JP3808712B2 - トレーサ試験装置および単一孔トレーサ試験方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下水中の物質移行特性を原位置において評価するトレーサ試験に使用するトレーサ試験装置および単一孔トレーサ試験方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高レベル放射性廃棄物の地層処分や、一般廃棄物処分場周辺の地下水汚染の評価においては、地盤内の地下水の流れの評価と共に、地下水中に溶解した物質の移行特性の評価が不可欠となる。物質移行特性を特定するには、原位置にてトレーサ試験を行い、データを取得する必要がある。
【0003】
トレーサ試験として、試験目的により決定した地山内の所定部分にボーリング孔を設けて自然地下水と識別可能な溶液(トレーサ)を投入し、自然地下水流や試験において人為的に与える地下水流によるトレーサの移動状況(到達時間、トレーサ濃度の経時変化など)を別のボーリング孔内で観測する方法がある。
【0004】
図5に示すように、透水性が高い砂質地盤の帯水層104では、地盤101に掘削した注入孔103、観測孔105の2本のボーリング孔の全長を試験区間として用い、トレーサ試験を行う。注入孔103から投入したトレーサ106は、自然地下水流や試験において人為的に与える地下水流により矢印Eの方向に移動する。このトレーサ106の移動状況を観測孔105で観測する。
【0005】
図6に示すように、透水性が低い岩盤や単一亀裂等、水みち116が限定された試験においては、地盤101に掘削した注入孔103、観測孔105の所定部分の上下にそれぞれパッカー107とパッカー109、パッカー108とパッカー110を設けて試験区間とし、トレーサ試験を行う。注入孔103に設置したトレーサ試験装置113を用いて投入したトレーサは、自然地下水流や試験において人為的に与える地下水流により、水みち116を矢印Fの方向に移動する。トレーサが拡散した後、観測孔105に設置したトレーサ試験装置115を用いて揚水し、トレーサの移動状況を観測する。
【0006】
図7は、従来のトレーサ試験装置113の概略図である。注入孔103にトレーサを投入するには、(1)トレーサを地表に位置するトレーサ水槽131から送水ポンプ133で圧送し、送水用導管137a、送水用導管137bを通して試験区間111に到達させる。送水用導管137aと送水用導管137bの間には注水流量計135を設け、送水量を測定する。試験区間111の水圧は、内部に設置した水圧計117で検出し、ケーブル119を介して圧力計測機器121で測定する。試験区間111のトレーサ濃度は、内部に設置した水質計123で検出し、ケーブル125を介して水質計測機器127で測定する。
【0007】
また、(2)送水用導管と揚水用導管を設け、送水ポンプと揚水ポンプを用いて、揚水用導管の地表部付近でのバルブの開閉や揚水ポンプの稼動により揚水流量を調整しながらトレーサを循環させる方法がある(図示せず)。
【0008】
トレーサ試験として、図8に示すように、1本のボーリング孔(単一孔)143を用いる単一孔トレーサ試験方法もある。単一孔トレーサ試験方法は、(3)透水性が高い砂質地盤の帯水層147を対象とし、ボーリング孔143の全長を試験区間として実施する。地盤141にボーリング孔143を掘削し、トレーサ試験装置(図示せず)を用いてトレーサ145を投入し、一定期間が経過して地下水流によりトレーサ145が拡散した後、トレーサ試験装置(図示せず)を用いてボーリング孔143から揚水してトレーサ145を回収し、トレーサの移動状況を確認する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1)のトレーサ投入装置では、送水用導管内で水・トレーサ間に拡散が生じて濃度勾配が低下するため、試験区間にトレーサの迅速な濃度変化を与えられない。また、地下水による希釈や地下水流による置き換えのため、トレーサの濃度が低下する。(2)は(1)の問題点を解決するための方法であるが、揚水用導管での水位分の水頭や圧力損失により、試験区間の初期間隙水圧付近あるいはそれ以下の圧力設定が困難となる。
【0010】
図5および図6に示す、複数孔によるトレーサ試験方法では、一定期間でトレーサが到達可能な距離に注入孔103と観測孔105を配置する必要があり、(3)の方法は、1本のボーリング孔143のみを配置すればよい。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、不均質な地盤中に試験区間を設定でき、試験区間の水圧およびトレーサ濃度を任意に高精度に設定できるトレーサ投入装置および単一孔トレーサ試験方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために第1の発明は、地盤内のボーリング孔内をパッカーで閉塞した試験区間と、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間とをつなぐ送水用導管および揚水用導管と、前記送水用導管の途中に設置された送水ポンプおよび前記揚水用導管の途中に設置された揚水ポンプと、前記試験区間内部あるいは近傍に設けられた水圧計と、前記水圧計で計測された水圧に基づいて前記送水ポンプを制御する制御部と、を具備し、前記制御部が、前記水圧計で計測された水圧に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御しつつ、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間との間でトレーサを送水および揚水し、前記送水用導管と前記揚水用導管の端部は、前記ボーリング孔の外部に設置したトレーサ水槽につながり、前記トレーサ水槽と前記試験区間の間で送水・揚水したトレーサを循環させることを特徴とするトレーサ試験装置である。
【0013】
第1の発明では、試験区間内の水圧を計測し、計測値をフィードバックして送水ポンプまたは揚水ポンプの流量を制御し、試験区間内の水圧を設定する。送水ポンプまたは揚水ポンプの流量は、回転数あるいはサーボバルブの開閉の変化により調節される。
【0014】
また、第2の発明は、地盤内のボーリング孔内をパッカーで閉塞した試験区間と、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間とをつなぐ送水用導管および揚水用導管と、前記送水用導管の途中に設置された送水ポンプおよび前記揚水用導管の途中に設置された揚水ポンプと、前記揚水用導管の途中に設けられ、気体に封入された空気室と、前記空気室内の気体と液体の差圧を測定する差圧計と、
前記差圧計の圧力に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御する制御部と、具備し、前記差圧計の圧力に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御しつつ、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間との間でトレーサを送水および揚水し、前記送水用導管と前記揚水用導管の端部は、前記ボーリング孔の外部に設置したトレーサ水槽につながり、前記トレーサ水槽と前記試験区間の間で送水・揚水したトレーサを循環させることを特徴とするトレーサ試験装置である。
【0015】
第3の発明は、地盤内のボーリング孔内をパッカーで閉塞した試験区間と、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間とをつなぐ送水用導管および揚水用導管と、前記送水用導管の途中に設置された送水ポンプおよび前記揚水用導管の途中に設置された揚水ポンプと、前記送水用導管の途中に設けられ、気体が封入された空気室と、前記空気室内の気体と液体の差圧を測定する差圧計と、前記差圧計の圧力に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御する制御部とを具備し、前記差圧計の圧力に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御しつつ、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間との間でトレーサを送水および揚水することを特徴とするトレーサ試験装置である。
【0016】
第2および第3の発明では、試験区間に連結した空気室内の気体と液体の差圧を計測し、計測値をフィードバックして送水ポンプまたは揚水ポンプを制御し、試験区間内の水圧を設定する。送水ポンプまたは揚水ポンプの流量は、回転数あるいはサーボバルブの開閉の変化により調節される。
【0017】
また、第4の発明は、地盤にボーリング孔を削孔し、前記ボーリング孔内をパッカーで閉塞して試験区間を設け、前記ボーリング孔内に設置したトレーサ試験装置でトレーサを投入し、前記トレーサ試験装置で前記トレーサを回収し、前記試験区間での前記トレーサの移動状況の情報を取得する単一孔トレーサ試験方法であって、前記投入・回収するトレーサは前記ボーリング孔の外部に設置したトレーサ水槽と前記試験区間との間で循環させることを特徴とする単一孔トレーサ試験方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るトレーサ試験装置Aの概略図である。
図1に示すように、地盤2に削孔したボーリング孔1の所定区間の上下を、ゴム製等のパッカー5を用いて閉塞し、試験区間3とする。
【0019】
地表部には、トレーサ水槽19を設置する。トレーサ水槽19は、トレーサ原液水槽15および水水槽17と導管を介して連結されている。トレーサ原液水槽15内のトレーサ原液は一定濃度に管理し、水水槽17内の水質は、試験区間近傍の地下水と同程度のものとする。このトレーサ原液と水とを混合し、トレーサ水槽19内のトレーサの濃度を調整する。
【0020】
トレーサ水槽19から試験区間3への送水の経路は、トレーサ水槽19の内部に設置した送水ポンプ21、送水用導管23a、注水流量計25、送水用導管23bで形成される。試験区間3からトレーサ水槽19への揚水の経路は、揚水用導管29a、試験区間3の近傍に設置した揚水ポンプ27、揚水用導管29b、揚水流量計31、揚水用導管29cで形成される。導管には、ホースまたは管などを使用する。
【0021】
トレーサ水槽19で濃度調整したトレーサは、送水ポンプ21により、送水経路を通って試験区間3まで送水される。送水量は注水流量計25で測定される。注入孔側の試験区間3では、トレーサは地下水等と混合され、トレーサの一部はボーリング孔1より外部に流出し、観測孔側で観測される。また、トレーサは揚水ポンプ27により、揚水経路を通ってトレーサ水槽19まで揚水され、トレーサ水槽19と試験区間3の間を循環する。揚水量は揚水流量計31で測定される。
【0022】
試験区間3の内部あるいは近傍には、地下水圧を測定する水圧計11およびトレーサの濃度を測定する水質計13を設置する。水圧計11は、ケーブル35a、圧力計測機器7、ケーブル35b、送水ポンプのサーボコントロール部37、ケーブル35cを介して送水ポンプ21につながる。また、水質計13はケーブル59を介して水質計測機器9につながる。
【0023】
水質計13はトレーサの水質を計測する。トレーサの濃度は電気伝導度、pH、溶存酸素量などで特定できるため、水質計13は、例えば電導度計とする。また、水質計13として温度計を用いた場合、トレーサの循環機能により、電気電導度等の水質と同じように、試験区間への注入量によらず試験区間の水温を所定の値に設定することができる。水温測定を行うことで、水温をトレーサとしても使用可能である。
【0024】
試験区間3に設置した水圧計11で測定した水圧のデータは、ケーブル35bを介して送水ポンプのサーボコントロール部37に送られる。そして、データに基づくフィードバック信号がケーブル35cを介して送水ポンプ21に伝達される。トレーサ試験装置Aは圧力計測機器7、水質計測機器9、水圧計11、水質計13、送水ポンプのサーボコントロール部37等、図1に示された構成要素からなる。
【0025】
次にトレーサ試験装置Aの動作について説明する。
トレーサ原液水槽15のトレーサ原液と水水槽17の水とをトレーサ水槽19内で混合して濃度調整したトレーサを、送水ポンプ21、送水用導管23a、注水流量計25、送水用導管23bの順に通して試験区間3まで送水する。
【0026】
同時に、揚水ポンプ27を稼動させ、揚水用導管29aを通して揚水したトレーサを、さらに揚水用導管29b、揚水流量計31、揚水用導管29cの順に通してトレーサ水槽19まで揚水する。
【0027】
揚水ポンプ27は、試験区間3から一定量で揚水を行う。試験区間3の水圧は、一定の揚水量に対する送水ポンプ21の送水量で設定し、設定値が初期間隙水圧と等しければ揚水量=送水量、初期間隙水圧より大きければ揚水量<送水量、初期間隙水圧より小さければ揚水量>送水量となる。トレーサの循環中は、送水ポンプ21の流量を送水ポンプのサーボコントロール部37によって制御することで試験区間3の水圧を設定値に保つ。
【0028】
すなわち、トレーサがトレーサ水槽19と試験区間3とを循環する間に、試験区間3に設置した水圧計11を検出部として、ケーブル35aを介して圧力計測機器7で試験区間3の水圧を測定する。測定したデータを、ケーブル35bを介して送水ポンプのサーボコントロール部37に送る。
【0029】
送水ポンプのサーボコントロール部37は、水圧の測定データに基づくフィードバック信号を、ケーブル35cを介して送水ポンプ21に伝達する。そして、試験区間3の圧力が設定値に保たれるように送水ポンプ21の回転数あるいはサーボバルブの開閉を調節し、流量を制御する。
【0030】
このように、第1の実施の形態では、送水ポンプ21のサーボコントロールを行うことにより、試験区間3の圧力を任意に設定できる。また、トレーサを循環させることにより、地山の透水性によらず試験区間3のトレーサ濃度を所定の値に保つことができる。
【0031】
また、サーボコントロールの方法として、送水ポンプ21の送水量を一定とし、水圧計11と圧力計測機器7とを用いて測定した水圧に基づくフィードバック信号を揚水ポンプのサーボコントロール部(図示せず)に送り、揚水ポンプ27の流量を制御する場合もある。
【0032】
次に、第2の実施の形態について説明する。図2は、揚水系統に空気室を設置したトレーサ試験装置Bの概略図である。第2の実施の形態では、図2に示すように、第1の実施の形態に加えて、揚水経路の途中に空気室43が設けられる。以下、第2の実施の形態において追加された機能について説明する。
【0033】
空気室43は、揚水用導管29aを介して試験区間3と、揚水用導管29bを介して揚水ポンプ27と連結される。空気室43は、地表に設置した圧縮ガス供給装置47につながる気体用導管45を有し、内部には空気圧と水圧の差を測定する差圧計49が設置される。差圧計49は、ケーブル55を介して圧力計測機器7につながれる。
【0034】
気体用導管45を通して、圧縮ガス供給装置47から空気室43にガスを供給または排出してガス圧を制御する。また、揚水ポンプ27で一定量の揚水を行い、空気室43内を、上部がガス51、下部が液体53の状態にする。試験区間3の水圧は、空気室43内のガス圧により設定する。
【0035】
トレーサの循環中は、空気室43に設置した差圧計49を検出部として圧力測定機器7で測定した水位のデータを、ケーブル35bを介して送水ポンプのサーボコントロール部37に送る。
【0036】
送水ポンプのサーボコントロール部37は、液体53の水位のデータに基づくフィードバック信号を、ケーブル35cを介して送水ポンプ21に伝達する。そして、送水ポンプ21の回転数あるいはサーボバルブの開閉を調節して流量を制御し、空気室43内の水位を設定する。すなわち、試験区間3の水圧を設定する。
【0037】
トレーサ試験装置Bでは、サーボコントロールの方法として、送水ポンプ21のかわりに、揚水ポンプ27の流量を制御し、空気室43内の水位を設定する場合もある。
【0038】
このように、第2の実施の形態では、揚水ポンプ27と送水ポンプ21のいずれかを一定流量とし、他方をサーボコントロールすることにより、試験区間3の水圧を任意に設定することができる。また、トレーサを循環させることにより、トレーサ濃度を多様に迅速に設定し、維持することができる。
【0039】
次に、第3の実施の形態について説明する。図3は送水系統に空気室を設置したトレーサ試験装置Cの概略図である。第3の実施の形態は、第2の実施の形態とほぼ同様であるが、空気室43が送水用導管23cを介して試験区間3と連結され、送水用導管23b、注水流量計25、送水用導管23aを介して送水ポンプ21と連結される。即ち、空気室43が送水経路の途中に設けられる。
【0040】
尚、第1から第3のいずれの実施の形態でも、水圧計11を試験区間3の内部に設置したが、試験区間3の近傍に設置することもできる。また、第1と第3の実施の形態の揚水用導管29c、第2の実施の形態の揚水用導管29dの端部を、トレーサ水槽19につなげず、そのまま排水したり、別の水槽につないでもよい。この場合も、送水と揚水を同時に行うことで、試験区間3のトレーサ濃度が制御される。
【0041】
第1から第3の実施の形態は、複数のボーリング孔を用いたトレーサ試験方法において、トレーサの注入孔側としてのみではなく、受信する観測孔側としても使用できる。
【0042】
次に、第4の実施の形態について説明する。図4は、単一孔トレーサ試験の概略図である。まず、岩盤等の地盤72にボーリング孔71を掘削し、試験対象となる亀裂面等の水みち73を決定する。そして、水みち73を含むボーリング孔71の所定区間の上下を、ゴム製等のパッカー75を用いて閉塞し、試験区間79とする。
【0043】
ボーリング孔71にトレーサ試験装置77を設置する。このトレーサ試験装置は、例えば第1の実施の形態のトレーサ試験装置Aであり、図4のボーリング孔71、パッカ−75、試験区間79は、それぞれ図1に示すボーリング孔1、パッカ−5、試験区間3に相当する。試験区間79の間隙水圧を測定し、地表部のトレーサ水槽19にトレーサを準備する。
【0044】
注水ポンプ21および揚水ポンプ27を用いて、トレーサを試験区間79とトレーサ水槽19の間で循環させる。このとき、圧力計10の測定データに基づいて、送水ポンプのサーボコントロール部37により送水ポンプ21の流量を制御し、試験区間79の間隙水圧を維持する。試験区間79のトレーサ濃度が一定となった後、任意の水圧および流量となるように送水ポンプ21の流量を制御しつつ、トレーサを地盤72に浸透させる。
【0045】
トレーサの投入量が所定量に達した後、投入する溶液を地下水と同等な溶液に切り替え、この溶液を一定時間、地盤72に浸透させる。そして、任意の水圧および流量で揚水を開始し、試験区間79で、水質計13を用いてトレーサの水質を観測する。トレーサの濃度変化等の移動状況の情報を取得し、物質移行解析を行い、物質移行特性を特定する。
【0046】
このように、第4の実施の形態では、パッカ−75で試験区間79を設定できるため、1本のボーリング孔71の任意の位置を対象として試験ができる。
また、第1から第3のいずれか実施の形態のトレーサ試験装置を使用することにより、任意の人工の地下水流を設定できるため、地下水流がない場所や遅い場所においても試験可能となり、水圧・流量やトレーサ濃度を管理できるので、精度よく試験が行える。
【0047】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、不均質な地盤中に試験区間を設定でき、試験区間の水圧およびトレーサ濃度を任意に高精度に設定できるトレーサ投入装置および単一孔トレーサ試験方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トレーサ試験装置Aの概略図
【図2】揚水系統に空気室43を設置したトレーサ試験装置Bの概略図
【図3】送水系統に空気室43を設置したトレーサ試験装置Cの概略図
【図4】単一孔71トレーサ試験の概略図
【図5】従来の注入孔103と観測孔105を用いたトレーサ試験の概略図
【図6】従来の注入孔103と観測孔105を用いたトレーサ試験の概略図
【図7】従来のトレーサ試験装置113の概略図
【図8】従来の単一孔143トレーサ試験の概略図
【符号の説明】
1………ボーリング孔
2………地盤
3………試験区間
5………パッカー
11………水圧計
13………水質計
19………トレーサ水槽
21………送水ポンプ
23a、23b、23c………送水用導管
27………揚水ポンプ
29a、29b、29c………揚水用導管
37………送水ポンプのサーボコントロール部
41………揚水ポンプのサーボコントロール部
43………空気室
49………差圧計
71………ボーリング孔
72………地盤
75………パッカ−
79………試験区間
101………地盤
103………注入孔
105………観測孔
113………トレーサ投入装置
141………地盤
143………ボーリング孔
Claims (9)
- 地盤内のボーリング孔内をパッカーで閉塞した試験区間と、
前記ボーリング孔の外部と前記試験区間とをつなぐ送水用導管および揚水用導管と、
前記送水用導管の途中に設置された送水ポンプおよび前記揚水用導管の途中に設置された揚水ポンプと、
前記試験区間内部あるいは近傍に設けられた水圧計と、
前記水圧計で計測された水圧に基づいて前記送水ポンプを制御する制御部と、を具備し、
前記制御部が、前記水圧計で計測された水圧に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御しつつ、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間との間でトレーサを送水および揚水し、
前記送水用導管と前記揚水用導管の端部は、前記ボーリング孔の外部に設置したトレーサ水槽につながり、前記トレーサ水槽と前記試験区間の間で送水・揚水したトレーサを循環させることを特徴とするトレーサ試験装置。 - 地盤内のボーリング孔内をパッカーで閉塞した試験区間と、
前記ボーリング孔の外部と前記試験区間とをつなぐ送水用導管および揚水用導管と、
前記送水用導管の途中に設置された送水ポンプおよび前記揚水用導管の途中に設置された揚水ポンプと、
前記揚水用導管の途中に設けられ、気体に封入された空気室と、
前記空気室内の気体と液体の差圧を測定する差圧計と、
前記差圧計の圧力に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御する制御部と、
具備し、
前記差圧計の圧力に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御しつつ、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間との間でトレーサを送水および揚水し、
前記送水用導管と前記揚水用導管の端部は、前記ボーリング孔の外部に設置したトレーサ水槽につながり、前記トレーサ水槽と前記試験区間の間で送水・揚水したトレーサを循環させることを特徴とするトレーサ試験装置。 - 地盤内のボーリング孔内をパッカーで閉塞した試験区間と、
前記ボーリング孔の外部と前記試験区間とをつなぐ送水用導管および揚水用導管と、
前記送水用導管の途中に設置された送水ポンプおよび前記揚水用導管の途中に設置された揚水ポンプと、
前記送水用導管の途中に設けられ、気体に封入された空気室と、
前記空気室内の気体と液体の差圧を測定する差圧計と、
前記差圧計の圧力に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御する制御部と、
具備し、
前記差圧計の圧力に基づいて前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプを制御しつつ、前記ボーリング孔の外部と前記試験区間との間でトレーサを送水および揚水することを特徴とするトレーサ試験装置。 - 前記空気室近傍に設けられた圧力制御部をさらに具備し、前記差圧計の圧力に基づいて前記圧力制御部で前記空気室内部の空気圧を制御することを特徴とする請求項2または請求項3記載のトレーサ試験装置。
- 前記試験区間近傍に設けられた水圧計をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載されたトレーサ試験装置。
- 前記制御部は、前記送水ポンプまたは前記揚水ポンプの回転数またはサーボバルブの開閉を調節して流量を制御することを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載されたトレーサ試験装置。
- 前記試験区間近傍に設けられた水質計をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載されたトレーサ試験装置。
- 地盤にボーリング孔を削孔し、
前記ボーリング孔内をパッカーで閉塞して試験区間を設け、
前記ボーリング孔内に設置したトレーサ試験装置でトレーサを投入し、
前記トレーサ試験装置で前記トレーサを回収し、
前記試験区間での前記トレーサの移動状況の情報を取得する単一孔トレーサ試験方法であって、
前記投入・回収するトレーサは前記ボーリング孔の外部に設置したトレーサ水槽と前記試験区間との間で循環させることを特徴とする単一孔トレーサ試験方法。 - 前記トレーサ試験装置は、請求項7に記載されたトレーサ試験装置であることを特徴とする請求項8記載の単一孔トレーサ試験方法。
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