JP3795874B2 - 電界放出表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,電界によって冷陰極から電子を放出させて,この電子を蛍光体に当てることで蛍光体を発光させるようにした電界放出表示装置(フィールドエミッションディスプレイ)に関する。
【0002】
【従来の技術】
この明細書で従来技術として引用する文献は次のものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2001‐143619号公報
【特許文献2】
特開2000‐173514号公報
【0004】
特許文献1は冷陰極としてカーボンナノチューブを用いる電界放出表示装置を開示している。また,特許文献2は熱陰極(カソードフィラメント)とリブ方式のグリッドとを用いる蛍光表示装置を開示している。
【0005】
電界放出表示装置の冷陰極としては,かつては,スピント型と呼ばれる先端の尖った陰極を用いるものが研究されたが,これはほとんど実用化に至らず,最近では,カーボンナノチューブを用いるものが研究されている。冷陰極としてカーボンナノチューブを用いる電界放出表示装置としては,例えば,上述の特許文献1に開示された装置が知られている。特許文献1の装置は,陰極側では,陰極基板上にストライプ状の第1リブを形成して,隣り合う第1リブに挟まれたストライプ状の領域に陰極を形成している。そして,特許文献1は陰極の電子放出部にカーボンナノチューブを使うことに言及している。第1リブの表面には電子引き出しグリッドを載せていて,この電子引き出しグリッドを,上述のストライプ状の陰極に直交するようにストライプ状に分割している。この電子引き出しグリッドには電子を引き出すための開口部が形成されている。ストライプ状の陰極と,これに直交するストライプ状の電子引き出しグリッドとの交差部が,ひとつの画素を構成している。
【0006】
一方,陽極側は次のような構成である。透明なガラス基板からなる陽極基板には,上述の第1リブと交差するように第2リブがストライプ状に形成されている。この第2リブは上述のストライプ状の電子引き出しグリッドの間に位置している。そして,隣り合う第2リブに挟まれた領域に,透明導電膜からなる陽極が形成されている。この陽極上に蛍光体が形成されている。
【0007】
陰極基板において特定の列の陰極と特定の行の電子引き出しグリッドとを選択してこれらに電圧を印加すると,その交差部において,陰極から放出された電子が電子引き出しグリッドから引き出されて,上述の蛍光体に衝突する。この蛍光体で発光した光が透明な陽極基板を通して外部に放出される。
【0008】
一方,熱陰極を用いる蛍光表示装置のうちで,本発明に関連が深いものとして,上述の特許文献2に開示されたものがある。この蛍光表示装置は,表示基板に多数のドット状の陽極を形成して,この陽極を格子状のリブで取り囲んでいる。陽極の表面には蛍光体が形成されている。ドット状の陽極は行毎に共通の陽極配線に接続されている。格子状のリブの表面にはグリッド(リブ・グリッド)が形成されている。リブ・グリッドは,上述の陽極配線に交差するようにストライプ状に分割されている。したがって,ストライプ状の陽極配線とストライプ状のリブ・グリッドとが交差し,この交差部に位置する各陽極がひとつの画素を構成している。リブ・グリッドの上方にはカソードフィラメントが張り渡されている。カソードフィラメントから放出された熱電子は,選択された陽極配線と選択されたリブ・グリッドとの交差部のところに引き出されて,そこに位置する陽極上の蛍光体に衝突して,そこから光が発生する。この光は,表示基板に対向する透明なカバー・ガラス板を通して外部に放出される。この特許文献2の蛍光表示装置では,表示基板に,陽極と,リブ・グリッドと,カソードフィラメントのすべてを搭載しているので,表示基板とカバー・ガラス板との封止の際に,二つの基板の位置合わせを精密に行う必要がない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1に開示された電界放出表示装置には次の問題がある。第1に,カーボンナノチューブで構成した冷陰極は,放出電子密度に疎密が生じやすく,電子が偏在する傾向がある。したがって,対向する陽極上の蛍光体において,電子の偏在に起因する輝度むらが生じやすい。第2に,陰極基板(第1リブ,陰極及び電子引き出しグリッドが形成されている)と陽極基板(第2リブ及び陽極が形成されている)との間で,精密な位置合わせ作業が必要になる。したがって,陰極基板と陽極基板とを加熱装置あるいは真空加熱装置の中で封止する場合に,両者の位置合わせ精度をきわめて高く保ったまま封止作業をしなければならない。
【0010】
ところで,上述の特許文献2は,熱陰極を使う蛍光表示装置に関するものではあるが,表示基板に陽極とリブ・グリッドとカソードフィラメントのすべてを搭載しているので,表示基板とカバー・ガラス板との精密な位置合わせは不要である。このような構造を特許文献1のような電界放出表示装置にも適用すれば,少なくとも基板の精密な位置合わせ作業の問題は解決できるはずである。しかし,電界放出表示装置では,陽極基板に対向するものは単なるカバー・ガラス板ではなくて,冷陰極を形成した陰極基板なので,特許文献2のような構造は,そのままでは採用できない。また,たとえ位置合わせの問題が解決できたとしても,カーボンナノチューブ製の冷陰極が持つ問題点,すなわち,電子の偏在に起因する輝度むらは解決できない。
【0011】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり,その目的は,冷陰極電界放出に起因する電子の偏在を平均化して輝度むらをなくし,かつ,陽極基板と陰極基板の高精度の位置合わせを不要にした電界放出表示装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の電界放出表示装置は,陰極基板に平面状の冷陰極を形成し,陽極基板には陽極ストリップと選択グリッドストリップと電子引き出し電極のすべてを形成した点に特徴がある。すなわち,本発明の電界放出表示装置は次の構成を備えている。(a)透明な陽極基板。(b)前記陽極基板に対向する陰極基板。(c)前記陰極基板に形成されていて,電子放出部が平面状になっている冷陰極。(d)前記陽極基板に形成されていて,互いに平行に配置された複数の透明な陽極ストリップ。(e)前記各陽極ストリップ上に形成された蛍光体。(f)前記陽極基板に形成された複数の選択グリッドストリップであって,前記陽極ストリップよりも前記冷陰極の側に配置され,前記陽極ストリップに対して直交するようにかつ互いに平行になるように配置され,前記各陽極ストリップと重なる位置には第1開口が形成されている選択グリッドストリップ。(g)前記陽極基板に形成された電子引き出しグリッドであって,前記選択グリッドストリップよりも前記冷陰極の側に配置され,前記第1開口と重なる位置には第2開口が形成されている電子引き出しグリッド。
【0013】
冷陰極から放出された電子は,冷陰極と電子引き出しグリッドとの間の電子滞留領域に滞留して電子雲を形成する。これにより,冷陰極電界放出に起因する電子の偏在が平均化される。いずれかの選択グリッドストリップといずれかの陽極ストリップとに電圧が印加されると,これらのストリップの交差位置に存在する,電子引き出しグリッドの第2開口と,陽極ストリップの第1開口とを通って,電子が陽極ストリップ上の蛍光体に衝突する。これにより,蛍光体が発光し,この光が透明な陽極ストリップと透明な陽極基板とを通過して外部に放出される。したがって,選択グリッドストリップと陽極ストリップとの交差する位置に存在する各蛍光体が,電界放出表示装置の各画素を構成している。
【0014】
陽極基板には陽極ストリップと選択グリッドストリップと電子引き出し電極のすべてが形成されているので,陽極基板の構成だけで画素の位置が決まる。一方,陰極基板には大きなサイズの平面状の冷陰極が形成されているだけである。したがって,陽極基板と陰極基板とを精密に位置合わせする必要がなく,電界放出表示装置を安価に製造できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に,本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の電界放出表示装置の第1の実施形態を示す分解斜視図である。この図面では,側壁12の一部を切り欠いて示している。この電界放出表示装置は,陽極基板10と側壁12と陰極基板14とで構成されている。これらの部品を互いに接着して封止することで気密容器を作ることができる。気密容器の内部は真空状態に維持される。陽極基板10と陰極基板14は互いに対向している。陽極基板10には,後述するように,陽極と2種類のグリッドが形成されている。この陽極基板10は透明なガラス基板でできていて,例えば,ホウ珪酸ガラス,ソーダライムガラスなどで作ることができる。陰極基板14には冷陰極15が形成されている。この陰極基板14はガラスまたはセラミックで作ることができる。枠状の側壁12はセラミック,ガラスまたは金属で作ることができる。
【0016】
陰極基板14の内面(容器の内部空間に面する表面)には,導電膜(例えば,金属膜)製の冷陰極15が1枚の平面状に形成されている。その上に,カーボンナノチューブ膜が形成されている。このカーボンナノチューブ膜が冷陰極15の電子放出部となる。冷陰極15のサイズは,表示エリア全体のサイズと同等かそれ以上である。カーボンナノチューブ膜は印刷法やCVD法で作ることができる。
【0017】
図2は陽極基板10と側壁12とを示す平面図である。陽極基板10の内面(容器の内部空間に面する表面)には格子状のリブ16が形成されていて,そのリブ16で取り囲まれたそれぞれの矩形領域に蛍光体18が見えている。この蛍光体18が表示素子の画素を構成する。この図面では(ほかの図面でも同様であるが),図面を見やすくするために,8行×8列=64個の画素を示している。ただし,実際には,もっと多数の画素を形成することができる。
【0018】
図3は,製造途中における,陽極基板上の構造を拡大して示した斜視図である。陽極基板の内面には,透明導電膜(例えば,ITO膜)でできたストライプ状の陽極20が形成されている。すなわち,陽極20は,多数の細長い陽極ストリップ20a,20b,…,20nからなり(図5を参照),これらの陽極ストリップはX方向に延びていて,かつ,所定の間隔を隔てて互いに平行に配列されている。陽極20の上には,絶縁物でできた格子状の第1リブ22が印刷形成されている。第1リブ22の材質は,印刷可能なガラスを主成分とした絶縁物である。この第1リブ22の高さは30〜100μmである。第1リブ22のX方向に延びる部分24は,隣り合う陽極ストリップ20a,20bの間に位置していて,直接,陽極基板の上に載っている。一方,第1リブ22のY方向に延びる部分26は,陽極ストリップ20a,20bの上に載っている。格子状の第1リブ22のそれぞれの開口部28のところでは陽極ストリップ20a,20bが露出している。
【0019】
第1リブ22の表面(図3における上面)には,導電膜でできた選択グリッド30が形成されている。選択グリッド30の材質は,第1リブ22に熱膨張係数が近い厚膜印刷用導電ペーストであり,銀を主成分としたものである。この選択グリッド30は,Y方向に延びる隙間31以外の部分で,第1リブ22の表面の全体を覆っている。隙間31の存在により,選択グリッド30はY方向に延びるストライプ状になっている。ストライプを構成する各選択グリッドストリップ30a,30b,…30m(図5を参照)には,第1リブ22の開口部28と同じ形状の第1開口33が存在する。X方向に延びる陽極ストリップ20a,20bと,Y方向に延びる選択グリッドストリップ30a,30bは,互いに直交することになる。そして,それらの交差点のところには,第1リブ22の各開口部28が存在している。そして,選択グリッドストリップ30a,30bが陽極ストリップ20a,20bに重なる位置では,各選択グリッドストリップ30a,30bに第1開口33が形成されていることになる。
【0020】
図4は完成状態での図3と同様の斜視図である。格子状の第1リブ22の上に,さらに,絶縁物でできた格子状の第2リブ32が印刷形成されている。第2リブ32の材質は第1リブ22と同様である。第2リブ32の幅は第1リブ22の幅よりも狭くなっている。したがって,選択グリッドストリップ30a,30bのかなりの部分は第2リブ32に覆われることなく露出している。第2リブ32のX方向に延びる部分34は,間隙31(図3)以外の部分では選択グリッドストリップ30a,30bの上に載っている。第2リブ32のY方向に延びる部分36は,間隙31(図3)のところで第1リブ22の上に直接載っている。第2リブ32の表面(図4における上面)には,その全面に,導電膜でできた電子引き出しグリッド38が形成されている。したがって,電子引き出しグリッド38は格子状である。電子引き出しグリッド38の材質は選択グリッド30と同様である。電子引き出しグリッド38に形成された第2開口39は,選択グリッドストリップ30a,30b,…30mに形成された第1開口33と重なる位置に存在する。
【0021】
電子引き出しグリッド38を形成したあとで,第1リブ22の開口部28の中に露出する陽極ストリップ20a,20bの表面に蛍光体18を形成する。蛍光体18は,インクジェット法,フォトグラフィ法,沈殿法,電着法などで形成できる。
【0022】
陽極基板上の構造を上から見ると,格子状の電子引き出しグリッド38の第2開口39の中に,選択グリッドストリップ30a,30bが枠状に見えていて,その選択グリッドストリップ30a,30bの第1開口33の中に矩形の蛍光体18が見えることになる。
【0023】
また,電子引き出しグリッド38の表面上には,適当な複数箇所に,柱状のスペーサ40が形成されている。このスペーサ40は陰極基板の中央部分を支えるものである。スペーサ40の高さは30〜200μmである。このスペーサ40は,図示の例では,断面が十字形になっているが,これに限らず任意の断面形状にできる。このスペーサ40は,絶縁物を印刷形成したり,ガラスビーズを接着したりして,作ることができる。
【0024】
図5は陽極基板に搭載する3種類の電極を分解斜視図で示したものである。陽極基板の内面上には,X方向に延びる多数の陽極ストリップ20a,20b,…20nがあり,その上方には,Y方向に延びる選択グリッドストリップ30a,30b,…30mがあり,さらにその上方には,格子状の電子引き出しグリッド38がある。陽極ストリップ20a,20b,…20nの表面には,ドット状に蛍光体18が形成されている。
【0025】
次に,この電界放出表示装置の製造手順を説明する。図4に示すように陽極基板の構造を完成させたら,図1において,側壁12の底面をフリットガラスなどで陽極基板10に封着する。さらに,冷陰極15を形成した陰極基板14を,側壁12の上面に載せて,真空雰囲気中で,フリットガラスや低融点金属を用いてロウ付け封止を行う。
【0026】
本発明では,陽極基板10の側に,ストライプ状の多数の陽極ストリップと,ストライプ状の多数の選択グリッドストリップ,及び電子引き出し電極のすべてを搭載しており,一方で,陰極基板14には1枚の平面状の冷陰極15を形成しているだけなので,上述の封止作業において,陽極基板10と陰極基板14とを高精度に位置合わせする必要が全くない。したがって,封止作業が簡単になる。
【0027】
次に,電気回路を説明する。図6は選択グリッド30に関する電気回路である。各選択グリッドストリップ30a,30b,…,30mは駆動トランジスタ48a,48b,…,48mの出力端子に接続されている。駆動トランジスタの電源端子には選択グリッド電圧源50が接続されている。各駆動トランジスタのゲートには,列選択回路52から選択信号が順次入力される。選択信号が例えば駆動トランジスタ48aに入力すると,その駆動トランジスタ48aがオンになり,その出力端子に接続されている選択グリッドストリップ30aに選択グリッド電圧が印加される。
【0028】
図7は陽極20に関する電気回路である。各陽極ストリップ20a,20b,…,20nは駆動トランジスタ42a,42b,…,42nの出力端子に接続されている。駆動トランジスタの電源端子には陽極電圧源44が接続されている。駆動トランジスタのゲートには,行データ回路46からデータ信号が入力される。データ信号が例えば駆動トランジスタ42aに入力すると,その駆動トランジスタ42aがオンになり,その出力端子に接続されている陽極ストリップ20aに陽極電圧が印加される。
【0029】
図8は電界放出表示装置の一部の断面図と全体的な電気回路図とを組み合わせた動作説明面である。断面図の部分は上下方向を誇張して描いてある。陽極ストリップ20aには駆動トランジスタ42aを介して陽極電圧源44から陽極電圧が選択的に印加される。選択グリッドストリップ30aには駆動トランジスタ48aを介して選択グリッド電圧源50から選択グリッド電圧が選択的に印加される。電子引き出しグリッド38には接地電位が常時印加されている。冷陰極15には冷陰極電圧源54から冷陰極電圧が常時印加されている。電子引き出しグリッド38の電位(すなわち接地電位)に対して,陽極電圧はプラス10〜100V程度,選択グリッド電圧もプラス10〜100V程度である。
【0030】
真空中において,カーボンナノチューブ膜を被覆した冷陰極15と電子引き出しグリッド38との間に電圧を印加すると,冷陰極15から電子が放出される。カーボンナノチューブからの冷陰極放出では,1〜5V/μmの電界をかけることで電子が放出されることが分かっている。図4のスペーサ40の高さ(すなわち,冷陰極15から電子引き出しグリッド38までの距離)を100μmと仮定すると,冷陰極電圧源54の電圧を100〜500Vに設定すれば,冷陰極15から電子が放出される。冷陰極15から放出された電子は,冷陰極15と電子引き出しグリッド38との間の電子滞留領域55に滞留して,電子雲56を形成する。
【0031】
選択グリッドストリップ30a,30b,…,30mのいずれかに選択グリッド電圧が印加されると,電子滞留領域55からグリッド選択領域72に電子が引き出される。さらに,陽極ストリップ20aに陽極電圧が印加されると,陽極選択領域74にも電子が引き出されて,この電子流76が蛍光体18に衝突する。これにより,蛍光体18が発光し,その光58は,透明導電膜製の陽極ストリップ20aと透明ガラス製の陽極基板10とを通過して,外部に出て行く。
【0032】
以上説明したように,本発明では,電子滞留領域55に電子を溜めることで,カーボンナノチューブから放出される電子の偏在を平均化できる。そして,選択グリッドストリップと陽極ストリップの選択を組み合わせることで,所望の画素位置に,電子流76を整形して引き出し,電子密度の均一な電子流76を蛍光体18に当てることができる。
【0033】
図8において,陽極ストリップ配線64,選択グリッドストリップ配線66,電子引き出しグリッド配線68,及び冷陰極配線70は,図面を見やすくするために側壁12を通過するように図示しているが,実際は,これらの配線は陽極基板10または陰極基板14の内面上に形成されていて,これらの基板と側壁12の間の封止部のところから容器の外部に引き出される。
【0034】
次に,電子引き出しグリッドの変更例を説明する。図9はこの変更例を示す分解斜視図である。電子引き出しグリッド38が第2リブ32の表面に形成されているところまでは,図4に示す実施形態と同じである。この変更例では,さらに,電子引き出しグリッド38の上にメッシュグリッド60を溶接している。メッシュグリッド60は導電性の薄板に微細な開口62を多数形成したものである。具体的には,ステンレス鋼などでできた薄板(厚さは0.05〜0.2mm程度)にエッチング法またはパンチング法によって多数の開口62を形成する。メッシュの透過度(開口率)は30〜70%の範囲が適当である。メッシュグリッド60を電子引き出しグリッド38に固定するには,抵抗溶接やレーザービーム溶接などの溶接法,あるいはロウ付け法を用いることができる。
【0035】
この場合,もともとの電子引き出しグリッド38とメッシュグリッド60とを組み合わせたものが,電子引き出しグリッドとなる。
【0036】
図8の電子滞留領域55に滞留している電子は,メッシュグリッド60の開口62を通過して蛍光体18に向かうことになる。電子引き出し電極38だけでは電流密度が足りないときに,このようなメッシュグリッド60を使うと効果的である。また,メッシュグリッド60を使うと,電子の引き出し電界が均一化する。
【0037】
図9において,電子引き出しグリッド38を省略して,メッシュグリッド60を第2リブ32の表面に直接固定することもできる。その場合は,メッシュグリッド60が電子引き出しグリッドの役割を果たす。そして,メッシュグリッド60の多数の開口62のうちで,第2リブ32に遮られないもの,すなわち,選択グリッドストリップの第1開口に重なる位置に存在するものが,電子引き出しグリッドの第2開口の役割を果たす。
【0038】
以上の実施形態では,冷陰極の電子放出部にカーボンナノチューブを用いていたが,本発明は,それ以外の冷陰極,例えば,多孔質ポリシリコンを使った冷陰極にも適用できる。多孔質ポリシリコン製の冷陰極を使った表示装置はBSD(Ballistic Electron Surface-Emitting Display)して知られている。
【0039】
【発明の効果】
本発明の電界放出表示装置は,冷陰極と電子引き出しグリッドとの間の電子滞留領域に放出電子を溜めるようにしているので,冷陰極電界放出に起因する電子の偏在を平均化できて,輝度むらをなくすことができる。また,陽極基板の側に,陽極ストライプと,これと交差する選択グリッドストライプと,電子引き出し電極のすべてを搭載していて,陰極基板の側には平面状の冷陰極だけを形成しているので,陽極基板と陰極基板を高精度に位置合わせする必要がなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界放出表示装置の第1の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】陽極基板と側壁とを示す平面図である。
【図3】製造途中における,陽極基板上の構造を拡大して示した斜視図である。
【図4】完成状態での図3と同様の斜視図である。
【図5】陽極基板に搭載する3種類の電極の分解斜視図である。
【図6】選択グリッドに関する電気回路である。
【図7】陽極に関する電気回路である。
【図8】電界放出表示装置の一部の断面図と全体的な電気回路図とを組み合わせた動作説明面である。
【図9】電子引き出しグリッドの変更例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10 陽極基板
12 側壁
14 陰極基板
15 冷陰極
16 格子状のリブ
18 蛍光体
20 陽極
20a 陽極ストリップ
22 第1リブ
28 開口部
30 選択グリッド
30a 選択グリッドストリップ
32 第2リブ
33 第1開口
38 電子引き出しグリッド
39 第2開口
55 電子滞留領域
56 電子雲

Claims (4)

  1. 次の構成を備える電界放出表示装置。
    (a)透明な陽極基板。
    (b)前記陽極基板に対向する陰極基板
    (c)前記陰極基板に形成されていて,電子放出部が平面状になっている冷陰極。
    (d)前記陽極基板に形成されていて,互いに平行に配置された複数の透明な陽極ストリップ。
    (e)前記各陽極ストリップ上に形成された蛍光体。
    (f)前記陽極基板に形成された複数の選択グリッドストリップであって,前記陽極ストリップよりも前記冷陰極の側に配置され,前記陽極ストリップに対して直交するようにかつ互いに平行になるように配置され,前記各陽極ストリップと重なる位置には第1開口が形成されている選択グリッドストリップ。
    (g)前記陽極基板に形成された電子引き出しグリッドであって,前記選択グリッドストリップよりも前記冷陰極の側に配置され,前記第1開口と重なる位置には第2開口が形成されている電子引き出しグリッド。
  2. 請求項1に記載の電界放出表示装置において,前記冷陰極の前記電子放出部がカーボンナノチューブでできていることを特徴とする電界放出表示装置。
  3. 請求項1または2に記載の電界放出表示装置において,次の構成を備えることを特徴とする電界放出表示装置。
    (イ)前記陽極基板に形成された格子状の第1リブ。
    (ロ)前記第1リブの表面に形成された前記選択グリッドストリップ。
    (ハ)前記第1リブの表面に,前記選択グリッドストリップを完全には覆わないように形成された格子状の第2リブ。
    (ニ)前記第2リブの表面に形成された前記電子引き出しグリッド。
  4. 冷陰極と,これに対向するストライプ状の多数の陽極ストリップとの間の空間において,冷陰極の側から順に,電子引き出しグリッドと,前記陽極ストリップに交差するストライプ状の多数の選択グリッドストリップとを配置して,前記冷陰極と前記電子引き出しグリッドとの間の電子滞留領域に,冷陰極から放出された電子を滞留させて,前記選択グリッドストリップと前記陽極ストリップとに選択的に電圧を印加することで,前記電子滞留領域に存在する電子を前記陽極ストリップ上の蛍光体に衝突させてこれを発光させることを特徴とする電界放出表示装置。
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