JP3804616B2 - Inkjet head manufacturing method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字面にインクの微小液滴を噴射させることにより画像を形成するためのインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から知られているインクジェットヘッドの一般的な構成の一つに、圧力室を複数形成するとともに、それぞれの圧力室に対応させてノズルを開口し、各ノズルを対応する圧力室の一端に接続させたものがある(特許文献1)。
【0003】
この構成で、インク供給源(例えば、インクタンク)からのインクは、いったん共通インク室へ供給された後、該共通インク室から複数の圧力室に分配される。そして、アクチュエータにより各圧力室に選択的に圧力を付与することで、その圧力室に対応するノズルからインクが噴射されて、印字面に画像を形成するようになっている。
【0004】
このヘッドは、金属製などの薄い平板を複数枚積層し接着して形成するのが一般的である。前述の圧力室や共通インク室は、当該金属板にエッチングを施して形成される。
【0005】
ここで、ノズルや圧力室がゴミ等で閉塞しないように、共通インク室とインクタンク(インク供給源)とを接続するインク供給通路や、共通インク室と圧力室との間のインク流路に、フィルタを設けて、ゴミや不純物などが圧力室やノズルへ到達する前に除去できるようにした構成も知られている(特許文献2)。
【0006】
また、共通インク室と圧力室との間に、流路断面積を絞った構成の制限流路を設けて、インク噴射時に圧力室に供給されるインク量を調整し、インク噴射量の過剰あるいは過少を防止できるようにした構成も知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−314836号公報
【特許文献2】
米国特許第5734399号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで近年、インクジェット記録の高解像度化のニーズにより、インクジェットヘッド構造の微細化・高集積化が進んでおり、この状況の下で、上述の制限流路やフィルタを内部に有するインクジェットヘッドを簡単に製造できるようにする要請が高まっている。
【0009】
本発明の目的は、製造工程を簡素化できるインクジェットヘッドの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、インクを吐出するノズルと、前記ノズルとインク供給源とを繋ぐインク通路と、積層されることで前記インク通路を内部に形成する、複数の平板と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、以下の(A)〜(H)の行程を少なくとも含む、インクジェットヘッドの製造方法である。
(A)金属平板の一側の面に、第一の感光性樹脂層を形成する工程。
(B)前記金属平板の他側の面に、第二の感光性樹脂層を形成する工程。
(C)前記インク通路の一部をなす第一通路に対応するパターンが形成されたマスクを用いて、前記第一の感光性樹脂層に選択的に露光を行う工程。
(D)前記第一の感光性樹脂層の露光部分または非露光部分を除去する工程。
(E)前記第一の感光性樹脂層の除去された部分に相当する形状を前記金属平板にエッチングして、前記第一通路を形成する工程。
(F)前記インク通路の一部をなす第二通路およびフィルタに対応するパターンが形成されたマスクを用いて、前記第二の感光性樹脂層に選択的に露光を行う工程。
(G)前記第二の感光性樹脂層の露光部分または非露光部分を除去することで、前記第一通路に接続する前記第二通路、およびフィルタを形成する工程。
(H)前記(A)〜(G)の工程が施された平板を他の平板と積層する工程。
【0011】
これにより、第二の感光性樹脂層に、フィルタと、平板に形成した第一通路に接続する第二通路と、を形成することができる。従って、フィルタを別部材で設けたり、他の平板にフィルタや第二通路を形成する構成に比して、部品構成を簡素化でき、製造工数を低減できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔インクジェット記録装置〕
図1は、本発明の実施形態によるインクジェットヘッドを含むインクジェットプリンタの概略図である。図1に示すインクジェットプリンタ901は、四つのインクジェットヘッド1を有するカラーインクジェットプリンタである。このプリンタ901には、図中左方に給紙部911が、図中右方に排紙部912が、それぞれ構成されている。
【0013】
プリンタ901内部には、給紙部911から排紙部912に向かって用紙が搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙部911のすぐ下流側には、画像記録媒体たる用紙を挟持搬送する一対の送りローラ905a、905bが配置されている。一対の送りローラ905a、905bによって用紙は図中左方から右方へ送られる。用紙搬送経路の中間部には、二つのベルトローラ906、907と、両ローラ906、907間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト908とが配置されている。搬送ベルト908の外周面すなわち搬送面にはシリコーン処理が施されており、一対の送りローラ905a、905bによって搬送されてくる用紙を、搬送ベルト908の搬送面にその粘着力により保持させながら、一方のベルトローラ906の図中時計回り(矢印904の方向)への回転駆動によって下流側(右方)に向けて搬送できるようになっている。
【0014】
用紙のベルトローラ906に対する挿入及び排出位置には、押さえ部材909a,909bがそれぞれ配置されている。押さえ部材909は、搬送ベルト908上の用紙が搬送面から浮かないように、搬送ベルト908の搬送面に用紙を押し付けて搬送面上に確実に粘着させるためのものである。
【0015】
用紙搬送経路に沿って搬送ベルト908のすぐ下流側には、剥離機構910が設けられている。剥離機構910は、搬送ベルト908の搬送面に粘着されている用紙を搬送面から剥離して、右方の排紙部912へ向けて送るように構成されている。
【0016】
四つのインクジェットヘッド1は、その下端にヘッド本体1a(後述するように、圧力室20を含むインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室20内のインクに圧力を与えるアクチュエータユニット30とが貼り合わされたものである)を有している。ヘッド本体1aは、それぞれが矩形断面を有しており、その長手方向が用紙搬送方向に垂直な方向(図1の紙面垂直方向)となるように互いに近接配置されている。つまり、このプリンタ901は、ライン式プリンタである。四つのヘッド本体1aの各底面は用紙搬送経路に対向しており、これら底面には、微小径を有する多数のインク吐出口が形成されたノズルが設けられている。四つのヘッド本体1aのそれぞれからは、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのインクが吐出される。
【0017】
ヘッド本体1aは、その下面と搬送ベルト908の搬送面との間に少量の隙間が形成されるように配置されており、この隙間部分に用紙搬送経路が形成されている。この構成で、搬送ベルト908上を搬送される用紙が四つのヘッド本体1aのすぐ下方側を順に通過する際、この用紙の上面すなわち印刷面に向けてノズルから各色のインクが噴射されることで、用紙上に所望のカラー画像を形成できるようになっている。
【0018】
インクジェットプリンタ901は、インクジェットヘッド1に対するメンテナンスを自動的に行うためのメンテナンスユニット917を有している。このメンテナンスユニット917には、四つのヘッド本体1aの下面を覆うための四つのキャップ916や、図示せぬパージ機構などが設けられている。
【0019】
メンテナンスユニット917は、インクジェットプリンタ901で印刷が行われているときには、給紙部911の直下方の位置(退避位置)に位置している。そして、印刷終了後に所定の条件が満たされたとき(例えば、印刷動作が行われない状態が所定の時間だけ継続したときや、プリンタ901の電源OFF操作がされたとき)は、四つのヘッド本体1aの直ぐ下方の位置に移動して、この位置(キャップ位置)にて、キャップ916によってヘッド本体1aの下面をそれぞれ覆い、ヘッド本体1aのノズル部分のインクの乾燥を防止するようになっている。
【0020】
ベルトローラ906、907や搬送ベルト908は、シャーシ913によって支持されている。シャーシ913は、その下方に配置された円筒部材915上に載置されている。円筒部材915は、その中心から外れた位置に取り付けられた軸914を中心として回転可能となっている。そのため、軸914の回転に伴って円筒部材915の上端高さが変化すると、それに合わせてシャーシ913が昇降する。メンテナンスユニット917を退避位置からキャップ位置に移動させる際には、予め円筒部材915を適宜の角度回転させてシャーシ913、搬送ベルト908及びベルトローラ906、907を図1に示す位置から適宜の距離だけ下降させ、メンテナンスユニット917の移動のためのスペースを確保しておく必要がある。
【0021】
搬送ベルト908によって囲まれた領域内には、インクジェットヘッド1と対向する位置、つまり上側にある搬送ベルト908の下面と接触することによって内周側からこれを支持するほぼ直方体形状(搬送ベルト908と同程度の幅を有している)のガイド921が配置されている。
【0022】
次に、インクジェットヘッド1の構造について、より詳細に説明する。図2は、インクジェットヘッド1の斜視図である。図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。図2及び図3に示すように、本実施の形態によるインクジェットヘッド1は、一方向(主走査方向)に延在した矩形平面形状を有するヘッド本体1aと、ヘッド本体1aを支持するための基部931とを有している。基部931は、ヘッド本体1aのほかに、後述の個別電極などに駆動信号を供給するドライバIC932及び基板933を支持している。
【0023】
基部931は、図2及び図3に示すように、ヘッド本体1aの上面と部分的に接着されることでヘッド本体1aを支持するベースブロック938と、ベースブロック938の上面と接着されることでベースブロック938を保持するホルダ939とから構成されている。ベースブロック938は、ヘッド本体1aの長尺方向長さとほぼ同じ長さを有する略直方体形状の部材である。ステンレスなどの金属材料からなるベースブロック938は、ホルダ939を補強する軽量の構造体としての機能を有している。ホルダ939は、ヘッド本体1a側に配置されるホルダ本体941と、ホルダ本体941からヘッド本体1aとは反対側に延在した一対のホルダ支持部942とから構成されている。一対のホルダ支持部942は、いずれも平板状の部材であって、ホルダ本体941の長尺方向に沿って所定の間隔を隔てて互いに平行に設けられている。
【0024】
ホルダ本体941の副走査方向(主走査方向と直交する方向)両端部には、下方に突出した一対のスカート部941aが設けられている。ここで、一対のスカート部941aは、いずれもホルダ本体941の長尺方向全幅にわたって形成されているため、ホルダ本体941の下面には、一対のスカート部941aによって略直方体形状の溝部941bが形成されている。この溝部941b内に、ベースブロック938が収納されている。ベースブロック938の上面と、ホルダ本体941の溝部941bの底面とは、接着剤などによって接着されている。ベースブロック938の厚さは、ホルダ本体941の溝部941bの深さよりも若干大きいため、ベースブロック938の下端部は、図3に示すように、スカート部941aよりも下方に飛び出している。
【0025】
ベースブロック938の内部には、ヘッド本体1aに供給されるインクの流路として、その長尺方向に延在する略直方体形状の空隙(中空領域)であるインク溜まり903が形成されている。ベースブロック938の下面945には、インク溜まり903に連通した開口903bが形成されている。なお、インク溜まり903は、プリンタ本体内の図示しないメインインクタンク(インク供給源)に、図示しない供給チューブにより接続されている。そのため、インク溜まり903には、メインインクタンクから適宜インクが補充されるようになっている。
【0026】
ベースブロック938の下面945は、開口903bの近傍において周囲よりも下方に飛び出している。そして、ベースブロック938は、開口903bの近傍においてのみヘッド本体1aの流路ユニット(後述するキャビティプレート組10x)と接触している(図3参照)。そのため、ベースブロック938の下面945の開口903b近傍以外の領域は、ヘッド本体1aから離隔しており、この離隔部分にアクチュエータユニット30が配されている。
【0027】
ホルダ939のホルダ支持部942の外側面には、スポンジなどの弾性部材937を介してドライバIC932が固定されている。ドライバIC932の外側面には、ヒートシンク934が密着配置されている。ヒートシンク934は、略直方体形状の部材であって、ドライバIC932で発生する熱を効率的に散逸させる。ドライバIC932には、給電部材であるフレキシブルプリント配線板(FPC)936が接続されている。ドライバIC932に接続されたFPC936は、基板933及びヘッド本体1aと、ハンダ付けによって電気的に接合されている。ドライバIC932およびヒートシンク934の上方であって、FPC936の外側には、基板933が配置されている。ヒートシンク934の上面と基板933との間、および、ヒートシンク934の下面とFPC936との間は、それぞれシール部材949で接着されている。
【0028】
ホルダ本体941のスカート部941aの下面と流路ユニット10xの上面との間には、FPC936を挟むようにシール部材950が配置されている。つまりFPC936は、流路ユニット10xおよびホルダ本体941に対してシール部材950によって固定されている。これにより、ヘッド本体1aが長尺化した場合の撓みの防止、アクチュエータユニット30とFPC936との接続部に応力が加わることの防止およびFPC936の確実な保持が可能となる。
【0029】
図2に示すように、インクジェットヘッド1の主走査方向に沿った下方角部近傍には、インクジェットヘッド1の側壁に沿って6つの凸設部18aが均等に離隔配置されている。これら凸設部18aは、ヘッド本体1aの最下層にあるノズルプレート(後述する第八の平板)18の副走査方向両端部に設けられた部分である。つまり、図3に示すように、ノズルプレート18は、凸設部18aとそれ以外の部分との境界線に沿って約90度折り曲げられている。凸設部18aは、プリンタ901において印刷に用いられる各種サイズの用紙の両端部付近に対応する位置に設けられている。ノズルプレート18の折り曲げ部分は直角ではなく丸みを帯びた形状となっているため、ヘッド1と近接する方向に搬送されてきた用紙の先端部がヘッド1の側面と接触することで生じる用紙の詰まりすなわちジャミングが起こりにくくなっている。
【0030】
〔第一実施形態〕
インクジェットヘッドのヘッド本体1aは、図4に示される前述の流路ユニットとしてのキャビティプレート組10と、その上面に図5のように固定されるアクチュエータユニット30とからなる。
【0031】
このキャビティプレート組10は、図示しないインクタンク(インク供給源)からインクを供給するためのインク供給口41を上面に開口させた構成となっている。このインク供給口41が、キャビティプレート組10内部に形成される共通インク室23に、インク供給通路42を介して接続される。インク供給通路42の中途には、第一のフィルタ61が設けられている。
インク供給口41は、前述のベースブロック938の下面945に形成された開口903b(図3に図示)に位置を合わせて設けられている。従って、インク供給口41には、前記インク溜まり903内のインクが適宜供給される。
【0032】
キャビティプレート組10の上面には、菱形状の圧力室20が凹設される。圧力室20は図面では代表して一つのみ示されているが、実際は、共通インク室23の長手方向(図4・図5に示すQ方向)に多数個並べて設けられている。この圧力室20のそれぞれが、前述の共通インク室23に、後述するトラップフィルタ70および制限流路56を介して連通されている。
【0033】
圧力室20のそれぞれに対応させて、キャビティプレート組10の下面には、インク滴を噴射するためのノズル21が開口される。対応する圧力室20とノズル21とは、連絡通路22を介して連通されている。
【0034】
図5に鎖線で略示するように、平板状のアクチュエータユニット30が、キャビティプレート組10の上面に接着されている。アクチュエータユニット30は、前述の複数並べて設けられた圧力室20の上側を閉鎖するように設けられている。
【0035】
このアクチュエータユニット30は、特開平3−274159号公報に開示されるものと同様のものである。即ち、圧電セラミックス層と電極とを交互に積層して、圧電セラミックス層を挟む電極のうち少なくとも一方(個別電極)を圧力室20の平面形状とほぼ相似形でかつそれよりもやや小さい平面形状としている。この個別電極は、圧電セラミックス層を挟む他方の電極とともに、前述のFPC936を介してドライバIC932に電気的に接続されており、圧電セラミックス層を挟む二つの電極間に電圧を印加することができる。こうして印加される電圧によって、圧力室20に対応する部分の圧電セラミックス層を変形させて圧力室20内のインクに圧力を与え、その結果、インクをノズル21から噴射させることができる。
【0036】
ただし、アクチュエータユニット30は、上記圧電または電歪変形のほか、静電気、磁気、熱によるインクの局部的な沸騰などの力を利用してインクに噴射圧力を付与するものを用いることもできる。
【0037】
キャビティプレート組10は、図5に示すように、八枚の薄い平板11〜18を積層して相互に接着した構造である。図6には、キャビティプレート組10の積層構造が、分解斜視図で示されている。
【0038】
なお、以下では、構成の説明の便宜のため、平板11〜18のそれぞれを特定する際は、ノズル21から遠い側から数えて「第○の平板」と称することとする。図で最も上側に示されている平板11は第一の平板、最も下側に示されている平板18は第八の平板になる。なお、本実施形態に関する記述においては、八枚の平板11〜14のうち第四の平板14に注目し、これを「平板部材」と称することがある。
【0039】
この第一実施形態において、平板11〜18は、第四の平板14(平板部材)を除き、いずれも金属製としてある。第四の平板14はポリイミドにより構成している。
【0040】
図5に示すように、第一の平板11においては、前述の複数の圧力室20が、エッチングにより形成される。また、第八の平板18においては、前述の圧力室20のそれぞれに対応させたノズル21が、プレスにより穿設されている。
【0041】
図6に示すように、第二から第七の平板12〜17は貫通状の連通孔82〜87をそれぞれ備えている。それぞれの連通孔82〜87は、第一〜第八の平板11〜18を積層したときに互いに接続されて、圧力室20とノズル21とを繋ぐ連絡通路22を図5のように形成する。
【0042】
共通インク室23の構成を説明する。第六・第七の平板16・17にはいずれもエッチングが施されて、第一の空間71が形成されている。また、すぐ上にある第五の平板15にもエッチングが施され、第一の空間71よりも幅が狭い第二の空間72が形成されている。
【0043】
第五〜第七の平板15〜17を積層することにより、第一の空間71と第二の空間72とが接合されて、共通インク室23が構成される。
【0044】
本実施形態においては上述のとおり、第一の平板11に圧力室20が形成されているから、この第一の平板11が圧力室形成層(以下、「第一の平板層」と称する)Aに相当する。また、第五〜第七の平板15〜17に共通インク室23が形成されているので、この第五〜第七の平板15〜17が、共通インク室形成層(以下、「第二の平板層」と称する)Bに相当する。
平板部材たる第四の平板14は、この第一の平板層Aと、第二の平板層Bとの間に位置する。
【0045】
この第一実施形態においては、共通インク室23の圧力変動を吸収するダンパ構造が、第四の平板(平板部材)14に設けられている。即ち、共通インク室23をなす前述の第二の空間72は第五の平板15に貫通状に穿設されているため、共通インク室23は、平板部材たる第四の平板14に対し、下側で面することとなる。また、共通インク室23と反対側(ノズル21から遠い側)でこの平板部材14に面する第三の平板13にもエッチングが施され、前述の第二の空間72と対応する形状の空間73が形成されている。
【0046】
この平板部材14は適宜弾性を有する素材で構成されており、前記の空間73が形成されていることにより、平板部材14の符号80で示す部位(ダンパ部)は、共通インク室23側にも、前記空間73側にも、自由に振動することができる。
この結果、インク噴射時に圧力室20で発生した圧力変動が共通インク室23に伝播しても、該平板部材14のダンパ部80が弾性変形して振動することによって当該圧力変動を吸収減衰させることができ(ダンパ作用)、圧力変動が他の圧力室20へ伝播してしまうクロストークを防止することができる。即ち、前記空間73は、ダンパ室としての役割を果たし、該平板部材14はダンパ室の少なくとも一部の壁部(ダンパ部80)を構成する。
【0047】
次に、共通インク室23と圧力室20との間のインク流路を説明する。
共通インク室23から前述の圧力室20へインクを導くための導入孔51・52が、第五の平板15および平板部材14に穿設される。
【0048】
第三の平板13においては、その一端を前記導入孔51・52に接続させるフィルタ連絡孔53が穿設される。このフィルタ連絡孔53は略三角形状に形成されて、第四の平板(平板部材)14に穿設されるトラップフィルタ70に接続される。
【0049】
図4や図6に示すように、トラップフィルタ70は細い流路54を三本並べた構成とされる。各流路54は平板部材14に細長い孔を貫通状に穴あけ加工することにより形成され、それぞれの流路54の一端は前記フィルタ連絡孔53に接続される。図4に示すように、各流路54の中途部は特に細く絞られており、この絞り部にてインク内の不純物を捕捉できるようになっている。
このトラップフィルタ70は、前記平板部材14の中を面方向にインクを流すことで、インクを濾過する形式のフィルタである。
【0050】
ここで、この平板部材14は他の平板(11〜13、15〜18)に比して相対的に薄く(薄膜状に)構成してあり、特に、平板部材14の厚みは、ノズル21の直径よりも小さくなるようにしている。このため、ノズル21を詰まらせるような大きさのゴミや不純物は、インク流路中の当該平板部材14に形成したフィルタ70の前記絞り部によって、ノズル21に到達する前に必ず捕捉されることとなる。従って、ノズル21の詰まりが確実に回避されるので、ドット抜け等の印字品質のトラブルが発生しにくいインクジェットヘッドを提供できる。
【0051】
トラップフィルタ70の三本の流路54の他端は、いずれも、第三の平板13に穿設された制限流路連絡孔55に接続される。この制限流路連絡孔55は更に、第四の平板(平板部材)14に穿設される制限流路56に接続される。
【0052】
この制限流路56は、前述のトラップフィルタ70のすぐ脇の位置で貫通状に設けた長孔とされ、第三と第五の平板13・15の間で該制限流路56を通過するインクの流量を制限することによって、圧力室20へのインクの供給量を調節し、ノズル21からのインクの噴射量を適切に調整する役割を果たす。
【0053】
この制限流路56は、前記第四の平板14に設けられるものであって、この第四の平板(平板部材)14は、圧力室20を形成する第一の平板11や、共通インク室23を形成する第五〜第七の平板15〜17とも異なる高さの平板である。この結果、制限流路56は、平板の積層方向において、圧力室20とも共通インク室23とも異なる高さに設けられることになる。
また、図5に示すように、この制限流路56は、平板11〜18の積層方向へのその投射領域が、前記共通インク室23の領域に含まれている。
【0054】
このように、制限流路56の投射領域が共通インク室23の領域と少なくとも大部分重なるレイアウトとすることにより、共通インク室23・制限流路56・圧力室20の三者をコンパクトなスペース内に配置できる。従って、インクジェットヘッド1のコンパクト化の要請や、高解像度化に基づく圧力室20や制限流路56の密集配置の要請にも適合的である。
【0055】
制限流路56の他端は、第三の平板13および第二の平板12にそれぞれ設けられる連通孔57・58を介して、圧力室20の端部に接続される。
【0056】
ここで、上述の制限流路56の断面積は、圧力室20にインクを供給する量(リフィル量)、ひいてはノズル21からのインクの噴射量に直接影響するため、ノズル21からのインク噴射量の過剰あるいは不足を防止するためには、制限流路56の寸法形状を正確に精度良く形成することがきわめて重要となる。
【0057】
この点、この制限流路を、積層される平板のうちの一枚にハーフエッチングにより溝加工を施すことで構成するものとすると、エッチングの速度はエッチング液の温度や濃度などの諸条件に影響されやすいため、ハーフエッチングの深さにバラツキが生じ易く、制限流路の寸法を精度良く形成するのは極めて困難である。
【0058】
以上の事情に鑑みて本実施形態では、第四の平板(平板部材)14はポリイミドで薄膜状に形成するとともに、前記制限流路56は金属膜によるマスクを使用しながらレーザー加工にて貫通状に孔を開けることで形成している。この結果、制限流路56の形状・大きさを精度良く形成でき、制限流路56の流路抵抗のバラツキがなくなって印字品質が向上されることになる。
【0059】
以上の構成で、共通インク室23内のインクは、導入孔51・52からフィルタ連絡孔53を経由して平板部材14の内部(トラップフィルタ70)に至り、ここでインクは、平板部材14の面方向に流れることで濾過されて、不純物を除去される。そして更に制限流路連絡孔55を経由して制限流路56に至り、その流量を調整されながら、連通孔57・58を介して圧力室20へ供給される。
即ち、この図4〜図6に開示される実施形態では、前記トラップフィルタ70が、共通インク室23から圧力室20へ向かうインクを濾過する第二のフィルタ62に相当する。このトラップフィルタ70(第二のフィルタ62)があることによって、共通インク室23のインク内のゴミや不純物を、圧力室20へ到達する前に除去することができる。
【0060】
次に、外部のインク供給源から共通インク室23にインクを供給するためのインク供給通路42の構成を説明する。
図6に示すように、共通インク室23に接続させて、第五の平板15には供給孔95が穿設される。そのすぐ上の第四の平板(平板部材)14には、前記供給孔95に相当する位置に、多数のフィルタ孔59・59・・・を並べて穿設し、前述の第一のフィルタ61を構成している。
【0061】
第一のフィルタ61に位置を合わせて、第一〜第三の平板11〜13には、それぞれ連絡孔91〜93が形成される。これら供給孔95・連絡孔91〜93により、共通インク室23に外部からインクを供給するための前述のインク供給通路42が構成される。この構成で、前記第一のフィルタ61があることによって、当該インク供給通路42のインク内のゴミや不純物を除去することができる。
【0062】
本実施形態においては、図6で明らかであるとおり、制限流路56は第四の平板(平板部材)14に形成されており、また、共通インク室23の圧力変動を吸収するダンパ部80も、この平板部材14に形成されている。従って、制限流路56及びダンパ部80を別々の平板に設ける場合に比して構成が簡素化され、また、制限流路56及びダンパ部80の両者を同時に作り込むことも可能であるから、製造工程の簡略化、製造コストの低減を図ることができる。
【0063】
また、本実施形態においては、前記平板部材14には更に、インクを濾過するフィルタ61・70が形成されている。この構成により、制限流路56・ダンパのほか更にフィルタ61・70を当該平板部材14に同時に作り込むことができ、製造工程がより一層簡略化される。
また、このように、平板部材14には、面方向にインクを流すことで濾過するフィルタ(トラップフィルタ70)と、厚み方向にインクを流すことで濾過するフィルタ(第一のフィルタ61)と、が設けられているから、フィルタを使った流路の配置の自由度が高く、これによっても流路のコンパクト化・高集積化、インクジェットヘッドの小型化が容易である。
【0064】
なお、平板部材14の上の第三の平板13に形成された前記空間73には空気が満たされており、更には平板部材14はポリイミド製で薄く構成されているため、該空間73内の空気が平板部材14部分を透過し、インクで充填されている共通インク室23側に気泡ができてしまう原因となる。
この問題を解決した構成が、図7に開示される、第一実施形態の変形例aである。図7に示すキャビティプレート組10xaにおいて、平板部材14にはその少なくとも振動する部分(前記ダンパ部80)に、金属膜97を蒸着あるいはスパッタリングにより形成し、空気が平板部材14を透過することを防止できるようにしている。この金属膜97は、平板部材14のダンパ室(空間73)側の面に形成しても、共通インク室23側に形成しても良いが、インクによる腐食や金属成分のインクへの溶け込み等を回避する観点からは、ダンパ室(空間73)側に形成することが望ましい。なお、この金属膜は、前述の制限流路56やフィルタ61・70を形成する際のレーザー加工のパターンマスクの金属膜と同時に形成すれば、製造工程を簡略化することができる。
【0065】
即ち、前記平板部材14を樹脂製とすることで、平板部材14の加工方法としてレーザー加工等の様々な方法を採用できるとともに、前述のダンパ室(空間73)内の空気が前記ダンパ部80を通過して共通インク室23内へ入り込んで気泡となることを、金属膜によって防止することができる。
【0066】
本実施形態において平板部材14はポリイミド製としているが、エポキシ等により形成しても構わない。ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂はインクのアタックに対し強靭であるから、前述の制限流路56やダンパ構造等を形成する素材として好適であり、インクジェットヘッド1の耐久性を向上させることができる。これは、インクの種類の選択可能な範囲が拡大されることを意味する。
【0067】
また、平板部材14の素材を樹脂とすることにも限定せず、例えば金属で形成しても構わない。この場合は、前述のダンパ作用のために、適宜弾性を有する金属を選択することとする。また、前述の制限流路56やフィルタ61・70を平板部材14に形成するときは、レーザー加工でなくエッチングで貫通状に形成すれば良い。
【0068】
また、上記実施形態において平板部材14に形成されていた導入孔52を形成せず、その代わりに当該箇所において多数の微細貫通孔(前記フィルタ孔59・59・・・と同様のもの)を形成することにより、当該部分においてもフィルタを構成することができる。この場合、導入孔52部分におけるフィルタは、上記実施形態におけるトラップフィルタ70に代えることとしても良いし、上記実施形態における二つのフィルタ61・70と併存させる構成(フィルタを三つとする構成)としてもよい。
【0069】
三つのフィルタを併存させた構成が、第一実施形態の変形例bとして、図8及び図9に示される。このキャビティプレート組10xbは、前記平板部材14’において前記導入孔52の代わりに多数の微細貫通孔99・99・・・が形成され、内部フィルタ98を形成している。前記第一のフィルタ61、及び前述の三本の流路54(前記トラップフィルタ70)は、前述の実施形態と全く同じように設けられている。
従って、共通インク室23から圧力室20へ向かうインクは、まず前記内部フィルタ98を平板部材14’の厚み方向に通過して濾過され、その後に、三本の流路54によって構成されるトラップフィルタ70を平板部材14’の面方向に通過することで濾過される。即ち、この図8・図9に示される第一実施形態の変形例bにおいては、共通インク室23から圧力室20へ向かうインクを濾過する第二のフィルタ62’は、内部フィルタ98と、トラップフィルタ70と、からなる。
【0070】
このように、内部フィルタ98と第一のフィルタ61とトラップフィルタ70の三つのフィルタを設けることにより、圧力室20およびノズル21にゴミや不純物が達することを効果的に防止できる。
また、このように、平板部材14’には、面方向にインクを流すことで濾過するフィルタ(トラップフィルタ70)と、厚み方向にインクを流すことで濾過するフィルタ(第一のフィルタ61及び内部フィルタ98)と、が設けられているから、フィルタを使った流路の配置の自由度が高く、これによっても流路のコンパクト化・高集積化、インクジェットヘッドの小型化が容易である。
【0071】
更に別の実施形態として、前記トラップフィルタ70に代えて導入孔52における上記内部フィルタ98を用いる場合は、流路54(中途部を細く絞らない構成とする)を一本だけ形成して制限流路56と接続することにより新たな制限流路を形成し、制限流路連絡孔55を形成しないことにより実現される。
【0072】
また、上記実施形態における第一のフィルタ61またはトラップフィルタ70は、制限流路56を形成した平板部材14とは異なる平板に形成されてもよい。ただし、二つのフィルタ61・70をいずれも平板部材14に設ける構成とした方が、製造工程の一層の簡略化を図れる点で望ましい。
【0073】
〔第二実施形態〕
次に、第二実施形態を説明する。この第二実施形態は、第一実施形態の制限流路56とフィルタ61・62の構成を若干変更させたものである。
図10は第二実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。図11は、図10のP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
【0074】
第二実施形態のインクジェットヘッドのヘッド本体1aにおいて、キャビティプレート組10yは、図11に示すように、八枚の薄い平板111〜118を積層して相互に接着した構造である。図12には、キャビティプレート組10yの積層構造が、分解斜視図で示されている。
なお、この第二実施形態においても、平板111〜118のそれぞれを特定する際は、ノズル21より遠いほうから数えて「第○の平板」と称することとする。また、第二実施形態に関する記述において、八枚の平板111〜118のうち第五の平板115に注目し、これを「平板部材」と称することがある。
本実施形態において、平板111〜118は、第五の平板(平板部材)115を除き、いずれも金属製としてある。第五の平板115はポリイミドにより構成している。
【0075】
圧力室20は第一実施形態と同じく、第一の平板111を菱形に貫いた孔として形成され、図10・図11に示すQ方向に多数並べて設けられている。共通インク室23’は、第六と第七の平板116・117をエッチングして設けられており、前記圧力室20が並べられるQ方向に長く形成されている。
【0076】
従って、第二実施形態においては、第一の平板111が、圧力室20を形成する「第一の平板層」Aに相当する。また、この第六・第七の平板116・117が、共通インク室23’を形成する「第二の平板層」Bに相当する。平板部材たる第五の平板115は、この第一の平板層Aと、第二の平板層Bとの間に位置する。
【0077】
第八の平板118には、インクを噴射するためのノズル21が開口される。第二〜第七の平板112〜117には連通孔122〜127がそれぞれ設けられて、圧力室20とノズル21とを接続する連絡通路22を形成する。
【0078】
共通インク室23’から圧力室20へ至るインク流路を説明する。
共通インク室23’は前述のとおり第六と第七の平板116・117に設けられているが、そのすぐ上の第五の平板(平板部材)115には、小径のフィルタ孔65・65・・・が多数並べて穿設され、第二のフィルタ162を構成している。
この第二のフィルタ162のフィルタ孔65に位置を合わせて、第四の平板114には導入孔152が開口される。
【0079】
第三の平板113には長孔状の制限流路156を貫通させて形成し、該制限流路156の一端は前記導入孔152に接続されている。この制限流路156は第一実施形態における制限流路56と同様に、当該制限流路156を通過するインクの流量を制限して、圧力室20内に供給されるインクの量を調節するものである。そして、制限流路156の他端と前記圧力室20とを接続させる連通孔157が、第二の平板112に開口される。
【0080】
この構成で、共通インク室23’内のインクは、前記第二のフィルタ162を通過して濾過され、導入孔152に至る。更にインクは、制限流路156で流量を制限されながら、連通孔157を介して圧力室20へ供給される。
【0081】
次に、外部のインク供給源から共通インク室23にインクを供給するためのインク供給通路142の構成を説明する。図12に示すように、共通インク室23’に接続させて、第五の平板115には多数のフィルタ孔59・59・・・を並べて穿設し、インクを濾過するための第一のフィルタ161を構成している。そして、第一のフィルタ161に位置を合わせて、第一〜第四の平板111〜114には、それぞれ連絡孔131〜134が形成される。前記平板111〜118を積層させた際には、連絡孔131〜134が直線状に繋がって、前述のインク供給通路142を形成する。
【0082】
このように、インク供給通路142に配置される第一のフィルタ161と、共通インク室23’と圧力室20との間のインク流路に配置される第二のフィルタ162が、ともに第五の平板(平板部材)115に設けられているのである。
【0083】
この結果、二つのフィルタ161・162を平板部材115に一度に形成することができるから、製造工程を簡略化することができる。本実施形態においては、ポリイミドで構成されている前記平板部材115に対し、両フィルタのフィルタ孔59・65のパターンを形成した金属膜マスクを用いてレーザー加工し、二つのフィルタ161・162のフィルタ孔(59・65)の穴あけを一度に行うようにしている。
【0084】
共通インク室23’は、平板部材115の下側に面するように形成されている。また、平板部材115に対し共通インク室23’の反対側で面する第四の平板114にはダンパ室としての空間73がエッチングにより形成されており、この部分で平板部材115が弾性変形して振動できるようにして、第一実施形態と同様の作用を行うダンパ機構を形成している。
【0085】
なお、第一実施形態と同様に、この空間73に対応する平板部材115の部位には、空気の通過を防止するための金属膜197が、蒸着またはスパッタリングにて形成されてもよい(図13に示す第二実施形態の変形例aとしてのキャビティプレート組10ya参照)。この金属膜197は、平板部材115のどちら側の面に形成しても良いが、インクとの化学的反応により生じる腐食や溶解といった不具合を回避する観点からは、図13に示したように、ダンパ室(空間73)側に形成することが望ましい。
【0086】
第二実施形態においても以上に説明したとおり、単一の平板部材115に二つのフィルタ161・162をともに設け、当該平板部材115に更にダンパ作用まで行わせるように構成しているので、構成が一層簡略化され、製造が容易となっている。
【0087】
〔第三実施形態〕
次に、インクジェットヘッドの第三実施形態を、図14から図19を参照して説明する。
図14は第三実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。
図15は図14におけるP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
図16は、第三実施形態のインクジェットヘッドのキャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
図17は、第三の平板の拡大斜視図である。
図18(a)は第三実施形態における制限流路の構成を示した要部拡大斜視図である。図18(b)は制限流路内に突起を配置しない参照例を示す要部拡大斜視図である。
図19は、制限流路の変形例を示した要部拡大斜視図である。
【0088】
第三実施形態に係るインクジェットヘッドのヘッド本体1aにおいて、キャビティプレート組10zは、図14に示すように、八枚の薄い平板211〜218を積層して相互に接着した構造である。図15には、キャビティプレート組10zの積層構造が、分解斜視図で示されている。
【0089】
なお、この第三実施形態においても、平板211〜218のそれぞれを特定する際は、ノズルより遠い側から数えて「第○の平板」と称することとする。また、第三実施形態に関する記述において、八枚の平板211〜218のうち第三の平板213に注目し、これを「平板部材」と称することがある。
本実施形態において、平板211〜218は、いずれも金属製としてある。
【0090】
圧力室20は他の実施形態と同じく、第一の平板211を菱形に貫いた孔として形成され、図14・図15に示すQ方向に多数並べて設けられている。共通インク室23’は、第五と第六の平板215・216をエッチングして設けられており、前記圧力室20が並べられるQ方向に長く形成されている。
【0091】
第八の平板218には、インクを噴射するためのノズル21が開口される。第二〜第七の平板212〜217には連通孔222〜227が設けられて、圧力室20とノズル21とを接続する連絡流路22を形成する。
【0092】
第五・第六の平板215・216には、当該平板を貫くようにいずれもエッチングが施されて、共通インク室23’が形成される。この共通インク室23’は、前記圧力室20が並べられるQ方向に長く形成されている。
【0093】
この第三実施形態においては上述のとおり、第一の平板211に圧力室が形成されているから、この第一の平板211が、前記第一の平板層Aに相当する。また、第五・第六の平板215・216に共通インク室23’が形成されているので、この第五・第六の平板215・216が、前記「第二の平板層」Bに相当する。
平板部材たる第三の平板213は、この第一の平板層Aと、第二の平板層Bとの間に位置する。
【0094】
前記共通インク室23’の下側で面する第七の平板217には、その下面にハーフエッチングが施されて、第八の平板218との間に空間(肉抜き部)273を形成している。
【0095】
この第七の平板217は適宜の弾性を有する金属板で構成しており、前記の空間273が形成されていることにより、この箇所の薄くなっている部分(ダンパ部280)は、共通インク室23’側にも、前記空間273側にも、自由に振動することができる。
この結果、インク噴射時に圧力室20で発生した圧力変動が共通インク室23’に伝播しても、前記ダンパ部280が弾性変形して振動することによって当該圧力変動を吸収減衰させることができ(ダンパ作用)、圧力変動が他の圧力室20へ伝播してしまうクロストークを防止することができる。
【0096】
次に、共通インク室23’と圧力室20との間のインク流路を説明する。
図15・図16に示すように、共通インク室23’から前述の圧力室20へインクを導くための導入孔252が、第四の平板214に穿設される。そして、すぐ上に位置する第三の平板213には、前記導入孔252に一端を接続させて、制限流路256を凹設している。
【0097】
この制限流路256は、図17に示すように、第三の平板213の上面にハーフエッチングで溝加工を施して形成された、細長い凹部とされる。
この構成で、平板211〜218を積層してキャビティプレート組10zを形成する際には、該制限流路256に相当する凹部の部分は、上側の第二の平板212によって閉鎖される。従って、導入孔252から制限流路256の一端に至ったインクは、第二の平板212の下面と前記凹部の内底面との間の空間を、該制限流路256の他端側に向かって流れる。
【0098】
なお、前述のハーフエッチングによる溝加工は、以下に示すような公知の方法で行われる。
即ち、▲1▼第三の平板213に前処理を施した後、適宜の感光性樹脂を塗布して感光性樹脂層を形成する。▲2▼前記制限流路256の輪郭形状に相当する形状を形成したパターンマスクを用いて、感光性樹脂層に対し選択的な露光を行う。▲3▼現像により感光性樹脂層の前記輪郭形状の部分を取り去って、第三の平板213の対応する部分を露出させる。▲4▼エッチング液を塗布して、第三の平板213の前記露出した部分に対して所定の深さだけ腐食作用を行わせて、該制限流路256を形成する。▲5▼感光性樹脂層を剥離して除去する。
このように、平板213にエッチングすることで(後述のフィルタ262を内部に形成した)制限流路256を形成できるので、当該平板213にレーザーにより穴あけ加工してフィルタや制限流路を形成するような場合に比して、製造工程を簡素化することができる。
【0099】
制限流路256の一端の前記導入孔252に接続する部分においては、第三の平板213の下面からもエッチングを施して貫通状の孔263を形成し、該孔263を通じて導入孔252から制限流路256へインクが流れ込むようになっている。
制限流路256の他端は、第二の平板212に設けられる連通孔257を介して、圧力室20の端部に接続される。
【0100】
この制限流路256は図18(a)に示すように、その流路幅wおよび流路深さd1を小さくして、流路断面積を小さくしている。この構成により該制限流路256は、該流路256を通過するインクの流量を制限することにより圧力室20へのインクの供給量を調節し、ノズル21からのインクの噴射量を適切に調整する役割を果たす。
【0101】
また、この制限流路256の内側においては、円柱状の突起(凸部)269が微細な間隔を空けながら複数並べて凸状かつ独立した島状に形成され、前述のフィルタ262が形成されている。この構成で、共通インク室23’内のインクに含まれる不純物は、突起269と突起269との隙間を通過できず捕捉される。
【0102】
この突起269は、第三の平板213に前述の制限流路256を形成するためのハーフエッチングによる溝加工の際に、同時に形成されるようになっている。即ち、前述のハーフエッチングの方法で説明した選択的露光の際のパターンマスクに、複数の前記突起269に相当するパターンをも形成しておき、後の現像工程で、制限流路256の内部部分であっても当該突起269に相当する部分は感光性樹脂層が除去されないようにする。これによって、後の工程でエッチング液を塗布した際には、平板213の突起269に相当する部分以外の部分に腐食作用が行われる結果、当該突起269が凸状に残る。このように、第三の平板213に対し、突起269部分を残すように制限流路256の溝加工を施す結果、制限流路256内部に突起269が一体的に形成される前述のような構成となるのである。
【0103】
以上の構成で、共通インク室23’内のインクは、導入孔252から制限流路256に至り、該流路256内のフィルタ262を通過する際に濾過されて、不純物を除去される。そして同時に制限流路256の作用によりその流量を調整されながら、連通孔257を介して圧力室20へ供給される。
【0104】
ここで、上述の制限流路256の流路抵抗は、圧力室20にインクを供給する量(リフィル量)、ひいてはノズル21からのインクの噴射量に直接影響する。
従って、ノズル21からのインク噴射量が過大あるいは過小となることを防止するために、この制限流路256の流路抵抗を適切に定める必要がある。
この流路抵抗は、制限流路256の長手方向の長さLに比例し、流路断面積(即ち、流路幅wと流路深さdとの積)に反比例する。
【0105】
しかし本実施形態においては、前述の複数の島状の突起269を制限流路256内に適切に並べて配置する構成としているので、この突起269により流路抵抗の調整を図ることも可能である。即ち、前述の制限流路256の長さLや流路幅w・流路深さdのパラメータを異ならせることのほか、前述の突起269を形成する個数やその配列の方法等を種々異ならせることで、インクの流れにくさ(流路抵抗)を自在に調節することができるのである。
これにより、制限流路256の流路抵抗を最適値に精度良く定めるのが容易となり、ノズル21からのインク噴射量が最適となって印字品質が向上されることになる。
【0106】
特に、本実施形態のように前述の制限流路256をハーフエッチングにより形成する場合は、制限流路256内部に突起269を配置する構成は極めて有用である。
【0107】
即ち、前述の制限流路256の形状寸法のうち長手方向の長さLや流路幅wについては、前述の選択的な露光のためのマスクに対し、CADによって作成した露光パターンを自動描画装置により正確に描画させることによって、その誤差を僅かにとどめることが可能である。
一方、ハーフエッチングにおいては、エッチングの速度はエッチング液の温度や濃度などの諸条件に影響されやすいため厳密にコントロールすることが難しく、エッチング深さのバラツキが生じ易い。従って、制限流路256の流路深さdについては、前述の長さLや流路幅wといった他のパラメータに比較して、相対的にやや大きい誤差が生じることが避けられない。
流路深さdの大小は前述のように流路抵抗に直接影響するものであるため、制限流路256の流路抵抗にバラツキがあると、あるノズル21からはインクが多量に噴射され、他のノズル21からはインク噴射量が少ないといった事態が発生し、印字品質の低下に繋がってしまう。
【0108】
この点、図18(a)に示す本実施形態のように制限流路256内に突起269を配列する構成では、突起269があることによってインクの通過しにくさ(流路抵抗)が増大することとなる。従って、同じ長さL・同じ流路幅wにて同じだけの流路抵抗を得たい場合でも、突起269を配置しない図18(b)の構成に比して、図18(a)の構成によれば、当該突起269による流路抵抗の増大分に相当する分だけ、流路深さdを大きくすることができる(d1>d2)。
ハーフエッチングの腐食深さの誤差(流路深さdの誤差に相当する)Δdは、プラスマイナス何μmといった絶対値の範囲内に抑えることが可能である。従って、流路深さdを大きくできる本実施形態によれば、当該流路深さの誤差Δdの影響は相対的に小さくなって、制限流路256の流路抵抗の誤差も小さくすることができる。これは、各ノズル21からのインク噴射量のバラツキを抑えることができ、印字品質を向上させ得ることを意味する。
【0109】
また、制限流路256の内部に、共通インク室23’から圧力室20へ流れるインクの不純物を取り除くフィルタ262を形成することができるから、制限流路256やフィルタ262を含んだ流路の構成が簡素化され、省スペース化に適合的である。このため、多数のノズル21やそれに至る圧力室20や流路を高密度で集積させて配置することができ、画像の高解像度化やインクジェットヘッドの小型化の要請に対応することも容易である。
【0110】
更に、本実施形態では、フィルタ262を構成する突起269が、制限流路256を形成する平板213に一体的に形成される構成となっている。従って、別部材で形成したフィルタを設ける構成に比して、部品点数を削減でき、製造工数やコストを低減できる。
【0111】
上記「凸部」には、本実施形態では前述の突起269が相当するが、この形状は円柱形状に限らず、角柱状等の任意の形状とすることができる。また、複数ある凸部が必ずしも互いに同一の形状を有しなければならない訳でもなく、各凸部ごとに自由な形状を選択可能である。
【0112】
また、突起269と突起269の間隔、及び、突起269と制限流路256の側壁との間隔は、前述の制限流路256の流路抵抗との兼ね合いもあるが、ノズル21の径(直径)の長さよりも短くすることが望ましい。こうすれば、ノズル21を詰まらせてしまうような大きさのゴミや不純物は必ず突起269の部分(前記フィルタ262)で捕捉されることとなって、ノズル21の詰まりを確実に防止できるからである。
【0113】
本実施形態では第三の平板213に制限流路256の凹部を形成したが、これに限定されず、流路の構造上の都合に合わせて他の平板に形成するものであっても構わない。
また、平板213の上面(ノズル21から遠い側の面)に制限流路256の凹部を形成する構成に限らず、下面(ノズル21に近い側の面)に凹部を形成してもよい。この場合は凹部は、第三の平板213のすぐ下側に位置する第四の平板214とで閉鎖されることになる。
また、本実施形態では制限流路256の幅wは一定であったが、突起269のある部分とない部分とで幅を変化させることで、流路抵抗を調整することも可能である。また、例えば図19の制限流路256’(フィルタ262’)のように、突起269のある部分においても、突起269の配列や形状に対応して制限流路256’の側壁に凹凸を形成しても構わない。
【0114】
図16に示すように、第一〜第四の平板211〜214には、互いに位置を合わせて、それぞれ連絡孔231〜234が形成される。従って、前記平板211〜218を積層させた際には、図15に示すように連絡孔231〜234が直線状に繋がって、インク供給通路242を形成する。このインク供給通路242は、キャビティプレート組10zの上面(ノズル21を形成した側と反対側の面)に、前記インク供給口41を形成する。
なお、上記インク供給口41を覆うように、あるいは前記インク供給通路242の中途に、フィルタを配置する構成とすれば、該インク内に含まれる不純物を共通インク室23’に到達する前に捕捉できることとなって好ましい。
【0115】
〔第四実施形態〕
次に、第四実施形態を図20〜図23を参照しながら説明する。この第四実施形態は、制限流路及び当該制限流路部分のフィルタの形成方法に特徴がある。
図20は、第四実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。
図21は、図20におけるP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
図22は、第四実施形態のインクジェットヘッドのキャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
図23は、第四の平板の拡大斜視図である。
【0116】
第四実施形態に係るインクジェットヘッドのヘッド本体1aにおいて、キャビティプレート組10vは、図21に示すように、七枚の薄い平板311〜317を積層して相互に接着した構造である。図22には、キャビティプレート組10vの積層構造が、分解斜視図で示されている。
【0117】
なお、この第四実施形態においても、平板311〜317のそれぞれを特定する際は、ノズル21より遠い側から数えて「第○の平板」と称することとする。本実施形態において積層される平板311〜317は、いずれも金属製としてある。ただし第四の平板314においては、金属製の平板の下面に樹脂層314aを、上面に樹脂層314bを、それぞれ配置した構成となっている。なお、本実施形態では、第四の平板314の上面側の樹脂層314bに注目し、これを「平板部材」と称することがある。
【0118】
他の実施形態と同じく、圧力室20は図20等に示すように、第一の平板311を菱形に貫いた孔として形成される。この圧力室20は、図20・図21に示すQ方向に多数並べて設けられている。
【0119】
図21等に示すように、第七の平板317には、インクを噴射するためのノズル21が開口される。図22に示すように、第二〜第六の平板312〜316には連通孔322〜326が設けられて、圧力室20とノズル21とを接続する連絡流路22を図21のように形成する。
【0120】
共通インク室23の構成を説明する。
第五・第六の平板315・316にはいずれもエッチングが施されて、第一の空間71が形成されている。また、すぐ上にある第四の平板314にもエッチングが施されるとともに、その下側の樹脂層314aも取り去られており、第一の空間71よりも幅が狭い第二の空間72が形成されている。
この構成で第四〜第六の平板314〜316を積層することにより、第一の空間71と第二の空間72とが接合されて共通インク室23が構成される。この共通インク室23は、前記圧力室20が並べられるQ方向に長く形成されている。
【0121】
この第四実施形態においては上述のとおり、第一の平板311に圧力室が形成されているから、この第一の平板311が、前記「第一の平板層」Aに相当する。また、第四〜第六の平板314〜316に共通インク室23が形成されているので、この第四〜第六の平板314〜316(第四の平板314下面の樹脂層314aを含む)が、前記「第二の平板層」Bに相当する。
第四の平板314上面の樹脂層(平板部材)314bは、この第一の平板層Aと、第二の平板層Bとの間に位置する。
【0122】
次に、共通インク室23と圧力室20との間のインク流路を説明する。
共通インク室23から前述の圧力室20へインクを導くための導入孔352(第一通路)が、第四の平板314に穿設される。そして、第四の平板314の上面に配置される一様な厚みの連続平板状の樹脂層314bにおいては、前記導入孔352に一端を接続させて、制限流路(第二通路)367を穿設している。
この制限流路367は、後述の方法を用いて、前記樹脂層314bをその厚み分だけ取り去った欠設部(凹部)として構成される。平板311〜317を積層する際には、該制限流路367に相当する樹脂層314bの前記欠設部は、上側の第三の平板313によって閉鎖される。従って、制限流路367に至ったインクは、第三と第四の平板313・314の間の空間を、該制限流路367に沿って流れる。
制限流路367の他端は、第三の平板313に設けられる連通孔357、及び、第二の平板312に設けられる連通孔358を介して、圧力室20の端部に接続される。
【0123】
図20に示すように、この制限流路367は導入孔352側が幅広状に形成されており、この幅広状の部分に(即ち、制限流路367の内部に)円柱状の突起369が微細な間隔を空けながら複数並べて島状かつ凸状に形成され、第二のフィルタ362が形成されている。この構成で、共通インク室23内のインクに含まれる不純物は、突起369と突起369との隙間を通過できず捕捉される。
制限流路367の連通孔357側は絞り部356を構成する。この絞り部356はその流路幅が絞られた形状とされており、第三と第四の平板313・314の間で該流路部356を通過するインクの流量を制限することによって、圧力室20へのインクの供給量を調節し、ノズル21からのインクの噴射量を適切に調整する役割を果たす。
【0124】
以上の構成で、共通インク室23内のインクは、導入孔352から制限流路367に至り、該流路367内の第二のフィルタ362を通過する際に濾過されて、不純物を除去される。そして制限流路367内の絞り部356に至ってその流量を調整されながら、連通孔357・358を介して圧力室20へ供給される。
【0125】
次に、外部のインク供給源から共通インク室23にインクを供給するためのインク供給通路342の構成を説明する。
図21〜図23に破線で示すように、第四の平板314には供給孔334が穿設されて、該供給孔334が共通インク室23に接続されている。第四の平板314の上面に位置する樹脂層314bには、前記供給孔334に相当する位置において多数のフィルタ孔59を並べて穿設し、第一のフィルタ361を構成している。
図22に示すように、第一のフィルタ361に位置を合わせて、第一〜第三の平板311〜313には、それぞれ連絡孔331〜333が形成される。これら供給孔334・連絡孔331〜333により、共通インク室23に外部からインクを供給するための前述のインク供給通路342が構成される。
【0126】
なお、本実施形態においては、以上に説明したインク供給通路342、共通インク室23、導入孔352、制限流路367(絞り部356を含む)、連通孔357・358、圧力室20、連絡通路22を含めた全体の通路が、ノズル21とインク供給源とを繋ぐ「インク通路」に相当する。このインク通路を介してインク供給源と前述のノズル21が接続される結果、該インク供給源から供給されたインクがノズル21から噴射され、印字面に画像を形成する。
【0127】
共通インク室23の圧力変動を吸収するダンパ構造を説明する。
共通インク室23をなす前述の第二の空間72は、前述のとおり第四の平板314を欠設するとともに、第四の平板314の下面側の樹脂層を取り去って形成される。一方、その第四の平板314の上面に配置される樹脂層314bは、前記第二の空間72に相当する部分においても削り取られずそのまま残されている。
そして、共通インク室23と反対側(ノズル21から遠い側)で前記樹脂層314bに面する第三の平板13にもエッチングが施されて、前述の第二の空間72と対応する形状の空間373(肉抜き部)が形成されている。
【0128】
この樹脂層(平板部材)314bは適宜の弾性を有するように構成しており、前記の空間373が形成されていることにより、この箇所の樹脂層314b(ダンパ部380)は、共通インク室23側にも、前記空間373側にも、自由に振動することができる。
この結果、インク噴射時に圧力室20で発生した圧力変動が共通インク室23に伝播しても、前記ダンパ部380が弾性変形して振動することによって当該圧力変動を吸収減衰させることができ(ダンパ作用)、圧力変動が他の圧力室20へ伝播してしまうクロストークを防止することができる。
【0129】
次に、本実施形態の二つのフィルタ361・362、制限流路367、およびダンパ部380を形成する工程について説明する。これらはいずれも、第四の平板314の上面に配置される樹脂層(平板部材)314bに形成されている。
【0130】
図24から図26までには、第四の平板314の製造工程が(p1)〜(p6)の順で示されており、以下これに沿って説明する。
図24は第四の平板の製造工程を示す図である。
図25は第四の平板に形成された感光性樹脂層に露光を行う様子を示した図である。
図26は感光性樹脂層にフィルタおよび連絡流路を形成する様子を示した図である。
【0131】
図24の(p1)には第四の平板の材料となる金属平板314が示され、この状態で当該平板314の上下面に対し洗浄・研磨などの前処理を行った後に、(p2)に示すように、感光性樹脂を一側の面に、エッチング用レジストを他側の面に、それぞれ塗布する。感光性樹脂およびエッチング用レジストの材料としては種々考えられるが、耐インク性の観点からは、イミド系やエポキシ系の樹脂を用いるのが望ましい。塗布の方法としては、例えばロールコートやスピンコート等を用いればよい。
【0132】
その後は平板314を高温環境下において、感光性樹脂およびエッチング用レジスト内の溶剤を除去する(プレベーク)。この結果、図24の(p2)に示すように、エッチング用レジスト層314aおよび感光性樹脂層314bが平板314に形成される。以下、符号314aの樹脂層を「第一の感光性樹脂層」と、符号314bの樹脂層を「第二の感光性樹脂層」と、それぞれ称する。
なお、説明の便宜上の都合で、図24〜図26には第四の平板314が上下逆の状態で示されており、図21〜図23に示されるものとは上下関係が逆になっている。
【0133】
次に図25の(p3)に示すように、フォトマスクを用いながら、この平板314の上下面に対して選択的な露光を行う。
フォトマスクは上面用と下面用の二つがあって、図25の上面側のマスク381には前述の連通孔324、導入孔352、供給孔334および第二の空間72に対応するパターンが形成される(324p・352p・334p・72p)。
図25の下面側のマスク382には連通孔324や第一のフィルタ361のフィルタ孔59、および、制限流路367に対応するパターンが形成されている(324p・59p・367p)。なお、制限流路367の一部をなす絞り部356や第二のフィルタ362の突起369に対応するパターンも、下面側のマスク382に形成されている(356p・369p)。
この両マスク381・382を平板314に対し正確に位置決めし、その上で上下両面から適宜の波長を有する紫外線を照射する。これにより、上側のマスク381上のパターンが第一の感光性樹脂層314aに、下側のフォトマスク382上のパターンが第二の感光性樹脂層314bに、それぞれ転写される。
【0134】
次に、現像液を第一の感光性樹脂層314a側にスプレー等を用いて塗布し、該樹脂層314aの非露光部分を除去して現像する。この結果、図26の(p4)に示すように、上面側のマスク381に形成したパターン324p・352p・334p・72pに対応した部分の樹脂層314aが取り去られ、その箇所において平板314の表面が露出される。
この上で第一の感光性樹脂層314a側にエッチング液を塗布すると、露出した箇所の部分に対し腐食作用が行われて、図26(p5)に示すように、連通孔324、導入孔352、供給孔334および第二の空間72が形成される。なお、第二の空間72の箇所での第二の感光性樹脂層314bは、前記ダンパ部380となる。
【0135】
最後に、現像液を第二の感光性樹脂層314b側に塗布すると、前述の下面側のマスク382に形成したパターン324p・356p・59p・367pに対応した箇所(非露光部分)で該樹脂層314bが取り去られる。
この結果、図26(p6)に示すように、フィルタ孔59が形成されて第一のフィルタ361が構成される。更には、絞り部356を含む制限流路367が第二の感光性樹脂層314bに形成されて、前記導入孔352と接続される。なお、該樹脂層314bの前記パターン369pに相当する箇所は露光されており除去されない結果、制限流路367内部には前述の突起369が凸状に残って、第二のフィルタ362が形成される。
【0136】
以上の工程を経て第四の平板314が完成し、その後は図22に示すように他の平板(311〜313,315〜317)と重ねて接着することで、インクジェットヘッドのキャビティプレート組10vが構成される。
【0137】
なお、第四の平板以外の平板(311〜313,315〜317)においては従来と同様に、各金属平板層の両面に感光性樹脂層を形成した上で、圧力室20や連通孔324や共通インク室23等に対応した形状のパターンを形成したマスクを用いて両面露光して現像し、露出した平板の下地に対してエッチングを行って、前述のインク通路を形成している。エッチング完了後は、感光性樹脂層は剥離され除去される。
【0138】
本実施形態では以上に示すような製造工程を採用していることにより、第四の平板314の両面に感光性樹脂層314a・314bを形成し、第一の感光性樹脂層314aは平板314に導入孔(第一通路)352を形成するための選択的なエッチングに用い、第二の感光性樹脂層314bは現像によって平板314上にフィルタ362および制限流路(第二通路)367を形成することとなるから、フィルタを別部材で設けたり、他の金属平板にフィルタや上記流路を形成する構成に比べて、部品構成を簡素化でき、製造工数を低減できる効果を奏する。
【0139】
特にこの構成では、フィルタ362のみならず、インク通路の一部をなす制限流路367をも第二の感光性樹脂層314bに設けてあるので、流路構造を簡素化でき、積層する平板の数を減らすことが容易である。
【0140】
また、第二のフィルタ362は個々の圧力室20(ノズル21)に対応して形成する必要があり、本実施形態のように圧力室20が多数並べられる構成では第二のフィルタ362も多数構成しなければならないが、該フィルタ362のパターン(突起部369のパターン369p)を多数形成したマスク382を用いれば、一回の露光・現像で多数のフィルタ362を一度に形成することができ、製造が極めて容易である。
【0141】
マスク382には、前記第二のフィルタ(即ち、前記圧力室20と前記共通インク室23との間を繋ぐ流路に配置されるフィルタ)362を形成するとともに、前記第一のフィルタ(即ち、前記インク供給通路342に配置されるフィルタ)361を形成している。従って、共通インク室23内への不純物の混入を第一のフィルタ361で防止できるとともに、圧力室20やノズル21への不純物の到達を第二のフィルタ362で阻止できることになる。また、二つのフィルタ361・362をいずれもマスク382のパターンで形成できることとなるから、製造工程が簡素化される。
【0142】
また、本実施形態では第二のフィルタ362を制限流路367内に設けた構成としているから、小さいスペースに制限流路367とフィルタ362とをまとめて配置でき、流路構造を簡素化できて、インクジェットヘッドのコンパクト化に寄与できる。また流路の高密度配置に適合的で、ノズル21の高集積配置が必要な高解像度の印字形態にも適用が容易である。
【0143】
更には、圧力室20へのインクの流れを調整する制限流路367を前記第二の流路として第二の感光性樹脂層314bに構成しているから、当該制限流路367の流路抵抗を精度良く定めることが容易である。
即ち、制限流路367の流路抵抗は圧力室20にインクを供給する量(リフィル量)、ひいてはノズル21からのインクの噴射量に直接影響するため、ノズル21からのインク噴射量の過剰あるいは不足を防止するためには、制限流路367の寸法形状を正確に精度良く形成することがきわめて重要となる。
【0144】
この点、本実施形態の構成によれば、コーティングの条件を適宜選択することで第二の感光性樹脂層314bの厚みを精度良く定めることができるので、現像工程で、露光工程におけるマスクパターン形状に対応した制限流路367の輪郭形状をその厚み分だけ完全に取り去ることで、正確な寸法の制限流路367を形成することができる。即ち、例えば金属平板にハーフエッチングで溝加工を施して制限流路を形成する構成(例えば、前述の第三実施形態の構成)に比べ、制限流路367の深さの精度を向上できるから、流路抵抗の誤差やバラツキを少なくすることができ、印字品質を向上できることになる。
【0145】
また、第三実施形態と同様に、前記突起369を形成する個数やその配列の方法等を種々異ならせることで、インクの流れにくさ(流路抵抗)を自在に調節することができる。これにより、制限流路367の流路抵抗を最適値に精度良く定めるのが容易となり、ノズル21からのインク噴射量が最適となって印字品質が向上されることになる。
【0146】
また、図22に示すように、平板部材たる第二の感光性樹脂層314bが(前記「インク通路」の一部をなす)共通インク室23に面しており、当該樹脂層314bを挟んで反対側の平板(第三の平板313)には肉抜き部たる空間373が形成されているから、空間373とインク通路との間の第二の感光性樹脂層314b(ダンパ部380)が振動することによって、インク通路に伝播する圧力変動を吸収し減衰させることができる。従って、ノズル21からのインク噴射の品質に悪影響を及ぼすそのような圧力変動を抑えることで、適切な印字制御が可能になる。本実施形態ではそのようなダンパ部380をも第二の感光性樹脂層(前記平板部材)314bに作り込んでおり、その結果、部品構成や組立の一層の簡素化が可能となっている。
【0147】
本実施形態では感光性樹脂・エッチング用レジストはポジ型(光硬化型)のものを用いているが、これに限るものではなく、ネガ型(光分解型)のものを採用しても構わない。その場合は露光部分が現像の際に逆に取り去られることとなるが、露光させる部分と露光させない部分とを入れ替えたパターンを形成したものをマスク381・382として使用すれば、前述と同様の構造を形成することができる。
【0148】
なお、必ずしも上述した順序に従って工程を進める必要はない。例えば、第二の感光性樹脂層314bを形成してから第一の感光性樹脂層314aを形成しても良い。また、図25のように平板314の両面を一度に露光するのではなく、片面ずつ露光するようにしても構わない。
【0149】
本実施形態では第一のフィルタ361のフィルタ孔59も前記第二の感光性樹脂層314bに形成されているが、これに限るものではなく、他の平板等に形成されていても構わない。ただし、第一のフィルタ361をも第二の感光性樹脂層314bに配置する本実施形態の構成によれば、第二の感光性樹脂層314bに露光・現像するだけで第二のフィルタ362や制限流路367のみならず第一のフィルタ361をも一度に形成できるから、製造工程を一層簡略化することができる。
【0150】
以上に説明した第四実施形態では、第一の感光性樹脂層314aが残った状態で平板11〜17が積層されインクジェットヘッドが形成されているが、この第一の感光性樹脂層314aは、少なくとも積層前には除去されていてもよい。第一の感光性樹脂層314aを除去した構成は、第四実施形態の変形例aとしてのキャビティプレート組10va(図27)に示されている。この第一の感光性樹脂層314aの除去は、積層直前に行ってもよいが、図24〜図26の工程において、(p5)と(p6)との間に、第一の感光性樹脂層314aの除去工程を追加することによっても行える。
この場合、第一の感光性樹脂層314aの現像(露光・未露光に応じた選択的除去)を行う現像液(溶剤)が未露光または露光後の第二の感光性樹脂層314bを侵さないように、第一の感光性樹脂層314aおよび第二の感光性樹脂層314bの材質を適宜選択することによって実現可能である。
【0151】
〔第五実施形態〕
次に、第五実施形態について、図28〜図31を参照しながら説明する。この第五実施形態が前記第四実施形態と異なる点は、第二の感光性樹脂層314bに形成される流路(第二通路)が、第四の平板314に形成される流路(第一通路)に直接接続されない点である。
図28は第五実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。
図29は、図28のP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
図30は、第五実施形態のインクジェットヘッドのキャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
図31は、第四の平板の拡大斜視図である。
【0152】
図28から図31までに示される第五実施形態のインクジェットヘッドは、キャビティプレート組10w内に形成される共通インク室23から圧力室20へ至る流路の構成において、前述の第四実施形態と異なる。
この流路の構成を説明する。図29等に示すように、第一通路たる導入孔352’が第四の平板314’に形成されて、共通インク室23に接続される。更にこの導入孔352’に位置を合わせて、第四の平板314’の上面に配置される樹脂層314bには多数のフィルタ孔365が並べて穿設され、第二のフィルタ362’を構成している。更に当該樹脂層314bにおいては、この第二のフィルタ362’の脇の位置に長孔状の制限流路(第二通路)356’が形成されており、この制限流路356’の一端と前記導入孔352が、第三の平板313’に形成された接続流路353を介して接続される。制限流路356’の他端は、連通孔357’・358を介して圧力室20に接続される。
なお、この第五実施形態では、制限流路356’の内部にフィルタは形成されず、その代わりに前記第二のフィルタ362’が導入孔352’部分に配置される構成となっている。
【0153】
このインクジェットヘッドにおいても、前記第二のフィルタ362’のフィルタ孔365、および制限流路356’は、第二の感光性樹脂層314bにマスクを用いた露光を行って現像することにより形成される。その他の構成および第四の平板314’の製造方法は、前述の第四実施形態のインクジェットヘッドと全く同様である。
【0154】
なお、図25〜図27の工程に代えて、▲1▼第四の平板314に上記実施形態と同様の前処理を行った後、▲2▼第四の平板314の一方の面に第一の感光性樹脂層314aのみを形成し、▲3▼これをパターン露光し、▲4▼第一の感光性樹脂層314aを上記実施形態の(p5)と同様に現像し、▲5▼上記実施形態の(p5)と同様にエッチングにより流路を形成し、▲6▼第四の平板314の他方の面に第二の感光性樹脂層314bを形成し、▲7▼これをパターン露光し、▲8▼上記実施形態の(p6)と同様に現像してフィルタ部等を形成する、という工程を用いてもよい。
この場合、第二の感光性樹脂層314bは、上記▲5▼のエッチング工程により形成された流路を塞がないよう、フィルム状のものを貼り合わせる方法を用いるのが最も好ましいが、第二の感光性樹脂層314bを形成するレジスト材の粘度や乾燥性等の物性(流体特性)を適宜調整すれば、液状のものも利用可能である。
【0155】
上記第一〜第五の実施形態は、第一の平板層Aは一枚の平板よりなり、第二の平板層Bは複数枚の平板よりなっているが、これに限定されるものでもない。即ち、第一の平板層Aが二枚以上の平板により構成されていても良いし、第二の平板層Bが一枚の平板のみにより構成されていても良い。
【0156】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0157】
即ち、請求項1に示すように、インクを吐出するノズルと、前記ノズルとインク供給源とを繋ぐインク通路と、積層されることで前記インク通路を内部に形成する、複数の平板と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、上記(A)〜(H)の行程を少なくとも含むので、
第二の感光性樹脂層に、フィルタと、平板に形成した第一通路に接続する第二通路と、を形成することができる。従って、フィルタを別部材で設けたり、他の平板にフィルタや第二通路を形成する構成に比して、部品構成を簡素化でき、製造工数を低減できる。
【0158】
請求項2に示すように、前記フィルタが前記第二通路に形成されるようなパターンを有するマスクが、前記(F)の工程で用いられるので、
前記第二の感光性樹脂層において、前記第二通路にフィルタを簡単に作り込むことができるから、部品構成を簡素化でき、製造工数を低減できる。また、第二通路内にフィルタがコンパクトに収納される構成となって、高解像度化に伴う流路の高密度化にも適合的である。
【0159】
請求項3に示すように、当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室にインクを分配する共通インク室と、を含んでおり、前記圧力室と前記共通インク室との間を繋ぐ流路に前記フィルタが形成されるようなパターンを有するマスクが、前記(F)の工程で用いられるので、
前記第二の感光性樹脂層に、共通インク室から圧力室へ向かうインクを濾過するフィルタを簡単に作り込むことができるから、部品構成を簡素化でき、製造工数を低減できる。
【0160】
請求項4に示すように、当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室にインクを分配する共通インク室と、当該共通インク室にインク供給源からのインクを供給するインク供給通路と、を含んでおり、前記インク供給通路に前記フィルタが形成されるようなパターンを有するマスクが、前記(F)の工程で用いられるので、
前記第二の感光性樹脂層に、前記インク供給通路においてインク供給源から共通インク室へ向かうインクを濾過するフィルタを簡単に作り込むことができるから、部品構成を簡素化でき、製造工数を低減できる。
【0161】
請求項5に示すように、当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室にインクを分配する共通インク室と、当該共通インク室にインク供給源からのインクを供給するインク供給通路と、を含んでおり、前記圧力室と前記共通インク室との間を繋ぐ流路にフィルタが形成され、かつ、前記インク供給通路にフィルタが形成されるようなパターンを有するマスクが、前記(F)の工程で用いられるので、
前記第二の感光性樹脂層に、共通インク室から圧力室へ向かうインクを濾過するフィルタと、インク供給通路においてインク供給源から共通インク室へ向かうインクを濾過するフィルタと、を作り込むことができるから、部品構成を簡素化でき、製造工数を低減できる。
【0162】
請求項6に示すように、当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室へのインクの流れを調整する制限流路と、を含んでおり、前記(G)の工程で形成される前記第二通路が、前記制限流路を構成しているので、
前記第二の感光性樹脂層に、圧力室へのインクの流れを調整する制限流路を簡単に作り込むことができるから、部品構成を簡素化でき、製造工数を低減できる。
【0163】
請求項7に示すように、当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室にインクを分配する共通インク室と、を含んでおり、前記(A)〜(G)の工程が施された平板に対し前記(H)の工程で積層される他の平板のうち、前記第二の感光性樹脂層を挟んで前記共通インク室と反対側で面する平板には、肉抜き部が形成されているので、
第二の感光性樹脂層の肉抜き部に対応する部位に、共通インク室の圧力変動を吸収するダンパとしての機能を営ませることができるので、一の圧力室で生じた圧力変動が共通インク室を経由して他の圧力室へ伝播してしまう現象(クロストーク)を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるインクジェットヘッドを含むインクジェットプリンタの概略図である。
【図2】インクジェットヘッドの斜視図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。
【図5】図4のP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
【図6】キャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
【図7】平板部材に金属膜を形成した形態のキャビティプレート組の分解斜視図である。
【図8】平板部材に内部フィルタを形成した形態のインクジェットヘッドの平面図である。
【図9】平板部材に内部フィルタを形成した形態のインクジェットヘッドにおける、キャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
【図10】第二実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。
【図11】図8のP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
【図12】キャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
【図13】平板部材に金属膜を形成した形態のキャビティプレート組の分解斜視図である。
【図14】第三実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。
【図15】図14におけるP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
【図16】第三実施形態のインクジェットヘッドのキャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
【図17】第三実施形態における第三の平板の拡大斜視図である。
【図18】(a)は第三実施形態における制限流路の構成を示した要部拡大斜視図、(b)は制限流路内に突起を配置しない参照例を示す要部拡大斜視図である。
【図19】制限流路の変形例を示した要部拡大斜視図である。
【図20】第四実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。
【図21】図20におけるP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
【図22】第四実施形態のインクジェットヘッドのキャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
【図23】第四の平板の拡大斜視図である。
【図24】第四の平板の製造工程を示す図である。
【図25】第四の平板に形成された感光性樹脂層に露光を行う様子を示した図である。
【図26】感光性樹脂層にフィルタおよび連絡流路を形成する様子を示した図である。
【図27】第四実施形態の第四の平板の一側の樹脂を除去した変形例を示す、インクジェットヘッドの断面斜視図である。
【図28】第五実施形態のインクジェットヘッドの平面図である。
【図29】図28のP−P線断面を示した、インクジェットヘッドの斜視図である。
【図30】第五実施形態のインクジェットヘッドのキャビティプレート組の積層構造を示した分解斜視図である。
【図31】第四の平板の拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
21 ノズル
311〜317 平板
314a・314b 感光性樹脂層
352 導入孔(第一のインク流路)
362 フィルタ
367 制限流路(第二のインク流路)
381・382 マスク[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing an ink jet head for forming an image by ejecting fine ink droplets onto a printing surface.
[0002]
[Prior art]
One of the common configurations of inkjet heads known in the past is to form multiple pressure chambers, open nozzles corresponding to each pressure chamber, and connect each nozzle to one end of the corresponding pressure chamber (Patent Document 1).
[0003]
With this configuration, ink from an ink supply source (for example, an ink tank) is once supplied to the common ink chamber and then distributed from the common ink chamber to a plurality of pressure chambers. Then, by selectively applying pressure to each pressure chamber by the actuator, ink is ejected from the nozzle corresponding to the pressure chamber, and an image is formed on the print surface.
[0004]
This head is generally formed by laminating and bonding a plurality of thin flat plates made of metal or the like. The aforementioned pressure chamber and common ink chamber are formed by etching the metal plate.
[0005]
Here, in order to prevent the nozzles and pressure chambers from being blocked by dust or the like, the ink supply passage connecting the common ink chamber and the ink tank (ink supply source) or the ink flow path between the common ink chamber and the pressure chamber There is also known a configuration in which a filter is provided so that dust or impurities can be removed before reaching the pressure chamber or nozzle (Patent Document 2).
[0006]
In addition, a restriction channel having a configuration in which the channel cross-sectional area is narrowed is provided between the common ink chamber and the pressure chamber to adjust the amount of ink supplied to the pressure chamber during ink ejection, There is also known a configuration that can prevent an excess.
[0007]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 9-314836
[Patent Document 2]
US Pat. No. 5,734,399
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
Here, in recent years, due to the need for higher resolution of inkjet recording, the miniaturization and higher integration of the inkjet head structure have been advanced. Under this situation, the inkjet head having the above-described restricted flow path and filter inside can be easily used. There is a growing demand to enable manufacturing.
[0009]
The objective of this invention is providing the manufacturing method of the inkjet head which can simplify a manufacturing process.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The present invention for achieving the above object includes a nozzle for ejecting ink, an ink passage connecting the nozzle and an ink supply source, and a plurality of flat plates that are stacked to form the ink passage inside. A method for manufacturing an inkjet head having at least the following steps (A) to (H).
(A) The process of forming a 1st photosensitive resin layer in the surface of one side of a metal flat plate.
(B) The process of forming a 2nd photosensitive resin layer in the surface of the other side of the said metal flat plate.
(C) A step of selectively exposing the first photosensitive resin layer using a mask on which a pattern corresponding to the first passage forming a part of the ink passage is formed.
(D) The process of removing the exposed part or non-exposed part of said 1st photosensitive resin layer.
(E) A step of etching the shape corresponding to the removed portion of the first photosensitive resin layer in the metal flat plate to form the first passage.
(F) A step of selectively exposing the second photosensitive resin layer using a mask in which a pattern corresponding to a second passage and a filter forming a part of the ink passage is formed.
(G) The process of forming said 2nd channel | path connected to said 1st channel | path, and a filter by removing the exposure part or non-exposed part of said 2nd photosensitive resin layer.
(H) A step of laminating the flat plate subjected to the steps (A) to (G) with another flat plate.
[0011]
Thereby, a filter and the 2nd channel | path connected to the 1st channel | path formed in the flat plate can be formed in the 2nd photosensitive resin layer. Therefore, compared with the structure which provides a filter with another member, or forms a filter and a 2nd channel | path in another flat plate, a component structure can be simplified and a manufacturing man-hour can be reduced.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[Inkjet recording device]
FIG. 1 is a schematic view of an inkjet printer including an inkjet head according to an embodiment of the present invention. An
[0013]
Inside the
[0014]
[0015]
A
[0016]
The four
[0017]
The head
[0018]
The
[0019]
The
[0020]
The
[0021]
In a region surrounded by the
[0022]
Next, the structure of the
[0023]
As shown in FIGS. 2 and 3, the
[0024]
A pair of
[0025]
Inside the
[0026]
The
[0027]
A
[0028]
A
[0029]
As shown in FIG. 2, six
[0030]
[First embodiment]
The head
[0031]
The cavity plate set 10 has a configuration in which an
The
[0032]
On the upper surface of the cavity plate set 10, a
[0033]
In correspondence with each of the
[0034]
As schematically indicated by a chain line in FIG. 5, a
[0035]
The
[0036]
However, in addition to the piezoelectric or electrostrictive deformation described above, the
[0037]
As shown in FIG. 5, the cavity plate set 10 has a structure in which eight thin
[0038]
In the following, for convenience of description of the configuration, when each of the
[0039]
In the first embodiment, the
[0040]
As shown in FIG. 5, in the first
[0041]
As shown in FIG. 6, the second to seventh
[0042]
The configuration of the
[0043]
By laminating the fifth to seventh
[0044]
In the present embodiment, as described above, since the
The fourth
[0045]
In the first embodiment, a damper structure that absorbs pressure fluctuations in the
[0046]
The
As a result, even if the pressure fluctuation generated in the
[0047]
Next, the ink flow path between the
Introducing
[0048]
The third
[0049]
As shown in FIGS. 4 and 6, the
The
[0050]
Here, the
[0051]
The other ends of the three
[0052]
The
[0053]
The
Further, as shown in FIG. 5, the restricted
[0054]
In this way, by arranging the projection area of the
[0055]
The other end of the
[0056]
Here, the cross-sectional area of the
[0057]
In this regard, if this restricted flow path is configured by forming a groove in one of the laminated flat plates by half-etching, the etching rate affects various conditions such as the temperature and concentration of the etchant. Therefore, it is easy to cause variations in the half-etching depth, and it is extremely difficult to accurately form the dimensions of the restriction channel.
[0058]
In view of the above circumstances, in the present embodiment, the fourth flat plate (flat plate member) 14 is formed in a thin film shape with polyimide, and the restricting
[0059]
With the above configuration, the ink in the
That is, in the embodiment disclosed in FIGS. 4 to 6, the
[0060]
Next, the configuration of the
As shown in FIG. 6, a
[0061]
Communication holes 91 to 93 are formed in the first to third
[0062]
In the present embodiment, as is apparent from FIG. 6, the
[0063]
In the present embodiment, the
Further, in this way, the
[0064]
Note that the
A configuration that solves this problem is a modification a of the first embodiment disclosed in FIG. In the cavity plate set 10xa shown in FIG. 7, a
[0065]
That is, by making the
[0066]
In the present embodiment, the
[0067]
Further, the material of the
[0068]
In addition, the
[0069]
A configuration in which three filters coexist is shown in FIGS. 8 and 9 as a modified example b of the first embodiment. In the cavity plate set 10xb, a large number of fine through
Accordingly, the ink traveling from the
[0070]
Thus, by providing the three filters of the
Further, in this way, the
[0071]
In another embodiment, when the
[0072]
In addition, the
[0073]
[Second Embodiment]
Next, a second embodiment will be described. In the second embodiment, the configurations of the
FIG. 10 is a plan view of the inkjet head of the second embodiment. FIG. 11 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross-section taken along the line P-P in FIG. 10.
[0074]
In the
In the second embodiment as well, when each of the
In the present embodiment, the
[0075]
As in the first embodiment, the
[0076]
Therefore, in the second embodiment, the first
[0077]
In the eighth
[0078]
An ink flow path from the
As described above, the
An
[0079]
The third
[0080]
With this configuration, the ink in the
[0081]
Next, the configuration of the ink supply passage 142 for supplying ink from the external ink supply source to the
[0082]
As described above, the
[0083]
As a result, since the two
[0084]
The
[0085]
Similar to the first embodiment, a
[0086]
In the second embodiment, as described above, the two
[0087]
[Third embodiment]
Next, a third embodiment of the inkjet head will be described with reference to FIGS.
FIG. 14 is a plan view of the inkjet head according to the third embodiment.
FIG. 15 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross section taken along the line P-P in FIG.
FIG. 16 is an exploded perspective view showing a laminated structure of the cavity plate set of the inkjet head according to the third embodiment.
FIG. 17 is an enlarged perspective view of a third flat plate.
FIG. 18A is an enlarged perspective view of a main part showing the configuration of the restriction channel in the third embodiment. FIG. 18B is an essential part enlarged perspective view showing a reference example in which no protrusion is arranged in the restriction channel.
FIG. 19 is an essential part enlarged perspective view showing a modified example of the restriction channel.
[0088]
In the head
[0089]
Also in this third embodiment, when each of the
In the present embodiment, the
[0090]
As in the other embodiments, the
[0091]
In the eighth
[0092]
The fifth and sixth
[0093]
In the third embodiment, as described above, the first
The third
[0094]
The seventh
[0095]
The seventh
As a result, even if the pressure fluctuation generated in the
[0096]
Next, the ink flow path between the
As shown in FIGS. 15 and 16, an
[0097]
As shown in FIG. 17, the
With this configuration, when the
[0098]
The groove processing by the half etching described above is performed by a known method as shown below.
That is, (1) after pretreatment of the third
As described above, since the restriction channel 256 (with a
[0099]
In a portion connected to the
The other end of the
[0100]
As shown in FIG. 18A, the restricted
[0101]
In addition, on the inner side of the
[0102]
The
[0103]
With the above configuration, the ink in the
[0104]
Here, the flow path resistance of the
Therefore, in order to prevent the amount of ink ejected from the
This channel resistance is proportional to the length L in the longitudinal direction of the restricted
[0105]
However, in the present embodiment, since the plurality of island-shaped
As a result, it becomes easy to accurately determine the flow path resistance of the restricted
[0106]
In particular, when the
[0107]
That is, with respect to the length L and the channel width w in the longitudinal direction of the above-described
On the other hand, in half-etching, the etching rate is easily influenced by various conditions such as the temperature and concentration of the etching solution, so that it is difficult to strictly control and the etching depth is likely to vary. Therefore, the flow path depth d of the restricted
Since the magnitude of the channel depth d directly affects the channel resistance as described above, a large amount of ink is ejected from a
[0108]
In this regard, in the configuration in which the
The error of the etching depth of half etching (corresponding to the error of the channel depth d) Δd can be suppressed within an absolute value range of plus or minus several μm. Therefore, according to the present embodiment in which the flow path depth d can be increased, the influence of the error Δd of the flow path depth becomes relatively small, and the error of the flow path resistance of the restricted
[0109]
In addition, since the
[0110]
Further, in the present embodiment, the
[0111]
In the present embodiment, the above-described
[0112]
In addition, the distance between the
[0113]
In the present embodiment, the concave portion of the
Further, the configuration is not limited to the configuration in which the concave portion of the
In this embodiment, the width w of the restricted
[0114]
As shown in FIG. 16, communication holes 231 to 234 are formed in the first to fourth
If the filter is arranged so as to cover the
[0115]
[Fourth embodiment]
Next, a fourth embodiment will be described with reference to FIGS. The fourth embodiment is characterized by a restriction channel and a method of forming a filter in the restriction channel part.
FIG. 20 is a plan view of the inkjet head of the fourth embodiment.
FIG. 21 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross-section taken along the line PP in FIG.
FIG. 22 is an exploded perspective view showing the laminated structure of the cavity plate set of the inkjet head of the fourth embodiment.
FIG. 23 is an enlarged perspective view of a fourth flat plate.
[0116]
In the head
[0117]
Also in this fourth embodiment, when each of the
[0118]
As in the other embodiments, the
[0119]
As shown in FIG. 21 and the like, a
[0120]
The configuration of the
The fifth and sixth
By laminating the fourth to sixth
[0121]
In the fourth embodiment, as described above, a pressure chamber is formed in the first
The resin layer (flat plate member) 314 b on the upper surface of the fourth
[0122]
Next, the ink flow path between the
An introduction hole 352 (first passage) for guiding ink from the
The restricting
The other end of the
[0123]
As shown in FIG. 20, the
The
[0124]
With the above configuration, the ink in the
[0125]
Next, the configuration of the
As shown by broken lines in FIGS. 21 to 23, a
As shown in FIG. 22, communication holes 331 to 333 are respectively formed in the first to third
[0126]
In the present embodiment, the
[0127]
A damper structure that absorbs pressure fluctuations in the
The aforementioned
Then, the third
[0128]
The resin layer (flat plate member) 314b is configured to have appropriate elasticity, and the
As a result, even if the pressure fluctuation generated in the
[0129]
Next, a process of forming the two
[0130]
24 to 26 show the manufacturing process of the fourth
FIG. 24 is a diagram showing a manufacturing process of the fourth flat plate.
FIG. 25 is a diagram showing a state in which the photosensitive resin layer formed on the fourth flat plate is exposed.
FIG. 26 is a diagram showing a state in which a filter and a communication channel are formed in the photosensitive resin layer.
[0131]
(P1) in FIG. 24 shows a metal
[0132]
Thereafter, the photosensitive resin and the solvent in the etching resist are removed from the
For convenience of explanation, the fourth
[0133]
Next, as shown in FIG. 25 (p3), selective exposure is performed on the upper and lower surfaces of the
There are two types of photomasks, one for the upper surface and the other for the lower surface. The
A pattern corresponding to the
Both
[0134]
Next, the developer is applied to the first
Then, when an etching solution is applied to the first
[0135]
Finally, when the developing solution is applied to the second
As a result, as shown in FIG. 26 (p6), the
[0136]
Through the above steps, the fourth
[0137]
In the flat plates (311 to 313, 315 to 317) other than the fourth flat plate, a photosensitive resin layer is formed on both surfaces of each metal flat plate layer, and the
[0138]
In this embodiment, by adopting the manufacturing process as described above, the
[0139]
In particular, in this configuration, not only the
[0140]
Further, the
[0141]
The
[0142]
In the present embodiment, since the
[0143]
Furthermore, since the
That is, the flow path resistance of the
[0144]
In this respect, according to the configuration of the present embodiment, the thickness of the second
[0145]
Further, similarly to the third embodiment, the difficulty of ink flow (flow path resistance) can be freely adjusted by varying the number of
[0146]
As shown in FIG. 22, the second
[0147]
In this embodiment, the photosensitive resin / etching resist is a positive type (photocuring type), but is not limited to this, and a negative type (photodecomposition type) may be adopted. . In that case, the exposed portion is removed in the reverse direction during development, but if a mask formed with a pattern in which the exposed portion and the unexposed portion are replaced is used as the
[0148]
Note that the steps do not necessarily have to proceed in the order described above. For example, the first
[0149]
In the present embodiment, the
[0150]
In the fourth embodiment described above, the
In this case, the developer (solvent) for developing the first
[0151]
[Fifth embodiment]
Next, a fifth embodiment will be described with reference to FIGS. The fifth embodiment is different from the fourth embodiment in that the flow path (second passage) formed in the second
FIG. 28 is a plan view of the ink jet head of the fifth embodiment.
FIG. 29 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross section taken along the line P-P in FIG. 28.
FIG. 30 is an exploded perspective view showing the laminated structure of the cavity plate set of the inkjet head of the fifth embodiment.
FIG. 31 is an enlarged perspective view of a fourth flat plate.
[0152]
The inkjet head of the fifth embodiment shown in FIGS. 28 to 31 is different from that of the fourth embodiment in the configuration of the flow path from the
The configuration of this flow path will be described. As shown in FIG. 29 and the like, an
In the fifth embodiment, no filter is formed inside the
[0153]
Also in this ink jet head, the
[0154]
Instead of the steps of FIGS. 25 to 27, (1) the same pretreatment as in the above embodiment is applied to the fourth
In this case, as the second
[0155]
In the first to fifth embodiments, the first flat plate layer A is composed of a single flat plate and the second flat plate layer B is composed of a plurality of flat plates, but is not limited thereto. . That is, the first flat layer A may be composed of two or more flat plates, or the second flat layer B may be composed of only one flat plate.
[0156]
【The invention's effect】
Since the present invention is configured as described above, the following effects can be obtained.
[0157]
That is, as shown in
A filter and the 2nd channel | path connected to the 1st channel | path formed in the flat plate can be formed in a 2nd photosensitive resin layer. Therefore, compared with the structure which provides a filter with another member, or forms a filter and a 2nd channel | path in another flat plate, a component structure can be simplified and a manufacturing man-hour can be reduced.
[0158]
As shown in claim 2, since a mask having a pattern in which the filter is formed in the second passage is used in the step (F),
In the second photosensitive resin layer, a filter can be easily built in the second passage, so that the component configuration can be simplified and the number of manufacturing steps can be reduced. Further, the filter is accommodated in the second passage in a compact manner, and is suitable for increasing the density of the flow path accompanying the increase in resolution.
[0159]
According to a third aspect of the present invention, the ink-jet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle, and a common ink chamber for distributing ink to the pressure chamber. Since a mask having a pattern in which the filter is formed in a flow path connecting to the common ink chamber is used in the step (F),
Since a filter for filtering ink from the common ink chamber to the pressure chamber can be easily formed in the second photosensitive resin layer, the component configuration can be simplified and the number of manufacturing steps can be reduced.
[0160]
According to a fourth aspect of the present invention, the inkjet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle, a common ink chamber for distributing ink to the pressure chamber, and an ink supply source to the common ink chamber. And a mask having a pattern in which the filter is formed in the ink supply passage is used in the step (F).
In the second photosensitive resin layer, a filter for filtering the ink from the ink supply source to the common ink chamber in the ink supply passage can be easily built, so that the component configuration can be simplified and the number of manufacturing steps can be reduced. it can.
[0161]
According to a fifth aspect of the present invention, the inkjet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle, a common ink chamber for distributing ink to the pressure chamber, and an ink supply source to the common ink chamber. A pattern in which a filter is formed in a flow path connecting the pressure chamber and the common ink chamber, and a filter is formed in the ink supply passage. Is used in the step (F),
A filter for filtering ink from the common ink chamber to the pressure chamber and a filter for filtering ink from the ink supply source to the common ink chamber in the ink supply path may be formed in the second photosensitive resin layer. Therefore, the component configuration can be simplified and the number of manufacturing steps can be reduced.
[0162]
According to a sixth aspect of the present invention, the inkjet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection in the nozzle, and a restriction channel for adjusting the flow of ink to the pressure chamber. Since the second passage formed in the step G) constitutes the restricted flow path,
Since the restriction flow path for adjusting the flow of ink to the pressure chamber can be easily formed in the second photosensitive resin layer, the component configuration can be simplified and the number of manufacturing steps can be reduced.
[0163]
According to a seventh aspect of the present invention, the inkjet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle and a common ink chamber for distributing ink to the pressure chamber. Of the other flat plates laminated in the step (H) with respect to the flat plate subjected to the step (G), the flat plate facing the side opposite to the common ink chamber with the second photosensitive resin layer interposed therebetween. Since the meat removal part is formed,
Since the function corresponding to the pressure variation of the common ink chamber can be performed in the portion corresponding to the lightening portion of the second photosensitive resin layer, the pressure variation generated in one pressure chamber is caused by the common ink. It is possible to prevent a phenomenon (crosstalk) that propagates to another pressure chamber via the chamber.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view of an inkjet printer including an inkjet head according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a perspective view of an inkjet head.
3 is a cross-sectional view taken along line III-III in FIG.
FIG. 4 is a plan view of the ink jet head according to the first embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross section taken along line P-P in FIG. 4;
FIG. 6 is an exploded perspective view showing a laminated structure of a cavity plate set.
FIG. 7 is an exploded perspective view of a set of cavity plates in a form in which a metal film is formed on a flat plate member.
FIG. 8 is a plan view of an ink jet head in which an internal filter is formed on a flat plate member.
FIG. 9 is an exploded perspective view showing a laminated structure of a cavity plate set in an ink jet head in which an internal filter is formed on a flat plate member.
FIG. 10 is a plan view of an inkjet head according to a second embodiment.
11 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross-section taken along line PP in FIG.
FIG. 12 is an exploded perspective view showing a laminated structure of a cavity plate set.
FIG. 13 is an exploded perspective view of a set of cavity plates in a form in which a metal film is formed on a flat plate member.
FIG. 14 is a plan view of an inkjet head according to a third embodiment.
15 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross-section taken along line P-P in FIG. 14;
FIG. 16 is an exploded perspective view showing a laminated structure of a cavity plate set of an inkjet head according to a third embodiment.
FIG. 17 is an enlarged perspective view of a third flat plate in the third embodiment.
18A is an enlarged perspective view of a main part showing a configuration of a restriction channel in the third embodiment, and FIG. 18B is an enlarged perspective view of a main part showing a reference example in which no protrusion is arranged in the restriction channel. is there.
FIG. 19 is an enlarged perspective view of a main part showing a modified example of the restriction channel.
FIG. 20 is a plan view of an inkjet head according to a fourth embodiment.
FIG. 21 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross section taken along the line PP in FIG. 20;
FIG. 22 is an exploded perspective view showing a laminated structure of a cavity plate set of an ink jet head according to a fourth embodiment.
FIG. 23 is an enlarged perspective view of a fourth flat plate.
FIG. 24 is a diagram showing manufacturing steps of the fourth flat plate.
FIG. 25 is a view showing a state where exposure is performed on a photosensitive resin layer formed on a fourth flat plate.
FIG. 26 is a diagram showing a state in which a filter and a communication channel are formed in the photosensitive resin layer.
FIG. 27 is a cross-sectional perspective view of an inkjet head showing a modification in which the resin on one side of the fourth flat plate of the fourth embodiment is removed.
FIG. 28 is a plan view of an inkjet head according to a fifth embodiment.
FIG. 29 is a perspective view of the inkjet head, showing a cross section taken along line P-P in FIG. 28;
FIG. 30 is an exploded perspective view showing a laminated structure of a cavity plate set of an inkjet head according to a fifth embodiment.
FIG. 31 is an enlarged perspective view of a fourth flat plate.
[Explanation of symbols]
1 Inkjet head
21 nozzles
311 to 317 flat plate
314a / 314b photosensitive resin layer
352 introduction hole (first ink flow path)
362 filter
367 Restriction channel (second ink channel)
381/382 Mask
Claims (7)
前記ノズルとインク供給源とを繋ぐインク通路と、
積層されることで前記インク通路を内部に形成する、複数の平板と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
以下の(A)〜(H)の行程を少なくとも含む、インクジェットヘッドの製造方法。
(A)金属平板の一側の面に、第一の感光性樹脂層を形成する工程。
(B)前記金属平板の他側の面に、第二の感光性樹脂層を形成する工程。
(C)前記インク通路の一部をなす第一通路に対応するパターンが形成されたマスクを用いて、前記第一の感光性樹脂層に選択的に露光を行う工程。
(D)前記第一の感光性樹脂層の露光部分または非露光部分を除去する工程。
(E)前記第一の感光性樹脂層の除去された部分に相当する形状を前記金属平板にエッチングして、前記第一通路を形成する工程。
(F)前記インク通路の一部をなす第二通路およびフィルタに対応するパターンが形成されたマスクを用いて、前記第二の感光性樹脂層に選択的に露光を行う工程。
(G)前記第二の感光性樹脂層の露光部分または非露光部分を除去することで、前記第一通路に接続する前記第二通路、およびフィルタを形成する工程。
(H)前記(A)〜(G)の工程が施された平板を他の平板と積層する工程。A nozzle for ejecting ink;
An ink passage connecting the nozzle and the ink supply source;
A method of manufacturing an ink-jet head having a plurality of flat plates that are laminated to form the ink passages therein;
The manufacturing method of an inkjet head including the process of the following (A)-(H) at least.
(A) The process of forming a 1st photosensitive resin layer in the surface of one side of a metal flat plate.
(B) The process of forming a 2nd photosensitive resin layer in the surface of the other side of the said metal flat plate.
(C) A step of selectively exposing the first photosensitive resin layer using a mask on which a pattern corresponding to the first passage forming a part of the ink passage is formed.
(D) The process of removing the exposed part or non-exposed part of said 1st photosensitive resin layer.
(E) A step of etching the shape corresponding to the removed portion of the first photosensitive resin layer in the metal flat plate to form the first passage.
(F) A step of selectively exposing the second photosensitive resin layer using a mask in which a pattern corresponding to a second passage and a filter forming a part of the ink passage is formed.
(G) The process of forming said 2nd channel | path connected to said 1st channel | path, and a filter by removing the exposure part or non-exposed part of said 2nd photosensitive resin layer.
(H) A step of laminating the flat plate subjected to the steps (A) to (G) with another flat plate.
前記フィルタが前記第二通路に形成されるようなパターンを有するマスクが、前記(F)の工程で用いられる、
インクジェットヘッドの製造方法。It is a manufacturing method of the ink-jet head according to claim 1,
A mask having a pattern such that the filter is formed in the second passage is used in the step (F).
A method for manufacturing an inkjet head.
当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室にインクを分配する共通インク室と、を含んでおり、
前記圧力室と前記共通インク室との間を繋ぐ流路に前記フィルタが形成されるようなパターンを有するマスクが、前記(F)の工程で用いられる、
インクジェットヘッドの製造方法。It is a manufacturing method of the ink-jet head according to claim 1,
The ink jet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle, and a common ink chamber for distributing ink to the pressure chamber.
A mask having a pattern in which the filter is formed in a flow path connecting the pressure chamber and the common ink chamber is used in the step (F).
A method for manufacturing an inkjet head.
当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室にインクを分配する共通インク室と、当該共通インク室にインク供給源からのインクを供給するインク供給通路と、を含んでおり、
前記インク供給通路に前記フィルタが形成されるようなパターンを有するマスクが、前記(F)の工程で用いられる、
インクジェットヘッドの製造方法。It is a manufacturing method of the ink-jet head according to claim 1,
The inkjet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle, a common ink chamber that distributes ink to the pressure chamber, and an ink supply passage that supplies ink from an ink supply source to the common ink chamber. Including,
A mask having a pattern such that the filter is formed in the ink supply passage is used in the step (F).
A method for manufacturing an inkjet head.
当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室にインクを分配する共通インク室と、当該共通インク室にインク供給源からのインクを供給するインク供給通路と、を含んでおり、
前記圧力室と前記共通インク室との間を繋ぐ流路にフィルタが形成され、かつ、前記インク供給通路にフィルタが形成されるようなパターンを有するマスクが、前記(F)の工程で用いられる、
インクジェットヘッドの製造方法。It is a manufacturing method of the ink-jet head according to claim 1,
The inkjet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle, a common ink chamber that distributes ink to the pressure chamber, and an ink supply passage that supplies ink from an ink supply source to the common ink chamber. Including,
A mask having a pattern in which a filter is formed in a flow path connecting the pressure chamber and the common ink chamber and a filter is formed in the ink supply passage is used in the step (F). ,
A method for manufacturing an inkjet head.
当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室へのインクの流れを調整する制限流路と、を含んでおり、
前記(G)の工程で形成される前記第二通路が、前記制限流路を構成している、
インクジェットヘッドの製造方法。It is a manufacturing method of the ink-jet head according to any one of claims 1 to 5,
The inkjet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle, and a restriction channel for adjusting the flow of ink to the pressure chamber,
The second passage formed in the step (G) constitutes the restriction channel,
A method for manufacturing an inkjet head.
当該インクジェットヘッドは、前記ノズルにおけるインク吐出を制御するための圧力室と、当該圧力室にインクを分配する共通インク室と、を含んでおり、
前記(A)〜(G)の工程が施された平板に対し前記(H)の工程で積層される他の平板のうち、前記第二の感光性樹脂層を挟んで前記共通インク室と反対側で面する平板には、肉抜き部が形成されている、
インクジェットヘッドの製造方法。It is a manufacturing method of the ink-jet head according to any one of claims 1 to 6,
The ink jet head includes a pressure chamber for controlling ink ejection at the nozzle, and a common ink chamber for distributing ink to the pressure chamber.
Of the other flat plates laminated in the step (H) with respect to the flat plate subjected to the steps (A) to (G), the second photosensitive resin layer is sandwiched and opposite to the common ink chamber. A thinned portion is formed on the flat plate facing the side,
A method for manufacturing an inkjet head.
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