JP3802139B2 - スパッタ用磁気回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に薄膜製造用のスパッタリング装置のマグネトロン電極に用いられる磁気回路(以下、スパッタ用磁気回路と記す)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スパッタ用磁気回路には、図5に示すように、円板状のヨーク1の片面中央部に厚み方向に磁化された円柱状の永久磁石2が接着固定され、さらに前記ヨーク1の同一面上の外周部に永久磁石2と反対の磁化方向を持つ環状の永久磁石3が接着固定されている。通常、永久磁石3は、複数(図5では16分割)に分割、製作されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種の磁気回路は、使用中の温度上昇を防止するため、冷却水中に埋没させており、かつ分割されている永久磁石は磁化されているため、個々の永久磁石間で反発力が作用し、長時間使用していると、接着強度が低下し、前記磁石が動き、最終的には、接着剤がはがれ、永久磁石が固定位置から離脱したり、位置ずれを生じたりし、信頼性が低いという問題があった。又、組み立ての際、前記磁石の位置決め用の治具を用いたりしなければならず、作業性が悪いという問題があった。又、使用中に軸回転させる場合が多いが、その際、永久磁石が位置ずれを起こしたり、長時間使用により動いたりすると、回転バランスが悪くなり、回転軸や軸受等に偏った大きな力がかかる問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、これらの欠点を除去するため、接着剤が不要の、水中で長時間使用しても、永久磁石が固定位置より位置ずれがなく、離脱しない、正確な位置合わせができ、回転バランスのよい、作業性がよい、高い信頼性を有する磁気回路を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヨークの中央部と外周部にそれぞれヨークの厚み方向に磁化され極性の異なる永久磁石を配置したスパッタ用磁気回路において、前記永久磁石部分と同型状の穴をあけた非磁性のプレートを、前記永久磁石部分と前記穴が合致するように配置して、前記ヨークに固定することにより、前記永久磁石を前記ヨークに固定したことを特徴とするスパッタ用磁気回路である。
【0006】
分割製作された環状の永久磁石は、磁化されると、個々の永久磁石間で反発力が作用するため、接着剤が劣化した場合、永久磁石はヨーク上を移動したり、ヨークから離脱して外部に飛び出したりする。従って、永久磁石を非磁性の固定部品で機械的にヨークに固定することにより、磁石の位置決め用治具を使用せず、永久磁石の飛び出し及び位置ずれを防止できる。又、このプレートの密度が、永久磁石と同程度のものを選択することにより、重心が回転中心と一致するようになるため、回転のバランスも向上する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0008】
(参考例1)
図1は、本発明の参考例1のスパッタ用磁気回路を示す断面図である。
【0009】
図1に示すように、参考例1のスパッタ用磁気回路は、円板形のヨーク1の片面中央部に厚み方向に磁化された円柱形の永久磁石2が配置され、更に、ヨーク1の同一面上の外周部に永久磁石2と反対の磁化方向を持つ環状の永久磁石3が同心円状に配置されている。又、永久磁石3は、複数個(図では16分割)されている。
【0010】
永久磁石2,3の外周部には、非磁性の鍔6が付いた固定ピン4を配置し、前記永久磁石2,3をヨーク1にねじ止めにより固定している。
【0011】
この固定ピン4により、永久磁石2,3が、接着剤なしでヨーク1の固定位置に固定されるため、接着剤劣化による永久磁石2,3の固定位置からの離脱がなくなり、信頼性が向上する。
【0012】
なお、固定ピン4のヨークへの固定手段としては、ねじ止め以外にも、かしめや圧入等の他の手段を採用してもよい。又、ヨーク中央部に位置する永久磁石が環状のもの、磁気回路全体が円形以外のもの、磁場分布を調整するために補助的に他の永久磁石を接着したものにも適用が可能である。
【0013】
(参考例2)
図2は、本発明の参考例2のスパッタ用磁気回路を示す断面図である。参考例2の磁気回路は、ヨーク外周部に固定部品を取り付けるスペースの少ない場合である。図2に示すように、外周部にはL型固定部品5を配置し、ヨークの外周部分に溶接にて固定している。
【0014】
(実施例1)
図3は、本発明の実施例1のスパッタ用磁気回路を示す断面図である。
【0015】
図3に示すように、本実施例の磁気回路は、円板形ヨーク1の中央部に厚み方向に磁化された、平面形状がD形の永久磁石2が配置され、更に、ヨーク1の外周部に永久磁石2と反対の磁化方向を持つ、平面形状が、D形で環状の永久磁石3が円心状に配置されている。又、永久磁石3は、参考例1,2と同様に、複数個々に分割されている。
【0016】
ヨーク1の上部の空間には、非磁性のプレート4aが、支柱5aによって、ヨーク1にねじ止めされており、更に、カバー6aが支柱5aにねじ止めされている。プレート4aは、永久磁石2,3と同程度の密度のものを使用している。
【0017】
このプレート4aにより、永久磁石2,3は、ヨーク上を移動することがなく、接着剤が不要となり、接着剤劣化による永久磁石2,3の固定位置から離脱がなくなり、信頼性が向上する。
【0018】
又、プレート4aがない場合、重心は回転軸に対してずれを起こしたが、プレート4aを固定することにより、重心が回転軸と一致し、回転バランスが良くなる。
【0019】
なお、プレート4aのヨークへの固定手段としては、ねじ止め以外にも、かしめや圧入等の手段を採用してもよく、又、磁気回路全体が円形以外のもの、磁場分布を調整するために、補助的に他の永久磁石を接着したものにも適用可能である。
【0020】
(実施例2)
図4は、本発明の実施例2のスパッタ用磁気回路を示す断面図である。図4に示すように、本実施例の磁気回路は、ヨーク1の外周部にプレート4aを取り付けるスペースがない場合、外周部には非磁性の固定バンド7を配置し、これをねじ止めにより、外周から締め付けることにより、永久磁石3の外周方向への移動を防止している。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の磁気回路は、分割製作された永久磁石の外周部に、それぞれ非磁性の固定部品を設置し、ヨークと同型状の非磁性のプレートに永久磁石と同型状の穴をあけ、それをねじ止め等の手段により、ヨークに固定しているため、接着剤が不要となり、使用中の接着剤の劣化による永久磁石の固定位置からの位置ずれや離脱を防止でき、長時間の水中使用や高温での使用に対する信頼性を向上させることが可能となった。又、永久磁石の位置合わせについても、別個に治具を使用しなくても、正確な位置合わせが可能となり、組立作業効率を向上でき、更に、磁気回路回転時の回転バランスも向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1のスパッタ用磁気回路を示す断面図。
【図2】 本発明の参考例2のスパッタ用磁気回路を示す断面図。
【図3】 本発明の実施例1のスパッタ用磁気回路を示す断面図。
【図4】 本発明の実施例2のスパッタ用磁気回路を示す断面図。
【図5】 従来のスパッタ用磁気回路を示す斜視図。
【符号の説明】
1 ヨーク
2,3 永久磁石
4 固定ピン
4a プレート
5 L型固定部品
5a 支柱
6 鍔
6a カバー
7 固定バンド
Claims (1)
- ヨークの中央部と外周部にそれぞれヨークの厚み方向に磁化され極性の異なる永久磁石を配置したスパッタ用磁気回路において、前記永久磁石部分と同型状の穴をあけた非磁性のプレートを、前記永久磁石部分と前記穴が合致するように配置して、前記ヨークに固定することにより、前記永久磁石を前記ヨークに固定したことを特徴とするスパッタ用磁気回路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14825896A JP3802139B2 (ja) | 1996-05-17 | 1996-05-17 | スパッタ用磁気回路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14825896A JP3802139B2 (ja) | 1996-05-17 | 1996-05-17 | スパッタ用磁気回路 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09310175A JPH09310175A (ja) | 1997-12-02 |
JP3802139B2 true JP3802139B2 (ja) | 2006-07-26 |
Family
ID=15448764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14825896A Expired - Lifetime JP3802139B2 (ja) | 1996-05-17 | 1996-05-17 | スパッタ用磁気回路 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3802139B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5012571B2 (ja) * | 2008-02-29 | 2012-08-29 | 富士通株式会社 | マグネトロンスパッタ装置用磁石ユニット |
TWI773904B (zh) * | 2018-06-19 | 2022-08-11 | 美商應用材料股份有限公司 | 具有多陰極的沉積系統 |
-
1996
- 1996-05-17 JP JP14825896A patent/JP3802139B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09310175A (ja) | 1997-12-02 |
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