JP3787966B2 - 還元鉄製造原料の装入方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉状の鉄鉱石や鉄分を含んだダスト、スラッジ、スケール等の粉状鉄原料と石炭、コークス等の粉状固体還元剤とを混合した原料を炉床が水平に回転移動する加熱炉に装入して還元鉄を製造する際の炉内への原料の装入方法、および装入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、粉状の鉄鉱石と粉状固体還元剤とを混合して塊成化し、これを炉床が水平に回転移動する加熱炉床(以下、「回転炉床」といい、この炉床を有する炉を「回転床炉」という)に装入して還元鉄を製造する技術が注目されている。
【0003】
この回転床炉は古くからあるロータリーキルン炉とは異なり、設備コストが安価であるのが特徴であるが、一方、炉床が水平に回転するために原料の装入および製品の排出に配慮が必要である。その技術の代表的なものとしては、粉状の鉄鉱石と固体還元剤とを混合して塊成化物(ペレット)となし、これを高温に加熱することにより鉄鉱石中の酸化鉄を還元して固体状金属鉄とする技術がある(例えば、米国特許第3,443,931号明細書、特開平7−238307号公報)。
【0004】
図1は、加熱を回転床炉を用いて行う従来の還元鉄の製造プロセスの一例の概略図である。図示するように、粉鉄鉱石と粉石炭にバインダーとしてのベントナイトを添加し、混練機で、さらに水分やタールを添加して混合する。この混合原料をペレタイザーまたはダブルロール圧縮機で塊成化し、回転床炉の原料装入部へ移送して炉内へ装入し、炉床の移動に伴って1回転させる間に鉄鉱石中の酸化鉄を高温還元して固体状金属鉄とする。得られた金属鉄は排出部から取り出される。
【0005】
上記の還元鉄の製造方法において、粉状鉄原料としては、粉状の鉄鉱石の他に、製鉄所で発生する鉄分を含んだ各種のダストやスラッジ、スケールなどが使用でき、また、粉状固体還元剤としては、石炭、コークス、チャー、オイルコークスなどが使用可能である。これら鉄原料や固体還元剤は、場合によっては乾燥処理、破砕処理が施される。
【0006】
粉状鉄原料と粉状固体還元剤は、次いで混練処理されるが、その際、必要に応じてバインダーとしての水分、タール、糖蜜、有機系樹脂、セメント、スラグ、ベントナイト、生石灰、軽焼ドロマイト、消石灰が添加される。
【0007】
混練された原料は、デスクペレタイザイーにより球状のペレットに、またはダブルロール圧縮機によりブリケットに塊成化される。この場合、ペレットにするためには粒径が0.1mm以下の粒度の原料が適し、ブリッケトには粒径が1mm以下の粒度のものが適するので、あらかじめ所定の粒度に微粉砕する必要がある。また、塊成化物(上記のペレット、ブリケットを指す)の強度を高めるため、塊成化後に乾燥処理または養生処理が施される場合もある。
【0008】
得られた塊成化物は、ベルトコンベヤーで回転床炉の上部に送られ、そこから回転炉床上に幅広く分散するように装入シュートを用いて装入され、レベラーによりならされる。続いて、炉内を移動する間に加熱還元され、金属鉄となる。
【0009】
回転床炉では、炉内に燃料ガスと空気を送り込み燃料ガスを燃焼させることによって1100〜1300℃の炉内温度が確保されている。この回転床炉の炉床上に上記塊成化物が10〜20mmの薄い層状に敷かれ、主に炉内壁からの輻射熱で900℃以上に加熱され、還元焼結されて、所定の金属化率に達すれば、製品として炉外へ排出される。
【0010】
しかしながら、上述のような従来の還元鉄の製造方法には、次のような問題がある。
【0011】
回転床炉の加熱は原料薄層への輻射により主に薄層の表面から行われるので、炉床単位面積あたりの受熱量は同一である。このような加熱条件下においては、原料全体を900℃以上に昇温し、なおかつ生産性を高めるために、炉床上に原料が敷かれていない空間を作らないことが重要であり、また、炉床面に対する原料充填率を大きくすることが必要である。
【0012】
しかし、原料充填率を上昇させるために原料層厚を厚くすると、原料層内での伝導伝熱の原理、すなわち熱伝導時間は層厚の自乗に比例するという原理から、原料全体を昇温するに要する時間が大幅に延長する。このため、一方では、原料層厚は極力薄くし、ペレットやブリッケトにあっては1個の厚みで原料層を形成しようとしている。しかしながら、原料装入部において、ペレットやブリッケトを薄く敷くと、それらの形状が球形もしくは楕円体形であるため原料と原料との間に空間が存在し、原料充填率が低下して還元鉄の生産性が低下するという問題がある。
【0013】
この問題を解決するため、本出願人は、先に、混合原料を炉床上へ粉体のまま装入する方法、粉体のまま装入した後、回転ローラーで転圧して原料充填率を上昇させる方法を提案した(特願平8−324704号)。しかし、粉体層のまま装入する方法では、原料は炉床全面に敷設されるが、粉体の摩擦力により高い充填率は得られない。一方、粉体のまま装入した後、回転ローラーで転圧する方法では、原料層は高い充填率を有し、この点では問題がないが、以下のような別の問題が発生する。すなわち、この方法では、炉床レンガに原料粉体を押しつけることになるので、炉床と焼成原料との間で融着が起こり、排出時にトラブルが生じる場合がある。また、炉床面が平坦であればよいが、炉床面に凹凸状態が発生した場合、炉床面の凹凸に応じて原料層の層厚が異なり、焼成むらが発生し、還元鉄の生産率が低下する。
【0014】
そのため、混合原料を炉床上以外の場所で圧密し、これをシートの状態で回転炉床上に装入すれば、好結果が得られることが期待される。しかし、圧密粉体原料には粘着力がないので曲げに対する強度がなく、直線的なタイル状のものしか製造することができなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の還元鉄の製造技術における上記の問題を解決することを課題としてなされたものである。本発明の具体的な目的は、粉状の鉄鉱石と粉状固体還元剤とを混合して、原料充填率が高く、しかも曲げに対する強度も大きいシートの状態で回転炉床上に装入することができる方法およびそのための装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、曲げに対する強度の強い原料シートを作製するため、本発明者らは、以下に示すダブルロール圧縮機を用いた。このダブルロール圧縮機は、本出願人が提案した特願平9−140782号に記載の発明で用いた圧縮機で、回転炉床の上方で、二つのロール軸が加熱炉床の移動方向と直交する方向に設置されたものである。ただし、ロールは、混合原料を圧密して板状ないしはシート状にし得るように、表面が平坦なロールを使用した。
【0017】
図2の(a)は、前記の特願平9−140782号に記載の発明で用いたダブルロール圧縮機の要部の構成を示すとともに、この圧縮機により圧縮成形される成形原料の回転炉床上への装入方法の一例を説明するための図である。図示するように、ダブルロール圧縮機1は回転炉床2の上方(この場合は、直上)に設置され、二つのロール軸が回転炉床の移動方向と直交する方向に配されている。ダブルロール圧縮機1の真下には、圧縮機1から排出される成形原料12を受けて回転炉床2上に載置するための装入シュート11が取り付けられている。なお、この例では、ダブルロール圧縮機1に原料を供給するための原料供給ホッパー10が設けられている。
【0018】
ダブルロール圧縮機1は、加圧ロール歯車6を備えた加圧ロール5と受圧ロール歯車9を備えた受圧ロール8の二つのロールを有し、受圧側ロール軸7は固定され、加圧側ロール軸4は油圧シリンダー3により矢印の方向またはその反対方向に移動して原料を成形する際の加圧力を調節できるように構成されている。
【0019】
このダブルロール圧縮機を用いれば、原料の成形後から回転炉床に装入するまでのハンドリングを軽減することができ、しかも、二つのロール軸が回転炉床の移動方向と直交する方向に設置されているので、成形された原料を回転炉床の幅方向に一列に設けられたロール出口から排出させ、成形原料の幅方向での移動をほとんど起こさせずに装入シュートに沿わせて回転炉床に装入することができる。すなわち、ハンドリングに伴う衝撃を軽微なものとし、また、成形原料の幅方向での移動に伴う成形原料どうしの衝突等による粉の発生を抑制することが可能である。
【0020】
しかし、この圧縮機で、表面が平坦なロールを使用するだけでは、図2の(b)に示すように、得られる板状成形物13は途中で破断しやすく、シート状の成形物を得ることは困難である。前述したように、圧密した原料には粘着力がなく、曲げに対する強度がないからである。
【0021】
そこで、上記のダブルロール圧縮機で、粉状の鉄鉱石と粉状固体還元剤との混合原料をフィルムまたはベルトと一緒に圧密したところ、好結果が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0022】
本発明の要旨は、下記(1)の還元鉄製造原料の装入方法および(2)のそのための装置、ならびに(3)の還元鉄製造原料の装入方法および(4)のそのための装置にある。
【0023】
(1)回転炉床の上方で、二つのロール軸が回転炉床の移動方向と直交する方向に設置されたダブルロール圧縮機で粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料を成形し、得られるシート状の成形物を前記回転炉床上に装入し、焼成して還元鉄を製造するに際し、前記ダブルロール圧縮機で混合原料を二つのロールのいずれか一方のロールに密着させた薄いフィルムを介して成形し、成形されたシート状の原料をフィルムとともに回転炉床上に載置することを特徴とする還元鉄製造原料の装入方法。
【0024】
(2)回転炉床の上方で、二つのロール軸が回転炉床の移動方向と直交する方向に設置されたダブルロール圧縮機で粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料を圧縮し、得られるシート状の成形物を前記回転炉床床上に装入する還元鉄製造原料の装入装置であって、混合原料とともに二つのロールのいずれか一方のロールの表面にフィルムを供給するためのフィルムホルダーと、ダブルロール圧縮機から排出されるフィルムと成形された原料からなる原料シートを支えるとともに、原料シートを炉床の移動方向へ湾曲させるシート支持ローラーを有することを特徴とする還元鉄製造原料の装入装置。
【0025】
(3)回転炉床の上方で、二つのロール軸が回転炉床の移動方向と直交する方向に設置されたダブルロール圧縮機で粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料を成形し、得られるシート状の成形物を前記回転炉床上に装入し、焼成して還元鉄を製造するに際し、前記ダブルロール圧縮機で混合原料を二つのロールのいずれか一方のロールに密着させたベルトを介して成形し、成形されたシート状の原料をベルトとともに加熱炉床の近傍まで運搬した後、ベルトから成形原料層を分離し、ベルトはロール圧縮機へ戻し、原料成形層は回転炉床上に載置することを特徴とする還元鉄製造原料の装入方法。
【0026】
(4)回転炉床の上方で、二つのロール軸が加熱炉床の移動方向と直交する方向に設置されたダブルロール圧縮機で粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料を成形し、得られるシート状の成形物を前記回転炉床上に装入する還元鉄製造原料の装入装置であって、混合原料とともに二つのロールのいずれか一方のロールの表面を覆うエンドレスのベルトと、ダブルロール圧縮機から排出されるベルトと成形された原料からなる原料シートを支えるとともに、原料シートを炉床の移動方向へ湾曲させるシート支持ローラーと、ベルトを駆動させるベルトキャリヤーローラーを有することを特徴とする還元鉄製造原料の装入装置。
【0027】
ここで、「粉状鉄原料」とは、酸化鉄が主成分の粉状の鉄原料であり、具体的には、前述した粉状の鉄鉱石や製鉄所で発生する鉄分を含んだダスト、スラッジ(例えば、焼結機発生ダスト、高炉発生ダスト、転炉発生ダスト、圧延工場発生スラッジ)、スケール等をいう。本発明においては、これらを単独で、または2種以上の混合物状態で使用することができる。
【0028】
「粉状固体還元剤」とは、石炭、コークス、チャー、オイルコークス等の、主に炭素を含む固体物質の粉末である。これらも、単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
上記(1)の発明の方法望ましい実施態様として、下記の方法を採用することができる。
【0030】
〔望ましい態様1〕
フィルム材としてポリエチレンを用いる還元鉄製造原料の装入方法。
【0031】
〔望ましい態様2〕
フィルム材として紙を用いる還元鉄製造原料の装入方法。
【0032】
また、上記(3)の発明の方法の望ましい実施態様として、下記の方法を採用することができる。
【0033】
〔望ましい態様3〕
ベルトとして金属製ベルトを用いる還元鉄製造原料の装入方法。
【0034】
さらに、上記(4)の発明の装置の望ましい実施態様として、下記の装置を採用することができる。
【0035】
〔望ましい態様4〕
ベルトが金属製ベルトである還元鉄製造原料の装入装置。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0037】
前記(1)の発明では、粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料をダブルロール圧縮機で成形する際に、混合原料を二つのロールのいずれか一方のロールの表面に密着させた薄いフィルムを介して成形する。すなわち、混合原料とともに、ダブルロール圧縮機の二つのロールのいずれか一方のロールの表面に密着させて薄いフィルムを通し、両者を一緒に成形するのである。成形された原料はフィルムに接着した(張り付いた)状態でシート状をなしてダブルロール圧縮機から排出されるので、そのままの状態で、つまり、フィルムごと、炉床の移動方向へ(すなわち、原料シートの先端部分の炉床に対する水平角が小さくなるように)湾曲させ、加熱炉床上に載置する。
【0038】
前記(2)の発明は(1)の発明を実施するための装置である。
【0039】
図3の(a)はこの装置の一例の構成を模式的に示す断面図である。この装置は、図示するように、二つのロールのいずれか一方のロール(この例では、受圧ロール8)の表面に密着させて混合原料とともにダブルロール圧縮機に通すフィルム15を供給するためのフィルムホルダー14と、ダブルロール圧縮機から排出されるフィルム15と成形された原料からなる原料シート16を支えるとともに、原料シート16を炉床2の移動方向へ湾曲させるシート支持ローラー17を有している。なお、この例では、シート支持ローラー17で搬送されてくる原料シート16を炉床上へ導くガイドシュート18が設けられている。
【0040】
前記の混合原料とともにダブルロール圧縮機に通すフィルムとしては、幅が広く、長さの長い、かつ薄いフィルム状のもので、しかも、回転床炉内で燃焼するものが必要である。無機質成分を含むものは、それがわずかながら還元鉄製品にも含入するので、無機質成分をほとんど含まない炭化水素系、もしくは炭水化物系のものが望ましい。具体的には、後述するポリエチレンや紙類が適している。
【0041】
前記(3)の発明では、粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料をダブルロール圧縮機で成形する際に、混合原料とともに、ダブルロール圧縮機の二つのロールのいずれか一方のロールの表面に密着させたベルトを介して成形する。すなわち、混合原料とともに、ダブルロール圧縮機の二つのロールのいずれか一方のロールの表面に密着させてベルトを通し、両者を一緒に成形するのである。成形された原料はベルトに接着した(張り付いた)状態でシート状をなしてダブルロール圧縮機から排出されるので、そのままの状態で、つまり、ベルトごと、炉床の移動方向へ(すなわち、原料シートの先端部分の炉床に対する水平角が小さくなるように)湾曲させ、回転炉床の近傍まで搬送した後、ベルトと成形された原料の層を分離し、ベルトはロール圧縮機へ戻し、原料成形層は回転炉床上に載置する。
【0042】
前記(4)の発明は(3)の発明を実施するための装置である。
【0043】
図3の(b)はこの装置の一例の構成を模式的に示す断面図である。この装置は、図示するように、二つのロールのいずれか一方のロール(この例では、受圧ロール8)の表面に密着させて混合原料とともにダブルロール圧縮機に通すエンドレスのベルト19と、ダブルロール圧縮機から排出されるベルト19と成形された原料からなる原料シート16を支えるとともに、原料シート16を炉床2の移動方向へ湾曲させるシート支持ローラー17と、ベルトを駆動させるベルトキャリヤーローラー20を有している。なお、この例では、シート支持ローラー17で搬送されてくる原料シート16を炉床上へ導くガイドシュート18が設けられている。なお、ガイドシュート18は板状のものでもよいが、シートの流れをよくするためにはローラーシュートが望ましい。
【0044】
この装置を使用すれば、成形した原料をシート状に保持するためのベルトを炉床上に積載する直前に回収してエンドレスに回転させることにより再使用することができる。また、成形された原料の層のみがガイドシュート18によって炉床上に積載されるので、還元鉄製品への不純物の混入についての懸念は全くない。
【0045】
前記の混合原料とともにダブルロール圧縮機に通すベルトとしては、幅が広く、長さの長いものが必要であるが、極薄である必要はない。しかし、連続使用できる程度の強度は必要である。具体的には、ゴム製ベルトなどが使用できるが、後述する金属製ベルトが望ましい。
【0046】
次に、前記の〔望ましい態様1〕〜〔望ましい態様4〕について説明する。
【0047】
〔望ましい態様1〕は、前記(1)の発明の還元鉄製造原料の装入方法で、フィルム材としてポリエチレンを用いる発明であり、〔望ましい態様2〕はフィルム材として紙を用いる発明である。ポリエチレン樹脂も紙も、幅が広く、長さが長い、かつ薄く、しかも、回転床炉内で燃焼して、還元鉄製品に不純物も持ち込むことがないという前述した条件を容易に満たすことができる。また、安価であるという利点も有している。
【0048】
〔望ましい態様3〕および〔望ましい態様4〕は、それぞれ、前記(3)の発明の還元鉄製造原料の装入方法および(4)の発明のそのための装置で、ベルトとして金属製ベルトを用いる方法、および装置である。金属製ベルトも、幅が広く、長さの長いものが容易に得られるとともに、圧縮性が小さく、薄いので、ダブルロール圧縮機で成形する際、ゴム製ベルト等を用いる場合に比較して混合原料の圧密性を高めることができるという利点がある。
【0049】
以上、本発明について説明したが、本発明の実施に際し、原料に潤滑剤としてタール、ベントナイト、洗剤などを添加しておくと、原料の成形性を高めることができ、低水分条件で原料を良好な状態でシート状に成形することができる。なお、成形時のロールによる圧縮力や原料の水分条件は原料性状や原料送り速度に応じて決められるべきもので、高水分で成形性が良好な原料の場合は圧縮力を加えずにシート状に成形することが可能である。
【0050】
また、成形の際、ダブルロール圧縮機のロールに原料が付着する場合があるが、ロールにスクレーパーをあてることによって付着物を除去することが可能である。
【0051】
以上説明した本発明の装置を用い、本発明の方法により原料の装入を行えば、高い充填率で、かつシート状で炉床上に装入することができ、焼成むらを生じさせず、安定した焼成を行うことができ、生産率を向上させることができる。特に、フィルムとして紙、ポリエチレンを用いた場合、ベルトとしてスチール製の厚みが薄いものを用いた場合は、良好な結果が得られ、還元鉄製品の生産性改善効果が大きい。
【0052】
なお、回転床炉にあっては、移動する炉床は原料装入部でも高温で、800℃程度あるので、炉床の輻射熱からダブルロール圧縮機などの装置を保護するために、前記の図3では図示していないが、断熱床を設けることが望ましい。
【0053】
【実施例】
表1に示す粉鉄鉱石と表2に示す粉石炭を用い、これらを表3に示す配合率で配合した。この混合原料を用いて、表5に示す各ケースの条件で還元鉄を製造し、そのときの生産率を求めて、本発明の効果を評価した。なお、用いた回転炉床の設備仕様と操業条件を表4に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
No.1のケースは、従来実施されている方法で、前記の図1に示した製造工程に準じ、直径7.5mの皿型ペレタイザーを用いて径が20mmのペレットを製造し、平板形シュートで回転床炉に装入した。また、No.2のケースは、同じく従来例で、No.1のケースのペレットに変えてブリケットを用いた場合である。
【0060】
No.3およびNo.104のケースとNo.35〜No.38のケースは、ダブルロール圧縮機を回転床炉の原料装入部の直上に設置した場合である。
【0061】
No.3のケースはブリケット形状の成形を行い、前記の図2の(a)に示した一般的な装入シュートを用いて装入した場合であり、No.104のケースは粉体原料を圧密したものを図2の(b)の一般的な装入シュートにより装入した場合で、いずれも比較例である。
【0062】
No.35とNo.36のケースは、図3の(a)に示した装入装置を用い、混合原料とフィルムをダブルロール圧縮機を用いて一緒に圧密し、フィルムの上に圧密された原料がのった原料シートを形成させ、炉床上に載置した場合で、本発明例である。フィルムとして、それぞれ、0.1mm厚のポリエチレンおよび30g/m2 の紙を用いた。この場合、炉床上に装入される原料シートの厚みは15mmで一定とした。また、ダブルロールの回転速度は、炉床の移動速度と同期するように設定した。
【0063】
No.37とNo.38のケースは、図3の(b)に示した装入装置を用い、混合原料とベルトをダブルロール圧縮機を用いて一緒に圧密し、炉床の近傍でベルトとベルト上の圧密された原料の層を分離し、原料層を炉床上に載置した場合で、本発明例である。No.37ではベルトとして10mm厚のゴム製のベルトを、No.38では、ベルトとして2mm厚のスチール製のベルトを用いた。なお、原料シートの厚みおよびダブルロールの回転速度の調整は、上記のフィルムを用いた場合と同様とした。
【0064】
操業に際し、還元鉄の金属化率が92%となるように炉床の回転速度を調整した。すなわち、金属化率が目標値よりも低ければ、回転速度を下げ、焼成時間を延長して金属化率を上昇させた。この場合、生産性は低下する。逆に、金属化率が目標値よりも高ければ、回転速度を上昇させ、焼成時間を短縮して金属化率を目標値まで低下させた。この場合、生産性は向上する。
【0065】
上記の各ケースの操業比較を行った結果、本発明例では、従来例および比較例に比べて、原料のむら焼けがなく、安定した焼成ができ、還元鉄の生産率も向上した。これは、混合原料を高い充填率でシート状で炉床上に装入できたことによるものである。
【0066】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、粉状の鉄鉱石と粉状固体還元剤とを混合した原料を高い充填率で、かつシート状で炉床上に装入することができる。その結果、焼成むらを生じさせず、安定した焼成を行うことができ、生産率を向上させることが可能となる。この方法は、本発明の装置により容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転床炉を用いて行う従来の還元鉄の製造プロセスの一例の概略図である。
【図2】本発明の方法で用いるダブルロール圧縮機の要部の構成と、原料の装入方法の一例を説明するための図で、(a)は成形原料として炉床上に載置する場合、(b)は板状成形物として載置する場合である。
【図3】本発明の方法で用いる装入シュートの形状を模式的に示す断面図で、(a)は混合原料をフィルムとともにダブルロール圧縮機で成形する場合、(b)は混合原料をベルトとともにダブルロール圧縮機で成形する場合である。
【符号の説明】
1:ダブルロール圧縮機
2:回転炉床
3:湯圧シリンダー
4:加圧側ロール軸
5:加圧ロール
6:加圧ロール歯車
7:受圧側ロール軸
8:受圧ロール
9:受圧ロール歯車
10:原料ホッパー
11:装入シュート
12:成形原料
13:板状成形物
14:フィルムホルダー
15:フィルム
16:原料シート
17:シート支持ローラー
18:ガイドシュート
19:ベルト
20:ベルトキャリヤーローラー
Claims (4)
- 水平回転移動する加熱炉床の上方で、二つのロール軸が加熱炉床の移動方向と直交する方向に設置されたダブルロール圧縮機で粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料を成形し、得られるシート状の成形物を前記加熱炉床上に装入し、焼成して還元鉄を製造するに際し、前記ダブルロール圧縮機で混合原料を二つのロールのいずれか一方のロールに密着させた薄いフィルムを介して成形し、成形されたシート状の原料をフィルムとともに加熱炉床上に載置することを特徴とする還元鉄製造原料の装入方法。
- 水平回転移動する加熱炉床の上方で、二つのロール軸が加熱炉床の移動方向と直交する方向に設置されたダブルロール圧縮機で粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料を成形し、得られるシート状の成形物を前記加熱炉床上に装入する還元鉄製造原料の装入装置であって、混合原料とともに二つのロールのいずれか一方のロールの表面にフィルムを供給するためのフィルムホルダーと、ダブルロール圧縮機から排出されるフィルムと成形された原料からなる原料シートを支えるとともに、原料シートを炉床の移動方向へ湾曲させるシート支持ローラーを有することを特徴とする還元鉄製造原料の装入装置。
- 水平回転移動する加熱炉床の上方で、二つのロール軸が加熱炉床の移動方向と直交する方向に設置されたダブルロール圧縮機で粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料を成形し、得られるシート状の成形物を前記加熱炉床上に装入し、焼成して還元鉄を製造するに際し、前記ダブルロール圧縮機で混合原料を二つのロールのいずれか一方のロールに密着させたベルトを介して成形し、成形されたシート状の原料をベルトとともに加熱炉床の近傍まで運搬した後、ベルトから成形原料層を分離し、ベルトはロール圧縮機へ戻し、原料成形層は加熱炉床上に載置することを特徴とする還元鉄製造原料の装入方法。
- 水平回転移動する加熱炉床の上方で、二つのロール軸が加熱炉床の移動方向と直交する方向に設置されたダブルロール圧縮機で粉状鉄原料と粉状固体還元剤の混合原料を成形し、得られるシート状の成形物を前記加熱炉床上に装入する還元鉄製造原料の装入装置であって、混合原料とともに二つのロールのいずれか一方のロールの表面を覆うエンドレスのベルトと、ダブルロール圧縮機から排出されるベルトと成形された原料からなる原料シートを支えるとともに、原料シートを炉床の移動方向へ湾曲させるシート支持ローラーと、ベルトを駆動させるベルトキャリヤーローラーを有することを特徴とする還元鉄製造原料の装入装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17184097A JP3787966B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 還元鉄製造原料の装入方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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