JP3814177B2 - 光チョッパ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば赤外線ガス分析計や放射温度計など赤外線応用機器に組み込まれる光チョッパに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば赤外線ガス分析計の一つに、測定セルと比較セルとを並列的に配置し、これらのセルの一端側にそれぞれのセルに赤外光を照射する赤外光源を設け、他端側に検出器を配置したものがある。このような赤外線ガス分析計においては、検出器から交流信号を取り出すため、例えば測定セルおよび比較セルと各赤外光源との間に光チョッパを設け、一方のセル側に赤外光が照射されているときは他方のセル側は必ず遮光されるようにする必要があり、一般には、回転羽根部が赤外光を遮断する光遮断部と赤外光を通過させる光通過部が回転軸を通る線に対して線対称的に配置されるようにした図6に示すような光チョッパが用いられている。
【0003】
すなわち、図6において、1は光チョッパで、回転羽根部2とこれに連なるスカート部3とからなる。そして、回転羽根部2は、平面視円形で、その中心には回転軸(図示していない)が回転羽根部2に対して垂直な状態で装着される回転軸孔4が開設されるとともに、赤外光IRを遮断するための板状部よりなる光遮断部5と、赤外光IRを通過させるために板状部を切除して形成された光通過部6が回転軸(回転軸孔4)を通る線CLに対して線対称的に配置され、光遮断部5および光通過部6がそれぞれ半円状に形成されている。また、スカート部3は、回転羽根部2の周囲を、回転羽根部2と直角をなすように折り曲げて周設されている。このスカート部3の内周面には、誘導モータのロータ部材としての帯状のヒステリシスリング(図示していない)が周設される。なお、3a,3bは光遮断部5、光通過部6にそれぞれ対応するスカート部分である。
【0004】
上記光遮断部5が半円状の光チョッパ1は、その加工性や取扱などの観点からアルミニウムなどから形成されるが、この光チョッパ1を線対称軸線CLを基準にしてみた場合、光遮断部5側の重量が光通過部6側の重量よりも大きいため、光遮断部5側と光通過部6側の重量バランスが取れてなく、安定して回転し一定の断続周波数を得ることができない。そこで、従来においては、前記重量バランスをとるために、光通過部6に対応するスカート部3bの外周面に鉛のように比重の大きい金属よりなる錘7を設けることが一般に行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の従来の光チョッパ1においては、錘7をスカート部3bに確実に取り付けるのが困難で生産性が悪いとともに、回転中に錘7が移動して所謂振れ回りが発生し、回転および寿命に信頼性を欠くおそれがある。
【0006】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、生産性に優れ、安定して所望の動作を行うことができる半円状の光チョッパを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、中心に回転軸が垂直に装着される板状の回転羽根部に赤外光を遮断する光遮断部と赤外光を通過させる光通過部とが前記回転軸と直交する平面において線対称的に配置されるとともに、前記回転羽根部の周囲にスカート部が前記回転羽根部と直交する方向に連設されている光チョッパにおいて、前記スカート部の光遮断部に対応する部位或いは一部を切除して、又は光遮断部に対応する部位を光通過部に対応する部分より短くして、この光遮断部に対応する部位を光通過部に対応する部分より軽量になるようにすることにより、光遮断部側と光通過部側とにおける重量バランスをとるようにしたことを特徴としている(請求項1)。
【0008】
この場合、スカート部の光遮断部に対応する部分を光通過部に対応する部分より軽量になるようにするだけで、光遮断部側と光通過部側とにおける重量バランスをとることができない場合は、請求項2に記載してあるように、光遮断部の一部を切除して、その切除された部分を切除されない他の部分よりも軽い板部材で閉塞することにより、光遮断部の重量をより軽量にし、もって、光遮断部側と光通過部側とにおける重量バランスをとるようにすればよい。
【0009】
上記光チョッパにおいては、光遮断部側と光通過部側とにおける重量バランスが確実にとれ、安定して所望の動作を行うことができるとともに、製造が容易である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。以下の図において、図6における符号と同一符号は同一物を示している。まず、図1〜図3は、この発明の一つの実施の形態を示すものである。そして、図1および図2は、この発明の光チョッパの一例を示すもので、これらの図において、10は光チョッパである。この光チョッパ10においては、光遮断部5側と光通過部6側とにおける重量バランスをとるため、スカート部3と回転羽根部2とにおける重量を以下のように調整して、光遮断部5側と光通過部6側とにおける重量を互いに等しくなるようにしている。
【0011】
すなわち、従来の光チョッパ1においては、図6に示す従来例では、スカート部3は、その上下方向の高さhは全円周にわたって同じ長さであったが、この実施の形態においては、図1(B)および図2に示すように、光通過部6に対応するスカート部分3bの高さhはそのままであるが、光遮断部5に対応するスカート部分3a(全円周の半分)は、その下部分を切除して高さを前記スカート部分3bの高さhより短くして、スカート部分3aの重量を軽くするのである。
【0012】
さらに、回転羽根部2においては、光遮断部5の板部分の例えば大部分を回転軸孔4を中心とした扇状に切除し、この切除によって形成された孔11を元の切除する前の板部材12よりも薄いアルミニウムよりなる板部材13で覆い、この薄板部13と前記切除による残余の部分12とによって光遮断部5を構成するのである。例えば、板部材12の厚みを0.5mmとするとき、前記切除孔11を覆う板部材13の厚みは0.1mmといったように、1/5程度にされ、板部材13の方が切除された部分11に元々設けられていた部分よりかなり軽くなるように構成される。このように構成された光遮断部5は、より厚手の板部材12のみからなる光遮断部5に比べてかなり軽量となる。
【0013】
したがって、光遮断部5側は、スカート部分3aが光通過部6に対応するスカート部分3bよりかなり軽くなるようにするとともに、回転羽根部2において、光遮断部5側の重量を薄板13を用いて調整して、光遮断部5側と光通過部6側の重量が等しくなり、これらの質量中心が回転中心である回転軸孔4の中心に一致するように、光遮断部5側と光通過部6側の重量のバランスをとるのである。このようにした光チョッパ10においては、振れ回りが発生せず安定した回転を行うので、一定の断続周波数を確実に得ることができる。
【0014】
そして、上記光チョッパ10は、構造が簡単であり、従来に比べて製造が容易であるので、大量生産することができ、その製造コストも低減される。
【0015】
なお、上記実施の形態においては、光遮断部5に対応するスカート部分3aの下部分を切除することにより、すなわち、スカート部分3aの高さを調整することにより、その重量を軽くしていたが、スカート部分3aの一部を切除したり、一部を切り欠くなどして重量を軽くするようにしてもよい。
【0016】
図3は、上記のようにして重量バランスをとるようにした光チョッパ10を組み込んだ非分散型赤外線ガス分析計(NDIR)20の構成の一例を概略的に示すものである。この図のNDIR20は、所謂2セルタイプで、図において、21,22は互いに並列的に設けられた測定セル、比較セルである。これらのセル21,22の両端は、赤外線透過性素材よりなるセル窓23a,23bで封止されており、測定セル21には、測定試料としてのサンプルガスSの導入部24a、導出部24bが形成され、比較セル22には、赤外領域に吸収を持たないゼロガス(例えばN2 ガス)が封入されている。
【0017】
前記測定セル21および比較セル22の一端側(セル窓23a側)には、赤外光を発する光源25,26が設けられており、この光源25,26とセル窓23aとの間に、前記光チョッパ10が介装される。また、測定セル21および比較セル22の他端側(セル窓23b側)には、集光ブロック27を介して検出器28が設けられている。
【0018】
前記集光ブロック27は、例えばアルミニウムブロックよりなり、その一端側においてセル21,22のセル窓23bに対応して開口し、他端側において互いに合流する二つの導光路29,30が形成されている。
【0019】
前記赤外線検出器28は、例えば金属よりなる本体ブロック31の両端部が赤外線透過性材料よりなる窓32,33によって封止されるとともに、その内部が赤外線透過性材料よりなる窓34によって二つの受光室(ガス室とも称される)35,36に区画され、これらの受光室35,36が赤外線光路(矢印IRで示す)に順次直列となるように配置されている。そして、受光室35,36には、測定対象ガスと同じ吸収特性を示すガス(測定対象ガスそのものであってもよい)が充填されている。なお、この実施の形態における検出器28は、二つの受光室35,36において、赤外線が吸収される構成となっているが、一方の受光室35のみにおいて赤外線が吸収されるようにしてあってもよく、その場合、二つの受光室35,36の間は、赤外線非透過性材料よりなる壁で区画される。
【0020】
また、37は受光室35,36を連通させるガス通路で、例えば本体ブロック31内の赤外線光路から外れた部位に形成されている。38,39はガス通路37の受光室35,36に臨む開口である。そして、ガス通路37には、例えば開口38に焦電型流量検出素子40が設けられている。この焦電型流量検出素子40としては、例えば特開2001−91457号公報(特に図2)に記載されたものがある。
【0021】
上記構成のNDIR20においては、光源25,26からの赤外光IRを測定セル21および比較セル22に照射している状態で、測定セル21にサンプルガスSを供給し、光チョッパ10を所定の速度で回転させることにより、セル21,22を交互に通過した赤外光IRは、集光ブロック27の導光路29又は30を経て検出器28に交互に入射する。そして、測定セル21を通過した赤外光IRを検出したときと比較セル22を通過した赤外光IRを検出したときとの差に基づいて、検出器28から光チョッパ10の断続周波数に起因する交流出力が得られ、この交流出力を演算処理部(図示していない)に入力して処理することにより、サンプルガスS中の測定対象成分の濃度を得ることができる。
【0022】
そして、上記NDIR20においては、これに組み込まれた光チョッパ10が光遮断部5側と光通過部6側とにおける重量が互いに等しくなるように構成されているため、振れ回りが発生せず安定した回転を行うので、精度の高い測定を行われる。
【0023】
なお、前記図3に示したNDIR20においては、二つの受光室35,36を赤外線IRの入射方向に直列的(光学的直列)に配置した検出器28を用いていたが、これに代えて、二つの受光室が光学的に並列に配置してある検出器を用いることもできる。以下、このようなNDIR41について、図4を参照しながら説明する。
【0024】
図4において、42は測定セル21および比較セル22のセル窓23a側に設けられる一つの赤外光源である。そして、この実施の形態においては、赤外光源42が単一であるため、赤外光源42からの赤外光IRを二分して測定セル21および比較セル22方向に照射するための光分割ブロック43を赤外光源42と測定セル21および比較セル22との間に介装している。この光分割ブロック43は、図3に示した集光ブロック27と同様に例えばアルミニウムブロックよりなり、その一端側において赤外光源42に対応して開口し、ブロック内部において二つの導光路44,45に分岐し、これらの導光路44,45はブロック43の他端側において測定セル21および比較セル22のセル窓23aにそれぞれ対向して開口している。そして、このように構成された光分割ブロック43と赤外光源42との間に光チョッパ10が介装されている。
【0025】
46は測定セル21および比較セル22のセル窓23bに対向して設けられる検出器で、その本体47の内部は、測定セル21および比較セル22にそれぞれ対応するように、仕切り部48によって二つの受光室(ガス室)49,50に区画され、各受光室49,50の両側は赤外線透過性材料よりなる窓51、52,53,54によって封止されている。そして、受光室49,50には、測定対象ガスと同じ吸収特性を示すガス(測定対象ガスそのものであってもよい)が充填されている。
【0026】
55は前記受光室49,50を連通させるガス通路で、この実施の形態においては、仕切り部48内に形成されており、56,57はガス通路55の受光室49,50に臨む開口である。そして、ガス通路55には、例えば開口57に焦電型流量検出素子40が設けられている。
【0027】
上記図4に示すNDIR41においては、光源42からの赤外光IRを測定セル21および比較セル22に照射している状態で、測定セル21にサンプルガスSを供給し、光チョッパ10を所定の速度で回転させることにより、前記赤外光IRは、光チョッパ10の作用により、測定セル21および比較セル22に対して同時に断続され、測定セル21および比較セル22を通過した赤外光IRは、検出器46に同時に入射し、受光室49,50において圧力差を生じさせる。そして、赤外光IRが遮断されたときを基準にその圧力差が交流信号として出力され、この交流出力を演算処理部(図示していない)に入力して処理することにより、サンプルガスS中の測定対象成分の濃度を得ることができる。
【0028】
上述の第1の実施の形態における光チョッパ10においては、光遮断部5側と光通過部6側とにおける重量バランスをとるため、スカート部3と回転羽根部2に工夫を施していたが、図5に示すように、スカート部3にのみ工夫を施すようにしてもよい。すなわち、光遮断部5に対応するスカート部3aの長さを十分短くする一方、光通過部6に対応するスカート部3bの長さを十分長くして、スカート部3bとスカート部3aとにおける重量差が、回転羽根部2の光遮断部側5と光通過部6側の重量差に等しくなるようにし、光遮断部5と光通過部6との重量バランスをとるようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の光チョッパは、光遮断部側と光通過部側との重量バランスを確実にとることができ、安定して所望の動作を行うことができるので、特に2セルタイプのNDIRに好適に使用することができる。そして、前記光チョッパは、構造が簡単であり、従来に比べて製造が容易であるので、大量生産することができ、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の光チョッパの一例を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図2】 前記光チョッパの分解斜視図である。
【図3】 前記光チョッパを組み込んだ2セルタイプの非分散型赤外線ガス分析計の構成の一例を示す断面図である。
【図4】 前記2セルタイプの非分散型赤外線ガス分析計の他の構成例を示す断面図である。
【図5】 光チョッパの他の例を示す斜視図である。
【図6】 従来の光チョッパを示す斜視図である。
【符号の説明】
2…回転羽根部、3…スカート部、3a…光遮断部に対応するスカート部分、3b…光通過部に対応するスカート部分、5…光遮断部、6…光通過部、10…光チョッパ、11…光遮断部の切除された部分、12…光遮断部の切除されない部分、13…薄い板部材、CL…回転軸を通る線、IR…赤外光。
Claims (2)
- 中心に回転軸が垂直に装着される板状の回転羽根部に赤外光を遮断する光遮断部と赤外光を通過させる光通過部とが前記回転軸と直交する平面において線対称的に配置されるとともに、前記回転羽根部の周囲にスカート部が前記回転羽根部と直交する方向に連設されている光チョッパにおいて、前記スカート部の光遮断部に対応する部位或いは一部を切除して、又は光遮断部に対応する部位を光通過部に対応する部分より短くして、この光遮断部に対応する部位を光通過部に対応する部分より軽量になるようにすることにより、光遮断部側と光通過部側とにおける重量バランスをとるようにしたことを特徴とする光チョッパ。
- 中心に回転軸が垂直に装着される板状の回転羽根部に赤外光を遮断する光遮断部と赤外光を通過させる光通過部とが前記回転軸と直交する平面において線対称的に配置されるとともに、前記回転羽根部の周囲にスカート部が前記回転羽根部と直交する方向に連設されている光チョッパにおいて、前記スカート部の光遮断部に対応する部分を光通過部に対応する部分より軽量になるようにするとともに、前記光遮断部の一部を切除して、その切除された部分を切除されない他の部分よりも軽い板部材で閉塞することにより、光遮断部の重量をより軽量にし、もって、光遮断部側と光通過部側とにおける重量バランスをとるようにしたことを特徴とする光チョッパ。
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