JP3795611B2 - 電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法 - Google Patents

電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械部品や金型等の金属部品を電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピングによって製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、機械部品の3次元CAD(Conputer-Aided-Design)化の発展に伴い、これら機械部品の製品化までに要する時間に対して、デザインチェックや機能チェックのために用いられる試作モデルの製作に要する時間の占める割合が増大してきている。このため、迅速な試作(ラピッドプロトタイピング)法が求められてきている。
従来のラピッドプロトタイピングは、図12におけるいくつかの例に示したように樹脂モデルの製作に限られていた。これらを簡単に説明すると、図12(A)の光硬化性樹脂を用いた光造形法は、エポキシ樹脂等の紫外線硬化樹脂にレーザ光を照射して走査し、薄い層を固化・積層して立体モデルを製作する方法であり、CADデータより自動的に造形が可能である。また、造形された光硬化性樹脂モデルをベースとして使用し、ロストワックス鋳造等により金属試作品製造の試みも行われている。
また、図12(C)に示すインクジェット法は、インクジェットノズルからインクに代えてワックス粒子を滴下して固化させながら造形するもので、ワックスモデルの政策に適している。
樹脂押出法は、細いノズルから熱可塑性の樹脂またはワックスを押し出し、固化させながら造形するもので、汎用樹脂モデルも造形できる特徴がある。
また、図12(E)に示したものは、シート切断法と言われるもので、接着剤のついた薄い紙質のシートを互いに積層熱圧着し、レーザ光またはナイフ刃で切断して立体造形するもので、鋳造用木型の代替品として注目されている。
【0003】
しかしながら、これらの樹脂モデルによるラピッドプロトタイピングは、あくまで樹脂モデルの製作に限られているため、デザインチェックには用いられることがあっても機械部品の多くを占める金属製部品の機能チェックには用いることができないものであった。これらの樹脂モデルから金属試作品を造形するにはロストワックス等のもう一段階の手順が必要であり、金属試作品の製作に要する時間を減少するまでには至っていないのが実状であった。
このようなことから、直接に金属試作品やセラミックス部品が造形できるところのラピッドプロトタイピング法として、図12(B)の粉末焼結法が案出された他、図12(C)のインクジェット法および図12(D)の樹脂押出法による造形法において、ワックスや樹脂を金属粉やセラミックス粉末のバインダーとして使用して形を作り、後工程でワックスや樹脂を加熱等により消散させてしまう方法が案出された。
粉末焼結法は、粉末の薄い層に選択的にレーザ光やプラズマジェット等を照射し、粉末を直接に焼結して造形するものである。
また、インクジェット法を利用する方法としては、図12(F)のように粉末焼結法におけるレーザ光の代わりにインクジェットノズルからワックス粒子を選択的に滴下して含浸部分のみを固化させ、該固化部分を焼結することにより造形するものである。
樹脂押出法を利用する場合は、細いノズルから金属粉やセラミックス粉の混入された熱可塑性の樹脂またはワックスを押し出し、固化部を焼結することにより造形するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような金属部品のラピッドプロトタイピング法においては樹脂やワックス等のバインダーが必要であり、その除去に余分な工程が必要である。また、焼結の際は収縮や残留応力による変形の問題があり、成形精度の向上には限界があった。したがって、近年盛んになってきたマイクロマシニングへの応用にも不向きであった。
【0005】
そこで本発明は、前記従来の金属部品のラピッドプロトタイピング法における諸課題を解決して、熱影響層や残留応力等の加工変質層がなく微細で成形精度の高い金属部品を迅速かつ安定して造形することができる電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
セラミックパイプからなる微細なノズルと、この微細なノズルを保持するノズルホルダからなるノズルを用いて電解液ジェット加工を行なう金属部品のラピッドプロトタイピング法において、前記ノズルホルダは金属溶出の少ないステンレス、銅、グラファイト、白金のいずれかの材料を使用して作製してあり、正に荷電した微細なノズル側から所定の金属イオンを含む電解液を負に荷電した工作物にジェット噴射することによって、前記電解液の噴流直下の工作物上に前記所定の金属を電着させて金属電着層を形成することを特徴とする電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法である。
前記金属電着層が所定の厚さに成長した際に、該金属電着層の上面を平滑化する工程を加え、順次これを繰り返すことによって金属電着層の積層高さを増大させることを特徴とする電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法である。
また、前記電着層の形成の合間の電着層上面の平滑化工程として、所定時間毎に前記ノズル側と工作物との電極の陰陽を逆転し、電着層の積層工程と上面の平滑化あるいは酸化皮膜除去工程とを交互に繰り返すことを特徴とする電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法である。
また、前記工作物とノズルとの間の位置関係を3次元CADデータ等に基づいて3次元にて相対移動制御するとともに前記工作物とノズルとの間の電圧を印加するタイミングを同期制御することによって、前記金属電着層を前記3次元CADデータ等に基づいて積層して金型等の試作金属部品を形成することを特徴とする電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法である。
【0007】
【実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法の基本原理を示すものであり、図1(A)はノズルと工作物との間に電着層が形成される様子を拡大して示す断面図、図1(B)は電着層が順次積層されて3次元立体部品の創成例を示す斜視図である。本件発明者らは、先に微細なノズルから硝酸ナトリウム水溶液等の電解液を高圧で噴射させて、工作物を陽極、ノズル側を陰極に電圧を印加することで微細なピットのパターン成形等の除去加工を行った。(米田、国枝による論文「電解液ジェット加工における加工形状のシュミレーション」電気加工学会誌、第29巻第62号第1〜8頁等参照)本件発明者は、上記金属工作物の除去加工におけるノズル側と工作物との間の極性を反転することで、ノズル直下における微細部分での金属析出による金属層の精密な創成が可能であることを見い出し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
図1(A)に示すように、所定のノズル内径D(実験例では0.4mm)のセラミックパイプからなる微細なノズル1から所定の金属イオンを含む電解液を陰極に電圧が印加された金属工作物2にジェット噴射することによって、噴流直下の工作物2上に選択的に金属の電着層が析出されることが見い出された。前記ノズル1にセラミックパイプを採用したのは、金属のノズルでは僅かな割合ながら電解作用により消耗してしまうためである。通電はセラミックパイプを保持するステンレス製のノズルホルダ5を陽極に電圧を印加して行われる。ノズルホルダ5としてステンレスや銅を用いれば金属の溶出は少ないが、理想的にはグラファイトや白金を用いることが好ましい。例えば、電解液に銅イオンを含んだものを使用した場合には、陰極では銅の析出が起き、陽極では酸素の発生と金属の溶出反応が競合して生ずる。そして詳細は後述するが、図1(B)に示すように、ノズル1と工作物2の相対位置と電圧を印加するタイミングを同期制御することによって、従来の光造形法と同様に、様々なパターンでの金属による積層造形が可能になるものである。
【0009】
図2は、ノズル1の内径Dを変えることによって析出して得られた電着層4の直径との関係を表すもので、微細なノズル内径と電着層の直径とがほぼ正比例することが理解される。発明者らが試みたノズル最小径Dは40μmであり、このときほぼ50μm直径の電着層が得られた。本発明で用いられる電解液のジェット噴流圧力は比較的大きいため、電極面上の反応関与物質の濃度境界層が薄く、濃度分極(一般に電解加工において電解電流が極間電位差の所定値以上の上昇によっても増加しなくなる領域に達した状態で、この限界電流のもとでの電解加工では工作物表面上の電位分布よりも、イオンの濃度分布の方が加工にとって支配的な影響力を有する。)の影響が小さいことによって、電解液中の電位分布だけで加工量の分布が決まり、電解液噴流直下のみにおいて金属電着層が選択的に析出され、微細なノズル内径D近傍での微細加工が可能となるものと思われる。
【0010】
図3は、電解液中の電位分布から加工形状を解析するために、電解液噴流が工作物に衝突した際の電解液の流れの場における噴流内部電位分布をシュミレーション解析したものである。一般にノズルより噴射される流体の噴流形状は、供給圧力、流体の粘性等の諸条件からNavie−Stokesの方程式により求められる。本研究では粘性の影響を考慮外とし、しかも噴流が発散せずに工作物に垂直に衝突する軸対称噴流と仮定した。解析モデルの境界条件として、ノズルにおける拡散層のすぐ外側の電位(外部電位)と、工作物側電極面の外部電位とをそれぞれ0、−V0 〔V〕、加工中心軸より充分離れた距離にある電解液の電位も−V0 とし、軸対称3次元の有限要素法を用いることによって噴流内部の各点での電位を求めたものである。
【0011】
図3において、加工表面と中心軸の交点の座標を原点とし、半径方向にr軸をとると、図3から半径方向の電流密度Jの分布が計算によって求められる。
例えば、図4は硫酸銅(CuSO4 )の20wt%水溶液、ギャップ0.3mm、導電率0.124Ω-1cm-1の条件のもとに計算した電流密度をV0 で規格化した値の半径方向分布である。このように、噴流中心およびその近傍で大きな値が得られることが理解される。
【0012】
以上説明したシュミレーション解析に対して、前述の図1の実験装置により析出した電着層断面を図6に示す。加工条件は電流9.8mA、ギャップ3mmであり、走査速度8mm/sで4mmの直線状ストロークを360回走査したときの、ストロークに垂直な方向の断面を形状測定器で測定したものである。
これによれば、実験結果において得られた電着層の断面形状が前述のシュミレーション解析によって得られた電流密度分布の形状に近似し、シュミレーション解析が実験の加工形状をよく予測していることが解る。
図6(A)に示したものは、硫酸銅(CuS04 )水溶液を電解液として使用したものであり、図6(B)に示したものは、硝酸銅(CuN03 )水溶液を電解液として使用したものである。
この結果、同じ銅イオンを含む電解液でも、不働態型の水溶液である硝酸銅水溶液の場合の方が、析出が生じる領域を噴流直下に限定できることが解った。
【0013】
図5は、図1(A)に示した実験装置における工作物(ワーク)2とノズル1との間の位置関係を3次元CADデータ等に基づいて3次元にて相対移動制御するとともに前記工作物2とノズル1との間の電圧を印加するタイミングを同期制御するように構成したことによって、金属電着層4を前記3次元CADデータ等に基づいて積層して金型等の試作金属部品を形成することができるように、電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法を実現する加工装置の1例を示すものである。
加工装置について説明すると、図示外の電解液タンクから供給される所定の金属イオンを含む電解液3をフィルタを通して高圧ポンプへ供給し、供給圧力を最大25MPaまで上昇させ、調圧弁によって調圧した供給電解液がノズル1からX−Yテーブル上のワーク2に噴射される。
X−YテーブルはX軸ステッピングモータおよびY軸ステッピングモータ等によりX、Y軸の2次元方向に前記ワーク2を移動させることが可能で、前記ワーク2に対するノズル1のギャップは、リニアガイド上でのZ軸方向の移動としてマイクロメータヘッドにより任意の値に設定可能である。
このような加工装置において、パソコン等を用いてX−Yテーブルすなわち工作物とノズルとの間を3次元CADデータ等に基づく位置関係と加工電流との同期制御により制御することによって、図1(B)に示したように、前記金属電着層を前記3次元CADデータ等に基づいて積層して金型等の試作金属部品を形成するものである。
【0014】
このようにX−Yテーブル上の走査およびZ軸方向のノズルの移動によって層状に形成された電着層を示したものを図7および図8に示す。
図7に示したものは、電流5.2mA、ギャップ0.5mm、走査速度7.8mm/sで6mmの直線状ストロークで加工を行ったときの、走査回数と金属の成長過程との関係を形状測定器で測定した走査方向に垂直な方向の断面図であり、図8に示したものは、その走査方向の断面図である。
これら図7、図8により理解されるように、析出金属の上面は平らでなく激しい凹凸があることが解る。図7では、ノズル中心近傍の中高傾向は走査を重ねる毎に顕著となり、また図8では、走査を繰り返すことによって、析出物である電着層の上面に生じた微小な突起が増幅され、いずれもこれら突起部の電界が強くなり、電流密度が増大して電解作用が集中することになる結果、さらに突起の成長が助長される悪循環が引き起こされるものと思われる。これらは加工時間が長くなるとさらにその傾向が顕著となる。また、これらの突起の表面は酸化しやすく層間の接合が充分になされない虞れもあった。
【0015】
そこで本発明では、さらに、図9に示したように前記金属電着層が所定の厚さに成長した際に、該金属電着層の上面を平滑化する工程を加え、順次これを繰り返すことによって金属電着層の積層高さを増大させることを可能にして、金型等の比較的大きな試作金属部品を精密に、迅速かつ安定して造形できるようにしたものである。
これによって、突起に起因して電流密度が増大して電解作用が集中することを排除して積層高さの高い電着層を容易に形成するものである。
本発明におけるこの実施の形態では、このように電着層の形成の合間に該電着層上面の凹凸の研磨等の平滑化工程を加えたり突起部の成長速度を抑制するために電流を小さくしたり、ノズルの走査速度を速くしたりして品質の低下を招く虞れもないものである。
【0016】
電着層上面の研磨による平滑化工程としては、ある程度の電着層が積層されて、表面に凹凸の成長の兆しが見え始めた頃を見計らい、工作物を加工装置から取り外してラップ盤に載置し(工作物の基板がラップ盤と平行を保持するように治具を用いる)、最上面を平滑加工した後、再び工作物を加工装置に取り付けて電着層の積層を行う方法があり、この研磨による平滑化加工は実際的である。
また、電着層の形成の合間の電着層上面の平滑化工程としては、上述した通常の研磨工程に代えて、前述した本件発明者らの研究による、本件発明のものと陰陽を逆転させた両電極性のパルスを用いた加工を採用して電解除去加工と組み合わせてもよいものである。
この方法は、図10(B)に示したように、所定時間Aではノズル側を陽極、工作物を陰極として電着層の成長工程を行い、次いで所定時間Bではノズル側を陰極、工作物を陽極として電着層上面の酸化皮膜の除去工程を行い、順次、これを繰り返すものである。これによれば、同一の装置を用いて、順次、所定時間毎にノズル側と工作物との電極の陰陽を逆転することによって、電着層の積層工程と上面の酸化皮膜除去工程とを交互に繰り返して、成長する電着層間の接合を円滑で確実なものとして層間の剥離の虞れのない安定した金属部品を形成することも可能になる。
【0017】
また、電着層の形成の合間の電着層上面の平滑化工程として、図10(A)に示すように、平滑化中は電解液面を上昇させて両極間を電解液で満たして陽極に印加した工作物を電解液中に浸し、陰極に印加した平板電極によって一挙に平滑化を行う方法が考えられる。
このようにすれば、電流を工作物上面の凹凸部の全面に一挙に流すことができて効率的であり、凸部のみを優先的に電流を流すことで平滑化を進行させることができる。陰陽を逆転しての電着工程中は電解液面を下降させればよい。
【0018】
また、図11に示すように、本発明によれば、電着という付加加工による造形が可能であるのみならず、極性を逆転した工作物の除去加工との組合せにより、より精密な加工が可能となる。
例えば、図11(A)に示したような平板体のある部分に孔が穿設された部品を造形する場合、付加加工だけであると、図11(B)のようにノズルの走査中に孔部にさしかかったところで、パルスをオフにして付加が生じないようにするか、あるいは孔部を避けたノズルの走査軌跡をCAD/CAMにて生成させねばならず、面倒であり、しかも孔の側面の形状精度が良くない。
ところが、平面を付加加工によって電着造形した後で、ノズル側の極性を逆転して前記孔部の除去加工を行えば、加工軌跡のプログラミングが簡単になるばかりか、形状精度も向上する。特に、ノズル径を種々のものに交換可能に構成し、大体の形状を太いノズルにて電着加工しておき、微細孔等の精密加工は細いノズルを用いて除去加工することによって、電着で造形した部品の形状の細かな設計修正を施すことが可能になる等、実用的なメリットが多い。
【0019】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、ノズルの内径、材質、工作物の材質、電解液中における金属イオンの種類および濃度、ノズルと工作物間の位置関係におけるX、YおよびZ軸方向の相対移動制御方式、走査速度、電解液のノズルからの噴射圧力、ノズル側と工作物間における印加電圧、電着層の形成の合間の電着層上面の平滑化方式等については適宜選択することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明では、正に荷電した微細なノズル側から所定の金属イオンを含む電解液を負に荷電した工作物に高圧でジェット噴射することによって、前記電解液の噴流直下の工作物上に前記所定の金属を電着させて金属電着層を形成することによって、工作面上の電流密度は噴流の中心部で最大になり、中心から離れるにつれて急激に減少する性質を利用して、前記所定の金属イオンの金属電着層の析出を噴流直下の工作物面上のみで選択的に行えることから、ノズル内径近傍のレベルでの微細加工が実現できるので、マイクロマシニングへの応用にも好適である。
また、本発明では、ノズルと工作物と所定の金属イオンを含む電解液および加圧装置と電圧印加装置等の簡素な構成の装置のみを準備すればよく、加工原理が電気化学的なので、微細部分の加工にも適して熱影響層や残留応力等の加工変質層を生じる虞れがない。しかも、加工工程中において常に新しい電解液が供給されるので、清潔で迅速かつ電流効率がよい。
また、金属層の接合に際しても、従来のラピッドプロトタイピング法のようにバインダーを使用することがないので、煩わしいバインダーの除去工程も不要で簡素な工程となり、収縮や歪みを生じることなく中実の金属部品を成形することができ、高精度のモデリングが可能となる。
【0021】
また、前記金属電着層が所定の厚さに成長した際に、該金属電着層の上面を平滑化したり、酸化皮膜を除去する工程を加え、順次これを繰り返すように構成したことによって、金属電着層の積層高さを飛躍的に増大させることが可能となった。
また、前記電着層の形成の合間の電着層上面の平滑化工程として、ノズル側と工作物との荷電極性を逆転させた電解除去加工を採用すれば、同一の装置を用いて、順次、所定時間毎にノズル側と工作物との電極の陰陽を逆転することによって、電着層の積層工程と上面の平滑化あるいは酸化皮膜除去工程とを交互に繰り返すことで、成長する電着層間の接合を円滑で確実なものとして層間の剥離の虞れのない安定した金属部品を形成することも可能になる。
さらに、金属電着層の成長付加工程の後に、ノズル側と工作物との荷電極性を逆転させて特定の微細な設計形状の修正を目的とした除去、切削加工も可能となり、実用的価値が高い。
また、工作物とノズルとの間の位置関係を3次元CADデータ等に基づいて3次元にて相対移動制御するとともに前記工作物とノズル側との間の電圧を印加するタイミングを同期制御するように構成したことによって、前記金属電着層を前記3次元CADデータ等に基づいて積層することで、従来の光造形法と同様に、様々なパターンにて金型等の試作金属部品を形成することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法の基本原理を示すものであり、図1(A)はノズルと工作物との間に電着層が形成される様子を拡大して示す断面図、図1(B)は電着層が順次積層された3次元立体部品の創成例を示す斜視図である。
【図2】本発明の電解液ジェット加工におけるノズルの内径と析出して得られた電着層の直径との関係を表す図である。
【図3】本発明の電解液ジェット加工における電解液の流れの場における噴流内部電位分布をシュミレーション解析した図である。
【図4】本発明の電解液ジェット加工における工作物面上の電流密度分布図である。
【図5】本発明の電解液ジェット加工によるラピッドプロトタイピング法を実現する加工装置の1例を示す全体図である。
【図6】本発明の電解液ジェット加工による実験装置により析出した電着層断面図例である。
【図7】本発明の電解液ジェット加工による走査回数と金属の成長過程との関係を調べるために走査方向に垂直な方向の断面を形状測定器で測定した結果を示す図である。
【図8】図7における走査方向の断面図である。
【図9】本発明の電解液ジェット加工における金属電着層の上面を平滑化する工程の説明図である。
【図10】ノズル側と工作物との極性を逆転させた除去加工についての説明図である。
【図11】除去加工により微細な設計形状を得る工程説明図である。
【図12】従来のラピッドプロトタイピング法による各種積層造形法を示す図である。
【符号の説明】
1 ノズル
2 工作物(ワーク)
3 電解液
4 電着層
5 ノズルホルダ
D ノズル径

Claims (4)

  1. セラミックパイプからなる微細なノズルと、この微細なノズルを保持するノズルホルダからなるノズルを用いて電解液ジェット加工を行なう金属部品のラピッドプロトタイピング法において、前記ノズルホルダは金属溶出の少ないステンレス、銅、グラファイト、白金のいずれかの材料を使用して作製してあり、正に荷電した微細なノズル側から所定の金属イオンを含む電解液を負に荷電した工作物にジェット噴射することによって、前記電解液の噴流直下の工作物上に前記所定の金属を電着させて金属電着層を形成することを特徴とする電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法。
  2. 前記金属電着層が所定の厚さに成長した際に、該金属電着層の上面を平滑化する工程を加え、順次これを繰り返すことによって金属電着層の積層高さを増大させることを特徴とする請求項1に記載の電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法。
  3. 前記電着層の形成の合間の電着層上面の平滑化工程として、所定時間毎に前記ノズル側と工作物との電極の陰陽を逆転し、電着層の積層工程と上面の平滑化あるいは酸化皮膜除去工程とを交互に繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法。
  4. 前記工作物とノズルとの間の位置関係を3次元CADデータ等に基づいて3次元にて相対移動制御するとともに前記工作物とノズルとの間の電圧を印加するタイミングを同期制御することによって、前記金属電着層を前記3次元CADデータ等に基づいて積層して金型等の試作金属部品を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解液ジェット加工による金属部品のラピッドプロトタイピング法。
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