JP3790206B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、氷蓄熱ユニットに蓄熱された冷熱を放熱して放冷冷房運転を実施する氷蓄熱槽を備えた空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧縮機および熱源側熱交換器を備えた熱源側ユニットと、氷蓄熱槽内にコイルが水没状態で配設された氷蓄熱ユニットと、利用側熱交換器を備えた利用側ユニットと、上記コイル内で凝縮された液冷媒を利用側熱交換器へ圧送可能に構成された冷媒液循環装置とを備えた空気調和装置が知られている。
【0003】
この種のものでは、上記冷媒液循環装置が、冷媒を貯溜可能な複数のサージタンクと、これらのサージタンク内へ高圧ガス冷媒を交互に供給可能にした供給手段とを有し、上記コイル内で凝縮されて上記サージタンク内に貯溜された液冷媒をサージタンク内へ交互に供給される高圧ガス冷媒により上記利用側熱交換器へ圧送可能に構成し、冷房運転を実施可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−46434号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種の空気調和装置では、氷を用いた冷房運転時(例えば、過冷却冷房運転時、冷媒液循環装置を用いた冷房運転時等。)よりも必要となる冷媒量が少ない、製氷運転時或いは蓄熱非利用冷房運転時に、冷媒回路中で余剰となった冷媒を、一時的に貯溜するレシーバタンクを備えるのが一般的である。
【0006】
しかし、このレシーバタンクを設けるとなると、コスト高になると共に、大きな設置スペースが必要になり、装置が大型化する等の問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、レシーバタンクを不要にした空気調和装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、圧縮機および熱源側熱交換器を備えた熱源側ユニットと、氷蓄熱槽内にコイルが水没状態で配設された氷蓄熱ユニットと、利用側熱交換器を備えた利用側ユニットと、上記コイル内で凝縮された液冷媒を利用側熱交換器へ圧送可能に構成された冷媒液循環装置とを備え、この冷媒液循環装置が冷媒を貯溜可能な複数のサージタンクと、これらのサージタンク内へ高圧ガス冷媒を交互に供給可能にした供給手段とを有し、上記コイル内で凝縮されて上記サージタンク内に貯溜された液冷媒をサージタンク内へ交互に供給される高圧ガス冷媒により上記利用側熱交換器へ搬送可能に構成した空気調和装置において、製氷運転時或いは蓄熱非利用冷房運転時に、上記サージタンクの少なくとも一つを、レシーバタンクとして利用する構成としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、圧縮機および熱源側熱交換器を備えた熱源側ユニットと、氷蓄熱槽内にコイルが水没状態で配設された氷蓄熱ユニットと、利用側熱交換器を備えた利用側ユニットと、上記コイル内で凝縮された液冷媒を利用側熱交換器へ圧送可能に構成された冷媒液循環装置とを備え、この冷媒液循環装置が冷媒を貯溜可能な複数のサージタンクと、これらのサージタンク内へ高圧ガス冷媒を交互に供給可能にした供給手段とを有し、上記コイル内で凝縮されて上記サージタンク内に貯溜された液冷媒をサージタンク内へ交互に供給される高圧ガス冷媒により上記利用側熱交換器へ搬送可能に構成した空気調和装置において、製氷運転時或いは蓄熱非利用冷房運転時に、上記熱源側ユニットからの冷媒を、上記コイルを経て複数のサージタンクのうち、少なくとも一つのサージタンクを循環させる運転回路を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、上記数のサージタンクへ交互に供給される高圧ガス冷媒は、熱源側ユニットの圧縮機よりも容量の小さな小容量圧縮機から供給される高圧ガス冷媒であることを特徴とするものである。
【0011】
これらの発明では、氷を用いた冷房運転時(例えば、過冷却冷房運転時、冷媒液循環装置を用いた冷房運転時等。)よりも必要となる冷媒量が少ない、製氷運転時或いは蓄熱非利用冷房運転時に、熱源側ユニットからの冷媒を、コイルを経て複数のサージタンクのうち、少なくとも一つのサージタンクを循環させる運転回路を備えたため、上記サージタンクが、従来のレシーバタンクの役割を果たす。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に示す空気調和装置20は、熱源側ユニット21、氷蓄熱ユニット22および利用側ユニット23を有して構成される。熱源側ユニット21は圧縮機28、四方弁29、熱源側熱交換器30および電動膨張弁31を有して構成される。また、利用側ユニット23は、利用側熱交換器32および電動膨張弁33を有して構成され、この電動膨張弁33は、空調負荷に応じて開度が調整される。
【0014】
氷蓄熱ユニット22は、熱源側ユニット21と利用側ユニット23との間に位置し、コイル34を収容した氷蓄熱槽35を備える。
【0015】
上記四方弁29と利用側熱交換器32とを接続する管路26には開閉弁37が配設され、この開閉弁37と利用側熱交換器32との間に一端27Aが接続された管路27には開閉弁40が設けられ、この管路27の他端27Bは上記コイル34に接続されている。
【0016】
上記氷蓄熱槽35には水が充満され、コイル34はこの氷蓄熱槽35内に水没状態で配設される。このコイル34内には、空気調和装置20の製氷運転時に熱源側熱交換器30から電動膨張弁31、管路24、開閉弁11、管路25、電動弁12および管路14を通じて液冷媒が流入して蒸発し、これにより、コイル34の外周に氷が付着して形成される。
【0017】
コイル34内で蒸発した冷媒は、上述した管路27、開閉弁40、開閉弁37、管路26および四方弁29を経て圧縮機28に戻される。
【0018】
後述する放冷冷房運転時には、このコイル34内で凝縮された液冷媒が、冷媒液循環装置100を介して、上記利用側熱交換器32へ圧送される。この冷媒液循環装置100が駆動された場合、熱源側ユニット21の駆動は停止し、この冷媒液循環装置100を介して、氷蓄熱ユニット22と利用側ユニット23間で液冷媒が循環する。
【0019】
この冷媒液循環装置100は、2個のサージタンク43Aおよび43Bと、各サージタンク43Aおよび43B内へ高圧ガス冷媒を交互に供給可能にした小容量圧縮機56(供給手段)とを有する。
【0020】
2個のサージタンク43Aおよび43Bは、管路15に対して、並列状態で接続され、これらのサージタンク43A、43Bは、合流配管44を介して、上記管路25に接続される。これにより、サージタンク43Aおよび43Bは、氷蓄熱槽35内のコイル34と利用側熱交換器32との間に配設されて、氷蓄熱槽35内の氷に蓄熱された冷熱により凝縮された液冷媒が貯溜可能に設けられる。
【0021】
サージタンク43A、43Bの流入側には流入側逆止弁45A、45Bが、また、合流配管44側に位置するサージタンク43A、43Bの流出側には流出側逆止弁46A、46Bがそれぞれ配設されている。
【0022】
上記流入側逆止弁45A、45Bは、氷蓄熱槽35のコイル34からサージタンク43A、43Bへのみ流れる冷媒の流れを許容し、流出側逆止弁46A、46Bは、サージタンク43A、43Bから利用側熱交換器32側へのみ流れる冷媒の流れを許容する。
【0023】
サージタンク43Aおよび43Bには高圧冷媒が交互に供給される。これらサージタンク43Aおよび43Bには管路53、54が接続され、これら管路53、54は、四方弁55および小容量圧縮機56に接続される。四方弁55の切り換え操作により、管路53への連通(A側切換)と、管路54への連通(B側切換)とが選択的に切り換えられる。また、小容量圧縮機56は、熱源側ユニット21における圧縮機28よりも小さな容量(1/10〜1/20)の圧縮機であり、空気調和装置20の放冷冷房運転時にのみ稼働される。
【0024】
この小容量圧縮機56から吐出される冷媒は、熱源側ユニット21の圧縮機28から吐出される冷媒と同一組成である。
【0025】
上記四方弁55のA側切換又はB側切換への操作により、小容量圧縮機56からの高圧ガス冷媒がサージタンク43A又は43B内へ交互に供給可能に構成される。これにより、サージタンク43A、43B内に貯溜された液冷媒が利用側熱交換器32へ圧送可能に構成される。
【0026】
上記サージタンク43A、43Bの上流側および下流側配管に、これらのサージタンク43A、43B内の液冷媒の液面レベルを間接的に検出するための第1温度センサ61、第2温度センサ62、第3温度センサ63および第4温度センサ64が配設されている。
【0027】
つまり、管路53に第1温度センサ61が設置されて、小容量圧縮機56からサージタンク43A内へ吐出される高圧ガス冷媒、またはサージタンク43A内から小容量圧縮機56へ吸い込まれる低圧ガス冷媒の温度T1(図2)が検出される。また、管路54には第2温度センサ62が設置されて、小容量圧縮機56からサージタンク43B内へ吐出される高圧ガス冷媒、またはサージタンク43B内から小容量圧縮機56へ吸い込まれる低圧ガス冷媒の温度T2(図2)が検出される。
【0028】
合流配管44には、その合流部分に第3温度センサ63が設置されて、サージタンク43Aまたは43Bから流出する冷媒の温度T3(図2)が検出される。この温度T3は、サージタンク43A又は43B内に貯溜されて利用側熱交換器32へ圧送される凝縮した液冷媒の温度であるか、または、小容量圧縮機56からサージタンク43A若しくは43B内へ吐出されて流出する高圧ガス冷媒の温度である。
【0029】
更に、流入側逆止弁45A、45Bの上流には、その合流部分に第4温度センサ64が設置されて、氷蓄熱槽35のコイル34内からサージタンク43A、又は43B内へ導かれる凝縮した液冷媒の温度T4(図2)が検出される。
【0030】
図1に示す制御装置60は、第1温度センサ61、第2温度センサ62、第3温度センサ63および第4温度センサ64からの検出温度(それぞれ温度T1、T2、T3、T4)を取り込み、サージタンク43A、43B内の液冷媒の液面レベル、特にサージタンク43A、43B内に液冷媒が殆ど又は全く存在しなくなった状態を検出して、四方弁55の切り換えを制御する。
【0031】
すなわち、四方弁55がA側切換とされているときには、サージタンク43A内に小容量圧縮機56からの高圧ガス冷媒が吐出されて、T1>T2となるため、サージタンク43Aの液面レベルを検知する必要がある。サージタンク43Aから、貯溜された液冷媒が利用側熱交換器32へ良好に圧送されている間は、このサージタンク43A内に液冷媒が存在し、図2に示すように、第3温度センサ63にて検出される温度T3は、第4温度センサ64にて検出される温度T4に近い温度となる。しかし、サージタンク43A内の液冷媒が不足してくると第3温度センサ63にて検出される温度T3が上昇し、液冷媒が存在しなくなると、温度T3は第1温度センサ61にて検出される温度T1とほぼ等しくなる。ここで、図2の符号Aは、サージタンク43A内の液冷媒の液面レベルを、符号Bは、サージタンク43B内の液冷媒の液面レベルをそれぞれ示す。
【0032】
そこで、制御装置60は、温度T3と温度T1との温度差(T3−T1)の絶対値が所定温度以下になった時点で、サージタンク43A内に液冷媒がほとんど存在しなくなった、または完全に存在しなくなったと判断し、四方弁55をB側切換として、小容量圧縮機56から吐出される高圧ガス冷媒を、サージタンク43B内へ導き、このサージタンク43B内に貯溜された液冷媒を、利用側熱交換器32へ圧送させる。
【0033】
制御装置60は、サージタンク43B内から利用側熱交換器32へ液冷媒が圧送されている場合には、温度T3と、第2温度センサ62にて検出される温度T2との温度差(T3−T2)を算出し、その絶対値が上記所定温度以下となった時点で、サージタンク43B内に液冷媒がほとんど存在しなくなった、または完全に存在しなくなったと判断して、四方弁55をA側切換とする。
【0034】
これにより、サージタンク43A内に貯溜された液冷媒が利用側熱交換器32へ圧送される。制御装置60は、四方弁55を上述のように切り換え操作して、サージタンク43A又は43B内に貯溜された液冷媒を交互に利用側熱交換器32へ圧送する。
【0035】
本実施の形態では、後述する製氷運転時或いは蓄熱非利用冷房運転時に使用される冷媒回路であって、上記熱源側ユニット21からの冷媒を、複数のサージタンク43Aおよび43Bおよびコイル34を通した後、上記熱源側ユニット21へ戻す運転回路が形成されている。
【0036】
[A]製氷運転
空気調和装置20の製氷運転は、例えば、夜間10時から翌朝8時までの電力料金の安い時間帯に、熱源側熱交換器30からの液冷媒を氷蓄熱槽35のコイル34内へ供給し、氷蓄熱槽35内に氷を作る運転である。
【0037】
熱源側ユニット21の圧縮機28が稼働されると、この圧縮機28から吐出されたガス冷媒は、熱源側熱交換器30にて凝縮され、電動膨張弁31を経て減圧される。この場合には、開閉弁11が閉じて、開閉弁17が開かれ、その結果、熱源側熱交換器30からの液冷媒が、実線矢印で示すように、まず、複数のサージタンク43Aおよび43Bへ導かれる。その後、合流配管44、電動弁12および管路14を経て、氷蓄熱槽35のコイル34内へ流入する。このコイル34内に流入した冷媒は蒸発して、コイル34の外周に氷を付着した状態で形成する。その後、コイル34内のガス冷媒は管路27および開閉弁40、37を経て四方弁29に至り、圧縮機28に戻される。
【0038】
この場合、上記開閉弁17、サージタンク43Aおよび43B、合流配管44等が、上記熱源側ユニット21からの冷媒を、複数のサージタンク43Aおよび43Bおよびコイル34を通した後、上記熱源側ユニット21へ戻す運転回路を構成する。このサージタンク43Aおよび43Bはいわゆるレシーバタンクと同じ役割を果たす。これと同じ役割を果たすのであれば、一方のサージタンク43A又は43Bだけを用いてもよい。
【0039】
[B]蓄熱非利用冷房運転(通常冷房運転)
空気調和装置20の通常冷房運転は、氷蓄熱槽35内の氷に蓄熱された冷熱を利用しないで実施される冷房運転である。
【0040】
圧縮機28が稼働されると、この圧縮機28から吐出されたガス冷媒は、熱源側熱交換器30にて凝縮され、電動膨張弁31を経て減圧される。この場合には、開閉弁11が閉じて、開閉弁17が開かれ、その結果、熱源側熱交換器30からの液冷媒が、点線矢印で示すように、まず、複数のサージタンク43Aおよび43Bへ導かれる。その後、合流配管44、管路25、電動弁12、開閉弁6を経て、さらに電動膨張弁33を経て利用側熱交換器32へ流入し、この利用側熱交換器32にて蒸発して、蒸発潜熱により室内を冷房した後、開閉弁37、管路26および四方弁29を経て圧縮機28へ戻される。
【0041】
この場合、上記開閉弁17、サージタンク43Aおよび43B、合流配管44、開閉弁19等が、上記熱源側ユニット21からの冷媒を、複数のサージタンク43Aおよび43Bおよびコイル34を通した後、上記熱源側ユニット21へ戻す運転回路を構成する。
【0042】
これらのサージタンク43Aおよび43Bは上述したようにいわゆるレシーバタンクと同じ役割を果たす。
【0043】
[C]放冷冷房運転
空気調和装置20の放冷冷房運転は、例えば、昼間気温が上昇する時間帯に、氷蓄熱槽35のコイル34内で氷の冷熱により液化されてサージタンク43A、43B内に貯溜された液冷媒を、このサージタンク43A、43Bから利用側熱交換器32へ圧送することにより実施される。
【0044】
この場合には、熱源側ユニット21の圧縮機28は、製氷運転終了後の停止状態にある。この状態で、小容量圧縮機56が稼働され、第1温度センサ61、第2温度センサ62および第3温度センサ63からの温度信号に基づき、制御装置60が四方弁55のA側切換とB側切換とを交互に実施する。
【0045】
例えば、第3温度センサ63にて検出された温度T3と第2温度センサ62にて検出された温度T2との温度差(T3−T2)の絶対値が所定温度以下となったときに、制御装置60は、四方弁55をB側切換からA側切換として、小容量圧縮機56から吐出された高圧ガス冷媒を、第1配管51および第3配管53を経てサージタンク43A内へ導く。
【0046】
これにより、このサージタンク43A内の貯溜液冷媒が、一点鎖線で示すように、流出側逆止弁46A、合流配管44、管路25および開閉弁19を経て、さらに電動膨張弁33を経て利用側熱交換器32内へ流入する。
【0047】
利用側熱交換器32内へ流入した液冷媒は、後述するように氷蓄熱槽35のコイル34内を通り、氷蓄熱槽35内の氷に蓄熱された冷熱により凝縮された液冷媒であるため、利用側熱交換器32内で蒸発することにより、上記氷の冷熱の放熱(放冷)と蒸発潜熱とにより室内を効率的に冷却する。
【0048】
利用側熱交換器32にて蒸発したガス冷媒は、開閉弁40、管路27を経て氷蓄熱槽35のコイル34内へ流入し、上述の如く、氷蓄熱槽35内の氷により凝縮して液冷媒となって、今度は、開閉弁4を経て、さらに流入側逆止弁45Bを経てサージタンク43B内へ流入する。
【0049】
この時、サージタンク43A内が高圧であるため、氷蓄熱槽35のコイル34内の液冷媒は、サージタンク43A内へ流れることなくサージタンク43B内へ流れる。同様に、サージタンク43B内がサージタンク43Aに比べて低圧であるため、サージタンク43B内の貯溜冷媒が流出側逆止弁46Bを経て利用側熱交換器32側へ流出することもない。
【0050】
第3温度センサ63にて検出された温度T3と第1温度センサ61にて検出された温度T1との温度差(T3−T1)の絶対値が所定温度以下になった時に、制御装置60は、四方弁55をB側切換として、小容量圧縮機56から吐出された高圧ガス冷媒を、第1配管51および第4配管54を経てサージタンク43B内へ導く。すると、サージタンク43B内に貯溜された液冷媒が、流出側逆止弁46B、合流配管44、管路25、開閉弁19および電動膨張弁33を経て利用側熱交換器32へ流入し蒸発して、前述と同様に、放冷および蒸発潜熱により室内を効率的に冷房する。この利用側熱交換器32からのガス冷媒は、開閉弁40および管路27を経て氷蓄熱槽35のコイル34内で氷の冷熱により凝縮されて液冷媒となり、管路14、開閉弁4および管路15、さらに流入側逆止弁45Aを経てサージタンク43A内へ流入する。
【0051】
制御装置60は、温度T3とT2との温度差(T3−T2)の絶対値が所定温度以下となったときに四方弁55をA側切換とし、温度T3とT1との温度差(T3−T1)の絶対値が所定温度以下となったときに四方弁をB側切換として、上述の動作を繰り返し、放冷冷房運転を継続させる。
【0052】
本実施形態では、上記した[A]の製氷運転時、或いは[B]の蓄熱非利用冷房運転時に、サージタンク43Aおよび43Bが、いわゆるレシーバタンクと同じ役割を果たすため、従来必要としていたレシーバタンクが不要になる。
【0053】
そのため、レシーバタンクを削減した分だけ、従来のものと比べて、コスト削減が図れると共に、設置スペースが削減され、装置を小型化することができる等の効果が得られる。
【0054】
この空気調和装置20では、上述のように構成されたことから、次の効果▲1▼〜▲3▼を奏するものである。
【0055】
▲1▼第1温度センサ61、第2温度センサ62、第3温度センサ63および第4温度センサ64を用いて、サージタンク43A、43Bから流出する冷媒の温度を管理することにより、サージタンク43A、43B内における液冷媒の液面レベルを把握でき、第3温度センサ63にて検出される温度T3、第2温度センサ62にて検出される温度T2、および第1温度センサ61にて検出される温度T1から、温度差(T3−T1)と温度差(T3−T2)とのそれぞれの絶対値が所定温度以下となったときに、一方のタンク(サージタンク43A又は43B)に液冷媒が完全に存在しなくなった、または完全に存在しなくなる直前もしくは直後であると判断して、他方のタンク(サージタンク43B又は43A)から利用側熱交換器32へ直ちに液冷媒を圧送する。
【0056】
この結果、サージタンク43A、43B内の液冷媒を滞ることなく連続的に、かつ確実に利用側熱交換器32へ圧送でき、従って、氷蓄熱槽35内の氷の冷熱を利用した放冷冷房運転を良好に実施できる。
【0057】
▲2▼冷媒温度を検出する第1温度センサ61、第2温度センサ62、第3温度センサ63および第4温度センサ64をタンクの流出側および流入側等に設置し、サージタンク43A、43B内の液冷媒の液面レベルを直接検出する、温度センサよりも高価な液面センサをサージタンク43A、43Bに設置しないことから、コストを低減できる。
【0058】
▲3▼第1温度センサ61と第2温度センサ62により、小容量圧縮機56からの吐出ガス冷媒および吸込ガス冷媒の温度を管理でき、第3温度センサ63により、サージタンク43Aまたは43Bから利用側熱交換器32へ圧送される冷媒の温度を管理することができる。
【0059】
以上、一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、製氷運転時、或いは蓄熱非利用冷房運転時に、サージタンクが、いわゆるレシーバタンクと同じ役割を果たすため、従来必要としていたレシーバタンクが不要になる。そのため、レシーバタンクを削減した分だけ、従来のものと比べて、コスト削減が図れると共に、設置スペースが削減され、装置を小型化することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気調和装置の一実施の形態を示す管路図である。
【図2】温度センサにより検出された冷媒温度と、サージタンク内の液冷媒の液面レベルとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
21 熱源側ユニット
22 氷蓄熱ユニット
23 利用側ユニット
28 圧縮機
29 四方弁
32 利用側熱交換器
34 コイル
35 氷蓄熱槽
43A、43B サージタンク
55 四方弁
56 小容量圧縮機
100 冷媒液循環装置
102 冷媒液量調整タンク
113 ガス冷媒吸込用配管
Claims (3)
- 圧縮機および熱源側熱交換器を備えた熱源側ユニットと、氷蓄熱槽内にコイルが水没状態で配設された氷蓄熱ユニットと、利用側熱交換器を備えた利用側ユニットと、上記コイル内で凝縮された液冷媒を利用側熱交換器へ圧送可能に構成された冷媒液循環装置とを備え、この冷媒液循環装置が冷媒を貯溜可能な複数のサージタンクと、これらのサージタンク内へ高圧ガス冷媒を交互に供給可能にした供給手段とを有し、上記コイル内で凝縮されて上記サージタンク内に貯溜された液冷媒をサージタンク内へ交互に供給される高圧ガス冷媒により上記利用側熱交換器へ搬送可能に構成した空気調和装置において、
製氷運転時或いは蓄熱非利用冷房運転時に、上記サージタンクの少なくとも一つをレシーバタンクとして利用する構成としたことを特徴とする空気調和装置。 - 圧縮機および熱源側熱交換器を備えた熱源側ユニットと、氷蓄熱槽内にコイルが水没状態で配設された氷蓄熱ユニットと、利用側熱交換器を備えた利用側ユニットと、上記コイル内で凝縮された液冷媒を利用側熱交換器へ圧送可能に構成された冷媒液循環装置とを備え、この冷媒液循環装置が冷媒を貯溜可能な複数のサージタンクと、これらのサージタンク内へ高圧ガス冷媒を交互に供給可能にした供給手段とを有し、上記コイル内で凝縮されて上記サージタンク内に貯溜された液冷媒をサージタンク内へ交互に供給される高圧ガス冷媒により上記利用側熱交換器へ搬送可能に構成した空気調和装置において、
製氷運転時或いは蓄熱非利用冷房運転時に、上記熱源側ユニットからの冷媒を、複数のサージタンクのうち、少なくとも一つのサージタンクを循環させる運転回路を備えたことを特徴とする空気調和装置。 - 上記複数のサージタンクへ交互に供給される高圧ガス冷媒は、熱源側ユニットの圧縮機よりも容量の小さな小容量圧縮機から供給される高圧ガス冷媒であることを特徴とする請求項1または2記載の空気調和装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002292298A JP3790206B2 (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 空気調和装置 |
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