JP3816357B2 - 新規微生物、およびこれを用いた有機性廃水処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、新規な微生物およびそれを用いた有機性廃水処理装置にかかり、特に製油工場、惣菜工場、揚げ物製菓工場、ケーキ製造工場、ハム・ソーセージ製造工場、缶詰工場、水産物加工工場、食堂・レストラン等の食品関連事業所などから排出される液状の高濃度有機性廃水を新規微生物を用いて好気性生物学的処理を行う処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から微生物を用いて廃水中の有機物を処理する廃水処理方法が知られている。そのような処理方法の一例として活性汚泥法が知られている。この方法は、好気的条件下で微生物を廃水中で繁殖させ、該微生物が凝集して形成される活性汚泥が廃水中の有機物を吸着することで、微生物の持つ生化学的作用によって該有機物を分解するものであり、微生物による有機物の酸化分解や微生物の繁殖を促すために、廃水に空気を吹き込み、かつ撹拌するという単純な機構が採用されている。
【0003】
しかし、例えば食品加工工場または外食産業から発生する廃水は極めて高濃度の有機物を含んでおり、従来の一般的な活性汚泥法では微生物に対する有機物負荷(BOD負荷)が高過ぎて対処しきれない場合もあるため、各種の処理方法が提案されている(特公昭58−8313号公報、特公昭57−12436号公報、特公昭56−52636号公報等)。
【0004】
この結果、廃水中に有機物が高濃度に存在していても低減化することが可能であった。
【0005】
ところが、生物学的に酸化分解しにくい有機物(例えば脂質)を多量に含む廃水を活性汚泥処理する場合には、そこに出現する細菌類は脂質、特に飽和脂肪酸を分解除去する酵素活性が弱いために、脂質の吸着の方が勝り、活性汚泥フロックの周囲に脂質が吸着して被膜となり、フロック内に酸素が移送されず酸欠となってしまうため、脂質の分解除去が阻害されてしまう。また、脂質は廃水中で水と混合しエマルジョン化するか、コロイド状で存在するか、あるいはオイルボール化しているかのいずれかであるが、別途油分のみを除去する物理化学処理を行わない場合には実質的に未処理となった油分によって処理施設が汚損されてしまうと共に油分が処理水に混じって未処理のまま放流されてしまうという問題があった。このため、廃水中の生物学的に酸化分解しにくい有機物が高濃度に存在する場合、流入する負荷変動への対応、適正な運転管理、処理性能の確保、多量に発生する余剰汚泥の処分等が必要であり、単に維持管理上の対応では解決できなかった。そのため、近年高濃度有機性廃水の処理として、酵母等の微生物を用いた好気性処理(特開2000−246284公報等)や嫌気性細菌を用いた嫌気性処理(UASB)(特開平9−1179号公報等)が登場し採用されるようになった。
【0006】
ここで、特開2000−246284公報に開示された生物学的有機性廃水処理装置の概略的構成を簡単に説明する。図6に示すように、脂質を含む廃水は流入水としてスクリーン41を通過して酵母処理に適さない程度のサイズの固形分(夾雑物)が除かれた上で、流量調整槽42に送られる。この流量調整槽42から所定量の廃水が生物反応槽としての反応槽43内に供給される。この反応槽43には槽内のpHを測定するセンサ(図示せず)が取り付けられており、そのpHセンサの測定値に応じて槽内のpHを脂質資化性酵母の最適pH3〜7とするために硫酸等の酸性薬剤が添加される。また、この反応槽43には後述の加圧浮上手段44で固液分離された酵母のうち、再度廃水処理に用いるための酵母をリサイクルするための返送経路およびポンプ(図示せず)が加圧浮上手段44との間に設けられている。上記反応槽43内で一定の滞留時間、酵母により脂質分解処理を受けた廃水(混合液)は加圧浮上手段44に送られ、固液分離を受ける。固液分離により得られた処理水(液体)は処理水槽45に送られ、酵母汚泥(固形分)の一部は上述したように反応槽43に戻され、残りは余剰酵母として汚泥処理系に送られる。処理水槽45内の処理水は放流先の水質基準などに応じて後処理として活性汚泥処理などの一般的な廃水処理を施すことが可能である。
【0007】
一方、特開平9−1179号公報は、有機性廃水に含まれる固形分を可溶化処理することによって、接触効率が良好で負荷が大きくとれる上向流嫌気性汚泥床処理装置(UASB)を用いて処理することが可能な高濃度有機性廃水の嫌気性消化処理方法およびそのための処理装置が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の微生物による廃水処理装置および方法は以上のように構成されているので、以下のような解決すべき課題を有する。
【0009】
酵母など好気性微生物を用いた生物学的水処理においては、ある程度廃水中に含まれる高濃度の有機物を酸化分解することができるが、好気性微生物の活性を保ち処理を安定して行うためには、流入する廃水や生物反応槽の水温を中温(概ね10〜30℃)にしておくことが望ましい。
【0010】
しかしながら、季節的(夏季)や地理的(亜熱帯、熱帯)要因、生産工程などの要因により、廃水や生物反応槽の水温が高く(概ね35℃以上)なってしまい、好気性微生物の活性が低下して生物学的水処理に支障をきたし、処理水質の悪化を招くという問題があった。また、生物反応槽内では廃水中に高濃度に含まれる有機物の生物分解反応による発熱も加わり、さらに水温が上昇してしまうという悪循環を起こす問題もあった。特に廃水中に生物学的に酸化分解されにくい油脂分が多く含まれる場合には、油脂が未処理のまま放流されてしまい、放流先の環境汚染を招く原因となった。
【0011】
そのため、良好な処理水質を得るには好気性微生物の活性を保たせることが必要となり、別途高価な温度制御(冷却)装置などを導入して、生物反応槽内の水温を低下させなければならないが、冷却装置などの導入により運転管理が煩雑になるばかりか、建設コストや処理(運転)コストが増大するという問題が生じた。
【0012】
また、UASBを用いた従来の嫌気性処理においては、以下のような解決すべき課題がある。
【0013】
嫌気性菌およびメタン菌が混在するグラニュールが形成され、通常30℃以上で処理を行うため、水温上昇による生物学的水処理への影響はほとんどないが、生物学的に酸化分解されにくい油脂を高濃度に含有する有機性廃水を十分に分解資化することが難しい。そのため、処理性能が低下すると共に安定性に欠ける。
【0014】
嫌気性処理で高濃度有機物廃水を十分に処理させるには、長い滞留時間を必要とするため、処理装置が大きくなり建設コストや運転経費が増大し、運転管理や維持管理が煩雑となる。
【0015】
また、十分に処理された嫌気性処理水といえども、そのまま直接河川等に放流すると放流先の環境に影響を及ぼす可能性が大きいため、別途好気的な処理を行う必要がある。
【0016】
そのため、上記問題を解決し、高濃度有機性廃水(特に油脂が多いもの)を高水温下でも、直接安定して微生物処理することを可能とする新規微生物の探索、さらに該新規微生物を利用した有機性廃水処理装置を提供することが求められている。
【0017】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、高温でも有機物を酸化分解することが可能である新規微生物を提供することを目的とする。また、このような新規微生物を用いた生物反応槽内へ高濃度の有機性廃水を導入して高水温下でも好気的に安定して効率よく生物学的処理を可能とする有機性廃水処理装置を提供することを目的とする。さらに、油脂を多く含む有機性廃水を導入した場合でも、高水温下で処理するため油脂は液状のまま固形化させずに直接好気的に安定して効率よく生物学的処理を可能とする有機性廃水処理装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高濃度有機性廃水処理において高水温下でも有機物の酸化分解が可能な新規のクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2を提供する。また、本発明はこれら新規の微生物を用いた有機性廃水処理装置を提供する。
【0019】
1.探索手段
はじめに、本発明に係る新規クルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2の探索手段について説明する。
【0020】
高濃度有機性廃水として、植物性油脂の一つであるパーム油を含むパーム搾油工場廃水(Palm Oil Mill Effluent以下、POMEという)を用意した。次に、このPOMEを生物反応槽に入れ、好気的条件下、50℃で馴養した。その後、生物反応槽から混合液を所定量(100ml)採取してから直接白金耳で標準寒天培地(NA)、イースト・マルトエキス寒天培地(YMA)、ポテトデキストロース寒天培地(PDA)、およびブロモクレゾールパープル(BCP)寒天培地に画線し、それぞれ46,48,50℃にて3〜5日間、静置培養した。形成されたコロニーを同条件でさらに2回継代培養を行った。次にこのコロニーについて、油脂分解資化能の有無を検討した(コロニーを形成した菌株が、油脂分解資化能を有するものとみなす)。すなわち、0.5%の粗パーム油を唯一炭素源としたBCP寒天平板培地にて直接画線し、さらに46℃乃至50℃にて3〜5日間静置培養した。培養後、寒天平板培地上に生じたコロニーを採取し、最終的に酵母2株を分離することができた。これらの酵母株は、それぞれY−1およびY−2とし、後述する菌学的性質の検討に供した。
【0021】
なお、上記の標準寒天培地(NA)の組成は、酵母エキス:2.5g、ペプトン:5.0g、グルコース:1.0g、寒天:15.0g(培地1L中、pH7.0)とした。また、イースト・マルトエキス寒天培地(YMA)の組成は、酵母エキス:3.0g、ペプトン:5.0g、グルコース:10.0g、麦芽エキス:3.0g、寒天:15.0gとした。ポテトデキストロース寒天培地(PDA)は、バレイショ浸出液:200.0g、グルコース:20.0g、寒天:15.0g(培地1L中、pH5.6±0.2)とした。BCP寒天培地の組成は、粗パーム油:5.0g、ペプトン:0.5g、酵母エキス:1.0g、BCP(ブロモクレゾールパープル):0.06g、アデカノールTS−910:0.1g、寒天:15.0g(培地1L中;pH7.0)とした。同定試験に使用した培地としては、糖の発酵性試験についてBTBを添加した培地は、試験する糖:2% 酵母エキス:4.5g、ペプトン:7.5g(培地1L中;pH7.0)、OF培地(栄研化学製)等を使用した。リパーゼ生産試験の際に用いた培地としては、クルイベロマイセス属用培地は、ソイトーン:20.0g、ペプトン:30.0g、イースト:3.0g、麦芽エキス:3.0g、グルコース:10.0g、NaNO:1.0g、KHPO:1.0g、MgSO・7HO:0.5g(培地1L中;pH6.0)、ゲオトリカム属用培地は、オリーブ油:1%、ペプトン:50.0g、イースト:3.0g、麦芽エキス:3.0g、グルコース:10.0g、NaNO:1.0g、KHPO:1.0g、MgSO・7HO:0.5g(培地1L中;pH6.0)である。培養は、好気条件下で行うことができ、基本的に液体培養でも固体培養でもよい。
【0022】
以下に説明するように、菌学的性質の検討結果から、それぞれクルイベロマイセス属およびゲオトリカム属の新規な株であることがわかり、上記Y−1およびY−2を、後述するようにクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2とした。次にこのようにして得られたクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2が新規微生物の性質を詳述する。
【0023】
2.菌学的性質
本発明で新たに取得された菌株の菌学的性質を表1にまとめる。
【0024】
【表1】
Figure 0003816357
【0025】
A.クルイベロマイセス・スピーシズY−1
(1)形態的性質
コロニー性状について、コロニーの形態:丸形であり、均一で滑らか、光沢がある。直径1mmより大きく点状、色調は白色。細胞性状について、子のう胞子形成能:陽性、菌糸形成能:陰性。
【0026】
(2)生育温度
生育温度:55℃未満
【0027】
(3)生理的性質
発酵試験について、グルコース:陽性、ガラクトース:陽性、サッカロース:陰性、マルトース:陰性、ラクトース:陰性、ラフィノース:陰性、硝酸塩の資化:陰性、エステル臭:陰性、グルコース利用能:陽性、グリセリン利用能:陽性、2−ケトーD−グルコン酸カルシウム利用能:陰性、L−アラビノース利用能:陰性、D−キシロース利用能:陰性、アドニット利用能:陽性、キシリトール利用能:陰性、ガラクトース利用能:陽性、イノシット利用能:陰性、D−ソルビトール利用能:陽性、α−メチル−D−グルコシド利用能:陰性、N−アセチル−D−グルコサミン利用能:陽性、D−セルビオース利用能:陰性、ラクトース利用能:陰性、マルトース利用能:陰性、サッカロース利用能:陰性、D−トレハロース利用能:陰性、D−メレチトース利用能:陰性、D−ラフィノース利用能:陰性、リパーゼ:陰性。
【0028】
以上の菌学的生化学的性質、特に生育温度が通常の酵母の場合よりも高く、また子のう胞子を形成することから、本発明の微生物Y−1は、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)に属する新規の酵母株であると同定され、クルイベロマイセス・スピーシズ(Kluyveromyces sp.)に属せしめることが適当であると認められた。なお、本明細書ではこの新規酵母株をクルイベロマイセス・スピーシズY−1と称す。
【0029】
B.ゲオトリカム・キャピタータムY−2
(1)形態的性質
コロニー性状について、コロニーの形態:丸形であり、周囲が不均一で凹凸があり、やや光沢がある。直径1mmより大きく点状、色調はクリーム色から白色。子のう胞子形成能:陰性、菌糸形成能:陽性。
【0030】
(2)生育温度
生育温度:55℃未満
【0031】
(3)生理的性質
発酵試験について、グルコース:陰性、ガラクトース:陰性、サッカロース:陰性、マルトース:陰性、ラクトース:陰性、ラフィノース:陰性、硝酸塩の資化:陰性、エステル臭:陰性、グルコース利用能:陽性、グリセリン利用能:陽性、2−ケトーD−グルコン酸カルシウム利用能:陰性、L−アラビノース利用能:陰性、D−キシロース利用能:陰性、アドニット利用能:陰性、キシリトール利用能:陰性、ガラクトース利用能:陽性、イノシット利用能:陰性、D−ソルビトール利用能:陰性、α−メチル−D−グルコシド利用能:陰性、N−アセチル−D−グルコサミン利用能:陰性、D−セルビオース利用能:陰性、ラクトース利用能:陰性、マルトース利用能:陰性、サッカロース利用能:陰性、D−トレハロース利用能:陰性、D−メレチトース利用能:陰性、D−ラフィノース利用能:陰性、リパーゼ:陰性。
【0032】
以上の菌学的生化学的性質、特に生育温度が通常の酵母の場合よりも高く、また菌糸を形成することにより、本発明の微生物Y−2は、ゲオトリカム属(Geotrichum)に属する新規の酵母株であると同定され、ゲオトリカム・スピーシズ(Geotrichum sp.)に属せしめることが適当であると認められた。なお、本明細書ではこの新規酵母株をゲオトリカム・キャピタータムY−2と称す。
【0033】
なお、上記酵母株の同定に際して、クルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2についてのリパーゼ活性の測定を行った。
【0034】
クルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2は、当業者に周知の一般栄養培地であるならばいかなる培地でも良好に生育する。炭素源としては本菌が同化し得るものなら何でも良い。窒素源としてはペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキスなどの有機窒素源を利用することができる。また、培地はpHを2.0〜12.0、好ましくは4.0〜9.0、より好ましくは5.0〜8.0の範囲内に調整し、滅菌して使用する。
【0035】
なお、本酵母株を自然に、もしくは遺伝子組み換え、放射線処理、薬品処理等の人工的手段によって変異させて得られる変異株であっても、高温耐性を有するものであるならば本発明に包含されるものとする。
【0036】
3.微生物の寄託
本菌は、経済産業省産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所に平成13年3月15日に寄託され、その寄託番号はクルイベロマイセス・スピーシズY−1がFERM BP−7507、ゲオトリカム・キャピタータムY−2がFERM
BP−7508である。
【0037】
つぎに、本発明にもとづく有機性廃水処理装置は新規の高温耐性好気性微生物を用いる。
【0038】
一般に高温性好気性微生物の内性呼吸速度は中温性微生物(常温菌)と比較して非常に大きいと言われている。高温性微生物にとって、より高い連続的なエネルギー要求性があり、また反面、より高頻度で微生物学的な衰退がある。これらの事実によって、高温処理系では、中温処理系よりも生物学的水処理に基因する余剰汚泥の発生量が減るため、汚泥処分費の節約につながる。
【0039】
ところで、生物反応槽内の水温が高いということは、反応槽混合液中の好気性微生物への酸素供給が困難となることが予想される。一般的に、水中の酸素飽和濃度は、水温が上昇するに従って、低下する(清水水温が25℃の場合、酸素飽和濃度が8.3mg/Lに対して、60℃の場合、酸素飽和濃度が4.6mg/L)。そのため生物反応槽内への散気は純酸素ガスを用いることも考えられる。しかしながら、その酸素拡散係数は、水温を上げるに従って高まる(25℃の場合、2.5x10−5cm/秒。これに対して、60℃の場合、6.1x10−5cm/秒)。それ故、高水温下における酸素移動速度は、中水温下での場合と同等か、それよりも高いことになる。よって、混合液中への酸素供給手段として、混合液中の溶存酸素量(DO)をある程度確保できれば、空気曝気でも、純酸素ガスによる曝気でも良いこととなる。純酸素を用いた場合、酸素の使用量を十分考慮する必要がある。
【0040】
また、生物反応槽内が高水温であるということは、今まで知られている数多くの中温性の病原微生物を死滅させたり、生物にとって有害な物質が高温下に暴露されることによって、その毒性が弱まったり無毒化したりする可能性があり、従来のような、処理水を塩素滅菌する必要がなくなることも期待される。
【0041】
さらに、生物反応槽内の水温が高いと反応槽混合液の粘度が下がるため、汚泥沈降性が良くなり、固液分離性の向上が期待できる。これにより、反応槽内の微生物量を高く維持(高MLSS化)できるため、反応槽では有機物負荷(BOD負荷)を下げて運転することが可能となり、効率よく安定して有機物を分解・除去できる。つまり、高温耐性好気性微生物による有機性廃水処理は、標準活性汚泥法等のような従来の中温での好気性微生物処理と比較して、運転管理面、維持管理作業、環境衛生面、処理効率などにおいて、より利点が多いことが理解できる。
【0042】
以下、本発明にもとづく新規微生物がどのような点で有用であるかを具体的に説明するために、本発明のクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2を用いた有機性廃水処理装置を実施例として説明する。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明にもとづく新規微生物を用いた有機性廃水処理装置について説明する。
【0044】
まず、本発明にもとづく新規微生物を用いた有機性廃水処理装置が取りうる基本的構成を簡単に説明する。
【0045】
図1は、本発明にもとづく有機性廃水処理装置の基本的構成例を説明するためのもので、(a)乃至(f)はそれぞれ異なる構成例を示すブロック図である。図1において、2は流入水中に含まれる夾雑物の除去を行うためのスクリーン(夾雑物除去装置)、3は流入水の流動変動を緩和するための流量調整槽で、内部には流入水の沈降分離を防ぐため、散気または機械的撹拌を行うための手段が設けられている。4aは押し出し流れ式の生物反応槽(酵母反応槽)であり、浮遊汚泥のみ(曝気槽)、または浮遊型担持体の投入(坦体投入型曝気槽)、または接触ろ材の設置(接触酸化槽)を選択することができる。浮遊型担持体の投入または接触ろ材の設置を行うことで、生物反応槽4a内に汚泥量を確保しながら、浮遊汚泥濃度を低減することが可能となり、後段の固液分離装置5における固液分離が良好となり、ひいては処理水の改善が図れる。4bは回分式の生物反応槽(酵母反応槽)であり、該生物反応槽4bを回分式とすることで、流量調整を不要または削減することが可能となる。また、生物反応槽4b内では曝気を停止して混合液を静置沈降させ固液分離することが可能となるので、固液分離装置が不要となる。5は固体成分(汚泥)と液体成分(処理水)とを分離するための固液分離装置であり、一般に沈殿槽とも呼ばれる。10は流入水中の夾雑物などの懸濁物質を除去し、後段の生物学的水処理を容易にする目的から設置される前処理設備であり、具体的には重力沈殿池、加圧浮上装置、遠心分離機、ろ過装置等を単独または組み合わせて用いる。
【0046】
本発明の有機性廃水処理装置は、高濃度の有機性廃水中に含まれる有機物を生物反応槽4aまたは4bに含まれる微生物の働きによって好気的に安定して効率よく分解するものである。そのため、生物反応槽4aまたは4bの状態は、以下のようにすることが望まれる。
【0047】
すなわち、生物反応槽4aまたは4b内の水温は60℃超とならないように、好ましくは35〜55℃で有機物分解反応が行われるようにする。
【0048】
生物反応槽4aまたは4b内のpHは概ね5〜8として、生物反応槽4aまたは4bに導入される有機性廃水の有機物(BOD)濃度は5,000〜30,000mg/L(0.5〜3.0%)で、とくに10,000mg/L以上の高濃度有機性廃水を導入しても効率よく処理することができる。
【0049】
また、新規微生物と共に高温耐性油脂資化細菌を用いて処理する場合には、有機性廃水へのヘキサン抽出物質濃度が500mg/L(0.05%)以上であっても、良好に処理することができる。
【0050】
生物反応槽4aまたは4bは、散気手段からの散気により上記微生物等が浮遊する曝気槽、または上記微生物等が担持する流動可能な担体が投入された担体投入型曝気槽、あるいは上記微生物等を担持する接触ろ材が設置された接触曝気槽であることが望ましいが、有機性廃水を上記微生物等の存在下で好気的に処理できる反応槽であればこれに限られるものではない。
【0051】
生物反応槽4aまたは4bに対して、上記有機性廃水を連続的に導入し押し出し流れ式に好気性生物学的処理を行ってもよいし、あるいは上記有機性廃水を回分的に導入する回分流入式に好気性生物学的処理を行ってもよい。
【0052】
生物反応槽4aまたは4bでは好気性生物学的処理を行うため散気手段から空気を供給し槽内を曝気撹拌するが、必要な酸素量等に応じて酸素濃度を高めた空気や純酸素を用いてもかまわない。なお、純酸素を用いて曝気撹拌することにより微生物処理に必要な酸素量は得られるが撹拌強度が十分に得られない場合には、撹拌装置を別途併用してもよい。
【0053】
生物反応槽4aまたは4bに導入される有機性廃水に油脂が含まれる場合、油脂を固化させることなく液体状あるいはエマルジョンの状態で上記の生物反応槽4aまたは4bに導入し、高水温下でもリパーゼ活性を有する微生物であるバチルス属(Bacillus sp.)やラルストニア属(Ralstonia sp.)を1つの反応槽4aまたは4bでクルイベロマイセス・スピーシズY−1および/またはゲオトリカム・キャピタータムY−2と共存(油脂分解手段)させ油脂分等を好気的生物学的処理することが好ましい。これにより有機性廃水中のヘキサン抽出物質濃度が500mg/L(0.05%)以上でも単一の生物反応槽で有機物のみならず油脂も良好に処理することができる。
【0054】
また、生物反応槽4aまたは4bに導入される有機性廃水に油脂が含まれている場合、新たな油脂分解槽6(油脂分解手段)を反応槽の前後に別途設けてもよい。その際、油脂を固化させることなく液体状あるいはエマルジョンの状態で油脂分解槽6に導入し、高水温下でもリパーゼ活性を有する微生物であるバチルス属(Bacillus sp.)やラルストニア属(Ralstonia sp.)の微生物と有機性廃水とを接触させて油脂分等を好気的に生物学的処理してもよい。
【0055】
有機性廃水に含まれる油脂は植物性油脂や動物性油脂である場合、とくに植物性油脂の場合において高水温下でもリパーゼ活性を有する微生物であるバチルス属(Bacillus sp.)やラルストニア属(Ralstonia sp.)の微生物を併用することで有機物のみならす植物性油脂等をも効率的に好気性生物学的処理を行うことができる。
【0056】
次に、本発明にもとづく新規微生物を用いた有機性廃水処理装置の一例を具体的に説明する。
【0057】
<実施例1>
図2は、本発明にもとづく新規微生物を用いた有機性廃水処理装置の一例を説明するためのブロック図である。本発明の新規クルイベロマイセス・スピーシズY−1および新規ゲオトリカム・キャピタータムY−2を用いる点以外は、図6に示した特開2000−246284公報に開示された有機性廃水処理装置と類似の構成にすることができる。
【0058】
有機性廃水は流入水としてスクリーン2を通過して生物学的処理に適さない程度のサイズの固形分(夾雑物)が除かれた上で、流量調整槽3に送られる。この流量調整槽3から所定量の廃水が生物反応槽(酵母反応槽)4内に供給される。この生物反応槽4には槽内のpHを測定するセンサ(図示せず)が取り付けられており、そのpHセンサの測定値に応じて槽内のpHを上記酵母に適した値(概ねpH5〜8)とするために硫酸等のpH調整薬剤などを添加してもよい。上記生物反応槽4内では一定の滞留時間、酵母により好気性処理が行われた後、反応槽内の混合液は加圧浮上手段などの固液分離装置5に送られ、固液分離を受ける。固液分離により得られた処理水(液体)は処理水槽14に送られ、分離汚泥(固形分)の一部は返送汚泥として生物反応槽4に戻され、残りは余剰汚泥として汚泥処理系に送られる。処理水槽14内の処理水は放流先の水質基準などに応じて後処理として活性汚泥処理などの一般的な廃水処理や高度処理を施すことが可能である。
【0059】
酵母による油脂を含有する高濃度有機性廃水の有機物除去に関する有機性廃水処理装置の運転条件および中温処理または高温処理における処理結果の一例を表2および表3に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0003816357
【0061】
【表3】
Figure 0003816357
【0062】
表2に示すように、T−BODおよびヘキサン(Hex)抽出物質の処理性能に着目すると、中温処理(25〜30℃)の場合、流入水T−BODが32,594mg/Lに対して、処理水T−BOD濃度が813mg/Lとなり、流入水ヘキサン抽出物質濃度が4,355mg/Lに対して、処理水ヘキサン抽出物質濃度が98mg/Lであった。一方、高温処理(50〜55℃)の場合、流入水T−BOD濃度が38,344mg/Lに対して、処理水T−BOD濃度が3,210mg/Lとなり、また流入水のヘキサン抽出物質濃度が6,750mg/Lに対して、処理水のヘキサン抽出物質濃度が90mg/Lという結果が得られた。このことから、本発明にもとづくクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2を用いることで、高濃度有機性廃水に含まれる有機物を中温のみならず通常生物学的処理が難しい高温でも効率良く分解・除去することが可能であることがわかった。しかも、この系では、リパーゼ活性を有する高温耐性の微生物を併用(油脂分解手段)したことで油脂の分解および資化も有機物同様に中温でも高温でも効率よく行うことが可能である。
【0063】
<実施例2>
図3は、本発明にもとづく生物学的有機性廃水処理装置の一例を説明するためのブロック図である。ここでは、2つの反応槽(生物反応槽4および油脂分解槽6)で生物処理する場合について説明する。すなわち、油脂分解槽6では、まず油脂分解資化能(リパーゼ活性)を有する高温耐性の細菌(バチルス・スピーシズB−3およびラルストニア・ピケッティB−4)を用いて有機性廃水中に含まれる油脂を分解資化させ、固液分離装置15で分離された処理水を、後段の生物反応槽4で、酵母を用いて高負荷運転で好気性処理する。ここで、油脂分解資化能(リパーゼ活性)を有する高温耐性の細菌であるバチルス・スピーシズB−3およびラルストニア・ピケッティB−4は、それぞれ寄託番号:FERM BP−7509およびFERM BP−7510として寄託されているもので、これを用いるのが非常に好ましいが、同様の性状を有する細菌であればこれに限るものではない。
【0064】
この実施例の有機性廃水処理装置は、いわゆる回分式の装置であり、流路1aにより導入された有機性廃水(原水)に含まれる夾雑物を除去するスクリーン(夾雑物除去装置)2と、該夾雑物除去装置2で処理された原水を一旦貯留して流量の調整を行う流量調整槽3と、散気手段(図示せず)に空気または純酸素ガスなどを供給する送気手段8が連結し、かつ流量調整槽3から流入する原水に含まれる油脂を高温耐性油脂資化細菌で酸化分解する油脂分解槽6と、該油脂分解槽6から流出する汚泥排出手段9を備え、油脂分解槽6から流出する混合液を固液分離する固液分離装置15と、散気手段(図示せず)に空気または純酸素ガスなどを供給する送気手段8が連結し、かつ固液分離手段15で分離された分離液(有機性廃水)を導入して高温耐性好気性微生物(酵母)により好気性処理を行う生物反応槽(酵母反応槽)4とから概略構成される。
【0065】
このような構成からなる有機性廃水処理装置の一実施例を示す。POME1aは、投入原水として、夾雑物除去装置であるスクリーン2を通過し、生物処理に適さない程度のサイズの固形分(夾雑物)が除かれた上で、流路1bを経由して流量調整槽3へ移送され、ここで均質化が図られる。次に、流路1cを経由して流量調整槽3から一定量の均質化した廃水が、高温耐性油脂資化細菌(すなわちバチルス・スピーシズB−3および/またはラルストニア・ピケッティB−4)等からなる汚泥を保持する油脂分解槽6内に流入水として供給される。ここで、油脂分解槽6への流入水供給方式は、流入水を1ヶ所から投入する方法と数カ所から分割投入するいわゆるステップ流入する方法とがあり、どちらを選択しても良い。油脂分解槽6では、高温耐性油脂資化細菌を用い、高水温下でも、空気または純酸素曝気を含む好気法による高濃度有機性廃水処理が行われる。そのため、送気手段8から油脂分解槽6へ所定量の空気や純酸素などが供給される。高温耐性油脂資化細菌による油脂分解によって得られた処理液は流路1dを経由して固液分離装置15にて固液分離される。ここで得られた分離液(上澄水)は、さらに流路1eを経由して生物反応槽4へ送られ、一方汚泥は油脂分解槽6に戻される。生物反応槽4は、高温耐性のクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2等を含む汚泥を保持し、油脂含有量が低減した固液分離槽15の分離液の有機物分解を行う。分離液は送気手段8から送られる空気や純酸素ガスなどを利用して好気的に処理される。なお、固液分離装置15で分離した分離汚泥の一部は、返送汚泥として排出手段9を経由して油脂分解槽6に送られ、また残部は余剰汚泥として汚泥処理設備(不図示)へ移送される。最終放流先に既存の嫌気性ポンドあるいは好気性ポンド(酸化池)があった場合、排出手段9から直接余剰汚泥を上記ポンドへ移送することもあるので汚泥処理設備を省略することもできる。なお、有機性廃水処理装置による処理水は、そのまま公共水域へ放流されるか、または生物処理、物理化学処理を用いた後段の処理設備(不図示)で処理してもよい。
【0066】
図4は、図3に示す有機性廃水処理装置においてスクリーン(夾雑物除去装置)2と流量調整槽3との間に、新たに加圧浮上装置10(前処理設備)を設けた場合を説明するためのブロック図である。
【0067】
スクリーン2を通過して流路1fを経由して送られる廃水に凝集剤を凝集剤添加手段11から添加した後に加圧浮上装置10内に廃水を貯留する。所定量貯留後、空気または窒素リッチガスを送気手段12から加圧浮上装置10内に注入することで、該加圧浮上装置10内を加圧状態にする。送気手段12から送られた空気または窒素ガスと廃水とを十分に接触・混和させ、しばらく放置する。放置後、廃水は少なくともフロス部、中間水、および汚泥堆積部(デポジット)の3層に分かれる。フロス部は油分排出手段13によって油分回収系(不図示)へ、汚泥堆積部は排出手段9によって排出される。油分を中心とするフロスや汚泥が除かれた中間水は、流路1bを経由して流量調整槽3に移送され、さらに油脂分解槽6へと送られて油脂分解処理される。
【0068】
図5は、POME処理水中のヘキサン抽出物質除去率の経日変化を示すグラフである。すなわち、図4に示すような有機性廃水処理装置を用いて実際に有機性廃水処理を行った一例である。なお、ヘキサン抽出物質除去率は、本発明にもとづく有機性廃水処理装置、特に生物分解が難しい油脂の処理能力を評価するためのものである。なお、以下の説明では経時的変化を実際の日時を用いて表す。
【0069】
投入原水として、POMEから得られた有機性廃水を加圧浮上装置(前処理装置)10を用いて加圧浮上処理させ、廃水中の夾雑物等を除去したものを投入原水として使用した。
【0070】
はじめに、以下のような運転条件で4ヶ月にわたり有機性廃水処理装置による廃水処理を行った。
【0071】
この時の運転条件を示す。反応槽実容量:5L、曝気方式:純酸素のみで曝気、投入原水:夾雑物除去したPOME、投入原水量:0.2〜0.5L/d、反応槽水温:60℃、反応槽内pH:pH5.0以下、溶存酸素量(DO):2.0mg/L以上、生物学的酸素要求量(BOD)容積負荷:1.1〜2.6kg/m・d、投入原水の他に、種汚泥として、廃水経路途中にあるピット内壁と水面との接触部にて生成した微生物を含む汚泥50g〜100gを採取し、週に1〜2回の割合で生物反応槽4内に投入した。
【0072】
このような運転条件下では、ヘキサン抽出物質除去率が約60%以下であった。このことは、有機性廃水処理装置による廃水処理が効率的になされず油脂を含む有機物の分解が不十分であることを示している。
【0073】
そこで、4月1日のみ、アルカリ水溶液を用いて、反応槽内のpHをpH5.6以上に上昇させ、また5月4日より、反応槽水温を60℃以下に下げて運転を継続したところ、ヘキサン抽出物質除去率が徐々に上昇し、最終的に90%以上を維持するようになった。また、有機物の生物分解に伴い、反応槽内pHも上昇傾向にあった。さらに、5月15日以降、種汚泥の投入を中止した。5月16日から7月15日までの、処理状況が安定し良好であった時の運転結果を示すと以下の通りである。
【0074】
反応槽実容量:5L、曝気方式:純酸素のみで曝気、投入原水:夾雑物除去したPOME、投入原水量:0.45〜0.5L/d、反応終了後の処理水pH:pH6.4〜9.0(pH未調整)、BOD容積負荷:2.0〜3.0kg/m・d、ヘキサン抽出物質除去率:96%以上のようになっている。
【0075】
以上説明したように、従来の処理装置では流入する高濃度の有機性廃水は生物化学的酸素要求量(BOD)が高く効率よく生物処理することが難しく、また混合液の固液分離性も悪化してしまうため、安定した生物学的処理に支障をきたした。そのため、有機性廃水を希釈するなどの措置がとられたが、廃水希釈により処置装置の設置面積や処理時間の増大をまねき、またランニングコストが高騰するという問題が生じ、もはや効率的な生物学的処理を行うことができず、さらに有機性廃水中に生物分解されにくい油脂が含まれていると、油脂を十分に分解・処理することができなかった。これに対して、本実施例にもとづく新規の高温耐性好気性微生物を用いた高濃度有機性廃水の生物学的処理装置は、有機性廃水と高温耐性好気性微生物とを接触させ、高水温下でも効率的に有機物を分解除去できるものである。さらに、高濃度有機性廃水に油脂が含まれている場合は、高温耐性油脂資化細菌を併用することで、油脂を直接生物学的に分解除去できるものである。なお、高温耐性好気性細菌と高温耐性油脂資化細菌とを一つの反応槽で併用する場合には、良好な有機物除去と油脂除去が行えるように、反応槽内の水温や溶存酸素(DO)やpHなどの管理(運転管理)が重要となる。
【0076】
本発明のクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2を用いて高濃度有機廃水処理を行う場合、高濃度有機物を主に該酵母が処理し、汚泥発生量を抑えることができる。さらに、油脂を含有する高濃度有機性廃水の処理を行う場合は、リパーゼ活性を有するバチルス・スピーシズB−3(FERM BP−7509)およびラルストニア・ピケッティB−4(FERM BP−7510)を用いることにより、油脂を直接分解することができる。また高温耐性細菌であることから高温状態となった反応槽でも活発に増殖かつ代謝を行うことが可能である。したがって、反応槽内の温度が35℃以上であるならば、上記廃液中の油脂が液状、エマルジョンの状態で存在するので、細菌のリパーゼと油脂とが酵素基質複合体を形成し易く、油脂が菌体に吸収できる程度にまで低分子化され、菌体合成、エネルギー生成等に利用される。よって、前段にこのような油脂分解が行われることで後段の上記酵母による有機物処理の負荷が低減される。このことは前段に酵母による処理を行い、後段に細菌による油脂分解を行う場合でも負荷の低減が認められる。
【0077】
図3または図4に示す有機性廃水処理槽装置では、バチルス・スピーシズB−3およびラルストニア・ピケッティB−4の両方を油脂分解槽6において用いたが、どちらか一方の菌のみを用いることも可能である。同様に、生物反応槽4においてクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2のいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。
【0078】
また、図3または図4の有機性廃水処理装置では、2つの反応槽4、6を用いたが、前述したように1つの反応槽にそれぞれの槽に含まれていた一方または両方の微生物を共存させることで、単一の槽で油脂を含有する高濃度有機性廃水を処理することが可能である。この場合、一つの反応槽内で該微生物を共存させるため、反応槽内の水温や溶存酸素(DO)やpHなどの管理(運転管理)が重要である。
【0079】
なお、上記実施例では、投入原水をスクリーン2による夾雑物除去処理を施した後に生物反応槽4に投入したが、これに限定されることなく取り除くべき夾雑物が少ない場合にはスクリーン2による夾雑物処理を省くことも可能である。また、純酸素を使わずに空気のみ、空気と純酸素との併用、酸素濃度を高めた空気などによる曝気で高温的に有機性廃水処理してもよい。
【0080】
また、投入原水であるPOMEの水温を気温程度まで下げた後で、好気性生物学的処理してもよい。
【0081】
さらに、投入原水を中温下において本発明の有機性廃水処理装置で処理を行い得られた処理水を、後段の活性汚泥処理装置でさらに処理を行い、最終処理水のBOD濃度を20mg/Lまで下げることも可能である。
【0082】
また、反応槽内に微生物を担持する担体を投入し、純酸素および/または空気曝気方式にて、POMEの連続投入を行うことも可能である。例えば、担体としては、岩石(例えば、真珠岩、珪藻土)またはその粉砕物、砂利、砂、プラスチックス、セラミックス(例えば、アルミナ、シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト)、タルク等、特に多孔質セラミックス、多孔質プラスチックスのような連続通気孔を有する多孔質材料が好ましいが、反応槽内で曝気により流動できるものであればこれに限るものではない。
【0083】
また、処理水の夾雑物濃度を低減できない場合には、固液分離装置5および凝集剤を供給する凝集剤投入手段11を用いて処理水中の夾雑物を取り除くことができる。通常用いられる固液分離装置5としては、当業者に周知の装置、例えば真空ろ過機、加圧ろ過機、遠心分離機、またはベルトプレス型脱水機を用いることも可能である。なお、凝集剤としては、塩化第二鉄や消石灰などの無機凝集剤、高分子凝集剤が用いられる。
【0084】
実施例について説明したことをここでまとめると、本実施例の有機性廃水処理装置は、新規クルイベロマイセス・スピーシズY−1および新規ゲオトリカム・キャピタータムY−2により、高濃度の有機性廃水を高水温下でも効率よく安定して好気性生物学的処理することができ、さらにリパーゼ活性を有するバチルス・スピシーズB−3およびラルストニア・ピケッティB−4を併用することで、高濃度有機性廃水中に含まれる油脂等の生物学的処理が難しい有機物を効率良く、速やかに分解・除去することができる。さらに高温下で処理することにより、中温性生物処理と比較して、高濃度混合液の固液分離性の向上や、汚泥発生量の削減が可能となり、また、加圧浮上処理したPOMEを予め加圧浮上処理することにより得られたフロス部分中に高濃度に含まれる油分の回収、さらにPOMEから得られた沈殿物および余剰脱水汚泥の、魚類・甲殻類の飼育用としての有効利用が期待できる。また、回分運転を実施しているので、反応槽を固液分離装置(沈殿槽)として利用するため、反応槽の後段に、改めて固液分離装置を設ける必要が無く、さらに汚泥の固液分離性がよいため反応槽内の混合液濃度を高く(10,000mg/L以上)維持して処理を行うことができるので、有機物(BOD)負荷を下げた運転ができ、また余剰汚泥を濃縮する必要がないので汚泥濃縮槽も省け、直接汚泥貯留槽にて、貯留後、汚泥脱水装置へ比較的新鮮な汚泥の状態で移送することができる。
【0085】
このことにより、水処理設備のみならず汚泥処理設備においてもコンパクト化がはかられ、総合的に設置面積の小さな処理装置を実現することが可能となる。またさらに、もともとPOMEのpHが約pH4と酸性側であるので反応槽内pH調整用の薬剤注入設備を、また高濃度有機性廃水に発生しやすい発泡も殆ど生じないことから消泡剤注入設備を不要とすることができる。病原性微生物、ウイルスおよび寄生虫卵の熱による死滅が期待されるため、次亜塩素酸ナトリウム注入設備を設ける必要がなくなる可能性があり、使用薬品代などのランニングコストの節減、さらには、毒性物質を熱により無毒化し、処理水の放流先を汚染しないといった地域環境に配慮した施設が可能である。またさらに、本発明の有機性廃水処理装置において、油脂分解のために併用される微生物の産生するリパーゼの性状に着目すると、50℃以上の高水温下においても、耐性(高温耐性)を示し、pH6以下でも失活しなかった。よって、本発明に係る高温耐性の有機物分解酵母であるクルイベロマイセス・スピーシズY−1およびゲオトリカム・キャピタータムY−2と組み合わせて使用することで、バチルス・スピーシズB−3やラルストニア・ピケッティB−4の産生するリパーゼがより一層効果的に作用するわけである。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、新規クルイベロマイセス・スピーシズY−1および新規ゲオトリカム・キャピタータムY−2は、高温耐性の微生物であることから、通常生物学的処理が難しい高水温下でも有機性廃水を効率よく分解処理することが可能となる。
【0087】
この発明によれば、有機性廃水処理装置は、高温耐性の微生物である新規クルイベロマイセス・スピーシズY−1および/または新規ゲオトリカム・キャピタータムY−2を用いることから、通常生物学的処理が難しい高水温下においても有機性廃水に含まれる有機物質を効率よく分解処理することが可能となる。さらに高水温下で処理する場合、混合液の固液分離性が向上するため、生物反応槽内の混合液濃度を高く維持でき、これによりBOD負荷を下げて安定して処理を行うことができる。
【0088】
この発明によれば、有機性廃水処理装置は、生物反応槽が新規クルイベロマイセス・スピーシズY−1および新規ゲオトリカム・キャピタータムY−2の少なくとも1種を担持する浮遊担体が投入された好気性処理を行う曝気槽、または新規クルイベロマイセス・スピーシズY−1および新規ゲオトリカム・キャピタータムY−2の少なくとも1種を担持する接触ろ材が設置され好気性処理を行う接触酸化槽であることから、微生物を安定して保持できるのでよりいっそう好気的に安定して効率よく有機物質を分解することが可能となる。
【0089】
この発明によれば、有機性廃水処理装置は、散気手段が生物反応槽内に空気、酸素濃度を高めた気体または純酸素を供給する曝気装置であることから、よりいっそう好気的に安定して効率よく有機物質を分解することが可能となる。
【0090】
この発明によれば、生物学的有機性廃水処理装置は、生物反応槽においてリパーゼ活性を有する好気性微生物、好ましくはバチルス・スピーシズB−3(FERM BP−7509)および/またはラルストニア・ピケッティB−4(FERM BP−7510)を併用する(共存させる)ことで有機性廃水に含まれる油脂を直接高温下で固形化させることなく好気的に安定して効率よく分解することが可能となる。また、状況に応じて別途油脂分解槽を設け上記微生物の存在下で有機性廃水中の油脂を別途処理することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にもとづく有機性廃水処理装置の基本的構成例を説明するためのもので、図1(a)乃至図1(f)はそれぞれ異なる構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明にもとづく有機性廃水処理装置の一例を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明にもとづく有機性廃水処理装置の一例を説明するためのブロック図である。
【図4】図3に示す有機性廃水処理装置においてスクリーン2と流量調整槽3との間に、新たに加圧浮上装置10を設けた場合を説明するためのブロック図である。
【図5】POME処理水中のヘキサン抽出物質除去率の経日変化を示すグラフである。
【図6】特開2000−246284公報に開示された有機性廃水処理装置の概略的構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1a〜1f 流路
2 スクリーン(夾雑物除去装置)
3 流量調整槽
4,4a,4b 生物反応槽(酵母反応槽)
5,15 固液分離装置
6 油脂分解槽(油脂分解手段)
7 有機性廃水処理装置から排出される処理水
8,12 送気手段
9 排出手段
10 前処理設備(加圧浮上装置)
11 凝集剤投入手段
13 油分排出手段
14 処理水槽

Claims (7)

  1. 子のう胞子を形成するクルイベロマイセス・スピーシズY−1(受託番号:FERM BP−7507)。
  2. 菌糸を形成するゲオトリカム・キャピタータムY−2(受託番号:FERM BP−7508)。
  3. 有機性廃水を導入する原水導入手段と、有機性廃水とクルイベオマイセス・スピーシズY−1(受託番号:FERM BP−7507)および/またはゲオトリカム・キャピタータムY−2(受託番号:FERM BP−7508)とを接触させる生物反応槽と、該生物反応槽内を散気する散気手段とを備えたことを特徴とする有機性廃水処理装置。
  4. 生物反応槽は、曝気槽、微生物を坦持する浮遊坦体が投入された曝気槽および微生物を坦持する接触ろ材が設置された接触酸化槽のうちいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の有機性廃水処理装置。
  5. 散気手段は、生物反応槽内に空気、酸素濃度を高めた空気および純酸素ガスのうち一つ以上を供給する曝気装置であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の有機性廃水処理装置。
  6. 有機性廃水とリパーゼ活性を有する好気性微生物とを接触させる油脂分解手段を備えたことを特徴とする請求項3から請求項5のうちのいずれかに記載の有機性廃水の生物学的処理装置。
  7. リパーゼ活性を有する好気性微生物は、バチルス・スピーシズB−3(寄託番号:FERM BP−7509)および/またはラルストニア・ピケッティB−4(寄託番号:FERM BP−7510)であることを特徴とする請求項6記載の有機性廃水の生物学的処理装置。
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