JP3817614B2 - 位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器 - Google Patents

位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器 Download PDF

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Description

本発明は、ディジタル通信の分野において、複素平面上にある2次元の信号点配置として表現され伝送される信号を受信するにあたり、改善された雑音分布モデルから導かれる信号処理方式を用いた位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器に関する。
ディジタル通信の分野において、送信シンボルは、振幅と位相を2つの軸とする複素平面上にある2次元の信号点配置として表現され伝送される。このため、ディジタル通信の分野において、送信器と受信器間の同期を確立し、位相に関する誤差を抑制することは、誤り率を抑制する上で重要である。しかし、あらゆる通信システムにおいて、通信路の不確定性と装置の不完全性による同期誤差が存在し、特に、高速通信を実現する上で、この同期誤差の影響は顕著である。
同期には、周波数同期、タイミング同期、そして位相同期などがある。これらの同期方式を用いた受信装置の場合、既知のパイロット信号を送信し、受信機側でこれを受信し、受信したパイロット信号に同期させることによって、受信側を送信機側に同期する様設定される。このようにパイロット信号を用いて同期を実現する方法は、パイロット同期方式と呼ばれることが多い。
上記のパイロット同期方式は実用できる程度の精度で同期をとることが可能である。しかし、要求される誤差が従来よりもかなり小さい場合には、通信路の不確定性と同期装置の不完全性により、要求される値よりも小さい値に収めることができない場合がある。しかし、実用性を無視すればこの問題は、より多数のパイロット信号を使用することにより解決できることが知られている。これは、一般に、パイロット信号の数を増加させることにより、より高精度の同期が達成されるからである。しかし、一般に、不偏推定量の推定分散の最小値であるクラメール・ラオの下界を小さくするには、標本数(つまりパイロット信号数)を増加させなければならない。例えば、高精度の同期を実現しようとして、上記の下界を10分の1にするためには、パイロット信号数を10倍にしなければならない。このように、伝送される信号におけるパイロット信号の比率が増加することになり、急速に情報ビットのスループットが低下してしまうことになる。
図9は、一般的な受信装置におけるコヒーレント復調方式の受信装置のブロック図を示す。
電圧Sk(k=1、2、3、・・・K)の送信信号列を、時間Tsごとに時間KTsにわたってAWGN(AdditiveWhite Gaussian Noise 重ね合わせのできるガウス関数型ノイズ)のある伝送線路で伝送する。受信した信号Z(t)は、整合ろ波器(マッチドフィルタ)により、S/N比を最大にするように送信パルスに整合され、時間kTsにわたってTsごとにサンプリングされる。このとき、受信信号電圧をサンプリングした受信サンプル値をRkとすると、これは次式となる。但し、ここでは、説明を簡単にするため、伝送から受信に至る間の減衰は無いものとする。
ここに、Φk=Φik−Φokであり、
Φkは上記PLLのトラッキングエラーによる位相誤差、
Φikは、上記のPLL入力信号における位相であり、
Φokは、上記のPLL出力信号における位相であり、
kは雑音電圧信号成分である。雑音電圧信号Nkは平均0V、分散σn 2のAWGN伝送路である。また、これをN0を導入してN0/2=σn 2とする。
(N0は雑音電力スペクトラム密度)
上記のパイロット同期方式では、同期回路が用いられる。一般的な同期回路として、図1に示す位相同期回路(Phase-Locked Loop:PLL)がある。図1に示すように、PLLは、PLLの入力にあたる位相検波器(PhaseDetector:PD)、電圧制御発振器(Voltage-Controlled Oscillator:VCO)、及び低域通過フィルタ(Low PassFilter:LPF)からなる負帰還ループにより構成される。PLLにVCOの発振周波数とわずかに異なった周波数の信号を入力すると、VCOはPD入力の位相差を減少させるようにVCOの周波数と位相を変化させる。ループが同期(又はロック)しているとき、VCOの周波数は入力の周波数に等しくなり、同時に、出力信号の位相も入力信号の位相に同期する。図1においてΦiはPLL入力信号、ΦoはPLL出力信号である。
前記の、PLLの出力Rkは、ビタビ復号器などに入力され復号に使用される。
上記の様に、あらゆる通信システムにおいて、通信路の不確定性と装置の不完全性による同期誤差が存在し、高速通信を実現する上で、この同期誤差の影響を抑制することは重要である。しかし、これまで、同期誤差がある場合の、直交振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation:QAM)の多値変調方式の最適な検波方法は導出されておらず、最尤復号を行なうためにAWGN通信路を前提としたブランチメトリックが代用されてきた。
A.J. Viterbi,"Phase-looked loop dynamics in thepresence of noise by Fokker-Planck techniques, "Proc. IEEE, vol.51,pp.1737-1753, 1963.
上記の様に、通信路の不確定性と装置の不完全性による同期誤差の影響を抑制することは、高速通信を実現する上で重要である。しかし、これまで、同期誤差がある場合の直交振幅変調の多値変調方式の最適な検波方法は、導出されておらず、AWGN通信路を前提としたブランチメトリックが代用されてきた。そのため、同期誤差を有するシステムでは本来の最適検波方式のシステムに対して性能劣化が生じている。本発明では、最適検波方法を解析的に導出し、上記の性能劣化のない受信装置を提案している。
この発明は、同期誤差がある場合を想定した、直交振幅変調の多値変調方式の最適な検波方法を導出して、この検波方法を受信装置に適用したので、高速通信においても同期誤差による影響が抑制された受信装置を実現できる。
本発明の骨子は、次の点にある。
1)まず、受信サンプル値の列Rk(k=1、2、3、・・・K)に関して、送信信号列Sk(k=1、2、3、・・・K)と位相誤差Φkとの尤度を、位相推定誤差Φkの確率密度関数であるティコノフ分布pφ(Φk)を用いて平均化処理することで、位相誤差Φkに依存しない最適尤度関数を解析的に導出する。
2)その最適尤度関数に基づいて、位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器を実現する事である。これを実現するために、従来にないブランチメトリック算出方法を提案し、さらに、この算出方法を用いた最適検波器の実現法を提示する。
また、一般に、位相雑音は、入力信号の位相と出力信号の位相のずれから定義されるが、上記のPLLを用いた場合には、自然な通信路の条件でチィコノフ分布の位相雑音になることが知られている。
コスタスループ等でのPLLでは、非特許文献1に報告されているように、位相誤差Φkは、次式のティコノフ(Tikhonov)分布、pφ(Φk)、でよくモデル化できることが知られている。
ここで、I0(x)は0次の第1種修正ベッセル関数であり、
σΦは、PLLの同期のずれの分散であり、同時に位相ノイズの標準偏差である。
一般に、位相誤差Φkがある場合の、送信信号Skに対して受信信号Rkを対応させる尤度関数は、位相誤差Φkの関数である条件付確率を位相誤差Φkの確率密度関数を用いて平均化したもので、数3で与えられる。
ここで、
である。
数4を用いて数3を整理すると、
ここで、
である。
ブランチメトリックは尤度関数の自然対数として定義される。但し、結果として得られるブランチメトリックの定数項は、その後の復号器の結果に影響を与えないので省略する。その結果、最適検波器出力のブランチメトリック、λopt k、は次式で与えられる。
ここで、
kは、送信信号列(Sk)に対応した複素数であり、
σnは、AWGN伝送路の雑音電圧信号の分散であり、
σφは、PLL出力の位相雑音Φkの分散であり、
k *は、受信信号列(Rk)に対応した共役複素数であり、
Reは実数部を表し、Imは虚数部であり、
0(x)は0次の第1種修正ベッセル関数を表す。
上式を基に回路装置を構成する上での主要な発明は、位相誤差分散推定器と通信路雑音分散推定器である。これらの推定器は、例えば、図2のようなパイロット信号<P>と情報信号<S>からなるデータフレームを用いて動作する。
送信側でのチャネルコーディング後の変調されたシンボルのブロックを、<S>={S1、・・・、SL}、とする。Lは、例えば、ターボコードのインターリーバの長さである。そのブロックの中でk番目の信号を、複素数のSkで表す。そして、パイロット信号を情報シンボル系列<S>に続いて送信する。例えば、送信側のパイロット信号を<P>={P1、・・・、PK}、Kはパイロットシンボル数、とすると、受信側においては送信パイロット信号の平均パワーをWp=(1/K)Σ|Pk2として計算できる。
なお、本発明では通信路の変動はデータフレーム長に比して緩慢であると仮定する。通常この仮定は、データ伝送速度が通信路変動に対して十分に速い場合にも適用できる。実際の多くのシステムでは、この仮定がなされている。ここでもそれと同様に、パイロット信号で推定された通信路のパラメータは、パイロット信号に追随するデータ信号において1データフレームに渡って変動しないものとして用いる。
以下では、位相誤差分散推定器と通信路雑音分散推定器、それぞれの推定器での分散の算出法と構成について説明する。
まず、通信路雑音分散推定に関しては、以下のようにする。送信信号Pkは、同相成分Iと直行成分Qとからなる信号空間ダイアグラム(複素平面)上において、図3に示すように位相雑音と、数1のNkで表されるAWGNの影響を受けることに着目する。ここで、AWGNはPkを中心として均等な確率密度関数にしたがって分布するため、原点と送信信号点を結ぶ直線状で、その分布の大きさを測定することができる。また、位相誤差はその性質上、原点と信号点による円周上で、その大きさを測定できる。このとき、図ではある程度位相誤差を強調して記したが、実際には位相誤差は送信信号の振幅に比して十分小さいと仮定できることを考慮すると、位相誤差とAWGNは直交しているものとして扱える。すなわち、位相誤差とAWGNの分散を独立に算出することが可能となる。よって、パイロット信号と受信信号から、伝送路の雑音、すなわちAWGNの分散、が次式で算出できることになる。
ここで、||Y||はYの振幅情報(=図3における原点からの距離)を意味する。
また、位相誤差推定に関しては、PLLの性能を解析的に表せることを利用して求める。通常、PLLのLPF(ローパスフィルタ)には2次系のフィルタが使用され、PLL出力の位相雑音Φoの分散σΦ 2はLPFの伝達関数H(jω)を用いて次式で得られる。
ここで、BLはPLLの等価雑音帯域幅、Pはパイロット信号の電力、そしてN0は雑音電力スペクトラム密度であり、BL及びN0はそれぞれ次式で定義される。
以上より、位相誤差はパイロット信号を用いることなく、予め設計されたPLLの性能によって算出される。なお、LPFの伝達関数は図4に示すような特性を有する。
以上のようにして、通信路雑音の分散と位相誤差の分散を算出することができる。これまで、これらのパラメータを受信装置に用いて位相雑音耐性を向上させる方法は提案されていない。以下では、これらのパラメータを実際に利用することで大幅な性能改善が得られることを示す。
また、本発明ではパイロット信号を使用するが、本発明で用いるパイロット信号は通常のシステムでは改めて準備する必要がない。これは、通常のコヒーレント通信では同期補足のために送受信間で既知のパイロット信号系列が既に用意されているためである。本発明における位相誤差分散推定器と通信路雑音分散推定器においては、そのパイロット信号系列を利用することができる。したがって、本発明に係わる装置においては、新たなパイロット信号を導入する必要はない。また、通常、パイロット信号の伝送においてはBPSK(2値位相変調)などの単純且つ均一な瞬時電力を有する変調方式が用いられる。
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明においては、同じ機能あるいは類似の機能をもった装置に、特別な理由がない場合には、同じ符号を用いるものとする。先ず本発明の実施例を図5を用いて説明する。
図10は、本発明を適用するシステム全体の構成を示す。送信側では、情報データを符号化部101で符号化し、変調部102で変調した後、伝送路に送出される。図11には、電波で送信し伝送路として自由空間を用いる場合が記載されているが、電線でも光ファイバーでも用いることが出来ることは、明らかである。また、受信側では、受信した信号を復調部103で復調し、同期部104で同期をとった後、復号化部105で復号データにするものである。
図11は、特に復号化部105のより詳しい構成を示すブロック図である。この復号化部105では、同期部104から出力された同期部出力データから、ブランチメトリック計算部105−1でブランチメトリックを計算し、復号アルゴリズム適用部105−2で、このブランチメトリックを復号アルゴリズムに用いて復号データを得る。本発明は、特に、ブランチメトリック計算部に関している。また、上記の復号アルゴリズムとしては、畳込み符号、ブロック符号、ターボ符号、低密度パリティ検査符号、などのすべての通信路情報を利用する復号アルゴリズムを対象とすることができる。
図5は、位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器の第1の実施例であり、解析的に導出された式を忠実に実装する構造を採るものである。但し、数7第2項の対数の中身のみを示す。主な手段としては、受信信号Rkと送信候補シンボルSkに対して、通信路雑音分散推定器15、位相誤差分散推定器14、ブランチメトリック計算のための平方根をとる演算部9、逆数をとる演算部13、16、そして0次の第1種修正ベッセル関数の対数計算をとる演算部11などを備えている。この構成により、ティコノフ分布の位相誤差の影響に対し最良の性能を発揮するブランチメトリックを算出することができるので、多値変調方式を採用することが容易となり、高速通信を実現することが可能となる。
図5において、既によく知られた方法により信号空間ダイアグラム上の点Rkとして表現された受信信号について、
1)複素共役演算部1においてその複素共役をとる。
2)この複素共役には、送信候補シンボルSkに対応する複素数を乗じる演算部2で乗じた後、
3)この値から、実数部分をとる演算部3においてその実数部分をとり、
4)虚数部分をとる演算部4において虚数部分をとる。
5)上記の実数部分には、通信路雑音分散推定器15の出力の2乗との位相誤差分散推定器14の出力の逆数の2乗との積を加える。
6)このように処理された実数部分の5)の結果、あるいは、先の虚数部分4の結果は、それぞれ2乗演算部6あるいは7によりそれぞれの値の2乗をとる。
7)次に、和をとる演算部8で、このそれぞれの値の2乗の和をとり、
8)平方根をとる演算部9で、その平方根をとる。
9)この平方根の値には、通信路雑音分散推定器15の出力の2乗の逆数を加え、
10)ベッセル関数の対数値をとる演算部11でベッセル関数の対数値をとり、その値を出力する。この値は、ブランチメトリックの値そのものではないが、後に説明するように、ブランチメトリックとして用いて復号を行うことが出来るので、ここでは、この値もブランチメトリックとしている。
ブランチメトリックが明らかな場合に、トレリス線図に沿って、このブランチメトリックからその累積値であるパスメトリックを算出し、パスメトリックが最も小さくなるように送信信号を推定することは、すでによく知られている。
図6は、位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器の第2の実施例を示すブロック図である。これは、上記の第1の実施例の検波器におけるベッセル関数の対数値をとる演算部11を省略した構成に対応している。このように省略できるのは、0次の第1種修正ベッセル関数の対数について次式がなりたつためである。
このため、数3を、以下の数13のように近似することができる。
数13の第1項の定数項、および、第2項の比例定数については、トレリス線図に沿って、このブランチメトリックからその累積値であるパスメトリックを算出し、パスメトリックが最も小さくなるように送信信号を推定する場合の結果には影響を与えないので、第2項の最も外側の括弧の項について演算すればよいことが分かる。この図6の構成により、上記した第1の実施例の最適検波器に比べて、僅かに誤り率が増加するが、ほぼ同等の性能を発揮する検波器を容易に実現することが可能となる。また、この構成では、所要計算量と所要メモリ量を低減することができる、という特徴がある。
図8は、位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器の第3の実施例を示すブロック図である。但し、数13第2項のみを示す。これは、通常のAWGN通信路に最適化された検波器と同様の構成を採り、位相誤差成分を近似的に算出するための通信路推定器を具備するものである。この簡単な構成により、通常のAWGN検波器と同等の実装コストで、上記の第1あるいは第2の実施例の構成に近い性能を実現することが可能になる。また、この図8の構成は、図5、図6の構成とは、異なる部分が多いので以下に詳しく説明する。
受信信号Rkは、数1に示すように、信号空間ダイアグラムにおいて、原点を中心に回転され、ノイズが重畳された状態で受信される。ここで、数1のノイズ項を別にして、図3の信号点PkでのI成分、Q成分は、ノイズにより同じ擾乱をうけるが、信号強度や回転角については、それぞれ異なった影響を受ける。また、受信信号は、それぞれの送信信号Sk点を中心に変動するので、数2で表される受信信号Rkを次式のように、送信シンボルSk、と、信号点Skでの法線方向と接線方向を新たな座標軸とする項、そして、AWGN信号Nkの3項に、分類する。
ここで、
である。
ここで、
であるので、位相ノイズについては、数2のティコノフ分布を持つとすると、Wkの分散については、次のようになる。
ここで、数2のティコノフ分布に、次の数18のガウス近似を用いると、以下の数19ようになる。
ここで、PSは送信信号の平均電力であり、PS=E[|Sk2]である。この方法による、位相誤差成分の分散を求めるための実装構成を図7に示す。
図7の構成では、送信候補シンボルSkについて、
1)絶対値をとる演算部17でその絶対値をとり
2)2乗をとる演算部18で上記の1)の結果を2乗し、
3)積をとる演算部で、上記の2)の結果と位相誤差分散測定器23からの位相誤差分散σΦ 2との積をとり、
4)擬似位相誤差分散推定値σΦ 2として出力するものである。
ここで、数10の3項がそれぞれ統計的に独立であると仮定すると、確率密度関数は、それぞれガウス分布になるものとして、次のようになる。
kの尤度関数p(Rk|Sk)は、数3に数4と上記の数20を適用して次の数21のように求めることができる。
ブランチメトリックとして、上式の自然対数をとった式は次式で表現される。
ここで、lnPr{Sk}は、送信シンボルに関し先験的に評価される項であるが、この項はターボ符号に関するものであるので本発明では用いない。σ W は、数19に示された値である。
この簡易化検波回路の実装構成を図8に示す。これは、数22第2項のみを示す。図8に示す各ブロックにおいては、順次、次のような処理を行なう。
1)複素共役をとる演算部1で、受信した信号を信号空間ダイアグラムで表現した信号Rkの複素共役をとり、
2)送信候補シンボルに対応する複素数を乗じる演算部2で、送信候補シンボルSkとの積をとる、
3)実数部分をとる演算部3で、上記の積の実部をとる。
4)送信候補シンボルについては、絶対値をとる演算部17と2乗をとる演算部18で、絶対値とその2乗を演算し、
5)積をとる演算部19で、上記の4)の結果と位相誤差分散推定器23からのσΦ 2との積をとり、
6)上記の5)の結果と通信路雑音分散推定器24からのσn 2との和をとり、
7)逆数をとる演算部21で、上記の6)の結果の逆数をとって、
8)和をとる演算部22で、上記の7)の結果と上記の3)の結果との和をとってその値を出力する。
この値は、ブランチメトリックの値そのものではないが、上記の場合と同様に、ブランチメトリックとして用いて復号を行うことが出来るので、ここでは、この値もブランチメトリックとしている。その後、トレリス線図に沿って、このブランチメトリックからその累積値であるパスメトリックを算出し、パスメトリックが最も小さくなるように送信信号を推定する。なお、数18は従来のAWGN通信路のガウス雑音の分散項に位相誤差の分散項を加えた構成をしているため、最適検波器や準最適検波器に比べて、少ない計算量で実現できる。
上記の第1、第2、あるいは第3の実施例において、ブランチメトリックを求めることは、一台のコンピュータを用いてプログラムによって演算処理することで可能であるが、それぞれのブロックをハードウェア演算装置を用いて処理することによっても可能である。これらの演算装置では、後段の復号器に出力するにあたっては、ブランチメトリックデータを記憶装置に記憶させておくことが望ましい。この構成により、検波器出力のデータを後段の復号器にデータの溢れなく転送することが可能となる。
また、上記の様にブランチメトリックデータを記憶する記憶装置を設けた検波器において、インターリーバとでデインタリーバのための記憶装置と複数の要素復号器を用いて、要素復号器間で繰り返し復号を実行する構成を採ることができる。この構成により、検波器からのブランチメトリックを用いて、要素復号器で復号を行ない、その復号結果をインターリーバとデインタリーバを介して、事前信頼度として後段の要素復号器で利用することができる。また、これを複数回実行することができるので、復号性能を著しく向上させることが可能となる。
また、本発明は、多値変調方式にて変調された送信シンボルに対しても適用することができる。各送信候補シンボルの尤度を計算する構成を用いることによって、通信端末装置にて、多値変調方式にて誤り訂正符号化された信号に対する復号においてビット誤り率(BitError Rate:BER)を最良とする復号が実現される。
上記の説明では、ブランチメトリックを出力するものとしたが、受信信号の統計的性質を利用して、位相誤差成分の分散を計算し、出力することは、分散を求めるブロックにその出力部を設けることによって可能である。
この構成により、受信信号から位相誤差成分の分散を計算することが可能となり、検波の計算に利用することでより精度の高い復号が可能となる。
本発明は、ディジタル通信の分野において、複素平面上にある2次元の信号点配置として表現され伝送される信号を受信するにあたり、改善された雑音分布モデルから導かれる信号処理方式を用いて位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器を提案している。上記の説明は、本発明の骨子を分かりやすく説明するために簡略化しており、本発明の全貌を説明するものでないことは明らかである。例えば、上記の説明で用いた検波器のブロック図と等価な構成によっても本発明と同じ処理を行うことは可能である。例えば、ブロック図を入れ替えて、全体としては等価な機能を持たせることができる。また、これらのいずれかのブロック間で本発明に影響を与えないような付加的な処理を行なうことは可能である。
また、上記では、位相ノイズに重点をおいて説明したが、振幅の変化が緩慢な場合には、振幅変調をともなう多値変調方式にて変調された送信シンボルを用いるディジタル通信においても用いることができることは明らかである。
パイロット同期方式に用いられる位相同期回路のブロック図である。 パイロット信号と情報信号からなるデータフレームを示す図である。 パイロット信号の複素平面上での変動を示す模式図である。 LPFの伝達関数を示す模式図である。 第1の実施例を示すブロック図である。 第2の実施例を示すブロック図である。 位相誤差成分の分散を求めるための実装構成を示すブロック図である。 第3の実施例を示すブロック図である。 従来の構成を示すブロック図である。 本発明を適用するシステム全体の構成を示すブロック図である。 復号化部のより詳しい構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 複素共役をとる演算部
2 送信候補シンボルに対応する複素数を乗じる演算部
3 実数部分をとる演算部
4 虚数部分をとる演算部
5 和をとる演算部
6、7 値の2乗をとる演算部
8 和をとる演算部
9 平方根をとる演算部
10 和をとる演算部
11 ベッセル関数の対数値をとる演算部
12 積をとる演算部
13 逆数をとる演算部
14 位相誤差分散推定器
15 通信路雑音分散推定器
16 逆数をとる演算部
17 絶対値をとる演算部
18 2乗をとる演算部
19 積をとる演算部
20 和をとる演算部
21 逆数をとる演算部
22 和をとる演算部
23 位相誤差分散推定器
24 通信路雑音分散推定器
101 符号化部
102 変調部
103 復調部
104 同期部
105 復号化部
105−1 ブランチメトリック計算部
105−2 復号アルゴリズム適用部

Claims (4)

  1. ベースバンド信号をもったディジタル変調信号からディジタル信号を復調するためのPLL回路をもちいたパイロット同期方式の検波器であって、
    1)信号空間ダイアグラム上の点として表現された受信信号について、
    2)上記の1)の受信信号の複素共役をとる演算部と、
    3)上記の2)の結果に、送信候補シンボルに対応する複素数を乗じる演算部と、
    4)上記の3)の結果の実数部分をとる演算部と、
    5)上記の3)の結果の虚数部分をとる演算部と、
    6)上記の実数部分には、通信路雑音分散推定器の出力の2乗との位相誤差分散推定器14の出力の逆数の2乗との積を、加える演算部と、
    7)上記の6)の結果と、上記の5)の結果の、それぞれの値の2乗をとるそれぞれの演算部と、
    8)上記の7)の結果のそれぞれの値の2乗の和をとる演算部と、
    9)上記の8)の結果の平方根をとる演算部と、
    10)上記の9)の結果の平方根の値に、通信路雑音分散推定器からの出力の2乗の逆数を加える演算部と、
    11)上記の10)の結果のベッセル関数の対数値をとって、出力する演算部を備え、前記の出力をブランチメトリックと見なして、その値を用いてパスメトリックを算出し、パスメトリックが最も小さくなるように送信信号を推定することを特徴とする位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器。
  2. ベースバンド信号をもったディジタル変調信号からディジタル信号を復調するためのPLL回路をもちいたパイロット同期方式の検波器であって、
    1)信号空間ダイアグラム上の点として表現された受信信号について、
    2)上記の1)の受信信号の複素共役をとる演算部と、
    3)上記の2)の結果に、送信候補シンボルに対応する複素数を乗じる演算部と、
    4)上記の3)の結果の実数部分をとる演算部と、
    5)上記の3)の結果の虚数部分をとる演算部と、
    6)上記の実数部分には、通信路雑音分散推定器の出力の2乗との位相誤差分散推定器14の出力の逆数の2乗との積を、加える演算部と、
    7)上記の6)の結果と、上記の5)の結果の、それぞれの値の2乗をとるそれぞれの演算部と、
    8)上記の7)の結果のそれぞれの値の2乗の和をとる演算部と、
    9)上記の8)の結果の平方根をとる演算部と、
    10)上記の9)の結果の平方根の値に、通信路雑音分散推定器からの出力の2乗の逆数を出力する演算部を備え、前記の出力をブランチメトリックとみなして、その値を用いてパスメトリックを算出し、パスメトリックが最も小さくなるように送信信号を推定することを特徴とする位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器。
  3. ベースバンド信号をもったディジタル変調信号からディジタル信号を復調するためのPLL回路をもちいたパイロット同期方式の検波器であって、
    1)受信した信号を信号空間ダイアグラムで表現した信号の複素共役をとる演算部と、
    2)送信候補シンボルとの積をとる演算部と、
    3)上記の積の実部をとる演算部と
    4)送信候補シンボルについては、絶対値とその2乗をとるそれぞれの演算部と、
    5)上記の4)の結果と位相誤差分散推定器からの位相誤差分散値の2乗との積をとる演算部と、
    6)上記の5)の結果と通信路雑音分散推定器からの通信路雑音分散値の2乗との和をとる演算部と、
    7)上記の6)の結果の逆数をとる演算部と、
    8)上記の7)の結果と上記の3)の結果との和をとった値を出力する演算部とを備え、
    前記の出力をブランチメトリックとみなして、トレリス線図に沿って、上記のブランチメトリックを見なしてパスメトリックを算出し、パスメトリックが最も小さくなるように送信信号を推定することを特徴とする位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器。
  4. 送信候補シンボルについて、
    1)その絶対値をとり
    2)上記の1)の結果を2乗し、
    3)上記の2)の結果と位相誤差分散測定器からの位相誤差分散の2乗との積をとることによりえられた位相誤差分散推定値を用いることを特徴とする、請求項3に記載の位相雑音耐性の高い受信装置用の最適検波器。
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