JP3803499B2 - トランスジェニック真珠貝及びその作出方法 - Google Patents

トランスジェニック真珠貝及びその作出方法 Download PDF

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    • A01K2217/05Animals comprising random inserted nucleic acids (transgenic)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスジェニック真珠貝びその作出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の真珠養殖では、ひたすら幾種類かの天然に存在する真珠の生産のみが可能であり、色調などは生産後に染色などで色調加工を行なってきた。これら生産後の加工は色調が退色しやすく、また望みの色調に加工することは真珠層の強固なことからほとんど不可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
もし、着色真珠を産生する能力を有するトランスジェニック真珠貝が得られれば、養殖真珠産業にとって有利である。しかしながら、着色に関与する所望の外来遺伝子を発現することができるトランスジェニック真珠貝は現在までのところ作出されていない。
【0004】
従って、本発明の目的は、着色に関与する所望の外来遺伝子を発現することができるトランスジェニック真珠貝及びその作出方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、着色に関与する所望の外来遺伝子とプリズムタンパク質遺伝子又は外套膜タンパク質遺伝子との融合遺伝子を真珠貝のオス及びメスの生殖巣にマイクロインジェクションし、それらのオスとメスを交配することにより、外套膜組織中で着色に関与する所望の外来遺伝子を発現するトランスジェニック真珠貝を作出することに成功し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、着色に関与する所望の外来遺伝子が、プリズムタンパク質遺伝子又は外套膜タンパク質遺伝子との融合遺伝子の形態で導入され、該外来遺伝子を発現し、外套膜組織が着色されたトランスジェニック真珠貝を提供する。また、本発明は、導入しようとする着色に関与する所望の外来遺伝子とプリズムタンパク質遺伝子又は外套膜タンパク質遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子を含む核酸をベクターに組み込んだ組換えベクターを真珠貝のオス及び/又はメスの生殖巣にマイクロインジェクションし、これらのオスとメスを交配させて第1代を作り、前記所望の遺伝子を発現している個体を選択することを含む、上記本発明のトランスジェニック真珠貝の作出方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のトランスジェニック真珠貝としては、アコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイのような真珠貝を挙げることができる。
【0008】
真珠貝に導入される着色に関与する所望の外来遺伝子好ましい例として、緑色蛍光発光タンパク質(GFP:グリーンフルーオレスンスタンパク質)遺伝子、アントシアニン遺伝子、蛍光ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、フォスファターゼ遺伝子等の着色に関与する遺伝子を挙げることができる。なお、ここで、「着色に関与する遺伝子」とは、上記の例示からも明らかなように、色素(蛍光色素を包含する)をコードする遺伝子のみならず、体内で色素を生成する反応を触媒する酵素をコードする遺伝子等、体内での色素生成反応に関与する物質をコードする遺伝子をも包含する。
【0009】
本発明のトランスジェニック真珠貝は次のようにして作出することができる。第一の方法では、上記着色に関与する所望の外来遺伝子とプリズムタンパク質遺伝子若しくは外套膜タンパク質遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子を含む核酸をベクターに組み込んだ組換えベクターを、真珠貝のオス及び/又はメスの生殖巣にマイクロインジェクションにより注入し、これらのオスとメスを交配して第1代の個体を作り、該第1代の個体の中から上記所望の外来遺伝子を発現している個体を選択する。
【0010】
マイクロインジェクションされる組換えベクターに組み込むべきものは、上記外来遺伝子を他の遺伝子と融合させた融合遺伝子である。ここで、上記着色に関与する所望の外来遺伝子と融合される他の遺伝子は、プリズムタンパク質遺伝子又は外套膜タンパク質遺伝子である。ベクターとしては、アデノウイルスベクターやレトロウイルスベクターのような動物細胞用ベクターを挙げることができる。これらのベクターは市販されているので、市販品を用いることができる。
【0011】
上記組換えベクターを真珠貝の生殖巣にマイクロインジェクションする方法について説明する。基本的には、組換えベクターを含む溶液を注射針で直接生殖巣内に注入することにより行なうことができる。マイクロインジェクション用の溶液の媒体としては、TE緩衝液のような緩衝液でよく、溶液中の組換えベクターの濃度は、2〜200μg/ml程度が好ましく、特には5〜10μg/ml程度が好ましい。注入する溶液の量は、1箇所につき10〜50μl程度が好ましく、卵巣、精巣とも2〜4箇所程度に注入することが好ましい。
【0012】
マイクロインジェクション後、10〜25℃、好ましくは15〜20℃で24〜72時間、好ましくは24〜48時間放置した後、マイクロインジェクションしたオスとメスを交配させる。交配は自然交配でもよいが、再現性良く確実に交配させるために人工授精を行なうことが好ましい。人工授精は、基本的に、マイクロインジェクションした精巣からの精子をマイクロインジェクションしたメスの卵巣中の成熟卵に添加することにより行なうことができる。なお、マイクロインジェクションは、交配させるオス及びメスの両者の生殖巣に対して行うことが好ましいが、いずれか一方の生殖巣に対して行ってもトランスジェニック真珠貝を作出することが可能である。軟体動物の人工授精の方法自体はDev Biol 1994, 163(1): 162-174等に記載の方法により行なうことができる。
【0013】
受精卵からの個体の育成は、受精卵を海水又は人工海水中で、その真珠貝の通常の生育温度範囲でインキュベートすることにより容易に行なうことができる。
【0014】
次いで、得られた個体から形質転換体を選択する。これは、真珠貝の細胞中に、導入しようとする着色に関与する所望の外来遺伝子が存在するか否かをサザンブロット法により調べ、さらに真珠貝細胞で該外来遺伝子が発現されているか否かをノーザンブロット法により調べることにより行なうことができる。サザンブロット法及びノーザンブロット法自体及びそのための試料の調製方法自体はこの分野において周知であり、例えば中山・西方著、「バイオ実験イラストレイテッド(2)遺伝子解析の基礎」、秀潤社(1995)に記載されている。
【0015】
形質転換ラインを確立するために、上記の方法により形質転換体であることが確認された第一代の真珠貝のオス及びメスを上記と同様にして交配させ、第二代の個体を得、その中から上記と同様にして形質転換体を選択することが好ましい。さらに第三代以降を同様にして作ることにより、より確実に形質転換ラインを確立することが可能である。
【0016】
トランスジェニック真珠貝を作出する第二の方法では、形質転換しようとする真珠貝中でプロモーター活性を発揮するプロモーターの下流に、前記着色に関与する所望の遺伝子を機能的に連結した核酸を組み込んだ組換えベクターを該真珠貝の未受精卵、受精卵又は胚に導入し、該未受精卵、受精卵又は胚を個体にまで成長させ、前記所望の遺伝子を発現している個体を選択する。
【0017】
形質転換しようとする真珠貝でプロモーター活性を発揮するプロモーターは、形質転換しようとする真珠貝中でプロモーター活性を発揮するものであればいずれのものであってもよく、例えばアクチン遺伝子プロモーター、熱ショックプロテイン遺伝子プロモーター等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、所望の外来遺伝子をプロモーターの下流に「機能的に連結」するとは、該外来遺伝子が該プロモーターの支配を受けるように読み枠を合わせて連結することを意味する。この場合、プロモーターの下流に機能的に連結された他の構造遺伝子又はその断片の下流に上記所望の外来遺伝子を読み枠を合わせて連結して、融合タンパク質として発現させることも可能である。なお、プロモーターの下流に構造遺伝子を機能的に連結する方法はこの分野において周知である。組換えベクターは、第1の方法と同様にして調製することができる。
【0018】
次いで、調製した組換えベクターを真珠貝の未受精卵、受精卵又は胚、好ましくは未受精卵に導入する。これは例えば次のようにして行なうことができる。濃度100〜200mg/ml程度のベクター溶液をシャーレあるいはウェルに用意し、未受精卵あるいは受精卵又は胚を浸す。このように浸した卵あるいは胚をマイクロインジェクション用マイクロピペットを用いて(これに限るものではない)鋭利に一瞬だけ傷を付けるようにしてベクター液を卵あるいは胚内に注入する。この時、破裂は勿論のこと致命傷にならない程度に傷穴を空けることが肝心である。組換えベクターを導入した受精卵又は胚から第1の方法と同様にして個体を得ることができ、第1の方法と同様にして形質転換体を選択し、形質転換ラインを確立することができる。
【0019】
また、未受精卵は上記操作の直後あるいは並行して人工授精を行った後、第1の方法と同様にして個体を得ることができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を、実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0021】
参考例1 ヒトインターフェロンα遺伝子を導入したトランスジェニックアコヤガイの作出
ヒトあるいはマウスインターフェロンα遺伝子(BBL社、RDS社より市販)をアデノウイルスベクター(宝酒造社製、タカラ・アデノウイルス発現ベクターキット)に組み込み組換えベクターを作製した。この操作は具体的には次のようにして行なった。上記市販のインターフェロンα遺伝子をコスミドベクター(pAxcwt(44,741 bp), Niwa, M. et al., (1991) Gene 108, 193,上記市販のアデノウイルス発現ベクターキットに含まれている)のSwa I部位に挿入した。組み込まれた遺伝子を持つコスミドベクターと、上記制限酵素で処理した上記市販のアデノウイルス由来DNA−TPC(Miyake, S. et al., (1996), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93 1320)とを293細胞(ヒト胎児腎細胞、大日本製薬株式会社製)に共存導入した。共存導入は、具体的には次のように行った。293細胞を10%FCS添加DMEM培地で、5%CO2、37℃の条件下に100%コンフルエントに培養し、上記コスミドベクターDNA10μgと制限酵素処理済みDNA−TPC5μgとを直径6cmのシャーレ上で混合した。このトランスフェクションはリン酸カルシウム法で行った。共存導入後の細胞を37℃、5%CO2で24時間培養後、増殖した組換えアデノウイルスの分画を集め、DNA量(100〜200mg/個)をアコヤ貝の卵巣に注入し、別にオスから取出した精子(卵子の2倍量)と試験管内で混合し受精させた。これを海水中25℃で、24日間培養し、稚貝を得た。200個の稚貝31個中に、インターフェロン用DNAプローブの蛍光(FITC)の発色が見られた。さらに稚貝のDNAを精製し、同じDNAプローブにより配列を確認した。これらの貝は継続養殖された。
【0022】
また、ウイルス感染により閉殻筋が赤色に変化することが報告されており、インターフェロン遺伝子の存在が確認された成貝では、20個中18個でこの積変が見られなかった。
【0023】
一方、上記のようにして得た組換えアデノウイルスベクターをHela細胞にトランスフェクトし、Hela細胞中で増殖させた。Hela細胞へのトランスフェクト及び増殖は、Nature 1995, 374(6523):660-662に記載された方法により行なった。Hela細胞から常法により組換えベクターDNAを回収し、これを10 mM Tris-HCl (pH7.5)、1 mM EDTAないし20 mMリン酸カリウム、3 mMクエン酸カリウム、2% PEG-6000 (pH7.5)中にDNA量50〜100μg/mlの濃度で溶解してマイクロインジェクション用溶液を調製した。該溶液を、アコヤガイのメスの卵巣及びオスの精巣にマイクロインジェクションした。注入した溶液の量は、1箇所当たりDNA換算100μgで、卵巣又は精巣にそれぞれ3箇所注入した。24〜48時間後、精巣からの精子と卵巣からの成熟卵を用いて人工授精を行なった。人工授精は具体的には次のようにして行なった。アコヤ貝のオスより精巣を、メスより卵巣をそれぞれ切除し、試験管に精子と卵子を取出し1:2の割合で混合した。受精卵を海水中で2〜3週間、25℃でインキュベートすることにより受精卵から第一代のアコヤガイ個体を得た。得られたアコヤガイの生殖巣から常法により全DNAを回収し、ヒトインターフェロンα遺伝子をプローブとして用いて常法(「バイオ実験イラストレイテッド」、上掲)によりサザンブロット法を行なった。さらに、アコヤガイの内臓塊、閉殻筋細胞から常法により全mRNAを回収し、ヒトインターフェロンα遺伝子をプローブとして用いて常法(「バイオ実験イラストレイテッド」、上掲)によりノーザンブロット法を行なった。
【0024】
サザンブロット陽性かつノーザンブロット陽性のメス及びオスの個体から採取した成熟卵及び精子を用いて上記と同様に人工授精を行い、上記と同様にして第2代の個体を得た。上記と同様にサザンブロット及びノーザンブロットを行なうことにより、ヒトインターフェロンα遺伝子を導入したトランスジェニックアコヤガイを3ライン選択した。
【0025】
養殖アコヤガイの状態から、ウイルス汚染されていると考えられる海域及びウイルス汚染されていないと考えられる海域において、上記のように作出したトランスジェニックアコヤガイ及び対照として従来のアコヤガイを180日間養殖し、その致死率を比較した。結果を下記表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003803499
Figure 0003803499
【0027】
表1から明らかなように、本発明のトランスジェニックアコヤガイ(ライン1〜3)では、非汚染海域における致死率は従来種と同等であるにもかかわらず、汚染海域における致死率は従来種よりも遥かに低かった。このことから、ヒトインターフェロンα遺伝子導入による致死率低下の効果が明瞭に認められた。
【0028】
参考例2 ヒトインターフェロンβ遺伝子を導入したトランスジェニックアコヤガイの作出
ヒトインターフェロンα遺伝子に代えて、ヒトインターフェロンβ遺伝子(BBL社より市販、HIGASHI, Y. et al. (1983) J. Biol. Chem. 258:92)を用いること、及びサザンブロット及びノーザンブロットで用いたプローブがインターフェロンβ遺伝子の5’末端40塩基ないし50塩基の配列フラグメントをFITC蛍光で修飾したプローブを用いたことを除き、参考例1と同じ操作を行い、ヒトインターフェロンβ遺伝子が導入されたトランスジェニックアコヤガイ(第2代)を作出した。
【0029】
ヒトインターフェロンβ遺伝子導入の効果を参考例1と同様にして調べた。結果を下記表2に示す。
【0030】
【表2】
Figure 0003803499
Figure 0003803499
【0031】
参考例1の場合と同様、ヒトインターフェロンβ遺伝子導入の効果が明瞭に認められた。
【0032】
参考例3 緑色蛍光発光タンパク質(GFP)遺伝子を持つアコヤガイの作製(1)
完全長GFP遺伝子(Science 1994, 263:802-805; GenBank No. U53602、和光純薬工業より市販)を参考例1と同様にしてアデノウイルスベクターへ組み込んだ(増殖に用いた細胞は293細胞)。得られたGFP含有組換えベクターをTE緩衝液で濃度100mg/mlとし、参考例1と同様にしてアコヤガイの卵巣にマイクロインジェクションした。以下、参考例1と同様にして(ただし、サザンブロット及びノーザンブロットで用いたプローブはGFP遺伝子である)、トランスジェニックアコヤガイ(第2代)を作出した。
【0033】
得られたトランスジェニックアコヤガイの各組織において蛍光発光が認められるか否かを蛍光顕微鏡により調べた。結果を下記表3に示す。なお、表中「+」は蛍光発光が認められたことを示し、「+」の数が多いほど蛍光発光が強いことを意味する。
【0034】
【表3】
Figure 0003803499
Figure 0003803499
【0035】
実施例 緑色蛍光発光タンパク質(GFP)遺伝子を持つアコヤガイの作製(2)
真珠貝のプリズムタンパク質は、真珠を構成している重要なタンパク質である。この実施例では、プリズムタンパク質の遺伝子に緑色蛍光発光タンパク質遺伝子を融合し、真珠に自己蛍光発光をさせる試みである。
【0036】
アコヤガイのプリズムタンパク質遺伝子(Nature 1997, 387(6633):563-564; GenBank No. D860/3)をその読み始めコドン5kb上流を含めてクローンし、このプロモーターにGFP遺伝子を融合し、アデノウイルスベクターに導入した。プリズムタンパク質遺伝子(プロモーター含む)とGFP遺伝子の融合遺伝子は、M. Chalfie et al., Science 1994, 263:802-805に記載された方法により調製した。すなわち、上記読み始めコドン5kb上流を含むプリズムタンパク質遺伝子の開始コドンから10nt目に、9nt、10nt又は11ntのリンカー(ポリT)を結合し、市販のGFP遺伝子の5’末端に、それぞれ9、10、あるいは11ntのポリAリンカーを結合させたDNAをハイブリダイズして、融合遺伝子を得た。得られた融合遺伝子を制限酵素NHeI及びEcoRIを用い、参考例1で用いたのと同じアデノウイルスベクターに挿入した。次いで参考例1と同様にして、プリズムタンパク質遺伝子とGFP遺伝子との融合遺伝子を導入したトランスジェニックアコヤガイを得た。得られたトランスジェニックアコヤガイの外套膜組織を蛍光顕微鏡で観察したところ、蛍光発光を認めた。
【0037】
本実施例で得られたトランスジェニックアコヤガイは、プリズムタンパク質のプロモーター及び構造遺伝子の下流にGFP遺伝子を連結したものであり、これが発現されて蛍光が認められているので、このアコヤガイに真珠を作らせれば、真珠を構成するプリズムタンパク質にはGFPが融合しているから、蛍光発光する真珠玉が形成されると考えられる。
【0038】
実施例3 緑色蛍光発光タンパク質(GFP)遺伝子を持つアコヤガイの作製(3)
外套膜タンパク質は、プリズムタンパク質と同様に真珠を構成する大切なタンパク質である。実施例2のプリズムタンパク質遺伝子に代えてアコヤガイ外套膜タンパク質遺伝子(Nature 1997, 387(6633):563-564; GenBank No. 86074)を用いて実施例2と同様な操作を行ない、外套膜タンパク質遺伝子とGFP遺伝子との融合遺伝子を導入したトランスジェニックアコヤガイを作出した。なお、アコヤガイ外套膜タンパク質遺伝子とGFP遺伝子との融合及び該融合遺伝子とアデノウイルスベクターへの組み込みは、具体的には次のように行なった。実施例2と同様、外套膜タンパク質の開始コドン約5kb上流を含むDNA断片の開始コドンから15b目に9、10あるいは11ntのポリTを結合し、実施例2で用いたと同様のGFP遺伝子に9、10、11ntのポリAをハイブリダイズして融合遺伝子を作製した。得られた融合遺伝子を用いて実施例2と同様な操作を行い、トランスジェニックアコヤガイを得た。
【0039】
得られたトランスジェニックアコヤガイの外套膜組織を蛍光顕微鏡で観察したところ、蛍光発光を認めた。
【0040】
本実施例で得られたトランスジェニックアコヤガイは、外套膜タンパク質のプロモーター及び構造遺伝子の下流にGFP遺伝子を連結したものであり、これが発現されて蛍光が認められているので、このアコヤガイに真珠を作らせれば、真珠を構成する外套膜タンパク質にはGFPが融合しているから、蛍光発光する真珠玉が形成されると考えられる。
【0041】
参考例4 プロモータートラップ法によるGFP遺伝子又はLacZ遺伝子の導入
基本的にはI. A. Hope, Development 113巻339-408(1991年)の方法によった。先ず、参考例3に記載した方法により精巣及び卵巣にGFP遺伝子(10〜50mgDNA/個)を注入し、のち試験管内で受精させた。これを海水中25℃で培養し、3週間で稚貝を得た。約5〜15%の稚貝にGFP特有の発色が認められた。これらを養殖槽で12ヶ月間養殖し、成貝を得た。成貝を解剖し、特によく発色している臓器を単離し、DNAを抽出した。抽出されたDNA中にGFP遺伝子を発現するプロモーター遺伝子配列を解析した。タンパク質合成酵素や閉殻筋中の酵素のプロモーター遺伝子がトラップされた。
【0042】
新しく単離されたプロモーター領域を含む配列の下流にGFPあるいはLacZ遺伝子を挿入し、発現ベクターpAxCAwt(タカラアデノウイルス発現ベクターキット)からβ−アクチンプロモーターを制限酵素により切除したもののSwa I制限部位(サイトメガロウイルスエンハンサー配列とウサギβ−グロビンポリAシグナルの間)に、得られた遺伝子を導入した。得られた組換えベクターを用い、濃度100〜200mg/ml程度の該ベクター溶液をシャーレに用意し、未受精卵を浸した。このように浸した未受精卵をマイクロインジェクション用マイクロピペットを用いて鋭利に一瞬だけ傷を付けるようにしてベクター液を卵に注入した。以後、参考例1と同様にしてトランスジェニックアコヤガイを得た。それぞれの遺伝子の発現量は分光学的に検出した。
【0043】
得られたトランスジェニックアコヤガイについて、自己蛍光発光(GFP遺伝子の場合)及び発色基質XGによる染色(LacZ遺伝子の場合)による観察の結果、アコヤガイの種々の組織に蛍光発光あるいは染色が認められた。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、所望の外来遺伝子を発現することができるトランスジェニック軟体動物が初めて提供された。本発明により、着色真珠を形成する真珠貝等の産業上有用な種々の軟体動物を作出することが可能になった。

Claims (4)

  1. 着色に関与する所望の外来遺伝子が、プリズムタンパク質遺伝子又は外套膜タンパク質遺伝子との融合遺伝子の形態で導入され、該外来遺伝子を発現し、外套膜組織が着色されたトランスジェニック真珠貝。
  2. 前記着色に関与する遺伝子は、緑色蛍光発光タンパク質遺伝子であり、外套膜組織が蛍光を発する請求項1記載のトランスジェニック真珠貝。
  3. 導入しようとする着色に関与する所望の外来遺伝子とプリズムタンパク質遺伝子又は外套膜タンパク質遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子を含む核酸をベクターに組み込んだ組換えベクターを真珠貝のオス及び/又はメスの生殖巣にマイクロインジェクションし、これらのオスとメスを交配させて第1代を作り、前記所望の遺伝子を発現している個体を選択することを含む、請求項1又は2記載のトランスジェニック真珠貝の作出方法。
  4. 前記所望の遺伝子を発現している前記第1代のオスとメスを交配して第2代を作り、前記所望の遺伝子を発現している個体を選択することをさらに含む、請求項記載の方法。
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