JP3807885B2 - 導電性高分子及びこれを用いた光電池 - Google Patents

導電性高分子及びこれを用いた光電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性高分子及びこれを用いた光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
光電池(光起電力セル; photovoltaic cell )は、光エネルギーを吸収して電気的エネルギーに変換する半導体デバイスである。光電池の特性は、短絡電流Isc 、開放電圧Voc 及びエネルギー変換効率ηで表される。Isc を入射光の振動数(即ちエネルギー)もしくは波長の関数として表したものを、光電池のスペクトル応答と呼ぶ。半導体のスペクトル応答は、ある振動数以上でのみゼロと異なり、このしきい振動数はふつうバンドギャップエネルギーをプランク定数h で割ったものに一致する。光電池のスペクトル応答は、用いる材料などに依存する。太陽光に対して最大の変換効率を実現するように設計した光電池が太陽電池である。太陽光は広い波長範囲(300-2500 nm )の光を含むので、太陽電池にはできるだけ広範囲の光を吸収する材料が必要である。このため、太陽電池には通常バンドギャップの小さい半導体(Si: 1.1 eV, Ge: 0.65 eV)が用いられる。
【0003】
近年、導電性高分子の中に、大きな光起電力効果を示すものが存在することが報告されている。特に、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びポリチオフェンの誘導体を用いたドナー・アクセプター構造において、青色の単色光に対するηが約1%に達するという、有望な結果が得られている(“Polymer photovoltaic cells: enhanced efficiencies via a network of internal donor-acceptor heterojunctions”, G. Yu, J. Gao, J. C. Hummelen, F. Wudl, A. J. Heeger, Science, 270 (1995) 1789-1791, “High quantum efficiency polythiophene/C60 photodiodes”, L. C. Roman, W. Mammo, L. A. Petersson, M. R. Andersson, O. Inganas, Adv. Mater., 10 (1998), 775-778) 。こうしたデバイスは、可視光及び近紫外領域における高効率光検出器として用いうる。ドナー・アクセプター構造を用いてエネルギー変換効率を高めるという概念は、米国特許第5454880号明細書において開示されている。
【0004】
導電性高分子のバンドギャップを減少させる方法の一つは、複素環単位、例えばチオフェン単位の間に、メチン構造(−C(−R)=)を挿入することにより、複素環単位のキノイドアイソマーの相対割合を増すことである(下記式参照)。
【0005】
【化2】
Figure 0003807885
【0006】
このバンドギャップ減少方法は、米国特許第4758634号明細書において提案されている。
更に、“Polydiheteroarylenemethines - a new class of conducting polymers”, H. Braunling, G. Blochl, R. Becker, Synthetic Metals, 41-43 (1991), 487-491 及び“Poly(arenemethylidenes) - low gap compounds with intriguing chemical and physical properties”, H. Braunling, R. Becker, G. Blochl, Synthetic Metals, 55-57 (1993), 833-838 において、著者は前記のバンドギャップ減少の着想を更に発展させ、新しい導電性高分子(下記式参照、以下「PAM」という。)の合成に成功したほか、その光伝導特性も報告している。
【0007】
【化3】
Figure 0003807885
【0008】
ポリマーの性質を変える目的で共役単位(conjugated unit) をポリマーの複素環単位間に挿入することは、これまでにも行われている。例えば、ビニレンラジカルをビチオフェン分子の間に挿入することが“Electrochemical polymerization of dithienylethylene, -butadiene, and -hexatriene”, S. Tanaka, M. Sato, K. Kaeriyama, Makromol. Chem., 186 (1985), 1685-1694に記載されている。この文献において、重合されたトランス-1,2-ジ(2-チエニル)エチレンのバンドギャップは1.8eV と、位置規則的(regioregular) ポリ(3-アルキル)チオフェン(バンドギャップ1.7 eV) よりも大きい。この物質及びそのアルキル置換誘導体はその後いくつかのグループにより調べられたが、モノマー合成の複雑さ、プロセスの難しさに加えてポリチオフェン等に比べて特に有用な特性がみられなかったため、導電性高分子デバイスの分野で広く応用されるには至っていない。
【0009】
小さいバンドギャップEgをもった導電性高分子を光電池に用いる最初の試みは、“Effects of C60 on conducting polymer with small band gap”, K. Tada, S. Morita, T. Kawai, M. Onoda, K. Yoshino, A. A. Zakhidov, Synth. Metals, 70 (1995) 1347-1348 及び“C60- ポリイソチアナフテン接合素子の光照射効果”,小野田光宜、多田和也、河合壮、A.A. Zakhidov 、吉野勝美, 電気学会論文誌 117-A (1997), 199-205において行われたが、近赤外域における光起電力効果は観測されなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体光電気デバイスは、高コスト、環境への悪影響といった問題を抱えている。これらは、導電性高分子をデバイスの活性層として用いることにより解決可能であるが、従来の高分子太陽電池はバンドギャップの大きい導電性高分子を用いるため、太陽光スペクトルの一部(300-600nm)しか有効に電気に変換できない。バンドギャップの小さい導電性高分子もいくつか知られているが、その合成は非常に複雑で高価である。バンドギャップが小さいにもかかわらず、こうした導電性高分子が近赤外域にまで及ぶ広帯域の光起電力効果を示すという報告はない。
【0011】
本発明の目的は、簡便に合成が可能で、小さいバンドギャップを持ち、近赤外域にまで及ぶ広い波長域で光起電力効果を示す、新しい導電性高分子及び該導電性高分子を用いた高機能性光電池を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、導電性高分子における複素環含有繰り返し単位中にメチン構造(−C(−R)=)とともにビニレンラジカルを導入することにより、1.合成収率の向上、2. 導電性高分子のバンドギャップの減少、3.従来の光電池と比較して大きなIsc 、4.近赤外域における光起電力効果の増大を達成することができることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)次式(I):
【0013】
【化4】
Figure 0003807885
【0014】
[式中、R1 、R2 及びR3 は、同一又は異なり、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは非置換の芳香族基、シアノ基又はヒドロキシル基を表し;Xはイオウ原子、酸素原子、セレン原子又は−N(R4 )−(ここで、R4 は水素原子又は置換もしくは非置換の炭素数1〜18のアルキル基を表す。)を表し、nは5〜1,000の整数を表す。]
で示される導電性高分子。
【0015】
(2)前記(1)に記載の導電性高分子を用いた光電池。
(3)(a)透明電極、(b)前記(1)に記載の導電性高分子からなる導電性高分子層及び(c)背面電極を有する光電池。
(4)導電性高分子層を構成する導電性高分子が1.2〜1.7eVのバンドギャップを有する前記(3)に記載の光電池。
(5)太陽電池又は光検出器である前記(2)〜(4)のいずれかに記載の光電池。
【0016】
【発明の実施の形態】
本明細書において、炭素数1〜18のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、 sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0017】
炭素数1〜18のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、 sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0018】
芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリル基、イソキノリル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
【0019】
前記式(I)において、R1 、R2 、R3又はR4 で表される炭素数1〜18のアルキル基、及びR1 、R2又はR3 で表される炭素数1〜18のアルコキシ基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシル基、シアノ基、前記炭素数1〜18のアルコキシ基、前記芳香族基等から選ばれる1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
前記式(I)において、R1 、R2又はR3 で表される芳香族基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシル基、シアノ基、前記炭素数1〜18のアルキル基、前記炭素数1〜18のアルコキシ基、前記芳香族基、アラルキル基(例えば、ベンジル基)、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6の脂肪族アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基)、炭素数1〜6の脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、エタノイルオキシ基(アセトキシ基)、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基)、芳香族アシルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ基、トルオイルオキシ基)等から選ばれる1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0021】
前記式(I)において、nは5〜1,000、好ましくは10〜100の整数である。
本発明の導電性高分子の製造方法を、前記式(I)において、R2 が水素原子、R3がメチル基、Xがイオウ原子である化合物を例に取り、説明する。製造工程を以下に示す。
【0022】
【化5】
Figure 0003807885
【0023】
(式中、Rは前記式(I)におけるR1と同義である。)
先ず、ジエチルエーテル又はベンゼン中で3−メチルチオフェンをn-ブチルリチウムと反応させ、2−リチウム−3−メチルチオフェンを得る。これを更に、1,2−トランス−ジクロロエチレンと反応させることにより生成したトランス−1,2−ビス(3−メチル−2−チエニル)エチレンをテトラヒドロフラン中でn-ブチルリチウムと反応させてジリチオ化化合物に変換する。これをアルデヒド(例えば、2−チオフェンアルデヒド)又はケトンと反応させた後、水で処理してモノマー(例えば、トランス−1,2−ビス[5−(2−チエニル)ヒドロキシメチル−3−メチル−2−チエニル]エチレン;式中のRが水素原子である化合物)を得る。このようにして得られたモノマーを、ルイス酸(塩化鉄(III) 、塩化モリブデン(III) 、フッ化ヒ素(V)等)を触媒として、クロロホルム、ジクロロメタン等の溶媒中で重合させることにより、本発明の導電性高分子を製造することができる。
【0024】
本発明者らは、(a)透明電極、(b)導電性高分子層及び(c)背面電極からなる光電池において、導電性高分子層の導電性高分子として本発明の導電性高分子を用い、光源、電圧計、電流計、光電池、及び光電池の透明電極及び背面電極を電流計及び電圧計に結合する結線より構成される測定系を構築し、前記測定系により該光電池のIsc 及びVoc を測定することにより得られる該光電池のIsc が、従来の高分子光電池のそれを上回ることを明らかにした。
【0025】
導電性高分子の光起電力効果の研究において、本発明者らは、光電池の光電圧変換特性、特にVoc が強く導電性高分子の純度に依存することを見出した。高純度サンプルのVoc は、透明電極及び背面電極の仕事関数の差によって決定される。例えば、透明電極としてITO (酸化インジウム錫)、背面電極としてAlを用いた場合、Voc は0.4V程度の値を示すが、導電性高分子に1重量%程度の不純物を加えると、Voc は 1mV 程度にまで急激に減少する。その際にIsc にはほとんど変化が見られない。
【0026】
一方、近赤外域で光応答性を示す導電性高分子に関する文献としては、“Polydiheteroarylenemethines - a new class of conducting polymers”, H. Braunling, G. Blochl, R. Becker, Synthetic Metals, 41-43 (1991), 487-491、及び“Poly(arenemethylidenes) - low gap compounds with intriguing chemical and physical properties”, H. Braunling, R. Becker, G. Blochl, Synthetic Metals, 55-57 (1993), 833-838 がある。これらの文献において、合成された導電性高分子は、近赤外及び可視光域で光伝導性を示し、光吸収スペクトルから求めたバンドギャップの値は1eVと報告されているが、その測定は純度の低い酸化膜を用いて行われた。本発明者らは、この結果を追試するために、前記文献に記載の下記の製造工程に従ってモノマーを合成(参考例1参照)した後、更にその高純度化を行った。こうして得られた高純度の導電性高分子は、全収率(total yield )が3〜5%と低く、産業化に適さないのみならず、バンドギャップは1.7eV(これは可視光域)と大きく、近赤外域における光吸収は生じない。(ちなみに、この光吸収実験は、トルエン溶液中で行った。図2参照)即ち、前記文献における小さなバンドギャップの値は材料の純度が低いために生じたもので、材料本来の正しい値ではない。
【0027】
【化6】
Figure 0003807885
【0028】
(式中、Rはフェニル基である。)
収率を改善するため、本発明者らは、有機溶媒に対する溶解度の低い2,2'−ビチオフェンの代わりにトランス−1,2−ジアリールエチレンを前駆体として用いた。該前駆体を用いてトランス−1,2−ビス[5−(2−チエニル)ヒドロキシメチル−3−メチル−2−チエニル]エチレン等のトランス−1,2−ビス[アリールヒドロキシメチルアリール]エチレン(モノマー)を合成した後、これを塩化鉄(III) 等の触媒の存在下で重合[“Preparation of soluble polythiophene derivatives utilizing transition metal halides as catalysts and their property”, R. Sugimoto, S. Takeda, H. B. Gu, K. Yoshino, Chem. Express, 1 (1986), 635-638]させることにより、前記式(I)で示される本発明の導電性高分子を得た。この方法により、収率は10ないし20% 増大したほか、バンドギャップは低くなった(通常1.2〜1.7eV、実施例1では1.55eV )。(これは高純度試料で測定した正しい値であって、不純物によるものではない。)
【0029】
本発明の導電性高分子をピリジン、N−メチル−2−ピロリジノン等の有機溶媒に溶解し、ITO/PAT12/PTA/C60/Al構造 (「PAT12」は、ポリ(3−n−ドデシルチオフェン)の略であり、「PTA」は、本発明の導電性高分子の略であり、「C60」は、フラーレンを意味する。) よりなる光電池を形成した。この光電池は、近赤外領域の高分子光検出器又は高分子太陽電池として用いることができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(参考例1)
4.01 g (24.1 mmole)の2,2'-ビチオフェンを20.3 gの テトラヒドロフラン(THF)に溶解した。これにn-ブチルリチウムの2.6 M ヘキサン溶液 18.8 ml (48.9 mmole) をアルゴンガス雰囲気下で加え、10分間撹拌した。次いで8.88 g (47.2 mmole) の 2−ベンゾイルチオフェンを14分以内で加えた。得られた粘性混合物を機械的に10分間撹拌した後、水 22.2 mlを大気中で加え、15分間放置して固体物質を十分に溶解させた。次にこれを−15℃に1時間保った後、室温で溶媒を除去した。黄色残渣をアセトンで洗浄し、室温大気中で2時間乾燥させることにより、0.427 gの5,5'-ビス[α−(2-チエニル)− α−ヒドロキシベンジル]-2,2'-ビチオフェンを単離した。この工程の収率は3.14%であった。
【0031】
生成物5.35 gをクロロホルム40mlに溶解した。別のフラスコに、8.62 g (53.2 mmole)の無水塩化鉄(III) をクロロホルム120mlに溶解した。これらの溶液を混合し、3時間撹拌した後、反応混合物を濾過し、メタノールで洗浄し、塩化鉄(III) を除去した。濾液を減圧下70℃で24時間乾燥した。次式(II):
【0032】
【化7】
Figure 0003807885
【0033】
(式中、Rはフェニル基である。)
で示されるポリアレンメチリデン (polyarenemethylidene;以下「PAM」という。) 3.62 gを単離した。この工程の収率は74.6%であり、従って全収率は2.34%であった。
【0034】
こうして得られたPAM 112 mg をトルエン 9.89 gに溶解した後、濾過した。濾過された溶液の、波長域 190〜2500 nm (0.5〜6.5eV)における光吸収スペクトル(図2)を石英セル(光路長1cm) を用いて測定した。分光器は、JASCO V-570 スペクトルフォトメーターを用いた。図2より、吸収の長波長端、即ちバンドギャップが 1.75eV と求まった。
【0035】
(実施例1)
13.06 g (68.0 mmole)のトランス-1,2-ジ(2-チエニル)エチレンを87.5 gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。これにn-ブチルリチウムの2.6 M ヘキサン溶液 52.6 ml (137 mmole) を不活性ガス雰囲気下で加え、10分間撹拌した。次いで16.4 g (146 mmole) の 2-チオフェンアルデヒドを徐々に加え、10分間撹拌した後、水15.2 gを大気中で加え、10分間放置して溶解させた。次にこれを−15℃に1時間保った後、室温で溶媒を除去した。残渣をアセトンで洗浄し、室温大気中で2時間乾燥させることにより、次式(III):
【0036】
【化8】
Figure 0003807885
【0037】
(式中、Rは水素原子である。)
で示されるトランス-1,2-ビス[5-(2-チエニル)ヒドロキシメチルチオフェン-2-イル]エチレン2.94 g (7.1 mmole)を単離した。この工程の収率は10.4 %であり、これは、トランス-1,2-ジ(2-チエニル)エチレンの代わりに2,2'- ビチオフェンを用いた参考例1(収率3.14%)の3.3 倍である。
【0038】
生成物2.81 g (6.8 mmole)を、1.75 g (10.8 mmole)の塩化鉄(III) をクロロホルム90.5 gに溶解した撹拌溶液に加え、更に3時間撹拌した後、濾過した。濾液をメタノールで洗浄し、次式(Ia):
【0039】
【化9】
Figure 0003807885
【0040】
(式中、Rは水素原子である。)
で示されるポリマー(以下「PTA」という。) 2.18 gを単離した。この工程の収率は85.0%であり、従って全収率は8.84%であった。
【0041】
こうして得られたPTA 42.3 mg をトルエン 5.43 gに溶解した後、濾過した。濾過された溶液の、波長域 190〜2500 nm (0.5〜6.5eV)における光吸収スペクトル(図2)を石英セル(光路長1cm) を用いて測定した。分光器は、JASCO V-570 スペクトルフォトメーターを用いた。図2より、吸収の長波長端、即ちバンドギャップが 1.55eV と求まった。
【0042】
(実施例2)
5.00 g (51 mmole) の3−メチルチオフェンを 30 ml のジエチルエーテルに溶解した。混合物を撹拌しながら氷浴中で0℃に冷却した後、n-ブチルリチウムの2.6M ヘキサン溶液 19.6 ml (51 mmole) をアルゴンガス雰囲気下で加えた後、5分間撹拌を続けた。次に、2.46 g (25 mmole) の 1,2-トランス−ジクロロエチレンを加え、更に50 mg の 1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケル(II)ジクロリド [Ni(dppp)Cl2]を加えた。反応混合物を10分間撹拌したのち、溶媒を減圧下留去した。真空中で気化する。黄色残渣を少量のTHF に溶解し、再結晶化させることにより、2.24 g (10.2 mmole) のトランス-1,2-ビス(3-メチル-2-チエニル)エチレンを得た。収率は40.8% であった。以下、実施例1と同様にして、PTAのメチル置換誘導体、即ち、次式(Ib):
【0043】
【化10】
Figure 0003807885
【0044】
(式中、Rは水素原子である。)
で示されるポリマーを得た。この工程の収率は32.1%であり、従って全収率は13.1%であった。
【0045】
(実施例3)
実施例1で合成したPTA 85 mgを5.09 ml のN-メチル-2-ピロリジノンに溶解した。濾過した溶液を透明電極(図3の1〜3)上にコートすることによりPTA 層(4)を形成した。透明電極は表面をITO 膜(2)で覆ったガラス基板(1)上に、更にポリ(3−n−ドデシルチオフェン)(PAT12)のトルエン溶液をスピンコートすることにより形成した。その上に、フラーレン(C60)層(5)及びAl背面電極層(6)を真空蒸着することにより光電池を得た。ITO層及びAl層を電流計(8)に結線し、石英タングステンハロゲンランプ(10)からの光を照射し、光電池のIsc を測定した。光電池に入射する光の強度は10.3mW/cm2であった。次に、光源(10)と光電池(1〜6)の間に可視/紫外カットフィルター(9)を設置し、Isc の測定を行った。フィルター通過後の光強度は1.7 mW/cm2であった。
【0046】
同様の測定を、ITO/PAT12/C60/Al及びITO/PAT12/PAM/C60/Alのそれぞれの構造を持った光電池に対しても行い、その結果を表1にまとめた。(PAM層はピリジン溶液のスピンコーティングにより形成した)。
【0047】
【表1】
Figure 0003807885
【0048】
散乱光の影響を防ぐため、黒色スクリーン(11)をセルの後方に置いて測定を行った。フィルター+ITO+ガラス基板+電極の吸収スペクトルを図4に示した。
【0049】
【発明の効果】
本発明の導電性高分子は、光吸収スペクトルが近赤外域にまで広がった新規高分子であり、これを用いて太陽電池を形成すると、従来の高分子太陽電池を上回る短絡電流Isc を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光電池の構造を示す図である。
【符号の説明】
a 透明電極
b 導電性高分子層
c 背面電極
【図2】PTA及びPAMのトルエン溶液の光吸収スペクトルを示す図である。
【図3】光電池の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 酸化インジウム錫層
3 PAT12 層
4 PTA層
5 C60
6 Al層
7 光電池と電流計を結ぶ結線
8 電流計
9 可視光フィルター
10 石英タングステンハロゲンランプ
11 黒色スクリーン
【図4】フィルター及び(ITO+ガラス+電極)の光吸収スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
△ フィルターの光吸収スペクトル
▽ (ITO+ガラス+電極)の光吸収スペクトル

Claims (5)

  1. 次式(I):
    Figure 0003807885
    [式中、R1 、R2 及びR3 は、同一又は異なり、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは非置換の芳香族基、シアノ基又はヒドロキシル基を表し;Xはイオウ原子、酸素原子、セレン原子又は−N(R4 )−(ここで、R4 は水素原子又は置換もしくは非置換の炭素数1〜18のアルキル基を表す。)を表し、nは5〜1,000の整数を表す。]
    で示される導電性高分子。
  2. 請求項1記載の導電性高分子を用いた光電池。
  3. (a)透明電極、(b)請求項1記載の導電性高分子からなる導電性高分子層及び(c)背面電極を有する光電池。
  4. 導電性高分子層を構成する導電性高分子が1.2〜1.7eVのバンドギャップを有する請求項3記載の光電池。
  5. 太陽電池又は光検出器である請求項2〜4のいずれか1項に記載の光電池。
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