JP3789881B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機等の遊技機に関し、特に、表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、可変表示装置における表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機として、表示状態が変化可能な可変表示部を有する可変表示装置が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に遊技者に有利となる大当り遊技状態に移行するように構成されたものがある。可変表示装置には複数の可変表示部があり、通常、複数の可変表示部の表示結果を時期を異ならせて表示するように構成されている。可変表示部には、例えば、図柄等の複数の識別情報が可変表示される。可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることである。
【0003】
大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば16ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンへの入賞)が成立していない場合には、所定回数に達していなくても大当り遊技状態は終了する。
【0004】
また、「大当り」の組合せ以外の「はずれ」の表示態様の組合せのうち、複数の可変表示部の表示結果のうちの一部が未だに導出表示されていない段階において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示態様が特定の表示態様の組合せとなる表示条件を満たしている状態を「リーチ」という。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。
【0005】
遊技機における遊技進行はマイクロコンピュータ等による遊技制御手段によって制御される。可変表示装置に表示される識別情報、キャラクタ画像および背景画像は、遊技制御手段からの表示制御コマンドデータに従って動作する表示制御手段によって制御される。可変表示装置に表示される識別情報、キャラクタ画像および背景画像は、一般に、表示制御用のマイクロコンピュータとマイクロコンピュータの指示に応じて画像データを生成して可変表示装置側に転送するビデオディスプレイプロセッサ(VDP)とによって制御されるが、表示制御用のマイクロコンピュータのプログラム容量は大きい。従って、プログラム容量に制限のある遊技制御手段のマイクロコンピュータで可変表示装置に表示される識別情報等を制御することはできず、遊技制御手段のマイクロコンピュータとは別の表示制御用のマイクロコンピュータ(表示制御手段)が用いられる。
【0006】
従って、遊技の進行を制御する遊技制御手段は、表示制御手段に対して表示制御のためのコマンドを送信する必要がある。識別情報等の画像データの生成は表示制御手段によって行われるが、画面内における変動中の識別情報の時々刻々の表示位置は、遊技の進行を制御する遊技制御手段が行った方がよいという観点から、遊技制御手段によって決定される。よって、遊技制御手段は、適当なタイミング毎に識別情報の表示位置を決定し、表示位置を表示制御手段に伝達する。
【0007】
以上のように、従来の遊技機では、遊技制御手段によって変動中の識別情報の表示位置が決定されるので、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担が大きく、遊技制御手段において、他の遊技制御のために費やすことができる処理時間が制限されるという課題がある。そのような課題を解決するには、例えば、遊技制御手段が表示制御手段に識別情報の速度変化時点(変動開始および変動停止を含む)送信し、表示制御手段が受信した速度に応じて識別情報の表示位置を決定することが考えられる。しかし、そのような識別情報変動制御によっても、1回の変動中に何回も遊技制御手段から表示制御手段にコマンドが送信されるので、やはり、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担は大きい。
【0008】
そこで、遊技制御手段の負担を軽くするために、遊技制御手段が、当り/はずれを決定すると図柄変動転送データと停止図柄転送データとを表示制御手段にし、表示制御手段が、遊技の進行状態に応じてキャラクタを変更するように構成された遊技機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、表示制御手段が、遊技制御手段からの当り/はずれを示す判定信号に従って停止図柄および変動パターンを選定するように構成された遊技機が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−15045号公報(段落0061〜0063、図16、図17)
【0010】
【特許文献2】
特開平6−210058号公報(段落0066〜0077、図25、図26)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、表示制御手段が、遊技の進行状態に応じてキャラクタを変更したり、判定信号に従って停止図柄および変動パターンを選定するだけでは、遊技制御手段の負担は未だ大きい。
【0012】
そこで、本発明は、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担をさらに軽くして、遊技制御手段が本来の遊技制御にかけられる時間を増やすことができる遊技機を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による遊技機は、表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部(例えば可変表示部9)を含み、変動開始の条件の成立に応じて表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様(例えば大当り図柄)となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技の進行を制御する遊技制御手段(例えばCPU56等)と、可変表示部の表示制御を行う表示制御手段(例えば表示制御用CPU101等)とを備え、遊技制御手段は、可変表示部に停止表示させる識別情報を決定する識別情報決定手段(例えば遊技制御手段のうちステップS55,S56,S59,S60,S61を実行する部分)を備え、表示制御を行うための表示制御コマンドを表示制御手段に出力可能であって、表示制御コマンドは少なくとも識別情報の変動表示が行われる期間を特定可能な情報(例えば図19に示す83H〜85H)と識別情報決定手段によって決定された停止する識別情報を特定可能な情報(例えば図20〜図22に示すコマンド)とを含み、表示制御手段は、表示制御コマンドを受信すると少なくとも最終的な表示結果となる識別情報に関わらない表示内容(例えば図16,図17に示す背景図柄やキャラクタ)について決定する表示内容決定手段を含み、遊技機は複数のキャラクタのうちの1つを選択して表示することが可能であって、表示内容決定手段が、遊技制御手段から指定を受けずにあらかじめ定められた条件に応じてキャラクタを変更表示する(例えば、図30(C)に示された変動パターンでは、右図柄が停止すると、画面に現れるキャラクタをキャラクタAからキャラクタBに切り替える)キャラクタ変更表示手段を含むように構成される。
なお、識別情報の停止は、以下の発明の実施の形態で述べられるように、識別情報が完全に停止している状態に加えて、最後に停止する識別情報が確定するまで識別情報を揺れ変動状態(通常の変動と同じ態様で正方向と逆方向の変動を繰り返す状態)におくいわゆる揺れ停止をも含む概念である。
【0014】
遊技機は、特定表示態様が事前に決定された場合に特定表示内容となることを予告する予告表示(例えば大当り予告)を行うことが可能であり、表示制御手段が、遊技制御手段からの識別情報を特定可能な情報が特定表示態様となることを示していたら、特定表示態様となることを予告する予告表示を行うか否か決定する予告表示実行決定手段(例えば表示制御手段におけるステップS756,S757を実行する部分)を含むように構成されていてもよい。
【0015】
ここで、特定表示態様となることの予告表示は、キャラクタ(例えば図17および図31に示す予告キャラクタA)によって行われるように構成されていてもよい。
【0016】
遊技機は、識別情報の変動を開始させる条件が所定期間成立しない場合にはデモンストレーション画面表示を行うことが可能であって、表示制御手段が、所定期間を計測して、遊技制御手段から指定を受けずにデモンストレーション画面表示を行うデモンストレーション画面表示手段を含むように構成されていてもよい。
【0017】
遊技制御手段は、識別情報を確定させる際に、再度、識別情報を特定可能な情報を送出するように構成されていてもよい。
【0018】
また、表示制御手段は、全ての識別情報を確定させるまでの間、先に停止した識別情報を、通常の変動と同じ態様で正方向と逆方向の変動を繰り返すように表示させる(いわゆる揺れ停止状態)ように構成されていてもよい。
【0019】
そして、遊技制御手段と表示制御手段との間では、遊技制御手段から表示制御手段への方向にのみデータが転送可能であるように構成されていてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。
【0021】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3からあふれた景品玉を貯留する余剰玉受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。
【0022】
遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための可変表示部9と7セグメントLEDによる可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。この実施の形態では、可変表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがある。可変表示装置8の側部には、打球を導く通過ゲート11が設けられている。通過ゲート11を通過した打球は、玉出口13を経て始動入賞口14の方に導かれる。通過ゲート11と玉出口13との間の通路には、通過ゲート11を通過した打球を検出するゲートスイッチ12がある。また、始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
【0023】
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。この実施の形態では、開閉板20が大入賞口を開閉する手段となる。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(Vゾーン)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出される。また、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。
【0024】
遊技盤6には、複数の入賞口19,24が設けられている。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cが設けられている。そして、この例では、一方のスピーカ27の近傍に、景品玉払出時に点灯する賞球ランプ51が設けられ、他方のスピーカ27の近傍に、補給玉が切れたときに点灯する玉切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技台1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって玉貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
【0025】
打球発射装置から発射された打球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が通過ゲート11を通ってゲートスイッチ12で検出されると、可変表示器10の表示数字が連続的に変化する状態になる。また、打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ17で検出されると、図柄の変動を開始できる状態であれば、可変表示部9内の図柄が回転を始める。図柄の変動を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶を1増やす。なお、始動入賞記憶については、後で詳しく説明する。可変表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球が特定入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。この継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
【0026】
停止時の可変表示部9内の画像の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
また、可変表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、可変表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
【0027】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。
可変表示装置8の背面では、図2に示すように、機構板36の上部に景品玉タンク38が設けられ、パチンコ遊技機1が遊技機設置島に設置された状態でその上方から景品玉が景品玉タンク38に供給される。景品玉タンク38内の景品玉は、誘導樋39を通って玉払出装置に至る。
【0028】
機構板36には、中継基板30を介して可変表示部9を制御する可変表示制御ユニット29、基板ケース32に覆われ遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33、および景品玉の払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された賞球基板37が設置されている。さらに、機構板36には、モータの回転力を利用して打球を遊技領域7に発射する打球発射装置34と、スピーカ27および遊技効果ランプ・LED28a,28b,28cに信号を送るためのランプ制御基板35が設置されている。
【0029】
また、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。遊技盤6の裏面には、図3に示すように、各入賞口および入賞球装置に入賞した入賞玉を所定の入賞経路に沿って導く入賞玉集合カバー40が設けられている。入賞玉集合カバー40に導かれる入賞玉のうち、開閉板20を経て入賞したものは、玉払出装置97が相対的に多い景品玉数(例えば15個)を払い出すように制御される。始動入賞口14を経て入賞したものは、玉払出装置(図3において図示せず)が相対的に少ない景品玉数(例えば6個)を払い出すように制御される。そして、その他の入賞口24および入賞球装置を経て入賞したものは、玉払出装置が相対的に中程度の景品玉数(例えば10個)を払い出すように制御される。なお、図3には、中継基板33が例示されている。
【0030】
賞球払出制御を行うために、入賞球検出スイッチ99、始動口スイッチ17およびVカウントスイッチ22からの信号が、主基板31に送られる。主基板31に入賞球検出スイッチ99のオン信号が送られると、主基板31から賞球基板37に賞球個数信号が送られる。入賞があったことは入賞球検出スイッチ99で検出されるが、その場合に、主基板31から、賞球基板37に賞球個数信号が与えられる。例えば、始動口スイッチ17のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「6」が出力され、カウントスイッチ23またはVカウントスイッチ22のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「15」が出力される。そして、それらのスイッチがオンしない場合に入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「10」が出力される。
【0031】
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球基板37、ランプ制御基板35、音声制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞球検出スイッチ99からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とを含む。
【0032】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の画像表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。
【0033】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。なお、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている場合もある。
【0034】
さらに、主基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、定期的(例えば、2ms毎)に基本回路53にリセットパルスを与えてゲーム制御用のプログラムを先頭から再度実行させるための定期リセット回路66と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。
【0035】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0036】
図5は、表示制御基板80内の回路構成を、可変表示部9の一実現例であるCRT82、主基板31の出力バッファ回路63および音声制御基板70とともに示すブロック図である。表示制御用CPU101は、制御データROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31から入力バッファ回路105のシュミットトリガ反転回路105b,105cを介してストローブ信号が入力されると、入力バッファ105aを介して表示制御コマンドを受信する。
【0037】
そして、表示制御用CPU101は、受信した表示制御コマンドに従って、CRT82に表示される画面の表示制御を行う。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、R,G,B信号に変換され、D−A変換回路104でアナログ信号に変換されてCRT82に出力される。
【0038】
なお、図5には、VDP103をリセットするためのリセット回路83、VDP103に動作クロックを与えるための発振回路85、および使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86も示されている。キャラクタROM86に格納される使用頻度の高い画像データとは、例えば、CRT82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。
【0039】
また、表示制御用CPU101は、可変表示部9の表示制御に加えて音声制御データの送出制御も行う。この実施の形態では、表示制御用CPU101は、可変表示部9における特別図柄変動中の背景やキャラクタの移動制御や表示切替制御を行うので、特別図柄、背景およびキャラクタの動きに応じた音声切替タイミングを把握している。従って、容易に音声制御データを音声制御基板70に送出することができる。
【0040】
入力バッファ回路105における入力バッファ105aおよびシュミットトリガ反転回路105b,105cは、主基板31から表示制御基板80へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、表示制御基板80側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。表示制御基板80内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。
【0041】
図6は、音声制御基板70の回路構成例を示すブロック図である。この実施の形態では、遊技進行に応じて、遊技領域7の外側に設けられているスピーカ27の音声出力を指示するための音声制御コマンドが、表示制御基板80から音声制御基板70に出力される。
【0042】
図6に示すように、表示制御基板80からの各信号は、入力ポート705を介して音声制御用CPU701に入力する。なお、音声制御用CPU701がI/Oポートを内蔵している場合には、入力ポート705は必要とされない。そして、例えばディジタルシグナルプロセッサによる音声合成回路702は、音声制御用CPU701の指示に応じた音声や効果音を発生し音量切替回路703に出力する。音量切替回路703は、音声制御用CPU701の出力レベルを、設定されている音量に応じたレベルにして音量増幅回路704に出力する。音量増幅回路704は、増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。
【0043】
次に遊技機の動作について説明する。
図7は、主基板31におけるCPU56の動作を示すフローチャートである。CPU56は、ROM54に格納されている遊技制御プログラムに従って遊技制御処理を行う。上述したように、図7に示された処理は、定期リセット回路66が発するリセットパルスによって、例えば2ms毎に起動される。
【0044】
CPU56が起動されると、CPU56は、まず、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理を行う(ステップS1)。次いで、初期化処理を行う(ステップS2)。初期化処理では、CPU56は、RAM55にエラーが含まれているか判定し、エラーが含まれている場合には、RAM55を初期化するなどの処理を行う。そして、表示制御基板80に送出されるコマンドコードをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(ステップS3)、コマンドコードを表示制御データとして出力する処理を行う(ステップS4)。
【0045】
次いで、ランプ制御基板35にLED点灯制御用の所定のコマンドを送信するための処理を行うとともに、情報出力回路64を介して、ホール管理用コンピュータに大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを送信するための処理を行う(データ出力処理:ステップS5)。また、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS6)。
【0046】
次に、遊技制御に用いられる各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS7)。ステップS7では、CPU56は、判定用乱数としての大当り判定用乱数等のカウントアップ(1加算)を行う。
図8は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り判定用=特別図柄決定用)
(2)ランダム2−1〜2−3:左右中のはずれ図柄決定用
(3)ランダム3:大当り時の図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用=特別図柄判定用)
(4)ランダム4:はずれ時にリーチするか否か決定する(リーチ判定用)
(5)ランダム5:リーチ時の特別図柄の変動時間を決定する(変動時間決定用)。
【0047】
なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(5)の乱数以外の乱数も用いられている。
ステップS7では、CPU56は、(1)の大当たり判定用乱数および(3)の大当り図柄判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数である。
【0048】
次に、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS8)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS9)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0049】
さらに、CPU56は、スイッチ回路58を介して、ゲートセンサ12、始動口センサ17およびカウントセンサ23の状態を入力し、各入賞口や入賞装置に対する入賞があったか否か判定する(ステップS10)。
【0050】
さらに、図柄決定用乱数を更新する処理を行う(ステップS11)。すなわち、(2)のはずれ図柄決定用の乱数、(4)のリーチ判定用の乱数および(5)の変動時間決定用の乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。ただし、ランダム2−2は、ランダム2−1の桁上げが生ずるときに、すなわち、ランダム2−1の値が「13」になって「0」に戻されるときにカウントアップされる。また、ランダム2−3は、ランダム2−2の桁上げが生ずるときに、すなわち、ランダム2−2の値が「13」になって「0」に戻されるときにカウントアップされる。
【0051】
また、CPU56は、賞球基板37との間の信号処理を行う(ステップS12)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球基板37に賞球個数信号を出力する。賞球基板37に搭載されている賞球制御用CPUは、賞球個数信号に応じて玉払出装置97を駆動する。
その後、CPU56は、次に定期リセット回路66からリセットパルスが与えられるまで、ステップS13の図柄決定用乱数更新処理を繰り返す。
【0052】
次に、始動入賞口14への入賞にもとづいて可変表示部9に可変表示される図柄の決定方法について図9〜図11のフローチャートを参照して説明する。図9は打球が始動入賞口14に入賞したことを判定する処理を示し、図10は可変表示部9の可変表示の停止図柄を決定する処理を示す。図11は、大当りとするか否か決定する処理を示すフローチャートである。
【0053】
打球が遊技盤6に設けられている始動入賞口14に入賞すると、始動口センサ17がオンする。ステップS10のスイッチ処理において、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると(ステップS41)、始動入賞記憶数が最大値である4に達しているかどうか確認する(ステップS42)。始動入賞記憶数が4に達していなければ、始動入賞記憶数を1増やし(ステップS43)、大当り図柄判定用乱数の値を抽出する。そして、それを始動入賞記憶数の値に対応した乱数値格納エリアに格納する(ステップS44)。なお、始動入賞記憶数が4に達している場合には、始動入賞記憶数を増やす処理を行わない。すなわち、この実施の形態では、最大4個の始動入賞口17に入賞した打球数が記憶可能である。
【0054】
CPU56は、ステップS8の特別図柄プロセス処理において始動入賞記憶数の値を確認する(ステップS50)。始動入賞記憶数が0でなければ、始動入賞記憶数=1に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を読み出すとともに(ステップS51)、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、各乱数値格納エリアの値をシフトする(ステップS52)。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を、始動入賞記憶数=n−1に対応する乱数値格納エリアに格納する。
【0055】
そして、CPU56は、ステップS51で読み出した値、すなわち抽出されている大当り図柄判定用乱数の値にもとづいて当たり/はずれを決定する(ステップS53)。ここでは、大当り図柄判定用乱数は0〜249の範囲の値をとることにする。図11に示すように、低確率時には例えばその値が「3」である場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。高確率時には例えばその値が「3」,「7」,「79」,「103」,「107」のいずれかである場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。
【0056】
大当たりと判定されたときには、基本回路53は、大当り図柄判定用乱数の値にもとづいて停止図柄を決定する。ここで、リミッタが作動中でないならば、大当り図柄判定用乱数の値に従って全図柄を含むテーブルから停止図柄を決定する(ステップS54,S55)。リミッタが作動している場合には、基本回路53は、大当り図柄判定用乱数の値に従って確率変動を引き起こす図柄の組合せ(確変図柄)を含まない図柄のテーブルから停止図柄を決定する(ステップS54,S56)。リミッタは、連続して確変図柄による大当たりが発生すること、すなわち連続して高確率状態が継続することを制限するためのものである。例えば、4回連続して高確率状態が継続するとリミッタが作動状態になる。従って、リミッタ作動状態では、確率変動が行われる特別図柄を含まないテーブルから停止図柄が決定される。
【0057】
さらに、CPU56は、変動時間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいて変動時間を決定する(ステップS57)。変動時間については、後で詳しく説明する。
【0058】
はずれと判定された場合には、CPU56は、リーチとするか否か判定する(ステップS58)。例えば、リーチ判定用の乱数であるランダム4の値が「105」〜「1530」のいずれかである場合には、リーチとしないと決定する。そして、リーチ判定用乱数の値が「0」〜「104」のいずれかである場合にはリーチとすることを決定する。リーチとすることを決定したときには、CPU56は、リーチ図柄の決定を行う。
【0059】
この実施の形態では、ランダム2−1の値に従って左右図柄を決定する(ステップS59)。また、ランダム2−2の値に従って中図柄を決定する(ステップS60)。すなわち、ランダム2−1およびランダム2−2の値の0〜15の値に対応したいずれかの図柄が停止図柄として決定される。ここで、決定された中図柄が左右図柄と一致した場合には、中図柄に対応した乱数の値に1加算した値に対応する図柄を中図柄の確定図柄として、大当たり図柄と一致しないようにする。
さらに、CPU56は、ランダム5の値に従って、変動時間を決定する(ステップS57)。
【0060】
ステップS58において、リーチしないことに決定された場合には、ランダム2−1〜2−3の値に応じて左右中図柄を決定する(ステップS61)。
以上のようにして、始動入賞にもとづく図柄変動の表示態様が大当たりとするか、リーチ態様とするか、はずれとするか決定され、それぞれの停止図柄の組合せが決定される。
【0061】
なお、高確率状態において、次に大当たりとなる確率が上昇するとともに、7セグメントLEDによる可変表示器10の可変表示の確定までの時間が短縮され、かつ、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められるようにパチンコ遊技機1が構成されていてもよいし、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たりの確率が高くなるように構成されていてもよい。また、それらのうちのいずれか一つまたは複数の状態のみが生ずるパチンコ遊技機1においても本発明は適用可能である。
【0062】
例えば、可変表示部9の停止図柄の組合せが特定図柄となった場合に、大当たりとなる確率は上昇しないが可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められる遊技機においても、リーチとすることが決定されたら、左右の停止図柄を特定図柄の表示態様と一致させるか否か、すなわちどの図柄でリーチ状態を発生させるかが所定の乱数等の手段によって決定される遊技機においても本発明を適用可能である。
また、この実施の形態で用いられた乱数および乱数値の範囲は一例であって、どのような乱数を用いてもよいし、範囲設定も任意である。
【0063】
上述したように、始動入賞口14に打球が入賞すると、基本回路53は、ステップS8(図7参照)の特別図柄プロセス処理において、大当たりとするかはずれとするかと、停止図柄とを決定するが、その決定に応じた表示制御コマンドを表示制御基板80の表示制御用CPU101に与える。表示制御用CPU101は、主基板31からの表示制御コマンドに応じて可変表示部9の表示制御を行う。
【0064】
図12は、特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図12に示す特別図柄プロセス処理は、図7のフローチャートにおけるステップS8の具体的な処理である。基本回路53のCPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、その内部状態に応じて、図12に示すステップS300〜S308のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
【0065】
特別図柄変動待ち処理(ステップS300):始動入賞口14(この実施の形態では可変入賞球装置15の入賞口)に打球入賞して始動口センサ17がオンするのを待つ。始動口センサ17がオンすると、始動入賞記憶数が満タンでなければ、始動入賞記憶数を+1するとともに大当り判定用乱数を抽出する。すなわち、図9に示された処理が実行される。
特別図柄判定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、抽出されている大当り判定用乱数の値に応じて大当たりとするかはずれとするか決定する。すなわち、図10に示された処理の前半が実行される。
停止図柄設定処理(ステップS302):左右中図柄の停止図柄を決定する。すなわち、図11に示された処理の後半が実行される。
【0066】
コマンド送信完了待ち処理(ステップS303):表示制御基板80に対して変動時間や停止図柄を指定するための表示制御コマンドが送出完了されるのを待つ。
【0067】
全図柄停止待ち処理(ステップS304):所定時間が経過すると、表示制御基板80に対して停止図柄を指定するための表示制御コマンドをする。そして、その送出完了を待つ。
【0068】
大当たり表示処理(ステップS305):停止図柄が大当たり図柄の組み合わせである場合には、大当たり表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出されるように制御するとともに内部状態(プロセスフラグ)をステップS306に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS308に移行するように更新する。なお、大当たり図柄の組み合わせは、左右中図柄が揃った組み合わせである。また、表示制御基板80の表示制御用CPU101は表示制御コマンドデータに従って、可変表示部9に大当り表示を行う。大当り表示は遊技者に大当りの発生を報知するためになされるものである。
大入賞口開放開始処理(ステップS306):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。
【0069】
大入賞口開放中処理(ステップS307):大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立したら、大当り遊技状態の終了条件が成立していなければ内部状態をステップS307に移行するように更新する。大当り遊技状態の終了条件が成立していれば、内部状態をステップS308に移行するように更新する。
【0070】
大当たり終了処理(ステップS308):大当たり遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を行う。その表示が終了したら、内部フラグ等を初期状態に戻し、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
【0071】
上記の各ステップの処理に応じて、遊技制御プログラム中の表示制御コマンドを送出する処理を行うモジュール(図7におけるステップS4)は、対応する表示制御コマンドをI/Oポート57における出力ポートに出力するとともに、ストローブ信号を出力ポートに出力する。
【0072】
図13は、図12に示された特別図柄プロセス処理におけるコマンド送信完了待ち(ステップS303)の処理を示すフローチャートである。ステップS302の停止図柄設定処理において変動時間と停止図柄が決定されると、それらを指示するための表示制御コマンドの送出制御が行われるのであるが、ステップS303では、CPU56は、コマンドの送出完了を待つ(ステップS303a)。なお、コマンド送出完了は、メイン処理(図7参照)中の表示制御データ出力処理(ステップS4)から通知される。
【0073】
表示制御コマンドの送出が完了すると、CPU56は、表示制御基板80に通知した変動時間を測定するための変動時間タイマをスタートする(ステップS303b)。そして、ステップS304に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS303c)。
【0074】
図14は、図12に示された特別図柄プロセス処理における全図柄停止待ち処理(ステップS304)を示すフローチャートである。ステップS304では、CPU56は、変動時間タイマがタイムアップしたか否か確認する(ステップS304a)。タイムアップしたら、表示制御コマンドとして停止図柄を設定する(ステップS304b)。そして、表示制御コマンドデータ送出要求をセットし(ステップS304c)、ステップS305に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS304d)。なお、表示制御コマンドデータ送出要求は、メイン処理(図7参照)中の表示制御データ設定処理(ステップS3)で参照される。
【0075】
次に、図柄の変動を具体例を用いて説明する。
図15は、この実施の形態で用いられる左右中図柄の例を示す説明図である。図15に示すように、この実施の形態では、左右中図柄として表示される各図柄は、左右中で同一の12図柄である。なお、この実施の形態では、可変表示装置8の可変表示部9における図柄の変動開始後、中図柄が最後に停止する。また、図柄番号12の図柄が表示されると、次に、図柄番号1の図柄が表示される。そして、例えば、「一」、「三」、「五」、「七」、「九」および「下駄」が確変図柄となる。
【0076】
図16は、この実施の形態で用いられる可変表示部9に表示される背景図柄の例を示す説明図である。この例では、(A)部屋の中、(B)閃光、(C)オーラ、および(D)煙の背景が用いられる。また、図16(E)に示された表示は、遊技機の非遊技中等に表示されるデモンストレーション画面の例を示す。
【0077】
図17は、この実施の形態で用いられる可変表示部9に表示されるキャラクタの例を示す説明図である。この例では、(A)キャラクタA、(B)キャラクタBおよび(C)キャラクタCが用いられる。なお、キャラクタAは、大当り予告用のキャラクタとしても用いられ、キャラクタAの目が光るように表示されると大当り予告が行われたことになる。また、キャラクタAは、リーチを成立させるためのキャラクタとしても用いられ、所定の条件が成立すると、キャラクタAの足が右図柄を蹴るように表示されて左右図柄が同一図柄で停止する表示制御が行われる。
【0078】
表示制御基板80における表示制御用CPU101は、主基板31から変動時間に関する表示制御コマンドを受信すると、どの変動パターンで図柄変動表示を行うか独自に決定する。また、大当り予告を行うか否かも独自に決定する。そして、各変動パターンにおいてあらかじめ決められている背景やキャラクタを画面上で移動表示する制御を行う。なお、あらかじめ決められているタイミングで背景やキャラクタの切替も行われるが、それらも表示制御用CPU101が独自に制御する。
【0079】
図18は、この実施の形態で用いられる主基板31から表示制御基板80に送信される表示制御コマンドの構成例を示す説明図である。この例では、1つの表示制御コマンドは2バイト(CMD1,CMD2)で構成される。1バイト目(CMD1)は、図19に示すように、変動時間を通知するため、あるいは、図柄の停止を指示するため等に使用される。2バイト目(CMD2)は、左右中図柄のそれぞれの停止図柄を指定するために使用される。
【0080】
図20〜図22は、CMD2の構成例を示す説明図である。上述したように、CMD2は左右中図柄の停止図柄を指定するものであるが、この例では、上位4ビットが0000(0(H))の場合に左停止図柄を指定し、上位4ビットが0001(1(H))の場合に右停止図柄を指定し、上位4ビットが0010(2(H))の場合に中停止図柄を指定するものとする。
【0081】
なお、図19〜図22に示されたコマンド構成によると、左右中図柄の停止図柄が1バイトで指定されているので、変動開始時に左右中図柄の停止図柄を表示制御基板80に通知するために、それぞれ1つの表示制御コマンドとして送出する必要があるが、図23に示すように、左右中図柄の停止図柄を4ビットで構成してもよい。その場合には、変動開始時には、1つの表示制御コマンド(2バイト)で左右中図柄の停止図柄を一度に通知することができる。
【0082】
図24は、主基板31から表示制御基板80に送信される表示制御コマンドを示す説明図である。図24に示すように、この実施の形態では、表示制御コマンドは、表示制御信号CD0〜CD7の8本の信号線で主基板31から表示制御基板80に送信される。また、主基板31と表示制御基板80との間には、ストローブ信号を送信するための表示制御信号INTの信号線、表示制御基板80の電源となる+5V,+12Vの供給線、および接地レベルを供給するための信号線も配線されている。
【0083】
図25は、主基板31から遊技制御基板80に与えられる表示制御コマンドの送出タイミングの例を示すタイミング図である。この例では、表示制御コマンドデータを構成する2バイトの表示制御データは、図25に示すように、2ms毎に送出される。そして、各表示制御データに同期してストローブ信号(表示制御信号INT)が出力される。表示制御用CPU101には、ストローブ信号の立ち上がりで割込がかかるので、表示制御用CPU101は、割込処理プログラムによって各表示制御データを取り込むことができる。
【0084】
図26は、表示制御データ設定処理(図7に示されたメイン処理におけるステップS3)の動作例を示すフローチャートである。表示制御データ設定処理において、CPU56は、まず、データ送出中フラグがセットされているか否か確認する(ステップS411)。セットされていなければ、表示制御コマンドデータの送出要求フラグがセットされているか否か確認する(ステップS412)。送出要求フラグがセットされていれば、送出要求フラグをリセットする(ステップS413)。また、送出すべき表示制御コマンドデータを出力データ格納領域に設定するとともに(ステップS414)、ポート出力要求をセットする(ステップS416)。なお、表示制御コマンドデータの送出要求フラグは、特別図柄プロセス処理においてセットされる。また、データ送出中フラグは、後述する表示制御データ出力処理においてセットされる。
【0085】
図27は、図7に示されたメイン処理における表示制御データ出力処理(ステップS4)を示すフローチャートである。表示制御データ出力処理において、CPU56は、ポート出力要求がセットされているか否か判定する(ステップS421)。ポート出力要求がセットされている場合には、ポート出力要求をリセットし(ステップS422)、ポート格納領域の内容(表示制御コマンドの1バイト目)を出力ポート571に出力する(ステップS423)。そして、ポート出力カウンタを+1する(ステップS424)。さらに、INT信号をローレベル(オン状態)にし(ステップS425)、データ送出中フラグをオンする(ステップS426)。
【0086】
ポート出力要求がセットされていない場合には、ポート出力カウンタの値が0であるか否か判定する(ステップS431)。ポート出力カウンタの値が0でない場合には、ポート出力カウンタの値が1であるか否か確認する(ステップS432)。ポート出力カウンタの値が1である場合には、表示制御コマンドの1バイト目に関するINT信号オフタイミングになっているので、INT信号をオフ(=1)にする(ステップS433)。また、ポート出力カウンタの値を1増やす(ステップS434)。
【0087】
ポート出力カウンタの値が2である場合には(ステップS435)、表示制御コマンドの2バイト目の出力タイミングになっているので、ポート格納領域の内容(表示制御コマンドの2バイト目)を出力ポート571に出力する(ステップS436)。そして、ポート出力カウンタを+1する(ステップS437)。さらに、INT信号をローレベルにする(ステップS438)。
【0088】
そして、ポート出力カウンタの値が2でない場合には、すなわち3である場合には、表示制御コマンドの2バイト目に関するINT信号オフタイミングになっているので、ポート出力カウンタの値をクリアするとともに(ステップS441)、INT信号をオフ(ハイレベル)にする(ステップS442)。また、データ送出中フラグをオフする(ステップS443)。
【0089】
この実施の形態では、図26に示された表示制御データ出力処理は2msに1回実行される。従って、図27に示されたデータ出力処理によって、図25に示すように、2ms毎に1バイトのデータが出力される。
【0090】
上述したように、基本回路53は、始動入賞口14への入賞を検出した後、図柄変動が開始できる状態になると、大当りとするかはずれとするか決定するとともに、可変表示部9における停止図柄を決定する。そして、表示制御基板80に変動時間および停止図柄を指示する表示制御コマンドを与えるとともに、ランプ制御基板35にコマンドデータを与える。表示制御基板80における表示制御用CPU101は、基本回路53から受信した表示制御コマンドを解析し、表示制御コマンドで指令された変動時間で可変表示部9の表示制御を行う。また、ランプ制御基板35に搭載されているCPUは、基本回路53から受信したコマンドデータで指令された態様で遊技効果ランプ・LED28a,29b,28cが点滅するように制御する。
【0091】
以下、図28〜図33を参照して図柄の変動パターンの例について説明する。図28は、各変動パターンを構成する変動状態を示す説明図である。図29は、リーチとしないはずれ時の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。また、図30〜図33は、リーチ時(大当りの場合および大当りとしない場合)の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。
【0092】
この実施の形態では、はずれ時には、図29に示すように、可変表示部9における「左」の図柄表示エリアにおいて、まず、パターンaに従って図柄の変動が行われる。パターンaは、図28に示すように、最初少しずつ変動速度が上がり、その後、一定速度で図柄変動が行われるパターンである。その後、停止図柄の2図柄前の図柄が表示されるように制御された後、パターンbに従って2図柄の変動が行われる。パターンbは、図28に示すように、徐々に遅くなって停止するパターンである。
【0093】
また、可変表示部9における「右」の図柄表示エリアにおいて、パターンaに従って図柄の変動が行われる。その後、停止図柄の2図柄前の図柄が表示されるように制御された後、パターンbに従って図柄の変動が行われる。「中」の図柄表示エリアにおいても、まず、パターンaに従って図柄の変動が行われる。その後、停止図柄の2図柄前の図柄が表示されるように制御された後、パターンbに従って図柄の変動が行われる。なお、表示制御基板80の表示制御用CPU101は、中図柄が確定するまで、左右図柄を変動方向の正方向と逆方向に繰り返し変動させる。すなわち、左右図柄を、いわゆる揺れ停止状態に表示制御する。そして、中図柄が確定すると同時に左右図柄の揺れ停止状態を終了させ、図柄が動かない確定状態になる。
【0094】
図柄が変動している間、表示制御用CPU101は、背景として「部屋の中」(図16参照)が表示されるように表示制御を行うとともに、画面中にキャラクタA(図17参照)を表示して適宜キャラクタAを運動させるように表示制御を行う。なお、表示制御用CPU101は、左右中の図柄表示エリアにおいて、停止図柄の2図柄前の表示の表示制御を独自に行う。変動開始時に左右中の停止図柄が通知され、かつ、はずれ時の変動パターンはあらかじめ決められているので、表示制御用CPU101は、パターンaからパターンbの切替タイミングを認識することができるとともに、差し替えるべき2図柄前の図柄も決定できる。
【0095】
図30は、主基板31から変動時間として19.5秒が通知されたときに表示される変動パターンの例を示す。表示制御用CPU101は、変動時間として19.5秒が通知されると、複数の変動パターンのうちの何れの変動パターンを用いるのかを独自に決定する。なお、図30には、複数の変動パターンとして(A)〜(C)の3パターンが例示されている。
【0096】
図30(A)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンcに従って中図柄の変動が行われる。パターンcは、変動速度が徐々に低下し、一定速度(中速度)で変動が行われ、さらに、一定速度(低速度)で変動が行われるパターンである。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、所定のタイミングで図柄の差し替え(図柄の飛ばし制御)を行う。なお、中図柄の変動中に、背景およびキャラクタの種類は変化しない。
【0097】
図30(B)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンeに従って中図柄の変動が行われる。パターンeは、徐々に変動速度を遅くしていって、その一定速度で変動するようなパターンである。その後、パターンdに従って変動が行われる。パターンdは、徐々に変動速度を遅くしていって変動を停止するパターンである。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、所定のタイミングで図柄の差し替えを行う。なお、図30(B)に示された変動パターンでは右図柄停止時に、表示制御用CPU101は、キャラクタAが右図柄を蹴るように表示制御を行う(図17参照)。従って、遊技者は、あたかも、キャラクタAが右図柄を蹴ることによってリーチが成立したように感ずる。
【0098】
図30(C)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンcに従って中図柄の変動が行われる。その後、所定期間中図柄を停止させ、パターンfに従って変動が行われる。パターンfは、一定速で変動するパターンである。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、所定のタイミングで図柄の差し替えを行う。なお、図30(C)に示された変動パターンでは、右図柄が停止すると、表示制御用CPU101は、背景画像を「オーラ」(図16参照)に切り替えるとともに、画面に現れるキャラクタをキャラクタB(図17参照)に切り替える。
【0099】
図30(A)〜(C)に示された変動時間19.5秒の変動パターンでも、表示制御用CPU101は、中図柄が確定するまで、左右図柄を上下に揺れ動作させる。また、中図柄の図柄飛ばし制御は、右図柄が停止するタイミングで実行される。表示制御用CPU101は、変動開始時に主基板31から通知されている中停止図柄と、リーチ変動期間(例えば図30(A)におけるパターンcの変動期間)における図柄の変動数とに応じて、差し替え図柄を決定する。
なお、例えば、差し替え図柄をリーチ図柄に対応させた一定のものとして、パターンc中の変動速度を停止図柄に対応して変化させるような表示制御を行ってもよい。そのようにすることにより、差し替え図柄によって遊技者に停止図柄を見破られることを防止できる。
【0100】
図31は、主基板31から変動時間として24.5秒が通知されたときに表示される変動パターンの例を示す。表示制御用CPU101は、変動時間として24.5秒が通知されると、複数の変動パターンのうちの何れの変動パターンを用いるのかを独自に決定する。なお、図31には、複数の変動パターンとして(A)〜(C)の3パターンが例示されている。
【0101】
図31(A)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンcに従って中図柄の変動が行われる。その後、所定期間中図柄を停止させ、パターンfに従って変動が行われる。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、所定のタイミングで図柄の差し替えを行う。なお、図31(A)に示された変動パターンでは、右図柄が停止すると、表示制御用CPU101は、背景画像を「閃光」(図16参照)に切り替える。また、右図柄停止時に、表示制御用CPU101は、キャラクタAが右図柄を蹴るように表示制御を行う(図17参照)。さらに、表示制御用CPU101は、後述する大当り予告を行うことが決定された場合には、左右図柄変動期間において、キャラクタAの目が光るように表示制御を行う。
【0102】
図31(B)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンcに従って中図柄の変動が行われる。その後、パターンgによる変動が行われた後所定期間中図柄を停止させ、パターンfに従って変動が行われる。パターンgは、0.9図柄分の順方向の変動と逆方向の変動が行われるパターンである。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、所定のタイミングで図柄の差し替えを行う。図31(A)に示された変動パターンでは、右図柄が停止すると、表示制御用CPU101は、背景画像を「閃光」(図16参照)に切り替える。また、表示制御用CPU101は、大当り予告を行うことが決定された場合には、左右図柄変動期間において、キャラクタAの目が光るように表示制御を行う。
【0103】
図31(C)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンcに従って中図柄の変動が行われる。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、所定のタイミングで図柄の差し替えを行う。図31(C)に示された変動パターンでは、右図柄が停止すると、表示制御用CPU101は、背景画像を「オーラ」(図16参照)に切り替えるとともに、画面に現れるキャラクタをキャラクタB(図17参照)に切り替える。また、表示制御用CPU101は、大当り予告を行うことが決定された場合には、左右図柄変動期間において、キャラクタAの目が光るように表示制御を行う。
【0104】
図31(A)〜(C)に示された変動時間24.5秒の変動パターンでも、表示制御用CPU101は、中図柄が確定するまで、左右図柄を上下に揺れ動作させる。また、中図柄の図柄飛ばし制御は、右図柄が停止するタイミングで実行される。
【0105】
図32および図33は、主基板31から変動時間として29.5秒が通知されたときに表示される変動パターンの例を示す。表示制御用CPU101は、変動時間として29.5秒が通知されると、複数の変動パターンのうちの何れの変動パターンを用いるのかを独自に決定する。なお、図32および図33には、複数の変動パターンとして(A)〜(D)の4パターンが例示されている。
【0106】
図32(A)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンcに従って中図柄の変動が行われる。その後、所定期間中図柄を停止させ、パターンhに従って変動が行われる。パターンhは、高速変動するパターンである。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、一時停止時に図柄の差し替えを行う。なお、図32(A)に示された変動パターンでは、右図柄が停止すると、表示制御用CPU101は、背景画像を「閃光」(図16参照)に切り替える。また、表示制御用CPU101は、大当り予告を行うことが決定された場合には、左右図柄変動期間において、キャラクタAの目が光るように表示制御を行う。
【0107】
さらに、図32(A)に示された変動パターンでは、中図柄がパターンhで高速変動する際に、左右図柄も同様に高速変動する。従って、最終停止図柄が大当り図柄の組み合わせである場合には、一時停止時の一時停止図柄も、図柄の種類は異なるが、やはり大当り図柄の組み合わせである。よって、遊技者は、一時停止時に大当りが発生したと感ずるとともに、再変動後に再度大当り図柄が提供されて再度興趣がかき立てられる。なお、一時停止図柄は、表示制御用CPU101が、停止図柄から逆算して独自に決定した図柄である。パターンhの変動速度と変動期間とはあらかじめ決められているので、表示制御用CPU101は、最終停止図柄から一時停止図柄を容易に逆算することができる。
【0108】
図32(B)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンcに従って中図柄の変動が行われる。その後、パターンgによる変動が行われた後、所定期間、中図柄を停止する。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、一時停止時に図柄の差し替えを行う。さらに、左右中図柄をパターンhで高速変動させる。なお、図32(B)に示された変動パターンでは、右図柄が停止すると、表示制御用CPU101は、背景画像を「オーラ」(図16参照)に切り替えるとともに、画面に現れるキャラクタをキャラクタB(図17参照)に切り替える。また、表示制御用CPU101は、大当り予告を行うことが決定された場合には、左右図柄変動期間において、キャラクタAの目が光るように表示制御を行う。
【0109】
図33(C)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンcに従って中図柄の変動が行われる。その後、所定期間中図柄を停止させ、パターンfに従って変動が行われる。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、所定のタイミングで図柄の差し替えを行う。なお、図33(C)に示された変動パターンでは、右図柄が停止すると、表示制御用CPU101は、背景画像を「煙」(図16参照)に切り替えるとともに、画面に現れるキャラクタをキャラクタC(図17参照)に切り替える。また、表示制御用CPU101は、大当り予告を行うことが決定された場合には、左右図柄変動期間において、キャラクタAの目が光るように表示制御を行う。
【0110】
図33(D)に示された変動パターンでは、左右図柄が停止した後、パターンiに従って中図柄の変動が行われる。パターンiは、コマ送りのパターンである。その後、所定期間中図柄を停止させ、パターンfに従って変動が行われる。そして、表示制御用CPU101は、主基板31から通知されている停止図柄で図柄が停止するように、所定のタイミングで図柄の差し替えを行う。なお、図33(D)に示された変動パターンでも、右図柄が停止すると、表示制御用CPU101は、背景画像を「煙」(図16参照)に切り替えるとともに、画面に現れるキャラクタをキャラクタC(図17参照)に切り替える。また、表示制御用CPU101は、大当り予告を行うことが決定された場合には、左右図柄変動期間において、キャラクタAの目が光るように表示制御を行う。
【0111】
図32および図33に示された変動時間29.5秒の変動パターンでも、表示制御用CPU101は、中図柄が確定するまで、左右図柄を上下に揺れ動作させる。また、中図柄の図柄飛ばし制御は、右図柄が停止するタイミングで実行される。
【0112】
次に、表示制御用CPU101の動作を説明する。
図34は、表示制御用CPU101のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、表示制御用CPU101は、まず、RAM、I/OポートおよびVDP103等を初期化する(ステップS701)。そして、可変表示部9にデモンストレーション画面が出現するように表示制御する(ステップS702)。その後、表示用乱数更新処理(表示用乱数を生成するカウンタの更新処理)を繰り返し実行する(ステップS703)。
【0113】
図35は、表示用乱数を示す説明図である。図35(A)に示すように、この実施の形態では、表示用乱数として、大当り予告用乱数とリーチ用乱数とがある。大当り予告用乱数は大当り予告を行うか否か決定するためのものであり、リーチ用乱数は変動パターンを決定するためのものである。図35(B)には、リーチ用乱数の値と変動パターンとの関係が示されている。図35(B)において、A,B,C,Dは、図30〜図33における(A),(B),(C),(D)に対応している。すなわち、抽出されたリーチ用乱数の値が上段に示される値であれば、下段に示された変動パターンで図柄の変動が行われる。
【0114】
この実施の形態では、実際の変動制御等は、タイマ割込処理によって行われる。タイマ割込は、例えば2ms毎に発生する。タイマ割込処理では、表示制御用CPU101は、表示制御プロセス処理(ステップS711)と、音声処理(ステップS712)とを実行する。表示制御プロセス処理では、表示制御プロセスフラグの値に応じた表示制御処理が行われる。また、音声処理では、可変表示部9の表示に対応した音声出力がなされるように、適切な音声制御データを音声制御基板70に出力する制御が行われる。
【0115】
主基板31からの表示制御コマンドは、IRQ2割込によって表示制御用CPU101に受信される。図37は、表示制御用CPU101のIRQ2割込処理を示すフローチャートである。IRQ2割込処理において、表示制御用CPU101は、まず、データ受信中フラグがセットされているか否か確認する(ステップS601)。セットされていなければ、この割込が表示制御コマンドデータにおける第1バイトの表示制御データ送出による割込である。そこで、ポインタをクリアするとともに(ステップS602)、データ受信中フラグをセットする(ステップS603)。そして、ステップS604に移行する。ポインタは、表示制御用CPU101が内蔵しているRAMにおける表示制御コマンドデータ格納エリアにおける何バイト目に受信データを格納するか指し示すものである。
【0116】
データ受信中フラグがセットされている場合には、ストローブ信号がオフしたら(ステップS604)、表示制御用CPU101は、入力ポートからデータを入力し、表示制御コマンドデータ格納エリアにおいてポインタによって示されているアドレスに、入力データを格納する(ステップS605)。
【0117】
そして、表示制御用CPU101は、ポインタの値を+1する(ステップS606)。そして、ポインタの値が2になった場合には(ステップS607)、2バイトで構成される表示制御コマンドデータの受信が完了したことになるので、データ受信完了フラグをセットするとともに、データ受信中フラグをリセットする(ステップS608,S609)。以上のような処理によって、表示制御データCMD1,CMD2が、表示制御基板80において受信される。
【0118】
図38は、図36に示されたタイマ割込処理における表示制御プロセス処理(ステップS711)を示すフローチャートである。表示制御プロセス処理では、表示制御プロセスフラグの値に応じてステップS720〜S840のうちのいずれかの処理が行われる。各処理において、以下のような処理が実行される。
【0119】
表示制御コマンド受信待ち処理(ステップS720):IRQ2割込処理において主基板31からの表示制御コマンドが受信されるのを待つ。すなわち、データ受信完了フラグ(図37におけるステップS608)がオンするのを待つ。
【0120】
リーチ動作設定処理(ステップS750):リーチ時には、図30〜図33に示された変動パターンのうちのいずれのパターンを使用するのかを決定するとともに、大当り予告を行うか否か決定する。
【0121】
全図柄変動開始処理(ステップS780):左右中図柄の変動が開始されるように制御する。
【0122】
図柄変動中処理(ステップS810):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度や背景、キャラクタ)の切替タイミングを制御するとともに、変動時間の終了を監視する。また、左右図柄の停止制御を行う。
【0123】
全図柄停止待ち設定処理(ステップS840):変動時間の終了時に、中図柄の停止を示す表示制御コマンドを受信していたら、中図柄の変動を停止し、停止図柄を表示する制御を行う。
【0124】
図39は、表示制御コマンド受信待ち処理(ステップS720)を示すフローチャートである。表示制御コマンド受信待ち処理において、表示制御用CPU101は、まず、コマンド無受信タイマがタイムアウトしたか否か確認する(ステップS721)。コマンド無受信タイマは、所定期間以上主基板31から図柄の変動を示す表示制御コマンドを受信しなかったときにタイムアウトとする。タイムアウトした場合には、表示制御用CPU101は、可変表示部9にデモンストレーション画面を表示する制御を行う(ステップS722)。
【0125】
コマンド無受信タイマがタイムアウトしていなければ、表示制御用CPU101は、データ受信完了フラグがオンしたか否か確認する(ステップS723)。上述したように、データ受信完了フラグは、IRQ2割込処理において、主基板31からの表示制御コマンド(CMD1,CMD2)を受信するとセットされる。データ受信完了フラグがオンした場合には、データ受信完了フラグをリセットするとともに(ステップS724)、表示制御プロセスフラグの値をリーチ動作設定処理(ステップS750)に対応した値に変更する(ステップS725)。
【0126】
主基板31から表示制御基板80に最初に送信される表示制御コマンドには、変動時間を示すコマンドと左右中図柄の停止図柄を指定するコマンドが含まれている。それらは、表示制御データ格納エリアに格納されている(図37におけるステップS607参照)。なお、以下、変動時間を示すコマンドとともに送られてきた停止図柄を、仮停止図柄と呼ぶ。
【0127】
図40は、リーチ動作設定処理(ステップS750)を示すフローチャートである。リーチ動作設定処理において、表示制御用CPU101は、まず、左右の仮停止図柄を示すコマンドから、リーチにもならないはずれか否か判断する(ステップS751)。はずれであるならば、監視タイマに7.9秒を設定する(ステップS752)。7.9秒は、はずれ時の変動時間7.8秒に対して余裕を持たせた値であり、監視タイマがタイムアウトする前に中図柄の停止図柄を指定するコマンドを受信できなかったときには所定の処理が行われる。
【0128】
ステップS751において、左右の仮停止図柄が同一であることを確認したら、表示制御用CPU101は、主基板31から指定された変動時間に0.1秒を加算した値を監視タイマに設定する(ステップS753)。そして、リーチ態様すなわち変動パターンを決定する(ステップS754)。すなわち、図35に示されたリーチ用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を抽出し、図35(B)に示されたテーブルに従って変動パターンを決定する。
【0129】
この実施の形態では、19.5秒の変動パターンでは大当り予告を行わないことにする。従って、表示制御用CPU101は、変動時間が19.5秒であるか否か確認し(ステップS755)、19.5秒でなければ、大当り予告を行うか否か判定する。ここでは、大当りが発生する場合には(ステップS756)、大当り予告用乱数の値が0または1であれば大当り予告を行うとする(ステップS757)。大当りが発生しない場合には、大当り予告用乱数の値が0であれば大当り予告を行うとする(ステップS758)。大当りが発生するか否かは、主基板31から通知された左右中の仮停止図柄が一致しているか否かで判定される。
【0130】
そして、表示制御用CPU101は、選択された変動パターンに応じたプロセステーブルを使用することを決定する(ステップS759)。各プロセステーブルには、その変動パターン中の各変動状態(変動速度やその速度での変動期間等)が設定されている。また、各プロセステーブルはROMに設定されている。次いで、表示制御用CPU101は、表示制御プロセスフラグの値を全図柄変動開始処理(ステップS780)に対応した値に変更する(ステップS760)。
【0131】
図41は、プロセステーブルの構成例を示す説明図である。それぞれの変動パターンに対応した各プロセステーブルには、時系列的に、変動速度やその速度での変動期間、背景やキャラクタの切替タイミング、音声制御データ等が設定されている。また、ある速度での変動期間を決めるためのプロセスタイマ値も設定されている。また、各プロセステーブルは、複数の4バイト単位のプロセスデータで構成されている。
【0132】
図42は、全図柄変動開始処理(ステップS780)を示すフローチャートである。全図柄変動開始処理において、表示制御用CPU101は、使用することが決定されたプロセステーブルの最初に設定されているプロセスタイマ値でタイマをスタートさせる(ステップS781)。また、4バイト目に設定されている変動状態を示すデータにもとづいて図柄変動制御、背景およびキャラクタの表示制御を開始する(ステップS782)。そして、表示制御プロセスフラグの値を図柄変動中処理(ステップS810)に対応した値に変更する(ステップS783)。
【0133】
図43は、図柄変動中処理(ステップS810)を示すフローチャートである。図柄変動中処理において、表示制御用CPU101は、プロセスタイマがタイムアウトしたか否か確認する(ステップS811)。プロセスタイマがタイムアウトした場合には、プロセステーブル中のデータを示すポインタを+4する(ステップS812)。そして、ポインタが指す領域のデータが終了コードであるか否か確認する(ステップS813)。終了コードでなければ、ポインタが指すプロセスデータの4バイト目に設定されている変動状態を示すデータにもとづいて図柄変動制御、背景およびキャラクタの表示制御を変更するとともに(ステップS814)、1,2バイト目に設定されているプロセスタイマ値でタイマをスタートさせる(ステップS815)。
【0134】
ステップS813で、終了コードであれば、表示制御プロセスフラグの値を全図柄停止待ち処理(ステップS840)に対応した値に変更する(ステップS816)。
【0135】
図44は、全図柄停止待ち処理(ステップS840)を示すフローチャートである。全図柄停止待ち処理において、表示制御用CPU101は、中図柄の停止を示す表示制御コマンドを受信しているか否か確認する(ステップS841)。中図柄の停止を示す表示制御コマンドを受信していれば、指定された停止図柄を表示する制御を行う(ステップS842)。そして、次の表示制御コマンドの受信までの時間を監視するために、コマンド無受信タイマをスタートさせる(ステップS843)。
【0136】
中図柄の停止を示す表示制御コマンドを受信していない場合には、監視タイマがタイムアウトしているかどうか確認する(ステップS845)。タイムアウトした場合には、何らかの異常が発生したと判断して、可変表示部9にエラー画面を表示する制御を行う(ステップS846)。
【0137】
ステップS843またはステップS846の処理を行ったら、表示制御用CPU101は、表示制御プロセスフラグの値を表示制御コマンド受信待ち処理(ステップS720)に対応した値に戻す(ステップS844)。
【0138】
以上にようにして、可変表示部9において、特別図柄の可変表示および背景画像とキャラクタの表示制御とが行われる。そして、この実施の形態では、遊技制御手段すなわち主基板31のCPU56は、特別図柄の変動を開始するときに、表示制御手段に対して、まず、変動時間と仮停止図柄とを含む表示制御コマンドを送信する。すると、表示制御手段すなわち表示制御基板80の表示制御用CPU101が、背景およびキャラクタを含む変動パターンを決定する。また、大当り予告を行うか否かも決定する。
【0139】
さらに、仮停止図柄で可変表示を停止するために図柄の差し替えが必要な場合には、表示制御用CPU101が仮停止図柄から算定した差し替え図柄を決定して表示制御を行う。従って、遊技制御手段は、変動時間と仮停止図柄とを含む表示制御コマンドを送信したら、図柄最終停止タイミングまで表示制御コマンドを送らなくてよい。よって、遊技制御手段の表示制御に要する負荷が低減される。
【0140】
また、1つの変動時間に対応して複数の変動パターンが用意され、表示制御用CPU101が適宜変動パターンを選択するので、遊技制御手段は、少数種類の変動時間を管理するだけでよい。
【0141】
さらに、表示制御手段は、中図柄を一時停止して全図柄を再変動させる変動パターンにおいて、仮停止図柄にもとづいて一時停止図柄を算定するので、遊技制御手段が一時停止図柄を決定して表示制御手段に送信する場合に比べて、やはり、遊技制御手段の表示制御に要する負荷が低減される。また、背景やキャラクタの切り替えも表示制御手段の側で管理していることからも、遊技制御手段の表示制御に要する負荷が低減される。
【0142】
そして、遊技制御手段は、最初に仮停止図柄を表示制御手段に送信し、さらに図柄確定時に再度同じ図柄である停止図柄を送信するので、図柄変動制御の確実化を図ることができる。また、停止図柄が受信できない場合にエラー表示を行うので、異常が生じたことは直ちに認識される。なお、上記の実施の形態では、中図柄についてのみ監視タイマで監視したが、左右図柄の停止図柄のコマンド受信についても同様に監視してもよい。
【0143】
また、表示制御手段において、変動時間が経過してから停止図柄のコマンドを受信するまでに時間がかかった場合には、その間、仮停止図柄を上下に揺れ表示するようにしてもよい。そのような表示制御を行った場合には、主基板31の遊技制御手段から送られてくる停止図柄(仮停止図柄ではない)で図柄の確定がなされることが保証され、確定していないことが容易に認識される。
【0144】
また、表示制御手段が所定期間以上にわたって図柄を可変表示する条件が成立しないことをタイマ監視し、タイムアウトしたらデモンストレーション画面を表示するので、遊技制御手段は、所定期間以上にわたって図柄を可変表示する条件が成立しないことを監視する必要がない。従って、このことからも、遊技制御手段の表示制御に要する負荷が低減される。
【0145】
以上に説明したように、表示制御基板80には、図柄の変動開始時に、主基板31から図柄変動に要する変動時間情報と仮停止図柄とが送信され、表示制御基板80の表示制御用CPU101が、指定された変動時間で変動する複数の変動パターンから1つの変動パターンを選択した。しかし、各変動時間そのものを数値的に示す情報を出力し、表示制御手段がその数値による変動時間に対応した変動パターンを選択するようにしてもよい。その場合でも、変動中の図柄変動速度の変更や差し替え図柄の選択は表示制御用CPU101が行うので、遊技制御手段の図柄可変表示制御に要する負荷が大きく低減される。また、変動時間そのものが数値で指示されるので、表示制御手段は、直ちにタイマセット等の処理を行うことができる。
【0146】
また、遊技制御手段は、表示制御手段に与える変動時間情報として、25〜30秒などの範囲を特定可能な情報を送信するようにしてもよい。その場合、表示制御手段は、その範囲の変動時間を持つ複数の変動パターンから1つの変動パターンを選択して使用する。ただし、表示制御手段が選択した変動パターンの変動時間を遊技制御手段も認識している必要があるので、例えば、表示制御手段は、停止図柄の組み合わせにもとづいて、使用する変動パターンを決定する。
【0147】
上記の実施の形態では、1種類の大当り予告を例示したが、大当り予告は複数種類あってもよい。例えば、画面に表示されるキャラクタの大当り予告を示すせりふを吹き出しで表示することによって、大当り予告を実現してもよい。そして、複数の予告態様が用いられる場合には、大当りが発生する確率の高い予告と、大当りが発生する確率が低い予告とに分け、確率が低い予告をリーチ予告と定義づけてもよい。すなわち、本発明で用いられる予告は、大当り予告であってもよいしリーチ予告であってもよい。さらに、確変図柄で大当りが生ずる可能性が高い場合に用いられる予告を、確変大当り予告としてもよい。
また、上記の実施の形態では、前述した揺れ停止状態と確定状態とを含めて停止状態と定義している。すなわち、その状態において表示されている図柄が次の図柄に変更されることのない場合には、それを停止状態と定義している。
【0148】
図45は、表示制御用CPU101が実行する音声処理(図36におけるステップS712)を示すフローチャートである。表示制御用CPU101は、プロセスタイマがタイムアップしてプロセスデータが変更されると(ステップS881)、プロセステーブルにおける新たな4バイトの領域の3バイト目に設定されている音声制御データ(図41参照)を読み出す(ステップS882)。そして、音声制御基板70に対して音声制御データを送信する(ステップS883)。
【0149】
図41に示されたように、プロセステーブルには、変動速度やその速度での変動期間、背景やキャラクタの切替タイミングとともに、音声制御データが設定されている。すなわち、音声制御データとして、図柄変動、背景やキャラクタによる演出に付随して出力される音声パターンを指定するデータが設定されている。
【0150】
図46は、音声IC制御処理を示すフローチャートである。音声IC制御処理において、音声制御用CPU701は、表示制御基板80からの音声制御データを受信したか否か確認する(ステップS901)。音声制御データを受信した場合には、音声制御データに応じた音声LSI制御用のデータをROMから読み出す(ステップS902)。
【0151】
ROMには、各音声制御データに応じた音声を音声合成回路(音声合成用LSI;例えばディジタルシグナルプロセッサ)702に発生させるための制御データが格納されている。音声制御用CPU701は、受信した各音声制御コマンドデータに対応した制御データをROMから読み出す。
【0152】
この実施の形態では、音声合成回路702は、転送リクエスト信号(SIRQ)、シリアルクロック信号(SICK)、シリアルデータ信号(SI)および転送終了信号(SRDY)によって制御される。音声合成回路702は、SIRQがローレベルになると、SICKに同期してSIを1ビットずつ取り込み、SRDYがローレベルになるとそれまでに受信した各SIからなるデータを1つの音声再生用データと解釈する。従って、音声制御用CPU701は、SIRQをオン(ローレベル)にして(ステップS903)、ROMから読み出した制御データをSICKに同期してSIとして出力し(ステップS904)、出力が完了したらSRDYをローレベルにする(ステップS905)。音声合成回路702は、SIによって制御データを受信すると、受信した制御データに応じた音声を発生する。
【0153】
上記の実施の形態では、音声制御基板70は、表示制御基板80とは独立して設けられていたが、音声出力のための回路を表示制御基板80に搭載してもよい。図47は、そのように構成された場合の主基板31およびその他の基板の構成の一例を示すブロック図である。図47に示すように、音声制御基板70は設けられていない。
【0154】
図48は、表示制御基板80の構成を示すブロック図である。この場合には、表示制御基板80には、音声合成回路702、音量切替回路703および音量増幅回路704も搭載されている。それらの作用は、図6に示された各回路の作用と同じである。
【0155】
この実施の形態では、表示制御用CPU101が実行する音声処理(図36におけるステップS712)は、図49のフローチャートに示すように実行される。すなわち、表示制御用CPU101は、プロセスタイマがタイムアップしてプロセスデータが変更されると(ステップS881)、プロセステーブルにおける新たな4バイトの領域の3バイト目に設定されている音声制御データを読み出した後(ステップS882)、音声合成回路702に対する信号出力を行う(ステップS902〜S905)。
【0156】
このように、表示制御基板80に、音声合成回路702、音量切替回路703および音量増幅回路704も搭載した場合には、音声制御基板70は不要になるので、遊技機のコストを低くすることができる。
ただし、表示制御基板80と音声制御基板70とを独立に設けた場合には、音声制御基板70を他の遊技機に使い回しできるので、遊技機のリサイクル性が向上する。
【0157】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明では、遊技機を、表示制御手段が、遊技制御手段からの表示制御コマンドを受信すると、少なくとも最終的な表示結果となる識別情報に関わらない表示内容について決定し、遊技機は複数のキャラクタのうちの1つを選択して表示することが可能であって、表示内容決定手段が、遊技制御手段から指定を受けずにあらかじめ定められた条件に応じてキャラクタを変更表示するキャラクタ変更表示手段を含むように構成したので、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担が軽くなり、特に、キャラクタの切り替えも表示制御手段の側で管理していることから、遊技制御手段が本来の遊技制御にかけられる時間を増やすことができる効果がある。
【0158】
請求項2記載の発明では、表示制御手段が、遊技制御手段からの識別情報を特定可能な情報が特定表示態様となることを示していたら、特定表示態様となることを予告する予告表示を行うか否か決定するように構成されているので、遊技制御手段は予告を行うか否か決定するための処理を行わずに済み、やはり、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担を軽減できる効果がある。
【0159】
請求項3記載の発明では、特定表示態様となることの予告表示は、キャラクタによって行われるように構成されているので、予告とキャラクタの連動によって遊技の興趣を増すことができる効果がある。
【0160】
請求項4記載の発明では、表示制御手段が、所定期間を計測して、遊技制御手段から指定を受けずにデモンストレーション画面表示を行うデモンストレーション画面表示手段を含むように構成されているので、遊技制御手段は所定期間以上にわたって識別情報を可変表示する条件が成立しないことを監視する必要がなく、遊技制御手段の表示制御に要する負荷がさらに低減される効果がある。
【0161】
請求項5記載の発明では、遊技制御手段が、識別情報を確定させる際に、再度、識別情報を特定可能な情報を送出するように構成されているので、識別情報の確定を確実化できる効果がある。
【0162】
請求項6記載の発明では、表示制御手段が、全ての識別情報を確定させるまでの間、先に停止した識別情報を、通常の変動と同じ態様で正方向と逆方向の変動を繰り返すように表示させるように構成されているので、遊技制御手段から送られてくる情報で識別情報の確定がなされることが保証され、確定していないことが容易に認識される効果がある。
【0163】
請求項7記載の発明では、遊技制御手段と可変表示制御手段との間では、遊技制御手段から可変表示制御手段への方向にのみデータが転送可能なように構成されているので、遊技制御手段に不正な信号が入力される可能性を低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
【図2】 パチンコ遊技機の内部構造を示す全体背面図である。
【図3】 パチンコ遊技機の遊技盤を背面からみた背面図である。
【図4】 主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【図5】 表示制御基板の回路構成を示すブロック図である。
【図6】 音声制御基板の回路構成例を示すブロック図である。
【図7】 基本回路のメイン処理を示すフローチャートである。
【図8】 各乱数を示す説明図である。
【図9】 打球が始動入賞口に入賞したことを判定する処理を示すフローチャートである。
【図10】 可変表示の停止図柄を決定する処理およびリーチ種類を決定する処理を示すフローチャートである。
【図11】 大当たり判定の処理を示すフローチャートである。
【図12】 特別図柄プロセス処理を示すフローチャートである。
【図13】 特別図柄プロセス処理におけるコマンド送信完了待ちの処理を示すフローチャートである。
【図14】 特別図柄プロセス処理における全図柄停止待ち処理を示すフローチャートである。
【図15】 可変表示部に表示される左右中図柄の例を示す説明図である。
【図16】 可変表示部に表示される背景図柄の例を示す説明図である。
【図17】 可変表示部に表示されるキャラクタの例を示す説明図である。
【図18】 表示制御コマンドの構成例を示す説明図である。
【図19】 表示制御コマンドのCMD1の構成例を示す説明図である。
【図20】 表示制御コマンドのCMD2の構成例を示す説明図である。
【図21】 表示制御コマンドのCMD2の構成例を示す説明図である。
【図22】 表示制御コマンドのCMD2の構成例を示す説明図である。
【図23】 表示制御コマンドの他の構成例を示す説明図である。
【図24】 主基板から表示制御基板に送信される表示制御コマンドデータを示す説明図である。
【図25】 表示制御コマンドデータの送出タイミングの一例を示すタイミング図である。
【図26】 表示制御データ設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【図27】 表示制御データ出力処理を示すフローチャートである。
【図28】 図柄の各変動パターンを構成する変動状態を示す説明図である。
【図29】 リーチとしないはずれ時の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。
【図30】 リーチ時の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。
【図31】 リーチ時の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。
【図32】 リーチ時の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。
【図33】 リーチ時の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。
【図34】 表示制御用CPUのメイン処理を示すフローチャートである。
【図35】 表示用乱数を示す説明図である。
【図36】 表示制御用CPUのタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図37】 表示制御用CPUのIRQ2割込処理を示すフローチャートである。
【図38】 表示制御プロセス処理を示すフローチャートである。
【図39】 表示制御プロセス処理の表示制御コマンド受信待ち処理を示すフローチャートである。
【図40】 表示制御プロセス処理のリーチ動作設定処理を示すフローチャートである。
【図41】 プロセステーブルの構成例を示す説明図である。
【図42】 表示制御プロセス処理の全図柄変動開始処理を示すフローチャートである。
【図43】 表示制御プロセス処理の図柄変動中処理を示すフローチャートである。
【図44】 表示制御プロセス処理の全図柄停止待ち処理を示すフローチャートである。
【図45】 表示制御用CPUの音声処理を示すフローチャートである。
【図46】 音声制御用CPUの音声IC制御処理を示すフローチャートである。
【図47】 主基板における他の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図48】 表示制御基板の他の回路構成を示すブロック図である。
【図49】 表示制御用CPUの他の音声処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
9 可変表示部
31 遊技制御基板(主基板)
53 基本回路
56 CPU
70 音声制御基板
80 表示制御基板
101 表示制御用CPU
102 制御データROM
103 VDP
105 入力バッファ回路
701 音声制御用CPU

Claims (6)

  1. 表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったときに大当り遊技状態に移行させる遊技機であって、
    遊技の進行を制御する遊技制御用マイクロコンピュータを含む遊技制御手段と、
    前記可変表示部の表示制御を行う表示制御用マイクロコンピュータを含む表示制御手段とを備え、
    前記遊技制御用マイクロコンピュータは、
    大当り遊技状態に移行させるか否かを決定する大当り決定手段と、
    前記大当り決定手段の決定結果にもとづいて、前記可変表示部に最終的に停止表示させる識別情報を決定する識別情報決定手段と、
    識別情報の変動表示が行われる変動時間を複数種類の変動時間の中から決定する変動時間決定手段と、
    前記表示制御用マイクロコンピュータに識別情報の表示制御を行わせるための表示制御コマンドを、前記表示制御用マイクロコンピュータに送信する表示制御コマンド送信手段とを含み、
    識別情報の表示結果として前記特定表示態様を表示させた後、可変入賞球装置を所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行させ、
    前記表示制御コマンド送信手段は、
    識別情報の変動を開始させるときに、前記表示制御コマンドとして、前記変動時間決定手段によって決定された変動時間を特定可能な情報と前記識別情報決定手段によって決定された最終的に停止表示させる識別情報を特定可能な情報とを送信し、
    前記変動時間決定手段によって決定された変動時間が経過したときに識別情報の最終停止を示す情報を含む表示制御コマンドを送信し、
    前記遊技制御用マイクロコンピュータと前記表示制御用マイクロコンピュータとの間では、前記遊技制御用マイクロコンピュータから前記表示制御用マイクロコンピュータへの方向にのみデータが転送可能であり、
    前記表示制御用マイクロコンピュータは、
    識別情報の変動を開始させるときに送信された前記表示制御コマンドを受信すると、最終的に停止表示させる識別情報以外の表示内容について独自に決定する表示内容決定手段と、
    識別情報の変動を開始させるときに送信された前記表示制御コマンドを受信すると、前記可変表示部において識別情報の変動が開始されるように制御する変動開始制御手段と、
    前記識別情報の最終停止を示す情報を含む表示制御コマンドを受信すると、前記表示制御コマンドにより特定される前記最終的に停止表示させる識別情報を前記可変表示部に停止表示させる制御を行う停止識別情報表示制御手段とを含み、
    前記表示内容決定手段は、前記最終的に停止表示させる識別情報以外の表示内容として、識別情報の表示結果が特定表示態様となることを予告する表示を行うか否かを決定する予告表示実行決定手段を含む
    ことを特徴とする遊技機。
  2. 特定表示態様となることを予告する表示は、可変表示部に表示されるキャラクタによって行われる
    請求項1記載の遊技機。
  3. 識別情報の変動を開始させる条件が所定期間成立しない場合にはデモンストレーション画面表示を行うことが可能であって、
    表示制御用マイクロコンピュータは、所定期間を計測して、遊技制御用マイクロコンピュータから指定を受けずにデモンストレーション画面表示を行うデモンストレーション画面表示手段を含む
    請求項1または請求項2記載の遊技機。
  4. 表示制御コマンド送信手段は、識別情報を確定させる際に、再度、識別情報を特定可能な情報を送出する
    請求項1から請求項3のうちのいずれかに記載の遊技機。
  5. 表示制御用マイクロコンピュータは、全ての識別情報を確定させるまでの間、先に停止した識別情報を、識別情報の変動方向の正方向と逆方向とに繰り返し変動させる
    請求項1から請求項4のうちのいずれかに記載の遊技機。
  6. 表示制御用マイクロコンピュータは、複数のキャラクタのうちの1つを選択して可変表示部に表示するキャラクタ表示手段を含み、
    表示内容決定手段は、最終的に停止表示させる識別情報以外の表示内容として、前記キャラクタ表示手段が表示するキャラクタを決定する
    請求項1から請求項5のうちのいずれかに記載の遊技機。
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