JP3816589B2 - 立体内視鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体映像を得ることの可能な立体内視鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の内視鏡による映像は、奥行きに関する情報が少なく複数の観察対象物間の距離がつかみにくく、該映像を見ながらの作業においては、誤操作の虞れがあるばかりでなく、作業者の心身にわたる疲労も大きい等の課題を有していた。
【0003】
このような問題を解決すべく立体視可能な内視鏡の開発が盛んに行われているが、その多くは、双眼の観察レンズを用いて、左右目用の2視差像を取り込み、二系列の光学系によってステレオ映像出力装置等に伝達し、表示するように構成されている。しかしながら、このような従来の立体内視鏡においては、輻輳角の調整が困難である事と双眼の光学レンズ及び2系列の光学系が併設されることにより、立体内視鏡の外径が太くなり、体腔内等の細径の箇所への挿入が難しく、好ましくなかった。
【0004】
また、この欠点を解消する手段として特開昭57-219491号においては、双眼の光学レンズのそれぞれに互いに異なる偏光を有する偏光板を設置し、得られた二つの映像を単一のイメージガイドで伝達するものが開示されているが、ここでは対物光学レンズが右目用と左目用とで二つ備えられているために、結局先端部が大型化し、体腔内等のような目的部位への挿入が妨げられる点で、上記従来の欠点を解消するに至らなかった。
【0005】
この輻輳角の調整及び太径化という欠点を解消する物として、本発明者らは特願平6-269914号においては、単眼の観察レンズにて、該レンズの有効口径内の視差像を2つの偏光像として伝達する方法を用いた立体内視鏡について提案している。即ち、この従来例の内視鏡は、観察レンズの絞りの位置である光軸方向に対する実効中心またはその近傍に偏光方位角が各々異なる偏光フィルタ対を分割して配設する。すると偏光フィルタ対は、観察レンズの有効口径内に存する視差像を二つの偏光像に変換して内視鏡内を伝搬させる。この2偏光像を、時間分割もしくは時間並行に撮影して映像出力信号に変換し、該映像出力信号をステレオ画像表示装置に入力する。観察者は表示装置上の映像をステレオ画像として観察する。
【0006】
しかしながら、観察像が前記偏光フィルタ対を透過する事により生じる偏光特性を利用し視差像を得る、このような立体内視鏡については、該偏光フィルタ対と撮像素子の前に設置される検光子(偏光フィルタ)との偏光方位角の整合性を取らないと視差像が得られない。また、該偏光フィルタ対から撮像素子までの内視鏡内部での観察像伝達の際の偏光の保持の度合いによって、二視差像が混ざり合うクロストークが発生するため、これを除去する手段を施さねばならない。
【0007】
これにより、立体内視鏡のシステム構成が従来の内視鏡と比べ複雑となり、種々の調整も煩雑になる。また、従来の内視鏡等観察システムの光学系を一部流用するといった方法での開発が難しいという点が、立体内視鏡の実用化が芳しく進まない要因としてあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みて為された物であり、先端部を含む本体全体が単眼内視鏡並に細くなるようにし、かつ、簡単な構成にて立体視を可能とする立体内視鏡を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決する手段】
上述した本発明の目的は、以下の構成(1)〜(2)によって達成される。
【0010】
(1) 視差を有する一対の像を得るための立体内視鏡において、該立体内視鏡は一系列の光学系を用いて映像の取り込み及び伝達を行うものであり、観察像の光学系伝達の際に、立体映像を構成するために必要な一対の視差像を発生させるために、該立体内視鏡の光学結像部材の、一般に絞りを配置する位置である光軸方向に対する実効中心またはその近傍に、透過波長の異なる少なくとも2種以上の領域を有する色フィルタを設け、該色フィルタを透過させることにより光束が2種以上に分離されることを利用して視差像を得ることを特徴とする立体内視鏡。
【0011】
(2) 前記色フィルタを透過することにより2種以上に分離した観察像を、前記立体内視鏡の撮像部に設置された撮像素子に入射させ、得られた映像信号を色成分毎に分離し、その後、変換及び合成することで、左右目用の視差像の疑似カラー映像出力信号を得ることを特徴とする(1)記載の立体内視鏡。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下引き続き、本発明に基づく立体内視鏡の要旨をさらに明確にするために、図面を利用して実施の形態を説明する。
【0013】
(実施例1)
図1は本実施例における立体内視鏡の概略構成図である。図1において、1は単一の光学系および光路のみを有する立体内視鏡である。2は立体内視鏡1の単一の観察光学系3の中の光線が平行となる位置(一般に絞りを配置する位置)に設置される色フィルタである。色フィルタ2は図2に示すような光の3原色(赤:R、青:B、緑:G)のそれぞれに近い透過波長を有する3領域からなる。図2における色フィルタ2の各領域は、観察光学系3の有効口径内の伝搬光のうちで、ステレオ像の構成に必要な視差をより多く含む領域が、B及びGの帯域の透過光となるように、また、視差をあまり含まない領域はRの帯域の透過光となるよう設定した。観察光学系3への入射光は、色フィルタ2を透過することによりRGB各波長の3つの光束に分離され、特にBとGは、領域が離間しているため大きく視差を有する映像となる。それぞれの映像は、色フィルタ2の透過部位毎で異なる色(R、G、B)を帯びた観察像となり、複数枚のレンズやイメージファイババンドルにて構成される単一の光路である伝達光学系4を介して撮像素子であるCCD5まで伝達され、映像出力信号6(例えばNTSCまたはRGB信号)に変換される。該映像出力信号6は色成分分離回路7により3原色(R、G、B)に復調した後、映像信号合成回路8により左右目用の2視差映像信号を発生させる。この際、3成分のうち、ステレオ像の合成に必要な視差をより多く含む位置関係の領域の透過光であるB及びG成分は左右目用の出力信号として用い、R成分は左右目用ステレオ映像の色調を調整するのに用いる。変換回路9は、例えばB成分の色調をG成分に合わせて変換し色を揃えるのに用いられる。変換回路9はBおよびG各成分双方の色調を合わせるのに用いても良い。R成分は上述のように色の調整に用いるため、分岐回路10を通し二系列に分岐して、増幅後にB、G成分より成る各出力信号に加える。これにより、二視差像を疑似カラーの2映像出力信号11として発生させる事ができる。2映像出力信号11は左右目用映像信号として図示しないモニタ装置に出力される。モニタ装置としては、公知の時分割方式のモニタを液晶シャッタ眼鏡を用いて観察することができる。または、公知の時間並行表示可能なレンチキュラ式立体画像表示装置や、特開平7−140418号公報に記載された方式の立体画像表示装置等を用いれば、眼鏡無しで立体画像観察することもできる。
【0014】
また、前記色フィルタは図3や図4に示す様に、良好な立体知覚を得るために各色フィルタの位置、大きさ形状等を変更する事も可能である。また、本実施例においては良質のカラー画像を得るためにRGB3色の領域からなる色フィルタを用いたが、同面積の2色の領域を有する色フィルタを用い、2色カラー画像を得るものであっても良い。色フィルタは複数のフィルタを適当な形状に成型し、組み合わせて作成しても良く、1枚のフィルタ上に透過波長の異なる複数の材料を塗装又は蒸着して構成しても良い。また、各構成部材の位置、大きさ形状は本発明の趣旨に反しない限り任意である。
【0015】
(実施例2)
図5は本発明の実施例2における立体内視鏡の先端部の構造を示す構造図である。本実施例において、基本的な撮像部分及び映像信号処理については前記の実施例1と同一であるため、説明を省略する。本実施例においては、光ファイババンドルからなる被写体照明用のライトガイド12を立体内視鏡に配設する事により、暗所でも立体視が可能となる。但しライトガイド12の大きさ形状および位置は被写体照明の可能な範囲に於いて任意である。なお、光源はメタルハライド等の白色光源に限定される物ではなく、赤外や紫外領域の光源を用いてもよく、適当な光源を選択する事で被写体由来の励起光の観察を可能にできる利点がある。
【0016】
(実施例3)
図6は本発明の実施例3における立体内視鏡の基部側構造を示す概略図である。本実施例においては、照明用光学系を有している事に特徴がある点で、実施例2と同一であるが、実施例2は観察および伝達光学系と照明光学系(ライトガイド)が別個であるのに対して、前記観察および伝達光学系が照明光学系を兼ねる。基本的な撮像部分及び映像信号処理については前記の実施例1と同一であるため、説明を省略する。伝達光学系3と撮像素子であるCCD5の間に、ハーフミラーやプリズム等により構成された、ビームスプリッタ13を配置し光源14からの照明光を入射させる。観察光学系3透過後に物体に照射された光は、反射後に再び観察光学系3に入射し、伝達光学系4を通過後、ビームスプリッタ13を透過し、CCD5にて撮影される。但しビームスプリッタ13の大きさ形状および位置は被写体照明の可能な範囲に於いて任意である。なお、光源はメタルハライド等の白色光源に限定される物ではなく、赤外や紫外領域の光源を用いてもよく、適当な光源を選択する事で被写体由来の励起光の観察を可能にできる利点がある。
【0017】
(実施例4)
図7は本発明の実施例4における立体内視鏡の先端部の構造を示す概略図である。本実施例において、基本的な撮像部分及び映像信号処理については前記の実施例1と同一であるため、説明を省略する。本実施例においては、本体の先端部に鏡面を有するプリズム15を設けることで、内視鏡長尺方向に対して側方にある物体を観察することが可能である。但し前記プリズム15の大きさ形状および位置は側方観察の可能な範囲に於いて任意である。
【0018】
【発明の効果】
本発明の立体内視鏡は、上述のごとく構成されることにより、単一の観察光学系および伝達光学系のみを有する通常の内視鏡と同様の外径やコストにて、カラー立体映像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における立体内視鏡の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1における色フィルタ2の構成例である。
【図3】本発明の実施例1の変形例における色フィルタの構成図である。
【図4】本発明の実施例1の変形例における色フィルタの構成図である。
【図5】本発明の実施例2における立体内視鏡の先端部の構成の説明図である。
【図6】本発明の実施例3における立体内視鏡の構造の説明図である。
【図7】本発明の実施例4における立体内視鏡の先端部の構成の説明図である。
【符号の説明】
1:立体内視鏡
2:色フィルタ
3:観察光学系
4:内視鏡内部の伝達光学系
5:CCD
6:映像出力信号
7:色成分分離回路
8:映像信号合成回路
9:色成分変換回路
10:R成分分岐回路
11:疑似カラー二視差映像出力信号
12:被写照明体用ライトガイド
13:ビームスプリッタ
14:光源
15:プリズム

Claims (2)

  1. 視差を有する一対の像を得るための立体内視鏡において、映像の取り込みを行う単一の観察光学系の光路中に透過波長の異なる少なくとも2種以上の領域を有する色フィルタを設けたことを特徴とする立体内視鏡。
  2. 前記色フィルタを透過することにより2種以上に分離した観察像を、前記立体内視鏡の撮像部に設置された撮像素子に入射させ、得られた映像信号を色成分毎に分離することによって、左右目用の視差像の疑似カラー映像出力信号を得る事を特徴とする、請求項1に記載の立体内視鏡。
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