JP3793644B2 - Multi-layer sleeve and die casting machine - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スリーブ及びダイカストマシンに関し、特にダイカストマシンのプランジャスリーブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイガストマシンのプランジャスリーブとして、特開平7−46807号公報には、溶湯からのガス抜きを図るために内筒をサーメットなどの多孔質体から形成し、この内筒が嵌挿される外筒を金属の鋳造材から形成したものが提案されている。内筒と外筒は焼きばめによって一体化される。
【0003】
また、特開平8−243711号公報には、上流部を工具鋼製の単層筒状部材、下流部を内周部が多孔質体、外周部が金属体からなる径方向複層筒状部材として、単層筒状部材と径方向複層部材を軸方向に接合したプランジャスリーブが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平8−243711号公報に提案されたダイガストマシンのプランジャスリーブの保温性ないし断熱性は、必ずしも利用者を満足させるものではなく、溶湯の温度低下による製品欠陥の発生を招くという問題点がある。加えて、金属製の外筒が過熱するおそれもある。
【0005】
また、上記特開平8−243711号公報に提案された、単層筒状部材と径方向複層部材を軸方向に接合したプランジャスリーブにおいても、上流部に金属製の単層筒状部材を用いているため、上述のような問題点がある。さらに、下流部の径方向複層部材においては、その強度や耐熱衝撃性が十分ではなく、鋳造条件に制限が加えられている。
【0006】
本発明の目的は、断熱性ないし保温性が高く、強度と耐熱衝撃性のバランスが優れたスリーブを提供することである。加えて、本発明の目的は、当該スリーブを用いたダイカストマシンを提供することである。本発明の別の目的は新規な結晶性乱層構造窒化硼素の用途を開発することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によるスリーブは、軸方向に沿って、結晶性乱層構造窒化硼素の含有率が互いに異なる複数の層を備える。また、本発明によるダイカストマシンは、鋳型に溶湯を注入するための流路であるプランジャスリーブとして該スリーブを用いる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0009】
まず、本発明の好ましい実施の形態においては、スリーブ材料として、種々のセラミックスを用いることができるが、特に、窒化硼素を含む複合セラミックス、中でも結晶性乱層構造窒化硼素微粉末を焼結原料として含んでなる複合セラミックスを用いる。
【0010】
以下、まず、結晶性乱層構造窒化硼素を原料とする新規な焼結体及びその製造方法について説明する。併せて、窒化硼素の多形について説明する。
【0011】
窒化硼素(BN)は硼素と窒素からなる化合物であるが、炭素とほぼ同じ結晶構造を有する多形が存在する。すなわち、窒化硼素には無定形窒化硼素(以下、「a−BN」という)、六角形の網目層が二層周期で積層した構造を持つ六方晶系窒化硼素(以下、「h−BN」という)、六角形の網目が三層周期で積層した構造を持つ菱面体晶系窒化硼素(以下、「r−BN」という)、六角形の網目層がランダムに積層した構造を持つ乱層構造窒化硼素(以下、「t−BN」という)、高圧下の安定相であるジンクブレンド型窒化硼素(以下、「c−BN」という)及びウルツアイト型窒化硼素(以下、「w−BN」という)が知られている。
【0012】
上記の窒化硼素の多形の内、従来材料として実用性が認められているのはh−BNとc−BNのみである。h−BNは黒鉛より耐酸化性に優れている安定相であり、合成された結晶性h−BN粉末の粒子は通常六角板状の自形を有しており、黒鉛と同様に良好な耐熱性、機械加工性(切削加工性)及び固体潤滑性を有しているが、黒鉛と異なり白色で優れた絶縁性を有する。他方a−BNは不安定で吸湿性があるため、a−BNの状態では使用できない。典型的なh−BNとa−BNのCuKα線による粉末X線回折図を図1と図2に示す。
【0013】
図1から分かるように、h−BNの粉末X線回折図では[002]、[100]、[101]、[102]及び[004]の回折線が顕著である。これに対して図2のa−BNの粉末X線回折図ではh−BNの粉末X線回折図の[100]回折線と[101]回折線の位置にある[100]と[101]回折線が合体したブロードな(半価幅の大きい)回折線と、h−BNの粉末X線回折図の[002]回折線の位置にあるブロードな回折線とがあるのみで、他の回折線は見当らないか、存在したとしてもブロードで存在が不明瞭な弱い回折線しか存在しない。a−BNの構造では硼素と窒素からなる六角網目層が発達しておらず、発達していない微小な六角網目層の積層構造にも規則性がないものである。
【0014】
h−BNの結晶では硼素と窒素からなる発達した六角網目層が・・aa’aa’aa’aa’a・・のパターンで積層した結晶構造を有しており、六角網目層が3層周期で積層したものがr−BNである。他方、六角網目層は発達しているが六角網目層の積層構造に規則性のないものをt−BNという。t−BNの粉末X線回折図の一例を図3に示す。図3から分かるように、この粉末X線回折図ではh−BNの粉末X線回折図の[002]及び[004]回折線に対応する回折線がシャープな回折線となっているが、[100]回折線に対応する回折線が高角度側に裾を引いて広がった形をしていて[101]に対応する回折線が弱く目立たず、[102]に対応する回折線は存在しないか、存在しても非常に弱い。この[102]に対応する回折線は六角網目層が規則的に積層していることによって始めて現れる回折線である。
【0015】
なお、資源・素材学会誌Vol.105(1989)No.2,P201〜204では粉末X線回折図がブロードな回折線しか示さない窒化硼素をt−BNと記載しているが、このような窒化硼素はt−BNと区別してa−BNであるとするのが妥当である。
【0016】
従来の窒化硼素を含む複合セラミックス焼結体の例としては次のようなものが知られている。特開昭60−195059号公報、特開昭60−195060公報及び特開平2−252662号公報にはh−BN粉末を窒化アルミニウムと複合したマシナブル(機械加工性又は切削加工性)で熱伝導率の大きい複合セラミックス焼結体が開示されている。また、特公平5−65467号公報及び特開平1−305861号公報にはa−BN粉末を原料に用いて窒化硼素を窒化アルミニウム、窒化珪素又は炭化珪素と複合した、h−BNを含む高強度で機械加工性が良好な複合セラミックス焼結体が開示されている。
【0017】
また、特開平7−330421号公報には酸化物、窒化物、炭化物等からなる多孔質のセラミックスに硼酸水溶液を含浸して乾燥し、これをアンモニア雰囲気中で加熱して還元かつ窒化し、多孔質焼結体中に窒化硼素(加熱温度からこの段階ではa−BNになっていると推定される)を生成させる。次いでこれを母材の焼結温度で焼結し、焼結と同時にa−BNがh−BNに相転移したh−BN粒子を含む強度が大きい各種の複合セラミックス焼結体を得ている。この方法の場合、比較的多量の窒化硼素を複合させた複合セラミックス焼結体を得るには、含浸、乾燥及び窒化の工程を繰り返し行なう必要があるので煩雑である。
【0018】
上述した各種窒化硼素から高圧下で安定な結晶相であるc−BNとw−BNを除いた窒化硼素の内、t−BNやr−BNについては実験室でごく少量合成された報告が過去にあるのみで(たとえばJournal of Solid State Chemistry Vol.109,No.2,p384−390(1994)参照)、本発明者らの関知する限りにおいて、結晶性t−BN微粉末を原料に使用した複合焼結体、あるいは結晶性t−BNを含有する複合焼結体は未だ知られていない。
【0019】
そこで、本発明者らは、先に出願した特願平9−21052号に生産性に優れた結晶性t−BN微粉末の製造方法を提案した。本発明者らは、さらに、特願平10−152020号において、特願平9−21052号に記載した結晶性t−BN微粉末の有する特徴である、湿気に対して不活性であり、結晶粒子径(一次粒子径と同じ)が細かく、一次粒子の粒径が揃っていて、焼結性が良好な結晶性t−BN微粉末を利用した、安価で有用な複合セラミックス焼結体の製造方法を提案し、加えて、新規な結晶性BN微粉末を用いた高性能複合セラミックス焼結体をも提案した。
【0020】
さらに、本発明者らは、新規な結晶性t−BNを用いた新規なスリーブ及びスリーブ構造を提供せんとするものである。
【0021】
本発明のスリーブ及びその製造方法は、好ましい実施形態において、有効量、特に5重量%以上の結晶性t−BN微粉末をこれ以外のセラミック原料に混合したセラミック混合物を成形して焼結する。結晶性t−BNの有効量は、所要目的に応じて定められるが、およそ0.1重量%以上から、0.5、1、2、3、4の各重量%以上等に設定できる。また焼結は結晶性t−BNが実質的(例えば10%以上)に或いは所定量以上(70%、50%、30%、20%以上等これらの中間を含む任意の量)相転移を生じない条件下において行うことができる。これにより、結晶性t−BN含有複合セラミックス結晶体が得られる。
【0022】
本発明はその好ましい実施の形態において、結晶性t−BNが相転移(特にh−BNへ)する条件下に焼結して、高性能の複合セラミックス焼結体を、得ることができる。その場合、相転移は50%以下ないしそれ以上に制御でき、また実質的に全て相転移させることもできる。
【0023】
結晶性t−BN微粉末を製造する好ましい方法は、前述の特願平9−21052号に記載された結晶性t−BN微粉末の製造方法、すなわち有効量の溶融硼酸アルカリを共存させて窒素等の非酸化性雰囲気中でa−BN粉末を加熱し、a−BNをt−BNに結晶化させる方法である。複合セラミックス焼結体は多くの場合多孔質の焼結体であるが、結晶性t−BN微粉末はサブミクロンの微細な一次粒子からなっているのでh−BN粉末より焼結しやすく、成形するとa−BNを混合した粉末より緻密な成形体になり、焼結すれば緻密な複合焼結体となる。この複合焼結体は気孔率が相当あっても強度が比較的大きい。微細な結晶性t−BN微粒子が焼結時にh−BNに転移しないで焼結体中に残存している場合には微細な結晶性t−BN微粒子の存在によって微細な気孔が形成され、焼結体中の気孔はサブミクロンサイズの微細な平均気孔径を有するものとなる。
【0024】
特願平9−21052号に記載されている結晶性t−BN微粉末の合成方法は、たとえば次の通りである。出発原料に尿素と硼酸及び少量の硼酸アルカリからなる硼素より窒素成分が過剰な混合物を出発原料に用い、硼酸ナトリウムの共存下で加熱して950℃以下で反応させ、a−BNを主体とし硼酸やナトリウムイオンを含むカルメ焼き状の中間生成物を得る。次いでこの中間生成物を1mm以下に粉砕して窒素雰囲気中で約1300℃に加熱し、結晶化させると結晶性t−BNが生成する。この結晶化した反応物を水、特に温純水で洗浄(必要に応じてアルカリ成分の中和洗浄のために酸を用いる)して精製すると、純度が高く、円板状又は球状の形状を有する微細な一次粒子からなる結晶性t−BN微粉末が得られる。結晶性t−BN微粉末の微細な一次粒子は集合してミクロンサイズの二次粒子となっているが、アトリションミルなどで湿式粉砕すれば、微細な一次粒子にまで容易に微粉砕することができる。結晶性t−BN微粉末の一次粒子は、微細な円板状又は球状であることによって微粉砕された混合粉末を成形するときに六角板状のh−BN粒子のように配向しないので、複合焼結体としても熱膨張率の成形時の方向による差異が殆どない焼結体が得られるという利点がある。
【0025】
本発明においては、図3を参照して、h−BNの[004]回折線(図1参照)に対応する回折線の2θの半価幅が0.6°以下と小さくシャープな回折線を示す結晶性の窒化硼素であって、h−BNの[100]、[101]及び[102]回折線に対応する各回折線の占める面積(回折線の強度を意味する)S100、S101及びS102の間にS102/(S100+S101)≦0.02の関係を充たす窒化硼素を結晶性t−BNという。
【0026】
本発明のスリーブの原料とする結晶性t−BN粉末ないし微粉末としては、h−BNの[004]回折線に対応する回折線の2θの半価幅が0.5°以下の結晶性t−BN微粉末を使用するのが好ましい。
【0027】
結晶性t−BN微粉末は前述の製造方法によって高純度のものを製造できる。したがって、セラミックス混合粉末中に含まれる結晶性t−BNの含有量は、結晶性t−BNの含有量が既知のセラミックスの混合粉末を別途調製して複数の標準試料とし、標準試料の粉末X線回折図中の結晶性t−BNの回折線の強度を、粉砕した複合セラミックス焼結体の粉末X線回折図中の結晶性t−BNの回折線の強度と比較すれば求めることができる。
【0028】
結晶性t−BN微粉末を原料に用いる利点は、前述の方法によって従来市販されているh−BN粉末と比べて安価に製造され、結晶性t−BN微粉末の一次粒子が微細であることによってセラミックス混合粉末の成形体が焼結しやすく、多孔質な複合焼結体の場合も強度が大きく、窒化硼素が結晶性t−BNの状態で焼結体中に残留している場合には微細で揃った大きさの気孔を有する複合セラミックス焼結体が得られる点である。
【0029】
また、原料にa−BN粉末を用いる場合と比較すると、結晶性t−BN微粉末はa−BN粉末と比べて湿気などの水分に対して安定であるので焼結体の原料として使いやすく、a−BN粉末を混合したセラミックス混合粉末と比べて密度の大きい成形体が得られ、密度の大きい複合セラミックス焼結体が得られる点である。従来のh−BN粉末を含む複合セラミックス焼結体の場合と同じく、本発明の製造方法による窒化硼素含有複合セラミックス焼結体は、h−BN及び/又は結晶性t−BNを焼結体の内部に含有していることによってヤング率が小さく熱伝導率が大きいので耐熱衝撃性に優れており、固体潤滑性があり、溶融金属に対して優れた耐食性を有し、電気絶縁性に優れている等の好ましい特徴がある。
【0030】
結晶性t−BN微粉末の微粉砕や他のセラミックス粉末との混合、あるいは粉砕を兼ねる混合は分散性のよいアルコールなどを媒体とする湿式のボールミルやアトリションミルによって行なうのが好ましい。複合セラミックス焼結体の原料とするセラミックス混合粉末に混合する窒化硼素粉末は微細である方が成形体の焼結性がよく、前述の製造方法によって得られる結晶性t−BN微粉末の一次粒子は平均粒径が0.4μm以下と微細であるのでこの結晶性t−BN微粉末を混合したセラミックス混合粉末の成形体は焼結性に優れていて好ましい。複合セラミックス焼結体の製造方法としては、無加圧焼結又は加圧焼結のいずれを採用してもよいが、無加圧焼結を採用すれば、製造できる複合焼結体の形状に自由度があり、各種の形状と寸法の複合セラミックス焼結体を安価に製造できる点で好ましい。
【0031】
原料に用いる結晶性t−BN微粉末は通常1450℃以上において所定時間以上に加熱すると高温で安定なh−BN結晶に相転移し、t−BNとh−BNが混在する複合セラミックス焼結体、あるいはt−BNを含まず、h−BNと他のセラミックスとの複合セラミックス焼結体になる。焼結温度が1400℃以下のセラミックス粉末を組み合わせたセラミックス混合粉末を原料とすると、出発原料のセラミックス混合粉末中に配合したのとほぼ同量の結晶性t−BNを含む複合セラミックス焼結体が得られる。
【0032】
成形体の焼成温度を約1450℃、或いはこれ以上(特に1500℃未満の範囲では)とすると焼結時間とともに結晶性t−BNがh−BNに相転移するので、焼結時間によって結晶性t−BNの含有量が変化することになる。さらに焼結温度を高くする(約1500℃以上では特に)と焼結が速やかに進行するが、同時に結晶性t−BNは速やかにh−BNに相転移し、同時に焼結体中に結晶成長したh−BNの結晶粒子が生成する。いずれにしても、最終焼結体におけるBNの所望焼結状態(乱層t−BNのみが実質的に乱層でもt−BNとするか、所定比以下の乱層t−BNとするか)に従って、最高焼結温度は、時間との関係で定めることができる。
【0033】
複合する窒化硼素以外のセラミック原料の配合量としては、強度の大きい複合セラミックス焼結体が得られるように、5〜40重量%、さらに好ましくは、10〜30重量%、或いは10〜20重量%を結晶性t−BN(微粉末)、残部を窒化硼素以外のセラミックス粉末とした混合粉末を原料に用いるのが好ましい。
【0034】
結晶性t−BN粉末ないし微粉末と混合する窒化硼素以外のセラミック原料としては、一般に1450℃程度以下(ないし1430℃、1400℃程度以下)の温度で焼結可能なセラミック原料を用いることができ、粉末に限らず沈澱法、ゾルゲル法、或いはこれらの混合形式、天然又は合成物質いずれも任意に選択して用いることができる。さらにこれらのセラミック原料としては、1450℃以上で焼結されるものを用いることもできる。
【0035】
これらのセラミック原料としては、酸化物、ホウ化物、窒化物、炭化物、けい化物、これらの複合化合物もしくはこれらと酸化物との複合化合物などの一種以上を用いることができる。これらのセラミック原料を例示すると、コージライト、ムライト、ジルコン、ジルコニア、アルミナ、スピネル、窒化珪素(Si34など)、窒化アルミニウム、炭化珪素、硼化ジルコニウム、硼化チタン、サイアロン等を使用できる。
【0036】
これらの内、特に強度の大きい焼結体が得られ、多くの用途を期待できるアルミナ、ジルコニア、窒化珪素又は窒化アルミニウムを組み合わせたセラミック混合原料を用いて複合セラミックス焼結体を得るのが好ましい。難焼結性の非酸化物系セラミックスとの複合セラミックス焼結体を製造する場合は、焼結温度を低くして緻密に焼結できるように所定の(好ましくは非酸化物系セラミックス用の)焼結助剤(各セラミック材料で公知のものを選択できる)を添加して焼結するのが好ましい。
【0037】
アルミナやジルコニア等の1450℃以下で焼結可能なものを窒化硼素以外のセラミック原料に使用すれば、結晶性t−BN微粉末を相転移させないで複合セラミックス焼結体を得ることができる。また、機械加工性(マシナブル又は切削加工性に同じ)を備えた複合セラミックス焼結体を得たい場合には、超硬チップ等による切削加工が容易となるように、結晶性t−BN微粉末を10重量%以上混合したセラミックス混合粉末を原料に用いて複合セラミックス焼結体を製造するのが好ましい。他方、目的とする複合焼結体の密度にもよるが、結晶性t−BN微粉末を35重量%より多く混合したセラミックス混合粉末は緻密に焼結するのが難しく、得られる複合焼結体の強度が小さくなるので、結晶性t−BN微粉末のセラミックス混合粉末への混合量は35重量%以下とするのが好ましい。
【0038】
なお、密度について言うと、結晶性t−BNを用いる場合、約10重量%以下の配合では、実質的に極めて高密度(低気孔率)の焼結体を製造できることが判った。実際に対理論密度比で95%以上、98%以上から99%以上のものも焼結できる。
【0039】
焼結体の気孔率が同じであれば、多孔質の複合セラミックス焼結体の気孔径の小さい方が大きい強度の焼結体となる。また、複合セラミックス焼結体を強度を必要とする構造用部材に使用したり、複合セラミックス焼結体に良好な機械加工性を付与して精度のよい加工をしたい場合には、強度が5kg/mm2以上ある複合セラミックス焼結体とするのが好ましい。焼結体の表面を鏡面に研摩するには、複合セラミックス焼結体を開気孔のない緻密なものとするのが好ましい。なお、気孔率は例えば水銀ポロシメータで測定できる。好ましくは、焼結体の水銀ポロシメータで測定された平均気孔径が1.0μm以下である。
【0040】
また、本発明の好ましい実施の形態においては、焼結体中の結晶性乱層構造窒化硼素粒子の平均結晶粒径が0.5μm以下である。
【0041】
本発明の好ましい実施の形態においては、結晶性乱層構造窒化硼素粒子の出発材料として純度90%以上、残部は主としてB23のものを用いて焼結される。
【0042】
本発明の好ましい実施の形態においては、セラミックス混合粉末に混合された結晶性乱層構造窒化硼素微粉末の一次粒子の粒径が1μm以下であり、一次粒子の平均粒径が0.4μm以下である。
【0043】
本発明のスリーブはその好ましい実施の形態において、高強度を必要とする構造用スリーブ、耐久性のある通気性多孔質溶融金属用鋳型用スリーブ、溶融金属と接触する保護スリーブなどの耐熱衝撃性を必要とするスリーブとして用いられる。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態においては、軸方向に沿って、2段、あるいは3段以上の層を配置する。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態においては、軸方向に沿って、強度、気孔率、耐熱衝撃性が互いに異なるセラミックス質の層を配置する。
【0046】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の一実施例を説明する。なお、以下の実施例は本発明の一実施例であって、本発明を限定するものではない。
【0047】
まず、本発明の一実施例に係るスリーブに含まれる結晶性乱層構造窒化硼素(以下「結晶性t−BN」という)について説明する
【0048】
[結晶性t−BNの合成]
結晶性乱層構造窒化硼素(以下「結晶性t−BN」という)の微粉末を次のようにして合成した。無水硼酸(B23)3.5kg、尿素((NH22CO)5.3kg、硼砂(Na247・10H2O)0.63kgからなる混合物を出発原料とし、この混合物を直径530mmの蓋付きステンレス鋼製容器に入れ、この反応容器を炉内に入れて250〜500℃、500〜600℃、600〜700℃、700〜800℃、800〜900℃の各段階にそれぞれ10分かけて昇温し、最後は900±1℃に10分間保持して反応させた(合計1時間)。この間100℃を超えたところで水蒸気が噴出し始め、200℃で成分が溶融し始め、ぶくぶくと泡が出てガスの放出を伴って反応が進んだ。350〜400℃まで主に水蒸気を放出し、900℃に10分間保持したところガス(水蒸気及び炭酸ガス)の放出が減少した。
【0049】
この後放冷して反応容器の蓋を開けたところ、反応容器中の混合物はB23が反応を完了してカルメ焼き状の反応物となっていた。このカルメ焼き状の反応物を反応容器中で解砕し、真空吸引して反応容器中から取り出し、粉砕して1mm目の篩を通した。この粉砕した反応物をアルミナ製の蓋付き匣鉢に入れて蓋を閉じ、窒素雰囲気とした電気炉中で1300℃まで10時間かけて昇温し、この温度に2時間保持し、その後放冷した。匣鉢から取り出した粉末を80〜85℃に温めたイオン交換水で洗浄してアルカリ成分と硼酸成分を除き、次いで希塩酸で中和し、さらに温めたイオン交換水で洗浄して乾燥し、純度の高い結晶性t−BN微粉末を得た。この一連の工程による結晶性t−BN微粉末の収量は出発原料10kgに対して約2.8kgであり、出発原料中の仕込み硼素量に対する製造歩留は70%以上であった。なお、結晶性t−BNの純度は水洗の程度により90〜97%以上に亘る。
【0050】
得られた結晶性t−BN微粉末をエタノールを媒体として直径1.2mmのジルコニアビーズを用いるアトリションミル(芦沢鉄工所社製パールミル)によって2時間微粉砕した。微粉砕後の結晶性t−BN微粉末について粒度分布を調べた(堀場製粒度分布アナライザLA−700使用)結果、約95%が1μm以下の微粒子となっており、平均粒径は約0.30μmであった。また、窒素吸着法で測定した粉末の比表面積は12m2/gであった。
【0051】
この結晶性t−BN微粉末のCuKα線による粉末X線回折図を図3に、13300倍に拡大した結晶性t−BN微粉末の顕微鏡写真を図4に、同結晶性t−BN微粉末をアトリションミルで微粉砕後の粒度分布グラフを図5にそれぞれ示す。
【0052】
図3の粉末X線回折図から、h−BNの[004]回折線に対応する回折線は2θの55°にあり、その2θの半価幅は0.47°であり、S102/(S100+S101)の値はほぼゼロであった。また、図4の拡大電子顕微鏡写真から分かるように、この結晶性t−BN微粉末の一次粒子の平均結晶粒径は約0.27μmであり、結晶性t−BN微粉末の一次粒子は円板状又は球状の粒子からなっている。
【0053】
結晶性t−BN微粉の純度は、洗浄の程度により自由にコントロールでき、90%以上〜97%以上さらに98%、99%以上の高純度のものまで得られる。残留分としては、上記の方法で得られる結晶性t−BN微粉はB23を主体とする。従って、所定量の残留B23を含有する結晶性t−BN微粉を用いれば、残留B23が焼結助剤の役割も果たすので、焼結性の一層の増進に資する。
【0054】
次に、本発明の一実施例に係るスリーブの材料となる、以上説明した結晶性t−BN粉末と、他種のセラミックス粉末を原料とする複合セラミックス焼結体について説明する。
【0055】
[純度92%アルミナ−結晶性t−BN複合焼結体:表1参照]
【0056】
[試料1〜5]
結晶性t−BN微粉末(純度90〜97%、残部は主としてB23)と混合するセラミックス粉末にアルミナ粉末(純度92%、他にSiO2、MgOなど8重量%を含む平均粒径3.5μmのマルスゆう薬製)を選び複合セラミックス焼結体を作製した。但し、試料1においては結晶性t−BN配合量をゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細に説明する。
【0057】
すなわち、このアルミナ粉末に水分重量25%とポリアクリル酸アンモニューム塩の解こう剤を固形分0.3重量%添加してボールミルで12時間分散混合して調製した。また上記結晶性t−BN微粉末に水分重量45%重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12時間分散混合して調製した。その後、両者のスラリーを混合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%の混合スラリーとし、各混合スラリーに成形助剤としてワックスバインダー及びポリビニールアルコール樹脂バインダーを固形分3重量%添加して、その後スプレードライヤーを用いて造粒粉を作製した。
【0058】
この造粒粉を金型プレス成形機で、1000kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。この成形体を還元雰囲気中で1480℃で2時間焼結して寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミックス焼結体を得た。
【0059】
得られた各複合焼結体について測定した特性を表1に示した。試料2〜5の各焼結体を粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒化ホウ素粉末はすべて元の結晶性t−BNの状態で焼結体中に残存していた。なお、表1に示した焼結体のかさ密度、気孔率、吸水率はアルキメデス法で測定し、曲げ強度はJIS1601に規定する方法で測定した。また、硬度はビッカース硬度計を用いて測定した。
【0060】
[試料6、7]
比較のため、同じアルミナ粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中で、4時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平均粒径4.8μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面積12m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及びh−BN粉末(平均粒径0.5μm、比表面積25m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞれ15重量%混合した混合スラリーを実施例1と同様にして複合セラミックス焼結体を作り(試料6、7)、その特性を表1に併せて示した。
【0061】
なお、超硬バイトで切削加工を試みたところ、試料2〜7のいずれの複合セラミックス焼結体についても良好な機械加工性があることが認められた。
【0062】
【表1】

Figure 0003793644
【0063】
[純度99%アルミナ−結晶性t−BN複合焼結体:表2参照]
【0064】
[試料8〜12]
結晶性t−BN微粉末と組み合わせて複合するセラミックス粉末にアルミナ粉末(純度99.99%、平均粒径0.4μmの大明化学製)を選び複合セラミックス焼結体を試作した。但し、試料8においては結晶性t−BN配合量をゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細に説明する。
【0065】
すなわち、このアルミナ粉末に水分重量25%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を固形分0.6重量%添加してボールミルで12時間分散混合して調製した。また、上記結晶性t−BN微粉末に水分重量45重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12時間分散混合して調製した。その後、両者のスラリーを混合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%混合スラリーとし、各混合スラリーに成形助剤としてワックスバインダー及びポリビニールアルコール樹脂バインダーを固形分3重量%添加して、その後スプレードライヤーを用いて造粒粉を作製した。
【0066】
この造粒粉末を金型プレス成形機で、1000kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。この成形体を還元雰囲気中で1350℃で2時間焼結して寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミックス焼結体を得た。
【0067】
得られた各複合焼結体について測定した特性を表2にまとめて示した。試料9〜12の各焼結体を粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒化ホウ素粉末はすべて元の結晶性t−BNの状態で焼結体中に残存していた。
【0068】
[試料13、14]
比較のため、同じアルミナ粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中で、4時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平均粒径4.8μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面積12m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及びh−BN粉末(平均粒径約0.5μm、比表面積25m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞれ15重量%配合した混合スラリーを実施例1と同様にして複合セラミックス焼結体を作り(試料13、14)、その特性を表2に併せて示した。
【0069】
なお、超硬バイトで切削加工を試みたところ、試料9〜14のいずれの複合セラミックス焼結体についても良好な機械加工性があることが認められた。
【0070】
【表2】
Figure 0003793644
【0071】
[窒化珪素−結晶性t−BN複合焼結体:表3参照]
【0072】
[試料15〜19]
結晶性t−BN微粉末と組み合わせて複合するセラミックス粉末にα窒化けい素粉末(平均粒径0.6μm、比表面積22m2/gのY23を6重量%とAl23を4重量%を含む秩父小野田製の窒化けい素粉末)を選び複合セラミックス焼結体を試作した。但し、試料15においては結晶性t−BN配合量をゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細に説明する。
【0073】
すなわち、この窒化けい素粉末に水分重量25%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を固形分0.5重量%添加してボールミルで12時間分散混合して調製した。また、上記結晶性t−BN微粉末に水分重量45重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12時間分散混合して調製した。
【0074】
その後、両者のスラリーを混合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%の混合スラリーとし、各混合スラリーに成形助剤としてワックスバインダー及びポリビニールアルコール樹脂バインダーを固形分3重量%添加して、その後スプレードライヤーを用いて造粒粉を作製した。
【0075】
この造粒粉を金型プレス成形機で、1000kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。この成形体を窒素雰囲気中で1800℃で5時間焼結して寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミックス焼結体を得た。
【0076】
得られた各複合焼結体について測定した特性を表3に併せて示した。また実施例16〜19の各焼結体を粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒化ホウ素粉末はすべてh−BN結晶に相転移していることが分かった。
【0077】
[試料20、21]
比較のため、同じ窒化けい素粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中で、4時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平均粒径約4.8μm、平均一次粒子径約1.5μm、比表面積12m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及びh−BN粉末(平均粒径約0.5μm、比表面積25m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞれ15重量%配合した混合スラリーを試料1と同様にして複合セラミックス焼結体を作り(試料20、21)、その特性を表3に併せて示した。
【0078】
なお、超硬バイトで切削加工を試みたところ、試料16〜21のいずれの複合セラミックス焼結体についても良好な機械加工性があることを認められた。
【0079】
【表3】
Figure 0003793644
【0080】
[窒化アルミニウム−結晶性t−BN複合焼結体:表4参照]
【0081】
[試料22〜26]
結晶性t−BN微粉末と組み合わせて複合するセラミックス粉末に窒化アルミニウム粉末(平均粒径1.4μm、比表面積2.7m2/gのY23を5重量%含むダウケミカル製のアルミニウム粉末)を選び、複合セラミックス焼結体を試作した。但し、試料22においては結晶性t−BN配合量をゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細に説明する。
【0082】
すなわち、この窒化アルミニウム粉末にエチルアルコール重量45%添加してボールミルで12時間分散混合して調製した。また、上記結晶性t−BN微粉末にエチルアルコール重量45重量%添加してボールミルで12時間分散混合して調製した。その後、両者のスラリーを混合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%の混合スラリーとし、各混合スラリーに成形助剤としてポリビニールブチラール樹脂バインダーを固形分3重量%添加して、その後スプレードライヤーを用いて造粒粉を作製した。
【0083】
この造粒粉末を金型プレス成形機で、1000kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。この成形体を窒素雰囲気中で1800℃で5時間焼結して寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミックス焼結体を得た。得られた各複合焼結体について測定した特性を表4に示した。また試料23〜26の各焼結体を粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒化ホウ素粉末はすべてh−BN結晶に相転移していることが分かった。
【0084】
比較のため、同じ窒化アルミニウム粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中で、4時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平均粒径4.8μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面積12m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及びh−BN粉末(平均粒径0.5μm、比表面積25m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞれ15重量%配合した混合スラリーを実施例1と同様にして複合セラミックス焼結体を作り(試料27、28)、その特性を表4に併せて示した。
【0085】
なお、超硬バイトで切削加工を試みたところ、試料23〜28のいずれの複合セラミックス焼結体についても良好な機械加工性があることを認めた。
【0086】
【表4】
Figure 0003793644
【0087】
なお、上記の試料1〜28の内、試料2〜5、試料9〜12、試料16〜19、及び試料23〜26は、原料中に結晶性t−BNが含まれる。一方、試料1、試料8、試料15及び試料22は、原料中に元から結晶性t−BNが配合されていない。また、試料6、7、試料13、14、試料20、21及び試料27、28においては、予備熱処理によって、結晶性t−BNをh−BNに転移した原料粉末を用いているため、焼結体中には結晶性t−BNが含まれない。
【0088】
上記表1〜4に示した結果から、本発明による結晶性t−BN微粉末を混合して焼結した複合セラミックス焼結体は、h−BN粉末を混合して焼結した複合セラミックス焼結体と比較して焼結性がよく、曲げ強度が大きいことが分かる。
【0089】
また、窒化硼素(結晶性t−BN)を20重量%複合した焼結体について熱膨張率を測定したところ、結晶性t−BN微粉末を混合して焼結した複合セラミックス焼結体の厚さ方向と厚さに直角な方向の熱膨張率の比はほぼ1であり、成形時の加圧方向による方向性がの差異が殆どないことが分かった。また、窒化珪素を含有することによって、特に高温での強度が向上する。これらの性質は、高温の溶湯が断続的に流れるようなスリーブとして、好ましい性質である。
【0090】
また、表1〜表4を参照して、結晶性t−BNの配合量が少ないほど、気孔率の低い緻密な焼結体が得られ、強度が高くなり、一方、結晶性t−BNの配合量が多いほど気孔率が高く、断熱性ないし保温性に優れ、熱膨張率が等方性であり、耐熱衝撃性の高い焼結体が得られることが分かる。
【0091】
また、図6に、表3に示した結晶性t−BN微粉末と窒化珪素粉末とを混合した粉末を焼結した窒化珪素質BN焼結体と同様の方法で作製した窒化珪素質BN焼結体における、原料中の結晶性t−BNの含有量と、焼結体中の気孔率の関係を示す。図6中、下方の折れ線が、同じBN含有量の焼結体のうち最小の気孔率を示し、上方の折れ線が、同じBN含有量の焼結体のうち最大の気孔率を示す。
【0092】
図6より、結晶性t−BN含有量を変化させることによって、焼結体の気孔率を制御可能であることが分かる。例えば、結晶性t−BN含有量の設定によって、ダイカストマシンのプランジャスリーブ用材料として、ガス抜け特性などを最適化できることが分かる。
【0093】
なお、結晶性t−BN微粉末は非常に細かい結晶であり、一般に凝集していることが多い。したがって、成形の原料調製過程で、いかに凝集紛体を分散してマトリクスとなる原料と均一に混合するかが最終的な焼結体特性に大きく影響してくる。本発明の製造工程において、混合する粉体を個々に均一分散する処理をすることにより特性が大きく変わることを留意しておく必要がある。このようにして従来のh−BNを用いた場合よりも、所定強度を達するために、より多量のBN成分を焼結体に含有させることができる。一方、同じ気孔率であっても組織の緻密化と高強度化を達成することができる。
【0094】
次に、本発明の基礎となる発明の実施例に係るスリーブを説明する。このスリーブは、内筒が一層構造の窒化珪素質BN焼結体の一層構造であり、外筒がメタルスリーブからなる。以下、このスリーブの製造方法及び構造を説明する。
【0095】
表3に示した上述の試料23と同様の焼結体を材料として、ダイカストマシンのプランジャスリーブを作製した。図7は、本発明の基礎となる発明の実施例に係るスリーブを内筒に用いたプランジャスリーブの構造を示す斜視図であり、図8(A)は図7のプランジャスリーブの軸方向断面図であり、図8(B)は図7のプランジャスリーブの側面図である。
【0096】
図7、図8(A)及び図8(B)を参照して、プランジャスリーブ100は、本発明の基礎となる発明の実施例に係るスリーブからなる薄肉の内筒200と、内筒200が嵌挿された耐熱鋼製の外筒300からなる。内筒200は機械的加工性がよく寸法精度が高く、熱膨張率の等方性により耐熱衝撃性が高いため、焼きばめせずに内筒200と外筒300を一体化することができる。内筒200と外筒300の一端部には、溶湯を導入するための孔400が開けられている。プランジャスリーブ100の他端部にはフランジが形成され、ダイカストマシンのプラテンに取り付けられる。このプラテンは、固定ダイに当接し、互いに型締めされた固定ダイと可動ダイの間の鋳型に、プランジャスリーブ100内をストロークするプランジャヘッドによって押し出された溶湯が供給される。
【0097】
[ダイカスト試験]
以上説明したプランジャスリーブを適用したダイカストマシンを用いて、溶湯温度を下記のように代えて、アルミニウム合金を鋳造した。プランジャスリーブ100(図7参照)の寸法は、外径150φ×内径80φ×長さ528L、内筒200(図8(A)参照)の厚さを10mmtとした。また、比較のため、耐熱鋼製のメタルスリーブ単層のプランジャスリーブを用いて、同様に鋳造を行った。鋳造条件は下記のとおりである。
【0098】
材質:ADC10、溶湯温度:650〜710℃、潤滑剤:黒鉛含有潤滑剤。
【0099】
[評価結果]
表5に、本発明の一実施例に係るスリーブを用いたプランジャスリーブと、比較例に係る耐熱鋼製メタルスリーブの評価結果を示す。なお、表5中の局部加圧とは、鋳造品の密度と寸法精度向上を図るために、型キャビティ内に溶湯が凝固する寸前に加圧中子を挿入するものである。
【0100】
【表5】
Figure 0003793644
【0101】
表5より、本実施例に係る結晶性t−BN複合焼結体製の内筒を備えたプランジャスリーブを用いたダイカストマシンによる製品の方が、3点曲げ強度が優れていることが分かる。さらに、断熱性がよく、したがって溶湯の保温性も高いことが分かる。
【0102】
また、得られた製品の破断面チル層を観察した結果、結晶性t−BN複合焼結体製の内筒を備えたプランジャスリーブを用いたダイカストマシンによる製品の方が、均質な破断面となっていることが分かった。
【0103】
また、このプランジャスリーブ用いて耐久試験を行った結果、5000ショットでスリーブ内周面の摩耗がわずか4μmであった。これは、このプランジャスリーブの内筒の潤滑性、耐溶損性が優れていることを示している。
【0104】
なお、結晶性t−BN複合焼結体の内筒の一端又は両端に、組立時又は運搬時の取り扱いの容易性を考慮して、金属製のリングを取り付けてもよい。下記の実施例においても同様である。
【0105】
次に、本発明の一実施例に係る軸方向に複層構造を有するスリーブを説明する。このスリーブは、上述の表1〜4に示した、結晶性t−BN微粉末と他種のセラミック粉末を焼結してなるBN複合焼結体からなるものである。そして、特に、ダイカストマシンのプランジャスリーブに適用されるものである。
【0106】
図9は、本発明の一実施例に係る軸方向に2層構造を有するスリーブの軸方向断面図である。
【0107】
図9を参照して、このスリーブは、高温の溶湯がへ導入される上流部に、BN含有率が高いBN高含有率層1を配し、下流部にBN含有率が低いBN低含有率層2を配し、両層1,2を軸方向に接合したものである。なお、両層1,2は、接着、締結などの方法によらず、BN含有率が段階的に異なる成形体を一体焼成により接合することもでき、或いは、連続的(傾斜的)にBN含有率が異なる成形体を焼成して得ることもできる。
【0108】
BN高含有率層は、例えば、上述の表3を参照して、気孔度が高く、断熱性ないし保温性に優れ、また、熱膨張に関してより等方性が強いため、耐熱衝撃性が高い。一方、BN低含有率層は、同様に表3を参照して、気孔度が低く、緻密であるため、強度が高いという特性を有する。
【0109】
よって、高温の溶湯が導入されるスリーブの上流部に耐熱衝撃性の高いBN高含有率層1を配し、溶湯を金型に押し出す際に高い圧力が加わる下流部に高強度のBN低含有率層2を配することにより、耐熱衝撃性と強度のバランスが優れたスリーブが提供され、加えて溶湯温度、押し出し圧力などに関する鋳造条件の制限を緩和される。
【0110】
以上説明した軸方向に2層構造を有するスリーブを内筒として、メタル製などの外筒スリーブに嵌挿してもよい。図10は、図8に示したBN高含有率層1とBN低含有率層2を軸方向に接合した内筒スリーブを、外筒となるメタルスリーブ3内に嵌挿したものである。
【0111】
次に、本発明の他の実施例に係る軸方向に3層構造を有するスリーブを説明する。
【0112】
図11は、本発明の他の実施例に係る軸方向に3層構造を有するスリーブの軸方向断面図である。
【0113】
図11を参照して、このスリーブは、高温の溶湯がへ導入される上流部に、BN含有率が高いBN高含有率層10を配し、中間部にBN中含有率層11、下流部にBN含有率が低いBN低含有率層12を配し、3層10,11,12を軸方向に互いに接合したものである。斯くして、さらに、強度と耐熱衝撃性のバランスが改善される。
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、断熱性ないし保温性が高く、強度と耐熱衝撃性のバランスが優れたスリーブが提供される。本発明によるスリーブは、ダイカストマシンのプランジャスリーブとして有用であり、溶湯温度、溶湯の押し出し圧力などに関する鋳造条件の制限を緩和するものである。
【0115】
また、本発明は、新規な結晶性乱層構造窒化硼素の用途を開発するものである。この新規な結晶性乱層構造窒化硼素を用いた本発明によるスリーブは、断熱性ないし保温性が高く、強度が高く、熱膨張が等方性で耐熱衝撃性が高く、潤滑性がよく、ガス抜け性がよく、溶融金属に対して濡れにくく、機械加工性がよい、という特性を有する。このようなスリーブは、ダイカストマシンのプランジャスリーブ用材料としてきわめて優れた特性を有するものであって、鋳造品における欠陥の発生が減少されると共に、断熱性の高さにより作業環境温度が低下される。
【0116】
上記特性が得られる理由は、上記スリーブが、結晶性t−BN粉末、又はそれと他種のセラミックス粉末を原料粉末として用いるためである。詳細には、結晶性t−BN粉末の一次粒子が微細な結晶粒子であること、結晶性t−BN粉末が乱層構造を有することによって、このスリーブは、規則的なh−BN粉末を原料粉末に用いた場合より焼結性がよく、強度が高く、熱膨張の方向性が小さくなる。
【0117】
さらに、焼結体中に結晶性t−BNが相転移しないでとどまっている限りにおいて結晶性t−BNは微細な結晶粒子の状態を保持しており、これによって焼結体中の気孔も微細になる。また、焼結体の組織が微細であることによって強度が大きい焼結体になる。これは、結晶性t−BNが焼結過程でh−BNに変化する場合にもほぼ妥当する。このように、気孔が微細に分散していることによって、ガス抜け性が向上する。
【0118】
さらに、上記スリーブは、従来のh−BN粉末を原料に用いた複合セラミックス焼結体にも勝る優れた機械加工性(切削加工性)、熱伝導性、電気絶縁性、耐熱衝撃性等の他、溶融金属に対する濡れにくさと耐食性等の好ましい特性を兼備している。
【0119】
このような好ましい特性を有する上記スリーブは、無加圧焼結によって製造できる。前述した結晶性t−BN微粉末の製造技術が確立されたことによって従来より格段に安価に高純度の結晶性t−BN微粉末を調達できるようになった。
【0120】
上記スリーブは、機械加工性がよいため、これを用いて複雑な形状の高精度のスリーブを安価に提供できる。また、本発明によるスリーブは、高強度を必要とする構造用スリーブ、耐久性のある通気性多孔質溶融金属用鋳型用スリーブ、溶融金属と接触する保護スリーブなどの耐熱衝撃性を必要とするスリーブ用の材料として好適である。結晶性t−BN(或いは結晶性t−BNに由来する微細分散h−BN)の含有により複合セラミックス焼結体に高い滑り特性を与えることができ、この特性を任意の所望値に制御、調節することもできる。また、本発明は溶湯を保持又は流通させるための容器や給湯管(図12参照)にも好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の典型的なh−BN粉末の粉末X線回折図である。
【図2】従来のa−BN粉末の粉末X線回折図である。
【図3】本発明の一実施例に係るスリーブの原料として用いられる結晶性t−BN微粉末の粉末X線回折図である。
【図4】図3の結晶性t−BN微粉末の電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の一実施例に係るスリーブの原料として用いられる結晶性t−BN微粉末のアトリションミルによる粉砕後の粒度分布を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施例に係るスリーブの材料となる焼結体において、原料中の結晶性t−BNの含有量と、焼結体中の気孔率の関係を説明するためのグラフである。
【図7】本発明の基礎となる発明の実施例に係るプランジャスリーブの構造を示す斜視図である。
【図8】(A)は図7のプランジャスリーブの断面図であり、(B)は同側面図である。
【図9】本発明の一実施例に係る軸方向に2層構造を有するスリーブの軸方向断面図である。
【図10】図9のスリーブを外筒に嵌挿しスリーブの軸方向断面図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る軸方向に3層構造を有するスリーブの軸方向断面図である。
【図12】本発明の応用例に係る給湯管を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 BN高含有率層
2 BN低含有率層
3 メタルスリーブ
10 BN高含有率層
11 BN中含有率層
12 BN低含有率層
100 プランジャスリーブ
200 結晶性t−BN粉末複合焼結体製内筒
300 耐熱鋼製外筒
400 孔[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
  The present invention is a sleeve.And die casting machineIn particular, the present invention relates to a plunger sleeve of a die casting machine.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, as a plunger sleeve of a die-cast machine, Japanese Patent Laid-Open No. 7-46807 discloses an outer cylinder in which an inner cylinder is formed from a porous body such as cermet in order to vent gas from a molten metal, and this inner cylinder is fitted. Has been proposed which is formed from a cast metal material. The inner cylinder and the outer cylinder are integrated by shrink fitting.
[0003]
Japanese Patent Laid-Open No. 8-243711 discloses a single-layer cylindrical member made of tool steel at the upstream portion, a porous portion at the inner peripheral portion at the downstream portion, and a radial multi-layer cylindrical member at the outer peripheral portion made of a metal body. The plunger sleeve which joined the single layer cylindrical member and the radial direction multilayer member in the axial direction is disclosed.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, the heat retaining property or heat insulating property of the plunger sleeve of the die cast machine proposed in the above-mentioned Japanese Patent Laid-Open No. 8-243711 does not necessarily satisfy the user, and causes a product defect due to a decrease in the temperature of the molten metal. There is a point. In addition, the metal outer cylinder may be overheated.
[0005]
Also, in the plunger sleeve proposed in the above-mentioned JP-A-8-243711, in which the single-layer cylindrical member and the radial multilayer member are joined in the axial direction, a metal single-layer cylindrical member is used in the upstream portion. Therefore, there are problems as described above. Furthermore, in the downstream multi-layer member, the strength and thermal shock resistance are not sufficient, and the casting conditions are limited.
[0006]
  An object of the present invention is to provide a sleeve having high heat insulation or heat retention and excellent balance between strength and thermal shock resistance.In addition, an object of the present invention is to provide a die casting machine using the sleeve.Another object of the present invention is to develop a new crystalline turbostratic boron nitride application.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
  The sleeve according to the invention is,axisAlong the directionThe content of crystalline boron layer boron nitride isA plurality of different layers are provided.The die casting machine according to the present invention uses the sleeve as a plunger sleeve which is a flow path for injecting molten metal into the mold.
[0008]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, preferred embodiments of the present invention will be described.
[0009]
  First, in the preferred embodiment of the present invention, various types of ceramics can be used as the sleeve material. In particular, composite ceramics containing boron nitride, especially crystalline turbulent layer nitriding.boronA composite ceramic containing fine powder as a sintering raw material is used.
[0010]
  First, crystal turbulent layer nitridingboronA novel sintered body made from the above and a method for producing the same will be described. In addition, the polymorph of boron nitride will be described.
[0011]
Boron nitride (BN) is a compound composed of boron and nitrogen, but there are polymorphs having substantially the same crystal structure as carbon. That is, amorphous boron nitride (hereinafter referred to as “a-BN”) and hexagonal boron nitride (hereinafter referred to as “h-BN”) having a structure in which hexagonal network layers are laminated in a two-layer cycle are used as boron nitride. ), Rhombohedral boron nitride (hereinafter referred to as “r-BN”) having a structure in which hexagonal meshes are laminated in a three-layer cycle, and turbulent structure nitriding having a structure in which hexagonal mesh layers are randomly laminated. Boron (hereinafter referred to as “t-BN”), zinc blend type boron nitride (hereinafter referred to as “c-BN”) and wurtzite type boron nitride (hereinafter referred to as “w-BN”), which are stable phases under high pressure, Are known.
[0012]
Among the above polymorphs of boron nitride, only h-BN and c-BN are recognized as practical materials as conventional materials. h-BN is a stable phase that is superior in oxidation resistance to graphite, and the synthesized crystalline h-BN powder particles usually have a hexagonal plate-like self-shape. , Mechanical workability (cutting workability) and solid lubricity, but unlike graphite, it is white and has excellent insulation. On the other hand, since a-BN is unstable and hygroscopic, it cannot be used in the state of a-BN. The powder X-ray diffraction patterns of typical h-BN and a-BN with CuKα rays are shown in FIGS.
[0013]
As can be seen from FIG. 1, diffraction lines [002], [100], [101], [102] and [004] are prominent in the powder X-ray diffraction pattern of h-BN. On the other hand, in the powder X-ray diffraction diagram of a-BN in FIG. 2, [100] and [101] diffraction at the positions of the [100] diffraction line and the [101] diffraction line of the powder X-ray diffraction diagram of h-BN. There is only a broad diffraction line with a combined line and a broad diffraction line at the position of the [002] diffraction line in the powder X-ray diffraction diagram of h-BN. There are only weak diffraction lines that are broad and unclear even if they exist. In the structure of a-BN, the hexagonal network layer composed of boron and nitrogen is not developed, and the laminated structure of the minute hexagonal network layer that is not developed does not have regularity.
[0014]
The crystal of h-BN has a crystal structure in which developed hexagonal network layers composed of boron and nitrogen are laminated in a pattern of aa'aa'aa'aa'a ... The layer laminated with is r-BN. On the other hand, a hexagonal network layer that has developed but has no regularity in the laminated structure of the hexagonal network layer is referred to as t-BN. An example of the powder X-ray diffraction pattern of t-BN is shown in FIG. As can be seen from FIG. 3, in this powder X-ray diffraction diagram, diffraction lines corresponding to [002] and [004] diffraction lines of the h-BN powder X-ray diffraction diagram are sharp diffraction lines. 100] Diffraction lines corresponding to [102] do not exist because diffraction lines corresponding to [101] are weak and inconspicuous because the diffraction lines corresponding to the diffraction lines are widened with a skirt on the high angle side. Even if it exists, it is very weak. The diffraction line corresponding to [102] is a diffraction line that appears only when the hexagonal mesh layers are regularly stacked.
[0015]
The Journal of Resources and Materials, Vol. 105 (1989) no. 2, P201 to 204 describe boron nitride whose powder X-ray diffraction diagram shows only a broad diffraction line as t-BN. Such boron nitride is a-BN as distinguished from t-BN. It is reasonable to do.
[0016]
The following are known examples of conventional composite ceramic sintered bodies containing boron nitride. JP-A-60-195059, JP-A-60-195060 and JP-A-2-2526262 are machinables (machine workability or cutting workability) in which h-BN powder is combined with aluminum nitride and thermal conductivity. A large composite ceramic sintered body is disclosed. JP-B-5-65467 and JP-A-1-305861 disclose high strength containing h-BN in which boron nitride is combined with aluminum nitride, silicon nitride or silicon carbide using a-BN powder as a raw material. A composite ceramic sintered body having good machinability is disclosed.
[0017]
In JP-A-7-330421, porous ceramics made of oxide, nitride, carbide, etc. are impregnated with an aqueous boric acid solution, dried, heated and reduced and nitrided in an ammonia atmosphere, and porous. Boron nitride (presumed to be a-BN at this stage from the heating temperature) is produced in the sintered material. Next, this was sintered at the sintering temperature of the base material, and various composite ceramic sintered bodies having high strength containing h-BN particles in which a-BN phase changed to h-BN simultaneously with sintering were obtained. In the case of this method, in order to obtain a composite ceramic sintered body in which a relatively large amount of boron nitride is combined, it is necessary to repeat the steps of impregnation, drying and nitriding, which is complicated.
[0018]
Of the boron nitrides excluding c-BN and w-BN, which are stable crystal phases under high pressure, from the various boron nitrides mentioned above, reports on very small amounts of t-BN and r-BN have been synthesized in the laboratory. (See, for example, Journal of Solid State Chemistry Vol. 109, No. 2, p384-390 (1994)), and as far as the present inventors know, crystalline t-BN fine powder was used as a raw material. A composite sintered body or a composite sintered body containing crystalline t-BN is not yet known.
[0019]
Therefore, the present inventors have proposed a method for producing crystalline t-BN fine powder having excellent productivity in Japanese Patent Application No. 9-21052 filed earlier. Further, the inventors of the present invention have a characteristic that the crystalline t-BN fine powder described in Japanese Patent Application No. 9-21052 is inactive in moisture and is crystalline in Japanese Patent Application No. 10-152020. Production of inexpensive and useful composite ceramic sintered body using crystalline t-BN fine powder with fine particle size (same as primary particle size), uniform primary particle size and good sinterability A method was proposed, and in addition, a high-performance composite ceramic sintered body using a novel crystalline BN fine powder was also proposed.
[0020]
Furthermore, the present inventors intend to provide a novel sleeve and sleeve structure using a novel crystalline t-BN.
[0021]
In a preferred embodiment, the sleeve of the present invention and the method for producing the sleeve are formed by sintering a ceramic mixture in which an effective amount, in particular, 5% by weight or more of crystalline t-BN fine powder is mixed with other ceramic raw materials. The effective amount of crystalline t-BN is determined according to the required purpose, but can be set from about 0.1% by weight or more to 0.5%, 1, 2, 3 or 4% by weight or more. In addition, sintering causes a phase transition in which crystalline t-BN is substantially (for example, 10% or more) or more than a predetermined amount (any amount including the intermediate such as 70%, 50%, 30%, 20% or more). Can be performed under no conditions. Thereby, a crystalline t-BN-containing composite ceramic crystal body is obtained.
[0022]
In the preferred embodiment of the present invention, high-performance composite ceramic sintered body can be obtained by sintering under the condition that crystalline t-BN undergoes phase transition (particularly to h-BN). In that case, the phase transition can be controlled to 50% or less, or substantially all of the phase transition can be performed.
[0023]
A preferred method for producing the crystalline t-BN fine powder is a method for producing the crystalline t-BN fine powder described in the above-mentioned Japanese Patent Application No. 9-21052, that is, nitrogen in the presence of an effective amount of molten alkali borate. A-BN powder is heated in a non-oxidizing atmosphere such as a to crystallize a-BN into t-BN. In many cases, the composite ceramic sintered body is a porous sintered body, but the crystalline t-BN fine powder is composed of fine sub-micron primary particles, so that it is easier to sinter and form than the h-BN powder. Then, it becomes a denser compact than the powder mixed with a-BN, and if it is sintered, it becomes a dense composite sintered body. This composite sintered body has a relatively high strength even if the porosity is considerable. When fine crystalline t-BN fine particles remain in the sintered body without being transferred to h-BN at the time of sintering, fine pores are formed due to the presence of fine crystalline t-BN fine particles. The pores in the aggregate have a fine average pore size of submicron size.
[0024]
The method for synthesizing the crystalline t-BN fine powder described in Japanese Patent Application No. 9-21052 is, for example, as follows. The starting material is a mixture of urea, boric acid, and a small amount of alkali borate, which contains an excess of nitrogen components. The mixture is heated in the presence of sodium borate and reacted at 950 ° C. or lower, and boric acid mainly composed of a-BN. And a calme-baked intermediate product containing sodium ions. Next, this intermediate product is pulverized to 1 mm or less, heated to about 1300 ° C. in a nitrogen atmosphere, and crystallized to produce crystalline t-BN. When this crystallized reaction product is purified by washing with water, particularly warm pure water (if necessary, an acid is used for neutralization washing of the alkali component), it is highly pure and has a fine disk shape or spherical shape. Crystalline t-BN fine powder composed of primary particles can be obtained. Fine primary particles of crystalline t-BN fine powder are aggregated to form micron-sized secondary particles. If wet pulverized with an attrition mill, etc., they can be easily pulverized to fine primary particles. Can do. The primary particles of the crystalline t-BN fine powder are not oriented like the hexagonal plate-like h-BN particles when forming a finely pulverized mixed powder by being a fine disc or spherical. As a sintered body, there is an advantage that a sintered body having almost no difference in the coefficient of thermal expansion depending on the molding direction can be obtained.
[0025]
In the present invention, referring to FIG. 3, the diffraction line corresponding to the [004] diffraction line of h-BN (see FIG. 1) has a half-width of 2θ of 0.6 ° or less and a sharp diffraction line. The area occupied by each diffraction line corresponding to the [100], [101] and [102] diffraction lines of h-BN (meaning the intensity of the diffraction lines) S100, S101 and S102 Boron nitride satisfying the relationship of S102 / (S100 + S101) ≦ 0.02 is referred to as crystalline t-BN.
[0026]
The crystalline t-BN powder or fine powder used as the raw material of the sleeve of the present invention includes a crystalline t having a half-width of 2θ of a diffraction line corresponding to the [004] diffraction line of h-BN of 0.5 ° or less. It is preferred to use -BN fine powder.
[0027]
High-purity crystalline t-BN fine powder can be produced by the aforementioned production method. Therefore, the content of the crystalline t-BN contained in the ceramic mixed powder is determined by separately preparing a mixed powder of ceramics with a known crystalline t-BN content and preparing a plurality of standard samples. It can be obtained by comparing the intensity of the crystalline t-BN diffraction line in the line diffraction diagram with the intensity of the crystalline t-BN diffraction line in the powder X-ray diffraction pattern of the pulverized composite ceramic sintered body. .
[0028]
The advantage of using crystalline t-BN fine powder as a raw material is that it is manufactured at a lower cost than the h-BN powder commercially available by the above-mentioned method, and the primary particles of crystalline t-BN fine powder are fine. If the ceramic mixed powder compact is easily sintered, the porous composite sintered body has high strength, and boron nitride remains in crystalline t-BN in the sintered body. A composite ceramic sintered body having fine and uniform pores is obtained.
[0029]
Compared with the case where a-BN powder is used as a raw material, crystalline t-BN fine powder is more stable than moisture such as moisture than a-BN powder, so it is easy to use as a raw material for a sintered body. Compared with the ceramic mixed powder in which the a-BN powder is mixed, a compact having a higher density is obtained, and a composite ceramic sintered body having a higher density is obtained. As in the case of a conventional composite ceramic sintered body containing h-BN powder, the boron nitride-containing composite ceramic sintered body according to the production method of the present invention is a sintered body containing h-BN and / or crystalline t-BN. Because it has a low Young's modulus and high thermal conductivity, it has excellent thermal shock resistance, solid lubricity, excellent corrosion resistance against molten metal, and excellent electrical insulation. There are preferable characteristics such as being.
[0030]
The fine pulverization of crystalline t-BN powder, mixing with other ceramic powders, or mixing that also serves as pulverization is preferably performed by a wet ball mill or attrition mill using alcohol having good dispersibility as a medium. The finer the boron nitride powder mixed with the ceramic mixed powder used as the raw material of the composite ceramic sintered body, the better the sintered body of the molded body, and the primary particles of the crystalline t-BN fine powder obtained by the above-mentioned manufacturing method. Since the average particle size is as fine as 0.4 μm or less, a ceramic mixed powder compact in which this crystalline t-BN fine powder is mixed is preferable because of its excellent sinterability. As a method for producing a composite ceramic sintered body, either pressureless sintering or pressure sintering may be employed. However, if pressureless sintering is employed, the shape of the composite sintered body that can be produced is obtained. It is preferable in that it has a degree of freedom and can produce composite ceramic sintered bodies of various shapes and dimensions at low cost.
[0031]
Crystalline t-BN fine powder used as a raw material is a composite ceramic sintered body in which t-BN and h-BN coexist in a phase transition to a stable high-temperature h-BN crystal when heated for a predetermined time at 1450 ° C or higher. Alternatively, it is a composite ceramic sintered body of h-BN and other ceramics, which does not contain t-BN. When a ceramic mixed powder obtained by combining ceramic powders having a sintering temperature of 1400 ° C. or lower is used as a raw material, a composite ceramic sintered body containing almost the same amount of crystalline t-BN as that blended in the ceramic mixed powder as a starting material is obtained. can get.
[0032]
When the firing temperature of the molded body is about 1450 ° C. or higher (particularly in the range of less than 1500 ° C.), crystalline t-BN phase changes to h-BN with the sintering time. -BN content will change. When the sintering temperature is further increased (especially at about 1500 ° C. or higher), the sintering proceeds rapidly. At the same time, crystalline t-BN rapidly undergoes phase transition to h-BN, and at the same time, crystal growth occurs in the sintered body. H-BN crystal grains formed. In any case, the desired sintered state of BN in the final sintered body (whether only the turbulent layer t-BN is substantially a turbulent layer or t-BN, or a turbulent layer t-BN having a predetermined ratio or less) Accordingly, the maximum sintering temperature can be determined in relation to time.
[0033]
The compounding amount of the ceramic raw material other than boron nitride is 5 to 40% by weight, more preferably 10 to 30% by weight, or 10 to 20% by weight so that a composite ceramic sintered body having high strength can be obtained. It is preferable to use, as a raw material, a mixed powder in which crystalline t-BN (fine powder) is used and the balance is ceramic powder other than boron nitride.
[0034]
As a ceramic raw material other than boron nitride to be mixed with crystalline t-BN powder or fine powder, a ceramic raw material that can be sintered at a temperature of generally about 1450 ° C. or lower (or about 1430 ° C. or 1400 ° C. or lower) can be used. Not only powders, but also precipitation methods, sol-gel methods, mixed forms thereof, natural or synthetic substances can be arbitrarily selected and used. Furthermore, as these ceramic raw materials, those sintered at 1450 ° C. or higher can also be used.
[0035]
As these ceramic raw materials, one or more of oxides, borides, nitrides, carbides, silicides, composite compounds thereof, or composite compounds of these and oxides can be used. Examples of these ceramic raw materials are cordierite, mullite, zircon, zirconia, alumina, spinel, silicon nitride (SiThreeNFourEtc.), aluminum nitride, silicon carbide, zirconium boride, titanium boride, sialon and the like can be used.
[0036]
Among these, it is preferable to obtain a composite ceramic sintered body using a ceramic mixed raw material in which alumina, zirconia, silicon nitride or aluminum nitride is combined, which can obtain a sintered body having particularly high strength and can be expected to have many uses. In the case of producing a composite ceramic sintered body with a non-sintering non-oxide ceramic, a predetermined (preferably for non-oxide ceramic) is used so that the sintering temperature can be lowered and dense sintering can be performed. It is preferable to sinter by adding a sintering aid (a known material can be selected for each ceramic material).
[0037]
If a material that can be sintered at 1450 ° C. or lower such as alumina or zirconia is used as a ceramic raw material other than boron nitride, a composite ceramic sintered body can be obtained without causing phase transition of the crystalline t-BN fine powder. In addition, when it is desired to obtain a composite ceramic sintered body having machinability (same as machinable or machinability), a crystalline t-BN fine powder is used to facilitate the machining with a carbide tip or the like. It is preferable to produce a composite ceramic sintered body using a ceramic mixed powder in which 10% by weight or more is mixed as a raw material. On the other hand, depending on the density of the target composite sintered body, it is difficult to densely sinter the ceramic mixed powder in which crystalline t-BN fine powder is mixed in an amount of more than 35% by weight. Therefore, the mixing amount of the crystalline t-BN fine powder into the ceramic mixed powder is preferably 35% by weight or less.
[0038]
In terms of density, when crystalline t-BN was used, it was found that a sintered body having a very high density (low porosity) can be produced with a blending of about 10% by weight or less. Actually, those having a theoretical density ratio of 95% or more, 98% or more to 99% or more can be sintered.
[0039]
If the porosity of the sintered body is the same, the smaller the pore diameter of the porous composite ceramic sintered body, the stronger the sintered body. In addition, when the composite ceramic sintered body is used for a structural member that requires strength, or when it is desired to provide a good machinability to the composite ceramic sintered body for high-precision processing, the strength is 5 kg / mm2The composite ceramic sintered body described above is preferable. In order to polish the surface of the sintered body to a mirror surface, it is preferable to make the composite ceramic sintered body dense with no open pores. The porosity can be measured with, for example, a mercury porosimeter. Preferably, the average pore diameter measured with a mercury porosimeter of the sintered body is 1.0 μm or less.
[0040]
In a preferred embodiment of the present invention, the average crystal grain size of the crystalline disordered layered boron nitride particles in the sintered body is 0.5 μm or less.
[0041]
In a preferred embodiment of the present invention, the purity of the crystalline disordered layer boron nitride particles is 90% or more and the balance is mainly B.2OThreeIt is sintered using the thing.
[0042]
In a preferred embodiment of the present invention, the primary particle size of the crystalline turbulent structure boron nitride fine powder mixed with the ceramic mixed powder is 1 μm or less, and the average primary particle size is 0.4 μm or less. is there.
[0043]
In a preferred embodiment, the sleeve of the present invention has a thermal shock resistance such as a structural sleeve that requires high strength, a durable breathable porous molten metal mold sleeve, and a protective sleeve that contacts the molten metal. Used as a required sleeve.
[0044]
In a preferred embodiment of the present invention, two or more layers are arranged along the axial direction.
[0045]
In a preferred embodiment of the present invention, ceramic layers having different strength, porosity, and thermal shock resistance are arranged along the axial direction.
[0046]
【Example】
An embodiment of the present invention will be described below with reference to the drawings. The following examples are only examples of the present invention and do not limit the present invention.
[0047]
First, crystalline disordered layer boron nitride (hereinafter referred to as “crystalline t-BN”) included in a sleeve according to an embodiment of the present invention will be described.
[0048]
[Synthesis of crystalline t-BN]
A fine powder of crystalline boron layered boron nitride (hereinafter referred to as “crystalline t-BN”) was synthesized as follows. Boric anhydride (B2OThree) 3.5 kg, urea ((NH2)2CO) 5.3 kg, borax (Na2BFourO7・ 10H2O) A mixture consisting of 0.63 kg is used as a starting material, and this mixture is put into a stainless steel vessel with a lid having a diameter of 530 mm, and this reaction vessel is put in a furnace to be 250-500 ° C, 500-600 ° C, 600-700. The temperature was raised to 10 ° C., 700 to 800 ° C., and 800 to 900 ° C. over 10 minutes, and finally the reaction was carried out by maintaining the temperature at 900 ± 1 ° C. for 10 minutes (total 1 hour). During this time, water vapor began to spout at a temperature exceeding 100 ° C., components began to melt at 200 ° C., and bubbles burst out and the reaction proceeded with gas release. When water vapor was mainly released from 350 to 400 ° C. and kept at 900 ° C. for 10 minutes, the release of gas (water vapor and carbon dioxide) decreased.
[0049]
Thereafter, the reaction vessel was allowed to cool and the reaction vessel was opened.2OThreeCompleted the reaction and became a carme-like reaction product. The carme-baked reaction product was crushed in a reaction vessel, vacuumed and taken out from the reaction vessel, crushed and passed through a 1 mm sieve. The pulverized reaction product is put in an alumina lidded pot and closed, and the temperature is raised to 1300 ° C. over 10 hours in an electric furnace with a nitrogen atmosphere. This temperature is maintained for 2 hours and then allowed to cool. did. The powder taken out from the mortar is washed with ion exchange water warmed to 80 to 85 ° C. to remove the alkali and boric acid components, then neutralized with dilute hydrochloric acid, further washed with warm ion exchange water and dried. High crystalline t-BN fine powder was obtained. The yield of the crystalline t-BN fine powder by this series of steps was about 2.8 kg with respect to 10 kg of the starting material, and the production yield with respect to the amount of boron charged in the starting material was 70% or more. The purity of crystalline t-BN ranges from 90 to 97% or more depending on the degree of water washing.
[0050]
The obtained crystalline t-BN fine powder was finely pulverized for 2 hours by an attrition mill (Pearl Mill manufactured by Serizawa Iron Works Co., Ltd.) using ethanol as a medium and zirconia beads having a diameter of 1.2 mm. As a result of examining the particle size distribution of the finely pulverized crystalline t-BN powder (using a Horiba particle size distribution analyzer LA-700), about 95% are fine particles of 1 μm or less, and the average particle size is about 0.00. It was 30 μm. The specific surface area of the powder measured by the nitrogen adsorption method is 12 m.2/ G.
[0051]
FIG. 3 shows a powder X-ray diffraction pattern of the crystalline t-BN fine powder by CuKα ray, FIG. 4 shows a micrograph of the crystalline t-BN fine powder magnified 13300 times, and FIG. 4 shows the crystalline t-BN fine powder. FIG. 5 shows the particle size distribution graphs after pulverizing with an attrition mill.
[0052]
From the powder X-ray diffraction diagram of FIG. 3, the diffraction line corresponding to the [004] diffraction line of h-BN is at 55 of 2θ, the half width of 2θ is 0.47 °, and S102 / (S100 + S101 ) Value was almost zero. Further, as can be seen from the enlarged electron micrograph of FIG. 4, the average particle size of the primary particles of the crystalline t-BN fine powder is about 0.27 μm, and the primary particles of the crystalline t-BN fine powder are circular. It consists of plate-like or spherical particles.
[0053]
The purity of the crystalline t-BN fine powder can be freely controlled depending on the degree of washing, and it can be obtained in high purity of 90% to 97% or more, 98% or 99% or more. As the residue, the crystalline t-BN fine powder obtained by the above method is B2OThreeMainly. Therefore, a predetermined amount of residual B2OThreeIf crystalline t-BN fine powder containing is used, residual B2OThreePlays a role of sintering aid, which contributes to further enhancement of sinterability.
[0054]
Next, a composite ceramic sintered body using the above-described crystalline t-BN powder and other types of ceramic powder as a material of the sleeve according to one embodiment of the present invention will be described.
[0055]
[Purity 92% alumina-crystalline t-BN composite sintered body: see Table 1]
[0056]
[Samples 1 to 5]
Crystalline t-BN fine powder (purity 90-97%, balance is mainly B2OThree) And alumina powder (purity 92%, in addition to SiO2)2A composite ceramic sintered body was prepared by selecting Mars Yuyaku Co., Ltd. having an average particle size of 3.5 μm containing 8% by weight of MgO. However, in Sample 1, the amount of crystalline t-BN blended was 0% by weight. Hereinafter, this production method will be described in detail.
[0057]
That is, 25% by weight of water and 0.3% by weight of a polyacrylic acid ammonium peptizer were added to the alumina powder, and the mixture was prepared by dispersing and mixing in a ball mill for 12 hours. Further, 45% by weight of water and 2% by weight of a polycarboxylic acid ammonium salt peptizer were added to the crystalline t-BN fine powder and dispersed and mixed in a ball mill for 12 hours. Thereafter, both the slurries are mixed to obtain mixed slurries containing 0 wt%, 10 wt%, 15 wt%, 20 wt%, and 25 wt% of the crystalline t-BN fine powder. A wax binder and a polyvinyl alcohol resin binder were added as an agent at a solid content of 3% by weight, and then granulated powder was prepared using a spray dryer.
[0058]
This granulated powder is 1000 kg / cm with a die press molding machine.2A molded body was obtained by pressurizing at a molding pressure of. This molded body was sintered in a reducing atmosphere at 1480 ° C. for 2 hours to obtain a composite ceramic sintered body having dimensions of approximately 15 cm × 15 cm × 2 cm.
[0059]
The properties measured for each composite sintered body obtained are shown in Table 1. As a result of pulverizing each sintered body of Samples 2 to 5 and examining by powder X-ray diffraction, all of the composite boron nitride powder remained in the sintered body in the original crystalline t-BN state. The bulk density, porosity, and water absorption of the sintered bodies shown in Table 1 were measured by Archimedes method, and the bending strength was measured by the method specified in JIS1601. The hardness was measured using a Vickers hardness meter.
[0060]
[Samples 6 and 7]
For comparison, h-BN powder obtained by heating the above crystalline t-BN fine powder to the same alumina powder in a nitrogen atmosphere at 1750 ° C. for 4 hours (average particle size: 4.8 μm, average primary particle size: 1. 5μm, specific surface area 12m2/ G of hexagonal plate-like crystal particles) and h-BN powder (average particle size 0.5 μm, specific surface area 25 m)2A composite ceramic sintered body was prepared in the same manner as in Example 1 using a mixed slurry in which 15% by weight of (/ g powder of hexagonal plate-like crystal particles) were mixed (samples 6 and 7). Also shown.
[0061]
In addition, when cutting was attempted with a cemented carbide tool, it was confirmed that any composite ceramic sintered body of Samples 2 to 7 had good machinability.
[0062]
[Table 1]
Figure 0003793644
[0063]
[Purity 99% alumina-crystalline t-BN composite sintered body: see Table 2]
[0064]
[Samples 8 to 12]
Alumina powder (manufactured by Daimei Chemical with a purity of 99.99% and an average particle size of 0.4 μm) was selected as a ceramic powder to be combined with the crystalline t-BN fine powder to produce a composite ceramic sintered body. However, in Sample 8, the crystalline t-BN blending amount was set to zero wt%. Hereinafter, this production method will be described in detail.
[0065]
That is, 25% by weight of water and 0.6% by weight of a polycarboxylic acid ammonium salt peptizer were added to the alumina powder, and the mixture was dispersed and mixed in a ball mill for 12 hours. Further, 45% by weight of water and 2% by weight of a polycarboxylic acid ammonium salt peptizer were added to the above crystalline t-BN fine powder and dispersed and mixed in a ball mill for 12 hours. Thereafter, both slurries are mixed to obtain a mixed slurry of crystalline t-BN fine powder of zero weight%, 10 weight%, 15 weight%, 20 weight%, 25 weight%, and a molding aid for each mixed slurry. A wax binder and a polyvinyl alcohol resin binder were added at a solid content of 3% by weight, and then granulated powder was prepared using a spray dryer.
[0066]
This granulated powder is 1000 kg / cm with a die press molding machine.2A molded body was obtained by pressurizing at a molding pressure of. This molded body was sintered in a reducing atmosphere at 1350 ° C. for 2 hours to obtain a composite ceramic sintered body having dimensions of approximately 15 cm × 15 cm × 2 cm.
[0067]
The properties measured for each of the obtained composite sintered bodies are summarized in Table 2. The sintered bodies of Samples 9 to 12 were pulverized and examined by powder X-ray diffraction. As a result, all of the composite boron nitride powder remained in the sintered body in the original crystalline t-BN state.
[0068]
[Samples 13 and 14]
For comparison, h-BN powder obtained by heating the above crystalline t-BN fine powder to the same alumina powder in a nitrogen atmosphere at 1750 ° C. for 4 hours (average particle size: 4.8 μm, average primary particle size: 1. 5μm, specific surface area 12m2/ G of hexagonal plate-like crystal particles) and h-BN powder (average particle size of about 0.5 μm, specific surface area of 25 m)2A composite ceramic sintered body is prepared in the same manner as in Example 1 (samples 13 and 14), and the characteristics are shown in Table 2. Also shown.
[0069]
In addition, when cutting with a carbide tool was attempted, it was confirmed that any composite ceramic sintered body of Samples 9 to 14 had good machinability.
[0070]
[Table 2]
Figure 0003793644
[0071]
[Silicon nitride-crystalline t-BN composite sintered body: see Table 3]
[0072]
[Samples 15 to 19]
Α-silicon nitride powder (average particle size 0.6 μm, specific surface area 22 m) is combined with ceramic powder combined with crystalline t-BN fine powder.2/ G Y2OThree6% by weight and Al2OThreeWas selected from the group consisting of silicon nitride powder made by Chichibu Onoda and containing 4% by weight. However, in Sample 15, the amount of crystalline t-BN blended was zero weight percent. Hereinafter, this production method will be described in detail.
[0073]
That is, the silicon nitride powder was prepared by adding a water weight of 25% and a polycarboxylic acid ammonium salt peptizer in a solid content of 0.5% by weight, and dispersing and mixing in a ball mill for 12 hours. Further, 45% by weight of water and 2% by weight of a polycarboxylic acid ammonium salt peptizer were added to the above crystalline t-BN fine powder and dispersed and mixed in a ball mill for 12 hours.
[0074]
Thereafter, both the slurries are mixed to obtain mixed slurries containing 0 wt%, 10 wt%, 15 wt%, 20 wt%, and 25 wt% of the crystalline t-BN fine powder. A wax binder and a polyvinyl alcohol resin binder were added as an agent at a solid content of 3% by weight, and then granulated powder was prepared using a spray dryer.
[0075]
This granulated powder is 1000 kg / cm with a die press molding machine.2A molded body was obtained by pressurizing at a molding pressure of. This molded body was sintered in a nitrogen atmosphere at 1800 ° C. for 5 hours to obtain a composite ceramic sintered body having dimensions of approximately 15 cm × 15 cm × 2 cm.
[0076]
Table 3 shows the characteristics measured for each of the obtained composite sintered bodies. Moreover, as a result of grind | pulverizing each sintered compact of Examples 16-19 and investigated by powder X-ray diffraction, it turned out that all the compound boron nitride powder has phase-transformed to the h-BN crystal | crystallization.
[0077]
[Samples 20, 21]
For comparison, h-BN powder (average particle diameter of about 4.8 μm, average primary particles) obtained by heating the crystalline t-BN fine powder to the same silicon nitride powder in a nitrogen atmosphere at 1750 ° C. for 4 hours. Diameter about 1.5μm, specific surface area 12m2/ G of hexagonal plate-like crystal particles) and h-BN powder (average particle size of about 0.5 μm, specific surface area of 25 m)2A composite ceramic sintered body is prepared in the same manner as in Sample 1 (Samples 20 and 21) using a mixed slurry containing 15 wt% of hexagonal plate-like crystal particles / g), and the characteristics are shown in Table 3. Showed.
[0078]
In addition, when cutting with a carbide tool was attempted, it was confirmed that any composite ceramic sintered body of Samples 16 to 21 had good machinability.
[0079]
[Table 3]
Figure 0003793644
[0080]
[Aluminum nitride-crystalline t-BN composite sintered body: see Table 4]
[0081]
[Samples 22 to 26]
Aluminum nitride powder (average particle size 1.4 μm, specific surface area 2.7 m) is combined with ceramic powder combined with crystalline t-BN fine powder.2/ G Y2OThreeWas selected, and a composite ceramic sintered body was produced as a prototype. However, in the sample 22, the crystalline t-BN blending amount was set to zero weight%. Hereinafter, this production method will be described in detail.
[0082]
That is, the aluminum nitride powder was prepared by adding 45% by weight of ethyl alcohol and dispersing and mixing with a ball mill for 12 hours. The crystalline t-BN fine powder was prepared by adding 45% by weight of ethyl alcohol and dispersing and mixing with a ball mill for 12 hours. Thereafter, both the slurries are mixed to obtain mixed slurries containing 0 wt%, 10 wt%, 15 wt%, 20 wt%, and 25 wt% of the crystalline t-BN fine powder. Polyvinyl butyral resin binder was added as an agent at a solid content of 3% by weight, and then granulated powder was prepared using a spray dryer.
[0083]
This granulated powder is 1000 kg / cm with a die press molding machine.2A molded body was obtained by pressurizing at a molding pressure of. This molded body was sintered in a nitrogen atmosphere at 1800 ° C. for 5 hours to obtain a composite ceramic sintered body having dimensions of approximately 15 cm × 15 cm × 2 cm. Table 4 shows the properties measured for each obtained composite sintered body. Moreover, as a result of grind | pulverizing each sintered compact of samples 23-26 and investigating by powder X-ray diffraction, it turned out that all the composite boron nitride powder has phase-shifted to the h-BN crystal | crystallization.
[0084]
For comparison, h-BN powder obtained by heating the crystalline t-BN fine powder to the same aluminum nitride powder at 1750 ° C. for 4 hours in a nitrogen atmosphere (average particle size: 4.8 μm, average primary particle size: 1) .5 μm, specific surface area 12 m2/ G of hexagonal plate-like crystal particles) and h-BN powder (average particle size 0.5 μm, specific surface area 25 m)2A composite ceramic sintered body is prepared in the same manner as in Example 1 (samples 27 and 28) using mixed slurries each containing 15 wt% of hexagonal plate-like crystal particles / g) (samples 27 and 28). Also shown.
[0085]
In addition, when cutting with a carbide tool was attempted, it was confirmed that any composite ceramic sintered body of Samples 23 to 28 had good machinability.
[0086]
[Table 4]
Figure 0003793644
[0087]
Note that, among the samples 1 to 28, the samples 2 to 5, the samples 9 to 12, the samples 16 to 19, and the samples 23 to 26 include crystalline t-BN in the raw material. On the other hand, Sample 1, Sample 8, Sample 15, and Sample 22 do not originally contain crystalline t-BN in the raw material. Also, in Samples 6, 7, 13, 13, 20, 20, and 27 and 28, since raw material powder in which crystalline t-BN is transferred to h-BN by pre-heat treatment is used, sintering is performed. The body does not contain crystalline t-BN.
[0088]
From the results shown in Tables 1 to 4, the composite ceramic sintered body obtained by mixing and sintering the crystalline t-BN fine powder according to the present invention is a composite ceramic sintered body obtained by mixing and sintering the h-BN powder. It can be seen that it has better sinterability and higher bending strength than the body.
[0089]
Further, when the thermal expansion coefficient of a sintered body in which 20% by weight of boron nitride (crystalline t-BN) was combined was measured, the thickness of the composite ceramic sintered body obtained by mixing and sintering the crystalline t-BN fine powder was measured. The ratio of the coefficient of thermal expansion in the direction perpendicular to the thickness direction and the thickness was almost 1, indicating that there was almost no difference in directionality depending on the pressing direction during molding. In addition, the inclusion of silicon nitride improves the strength particularly at high temperatures. These properties are preferable properties for a sleeve in which a high-temperature molten metal flows intermittently.
[0090]
Also, referring to Tables 1 to 4, the smaller the amount of crystalline t-BN blended, the denser the sintered body with lower porosity and the higher strength, while the crystalline t-BN It can be seen that the larger the amount, the higher the porosity, the better the heat insulating property or the heat retaining property, the isotropic thermal expansion coefficient, and the higher the thermal shock resistance.
[0091]
FIG. 6 shows a silicon nitride BN sintered body produced by the same method as a silicon nitride BN sintered body obtained by sintering a powder obtained by mixing a crystalline t-BN fine powder and a silicon nitride powder shown in Table 3. The relationship between the content of crystalline t-BN in the raw material and the porosity in the sintered body in the sintered body is shown. In FIG. 6, the lower broken line indicates the minimum porosity among the sintered bodies having the same BN content, and the upper bent line indicates the maximum porosity among the sintered bodies having the same BN content.
[0092]
FIG. 6 shows that the porosity of the sintered body can be controlled by changing the crystalline t-BN content. For example, it can be seen that the outgassing characteristics and the like can be optimized as a material for a plunger sleeve of a die casting machine by setting the crystalline t-BN content.
[0093]
Note that the crystalline t-BN fine powder is a very fine crystal and is generally often aggregated. Therefore, in the raw material preparation process of molding, how the aggregated powder is dispersed and uniformly mixed with the raw material to be a matrix greatly affects the final sintered body characteristics. In the production process of the present invention, it is necessary to keep in mind that characteristics are greatly changed by performing a process of uniformly dispersing individual powders to be mixed. In this way, a larger amount of BN component can be contained in the sintered body in order to achieve a predetermined strength than when conventional h-BN is used. On the other hand, even if the porosity is the same, it is possible to achieve densification and high strength of the structure.
[0094]
Next, the sleeve which concerns on the Example of the invention used as the foundation of this invention is demonstrated. This sleeve has a single layer structure of a silicon nitride BN sintered body having a single layer inner cylinder structure, and the outer cylinder is made of a metal sleeve. Hereinafter, the manufacturing method and structure of this sleeve will be described.
[0095]
A plunger sleeve of a die casting machine was manufactured using a sintered body similar to that of the sample 23 shown in Table 3 as a material. FIG. 7 is a perspective view showing a structure of a plunger sleeve using a sleeve according to an embodiment of the invention as the basis of the present invention as an inner cylinder, and FIG. 8A is an axial sectional view of the plunger sleeve of FIG. FIG. 8B is a side view of the plunger sleeve of FIG.
[0096]
7, 8 </ b> A, and 8 </ b> B, the plunger sleeve 100 includes a thin-walled inner cylinder 200 that includes a sleeve according to an embodiment of the invention that forms the basis of the present invention, and an inner cylinder 200. It consists of an outer tube 300 made of heat-resistant steel inserted. Since the inner cylinder 200 has good mechanical workability, high dimensional accuracy, and high thermal shock resistance due to isotropic thermal expansion coefficient, the inner cylinder 200 and the outer cylinder 300 can be integrated without shrink fitting. A hole 400 for introducing molten metal is formed in one end of the inner cylinder 200 and the outer cylinder 300. A flange is formed at the other end of the plunger sleeve 100 and is attached to the platen of the die casting machine. The platen comes into contact with the fixed die, and the molten metal pushed out by the plunger head that strokes in the plunger sleeve 100 is supplied to the mold between the fixed die and the movable die that are clamped together.
[0097]
[Die casting test]
Using a die casting machine to which the plunger sleeve described above was applied, the molten metal temperature was changed as follows, and an aluminum alloy was cast. The dimensions of the plunger sleeve 100 (see FIG. 7) were such that the outer diameter 150φ × the inner diameter 80φ × the length 528L, and the thickness of the inner cylinder 200 (see FIG. 8A) was 10 mmt. For comparison, casting was similarly performed using a heat-resistant steel metal sleeve single-layer plunger sleeve. The casting conditions are as follows.
[0098]
Material: ADC10, molten metal temperature: 650-710 ° C., lubricant: graphite-containing lubricant.
[0099]
[Evaluation results]
Table 5 shows the evaluation results of the plunger sleeve using the sleeve according to one embodiment of the present invention and the heat-resistant steel metal sleeve according to the comparative example. The local pressurization in Table 5 is to insert a pressurization core just before the molten metal solidifies in the mold cavity in order to improve the density and dimensional accuracy of the cast product.
[0100]
[Table 5]
Figure 0003793644
[0101]
From Table 5, it can be seen that a product by a die casting machine using a plunger sleeve provided with an inner cylinder made of a crystalline t-BN composite sintered body according to the present example is superior in three-point bending strength. Furthermore, it can be seen that the heat insulation is good, and thus the heat retention of the molten metal is high.
[0102]
Moreover, as a result of observing the fracture surface chill layer of the obtained product, the product by the die casting machine using the plunger sleeve provided with the inner cylinder made of the crystalline t-BN composite sintered body has a more uniform fracture surface. I found out that
[0103]
Further, as a result of an endurance test using this plunger sleeve, the wear on the inner peripheral surface of the sleeve was only 4 μm after 5000 shots. This indicates that the lubricity and melt resistance of the inner sleeve of the plunger sleeve are excellent.
[0104]
A metal ring may be attached to one or both ends of the inner tube of the crystalline t-BN composite sintered body in consideration of ease of handling during assembly or transportation. The same applies to the following embodiments.
[0105]
Next, a sleeve having a multilayer structure in the axial direction according to an embodiment of the present invention will be described. This sleeve is made of a BN composite sintered body obtained by sintering crystalline t-BN fine powder and other types of ceramic powder shown in Tables 1 to 4 above. In particular, the present invention is applied to a plunger sleeve of a die casting machine.
[0106]
FIG. 9 is an axial sectional view of a sleeve having a two-layer structure in the axial direction according to an embodiment of the present invention.
[0107]
Referring to FIG. 9, in this sleeve, a BN high content layer 1 having a high BN content is arranged in the upstream portion where the high-temperature molten metal is introduced, and a low BN content is low in the downstream portion. The layer 2 is disposed, and both layers 1 and 2 are joined in the axial direction. In addition, both layers 1 and 2 can join the molded object from which a BN content rate differs in steps by integral baking irrespective of methods, such as adhesion | attachment and fastening, or contains BN continuously (gradiently). It can also be obtained by firing molded bodies having different rates.
[0108]
For example, referring to Table 3 above, the high BN content layer has high porosity, excellent heat insulation or heat retention, and is more isotropic with respect to thermal expansion, and therefore has high thermal shock resistance. On the other hand, the BN low content layer similarly has the characteristic that the strength is high because the porosity is low and dense with reference to Table 3.
[0109]
Therefore, the BN high content layer 1 with high thermal shock resistance is arranged in the upstream part of the sleeve where the high temperature molten metal is introduced, and high strength BN low content is applied in the downstream part where high pressure is applied when the molten metal is pushed out to the mold. By providing the rate layer 2, a sleeve having an excellent balance between thermal shock resistance and strength is provided, and in addition, restrictions on casting conditions relating to molten metal temperature, extrusion pressure, etc. are relaxed.
[0110]
The sleeve having the two-layer structure in the axial direction described above may be inserted into an outer cylinder sleeve made of metal or the like as an inner cylinder. FIG. 10 shows a case where an inner cylinder sleeve obtained by joining the BN high content layer 1 and the BN low content layer 2 shown in FIG. 8 in the axial direction is inserted into a metal sleeve 3 serving as an outer cylinder.
[0111]
Next, a sleeve having a three-layer structure in the axial direction according to another embodiment of the present invention will be described.
[0112]
FIG. 11 is an axial sectional view of a sleeve having a three-layer structure in the axial direction according to another embodiment of the present invention.
[0113]
Referring to FIG. 11, in this sleeve, a BN high content layer 10 having a high BN content is disposed in the upstream portion where the high-temperature molten metal is introduced, and the BN medium content layer 11 is provided in the intermediate portion. The BN low content layer 12 having a low BN content is arranged on the two layers, and the three layers 10, 11, and 12 are joined to each other in the axial direction. Thus, the balance between strength and thermal shock resistance is further improved.
[0114]
【The invention's effect】
ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, the sleeve with high heat insulation or heat retention and excellent balance of strength and thermal shock resistance is provided. The sleeve according to the present invention is useful as a plunger sleeve of a die casting machine, and relaxes restrictions on casting conditions relating to the molten metal temperature, the molten metal extrusion pressure, and the like.
[0115]
The present invention also develops the use of a novel crystalline disordered layer boron nitride. The sleeve according to the present invention using this novel crystalline turbostratic boron nitride has high heat insulation or heat retention, high strength, isotropic thermal expansion, high thermal shock resistance, good lubricity, gas It has the characteristics that it has good detachability, is difficult to wet with molten metal, and has good machinability. Such a sleeve has extremely excellent characteristics as a material for a plunger sleeve of a die casting machine, and the occurrence of defects in a cast product is reduced, and the working environment temperature is lowered due to the high heat insulating property. .
[0116]
The reason why the above characteristics are obtained is that the sleeve uses a crystalline t-BN powder or a ceramic powder of another kind as a raw material powder. Specifically, since the primary particles of the crystalline t-BN powder are fine crystal particles and the crystalline t-BN powder has a turbulent layer structure, this sleeve is made of regular h-BN powder. Sinterability is better than when used for powder, strength is high, and directionality of thermal expansion is small.
[0117]
Furthermore, as long as the crystalline t-BN remains in the sintered body without undergoing a phase transition, the crystalline t-BN retains the state of fine crystal particles, and thus the pores in the sintered body are also fine. become. Moreover, since the structure of the sintered body is fine, the sintered body has a high strength. This is also almost valid when crystalline t-BN changes to h-BN during the sintering process. Thus, the outgassing property is improved by finely dispersing the pores.
[0118]
Furthermore, the sleeve has excellent machinability (cutting workability), thermal conductivity, electrical insulation, thermal shock resistance, etc. superior to the composite ceramic sintered body using conventional h-BN powder as a raw material. Furthermore, it has favorable characteristics such as resistance to wetness to molten metal and corrosion resistance.
[0119]
The sleeve having such desirable characteristics can be manufactured by pressureless sintering. With the establishment of the above-described technology for producing crystalline t-BN fine powder, it has become possible to procure highly pure crystalline t-BN fine powder at a much lower cost than before.
[0120]
Since the above-mentioned sleeve has good machinability, a high-precision sleeve having a complicated shape can be provided at low cost by using this sleeve. Further, the sleeve according to the present invention is a sleeve that requires thermal shock resistance, such as a structural sleeve that requires high strength, a durable breathable porous molten metal mold sleeve, and a protective sleeve that contacts the molten metal. It is suitable as a material for use. The inclusion of crystalline t-BN (or finely dispersed h-BN derived from crystalline t-BN) can give the composite ceramic sintered body a high slip characteristic, and this characteristic can be controlled and adjusted to any desired value. You can also Moreover, this invention is applied suitably also for the container and hot water supply pipe (refer FIG. 12) for hold | maintaining or distribute | circulating a molten metal.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a powder X-ray diffraction pattern of a typical conventional h-BN powder.
FIG. 2 is a powder X-ray diffraction pattern of a conventional a-BN powder.
FIG. 3 is a powder X-ray diffraction pattern of crystalline t-BN fine powder used as a raw material for a sleeve according to an example of the present invention.
4 is an electron micrograph of the crystalline t-BN fine powder in FIG. 3. FIG.
FIG. 5 is a graph showing a particle size distribution after pulverization of crystalline t-BN fine powder used as a raw material of a sleeve according to an example of the present invention by an attrition mill.
FIG. 6 is a graph for explaining the relationship between the content of crystalline t-BN in the raw material and the porosity in the sintered body in the sintered body as the material of the sleeve according to one embodiment of the present invention. It is.
FIG. 7 is a perspective view showing a structure of a plunger sleeve according to an embodiment of the invention as a basis of the present invention.
8A is a cross-sectional view of the plunger sleeve of FIG. 7, and FIG. 8B is a side view thereof.
FIG. 9 is an axial sectional view of a sleeve having a two-layer structure in the axial direction according to an embodiment of the present invention.
10 is a cross-sectional view in the axial direction of a sleeve with the sleeve of FIG. 9 fitted into an outer cylinder.
FIG. 11 is an axial sectional view of a sleeve having a three-layer structure in the axial direction according to another embodiment of the present invention.
FIG. 12 is a perspective view showing a hot water supply pipe according to an application example of the present invention.
[Explanation of symbols]
1 BN high content rate layer
2 BN low content layer
3 Metal sleeve
10 BN high content rate layer
11 Content layer in BN
12 BN low content layer
100 Plunger sleeve
200 Inner cylinder made of crystalline t-BN powder composite sintered body
300 Heat-resistant steel outer cylinder
400 holes

Claims (6)

軸方向に沿って、結晶性乱層構造窒化硼素の含有率が互いに異なる複数の層が配置されたスリーブであって、
前記結晶性乱層構造窒化硼素は、そのCuKα線による粉末X線回折図における六方晶系窒化硼素の[004]の回折線に対応する回折線の2θの半価幅が0.6°以下であり、六方晶窒化硼素のCuKα線による粉末X線回折図における[100]、[101]及び[102]回折線に対応する各回折線の占める面積S 100 、S 101 及びS 102 の間にS 102 /(S 100 +S 101 )≦0.02の関係が充たされているものであることを特徴とするスリーブ。
A sleeve in which a plurality of layers having different content rates of crystalline boron layer boron nitride are arranged along the axial direction ,
The crystalline disordered layer boron nitride has a half-width of 2θ of a diffraction line corresponding to the [004] diffraction line of hexagonal boron nitride in a powder X-ray diffraction pattern by CuKα ray of 0.6 ° or less. Yes, in the powder X-ray diffraction pattern of CuKα ray of hexagonal boron nitride, the area occupied by each diffraction line corresponding to the [100], [101] and [102] diffraction lines is between S 100 , S 101 and S 102. A sleeve characterized by satisfying a relationship of 102 / (S 100 + S 101 ) ≦ 0.02 .
前記スリーブが該スリーブ内を溶湯が流れるものであり、
前記スリーブの上流から下流に向かって、前記複数の層中の前記結晶性乱層構造窒化硼素の含有率が互いに連続的又は段階的に低くなるように、該複数の層を配置したことを特徴とする請求項記載のスリーブ。
The sleeve is the one in which the molten metal flows in the sleeve;
The plurality of layers are arranged so that the content of the crystalline disordered layer boron nitride in the plurality of layers decreases continuously or stepwise from the upstream to the downstream of the sleeve. The sleeve according to claim 1 .
前記複数の層が、0.1重量%以上の結晶性乱層構造窒化硼素を含む粉末を焼結してなるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のスリーブ。 3. The sleeve according to claim 1, wherein the plurality of layers are formed by sintering a powder containing 0.1% by weight or more of crystalline boron layered boron nitride. 4. 前記複数の層が、10〜20重量%の結晶性乱層構造窒化硼素粉末と、残部主として窒化珪素粉末、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末の一種以上と、を含む原料を焼結してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスリーブ。The plurality of layers are formed by sintering a raw material containing 10 to 20% by weight of a crystalline turbulent layer structure boron nitride powder and the balance mainly containing one or more of silicon nitride powder, alumina powder, and aluminum nitride powder. The sleeve according to any one of claims 1 to 3, characterized in that 前記結晶性乱層構造窒化硼素が、そのCuKα線による粉末X線回折図における六方晶系窒化硼素の[004]の回折線に対応する回折線の2θの半価幅が0.5°以下であり、六方晶窒化硼素のCuKα線による粉末X線回折図における[100]、[101]及び[102]回折線に対応する各回折線の占める面積S100、S101及びS102の間にS102/(S100+S101)<0.02の関係が充たされているものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスリーブ。The crystalline turbostratic nitride the boron-containing is, the half width is 0.5 ° in 2θ of diffraction line corresponding to the diffraction lines [004] of the hexagonal boron nitride in the powder X-ray diffraction diagram below by the CuKα line In the powder X-ray diffraction pattern of hexagonal boron nitride by CuKα ray, S102 / (between the areas S100, S101 and S102 occupied by the diffraction lines corresponding to the [100], [101] and [102] diffraction lines. The sleeve according to any one of claims 1 to 4, wherein a relationship of S100 + S101) <0.02 is satisfied. 請求項1〜のいずれか一記載のスリーブの単体又は該スリーブを他のスリーブに嵌挿してなるスリーブを、鋳型に溶湯を注入するための流路であるプランジャスリーブとして用いたことを特徴とするダイカストマシン。The sleeve according to any one of claims 1 to 5 or a sleeve formed by inserting the sleeve into another sleeve is used as a plunger sleeve that is a flow path for injecting molten metal into a mold. Die casting machine.
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