JP3798330B2 - ストーカ式ごみ焼却炉 - Google Patents
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Description
本発明はストーカ式ごみ焼却炉に関する。
【0001】
【従来の技術】
ストーカ式ごみ焼却炉では、炉内に供給されるごみのカロリーが絶えず変わるために、炉内の燃焼が不安定になりやすい。そこで燃焼を安定させる種々の手段が取られている。その一例として、従来、ごみ焼却炉の下流側に設けた集塵器から排出される排ガスを、サンプリングチューブを経由させて濃度分析計に導き、濃度分析計による酸素濃度や一酸化炭素濃度の検出結果に基づいて、二次燃焼空気供給装置を制御するという手段があった。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の手段によれば、前記排ガスが、ごみ焼却炉とは離れた集塵器に到達するまでに時間がかかるうえに、サンプリングチューブを通って濃度分析計に到達するまでに時間がかかり、しかも濃度の分析にも時間がかかって排ガスの濃度と炉内の燃焼状態とが対応しないことがあった。
【0004】
また、炉内のガスの濃度を検出するのではなく、ごみ焼却炉とは離れた集塵器から排出される排ガスの濃度を検出していたために、炉内の燃焼状態を正確に把握することが困難であった。その結果、燃焼を安定させにくく、改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明の目的は炉内の燃焼を安定させやすいストーカ式ごみ焼却炉を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1による発明の構成は、乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射して前記ガスの速度を検出するレーザ流速計を設け、二次燃焼空気供給装置からの二次燃焼空気が炉内で目標の速度になるように、前記レーザ流速計の検出結果に基づいて前記二次燃焼空気供給装置を制御する制御手段を設けてあるストーカ式ごみ焼却炉において、一次燃焼ゾーンの上方に、炭化水素系燃料、又は排ガス排出部側から回収した循環用の排ガス、又は前記一次燃焼ゾーン内の後燃焼ゾーンから抽出した抽出ガスを供給するよう構成し、前記制御手段は、前記炭化水素系燃料、又は前記排ガス、又は前記抽出ガスが炉内で目標の速度になるように、炭化水素系燃料供給装置、又は排ガス供給装置、又は抽出ガス供給装置を前記レーザ流速計の検出結果に基づいて制御可能に構成してある点にあり、この構成による作用・効果は次の通りである。
【0008】
レーザ流速計で乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射して、ガスの速度(速さ及び方向)を検出する。レーザ流速計としてはLDV(Laser doppler velocimetry)がある。その検出の原理については後の[発明の実施の形態]の項で説明する。
【0009】
ごみ焼却炉には次の[1],[2],[3]のように構成してあるものがある。[1]一次燃焼ゾーンの上方に炭化水素系燃料を吹き込んで還元性雰囲気(リバーニングゾーン)を形成する。(主燃焼させたごみの後燃焼により生じる排ガスを後燃焼ゾーンから炉本体外に抽出し、炭化水素系燃料と混合させ、一次燃焼ゾーンの上方に吹き込んで還元性雰囲気を形成する構造のものもある。)これによりNOX を除去し、炭化水素系燃料による還元後の残留炭化水素と、燃焼室で発生した炭化水素・一酸化炭素(CO)とを二次燃焼空気により完全燃焼させる。
[2]排ガス排出部側から回収した循環用の排ガス(一般に酸素濃度が5%〜8%)を一次燃焼ゾーンの上方に供給して、上記[1]と同様に還元性雰囲気を形成する。
[3]酸素濃度が比較的高い状態にある後燃焼ゾーンから高温・高酸素濃度のガスを炉本体外に抽出するとともに二次燃焼ゾーンに噴射し、これにより二次燃焼ゾーンのガスと混合撹拌させて二次燃焼を促進させる。
【0010】
請求項1の構成によれば、上記の[1]〜[3]のごみ焼却炉において、次の作用を奏することができる。
【0011】
例えば、乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが大きくなると、
上記[1]のごみ焼却炉では、図1に示すように、二次燃焼空気供給装置6の第1空気ノズル6Aと第2ノズル6Bとのうち、乾燥ゾーンの上方側を向く第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気の供給速度を速くするとともに、乾燥ゾーンの上方側を向く炭化水素系燃料供給口19からの炭化水素系燃料の供給速度を速くする。
【0012】
上記[2]のごみ焼却炉では、図4に示すように、乾燥ゾーンの上方側を向く第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気の供給速度を速くするとともに、乾燥ゾーンの上方側を向く排ガス供給口42からの排ガスの供給速度を速くする。
【0013】
上記[3]のごみ焼却炉では、図6に示すように、乾燥ゾーンの上方側を向く第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気の供給速度を速くするとともに、乾燥ゾーンの上方側を向くガス供給口24Aからの高温・高酸素濃度の抽出ガスの供給速度を速くする。
【0014】
これにより、前記二次燃焼空気及び炭化水素系燃料(又は排ガス、高温・高酸素濃度の抽出ガス)の横向きの速さを大きくして、リバーニングゾーン36や二次燃焼ゾーン35で二次燃焼空気及び炭化水素系燃料等を所望の位置まで到達させ、一次燃焼ゾーン34からのガスと均一に混合撹拌させやすくすることができる(乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが小さくなると、例えば、第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気と炭化水素系燃料供給口19からの炭化水素系燃料の供給速度を遅くする)。従って、燃焼の不安定化を抑制することができる。
【0015】
しかも、請求項1の構成によれば、レーザ流速計で炉内のガスにレーザ光を照射して乾燥ゾーンのガスの速度を検出するから、ガスの速度と速度変化をリアルタイムで検出して、二次燃焼空気供給装置と炭化水素系燃料供給装置(又は排ガス供給装置、又は抽出ガス供給装置)とをすぐに制御することができ、炉内の燃焼をより安定させやすいストーカ式ごみ焼却炉を提供することができた。
【0016】
請求項2による発明の構成は、一次燃焼ゾーンの上方に、炭化水素系燃料、又は排ガス排出部側から回収した循環用の排ガス、又は前記一次燃焼ゾーン内の後燃焼ゾーンから抽出した抽出ガスを供給するよう構成し、乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射して前記ガスの速度を検出するレーザ流速計を設け、前記炭化水素系燃料、又は前記排ガス、又は前記抽出ガスが炉内で目標の速度になるように、炭化水素系燃料供給装置、又は排ガス供給装置、又は抽出ガス供給装置を前記レーザ流速計の検出結果に基づいて制御する制御手段を設けてある点にあり、この構成による作用・効果は次の通りである。
【0017】
請求項2の構成によれば、請求項1の構成による[作用]に記載した[1],[2],[3]の構成のストーカ式ごみ焼却炉において、次の作用を奏することができる。
【0018】
例えば乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが大きくなると、上記[1]のごみ焼却炉では、図1に示すように、乾燥ゾーンの上方側を向く炭化水素系燃料供給口19からの炭化水素系燃料の供給速度を速くする。
【0019】
そして、上記[2]のごみ焼却炉では、図4に示すように、乾燥ゾーンの上方側を向く排ガス供給口42からの排ガスの供給速度を速くし、上記[3]のごみ焼却炉では、図6に示すように、乾燥ゾーンの上方側を向くガス供給口24Aからの高温・高酸素濃度の抽出ガスの供給速度を速くする。
【0020】
これにより、炭化水素系燃料(又は排ガス、抽出ガス)の横向きの速さを大きくして、リバーニングゾーン36等で炭化水素系燃料等を所望の位置まで到達させ、一次燃焼ゾーン34からのガスと均一に混合撹拌させやすくすることができる(乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが小さくなると、例えば炭化水素系燃料供給口19からの炭化水素系燃料の供給速度を遅くする)。従って、燃焼の不安定化を抑制することができる。
【0021】
しかも、請求項2の構成によれば、レーザ流速計で炉内のガスにレーザ光を照射して乾燥ゾーンのガスの速度を検出するから、ガスの速度と速度変化をリアルタイムで検出して、炭化水素系燃料供給装置(又は排ガス供給装置、又は抽出供給装置)をすぐに制御することができ、炉内の燃焼をより安定させやすいストーカ式ごみ焼却炉を提供することができた。
【0022】
請求項3による発明の構成は、請求項1又は2による発明の構成において、前記乾燥ゾーンのガスの温度を検出する温度検出計を設け、前記制御手段は、前記レーザ流速計の検出結果と温度検出計の検出結果とに基づいて、前記各供給装置を制御可能に構成してある点にあり、この構成による作用・効果は次の通りである。
【0023】
請求項1又は2の構成による作用と同様の作用を奏することができるのに加え、レーザ流速計で乾燥ゾーンのガスの速度を検出するとともに、温度検出計で乾燥ゾーンのガスの温度を検出するから、炉内の燃焼状態をより正確に把握することができる。そして、その燃焼状態に対応させて、制御手段で二次燃焼空気供給装置等を制御するから、二次燃焼空気等を一次燃焼ゾーンからのガスと均一に混合撹拌させやすくすることができる。従って、請求項1又は2の構成による効果と同様の効果を得やすくなった。
【0024】
請求項4による発明の構成は、請求項1又は2による発明の構成において、前記乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射して前記ガスの組成物の濃度及び/又は温度を検出するレーザ検出計を設け、前記制御手段は、前記レーザ流速計の検出結果とレーザ検出計の検出結果とに基づいて、前記各供給装置を制御可能に構成してある点にあり、この構成による作用・効果は次の通りである。
【0025】
請求項1又は2の構成による作用と同様の作用を奏することができるのに加え、次の作用を奏することができる。つまり、レーザ流速計で乾燥ゾーンのガスの速度を検出するとともに、レーザ検出計で乾燥ゾーンのガスの組成物の濃度及び/又はガスの温度を検出する。ガスの組成物とは酸素(O2)・炭化水素(HC)・一酸化炭素(CO)・二酸化炭素(CO2)・水分(H2O)などのことであり、これらのうちの少なくとも1つの組成物の濃度をレーザ検出計で検出する。レーザ検出計によるガスの組成物の濃度とガスの温度の検出の原理については、後の[発明の実施の形態]の項で説明する。
【0026】
上記のように、ガスの速度と、ガスの組成物の濃度及び/又はガスの温度とを検出するから、炉内の燃焼状態をより正確かつ迅速に把握することができ、その燃焼状態に対応させて、制御手段で二次燃焼空気供給装置等を制御するから、二次燃焼空気等を一次燃焼ゾーンからのガスと均一に混合撹拌させやすくすることができる。従って、請求項1又は2の構成による効果と同様の効果を得やすくなった。
【0027】
請求項5による発明の構成は、請求項1,3,4のいずれか1項による発明の構成において、前記レーザ流速計で二次燃焼ゾーンにレーザ光を照射して、前記二次燃焼空気が炉内で目標の速度になっているか否かを検出可能に構成してある点にあり、この構成による作用・効果は次の通りである。
【0028】
請求項1,3,4のいずれか1項の構成による作用と同様の作用を奏することができるのに加え、二次燃焼ゾーンにレーザ流速計でレーザ光を照射して、二次燃焼空気が炉内で目標の速度になっているか否かを検出し、目標の速度になっていなければ、さらに二次燃焼空気供給装置を制御して二次燃焼空気を目標の速度に設定することができる。従って、請求項1,3,4のいずれか1項の構成による効果と同様の効果を奏することができるのに加え、より燃焼を安定させやすいストーカ式ごみ焼却炉を提供することができた。
【0029】
請求項6による発明の構成は、請求項1〜5のいずれか1項による発明の構成において、前記炭化水素系燃料、又は排ガス、又は抽出ガスに前記レーザ流速計でレーザ光を照射して、それらが炉内で目標の速度になっているか否かを検出可能に構成してある点にあり、この構成による作用・効果は次の通りである。
【0030】
請求項1〜5のいずれか1項の構成による作用と同様の作用を奏することができるのに加え、炉内に供給された炭化水素系燃料、又は循環用の排ガス、又は後燃焼ゾーンから抽出した抽出ガスにレーザ流速計でレーザ光を照射して、それらが炉内で目標の速度になっているか否かを検出し、目標の速度になっていなければ、さらに二次燃焼空気供給装置を制御して炭化水素系燃料等を目標の速度に設定することができる。従って、請求項1〜5のいずれか1項の構成による効果と同様の効果を奏することができるのに加え、より燃焼を安定させやすいストーカ式ごみ焼却炉を提供することができた。
【0031】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1,図2にストーカ式ごみ焼却炉を示してある。このごみ焼却炉は、ごみを貯留するホッパー1と、ホッパー1のごみを送るプッシャー4とを設けるとともに、プッシャー4により送られてくるごみを燃焼させるストーカ3を炉本体2に設け、一次燃焼ゾーン34に空気を供給する一次燃焼空気供給装置5と、二次燃焼ゾーン35に二次燃焼空気を供給して未燃物又は不完全燃焼物を完全燃焼させる二次燃焼空気供給装置6と、灰を排出する灰排出口7とを設けて構成してある。
【0032】
前記ストーカ3は乾燥ストーカ3Aと燃焼ストーカ3Bと後燃焼ストーカ3Cとから成り、一次燃焼空気供給装置5の送風機30からの一次燃焼空気を通す一次空気ダクト8を、各ストーカ3A,3B,3Cの下方側に連通接続してある。
【0033】
前記ホッパー1に投入されたごみは、乾燥ストーカ3A・燃焼ストーカ3B・後燃焼ストーカ3Cの順に送られながら一次燃焼空気によって一次燃焼する。
【0034】
前記乾燥ストーカ3Aでは、後段の燃焼ストーカ3B・後燃焼ストーカ3Cでの燃焼により生じる高温燃焼ガスによって主としてごみが乾燥し、一部燃焼が始まる。乾燥ストーカ3A上のごみから発生するガスは、水分の蒸発による水蒸気、乾留によって生じる炭化水素ガス、不完全燃焼によって生じる一酸化炭素(CO)などである。
【0035】
前記燃焼ストーカ3Bでは一次燃焼空気により主としてごみが燃焼する。燃焼ストーカ3Bに供給される一次燃焼空気はごみの燃焼に必要十分な量であり、燃焼ストーカ3B上のごみから発生するガスは高濃度のNOx を含んでいる。
【0036】
前記後燃焼ストーカ3Cでは焼却灰中の未燃分の燃え切りを図る。後燃焼ストーカ3Cの上方の後燃焼ゾーン11における燃焼ガスには15〜19%程度の酸素が残っており酸化性雰囲気になっている。
【0037】
一次燃焼ゾーン34の上方に炭化水素系燃料(以下、「天然ガス」と称する)を天然ガス供給口19から吹き込んでリバーニングゾーン36を形成する天然ガス供給部9(炭化水素系燃料供給装置に相当)を設け、二次燃焼空気供給装置6はリバーニングゾーン36の上方の二次燃焼ゾーン35に二次燃焼空気を供給するよう配置してある。
【0038】
また、二次燃焼空気供給装置6からの空気と天然ガス供給部9からの天然ガスとが炉内でそれぞれ目標の速度及び温度になるように、レーザ流速計50の検出結果とレーザ検出計10検出結果とに基づいて二次燃焼空気供給装置6と天然ガス供給部9を制御装置17で制御するよう構成してある。
【0039】
上記のごみ焼却炉では、例えば、乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが大きくなると、乾燥ゾーンの上方側を向く第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気の供給速度を速くするとともに、乾燥ゾーンの上方側を向く天然ガス供給口19からの天然ガスの供給速度を速くする。
【0040】
これにより、前記二次燃焼空気及び天然ガスの横向きの速さを大きくして、二次燃焼ゾーンで二次燃焼空気及び天然ガスを所望の位置まで到達させ、一次燃焼ゾーン34からのガスと均一に混合撹拌させやすくする(乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが小さくなると、第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気と天然ガス供給口19からの天然ガスの供給速度を遅くする)。
【0041】
図2,図3(a),図3(b)に示すように、乾燥ストーカ3A側の乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射して、前記ガスの速度(速さ及び方向)を検出するレーザ流速計50と、乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射してガスの組成物の濃度及び温度を検出するレーザ検出計10とを設けてある。ガスの組成物とは酸素(O2)・一酸化炭素(CO)・二酸化炭素(CO2)・炭化水素(HC)・水分(H2O)などであり、レーザ検出計10はこれらのうち少なくとも一つの濃度を検出する。
【0042】
図3(a)に示すように前記レーザ流速計50は、流速計本体51と、測定窓12Cに臨ませる耐熱プローブ52とを光ファイバーケーブル55Aを介して接続して構成してある。流速計本体51はレーザ発信器53と信号処理器57を備えている。
【0043】
上記の構造により、レーザ発信器53で発生させた2本の平行なレーザ光を耐熱プローブ52に導くとともに、耐熱プローブ52内のフロントレンズで乾燥ゾーンのガス中に焦点Fを結ばせ、焦点Fに干渉縞よりなる測定体積を形成する。乾燥ゾーンのガスの流れに追従するガス中の粒子が干渉縞を通過するとレーザ光が散乱するので、その速度情報を含んだ散乱光を、測定窓12Cを通して光検出部で検出するとともに信号処理器57で処理して粒子の速度すなわち乾燥ゾーンのガスの流速を求める。
【0044】
図3(b)に示すように前記レーザ検出計10は、乾燥ゾーンを形成する第1側壁部分15Aに形成した第1測定窓12Aにレーザ投射器14Aを臨ませるとともに、第1側壁部分15Aに対向する第2側壁部分15Bに形成した第2測定窓12Bにレーザ受信器14Bを臨ませ、レーザ投射器14Aとレーザ受信器14Bを光ファイバーケーブル55Bを介してそれぞれ検出計本体20に接続して構成してある。検出計本体20はレーザ発信器31と信号処理器21を備えている。
【0045】
つまり、レーザ発信器31が波長をスキャンしながら強さ一定のレーザ光を発する。このレーザ光をレーザ投射器14Aで一定のビーム径に調整してから乾燥ゾーンのガスに直接照射し通過させる。そして、レーザ受信器14Bで残存のレーザ光強度を測定し、信号処理器21によってガスの濃度及び温度を求める(分光吸収法)。
【0046】
図2に示すように、二次燃焼空気供給装置6からの二次燃焼空気が炉内で目標の速度と温度になるように、レーザ流速計50の検出結果とレーザ検出計10の検出結果に基づいて二次燃焼空気供給装置6を制御する制御装置17(制御手段に相当)を設けてある。次に、二次燃焼空気供給装置6に対する制御の一例について説明する。
【0047】
(制御例1)ある燃焼状態から、レーザ流速計50が、乾燥ゾーンのガスの速度が速くなったことを検出し、レーザ検出計10が、ガスの温度が高くなったこと、及び、COやHC等の未燃焼ガスの濃度が高くなったことを検出すると、二次燃焼空気の供給量を増加させる。これにより、未燃焼ガスの燃焼を促進させて燃焼を安定させる。
【0048】
(制御例2)燃焼が安定している状態で、レーザ流速計50が、乾燥ゾーンのガスの速度が遅くなったことを検出し、レーザ検出計10が、ガスの温度が低くなったこと、及び、COやHC等の未燃焼ガスの濃度が不変あるいは低くなったことを検出すると、二次燃焼空気を減少させる。これにより、未燃焼ガスの燃焼を促進させて燃焼を安定させる。
【0049】
制御例1〜制御例2では、単に乾燥ゾーンのガスの速度を検出するだけではなく、ガスの温度や濃度も検出し、これらの検出結果に基づいて二次燃焼空気供給装置6を制御するから、炉内の燃焼状態(乾燥ゾーンの燃焼状態)をより正確かつ迅速に把握することができ、燃焼をより安定させやすい利点がある。
【0050】
(制御例3)乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが大きくなったことをレーザ流速計が検出すると、二次燃焼空気供給装置6の第1空気ノズル6Aと第2空気ノズル6Bとのうち、乾燥ゾーン側を向く第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気の供給速度を速くする。これにより、二次燃焼空気の横向きの速さを大きくして、二次燃焼ゾーン35での二次燃焼空気を所望の位置まで到達させ、一次燃焼ゾーン34からのガスと均一に混合撹拌させやすくする。
【0051】
[第2実施形態]
図4,図5に、本実施形態のストーカ式ごみ焼却炉を示してある。このごみ焼却炉は次の点で第1実施形態のごみ焼却炉の構造と異なっておりその他の構造は同じである。
【0052】
排ガス排出部38側から回収した循環用の排ガス(酸素濃度が5%〜8%)を一次燃焼ゾーン34の上方に供給する排ガス供給手段39(循環用の排ガスの供給装置に相当)を設けてある。この排ガス供給手段39は排ガス管路40に送風機41を設けて構成してある。
【0053】
また、二次燃焼空気供給装置6からの空気と、排ガス供給手段39からの排ガスとが炉内でそれぞれ目標の速度及び温度になるように、レーザ流速計50の検出結果とレーザ検出計10の検出結果に基づいて二次燃焼空気供給装置6と送風機41を制御装置17で制御するよう構成してある。
【0054】
上記のごみ焼却炉では、例えば、乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが大きくなると、乾燥ゾーンの上方側を向く第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気の供給速度を速くするとともに、乾燥ゾーンの上方側を向く排ガス供給口42からの排ガスの供給速度を速くする。
【0055】
これにより、二次燃焼空気及び排ガスの横向きの速さを大きくして、二次燃焼ゾーン35で二次燃焼空気及び排ガスを所望の位置まで到達させ、一次燃焼ゾーン34からのガスと均一に混合撹拌させやすくする(乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが小さくなると、第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気と前記排ガス供給口42からの排ガスの供給速度を遅くする)。
【0056】
[第3実施形態]
図6,図7にストーカ式ごみ焼却炉を示してある。このごみ焼却炉は次の点で第1実施形態のごみ焼却炉の構造と異なっており、その他の構造は同じである。
【0057】
後燃焼ガス供給手段16(後燃焼ゾーンから抽出したガスの供給装置に相当)により、ガスの酸素濃度が比較的高い状態にある後燃焼ゾーン11から高温・高酸素濃度のガスを炉本体2外に抽出するとともに二次燃焼ゾーン35に噴射し、これにより二次燃焼ゾーン35のガスと混合させ撹拌して二次燃焼を促進させるよう構成してある。
【0058】
前記後燃焼ガス供給手段16は、後燃焼ゾーン11側の炉本体2の天井壁にガス抽出口26を形成し、このガス抽出口26と、炉本体2の側壁に形成した複数のガス供給口24A、24Bとをガス管路18で連通接続し、ガス管路18に熱交換器27と送風機28とを設けて構成してある。熱交換器27はガスを冷却する。
【0059】
また、二次燃焼空気供給装置6からの空気と、後燃焼ガス供給手段16からの後燃焼ゾーン11からの高温・高酸素濃度のガスとが炉内でそれぞれ目標の速度及び温度になるように、レーザ流速計50の検出結果とレーザ検出計10の検出結果に基づいて二次燃焼空気供給装置6と送風機28を制御装置17で制御するよう構成してある。
【0060】
上記のごみ焼却炉では、例えば、乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが大きくなると、二次燃焼空気供給装置6の第1空気ノズル6Aと第2ノズル6Bとのうち、乾燥ゾーンの上方側を向く第1空気ノズル6Aからの二次燃焼空気の供給速度を速くするとともに、乾燥ゾーンの上方側を向くガス供給口24Aからの高温・高酸素濃度のガスの供給速度を速くして、二次燃焼ゾーン35で二次燃焼空気及び前記ガスを所望の位置まで到達させ、一次燃焼ゾーン34からのガスと均一に混合撹拌させやすくすることができる(乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが小さくなると、前記二次燃焼空気等の供給速度を遅くすればよい)。
【0061】
[別実施形態]
(1)乾燥ゾーンのガスの横向きの速さが大きくなると、第1空気ノズル6A(又は天然ガス供給口19等)の二次燃焼空気(又は天然ガス等)の供給速度を速くしたが、例えば、これに加えて第2空気ノズル6Bの二次燃焼空気(又は燃焼ゾーンの上方側を向く状態に設けたガス供給口24B等)の供給速度を遅くするよう構成してもよい。
【0062】
(2)図示はしないが、上記第1〜第3実施形態のいずれかの構造に加え、前記二次燃焼ゾーン35を形成する側壁部分に形成した測定窓にレーザ投射器を臨ませるとともに、前記側壁部分に対向する側壁部分に形成した測定窓にレーザ受信器を臨ませ、二次燃焼ゾーンに供給された二次燃焼空気にレーザ流速計50でレーザ光を照射して、二次燃焼空気が目標の速度になっているか否かを検出可能に構成してあってもよい。
【0063】
(3)上記(2)の構造に加え、前記リバーニングゾーン36を形成する側壁部分に形成した測定窓にレーザ投射器を臨ませるとともに、前記側壁部分に対向する側壁部分に形成した測定窓にレーザ受信器を臨ませ、天然ガス、又は循環用の排ガス、又は後燃焼ゾーンから抽出した抽出ガスにレーザ流速計10でレーザ光を照射して、それらが目標の速度になっているか否かを検出可能に構成してあってもよい。
【0064】
(4)前記レーザ検出計50は、乾燥ゾーンのガスの温度と各種の組成物の濃度とのうち、濃度だけあるいは温度だけを検出するものであてもよい。この場合、レーザ検出計10によるガスの濃度の検出結果又は温度の検出結果と、レーザ流速計50によるガスの流速の検出結果とに基づいて制御装置17で各装置を制御する。前記レーザ検出計50に換えて熱電対などの温度検出計で乾燥ゾーンのガスの温度を検出するよう構成してあってもよい。
【0065】
(5)本発明は、主燃焼させたごみの後燃焼により生じる排ガスを後燃焼ゾーンから炉本体外に抽出し、天然ガスと混合させ、一次燃焼ゾーンの上方に吹き込んで還元性雰囲気を形成する構造のものにも適用することができる。
【0066】
(6)本発明は、前記レーザ流速計と熱電対などの温度検出計を設けた構造のものにも適用することができる。
【0067】
(7)本発明は、レーザ流速計50の検出結果に基づいて、前記制御装置17で天然ガス供給部9、又は排ガス供給手段39、又は後燃焼ガス供給手段16を制御するだけの構造のもの、すなわち、二次燃焼空気供給装置6を制御しない構造のものにも適用することができる。
【0068】
(8)前記二次燃焼空気供給装置6の空気噴出ノズルを可変口径ノズルに形成すれば、炉内のガス流速の制御で二次燃焼空気量に過不足が生じた場合に、二次燃焼空気の流速を制御しながら最適な二次燃焼空気量を供給できてより燃焼を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】 第1実施形態のごみ焼却炉の縦断正面図
【図2】 第1実施形態のごみ焼却炉の制御系を示す図
【図3】 (a)はレーザ検出計を示す断面図、(b)はレーザ流速計を示す断面図
【図4】 第2実施形態のごみ焼却炉の縦断正面図
【図5】 第2実施形態ごみ焼却炉の制御系を示す図
【図6】 第3実施形態のごみ焼却炉の縦断正面図
【図7】 第3実施形態ごみ焼却炉の制御系を示す図
【符号の説明】
【0070】
6 二次燃焼空気供給装置
9 炭化水素系燃料供給装置
10 レーザ検出計
16 抽出ガス供給装置
17 制御手段
34 一次燃焼ゾーン
39 排ガス供給装置
50 レーザ流速計
Claims (6)
- 乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射して前記ガスの速度を検出するレーザ流速計を設け、二次燃焼空気供給装置からの二次燃焼空気が炉内で目標の速度になるように、前記レーザ流速計の検出結果に基づいて前記二次燃焼空気供給装置を制御する制御手段を設けてあるストーカ式ごみ焼却炉において、一次燃焼ゾーンの上方に、炭化水素系燃料、又は排ガス排出部側から回収した循環用の排ガス、又は前記一次燃焼ゾーン内の後燃焼ゾーンから抽出した抽出ガスを供給するよう構成し、前記制御手段は、前記炭化水素系燃料、又は前記排ガス、又は前記抽出ガスが炉内で目標の速度になるように、炭化水素系燃料供給装置、又は排ガス供給装置、又は抽出ガス供給装置を前記レーザ流速計の検出結果に基づいて制御可能に構成してあるストーカ式ごみ焼却炉。
- 一次燃焼ゾーンの上方に、炭化水素系燃料、又は排ガス排出部側から回収した循環用の排ガス、又は前記一次燃焼ゾーン内の後燃焼ゾーンから抽出した抽出ガスを供給するよう構成し、乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射して前記ガスの速度を検出するレーザ流速計を設け、前記炭化水素系燃料、又は前記排ガス、又は前記抽出ガスが炉内で目標の速度になるように、炭化水素系燃料供給装置、又は排ガス供給装置、又は抽出ガス供給装置を前記レーザ流速計の検出結果に基づいて制御する制御手段を設けてあるストーカ式ごみ焼却炉。
- 前記乾燥ゾーンのガスの温度を検出する温度検出計を設け、前記制御手段は、前記レーザ流速計の検出結果と温度検出計の検出結果とに基づいて、前記各供給装置を制御可能に構成してある請求項1又は2に記載のストーカ式ごみ焼却炉。
- 前記乾燥ゾーンのガスにレーザ光を照射して前記ガスの組成物の濃度及び/又は温度を検出するレーザ検出計を設け、前記制御手段は、前記レーザ流速計の検出結果とレーザ検出計の検出結果とに基づいて、前記各供給装置を制御可能に構成してある請求項1又は2に記載のストーカ式ごみ焼却炉。
- 前記レーザ流速計で二次燃焼ゾーンにレーザ光を照射して、前記二次燃焼空気が炉内で目標の速度になっているか否かを検出可能に構成してある請求項1,3,4のいずれか1項に記載のストーカ式ごみ焼却炉。
- 前記炭化水素系燃料、又は排ガス、又は抽出ガスに前記レーザ流速計でレーザ光を照射して、それらが炉内で目標の速度になっているか否かを検出可能に構成してある請求項1〜5のいずれか1項に記載のストーカ式ごみ焼却炉。
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