JP3792092B2 - 半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法及び評価装置 - Google Patents

半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法及び評価装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は宇宙線中性子に起因する半導体デバイスのソフトエラー耐性の評価方法およびその評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスのソフトエラー(SE, 記憶内容が予期しない原因により反転すること)の品質評価上の発生率SQCの単位はFIT(Failure in Time; 109時間に1回エラーが発生した時1FITとする。)を用い、通常、量産品としての許容限界は1000FIT程度とされる。放射線を原因としたエラーはSEU(Single Event Upset、 入射粒子1個に対応するソフトエラー)と呼ばれる。ソフトエラー率(SER)はメモリーのビット当たり、またはチップ当たりに単位時間に発生するエラー回数であって、これによりSEU断面積σSEU,b/c (添え字b、cはそれぞれビット、チップに対応)次式により定義される。
【0003】
【数1】
Figure 0003792092
【0004】
SERの単位をビットまたはチップ当たり回/sで定義すると、チップのメモリ容量をNm(ビット)として、
【0005】
【数2】
Figure 0003792092
【0006】
のようにSEU断面積はSqcに対応付けられる。
【0007】
半導体メモリ-の高集積化による低消費電力化、高速化、軽量化は付加価値を生み出すためにも必須であり、絶え間無い高集積化・微細化の流れは今後とも必然的な状況にあると考えられる。
1980年代に、パッケージ材料に含まれるUや、232Thなど天然に存在するα線によるソフトエラーが微細化に向けた制約の一つとして顕在化した。α線(He原子の2個の軌道電子を持たない裸の原子核)はメモリ素子中のSi原子などをイオン化して電子ー正孔対(キャリア)が発生する。このキャリアが、デバイス中を拡散し、メモリにおいては電極に蓄積した電荷量を変化させて、メモリの内容を変化させたり、場合によっては、ラッチアップ現象に至ることが判明した。
【0008】
これに対して、現在は下記の方策によって、α線によるソフトエラーはほぼ解決している。
【0009】
(a) パッケージ材料の高純度化
(b) スタック構造の採用などによるメモリ容量の増加/確保
(c)エラーをソフト的に修復するECC(Error Correction Code)の設置
半導体メモリを用いたデバイスの一層の高集積化/微細化とメモリの容量の低減に伴い、宇宙ロケットや人工衛星では既に問題となっている宇宙線中性子によるソフトエラーが地表においても問題となると見られ始めている(例えば、 C.A. Gossettほか、 IEEE Trans. Nuclear Science、 Vol. 40、 No. 6、 p.1845(1993) 、E. Normand,、IEEE Trans. Nuclear Science、 Vol. 43、 No. 6、 p.2742(1996)、K. Johanssonほか、 IEEE Trans. Nuclear Science、Vol. 45、 No. 3、p.1628(1998)、 T.J. O'Gorman, IEEE Trans.Electron Devices、 Vol.41、 No.4、 p.553(1994) など)。
ところで、中性子の発生原因は以下のように説明されている。即ち、銀河系中心からおよそ10億年の時間をかけて超高エネルギーのH、He、C、Oなどの軽イオン粒子が地球の大気圏に飛来している。このイオン線は大気圏の窒素、酸素と核反応を起こし、高エネルギーの中間子(π+、π0、π-、μ)や中性子を発生し、これがさらに連鎖的に大気と核反応を起こす結果、単一のイオンから地表において半径数百mにおよぶ中性子シャワーを形成する。イオン線は図1に概念的に示すように、銀河系や太陽の形成する磁場で軌道が曲げられるため、その強弱は11年周期の太陽活動の影響を受ける。 太陽そのものからの宇宙線は平均的には強度が小さいが、太陽活動の強弱により太陽磁場の影響を受けて、地上に到達する宇宙線強度は太陽の活動のピーク(Solar Maximum)時に弱く、太陽活動の不活発なとき(Solar minimum)に強くなる。イオンの軌道は地球の磁場によっても曲げられるため、地球に向かうフラックスは地球の磁極(磁力線が地表に垂直なためイオン軌道は磁力線に沿って地表に向かいやすい)で最大となり、 磁気緯度(geomagnetic rigidity)に依存する。 さらに、大気そのものに中性子の遮蔽能力があるため、中性子のフラックスは地表10〜20kmの高度を最大として高度依存性がある。
地表での中性子の微分エネルギースペクトルdφn/dE (図中の単位は宇宙線中性子に対するもので、個/cm2/MeV/s、 WNR(ロスアラモス国立研究所にある高エネルギー・高フラックス中性子照射設備)に対しては個/cm2/MeV/str/陽子1パルスである)は実測によって求められており、図2に示すように1GeVを超える領域までの高いエネルギーを有する。
ここで、宇宙線中性子による地上での半導体デバイスのソフトエラーについて考える。
【0010】
中性子は低エネルギーではデバイスの構成材料であるSi等とは反応しない。しかしながら、 宇宙線中性子がソフトエラーの原因となるのは、非常に高いエネルギーを持った中性子がSiの原子核と反応して複数の2次イオンに分裂(核破砕反応と称する)し、その2次イオンがデバイス内に電子-ホールキャリアを発生させるためとされる。
従って、ソフトエラーの発生機構は旧来のα線によるソフトエラーと同様であるが、遮蔽の困難な高エネルギー中性子に起因するため対策が困難であることと、多数の粒子が同時に発生するため、複数のビットで同時にソフトエラーが起こる(マルチビットエラー、2個同時をdouble、3個同時をtriple、4個をquadruple bit errorと称する)のが異なる。マルチビットエラーは、旧来と異なり、ECCで修復できないため、その比率が高くなると新たな問題が生じる可能性もある。
【0011】
パッケージ材料中のα放射体の不純物を原因としたソフトエラーは、中性子に比べると以下の点でソフトエラーに対する耐性の評価が簡単である。
【0012】
(1) 発生位置およびエネルギーが明確であるため、デバイス内の影響の及ぶ空間的範囲が明確。
【0013】
(2) 粒子がα粒子のみであるので、市販のα線源をデバイス表面に接しておくだけで、ソフトエラー耐性の評価が可能。
【0014】
(3) パッケージだけの問題であるので、地域依存性が無く出荷前の特定の試験所での試験結果は、基本的には世界中で通用する。
【0015】
逆に、上記を宇宙線中性子について言い換えてみると、
(1) 核反応はデバイス内のあらゆる位置で発生し、エネルギーも幅広いスペクトルを持つ。
【0016】
(2) デバイスを構成する元素より軽い全ての種類の核種が入射中性子のエネルギーに応じて発生するため、実験での完全な模擬は大掛かりな中性子発生源等が必要になる。
【0017】
(3) 宇宙線中性子の強度は地球上の緯度、経度、高度、および太陽活動の強弱によって左右される
と言うことになる。
上記した背景において、宇宙線中性子に起因する半導体デバイスソフトエラーの従来の実験的評価法には中性子を直接用いる場合と、中性子と同じ核子である陽子を用いる場合があり、以下それぞれの従来技術について述べる。
(1)陽子を用いる方法
陽子と中性子は核破砕反応に関し、等価である、という仮定に立って、中性子の代わりに陽子が広く用いられており、 入射陽子の運動エネルギーに応じてソフトエラーの部分断面積(特定の入射粒子の運動エネルギーに対するSEU断面積σ(E))が異なることが明らかにされている。(J.F. Ziegler、IBM J. Res. Develop.、 Vol. 40、No. 1、p.51(1996)、G.A.Sai-Halasz、 IEEE IEDM Tech, Digest、p.344(1983) など) 。
(2)中性子を直接用いる方法
対象が宇宙線中性子であるので、最も正確な方法は、宇宙線中性子を直接用いるのが最適であるが、フラックスが低いため十分な統計量を得るために通常1000個程度のチップを並べた上で、数ヶ月オーダーの試験期間が必要である(T.J. O'Gorman、IBM J. Res. Develop., Vol. 40、 No. 10、 p.41(1996))。 高地で実施すれば、フラックスは10倍〜20倍得られるが、温度管理や電源の確保等が必要である。
【0018】
原子炉の中性子はエネルギーが高々数MeVで、10MeVを超える中性子のフラックスは低く実験が難しい割に効率が悪く、実験炉も含めて事実上利用は不可能である。
【0019】
加速器を用いて中性子を発生させ、模擬実験をすることが可能である。 D-T反応を利用すれば比較的小型の装置で中性子ビームが得られるがエネルギーは14MeVのみで高エネルギー中性子の影響評価はできない。高エネルギーの中性子を得るためには、陽子のリングサイクロトロンを用いるのが一般的で、LANL(ロスアラモス国立研究所)のWNR(Weapons Neutron Research facility)では800MeVに加速した陽子をWブロックの標的に照射して、図2に示したように宇宙線中性子に近いスペクトルを持つ中性子ビームを得ており、この実験から全SEU断面積σSEUを求めるという手法が用いられる(A. Eto他、IEDM、 p.367(1998)、Y.Tosaka他,、IEEE Transactions on Electron Device、 Vol. 45、 No. 7、 p.1453(1998) 、CA,Gossett他、IEEE Trans. Nuclear Science、 Vol.40、 No.6、p1845(1993)など )。
実環境でのソフトエラー率を求めるには全SEU断面積と宇宙線中性子の全フラックスの積から求める。 最近の手法として、陽子ビームを厚さ1〜10mm程度のLiの薄板に入射し、Li(p,n)7Be反応を用いて単一に近いエネルギーの中性子ビームを用いるケースが増えてきており、中性子に対しても部分SEU断面積にエネルギー依存性があることが報告されている(K. Johansson他、 IEEE Trans. Nuclear Science, Vol. 45、 No.3、 p1628(1998)、 P.Hazucha他、IEEE Trans. Nuclear Science、 Vol.45、 No.6、p. 2921(1998))。
【0020】
一方、宇宙線中性子に起因する半導体デバイスソフトエラーの従来の理論的評価法については、下記の報告がされている。
【0021】
宇宙線中性子がデバイスのSi原子に入射してからの現象のシミュレーションは、反応を前平衡過程と蒸発過程に分けて、それぞれモンテカルロ法により、発生した粒子のエネルギースペクトルを求め、デバイスシミュレータなどによりソフトエラーの評価を行う。前平衡過程の扱いには、 後述するように、Si原子核に入射した中性子が原子核内の核子と順に2体間散乱を繰り返し、エネルギーの高いものは核外に放出されるとするIntra-Nuclear Cascade法による場合(H.H.K. Tang他、Phys. Rev. C、 Vol. 42、 No.4、p.1598(1990)、 K. Chen他、 P.M. O'Neill他、IEEE Trans. Nuclear Science、 Vol.45、 No.6、 p.2467(1998)など)、 多体問題として量子分子動力学的手法によって解く場合(Y. Tosaka他、 IEEE Trans. Nuclear Science、 Vol.45、 No.7、p.1453(1998)など)の2通りがとられる。蒸発過程はWeisskopf-Ewingの蒸発モデルによって計算される。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
半導体デバイスを製品として出荷するためには、その品質に関する精度の良い評価が必要であり、評価基準がFIT単位のソフトエラー率であるため、実環境でのこの数値を精度良く求める必要がある。 設計段階での、デバイスのソフトエラー率の予測法、試作品に対して短期間で精度の良い試験法が必要であるが、確立された手法は現存しない。 また、宇宙線中性子に起因するソフトエラーでは、マルチビットエラーが従来に無いモードのエラーであり、重要であるが、理論解析で評価する手法は現存しない。
【0023】
SEU断面積にエネルギー依存性が無ければ、特定の入射エネルギーについてσSEUを解析、または実験により求め、それとデバイスに入射する総フラックスから(数1)及び(数2)から計算すれば良い。
【0024】
しかしながら、実際には実験で明らかになったように、エネルギー依存性があるため、厳密には、宇宙線中性子の評価対象とする運動エネルギーKの最小値をKmin、最大値をKmax、Kに対応する部分SEU断面積をσ(K)として、
【0025】
【数3】
Figure 0003792092
【0026】
により、宇宙線中性子のスペクトルと部分SEU断面積の重ね合わせ積分で評価する必要がある。
一方、(数3)の積分に必要な細かい数値を個別のデバイスについてまたは測定・解析するのは事実上不可能であり、 実際、特定のデバイスについて実使用環境でのソフトエラー率についての評価値は報告例が無い。
【0027】
唯一、実際の宇宙線を用いたフィールド試験によれば、上記の問題は無く、直接FIT単位での数値が得られるが、1回の評価に半年ほども要する、効率の悪い方法である。 基礎データとしては極めて重要ではあるが、試験方法としては、多品種少量生産で、加速度的に高集積化が進む最近の半導体デバイスには通用しない手法である。
一方、 加速器を用いた手法は短期間でデータが取れるが、陽子を用いた手法は、同じエネルギーの中性子に対して3倍のSEU断面積を与えるという報告(K. Johansson他、 IEEE Trans. Nuclear Science, Vol. 45、 No.3、 p.1628(1998))があり、確立した手法とは言えず、大きな誤差を与える可能性がある。そして、単一のエネルギーを用いた中性子の照射実験は手法としては有力であるが、エネルギーを変える度に、中性子のスペクトルを測定するという時間の掛かる作業をする必要があり、エネルギーを細かくパラメータとしてサーベイすることには難点がある。
【0028】
短期間で半導体デバイスの実環境でのソフトエラー率をFIT単位で得られる可能性のある装置はWNRであり、前述したように近年利用例が増加している。ところが、後述する発明者らの理論解析により、WNRを用いた中性子照射実験は宇宙線中性子に対するソフトエラーの推測値として実際より50%過大評価となる可能性があることが明らかになった。
従って、少なくとも現状では、半導体デバイスメーカが、自社のデバイスを、必要なスピード、量で計測できるような設備は国内外共に存在しないことになる。
【0029】
本発明の目的は,宇宙線中性子に起因する半導体デバイスの実環境でのマルチビットエラーの弁別も含めてソフトエラー率について、半導体デバイスの設計・試作段階で、精度の良い評価値を得、それに基づいて量産前に新規デバイスの宇宙線に起因するソフトエラーを削減するプロセス提供の一助とすることにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明では、宇宙線中性子のスペクトル分布を予め定められたエネルギー値を代表値として有するエネルギーバンドに分割し、上記エネルギーに対応する半導体デバイスのソフトエラー部分断面積を求め、この部分断面積を上記したエネルギーバンド毎の総フラックスで重み付けを行なって、ソフトエラー部分断面積の総和を求め、その結果に基づいて実使用環境における半導体デバイスのソフトエラー率を推測する。
【0031】
このソフトエラー率は、上記したエネルギーの代表値を計算上の入射中性子のエネルギーとして設定し、前記半導体デバイスの内部に進入した入射中性子の核反応によって発生する2次粒子及び残留核の飛行軌跡に沿って電子ー正孔対の発生量及び位置を計算し、該計算結果に基づいて、予め定められた前記半導体デバイスの領域に含まれる前記電子ー正孔対の発生量から算出することが出来る。
【0032】
そして、この飛行軌跡を、入射中性子による核反応の発生位置及び該核反応によって生じた2次粒子及び残留核の散乱方向及びその運動エネルギー、運動量、または速度の少なくとも一つを用いて計算するようにする。
【0033】
また、本発明では、宇宙線中性子スペクトル分布を予め定められたエネルギー値を代表値として有するエネルギーバンドに分割し、分割した個々のエネルギーバンド内に含まれるフラックスの総和に対応させて、上記のエネルギーの代表値を有する中性子を半導体デバイスに照射させ、その時の半導体デバイスの宇宙線に対応させたソフトエラー率を実験的に求め、その耐性を評価する。
【0034】
そして、異なるエネルギーを有する中性子ビームを各々個別の半導体デバイスに同時に照射することによって、半導体デバイスに発生するソフトエラー部分断面積を実測し、その結果から半導体デバイスの宇宙線ソフトエラーに対する耐性を評価する。
また、本発明では、半導体デバイスの予め決められた領域に含まれる電子ー正孔対の発生量が予め設定した閾値を越えたとき、半導体デバイスにソフトエラーが発生したと判定するようにした。
【0035】
更に、上記のエネルギーバンドに対応する代表エネルギーを、宇宙線中性子スペクトルのエネルギーバンド内の、エネルギー微分フラックスで重み付けした平均値とし、このエネルギーバンド毎の総フラックスが全て等しくなるように設定する。
【0036】
本発明では、イオンビーム発生器と、標的と、半導体デバイスを配置したソフトエラー計測アセンブリと、前記半導体デバイスのソフトエラー率を計算するための解析装置を備えている。そして、この解析装置は、宇宙線中性子のスペクトル分布を分割し、かつ分割されたエネルギーバンド内の代表エネルギー値を、半導体デバイスへの照射中性子エネルギーとして設定し、また、半導体デバイスに中性子の照射がなされた後に、半導体デバイスの記録内容を読み出して、予め記録された内容と比較し、その結果を用いて半導体デバイスにソフトエラーが発生したか否を判定するように、制御手段が制御されるようにした。
【0037】
そして、上記の標的を格納したチャンバーには、標的とイオンビーム発生器から放出されたイオンビームとの核反応によって発生する中性子ビームが放射される少なくとも2つ以上の出口を備えており、夫々の出口の中性子ビームラインの軸上に計測アセンブリを配置し、かつ、中性子ビームが同時に照射されるようにした。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0039】
本実施例では、(数3)の重ねあわせ積分の実行は解析、実験とも不可能であるので、宇宙線中性子のスペクトルを離散化した上で、実環境での宇宙線中性子に起因するソフトエラー率を評価する手法を提案する。その基本的な考え方は理論解析及び実験ともに同様であって、基本的な評価解析フローを図3に示す。 以下、その評価手順を説明する。
【0040】
(1)先ず、宇宙線中性子スペクトル分布をいくつかのエネルギーバンドに分割し、バンド毎の代表エネルギーKi *を例えば次式により定める。
【0041】
【数4】
Figure 0003792092
【0042】
バンドの幅が十分せまければ、単純平均でも良い。
【0043】
また、対応するエネルギーバンドの上限及び下限は任意に定めても良いが、ここでは、宇宙線中性子の総フラックス
【0044】
【数5】
Figure 0003792092
【0045】
に対して、各バンド内のフラックスがそれぞれ等しくなるように、下記の式にしたがって
【0046】
【数6】
Figure 0003792092
【0047】
となるようにKmin(i=1)から順次Kiを定めていく。
【0048】
(2) 上記の代表エネルギーKi を持った中性子ビームを対象とする半導体デバイスに照射する。
【0049】
(3) このようにして、代表エネルギーKi の中性子が総数Nn個デバイスに入射した時、平均n(Ki )個のソフトエラーを起こしたとすると、デバイスのSEU部分断面積σi(Ki )は、次式で求められる。
【0050】
【数7】
Figure 0003792092
【0051】
(4)これを用いて、このデバイスの宇宙線中性子に対するソフトエラー率予測値SERは、下記のように算出することが可能になる。
【0052】
【数8】
Figure 0003792092
【0053】
また、全SEU断面積σcosmicは次のようになり、本パラメータで各種のデバイス相互の宇宙線中性子に起因するソフトエラー耐性の比較が可能になる。
【0054】
【数9】
Figure 0003792092
【0055】
次に、半導体デバイスの概念設計に基づいて宇宙線中性子に起因するソフトエラー率の予測を可能とする方法を説明する。
【0056】
図4は、その解析の全体フローを表わす。
【0057】
先ず、半導体デバイスのメモリ部分を簡易的に図5に例示するように、幅2Wx、奥行き2Wy,高さTwのバルクのSiブロックを設定する。ブロックの寸法はメモリセルのビット間の間隔、成膜層の厚さなどに対応する。ブロックの中に、メモリビットに対応して半径rs、底面からの中心の高さdの球形の鋭敏領域を想定する。鋭敏領域はビットまたはキャパシタに対応し、rs、はその大きさ、dはウエル、空乏層、基板などの厚さと関連づけられる。そして、半導体デバイスの中に設けられた領域を粒子が通過し、内部で発生した電荷がQを越えた場合にソフトエラーが発生する、という扱いにする。
【0058】
上記の領域の数はマルチビットエラーの評価が可能なように、4個設定した。入射中性子が核破砕反応を起こす位置はブロック内でランダムに決定する。
【0059】
次に、宇宙線中性子や加速器による陽子・中性子の照射実験を幅広く評価するため、入射核子の幅広いエネルギースペクトルを想定し、スペクトルで重みをつけたモンテカルロ計算を行う。 具体的には、図6に例示するように、計算する入射中性子の数をNTotalとし、その最小エネルギーをKmin、最大エネルギーをKmaxとした時、KminからKmaxの間にNb個の細かいエネルギーバンドを設定し、i番目のバンドのエネルギーを最小Ki-1、最大Kiとする。バンド内の代表エネルギーKi *を例えば単純平均として、次式で表わす。
【0060】
【数10】
Figure 0003792092
【0061】
そして、より正確に表現するには、宇宙中性子線の微分フラックスで重みをつけた平均を用いると、
【0062】
【数11】
Figure 0003792092
【0063】
と表わされる。
【0064】
次式で表わす総フラックス
【0065】
【数12】
Figure 0003792092
【0066】
に対して、
【0067】
【数13】
Figure 0003792092
【0068】
となるように、Kmin(i=1)から順次Kiを定めていく。
【0069】
ここで、このバンドのそれぞれについて、平均エネルギ-Ki *の中性子入射をNTot al/Nb回行なう場合について考える。
【0070】
バンドの上限及び下限は任意に決めて良いが、その場合、バンド毎の中性子の入射回数はバンド毎のフラックスの和に比例させて決定する。
【0071】
次に、データベースからの数値の取り込みについて、説明する。
【0072】
入射粒子のエネルギや標的の材料が決まった後に、ソフトエラーシミュレーションに必要なデータをデータベースから取り込む。 データの種類としては、標的材料および標的材料から発生しうる核子、原子核すべてについての、原子番号、質量数、静止エネルギー、スピン、核反応断面積などがある。
【0073】
次に、上記したデータを用いて、中性子入射から核子の放出と励起残留核の生成までを解析する。
【0074】
中性子が入射したデバイス中のSi原子核から、先ず前平衡過程により核子が放出される。核破砕反応の前平衡過程(複合核形成前の入射後10-22〜10-18sの現象)は、図7に概念を示すように、入射核子が核内核子を次々と励起し、高エネルギーを持った核子の一部が核外に放出される過程で、実際は多体問題であるが、計算上はこれを標的原子核内の核子の2体間弾性散乱のカスケード(Intra-Nuclear Cascade)と考えて、モンテカルロ法により、標的原子核内の核子の運動を順番に解析し、核外に放出される核子の運動エネルギー、方向、核子が放出された後に残った原子核(残留核)の励起エネルギー、運動エネルギー、方向を計算する。
残留核の励起エネルギーはIntra-Nuclear Cascadeで散乱された核子の内、標的核外に放出されなかった核子の運動エネルギーの総和として求める。
【0075】
この励起エネルギーを持った残留核は Weisskopf-Ewingの蒸発理論に従って順次、軽粒子(n,H,He)を放出する。放出される粒子の種類、エネルギー、方向は反応断面積データに基づいて、モンテカルロ法により計算する。
【0076】
次に、放出された粒子が半導体デバイス内を飛行するときの飛行軌跡を解析する。
【0077】
核破砕反応の結果、Siを含む、Siより軽い全ての原子核が生成しうる。これらの原子核はそれぞれ固有のスペクトル、角度分布を持って仮想Si基板の中を飛散し、飛行軌跡に沿って、主として電子雲とのクーロン相互作用によりエネルギーを失う。このエネルギーの損失量dK/dxは粒子の運動エネルギーの関数として、Bethe-Blochの式で計算できる。従って、dK/dxの値を飛行軌跡に沿って計算すれば、次式によって、初期エネルギーKq0の粒子の飛程Rq、その結果として、各粒子の停止位置が計算できる。
【0078】
【数14】
Figure 0003792092
【0079】
ここで、半導体デバイス内に予め設けた領域内で、キャリアの発生量を計算計算する。
【0080】
このキャリアは、電子―正孔対を形成するのに必要なエネルギーqp(Siの場合3.6eV)を用いて、(dK/dx)/qpが飛行軌跡に沿って発生する電子―正孔対密度になる。領域内で粒子が停止した場合は、その領域内に粒子の初期運動エネルギー全てがキャリア発生に使われると考えて計算する。それ以外の場合は粒子の飛行軌跡に沿ってキャリア発生密度を求め、鋭敏領域内で発生する電荷総量を計算し、それがQより多い場合、ソフトエラー発生と判定する。
1回の中性子入射に対して複数の領域でソフトエラーが起きた場合、マルチビットエラーが発生したものとみなす。
【0081】
図8、にエネルギー105MeVの中性子を1000個入射させたときの、Wx=Wy=ds=2μm, Tw=5μm、Qc=10fCのデバイスに対し、領域の半径を変えたときのソフトエラー回数の計算例を例示する。本解析モデルが各種のデバイスパラメータを変えた上で、マルチビットエラー率の詳細評価が可能なことを示している。
【0082】
半導体デバイスで発生するソフトエラー率の計算は、次のように求めることが出来る。
【0083】
代表エネルギーKi 、フラックスに対応する中性子ビームラインに設置されたデバイスが時間Tの間に1チップあたり、平均n(Ki )個のソフトエラーを起こしたとすると、デバイスのSEU部分断面積σi(Ki )は次式で計算できる。
【0084】
【数15】
Figure 0003792092
【0085】
これを用いて、このデバイスの宇宙線中性子に対するソフトエラー率予測値SERは、下記のようになる。
【0086】
【数16】
Figure 0003792092
【0087】
また、全SEU断面積σcosmicは次式で求められ、本パラメータで各種のデバイス相互の宇宙線中性子に起因するソフトエラー耐性の比較が可能になる。
【0088】
【数17】
Figure 0003792092
【0089】
(数15)における照射時間Tirradは実環境における照射時間であり、計算上、デバイスの体積Vdevices(cm3)に入射、散乱・反応させた粒子数Ntotal(個)から計算する。標的材料の原子数密度Ntar(個/cm3)は、ρ ar、Mtarをそれぞれ標的材料の密度(g/cm3)、質量数、NAをアボガドロ数として、次のようになる。
【0090】
【数18】
Figure 0003792092
【0091】
実際に想定する入射粒子の微分フラックスに対しては、下記の式で表わされる。
【0092】
【数19】
Figure 0003792092
【0093】
これから、実際の照射時間Tirrad(s)が次式により求まる。
【0094】
【数20】
Figure 0003792092
【0095】
次に、半導体デバイスに対する宇宙線中性子ソフトエラーの実験的評価方法について述べる。
前述の理論モデルを用いて、半導体デバイス内に間隔2μm、半径0.5μm、底からの中心の高さ2μmの領域を設けた場合を考える。
【0096】
Kn=1〜1000MeVの中性子スペクトルを100のエネルギーバンドに分割し、それぞれのバンドに100個の中性子を入射させた場合に対するソフトエラー率の計算値を、宇宙線中性子のスペクトルとWNRのスペクトルについて実施した。
【0097】
その結果を図9に示すように、WNRの中性子スペクトルは宇宙線中性子に対して、50%程度過大評価になることがわかった。
【0098】
WNRと自然界での宇宙線中性子のスペクトルは確かに似てはいるが、発明者らの計算で、両者のソフトエラーの実験結果が有に異なることが、初めて明瞭に示された。この相違は、1MeV以上の中性子の平均エネルギーが宇宙線では46MeV、WNRでは77MeVと、WNRが倍近く高いことが直接の原因と考えられる。
WNRのようにブロードなスペクトルを持つ照射による評価法に問題があることが、発明者らの解析により初めて明らかになった。そこで、実験的評価の手法として、基本的考え方にのっとり、単一エネルギーの中性子ビームを用いた試験法を考案した。即ち、中性子エネルギーKi *とスペクトルのバンドの上限及び下限の値を前述の(数4)の関係が成り立つように設定し、中性子の照射試験を行うようにした。照射試験の場合はバンド毎の中性子の入射数は任意に定めて良い。
このようにして、代表エネルギーKi、フラックスΦ(Ki)に対応する中性子ビームライン5に設置されたデバイスが時間Tの間に1チップあたり、平均n(Ki)個のソフトエラーを起こしたとすると、デバイスのSEU断面積σi(Ki)は次式で表わすことが出来る。
【0099】
【数21】
Figure 0003792092
【0100】
上式中、Tirradは解析と異なり、実験での照射時間を用いて良い。これから、このデバイスの宇宙線中性子に対するソフトエラー率予測値SER及び全SEU断面積σcosmicは次のようになる。
【0101】
【数22】
Figure 0003792092
【0102】
【数23】
Figure 0003792092
【0103】
こうすることによって、本パラメータを用いて各種のデバイス相互の宇宙線中性子に起因するソフトエラー耐性の比較が可能になる。
以上で述べたように、解析および実験によって、任意のデバイスの実使用環境での宇宙線中性子に起因するソフトエラー率の評価法の基本概念を説明した。
半導体デバイスの宇宙線中性子に対する耐性はデバイスの量産前に規格を満足するようにする必要があり、本実施例はそうしたデバイスの品質を向上・確保する場合の例を、図10を用いて説明する。
新規デバイスの概念設計におけるデバイスの特性や構造に関わるパラメータDi(i=1,2,)から、あらかじめ実験または詳細デバイスシミュレーションにより求めた相関式を用いて、ソフトエラーシミュレータのモデルパラメータF(j=1,2,)を求め、これに基づいたシミュレーションにより、実環境でのソフトエラー率を計算する。
【0104】
【数24】
Figure 0003792092
【0105】
ソフトエラー率の計算値が規格を満たさない場合は規格を満足するようにモデルパラメータを微調整する。
【0106】
モデルパラメータから、(数24)と次式で表わす逆の相関式を用いて、デバイスパラメータを求め、必要に応じて詳細なデバイスシミュレーションもして、デバイスの動作の確認をした上で、デバイスを試作し、高エネルギー陽子または中性子の照射実験により実環境でのソフトエラー率を求める。
【0107】
【数25】
Figure 0003792092
【0108】
類似したデバイスであって、一度実環境の評価値が得られていれば、それを標準デバイスとして、特定のエネルギーのみでの相対評価を行い、最適化を進める方が時間短縮の効果もある。
【0109】
照射試験結果が予測と有意に異なる場合は、モデルパラメータを再調整して解析による評価に戻る。
【0110】
このようにして、本実施例で示した評価法を用いることによって、半導体デバイスの量産に着手する前に、その半導体デバイスの宇宙線中性子に起因するソフトエラー発生を予測することが可能となり、デバイス開発のリスクを低減させることができる。
【0111】
図11は、別の実施例を説明するための評価装置の装置構成を概念的に示したものである。
【0112】
半導体デバイスを配置したソフトエラー計測アセンブリ18と、前記半導体デバイスのソフトエラー率を計算するための解析装置20を備えており、ソフトエラー計測アセンブリ18は中性子ビームライン14の軸上に配置されている。また、解析装置20は、宇宙線中性子のスペクトル分布を分割し、かつ分割されたエネルギーバンド内の代表エネルギー値を、中性子ビームライン14の軸上に配置された前記半導体デバイスへの照射中性子エネルギーとして設定する手段と、この中性子の照射がなされた後に、半導体デバイスの記録内容を読み出して、予め記録された内容と比較する手段と、この比較結果が予め定められた値を超えると半導体デバイスにソフトエラーが発生したと判定するように制御する制御手段からなっている。
【0113】
イオンビーム発生器10によって加速された陽子やα粒子はイオンビームライン11を通って抽出される。そして、このイオンビームが標的チャンバ12内に配置した標的13に入射されることにより、中性子が発生する。この時、中性子ビームライン14の角度がイオンビーム入射方向と同じ場合には発生する中性子のエネルギーが最大値を示し、イオンビームライン11と為す角度が大きいほど、発生する中性子のエネルギーは小さくなる。
【0114】
図11では、中性子ビームライン14の軸上に代表エネルギーKi (i=1,5)を示したが、K 、K の順にエネルギーが大きくなる。上記の角度が一定ならば代表エネルギーの低減率も一定であり、またフラックスの比率も一定であるので、標的を中心に、放射状に中性子ビームライン14を設け、例えば、イオンビームライン正面の中性子ビームラインのみで中性子スペクトルを測定しておけば、他のビームラインについては一度測定しておくだけで、その後は正面のラインの実測値に係数を掛ければ良い。エネルギースペクトルは例えばボナー球アセンブリ等の中性子スペクトル簡易測定装置15、飛行時間測定ライン16などの精度の良い方法を併用して測定する。
【0115】
尚、中性子照射室17は一続きの部屋であっても良いが、散乱中性子線の影響を排除するために、ソフトエラー計測アセンブリ18同は十分な遮蔽31を施す必要がある。また、温度や湿度の影響でデバイスの動作が変化するため、中性子照射室17の雰囲気は温度湿度調整装置21によって所定の値に制御する必要がある。
また、発生した中性子はイオンビームを停止しても、半減期約10分で中性子照射室17内を散乱しているため、中性子レベルモニタ22などで中性子照射室17内の放射線強度をモニタし、あるレベル以下に下がるまでは中性子照射室17内の照射室ドア23がロックされる等のインターロックがあることが望ましい。また、電源電圧の変動は大きな誤差要因となるので、大容量の安定化電源24が非常用電源25を用いたバックアップ電源とともに使用することが望ましい。
【0116】
12は本発明の別な実施例を標的チャンバ12について示したもので、標的チャンバ12から放射状に伸びる中性子ビームライン14の内、イオンビームライン11の正面にはビームダンプ26を設け、最大エネルギーの中性子ビームライン27は正面から少しずらすように配置したものである。最大エネルギーの中性子ビームラインをイオンビームラインの正面にする場合、いずれにしてもビームダンプ26は必要であるが、ビームダンプ26自身が発生する中性子がノイズとなるため、避けることが望ましい。
【0117】
図12は、標的13を配置した標的チャンバ12の概略図を例示したものである。標的チャンバ12には、イオンビームと標的13との核反応によって発生する中性子を外部に取り出すための出口が少なくとも2つ以上設けられており、この出口の延長線上であって、中性子ビームの軸上に、評価すべき半導体デバイスを格納したソフトエラー計測アセンブリ18が配置されている。この図において、標的13は入射イオンビームに対して傾けてあるが、入射イオンビームに対して直交方向へ放射される中性子の不要な散乱を避けるためである。
【0118】
このようにして、代表エネルギーKi、フラックスΦ(Ki)に対応する中性子ビームライン14に設置された半導体デバイスが、時間Tの間に1チップあたり、平均n(Ki)個のソフトエラーを起こしたとすると、そのデバイスのSEU断面積σi(Ki)は次式で表わされる。
【0119】
【数26】
Figure 0003792092
【0120】
そして、この結果を用いて、このデバイスの宇宙線中性子に対するソフトエラー率予測値SER及び全SEU断面積σcosmicを次のように求めることが出来る。
【0121】
【数27】
Figure 0003792092
【0122】
【数28】
Figure 0003792092
【0123】
これによって、各種のデバイスにおける宇宙線中性子に起因するソフトエラー耐性の評価を、従来の方法に比較して飛躍的に効率良く行なうことが可能になる。
【0124】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体デバイスの宇宙線中性子によるソフトエラー耐性に関して、実環境に対応させたソフトエラー率の予測が短期間で行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における宇宙線中性子の発生原因とその影響因子を説明するための図である。
【図2】東京における宇宙線中性子及びWNRにおける中性子の微分フラックスを表わす説明図である。
【図3】本実施例における宇宙線中性子に起因したソフトエラー率の評価解析フローを説明するための図である。
【図4】本実施例における計算によってソフトエラー率を算出するための解析フローを説明するための図である。
【図5】本実施例における理論解析に用いたデバイスモデルを説明するための概略図である。
【図6】本実施例における宇宙線中性子の微分フラックスを分割する方法を説明するための図である。
【図7】本実施例における核破砕反応の核内散乱カスケードを概念的に説明するための図である。
【図8】本実施例におけるソフトエラー回数に関する理論解析結果と半導体デバイス内に設けた領域との関係を表わす説明図である。
【図9】本実施例における宇宙線中性子及びWNRの中性子スペクトルに関して、同数の中性子を入射した場合のソフトエラー発生頻度の比較を表わす図である。
【図10】本実施例の応用例を説明するための図である。
【図11】別の実施例を表わす概略図である。
【図12】別の実施例における照射中性子ビームの配置例を表わす図である。
【符号の説明】
10…イオンビーム発生器、11…イオンビームライン、12…標的チャンバ、13…標的、14…中性子ビームライン、15…中性子スペクトル簡易評価装置、16…飛行時間測定ライン、17…中性子照射室、18…ソフトエラー計測アセンブリ、19…解析室、20…解析装置、21…温度・湿度調整装置、22…中性子レベルモニタ、23…照射室ドア、24…安定化電源、25…非常用電源、26…ビームダン、27…中性子ビームライン

Claims (9)

  1. 宇宙線中性子のスペクトル分布を予め定められた複数のエネルギー値を代表値として有するエネルギーバンドに分割する手順と、前記複数のエネルギー値に対応する半導体デバイスのソフトエラー部分断面積を求める手順と、該部分断面積を前記複数のエネルギーバンド毎の総フラックスで重み付けを行なって、前記ソフトエラー部分断面積の総和を求める手順を備え、該ソフトエラー部分断面積の総和を用いて予め定められた実使用環境における前記半導体デバイスのソフトエラー率を推測することを特徴とする半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法。
  2. 前記分割した個々のエネルギーバンド内に含まれるフラックスの総和に対応させたエネルギーの代表値を有する中性子を前記半導体デバイスに照射させることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法。
  3. 前記半導体デバイスの領域に含まれる電子ー正孔対の発生量が、予め設定した閾値を越えたとき、前記半導体デバイスにソフトエラーが発生したと判定することを特徴とする請求項記載の半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法。
  4. 異なるエネルギーを有する複数の中性子ビームの各々を個別に設けられた前記半導体デバイスに対して同時に照射することによって、前記半導体デバイスにおけるソフトエラー部分断面積を計測することを特徴とする請求項記載の半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法。
  5. 前記中性子ビームが 7 Li または Be の薄板に高エネルギーイオンを衝突させて得られることを特徴とする請求項記載の半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法。
  6. 複数の前記エネルギーバンドに対応する代表エネルギーを、宇宙線中性子スペクトルにおけるエネルギーバンド内の、エネルギー微分フラックスで重み付けした平均値とすることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法。
  7. 前記ソフトエラー部分断面積の総和を求める手順において、複数の前記エネルギーバンド毎の総フラックスが全て等しくなるように設定されてなることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価方法。
  8. イオンビーム発生器と、チャンバに格納された薄板標的と、半導体デバイスを配置したソフトエラー計測アセンブリと、前記半導体デバイスのソフトエラー率を計算するための解析装置を備え、前記チャンバは前記薄板標的と前記イオンビーム発生器から放出されたイオンビームとの核反応によって発生する中性子ビームが放射される少なくとも2つ以上の出口を備えてなり、前記解析装置は、宇宙線中性子のスペクトル分布を分割し、分割された複数のエネルギーバンド内の代表エネルギー値を、前記半導体デバイスへの照射中性子エネルギーとして設定する手段と、前記半導体デバイスに記録された情報の内容を記録及び読み出しを行なう手段と、比較手段と、制御手段とを有し、前記比較手段が前記中性子の照射がなされた後に、前記半導体デバイスの記録内容を読み出して、予め記録された内容と比較し、該比較結果が予め定められた値を超えると前記半導体デバイスにソフトエラーが発生したと判定するように、制御手段が制御されることを特徴とする半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価装置。
  9. 前記ソフトエラー計測アセンブリは、複数の異なるエネルギーを有する中性子ビームが照射される光軸上に各々配置され、前記半導体デバイスに対して前記複数の中性子ビームが同時に照射されるように前記制御手段が制御されることを特徴とする請求項に記載の半導体デバイスの宇宙線ソフトエラー耐性評価装置。
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