIL2に周波数変換すると共に、内側の左旋円偏波信号SL1,SL2を第2の発振器109に接続した第2および第3の混合器103b,103cによって1650MHz〜2150MHzの第2および第3の中間周波信号FIH1,FIH2に周波数変換するようになっている。すなわち、第1の回路基板6の中央部分に第1の発振器108と第2の発振器109を配置すると共に、第1の発振器108を発振信号ライン36を介して外側の第1の混合器103aと第4の混合器103dに接続し、第2の発振器109を発振信号ライン37を介して内側の第2の混合器103bと第3の混合器103cに接続している。
【0047】
図21に示すように、第1の回路基板6上の各混合器103a〜103dから出力される中間周波信号FIL1,FIL2,FIH1,FIH2の中間周波信号ライン38は、それぞれ接続ピン39を介して第2の回路基板7上の中間周波増幅回路部104に接続されており、これら第1の回路基板6と第2の回路基板7の重なり部分において、第1の回路基板6に形成されたグランドパターン24と第2の回路基板7の部品実装面に形成されたグランドパターン25aとは接触している。また、第2の回路基板7にはグランドパターン25aに対向する導出パターン40が形成され、これら導出パターン40はスルーホール41を介して第2の回路基板7の中間周波増幅回路部104に接続されており、接続ピン39の両端は中間周波信号ライン38と導出パターン40に半田付けされている。したがって、第1の発振器108を外側の第1および第4の混合器103a,103dに接続する発振信号ライン36と、各混合器103a〜103dからの中間周波信号FIL1〜FIL4を中間周波増幅回路部104に導出する中間周波信号ライン38とを、グランドを有したまま第1の回路基板6と第2の回路基板7との重なり部分で交差させることができる。
【0048】
上記実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータにおいては、周波数変換部103より前段のRF回路用構成部品を第1の回路基板6上に実装し、この第1の回路基板6と第2の回路基板7をグランドパターン24,25aを介して接合・一体化すると共に、中間周波増幅回路部104より後段のIF回路用構成部品を第2の回路基板7上に実装したので、グランドを有したまま発振信号ライン36と中間周波信号ライン38を交差させることができる。したがって、発振信号ラインと中間周波信号ラインを同軸ケーブルによって交差させていた従来技術に比べると、接続に手間のかかる同軸ケーブルを省略することができる分だけ、衛星放送受信用コンバータの製造コストを低減することができる。
【0049】
また、第1の回路基板6と第2の回路基板7の重なり部分において、第1の回路基板6に形成したグランドパターン24と第2の回路基板7に形成したグランドパターン25aとを接触させているため、各信号ライン36,38に対して確実にグランドをとることができる。また、第1の回路基板6上の中間周波信号ライン38と第2の回路基板7に形成した導出パターン40とを接続ピン39を介して接続したので、簡単な半田付け作業により発振信号ライン36と中間周波信号ライン38を交差させることができる。さらに、IF回路用構成部品が実装される第2の回路基板7をRF回路用構成部品が実装される第1の回路基板6よりもQ値の低い材料で形成し、例えば第2の回路基板7をガラス入りエポキシ樹脂等の安価な形成したので、全ての回路構成部品をポリテトラフルオロエチレン等の高価な回路基板上に実装した場合に比べると、必要とされる回路基板のトータルコストを低減することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0051】
隣り合う複数の衛星から送信される電波を受信し、1衛星の2つの偏波を第1および第2混合器で異なる中間周波帯に周波数変換すると共に、各第1混合器と各第2混合器がそれぞれ発振周波数の異なる2つの局部発振回路部のいずれか一方に接続されている衛星放送受信用コンバータにおいて、局部発振回路部と各混合器を第1の回路基板の片面上で発振信号ラインによって接続すると共に、第1の回路基板の他面と第2の回路基板の片面とをグランドパターンを介して接合し、この接合部位で各混合器から出力される中間周波信号の中間周波信号ラインを第1の回路基板の片面から第2の回路基板の他面へ導出し、かつ、該中間周波信号ラインと発振信号ラインとを交差させたので、接続に手間のかかる同軸ケーブルを用いなくても、グランドを有したまま発振信号ラインと中間周波信号ラインを交差させることができ、それゆえ衛星放送受信用コンバータの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータの断面図である。
【図2】該衛星放送受信用コンバータを別方向から見た断面図である。
【図3】導波管の斜視図である。
【図4】導波管の正面図である。
【図5】誘電体フィーダの斜視図である。
【図6】誘電体フィーダの正面図である。
【図7】誘電体フィーダを分解して示す説明図である。
【図8】誘電体フィーダを導波管に取り付けた状態を示す説明図である。
【図9】2つの誘電体フィーダの違いを示す説明図である。
【図10】シールドケースと回路基板およびショートキャップを分解して示す斜視図である。
【図11】シールドケースの裏面図である。
【図12】回路基板をシールドケースに取り付けた状態を示す説明図である。
【図13】図12のA−A線に沿う断面図である。
【図14】第1の回路基板の部品実装面を示す図である。
【図15】誘電体フィーダの位相変換部と微小放射パターンの位置関係を示す説明図である。
【図16】導波管と回路基板およびショートキャップの取付状態を示す断面図である。
【図17】防水カバーの補正部と放射パターンの関係を示す説明図である。
【図18】補正部の変形例を示す説明図である。
【図19】コンバータ回路のブロック図である。
【図20】回路部品のレイアウト状態を示す説明図である。
【図21】2枚の回路基板の接合部分を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
1 第1の導波管
2 第2の導波管
1a,2a かしめ部
1b,2b 平行部
1c,2c スナップ爪
1d,2d ストッパ爪
3 第1の誘電体フィーダ
4 第2の誘電体フィーダ
3a,4a 第1の分割体
3b,4b 第2の分割体
5 シールドケース
5b 桟部
6 第1の回路基板
6a 貫通孔
7 第2の回路基板
8 ショートキャップ
9 防水カバー
10,14 放射部
10a 貫通孔
10b 嵌合凸部
10c 環状溝
11,15 インピーダンス変換部
12,16 位相変換部
13,17 突起
13a 嵌合凹部
19 貫通孔
20 透孔
21 支持部
22 係止爪
23 凹部
24,25 グランドパターン
25a グランドパターン
26 半田
27 円形孔
28 アースパターン
29 取付孔
30a,30b 第1のプローブ
31a,31b 第2のプローブ
32a 第1の微小放射パターン
32b 第2の微小放射パターン
34 突壁
35 厚肉部
36 発振信号ライン
38 中間周波信号ライン
39 接続ピン
40 導出パターン
41 スルーホール
103 周波数変換部
103a,103b,103c,103d 第1ないし第4の混合器
104 中間周波数増幅回路部
104a,104b,104c,104d 第1ないし第4の中間周波増幅器
108 第1の発振器
109 第2の発振器
S1 第1の衛星
S2 第2の衛星
Claims (4)
- 隣り合う複数の衛星から送信される電波を受信し、1衛星の2つの偏波を第1および第2混合器で異なる中間周波帯に周波数変換すると共に、各第1混合器と各第2混合器がそれぞれ発振周波数の異なる2つの局部発振回路部のいずれか一方に接続されている衛星放送受信用コンバータであって、
前記局部発振回路部と前記各混合器とを第1の回路基板の片面上で発振信号ラインによって接続すると共に、該第1の回路基板の他面と第2の回路基板の片面とをグランドパターンを介して接合し、この接合部位で前記各混合器から出力される中間周波信号の中間周波信号ラインを前記第1の回路基板の片面から前記第2の回路基板の他面へ導出し、かつ、該中間周波信号ラインと前記発振信号ラインとを交差させたことを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。 - 請求項1の記載において、前記グランドパターンが前記第1の回路基板と前記第2の回路基板のそれぞれに設けられていることを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
- 請求項1または2の記載において、前記中間周波信号ラインが前記第1の回路基板の片面から前記第2の回路基板の他面へ接続ピンを介して導出されていることを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
- 請求項1〜3のいずれかの記載において、前記第2の回路基板が前記第1の回路基板よりもQ値の低い材料で形成されていることを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
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