JP3807711B2 - 結束具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は結束具、詳しくは、電気配線などに使われるハーネスといた線材やその他の被結束体を束ねることに用いられる結束具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多数本のハーネスを運搬のために束ねるときには、引き伸ばしたゴムバンドを多数本のハーネスに数回に亘って巻き付けていた。このようなゴムバンドによる結束は、ハーネスをたとえば施工場所まで運搬するときの便宜のために行われることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のようにただ単にゴムバンドを用いてハーネスを束ねるという作業を行うと、ゴムバンドを引き伸ばしながらハーネスに数回に亘って巻き付けるときに、作業者が誤って指を挾み込んだりする危険があった。
【0004】
本発明は、以上の状況のもとでなされたものであり、ハーネスなどの被結束体を簡便にかつ安全に束ねることが可能になる結束具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る結束具は、被結束体に巻き付けられる紐状体と、被結束体に巻き付けられた上記紐状体の巻付け始部と巻付け終部とを離脱可能に保持する保持部を備えた止め具とからなる。この結束具によると、ハーネスやその他の被結束体に巻き付けた紐状体の巻付け始部と巻付け終部とを止め具の保持部に保持させるだけで結束が完了する。また、止め具の保持部に保持されている紐状体の巻付け始部又は巻付け終部をその保持部から取り外すことによって結束を解くことができる。
【0006】
上記止め具の保持部は、金属あるいはプラスチックなどの材料で板片状に形成することが可能である。保持部を板片状に形成した場合には、その保持部に、紐状体の巻付け始部と巻付け終部とが差し込まれる切込みが設けられており、上記紐状体は、上記巻付け始部又は上記巻付け終部が上記切込みに差し込まれているときに上記保持部に係止する係止手段を備えることが望ましい。このようになっていると、被結束体に巻き付けた紐状体の巻付け始部と巻付け終部とを保持部の切込みに差し込んだときに、紐状体に設けられている係止手段が保持部に係止して保持部から紐状体が離脱することを阻止する。なお、紐状体に設けられる上記係止手段は、切込みを通過し得ない大きさの凸部によって形成することが可能である。
【0007】
【0008】
本発明において、保持部を、く字形に連設された2つの板状片部に分け、一方の板状片部に上記巻付け始部に対する切込みを形成し、他方の板状片部に上記巻付け終部に対する切込みを形成する。この場合には、一方の板状片部に形成された切込みの長さ方向と他方の板状片部に形成された切込みの長さ方向とが互いに直交する方向になっていることが望ましい。このようになっていると、紐状体の巻付け始部や巻付け終部を切込みに差し込む作業を容易に行えるようになる。また、一旦切込みに差し込んだ巻付け始部や巻付け終部がその切込みから抜け出しにくくなる。
【0009】
上記保持部に、上記止め具が把手部を有することが望ましい。この結束具において、把手部と被結束体とを掌で掴むことによって把手部を被結束体に押え付けるようにすれば、紐状体による結束箇所に手の指が突き出るような事態が起こらないので、紐状体を被結束体に巻き付けるときに手の指を挾み込むという事態が起こりにくくなり、安全性の高い結束具が得られる。
【0010】
上記紐状体が弾性部材でなることが望ましい。この発明によると、紐状体を引き伸ばして被結束体を束ねることができるので、きつく結束することが可能になり、また、一旦結束した箇所が緩まない。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は第1実施例による結束具に用いられる止め具Aの平面図、図2は図1のII線矢視図、図3は使用状態正面図である。
【0012】
図1及び図2に示した止め具Aは、板片状に形成された保持部1と、この保持部1に連設された細長いアーム状の把手部5とを一体に有している。この止め具Aは金属製であってもプラスチック製であってもよい。
【0013】
保持部1は、く字形、より具体的には直角に連設された2つの板状片部12,13に分かれていて、それぞれの板状片部12,13にスリット状の切込み14,15が形成されている。一方の板状片部12の切込み14は、その板状片部12の先端から上記把手部5に近付く方向に延びている。そして、この切込み14の入口部分16が小突起17によって常時は狭くなっていると共に、その入口部分16の外側には外拡がりの呼込みガイド口18が備わっている。さらに、この切込み14の最奥部分は円形の丸穴14aに形成されている。これに対し、他方の板状片部13に形成されている切込み15は、その板状片部13の先端から一方の板状片部12に近付く方向に延びている。そのため、一方の板状片部12の切込み14の長さ方向と他方の板状片部13の切込み15の長さ方向とが互いに直交している。また、切込み15の入口部分19は小突起20,21によって常時は塞がれていると共に、その入口部分19の外側には外拡がりの呼込みガイド口22が備わっている。
【0014】
図7は上記した止め具Aと共に結束具を形成する紐状体Bの側面図である。この紐状体Bは、ゴム紐などで形成されていて、その弾性に抗して引き伸ばすことが可能な弾性部材でなる。この紐状体Bは、所定の間隔を隔てた複数箇所に凸部7を一体に備えている。
【0015】
図1〜図3を参照して、上記した止め具Aと紐状体Bとを用いて被結束体Cを結束するときの手順の一例を説明する。被結束体Cに止め具Aの把手部5を沿わせて把手部5と被結束体Cとを掌で掴み、その状態から、最初に紐状体Bの所定箇所を、一方の板状片部12の切込み14にその入口部分16をくぐらせて差し込むことによって丸穴14aに嵌め込む。次に、紐状体Bを被結束体Cに一回巻き付けて他の所定箇所を、他方の板状片部13の切込み15にその入口部分19をくぐらせて差し込む。一方の切込み14に紐状体Bの巻付け始部71を差し込むときには、外拡がりの呼込みガイド口18がその差込作業を容易に行うことに役立ち、他方の切込み15に紐状体Bの巻付け終部72を差し込むときには、外拡がりの呼込みガイド口22がその差込作業を容易に行うことに役立つ。紐状体Bを被結束体Cに巻き付けるときには、紐状体Bを引き伸ばしておくことが望ましく、そのようにすると、被結束体Cが紐状体Bによってきつく結束され、しかも、一方の切込み14に差し込まれた紐状体Bの巻付け始部71の外側位置に設けられている凸部7が一方の板状片部12に確実に係止し、他方の切込み15に差し込まれた紐状体Bの巻付け終部72の外側位置に設けられている凸部7が他方の板状片部13に確実に係止するので、紐状体Bが保持部1から離脱しなくなる。被結束体Cには、たとえば多数本のハーネスが選ばれる。
【0016】
この実施例のように、把手部5と被結束体Cとを掌で掴むことによって把手部5を被結束体Cに押え付けるようにして結束を行えば、掌による掴み箇所と結束箇所とが別々の箇所になるので、紐状体Bを被結束体Cに巻き付けるときに手の指を挾み込むという危険性が少なくなって安全性が高まる。その上、く字形をなす2つの板状片部12,13に互いに直交する方向に延びる切込み14,15が設けられているので、紐状体Bの巻付け始部71や巻付け終部72を切込み14,15に差し込む作業を容易に行えるようになり、しかも、一旦切込み14,15に差し込んだ巻付け始部71や巻付け終部72がその切込み14,15から抜け出しにくくなる。
【0017】
結束を解くときには、紐状体Bの巻付け始部71又は巻付け終部72を切込み14,15から取り外せばよい。
【0018】
図4は第2実施例による結束具に用いられる止め具Aの平面図、図5は図4のV線矢視図、図6は使用状態正面図である。
【0019】
図4及び図5に示した止め具Aは、平坦な板片状に形成された保持部1と、この保持部1に連設された板片状の把手部5とを一体に有し、全体として平面視卵形に形成されている。この止め具Aは金属製であってもプラスチック製であってもよい。なお、止め具Aの形状は平面視卵形以外であってもよく、その形状は限定されない。
【0020】
保持部1には、スリット状の切込み14,15が横に並べて形成されている。これらの各切込み14,15は、保持部1の先端から把手部5に近付く方向に延びている。切込み14,15の入口部分16,19が小突起17,17によって常時は狭くなっている。そして、これらの切込み14,15の入口部分16,19の外側には外拡がりの呼込みガイド口18,22が備わっている。さらに、これらの切込み14,15の最奥部分は円形の丸穴14a,15aに形成されている。
【0021】
図4〜図6を参照して、被結束体Cを結束するときの手順の一例を説明する。被結束体Cに止め具Aの把手部5を沿わせて把手部5と被結束体Cとを掌で掴み、その状態から、最初に紐状体Bの所定箇所を、止め具A側の保持部1の一方の切込み14に入口部分16から差し込んでその切込み14の丸穴14aに嵌め込む。次に、紐状体Bを被結束体Cに一回巻き付けて他の所定箇所を、止め具A側の保持部1の他方の切込み15に入口部分19から差し込む。一方の切込み14に紐状体Bの巻付け始部71を差し込むときには、外拡がりの呼込みガイド口18がその差込作業を容易に行うことに役立ち、他方の切込み15に紐状体Bの巻付け終部72を差し込むときには、外拡がりの呼込みガイド口22がその差込作業を容易に行うことに役立つ。紐状体Bを被結束体Cに巻き付けるときには、紐状体Bを引き伸ばしておくことが望ましく、そのようにすると、被結束体Cが紐状体Bによってきつく結束され、しかも、一方の切込み14に差し込まれた紐状体Bの巻付け始部71の外側位置に設けられている凸部7が一方の板状片部12に確実に係止し、他方の切込み15に差し込まれた紐状体Bの巻付け終部72の外側位置に設けられている凸部7が他方の板状片部13に確実に係止するので、紐状体Bが保持部1から離脱しなくなる。被結束体Cには、たとえば多数本のハーネスが選ばれる。
【0022】
この実施例においても、把手部5と被結束体Cとを掌で掴むことによって把手部5を被結束体Cに押え付けるようにして結束を行えば、紐状体Bによる結束箇所に手の指が突き出るような事態が起こらないので、紐状体Bを被結束体Cに巻き付けるときに手の指を挾み込むという危険性が少なくなって安全性が高まる。
【0023】
結束を解くときには、紐状体Bの巻付け始部71又は巻付け終部72を切込み14,15から取り外せばよい。
【0024】
図8は変形例による紐状体Bの側面図である。この紐状体Bにおいて、図7の紐状体Bと異なる点は、図7の紐状体の係止手段が平面視半円形の凸部7でなるのに対し、図8の紐状体Bの係止手段が平面視円形の凸部7でなる点だけである。図7や図8には断面円形又は断面多角形の紐状体Bを示してあるけれども、紐状体は、断面が偏平な形になった帯状体によって形成することも可能である。
【0025】
以上説明した各実施形態において、小突起17は、切込み14,15から紐状体Bが抜け出ることを防ぐことに役立つ。なお、図1〜図8では、同一又は相応する部分に同一符号を付して説明を簡略化した。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る結束具によれば、多数本のハーネスなどの被結束体を束ねることができる。また、多数本のハーネスなどの被結束体を束ねるときに、きつく束ねることが可能であり、また、結束作業を安全に行うことができる。したがって、ハーネスを束ねて運搬するようなときに便利に使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例による結束具に用いられる止め具の平面図である。
【図2】 図1のII線矢視図である。
【図3】 使用状態正面図である。
【図4】 本発明の第2実施例による結束具に用いられる止め具の平面図である。
【図5】 図4のV線矢視図である。
【図6】 使用状態正面図である。
【図7】 紐状体の側面図である。
【図8】 変形例による紐状体の側面図である。
【符号の説明】
A 止め具
B 紐状体
C 被結束体
1 保持部
5 把手部
7 凸部(係止手段)
12,13 板状片部
14,15 切込み
71 巻付け始部
72 巻付け終部
Claims (4)
- 被結束体に巻き付けられる紐状体と、被結束体に巻き付けられた上記紐状体の巻付け始部と巻付け終部とを離脱可能に保持する保持部を備えた止め具とからなり、
上記止め具の保持部が板片状に形成されており、その保持部に、紐状体の巻付け始部と巻付け終部とが差し込まれる切込みが設けられ、上記紐状体は、上記巻付け始部又は上記巻付け終部が上記切込みに差し込まれているときに上記保持部に係止する係止手段を備えており、
上記保持部が、く字形に連設された2つの板状片部に分かれており、一方の板状片部に上記巻付け始部に対する切込みが形成され、他方の板状片部に上記巻付け終部に対する切込みが形成されていると共に、一方の板状片部に形成された切込みの長さ方向と他方の板状片部に形成された切込みの長さ方向とが互いに直交する方向になっていることを特徴とする結束具。 - 上記止め具が把手部を有する請求項1に記載の結束具。
- 上記紐状体が弾性部材でなる請求項1又は請求項2に記載の結束具。
- 上記係止手段が、紐状体に設けられた凸部でなる請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載の結束具。
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