JP3804781B2 - ガスフィルター装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物焼却炉、焼却灰の溶融炉等にて発生する高温の排ガスを除塵するガスフィルター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物焼却炉や焼却灰の溶融炉等から発生するダストを含む排ガスを集塵する際には、主として電気集塵機もしくはバグフィルターが用いられてきた。しかし、近年ダイオキシンが再合成されるという指摘によって電気集塵機の使用が敬遠されており、バグフィルターが多用されるようになっている。ところが、このバグフィルターを集塵に用いる場合その耐熱性の限界を考慮にいれる必要があり、排ガスをバグフィルターに導入する前にその排ガスの温度を150℃〜200℃に減温することが必要になる。
【0003】
ところで、最近高温ガスに対しても適応可能なフィルターとして、耐熱性を有する多孔質性のセラミックフィルターが開発され実用化されている。このセラミックフィルターは固体で直径10〜20μmの貫通孔を持ち、この中に排ガスを通過させることによってその排ガス中のダストを濾過して除去するもので、その形状としては、棒状、平板状など任意のものを製造することが可能である。
【0004】
そこで、このようなセラミックフィルターを用いて高温排ガス中のダストを除去するガスフィルター装置が開発され、本出願人らによって特開2001−179024号公報で提案されている。
【0005】
図4に、先出願のガスフィルター装置の水平断面図(a)および外形(左半分)ならびに垂直断面図(右半分)(b)が示され、図5に図4の要部断面図(R部拡大断面図)が示されている。
【0006】
この先出願のガスフィルター装置100は、図4で示されるように、円筒状の胴部を有する外筒101とその外筒101の内側で同心円上に設けられる内筒102とを有するケーシング103を備えている。このケーシング103には、外筒101と内筒102とに囲まれた内部空間を画成するために、上部に蓋体104が、下部に断面逆三角形状の環状ホッパ105がそれぞれ設けられ、前記蓋体104の一部に排ガスを導入するガス導入口106が開口されている。同様に内筒102の内部空間を画成するために下部に蓋体107が設けられるともに、上部に清浄ガスを導出するガス導出口108が設けられている。なお、図示を省略されているが、前記環状ホッパ105の下部にはダスト搬出用のコンベア(例えばスクリューコンベア)が配されている。
【0007】
前記外筒101と内筒102との間には、複数個の円筒状(あるいは角筒状)のセラミックフィルター110が平行配列されている。このセラミックフィルター110は、内筒102の中心軸を中心として水平方向に放射状に、かつ上下方向に多段に配されている。
【0008】
これらセラミックフィルター110は、図5に示されるように、一端部に逆洗空気吹き込み口111を備え、他端部がガス通過口112に繋がるようにされている。このセラミックフィルター110の装着固定部位には、外筒101の壁体に貫通孔113が穿設されるとともに、内筒102の壁体に、セラミックフィルター110の他端部が嵌合固定されるように構成されている。
【0009】
このようにして配設されるセラミックフィルター110の逆洗空気吹き込み口111には、外筒101の外側面に沿って配管されるパルス管120から分岐される逆洗空気吹き込み管121がその先端を挿入されて配されている。この逆洗空気吹き込み管121の装着機構122は、外筒101の外壁面に設けられる呼び出し口123、この呼び出し口123のフランジ123'でボルト締結されているキャップ124および、このキャップ124の内部で外筒101の壁体の貫通孔113からやや突出しているセラミックフィルター110の端面をシールするガスケット125を付勢するコイルバネ126から構成されており、前記逆洗空気吹き込み管121はキャップ124の中央部に貫通挿入されて、その先端がセラミックフィルター110の内部に臨むようにされている。なお、前記キャップ124の内部は、呼び出し口123とのフランジ部においてガスケット127によりシールされており、セラミックフィルター110の端部は、その突出部分の外周と呼び出し口123との間でグランドパッキン128によってシールされて、濾過されるガス並びに逆洗空気の漏出を防止するようにされている。また、セラミックフィルター110のガス通過口112側には、その通過面積を小さくして逆洗空気の通過を規制するガス通過抑制手段(オリフィス)129が設けられており、このオリフィス129とガス通過口112の大径部分の間には、ダストを含む排ガスの外筒101−内筒102間の流動を妨げるためのガスケット130が設けられている。
【0010】
このように構成されているガスフィルター装置100においては、ガス導入口106からダストを含む排ガスが導入されると、この排ガスは環状の内部空間で各セラミックフィルター110の細孔を通ってそのセラミックフィルター110の内部に入り、ダストを濾過された清浄ガスとなってそのセラミックフィルター110の端部からガス通過口112および内筒102の内部空間を通ってガス導出口108から系外に排出される。その際ダストはセラミックフィルター110の外表面および細孔内に蓄積されるため、定期的にパルス管120から空気を送り、前記セラミックフィルター110の管内に逆洗空気を供給して、ダストをセラミックフィルター110から払い落とす必要がある。こうして払い落とされたダストは環状内部空間の下部に配されている環状ホッパ105に溜り、ダスト搬出用のコンベアによって系外に排出される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来構造のガスフィルター装置によれば、温度調整用の機能が備えられていないため、前記ガスフィルター装置の内部に導入される高温の排ガスによって、外筒101の温度と内筒102の温度とが不均一となって温度差による伸び量に差が生じ、外筒101、内筒102に両端が固定されるセラミックフィルター110に位置ズレが生じ、それらセラミックフィルター110を平行に保持することができないという問題点がある。そのため、セラミックフィルターの端部および、端部の固定部に負担が生じ、フィルターの固定およびダストシールが困難になるという問題点がある。
【0012】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、ケーシングの温度を均一にして、内部に配されるセラミックフィルターを平行に保持することのできるガスフィルター装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明によるガスフィルター装置は、
筒状に配される外壁部と、この外壁部に取り囲まれる内部空間に設けられる隔壁部とを有し、この隔壁部によって、前記内部空間が、排ガスが導入されるガス導入室と、除塵後の清浄ガスを導出するガス導出室に画成されるとともに、前記外壁部にセラミックフィルターの一端部が、前記隔壁部にそのセラミックフィルターの他端部がそれぞれ固定されて、前記ガス導入室を跨ぐようにそのセラミックフィルターが架設されてなるガスフィルター装置において、
前記外壁部および隔壁部の双方に、熱交換用のボイラー水管を配することを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、セラミックフィルターの端部が固定される外壁部および隔壁部の双方に熱交換用のボイラー水管が配されているため、そのボイラー水管の管内に、例えば均一な温度の飽和水等を循環させることで、外壁部および隔壁部それぞれの温度を調整して、外壁部および隔壁部の温度を均一化し、外壁部と隔壁部の伸びを均一にすることができる。そのため、例えば、セラミックフィルターを外壁部−隔壁部間に平行配列させた場合、それらセラミックフィルターを初期の平行配列のままに保持することができる。こうして、セラミックフィルターの端部およびその固定部に生じる負担を減らすことができ、フィルターの固定状態を良好に維持することができる。
【0015】
本発明において、前記外壁部および隔壁部は、耐火物によって内張りされるのが好ましい。このようにすれば、排ガスの温度低下を抑制することが可能となり、高温状態を保持したままの集塵装置として対応することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるガスフィルター装置の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1に実施形態に係るガスフィルター装置の水平断面図(a)および外形(左半部)並びに垂直断面図(右半部)(b)が図示され、図2(a)に図1(a)のP部拡大断面図が、図2(b)に図1(b)のQ部拡大断面図がそれぞれ示されている。
【0018】
本実施形態によるガスフィルター装置1は、円筒状の胴部を有する外筒2(本発明の外壁部に相当)と、この外筒2の内部で同心円状に設けられる内筒3(本発明の隔壁部に相当)を有するケーシング4を備えており、前記内筒3によって外筒2の内部空間が画成されている。このケーシング4の内外両筒2、3間の環状の内部空間(本発明のガス導入室に相当)の上部には蓋体5が、下部には断面逆三角形状のホッパ6がそれぞれ設けられている。また、前記蓋体5の一部には排ガスを導入するためのガス導入口7が設けられている。前記内筒3の内部空間(本発明のガス導出室に相当)の下部には蓋体8が、上部には除塵された排ガスを導出するためのガス導出口9がそれぞれ設けられている。
【0019】
前記外筒2は、一定のピッチで円周状に縦方向に配されるボイラー水管10と、互いに隣接するボイラー水管10、10間の隙間を埋めるように、そのボイラー水管10、10間に溶着される鉄製の外壁部材11から構成されている。一方、前記内筒3は、一定のピッチで円周状に縦方向に配されるボイラー水管10と、互いに隣接するボイラー水管10、10間の隙間を埋めるように、それらボイラー水管10、10の間に内側(内筒3の中心軸側)から溶着される鉄製の内壁部材12から構成されている。また、前記外筒2および内筒3に配されるボイラー水管10の管内には、均一温度の飽和水(あるいは、飽和蒸気)が循環するようにされており、外筒2内筒3双方の温度調整が可能なようにされている。
【0020】
このように構成される内外両筒2、3間には、複数個の円筒状(あるいは角筒状)のセラミックフィルター13が、内筒3の中心軸を中心として水平方向に放射状に、上下方向に多段に配置されている。
【0021】
前記外壁部材11には、セラミックフィルター13の一端部側(外筒2側)の固定部に対応するように、セラミックフィルター13の外径と略同径の貫通孔15が穿設され、この貫通孔15の周縁部には、円筒状の呼び出し口16が外方に向けて設けられている。
【0022】
また、前記呼び出し口16の内周面と、前記セラミックフィルター13の外周面との間には、セラミックフィルター13の外周面からの排ガスの漏出を防止するためのグランドパッキン17が配されている。また、前記呼び出し口16の端部にはフランジ部が設けられ、このフランジ部にキャップ18のフランジ部がボルト締結されるように構成されている。さらに、前記キャップ18の中心部には、外筒2に沿うように配されるパルス管20から分岐された分岐配管20'を挿入するための挿入口18'が設けられており、この分岐配管20'は、その挿入口18'から挿入されて、その先端部が前記セラミックフィルター13の内周部に臨むようにされている。前記キャップ18の内部には、コイルバネ21が配されており、このコイルバネ21によって前記セラミックフィルター13の一端部に装着されるガスケット14を環状部材22を介して押圧するようにされている。
【0023】
一方、前記内壁部材12には、前記セラミックフィルター13の他端部側(内筒3側)に対応するように前記セラミックフィルター13の他端部が嵌合される貫通孔23が形成されている。この貫通孔23は、セラミックフィルター13の外径と略同径にされ、その内周面には内側(内筒3の中心軸)寄りの位置に雌ねじ部23aが形成されている。また、この雌ねじ部23aには、フランジ状の頭部24aと雄ねじ部24bからなる雄型支持部材24が螺合されている。
部24aと雄ねじ部24bからなる雄型支持部材24が螺合されている。
【0024】
前記雄型支持部材24は、その軸線上に穿設された貫通孔24cを有しており、その雄型支持部材24が前記内壁部材12に配された際に、前記セラミックフィルター13の管内に導入される除塵後の排ガスを、内筒3の内部空間に導くようにされている。また、前記セラミックフィルター13の他端部には、断面逆テーパ状の孔が穿設されたオリフィス板27が、その小径側の開口を有する端面がセラミックフィルター13側となるよう取り付けられており、セラミックフィルター13管内の急激な圧力低下を防止し、後述の逆洗操作が可能なようにされている。なお、前記雄型支持部材24のフランジ状の頭部24aと内壁部材12の内壁面との間にはガスケット25が、前記オリフィス板27の端面と、雄型支持部材24の雄ねじ部24bの端面との間には、パッキン26がそれぞれ配されており、内外両筒2、3間の環状空間から、内筒3の内部空間へのダストが処理されない排ガスの漏出を防止するようにされている。
【0025】
このように構成されるガスフィルター装置1には、外筒2−内筒3間の環状空間の上部に配されるガス導入口7からダストを含んだ高温の排ガスが導入される。内外両筒2、3間の環状空間に導入された排ガスは、前記セラミックフィルター13によって濾過されて清浄化された後、このセラミックフィルター13の管内を通って、内筒3の内部空間に導かれ、その後内筒3の上部に設けられるガス導出口9より系外に導出される。この際、ダストはセラミックフィルター13の外表面および細孔内に蓄積されるため、前記セラミックフィルター13の管内に圧縮空気を定期的に噴出し、セラミックフィルター13の逆洗が行われる。なお、この逆洗により払い落とされたダストは、下方の環状ホッパ6から系外に排出される。
【0026】
本実施形態におけるガスフィルター装置1によれば、セラミックフィルター13の両端をそれぞれ支持している外筒2および内筒3の双方にボイラー水管10が配されているため、そのボイラー水管10に均一温度の飽和水(あるいは飽和蒸気)を循環させて外筒2、内筒3の温度を調整し、両筒2、3の高温排ガスによる伸びを均一にすることができる。このため、前記セラミックフィルター13を平行配列のまま保持することができる。こうして、セラミックフィルター13の端部および、端部の固定部に生じる負担を減らすことができ、セラミックフィルター13の固定状態を良好に維持することができる。
【0027】
本実施形態においては、外筒2と内筒3を円筒状に形成したものについて説明したが、図3(a)に示されるように、これら外筒2Aと内筒3Aを四角筒状に形成しても良い。この場合にも、外筒2Aおよび内筒3Aの双方にボイラー水管10を等ピッチで配するようにする。なお、セラミックフィルター13は、外筒2Aおよび内筒3Aの互いに対向する面に配されて、その内外両筒2A、3A間に平行配列される。これ以外の点については前記実施形態のものと基本的に異なるところがないため、その詳細な説明を省略する。
【0028】
また、図3(b)に示されるように、複数個のボイラー水管10が配される四角筒状の外筒2Bの互いに対向する壁部に、複数個のボイラー水管10が配された二枚の隔壁30を、互いに対向するように取り付けるようにする実施形態も可能である。この場合、二枚の隔壁30、30および、外筒2の壁部によって囲まれる内室部31(本発明におけるガス導出室に相当)の上部に、清浄化された排ガスを導出するためのガス導出口(図示せず)が設けられ、その二枚の隔壁30、30を介して前記内室部31の左右にそれぞれ隣接配置される外室部32、32(本発明におけるガス導入室に相当する。)の上部に、排ガスを導入するためのガス導入口(図示せず)が設けられ、両外室部32、32内に、複数個のセラミックフィルター13が多列多段に平行配列される。
【0029】
前記各実施形態においては、内壁部および外壁部をいずれも鉄製の壁部材で構成したものを説明したが、極端に高温の排ガスを除塵する際等、温度コントロールが必要な場合には、外筒および内筒(もしくは隔壁)に、耐火物を内張りすることもできる。この場合にも、この耐火物に沿うようにボイラー水管を配するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るガスフィルター装置の水平断面図(a)および外形(左半部)並びに垂直断面図(右半部)(b)である。
【図2】図2は、図1(a)のP部拡大断面図(a)および、図1(b)のQ部拡大断面図(b)である。
【図3】図3(a)(b)は、他の実施形態における、ガスフィルター装置の水平断面図である。
【図4】図4は、従来のガスフィルター装置を示す水平断面図(a)および外形(左半部)並びに垂直断面図(右半部)(b)である。
【図5】図5は、図4の部分拡大断面図である(図4(b)のR部拡大断面図)
【符号の説明】
1、1A、1B ガスフィルター装置
2、2A、2B 外筒
3、3A 内筒
4、4A、4B ケーシング
10 ボイラー水管
13 セラミックフィルター
30 隔壁
Claims (2)
- 筒状に配される外壁部と、この外壁部に取り囲まれる内部空間に設けられる隔壁部とを有し、この隔壁部によって、前記内部空間が、排ガスが導入されるガス導入室と、除塵後の清浄ガスを導出するガス導出室に画成されるとともに、前記外壁部にセラミックフィルターの一端部が、前記隔壁部にそのセラミックフィルターの他端部がそれぞれ固定されて、前記ガス導入室を跨ぐようにそのセラミックフィルターが架設されてなるガスフィルター装置において、
前記外壁部および隔壁部の双方に、熱交換用のボイラー水管を配することを特徴とするガスフィルター装置。 - 前記外壁部および隔壁部は、耐火物によって内張りされる請求項1に記載のガスフィルター装置。
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