JP3798743B2 - データ送信方法及びデータ送信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ送信方法及びデータ送信装置に係わり、特に、送信順とは必ずしも一致しない順序で到来するデータを各フレーム内の複数のタイミングのうちのいずれかのタイミングで送信するデータ送信方法及びデータ送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は無線システムの構成図であり、移動マルチメディアスイッチングシステム(MMS)1に複数の無線アクセスネットワーク(RAN)2a〜2nが接続され、各無線アクセスネットワーク(RAN) 2a〜2nには、無線ネットワークコントローラ(RNC)3、マルチメディア信号処理装置(MPE)4、複数の基地送受信局(BTS)5a〜5mが設けられている。各基地送受信局5a〜5mは管理下のセル内に存在する多数のユーザ装置(移動局)UEと無線で通信できるようになっている。
各無線ネットワークコントローラ(RNC)3は、図8に示すように、上位装置である移動マルチメディアスイッチングシステム(MMS)1と接続してコマンドを出力する処理装置(CPU)3a、該コマンドに従った処理を行うデジタル信号処理部(DSP)3b、基地送受信局(BTS)との間でデータの送受信を行う送受信部3cを備えている。デジタル信号処理部(DSP)3b内には、設定テーブルSTBが設けられている。
【0003】
設定テーブルSTBには、図9に示すように、VC(Virtual Channel)番号に対応させてチャネルの種別、オフセットタイミングを規定するオフセット値、送信情報等が、処理装置(CPU)3aにより予め設定されている。チャネルには、BCCH(同報チャネル),PCCH(ページングチャネル),CCCH(共通制御チャネル),DCCH(個別制御チャネル)、DTCH(個別パケットチャネル)などがある。CPU 3aはコマンドにより1以上のVC番号を指定して同時に複数のチャネル情報を送信するよう指示することができる。
また、設定テーブルSTBには、複数個のレート制御パターンRCP1〜RCPnが予めCPU 3aにより設定されている。レート制御パターンRCP1〜RCPnは、1フレームタイミングで送信可能なチャネルの組合わせを示すパターンである。CPU 3aよりコマンドにより、同時に複数個のチャネルの情報を送信することが指示されると、DSP 3bはレート制御パターンRCP1〜RCPnを参照して最適なレート制御パターンを選択してチャネルの情報を送信する。CPU 3aより指示された複数個のチャネルの組合わせを示すレート制御パターンが存在する場合には、チャネルの優先順位(BCCH>PCCH>CCCH)を考慮して送信すべきチャネル、送信しないチャネルを決定する。送信しないチャネルの情報はバッファリングされて次のフレームタイミングにおける送信情報として滞留する。
【0004】
図10はDSP 3bのタイミング説明図である。タイミングにはフレームタイミングとオフセットタイミングの2種類がある。フレームタイミング幅は3GPPの無線フレーム期間を意識した10msec/フレームであり、0〜4095のフレームタイミング(フレーム番号)を繰り返す。各フレームタイミング間は10分割されてオフセットタイミング(オフセット番号)0〜9が形成される。フレーム番号iにおいてフレーム(データ)を送信するためのスケジュール処理を行い、次のフレーム番号i+1において前フレーム番号で送信処理が施されたフレームの送信を行う。スケジュール処理を行う期間をスケジュールタイミングSCT、送信処理を行う期間を送信タイミングTRTという。実際には、次フレームについてのスケジュール処理と前回のフレームタイミングSCTでスケジュール処理されたデータの送信処理とが同時に行われる。
【0005】
図8に戻って、DSP 3bには10msec毎にカウントアップして0〜4095のフレームタイミング(フレーム番号)を示すフレームカウンタ6と、1msec毎にカウントアップして0〜9のオフセットタイミング(オフセット番号)を示すオフセットカウンタ7が設けられており、フレームタイミングとオフセットタイミングを識別できるようになっている。同じフレーム内であればオフセット0であってもオフセット9であってもフレームナンバは同じでありシステム的には同一タイミング(同一フレーム)の送信データとして扱われる。このように送信タイミングをコントロールする処理がスケジュール処理である。また、DSP3aには、後述するスケジュールキュー(キューバッファ)8や送信フレームキュー(送信メモリ)9が設けられている。
【0006】
図11は従来のスケジュール処理フローである。CPU 3aは送信要求コマンドをDSP 3bに送信する(ステップ101)。CPU 3aからの送信要求は設定テーブルSTBにリスト化されているため、送信要求コマンドで複数のVC番号を指定するだけで複数のチャネルの送信要求が可能である。
DSP 3bは、送信要求コマンドを受信すれば、設定テーブルSTBを参照して送信要求コマンドで指定されるチャネルの種別を判定すると共に(ステップ102)、それぞれのチャネルデータの送信タイミング(フレーム番号、オフセット番号)を決定する(ステップ103)。送信タイミングのうち、フレーム番号は、フレームカウンタ6が示す現フレームタイミングの次フレームタイミング(番号)であり、オフセット番号は設定テーブルSTBにCPU 3aにより予め設定されているオフセット値にもとづいて決定する。
【0007】
ついで、DSP 3bは、設定テーブルSTBに設定されているレート制御パターンRCP1〜RCPnを参照してレート制御の判定を行う(ステップ104)。すなわち、DSP 3bは、レート制御パターンRCP1〜RCPn及びステップ102で取得した送信要求コマンドで指定されるチャネルを参照して、無線フレームで送信可能な最良のレート制御パターンを選び出す。このときレート制御パターンの合致が得られなかったチャネルデータは次回送信時の再スケジュール対象データとしてバッファリングされて滞留する。
【0008】
レート制御の判定が終了すれば、レート制御パターンの合致が得られたチャネルの送信データを用いてチャネル毎の送信フレームを作成し、作成したフレームを1つのスケジュールキュー(キューバッファ)8へ順番に積み込む(ステップ105)。ついで、スケジュールキュー8に積まれているフレーム(データ)を1フレームづつ積まれた順番に読出し、フレーム番号・オフセット番号別に管理されている送信メモリ9の送信すべきタイミング位置に登録する(スケジュール登録処理、ステップ106)。すなわち、送信メモリ9は、フレーム番号0〜4095のそれぞれに対して、0〜9の10個のオフセット番号に応じた記憶領域を有しているから、スケジュールキュー8から読み出した各フレーム(データ0〜3)のフレーム番号・オフセット番号を参照して対応する送信メモリ9の記憶領域にマッピングする。
【0009】
以上はスケジュールタイミングSCTにおいて行われる。次の送信タイミングTRTでは、フレームカウンタ6及びオフセットカウンタ7より与えられるフレーム番号・オフセット番号の送信タイミングに従い、該送信タイミングに応じた送信メモリ9の記憶領域から送信データを読み出し、該送信データをATMセルに変換して基地送受信局(BTS)に送信する(ステップ107)。以後、別処理をして上記ステップ101〜107の処理を繰り返す。
【0010】
図12はスケジュールタイミングSCTにおけるスケジュール処理と送信タイミングTRTにおける送信処理の説明図である。スケジュールキュー8にはデータ(フレーム)0〜3がキューイングされており、それらを送信すべきフレーム番号はすべて2で、オフセット番号はそれぞれ9,2,5,0である。これらデータ0〜4はスケジュールタイミングSCTにおいてスケジュールキュー8から順番に読み出されて送信メモリ9にマッピングされる。そして、次の送信タイミングTRTおいてフレーム番号・オフセット番号に応じた送信メモリ9の記憶領域から送信データを読み出し、該送信データをATMセルにして基地送受信局(BTS)に送信する。以上は、データ0〜3の送信前処理がスケジュールタイミングSCT内で終了した場合である。
【0011】
ところで、DSP 3bは、図13に示すような処理を繰り返す。すなわち、初期化処理(ステップ201)では、電源投入後にプログラムロード、2次ブート処理を行うと共に、DSPのローカル領域に構成されるレジスタ類の初期化を行う。メイン処理(ステップ202)では、ウォッチドッグタイマーによるDSPプログラムの暴走監視制御を行う。コマンド処理(ステップ203)では、上位プロセッサ(CPU)3aから送信要求などの各種コマンドを受付け、それぞれの処理を行う。スケジュール処理(ステップ204)では、送信要求されたデータの送信タイミング判定、レート制御、スケジュール登録等のスケジュールを行う。送信処理(ステップ205)では、フレームカウンタ、オフセットカウンタから通知される送信タイミングに従いスケジュールされた送信データをATMセルに組み立てて送信を行う。受信処理(ステップ206)では、他装置例えば基地送受信局(BTS)よりATMセルを受信してレイヤ変換を行い、上位プロセッサ(CPU)へ通知または折り返し送信を行う。DSP 3bは、以上のルーチンを何回か繰り返すことによりデータの送受信を行う。ここで、注目すべきは、DSP 3bが、データのスケジュール処理だけを行っているだけでは無い点である。
【0012】
このため、図14に示すように、スケジュールキュー8にデータ0,1,2,3が積まれている状態において、CPU 3aからの送信要求や基地送受信局(BTS)からのATMセル受信等の別プロセスが集中すると、別プロセスを処理する時間が瞬間的に増加しデータ0,1,2,3のスケジュール処理が圧迫され、スケジュール処理実行のタイミングに遅延が発生する。
データ0,1,2,3のスケジュール処理はデータをセル化して送信する1フレーム前、つまり、スケジュールタイミングSCT期間内において完了する必要がある。しかし、送信要求や受信処理等の別プロセスの増加により、図14に示すようにデータ3をスケジュール処理するタイミングが、送信タイミング領域TRTまで遅延する。かかる遅延が発生すると、データ3のスケジュール処理完了タイミングが、実際にデータ3を送信すべきフレーム内のオフセットタイミング(オフセット番号)0を超えてしまう。かかる場合、データ3は本来の送信タイミング(フレーム番号1)で送信されず、再度回ってくるフレームタイミングのオフセットタイミングまで待たされることになり、送信までに約40秒(4096×10msec)という遅延が発生してしまう。
特開平8-16410号公報には、各ジョブのシステム資源要求量や待ち時間等に応じて該ジョブの所属キュー及びキュー内の優先度を設定し、所属キュー及びキュー内優先度を動的に見直し、これらに従ってジョブの実行スケジューリングを決定する技術が開示されているが、送るタイミングが決定されているジョブには適用できない。
【特許文献1】
特開平8-16410号公報
【発明が解決しようとする課題】
以上より、従来技術ではデータを本来のタイミングで送れなくなる事態が発生する問題がある。
従って本発明の目的は、なるべく(好ましくは全ての)データを本来の送信タイミングで送信できるようにすることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、送信順とは必ずしも一致しない順序で到来するデータを次フレームの複数のタイミングのうちのいずれかのタイミングで送信するためのスケジュール処理を行うと共に、前回のスケジュール処理結果に基づいて現フレームの複数のタイミングにおけるデータ送信処理を行うデータ送信方法およびデータ送信装置である。送信タイミングの早いデータのキューイング用及び遅いデータのキューイング用の複数のキューバッファを設け、スケジュール処理において、到来したデータを前記複数のタイミングのうちのいずれかのタイミングで送信するか判定し、該判定したタイミングに応じた前記キューバッファに該データをキューイングし、送信タイミングの遅いデータ用よりも早いデータ用のキューバッファについての待ちキューを優先して処理して送信メモリに格納する。データ送信処理において、送信タイミングの早い順であって前記判定したタイミングで前記スケジュール処理されたデータを前記送信メモリより読み出して送信する。
以上のようにすれば、瞬間的にDSPの処理量が増えても全てのデータを本来の送信タイミングで送信できるようになる。
また、1つのキューバッファにキューイングするデータ数を規定するリミットを設定し、該リミットを越える場合には次の優先度のキューバッファにキューイングするようにする。このようにすれば、特定のスケジュールキューが溢れ出るのを防止することが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
(A)無線ネットワークコントローラ(RNC)の構成
図1は本発明の無線ネットワークコントローラ(RNC)の構成図である。図中、11は無線ネットワークコントローラ(RNC),12は上位装置である移動マルチメディアスイッチングシステム(MMS)、13,14は例えば基地送受信局(BTS)である。無線ネットワークコントローラ(RNC)11において、21は上位装置12からの指示に従って送信要求を発生する上位プロセッサ(CPU)、22はデジタル信号処理装置DSPであり、CPU 21とDSP部22の関係は従来例で説明した図8と同じである。
【0015】
DSP部22は、CPU21とのインターフェース制御を行うCPU I/F処理部31、他装置からのATMセルの受信処理を行う受信処理部32、本発明のスケジュール処理を行うスケジュール処理部33、送信処理を行う送信処理部34、スケジュール処理部33が参照するフレームカウンタ35、送信処理部34が参照するフレームカウンタ36、オフセットカウンタ37を備えている。
フレームカウンタ35,36及びオフセットカウンタ37は従来例で説明した図10に示す送信タイミングを特定するものであり、フレームカウンタ35,36はフレームタイミング(0〜4095のフレーム番号)を出力し、オフセットカウンタ37はオフセットタイミング(0〜9のオフセット番号)を出力する。
【0016】
スケジュール処理部33は、スケジュール処理を行うプロセッサ33a、設定テーブル33b、スケジュールキュー(キューバッファ)33c0〜33c9、送信フレームキュー(送信メモリ)33dを備えている。設定テーブル33bは、従来例で説明した図9に示す内容と同一の内容を保持している。すなわち、設定テーブル33bは、▲1▼VC番号に対応させてチャネルの種別、オフセットタイミング、送信情報等を保持すると共に、▲2▼複数個のレート制御パターンRCP1〜RCPnを保持している。スケジュールキュー33c0〜33c9はオフセット番号0〜9に対応して設けられており、オフセット番号が小さいスケジュールキュー33c0〜33c9ほど送信前処理の優先度が高く重み付けされている(33c0>33c1>...>33c9)。送信メモリ33dは、フレーム番号0〜4095のそれぞれに対して、0〜9の10個のオフセット番号に応じた記憶領域を有している。
【0017】
(B)スケジュール処理の概略
スケジュール処理の概略は以下の通りである。
スケジュール処理部33のプロセッサ33aは、所定のオフセットタイミング(オフセット番号)で送信されるフレーム(データ)を該オフセット番号に対応するスケジュールキュー33c0〜33c9にキューイングする。そして、時間的に早く到来するオフセット番号に応じたスケジュールキュー33c0〜33c9ほど、送信前処理の優先度を高くする(33c0>33c1>...>33c9)。この結果、スケジュール処理部33のプロセッサ33aは、上記の優先度順に従ってスケジュールキュー33c0〜33c9よりフレームを取り出して該フレームに送信前処理を施してフレームタイミング別に、かつオフセットタイミング別に送信メモリ33dに保存する。送信処理部34は、フレームカウンタ36及びオフセットカウンタ37が指示する現フレームタイミングにおける現オフセットタイミングのデータ(フレーム)を送信メモリ33dより読み出し、ATMセル化して送信する。
以上のようにすれば、早く送信されるデータほど(オフセット番号が小さいデータほど)早く送信前処理が施されて送信可能状態になるから、瞬間的にDSPの処理量が増えても全てのデータを本来のフレームタイミングで送信できるようになる。
【0018】
(C)本発明のスケジュール処理
図2は本発明のスケジュール処理フローである。上位プロセッサ(CPU)21は送信要求コマンドをDSP 22のスケジュール処理部33に送信する(ステップ301)。CPU 21からの送信要求は設定テーブル33bにリスト化されているため、この送信要求コマンドで複数のVC番号を指定するだけで複数のチャネルの送信要求が可能である。
【0019】
スケジュール処理部33のプロセッサ33aは、送信要求コマンドを受信すれば、設定テーブル33bを参照して送信要求コマンドで指定されるチャネルの種別を判定すると共に(ステップ302)、それぞれのチャネルデータの送信タイミング(フレーム番号、オフセット番号)を決定する(ステップ303)。送信タイミングのうち、フレーム番号は、フレームカウンタ35が示す現フレームタイミングの次のフレームタイミング(番号)であり、オフセット番号は設定テーブル33bにCPU 21により予め設定されているオフセット値にもとづいて決定する。
【0020】
ついで、スケジュール処理部33のプロセッサ33aは、設定テーブル33bに設定されているレート制御パターンRCP1〜RCPnを参照してレート制御の判定を行う(ステップ304)。すなわち、プロセッサ33aは、レート制御パターンRCP1〜RCPn及びステップ302で取得した送信要求コマンドで指定されるチャネルを参照して、無線フレームで送信可能な最良のレート制御パターンを選び出す。このときレート制御パターンの合致が得られなかったチャネルデータはバッファリングされて次回送信時の再スケジュール対象データとして滞留する。
【0021】
レート制御の判定が終了すれば、プロセッサ33aは、レート制御パターンの合致が得られたチャネルの送信データを用いてチャネル毎の送信フレームを作成する。そして、ステップ303で取得したオフセットタイミング(オフセット番号)に応じた優先付けされているスケジュールキュー33c0〜33c9にキューイングする(ステップ305)。
ついで、プロセッサ33aは、スケジュールキュー33c0〜33c9に積まれているフレームを、優先順位の高いスケジュールキュー33c0〜33c9より1フレームづつキューイング順に読出し、フレーム番号・オフセット番号別に管理されている送信メモリ33dの送信すべきタイミング位置に登録する(スケジュール登録処理、ステップ306)。送信メモリ33dはフレーム番号0〜4095のそれぞれに対して、0〜9の10個のオフセット番号に応じた記憶領域を有しているから、スケジュールキュー33c0〜33c9から優先順に読み出した各データのフレーム番号・オフセット番号を参照して対応する送信メモリ33dの記憶領域にマッピングする。
【0022】
なお、時間的に早く到来するオフセットタイミングに応じたスケジュールキュー33c0〜33c9ほど、換言すれば、オフセット番号が小さいスケジュールキュー33c0〜33c9ほど、送信前処理の優先度が高くなっている(33c0>33c1>...>33c9)。送信前処理とはスケジュールキューよりデータを読み出して、送信フレームキュー(送信メモリ)33dの送信すべきタイミング位置に登録する処理である。
【0023】
以上の処理はスケジュールタイミングSCTにおいて行われる。次の送信タイミングTRTでは、フレームカウンタ36及びオフセットカウンタ37より与えられるフレーム番号・オフセット番号の送信タイミングに従い、該送信タイミングに応じた送信メモリ33dの記憶領域から送信データを読み出し、該送信データをATMセルに変換して基地送受信局(BTS)に送信する(ステップ307)。以後、別処理をして上記ステップ301〜307の処理を繰り返す。
【0024】
図3はスケジュールタイミングSCTにおけるスケジュール処理と送信タイミングTRTにおける送信処理の説明図である。
データ0〜3のオフセット番号がそれぞれ9,2,5,0であれば、図2のフレーム生成/キューイング処理(ステップ305)により、これらデータはスケジュールキュー33c0,33c2,33c5,33c9にキューイングされる。すなわち、スケジュールキュー33c0にはデータ3(オフセット番号0)がキューイングされ、スケジュールキュー33c2にはデータ1(オフセット番号2)がキューイングされ、スケジュールキュー33c5にはデータ2(オフセット番号5)がキューイングされ、スケジュールキュー33c9にはデータ0(オフセット番号9)がキューイングされる。なお、データ0〜3のフレーム番号はすべて1であるものとする。
【0025】
これらデータ0〜3は、スケジュールタイミングSCTのスケジュール登録処理(ステップ306)において、優先順位の高いスケジュールキュー(33c0>33c2>33c5>33c9)より順番に読出されて送信メモリ33d(図3では不図示)の送信すべきタイミング位置に登録される。つまりデータ3,1,2,0の順に登録処理が行われる。このスケジュールタイミングSCT中に送信要求,受信処理等の別プロセスの処理が発生すると、図示するようにデータ3,1,2,0それぞれの間に別プロセスの割り込みが発生して優先度の低いデータ0のスケジュール登録処理が遅延する。
【0026】
この結果、データ0は、スケジュールタイミングSCTの時間領域10msecをオーバーして実際にセルを送信すべき送信タイミングTRTにおいてようやくスケジュール登録処理が行われる。しかし、かかる場合であっても、データ0を送信するオフセットタイミングはオフセット番号9であり、そのオフセットタイミングはまだ経過しておらず、該オフセットタイミングでデータ0を送信することができる。すなわち、データはオフセット番号9のタイミング前にスケジュール登録処理が完了していれば、本来の送信タイミングTRTの該オフセットタイミングにおいて送信することができる。図の例では、データ0のスケジュール登録処理はオフセット0〜1のタイミングで処理が完了しており、8〜9msec程度の時間的なマージンを確保できて瞬間的な処理量の増加による送信データの遅延が回避されている。
【0027】
以上より、本発明によれば、オフセット番号9のデータには9msecの遅延に対するマージンを獲得でき、オフセット番号8のデータには8msecの遅延に対するマージンを獲得でき、以下同様にマージンを獲得できる。そして、オフセット番号が小さいほどマージンが小さいから、オフセット番号の小さい順にスケジュール登録処理を行うことにより、瞬間的な処理量の増加による送信データの遅延を回避することが可能になる。
【0028】
(D)変形例
送信データの登録オフセット値はシステムの初期化時に、上位プロセッサ(CPU)21がチャネル毎に設定テーブル33bに設定するものである。このため、CPU 21から送信要求する各チャネルのオフセット番号がバラケていれば良いが、特定オフセット番号に集中すると、該特定オフセット番号に応じたスケジュールキューからデータが溢れ出す。かかる溢れ出しが発生するとそのデータの送信ができなくなる。例えば、送信要求コマンドで多量のチャネルが指定され、かつ送信タイミングとしては全てオフセット番号0のタイミングのような送信要求が続くとオフセット番号0に応じたスケジュールキュー33c0に多量のデータが接続されることになり、データの溢れ出しが生じる。
【0029】
そこで、図4に示すように、各スケジュールキュー33c0〜33c9に閾値nを設定し、キューイングされるデータ数が閾値nまでは図2のステップ303で決定したオフセット番号に応じたスケジュールキュー33c0〜33c9にキューイングし、閾値nに達した場合には、優先度が低い隣のスケジュールキューにキューイングする。例えば、オフセット番号0のスケジュールキュー33c0に積まれるデータ数がn+1個目のデータは、スケジュールキュー33c0に積まず、閾値nに達していない優先度が低い隣のスケジュールキュー33c1にキューイングする。これによりスケジュールキューの溢れを回避できる。
【0030】
図5は変形例によるスケジュールキューへのキューイング処理フローである。
スケジュール処理部33のプロセッサ33aは、フレームのオフセットタイミング(オフセット番号)を識別し(ステップ401)、該オフセット番号に応じたスケジュールキューにキューイングされているデータ数が閾値nより小さいかチェックする(ステップ402)。閾値nより小さければ、前記オフセット番号に応じたスケジュールキューにフレームをキューイングする(ステップ403)。ついで、全フレームのキューイング処理が完了したかチェックし(ステップ404)、完了してなければステップ404に戻り以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ402において、着目しているスケジュールキューにキューイングされているデータ数が閾値nに等しければ、オフセット番号を1だけ小さくし(ステップ405)、ステップ402に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0031】
以上では、閾値を決めてキューイングを行ったが、フレームをオフセット番号に関係なく各スケジュールキュー33c0〜33c9に均等になるように割り振ってキューイングすることもできる。図6はかかるキューイング処理フローである。
フレームをキューイングするスケジュールキュー33c0〜33c9をフレーム番号に関係なく順番に決定する(ステップ501)。例えば、33c0→33c1→...→33c9→33c0...の順にキューイングするスケジュールキューを決定する。
ついで、決定されたスケジュールキューにフレームをキューイングし(ステップ502)、全フレームのキューイング処理が完了したかチェックし(ステップ503)、完了してなければステップ501に戻り以降の処理を繰り返す。
【0032】
【発明の効果】
以上本発明によれば、送信すべきタイミングの早い送信データを処理優先度の高いスケジュールキューに積め込み、スケジュール登録処理では優先度の高いスケジュールキューに積まれているデータから送信フレームキューに登録するようにしているから、瞬間的な処理量の増加が発生しても送信データの遅延を回避することが出来る。
また、本発明によれば、スケジュールキューに閾値を設け、その閾値を超えた後に同じスケジュールキューに積む要求があればそのデータの優先度を一つずらしたスケジュールキューに積むようにしたから、特定スケジュールキューからのデータの溢れを防止することが出来る。
また、本発明によれば、送信要求のデータを全スケジュールキューに平均して割り振るようにしたから、スケジュール登録処理及び次の送信処理での負荷変動時の平均化を見込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無線ネットワークコントローラ(RNC)の構成図である。
【図2】本発明のスケジュール処理フローである。
【図3】本発明のスケジュール処理と送信処理の説明図である。
【図4】変形例におけるスケジュール処理と送信処理の説明図である。
【図5】スケジュールキューへの変形例のキューイング処理フローである。
【図6】別のキューイング処理フローである。
【図7】無線システムの構成図である。
【図8】無線ネットワークコントローラ(RNC)の概略構成図である。
【図9】設定テーブルの内容説明図である。
【図10】 DSPの送信タイミング説明図である。
【図11】従来のスケジュール処理フローである。
【図12】従来のスケジュール処理と送信処理の説明図である。
【図13】 DSPの処理フロー全体の処理フローである。
【図14】従来のスケジュール処理の問題点説明図である。
【符号の説明】
11 無線ネットワークコントローラ(RNC)
12 上位装置
13,14 基地送受信局(BTS)
21 CPU
22 デジタル信号処理装置DSP
31 CPU I/F処理部
32 受信処理部
33 スケジュール処理部
33a プロセッサ
33b 設定テーブル
33c0〜33c9 スケジュールキュー
33d 送信メモリ
34 送信処理部
35,36 フレームカウンタ
37 オフセットカウンタ

Claims (3)

  1. 送信順とは必ずしも一致しない順序で到来するデータを次フレームの複数のタイミングのうちのいずれかのタイミングで送信するためのスケジュール処理を行うと共に、前回のスケジュール処理結果に基づいて現フレームの複数のタイミングにおけるデータ送信処理を行うデータ送信方法において、
    送信タイミングの早いデータのキューイング用及び遅いデータのキューイング用の複数のキューバッファを設け、
    スケジュール処理において、
    到来したデータを前記複数のタイミングのうちのいずれかのタイミングで送信するか判定し、
    該判定したタイミングに応じた前記キューバッファに該データをキューイングし、
    送信タイミングの遅いデータ用よりも早いデータ用のキューバッファについての待ちキューを優先して処理して送信メモリに格納し、
    データ送信処理において、
    送信タイミングの早い順であって前記判定したタイミングで前記スケジュール処理されたデータを前記送信メモリより読み出して送信する、
    ことを特徴とするデータ送信方法。
  2. 1つのキューバッファにキューイングするデータ数を規定するリミットを設定し、
    該リミットを越える場合には次の優先度のキューバッファにキューイングする、
    ことを特徴とする請求項1記載のデータ送信方法。
  3. 送信順とは必ずしも一致しない順序で到来するデータを次フレームの複数のタイミングのうちのいずれかのタイミングで送信するスケジュール処理を行うスケジュール処理部と、前回のスケジュール処理結果に基づいて現フレームの複数のタイミングにおけるデータ送信処理を行う送信処理部を備えたデータ送信装置において、
    前記スケジュール処理部は、
    送信タイミングの早いデータのキューイング用及び遅いデータのキューイング用の複数のキューバッファと、
    送信メモリと、
    到来したデータを前記複数のタイミングのうちのいずれかのタイミングで送信するか判定し、該判定したタイミングに応じた前記キューバッファに該データをキューイングし、送信タイミングの遅いデータ用よりも早いデータ用のキューバッファについての待ちキューを優先して処理して、前記送信メモリに格納する制御手段と、
    を備え、
    前記送信処理部は、送信タイミングの早い順であって前記判定したタイミングで前記送信メモリよりスケジュール処理されたデータを読み出して送信する、
    ことを特徴とするデータ送信装置。
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