JP3790839B2 - 枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機の胴配列 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、枚葉紙のただ1回の紙通しによって枚葉紙の両面に多色刷りすることができるユニット型式の枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機の胴配列構成に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
枚葉紙の表裏両面に多色のオフセット印刷を施すにあたり、印刷機をただ1回通すことでこれを行なう両面多色刷りの専用機は、これまでに各種のものが知られている。その1例に、本件出願人が前に提案したものが特公平3−21346号公報に開示されている。そのものは、2本のゴム胴に横方向から接する共通の圧胴が版およびゴム胴径の3倍である5胴型2色刷り印刷ユニットであって、前記ゴム胴の前記圧胴に対する配置が左右勝手違いのものを複数組設け、その左右勝手違いの印刷ユニットを交互にその圧胴どうしを上下方向にジグザグ状に連接させた胴配列構成の両面4色刷りオフセット印刷機である。更に述べれば、印刷機に供給された枚葉紙が、各圧胴間でくわえ替えされながら下方より上方へと移送されてゆく態様になっていて、各印刷ユニット間に渡し胴(中間胴)は存在しない。
【0003】
上記のものは、胴による紙のくわえ替え回数をそれまでに知られていた両面4色刷り機に比して極力少なくして見当精度の向上を意図したこと、および機械のコンパクト化、ならびに操作性の向上を目的としたものでそれなりの効果は期待できた。しかしながら、その実施例の記載から明らかであるように、この構成のものでは印刷する枚葉紙のサイズは菊半裁判(469mm×636mm)程度の比較的小さい紙寸法のものが対象である。紙幅は短小であるから各印刷ユニットの版胴間に印刷作業員が入って作業することは想定されてない。版の取り付け取り外し、洗浄、ゴム引き、そしてゴム胴の洗浄、その他のメンテナンス等に必要な作業は、機械の両サイドから手を差し伸べて行なわれるのである。
【0004】
ところで、現在普遍化しているユニット型片面多色刷り印刷機をみるに、四六全判紙(788mm×1091mm)や、菊全判紙(636mm×939mm)等の大判紙用の大型印刷機では、前記の印刷作業は、印刷ユニットの版胴間に形成される作業空間に人が入って行なうようになっているのが通例である。
【0005】
このことは、近年普及化傾向にあるユニット型両面多色刷り専用機にも踏襲されていて、印刷ユニットは横方向に連接される形態を採るものが主流を占めている。その1例を特開平6−336003号公報の記載に見ることができる。このものは、版・ゴム・圧の3胴からなる単色刷り印刷ユニットを複数個用いて両面多色刷りを行なうもので、その実施例中には前記印刷ユニットの圧胴どうしを水平に連接しているものと、各印刷ユニットの圧胴間に2個ずつ中間胴(渡し胴)を介在させて水平に連接しているもの等が示されている。詳しくは、その単色刷り印刷ユニットは版胴・ゴム胴が圧胴の上方に位置する表面刷り印刷ユニットと、版胴・ゴム胴が圧胴の下方に位置する裏面刷り印刷ユニットとして作用するものが交互に前記した如く連接している。因みに、その圧胴径は版胴・ゴム胴径の2倍のものと、3胴が同一直径のものとが例示されている。
【0006】
上記公報記載の両面各4色刷りについて使われている全胴数を調べると、圧胴が倍胴使用のもので24本、同一直径のものに至っては30本のものを必要としている。また枚葉紙搬送時における圧胴間の爪によるくわえ替え数は7回、中間胴を含む場合は更に増え12回となっていることが分かる。
【0007】
また、上記の胴配列による裏面刷り部は、圧胴の下方にゴム胴・版胴が位置する構成で裏印刷ユニットが並立し、その間に作業員が入ってメンテナンス、その他の操作を行なうようになっている。このことは該公報添付図面における人と機械との対比、明細書の記述から明らかでその対象印刷紙寸法を勘案すると、それが大であることが読み取れる(例えば四六全判紙788mm×1091mm)、菊全判紙(636mm×939mm)。この胴配列をいま仮に四六半裁判(545mm×788mm)、菊半裁判(469mm×636mm)程度の比較的小さい紙寸法のものを印刷対象とする印刷機に実施するとしてみよう。胴径は小さいものが設計上選定されるのが無駄がなく合理的である。必然的に機械は小型化するが取り扱う作業員の方に変わりはない。印刷ユニット間での作業を可能にするためには、大型機と同程度になるまで機械下半部をそのためだけに嵩上しなければならず(実施例図面のものでさえ基礎面を掘り下げている)、加えて胴径を小にすれば印刷ユニットの間隔がつまるので、特に裏面刷り部は下方にあるので問題となろう。一口にいって、この胴配列では菊半裁紙程度の紙サイズに印刷する両面多色刷り機への適用には無理がある。
【0008】
最近に至って、両面多色刷り専用機は四六半裁判、菊半裁判サイズの印刷を主とする小型機の需要も見込まれるようになってきた。しかしながら、本件出願人が提案した前記特公平3−21346号公報に開示のものは、前記した如く特殊形態であるためか既成の作業者に馴染まず普及の妨げとなっている。
【0009】
ところで、多色刷り機において各版胴の回転位相が全印刷ユニットを通じて常に等しい位相にあることは、作業効率の面からいって極めて望ましいことである。例えば版替え時に、全ての印刷ユニットの版胴の回転位相が揃っていれば、全ての版胴の版替え作業等が違う作業員によって同時進行で行なえるからである。前記の両面4色刷りオフセット印刷機のように、5胴型印刷ユニットの圧胴どうしがジグザグ状に連接しているものにあっては、高さを低くコンパクトにする効果はあるものの、版胴の位相を揃えることは出来ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情のもとに提案されたもので、四六半裁判・菊半裁判サイズの用紙に両面多色刷りを行なうにあたり、胴爪による紙くわえ替え回数を極力少なくすること、渡し胴のない少ない胴数でしかも各版胴間に人が入って作業し得る作業空間が確保できること、版替え等の作業が能率良く行なえるようにすること、印刷機のコンパクト化、以上を目的とした枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機の胴配列の提供にある。
【0011】
更に次に述べるものは、上記意図のもとに達成された発明を基体とし、その改良発明として開示するものである。そもそも印刷用紙はシーズニングされているものであるが、印圧がかかれば印刷紙に伸びが生じることは避けられない。特に最初の印刷時には最大の伸び量が計測される。したがって、用紙を事前に加圧し伸ばしておくことができれば、前記の伸び量は極めて微量なものとなって、多色刷り印刷時の見当精度に好結果をもたらす。そこで改良発明では、搬送途上にある未印刷の枚葉紙に対する加圧を、圧胴上でしかも簡易な構成のもとに行なうことを意図したもので、見当精度の一層の向上を目的とした。因みに上記の加圧手段は特許請求の範囲の請求項1に記載の胴配列構成のものにのみ特設し得る。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を達成するために以下の構成とした。すなわち、ユニット型式の枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機であって、連接している各印刷ユニットの胴配列態様が、互いに勝手違いの5胴型2色刷り印刷ユニットであるものにおいて、前記5胴型2色刷り印刷ユニットにおける圧胴を、等径である版・ゴム胴径の4倍直径で構成することと、その胴配列態様を、版・ゴム胴が圧胴の上方側にあって圧胴に連動する形態と、下方側にあって圧胴に連動する形態との上下が勝手違いの2種類設けることと、更に此等印刷ユニットの各版胴軸心を圧胴外周における垂直接線上に位置するように特定し、かつ各ゴム胴軸心を圧胴軸心方向に僅かに寄せた位置に設定すること、そして当該構成による勝手違い印刷ユニットの一組または複数組を、その圧胴どうしが水平に並ぶように配置し連接した構成を特徴とする枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機の胴配列である。
【0013】
また改良発明のものは、上記した枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機の胴配列のものを基体とすることを条件とし、その給紙機側に位置している前記印刷ユニットにおける圧胴周辺の空間部、つまり前記圧胴が版・ゴム胴径の4倍直径であるが故に形成される周辺大空間部に、前記ゴム胴と同一直径からなるとともに前記圧胴に連動させた紙伸ばし用圧延胴が特設されていることを特徴とする枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機の胴配列である。
【0014】
【作用】
言うまでもないが、上記の圧胴には全て紙くわえ爪が胴周4箇所に付設してある。各印刷ユニット間の紙のくわえ替えは紙くわえ爪の遭遇箇所で行なわれるので、印刷胴間の紙のくわえ回数は両面4色刷り機の構成時に、つまり勝手違いの前記印刷ユニット2組みずつ計4印刷ユニットを交互に連接した時に3回、両面2色刷り機の構成時に、つまり勝手違いの前記印刷ユニットを互いに連接したものにおいて1回である。
【0015】
付言すれば、給紙機構からの枚葉紙は最初の圧胴上で表面2色が印刷され、この印刷紙は次の圧胴にくわえ替えられて裏面2色が印刷される。この圧胴に排紙機構を連接させる構成をとれば、両面各2色の多色刷りをただ1回の紙くわえ替えで達成できることになる。両面4色刷り機の場合は連接する圧胴は4本であるから、胴間は3箇所であって紙くわえ替えは3回で排紙機構に連接する。このように胴間で紙のくわえ回数の少ないのは、本発明が前記のように、5胴型の2色刷り印刷ユニットを利用して、両面多色刷りの胴配列を構成した利点である。
【0016】
特に、本発明は各印刷ユニットの圧胴を水平方向に凹凸なく横一線に連接させ、各版胴軸心を圧胴外周における垂直接線上に位置するように特定したことで、全ての版胴間の間隔は一定となり、圧胴径が版胴径およびゴム胴径の4倍で構成したことと相俟って、版胴が四六半裁判用に適応する小直径のものであっても、版胴間の作業空間を十分に確保できる。
【0017】
更に本発明によれば、表面刷り用に配置される印刷ユニットの版胴のうち、1色目版胴と3色目版胴の回転位相は同位相となり、2色目版胴と4色目版胴が同位相になる。裏面刷り用として配置される印刷ユニットに属する版胴の回転位相も前記同様に、1色目版胴と3色目版胴の回転位相は同位相であり、2色目版胴と4色目版胴が同位相になる。更に、裏面刷り用印刷ユニットの圧胴に対する版胴の回転位相は表面刷り用印刷ユニットの圧胴に対する回転位相と完全に一致する。このことは版替え等印刷作業の能率向上に役立つ。
【0018】
なお、各ゴム胴軸心を圧胴軸心方向に僅かに寄せた位置に設定することは、ゴム胴の胴歯車と連接印刷ユニットにおける圧胴の胴歯車との干渉を防ぐための措置である。
【0019】
改良発明のものは、前記した如く圧胴周辺の空間部、つまり前記圧胴が版・ゴム胴径の4倍直径であるが故に形成される周辺大空間部に、前記ゴム胴と同一直径からなる紙伸ばし用圧延胴を配置するとともに前記圧胴に連動させた構成であるから、簡単な構成をもって印刷直前の未印刷枚葉紙を加圧するこことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を詳述する。図1はこの発明に係わる枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機全体を、その1実施例である両面4色刷り機として表した側面概要図である。図2は本発明要部である胴配列態様を示す詳細説明図である。
なお、図面には本発明要部の説明に関係のないインキング機構、湿し水機構等の図示は省略し、また全図を通し共通の部分を示すところには同一の符号が付してある。
【0021】
図面符号における1は8本の版胴を示し、2は8本のゴム胴をそれぞれ示す。版胴1とゴム胴2は等しい直径を有する。3は4本の圧胴を示す。圧胴は版胴とゴム胴の4倍の直径を持ち、周面4等分位置に紙くわえ爪4が装置されている。A,B,C,Dは、それぞれ前記の版胴1およびゴム胴2が各2本と圧胴1本との組合せで、所謂5胴型2色刷り印刷ユニットを構成しているものを示す。その内のAおよびCは、圧胴3の上方にゴム胴2が接し、ゴム胴2の上方に版胴1が接する態様である。またBおよびDは、圧胴3の下方にゴム胴2が接し、ゴム胴2の下方に版胴1が接する態様である。つまりA,CとB,Dは上下が互いに勝手違いとなっている。そしてこの両態様のものが交互にA,B,C,Dの順に圧胴3どうしが水平になるようにして連接しているのである。
【0022】
図2においては、上記の5胴型2色刷り印刷ユニットと、それを連接して構成した胴配列を詳細に示す。版胴1の軸心O1は圧胴3の垂直な接線5上に位置し、ゴム胴2の軸心O2の位置は圧胴3の軸心O3を通る垂直線中心線6方向に、僅かに寄せた位置に設定してある。つまり、図示してないゴム胴歯車と図示してない圧胴歯車との歯車干渉を防ぐとともに、圧胴上でのゴム胴間の間隔がなるべく広くなるように位置させているのである。
【0023】
前記の構成によって、圧胴上での版胴間の間隔7、8、9、10と各印刷ユニット間での間隔11、12は共に同一の間隔になる。またゴム胴間隔については、表面刷り用印刷ユニットA,Cの圧胴上における間隔と、裏面刷り用印刷ユニットB,Dの圧胴上の間隔とは共に同一であって版胴間隔より僅か狭くなるが(各印刷ユニット間でのゴム胴間隔はその分広くなる)、その差は僅少であるから作業空間の形成には何等支障がない。
【0024】
給紙側印刷ユニットAの圧胴3には、スイング機構13と給紙渡し胴14からなる給紙機構が連接し、排紙側印刷ユニットDの圧胴3には排紙胴15とチェーン搬送装置16からなる排紙機構が連接する。なお17は排紙され堆積している枚葉紙、18は給紙機19に積載される枚葉紙を示したもの、20は給紙板である。なお外郭線21は、排紙装置のフレームを含んだ印刷機全体のフレームを示すもので、製作に際し適宜分割したものを結合して構成する。
【0025】
上記印刷機において、給紙機19の枚葉紙18は、給紙渡し胴14から印刷ユニットAの圧胴3における図示しない何れかの紙くわえ爪4にくわえられた後、1図の太線で示した経路を経て排紙胴15へと送られる。圧胴間での紙のくわえ替えは爪4の遭遇箇所22、23、24点での3回である。枚葉紙はこの搬送中に印刷ユニットAにおいて表面に2色、Bにおいて裏面に2色の印刷が行なわれ、更にCにおいて表面2色、Dにおいて裏面2色が追加印刷され、両面の4色刷りが完成する。
【0026】
なお、図示は省略したが両面2色刷り用として本発明を実施するには、前記実施例のものにおいて印刷ユニットAとDとを直接連接し、B,Cの印刷ユニットを省略して構成すれば良い。圧胴間での紙のくわえ替えは1回のみで両面2色刷りが達成できる。他については第1実施例と同様である。
【0027】
両面6色刷り用として本発明を実施するには(図示省略)、図1に示す5胴型2色刷り印刷ユニットA,B,C,Dにおいて、B,C相当のものを追加構成し、A,B,C,B,C,Dの順序に胴配列すれば良い。
【0028】
つぎに図1の構成について、図2を参照し、更に具体的数字をあげて説明すると、この発明は印刷すべき紙サイズが、例えば、四六半裁判(545mm×788mm)、菊半裁判(469mm×636mm)のような比較的小サイズの紙寸法のものの両面多色刷りに適している。(四六半裁判と菊半裁判用の胴径は同じくして設計すれば構成上の共通部品が多くなり部品管理上有利である)。
【0029】
いま仮に版・ゴム胴直径を240mmに設定すると、圧胴径はその4倍で960mm、従って版胴軸心間も同じ960mmであるから版胴間に形成される作業空間7、8、9、10、そして各印刷ユニット間11、12のそれは720mmとなる。作業空間はそれより図示してない湿し水機構の分狭小にはなるが、人が間に入って作業するのに支障をきたすことはない。因みに四六半裁判、菊半裁判共用の胴径としては本例の場合やや大きめの嫌いはあるが、本発明は従来機に比し数々の利点があるのでそれをカバーして余りがある。胴径の選定は本例に限らず作業空間との兼ね合いで更に小径とする設計は自由である。
【0030】
次に版胴の回転位相に関して述べる。四六半裁紙印刷用の版板を240mm直径の版胴に巻き付けると、その円周の含む角度は260度以上になるが、理解を容易にするため、図2はこれを180度として斜線を施して示した。図を一見すれば分かるように、各印刷ユニットの圧胴どうしを横一線に並べて連接したことで、印刷ユニットAとCおよびBとDは、圧胴3ゴム胴2版胴1の関係位置が全く同じになる。つまり回転位相が揃うので1色目と3色目は同時版替えが行なえ、少し回転移動すれば2色目と4色目の同時版替えが行なえる。
【0031】
更に他の実施例である改良発明の構成について陳べると、それは図示の通り、前記実施例における印刷ユニットA所属の圧胴3の給紙側空間部、すなわち給紙渡ム胴2間の空間部に、紙伸ばし用圧延胴25を配置してなるものである。この紙伸ばし用圧延胴25はゴム胴2と直径が等しくかつ同様形態に形成され圧胴3に連動する。圧胴3に対する接触圧力の調節もまたゴム胴2と同様に胴自体を進退させて調節するように構成される。この装置については周知事項であるから説明を省略する。この改良発明の実施は印刷直前の搬送状態にある未印刷枚葉紙を加圧するこことができるので、圧胴爪による紙のくわえ替え数が少ない構成と相俟って、見当精度の一層の向上が望める。
なお、必要に応じて湿し水機構を紙伸ばし用圧延胴25に付加すれば搬送中の印刷紙に加湿と同時に加圧することもできる。湿し水機構は従来周知の版面へのものと同様構成にすれば良い。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明は、前記した特公平3−21346号のものと同様に、5胴型の2色刷り印刷ユニットを渡し胴を用いず連接する構成で圧胴間での紙のくわえ替え回数を少なくしたことに加え、圧胴を特に4倍胴とした既述構成のもとに圧胴を横一線に並べて水平に連接した構成であるから四六半裁判、菊半裁判サイズの両面多色刷り機に実施したとき、版胴間の作業空間を確保する設定が容易である。しかも版胴の回転位相は奇数番目にあるものと、偶数番目にあるものとがそれぞれ同一位相にあるので作業の能率化が望める。本構成によるものは、いわゆるB−Bタイプの両面刷り機で行なわれているようなゴム胴間に紙を通しての印刷ではなく、ゴム・圧胴間の印刷であるから、B−Bタイプに比較してツブレの良いシャープな印刷が可能である。
【0033】
改良発明のものは、いままでに陳べてきたように前記の胴配列構成を利用して初めて実施可能なものである。従来のユニット型印刷機では如何なる形態のものでも、本願記載のような紙伸ばし用圧延胴を印刷機自体に設けることは不可能である。設置空間が無いからである。本願は未印刷紙が圧胴とゴム胴間で印圧を受ける直前に紙伸ばし工程を付加することができるので、大掛かりな装置を必要とせず簡単な構成で所期の目的を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機を、その胴配列とともに示す全体側面概要図。
【図2】本発明要部である胴配列態様を示す詳細説明図である。
【符号の説明】
1・・・版胴、 2・・・ゴム胴、 3・・・圧胴、 4・・・くわえ爪、 5・・・圧胴の垂直接線(版胴中心線)、 6・・・圧胴の垂直中心線、 7、8、9、10、11、12・・・版胴間の間隔、 A、B、C、D・・・5胴型2色刷り印刷ユニット、 13・・・スイング機構、 14・・・給紙渡し胴、15・・・排紙胴、 16・・・チェーン搬送装置、 19・・・給紙機、21・・・フレーム外郭線、 22、23、24・・・圧胴爪の遭遇箇所、 25・・・紙伸ばし用圧延胴、 O1、・・・版胴軸心、 O2・・・ゴム胴軸心、 O3・・・圧胴軸心。
Claims (2)
- ユニット型式の枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機であって、連接している各印刷ユニットの胴配列態様が、互いに勝手違いの5胴型2色刷り印刷ユニットであるものにおいて、前記5胴型2色刷り印刷ユニットにおける圧胴を、等径である版・ゴム胴径の4倍直径で構成することと、その胴配列態様を、版・ゴム胴が圧胴の上方側にあって圧胴に連動する形態と、下方側にあって圧胴に連動する形態との上下が勝手違いの2種類設けることと、更に此等印刷ユニットの各版胴軸心を圧胴外周における垂直接線上に位置するように特定し、かつ各ゴム胴軸心を圧胴軸心方向に僅かに寄せた位置に設定すること、そして当該構成による勝手違い印刷ユニットの一組または複数組を、その圧胴どうしが水平に並ぶように配置し連接した構成を特徴とする枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機の胴配列。
- ユニット型式の枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機であって、連接している各印刷ユニットの胴配列態様が、互いに勝手違いの5胴型2色刷り印刷ユニットであるものにおいて、前記5胴型2色刷り印刷ユニットにおける圧胴を、等径である版・ゴム胴径の4倍直径で構成することと、その胴配列態様を、版・ゴム胴が圧胴の上方側にあって圧胴に連動する形態と、下方側にあって圧胴に連動する形態との上下が勝手違いの2種類設けることと、更に此等印刷ユニットの各版胴軸心を圧胴外周における垂直接線上に位置するように特定し、かつ各ゴム胴軸心を圧胴軸心方向に僅かに寄せた位置に設定すること、そして当該構成による勝手違い印刷ユニットの一組または複数組を、その圧胴どうしが水平に並ぶように配置し連接した構成となしたこと、更にその給紙機側に位置している前記印刷ユニットの圧胴には、前記ゴム胴と同一直径からなりかつ該圧胴に連動するようにして紙伸ばし用圧延胴が特設されていることを特徴とする枚葉紙両面多色刷りオフセット印刷機の胴配列。
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