JP3787830B2 - 電子鍵盤楽器のタッチコントロール用圧力センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ピアノ、エレクトーン等の電子鍵盤楽器のタッチコントロール用圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
鍵盤装置を備えた楽器は、押鍵により発音及びその持続を制御するものが一般的であるが、さらに、押鍵時や押鍵持続状態で鍵に加える圧力を変化させることにより、音の立ち上がり時や持続状態における音の強弱を変化させたり、ビブラート効果、トレモロ効果等を発生させ変化させたりする制御機能、すなわち、アフタータッチコントロール機能を備えたものがある。
【0003】
そのようなアフタータッチコントロール機能を実現するために、押鍵圧を感知するアフタータッチコントロール用圧力センサが鍵盤装置に設けられている。
【0004】
図8は、従来の圧力センサの一例を示す縦断面図である。この圧力センサ2は、センサ本体20と、これを収容するケース24と、センサ本体20の上面に固定されケース外へ突出する緩衝部材25とを備えている。センサ本体20は、帯状の下部センサ部材21と、下部センサ部材21上に長手方向両側縁に沿って固定されたスペーサ22と、スペーサ22の頂部間に掛け渡され固定された帯状の上部センサ部材23とを備えている。ケース24は、上面に開口部241を有し、該開口部の両側に位置する上壁242と底壁243とでセンサ本体20を挟持している。緩衝部材25は、開口部241からケース24の上方へ突出しており、鍵と連動する部材の打撃を緩衝しつつセンサ本体20に押鍵圧を伝える。圧力センサ2は、複数の鍵に対して1つの圧力センサを対応させて使用するよう或る長さをもって構成されるのが一般的である。
【0005】
センサ本体20には、種々の形態のものが存する。最も一般的なものは、下部センサ部材21が電気的良導体からなる電極基板であり、上部センサ部材23が抵抗値をもった導電ゴムからなる弾性導電体であり、両者を絶縁性スペーサ22で離間させたものである。押鍵した際、鍵と連動する部材(図示せず)によって緩衝部材25が図8の下方に押圧される。上部センサ部材23は、この押圧力を受けたときに緩衝部材25と共に変形し、下面が下部センサ部材21に接触する。したがって、緩衝部材25に付加される押圧力の大小により、下部センサ部材21との接触面積が増減し、両者間の導電性が変化する。これにより、アフタータッチコントロールのための電流、電圧等の制御が可能となる。
【0006】
他の一般的な形態のセンサ本体は、下部センサ部材21が、相互に離間して長手方向に延びる2本の細長い電極を上面に備え、上部センサ部材23が、感圧導電ゴムやチタン酸バリウム等のように圧力に応じて導電性を変化させる材料からなる感圧部材を下面に備えたものである。これは、緩衝部材を経て押鍵圧が加えられると、上部センサ部材23が変形して下部センサ部材の電極に接し、押鍵圧に応じて上部センサ部材23の導電性が変化するので、下部センサ部材21の電極間に流れる電流が変化するというものである。
【0007】
また、帯状の2枚の金属プレートを絶縁性スペーサで離間させ、その間に電圧を引加し、金属プレート間の静電容量を検出するタイプのものがある。これは、押鍵に伴う押圧力を受けた金属プレートが相互に接近して静電容量を変化させることを利用して、押圧力に応じたセンサ出力を得るものである。
【0008】
さらに、絶縁性プレートと金属プレートとをスペーサで離間させて配置し、絶縁性プレートの面には渦巻き型コイルを印刷して電流を流し、金属プレートに渦電流を発生させ、その渦電流に起因して生じる渦巻きコイルの電流損失を検出するタイプのものがある。これは、押鍵に伴う押圧力を受けたプレートが相互に接近し、金属プレートの誘導渦電流とそれに伴うコイルの電流損失を増大させることを利用して、押圧力に応じたセンサ出力を得るものである。
【0009】
また、相互に離間して平行に延びる2本の細長い電極面の上に厚肉の感圧ゴムを接触させたものがある。これは、押鍵に伴う押圧力を受けた感圧ゴムが抵抗値を減少し、2本の電極面間を流れる電流値を変化させることを利用して、押圧力に応じたセンサ出力を得るものである。
【0010】
さらに、特開昭64−40995号公報に記載されたものを図10に示す。図10に示すように、この圧力センサ51は、帯状のケース61と、同じく帯状のセンサ本体73とを備えている。センサ本体73は、二つに折り畳まれた帯状の可撓性フィルムからなり、重なり合う対向面に弾性の感圧導電層77がそれぞれ設けられている。このセンサ本体73は、前記ケース61の上壁67と底壁63との間に挟み込まれている。
【0011】
この圧力センサ51によれば、押鍵により鍵53が下降すると、緩衝材83を介してセンサ本体73が押圧され、感圧導電層77同士の接触面積が増加するので、感圧導電層77間の導電性が増加する。したがって、この導電性の変化に応じて発音された楽音の音量を変化させる等して、アフタータッチコントロールを行うことができる。
【0012】
この他にも、アフタータッチコントロールのための電流、電圧等の制御を可能にするために、押鍵に伴う押圧力に応じたセンサ出力を呈する種々の形態のセンサ本体がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来の圧力センサは、センサ本体をケース内へ収容することに伴う以下の問題があった。これを前述の例に基づき説明する。図8に示した圧力センサは、ケース24が長尺であることから、このケース24が反り返ったり、捻れたりすることがあり、更に、製造されたケース24及びセンサ本体20の厚みに寸法誤差が生じている場合もある。したがって、ケース24によるセンサ本体20の狭持状態は長手方向に沿って必ずしも一様ではなく、例えば、図8のX−X方向断面図である図9に示すA部のように、局部的にしまりばめとなる部分が存在する等のバラツキを示していた。
【0014】
このように、センサ本体20はケース24から拘束を受けた状態にあるので、センサ本体20に作用する押圧力が、センサ部材21,23間に正確に伝達されなかった。したがって、押圧力に応じた導電性の変化を得ることができず、アフタータッチコントロールを正確に行うことができないという問題があった。
【0015】
更に、センサ本体20がケース24から受ける拘束状態が、上述したように長手方向で異なるため、鍵の位置によってセンサ部材21,23間に伝達される力がそれぞれ異なり、アフタータッチコントロールにバラツキを生じるという問題もあった。
【0016】
この問題は、図10に示した圧力センサ等、帯状のセンサ本体をケース内に収容するタイプの他の圧力センサにおいても同様に生じる。更に、図10に示す圧力センサの場合、感圧導電層77の貼着に使用されている両面テープの糊や、センサ本体73のフィルムに使用されている可塑剤等によって、ケース61の上壁67,67とセンサ本体73とが部分的に接着することがあった。この場合には、この接着も原因となってセンサ本体がケースから拘束を受けることになり、上述した問題が更に大きなものとなっていた。
【0017】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するべくなされたものであって、押鍵によって作用する押圧力を正確に楽音に反映させることができる電子鍵盤楽器のタッチコントロール用圧力センサを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、押鍵により鍵と連動する部分から押圧力を受けたときに、該押圧力に応じたセンサ出力を呈するセンサ本体と、該センサ本体を収容するケースとを備えた電子鍵盤楽器のタッチコントロール用圧力センサであって、前記ケースは、基壁と、該基壁上で対をなして延び、各々基壁から起立して内側に向かって突出し、中央部に開口部を形成する対向壁とを有しており、前記センサ本体は、その厚さ方向に変位可能としつつ、その範囲が前記基壁と前記対向壁との間における遊隙により、規制されていることを特徴とする電子鍵盤楽器のタッチコントロール用圧力センサにより達成される。
【0019】
また、前記センサ本体が、積層された複数のセンサ部材を備え、前記センサ部材の内、少なくとも1つが前記基壁に固定された固定センサ部材とされ、他の前記センサ部材は、前記基壁、固定センサ部材及び対向壁のいずれかの間における遊隙により、厚さ方向に可動な可動センサ部材とされていることが好ましい。
【0020】
更に好ましくは、前記固定センサ部材及び可動センサ部材を含むセンサ部材のいずれかの間に弾性部材を設け、該弾性部材は、圧縮状態において、隣り合うセンサ部材を相互に遠ざける方向へ付勢ように圧力センサを構成する。
【0021】
或いは、前記固定センサ部材及び可動センサ部材を含むセンサ部材のいずれかの間における対向面の少なくとも一方に、弾性を有する突出部を形成し、該突出部は、押鍵時の押圧力により圧縮されて、隣り合うセンサ部材を相互に遠ざける方向へ付勢するように圧力センサを構成することができる。
【0022】
或いは、前記ケースの前記基壁側が上で前記対向壁側が下となるように配置したとき、前記可動センサ部材が自重によって下方へ移動し、前記対向壁に保持されるように圧力センサを構成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧力センサ1の縦断面図である。図1に示すように、本実施形態の圧力センサ1は、センサ本体10と、これを収容するケース14とを備えている。センサ本体10は、それぞれが対向するように配置された帯状のセンサ部材11,13と、これらセンサ部材11,13の間に長手方向両側縁に沿って介在させたスペーサ12とを備えている。センサ部材11,13及びスペーサ12は相互に接着され、一体となっている。また、ケース14は、帯状の基壁141と、基壁141の長手方向両側縁から起立した一対の側壁142と、一対の側壁142のそれぞれから内側に向かって突出し、間に開口部を形成する一対の対向壁143とを有しており、長手方向両端の開口部は、一対のエンドプレート146により封止されている。
【0024】
対向壁143側に位置するセンサ部材13は、ポリエステルフィルムの下面、即ち、センサ部材11と対向する面に、圧力で導電性を変化させる導電インク層131を形成し、該層の縁部にセンサ長手方向に沿って導線(図示せず)を接合したものとされている。一方、基壁141側のセンサ部材11は、ポリエステルフィルムの上面、即ち、センサ部材13と対向する面に金属層111を蒸着したものである。前記導線及び金属層111には、出力音制御部への接続線(図示せず)が接合されている。
【0025】
センサ部材における前記導電インク層及び金属層に相当する部分には、これらに代えて種々の形態とすることができ、例えば、両層を導電インクや導電ゴム等の感圧導電層とし、又は一方を感圧導電層とし他方を金属層(電極層)とすることもできる。以下では、これらを総称して「導電層」と記載する。
【0026】
センサ本体10は、前述のように、対向するセンサ部材間の接触圧によりこれらの部材の導電性を変化させる種々の形態のものとすることが可能であり、例えば、図2に示すように、1枚の帯状ポリエステルフィルム31の長手方向両側縁を中心に向けて折り曲げて、この折り曲げによるフィルム31の対向面に導電層32,33をそれぞれ設けた構成のセンサ本体30を用いることも可能である。
【0027】
ケース14における基壁141と対向壁143との対向面相互間の距離は、センサ本体10の厚さより大きくなるようにしてあり、図1に示すように、ケース14の対向壁143とセンサ本体10との間に空隙(遊隙)sが形成される。この空隙sによって、センサ本体10は、基壁141の表面と垂直な方向に(図の上下方向に)可動となっている。
【0028】
尚、この圧力センサ1は、従来の圧力センサと同様に、複数の鍵に対して1つの圧力センサを対応させて使用するよう、或る長さをもって構成されている。また、センサ本体10には、対向壁143の間の開口部から突出するようにしてフェルト等の緩衝材101が固定されており、各鍵から受ける押圧力は、この緩衝部材101を介してセンサ本体10に作用する。
【0029】
以上の構成を備えた圧力センサ1によれば、センサ本体10とケース14との間に十分な空隙が形成されているので、ケース14のねじれやうねり、更にはセンサ本体10及びケース14の厚みに寸法誤差が生じている場合でも、これらが原因となって、センサ本体10がケース14に密着するおそれがない。したがって、センサ本体10はケース14から場所によって異なる大きさの拘束力を受けることがない。更に、この空隙によってセンサ本体10が移動可能であるので、センサ本体10が糊や可塑剤等によって対向壁143に接着しても発見が容易であり、センサ本体10を下方へ移動させて接着状態を容易に解除することができる。
【0030】
斯くして、センサ本体10に作用する押圧力は、ケース14からの拘束を受けることなく、センサ部材11,13相互間に作用する。したがって、押圧力の大小を導電性の変化として正確に出力し、これを楽音に正確に反映させることができ、各鍵毎のコントロール特性のバラツキも防止することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態に係る圧力センサについて説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る圧力センサの縦断面図である。図3に示す圧力センサ1aは、図1に示す圧力センサ1のセンサ本体10を新たなセンサ本体10aとしたものであり、その他の部分の構成は図1に示す圧力センサ1と同じである。したがって、同様の構成部分に図1と同じ番号を付して、その説明を省略する。
【0032】
センサ本体10aは、図1に示すセンサ本体10のスペーサ12を取り除いて、センサ部材11,13をそれぞれ独立にしたものである。センサ部材13と対向壁143との間には、図1の圧力センサ1と同様に空隙sが形成されており、センサ部材13は、基壁141の表面と垂直な方向に(図の上下方向に)可動とされている。一方、センサ部材11は、その長手方向に沿って接着剤、両面テープ等により基壁141に固定されている。
【0033】
尚、このセンサ本体10aも、前述のように、対向するセンサ部材間の接触圧によりこれらの部材の導電性を変化させる種々の形態のものとすることが可能である。例えば、上述した図2に示すセンサ本体30を用いることも可能であり、このセンサ本体30の背面31aを基壁141に固定して、圧力センサを構成しても良い。
【0034】
この圧力センサ1aによれば、2つのセンサ部材11,13のうち、押圧力を受けるセンサ部材13と対向壁143との間に十分な空隙が形成されているので、センサ部材13とケース14とが密着するおそれがなく、また、糊などによってセンサ部材13が対向壁143に接着しても、動作時には接着状態を容易に解除することができる。したがって、センサ部材13に作用する押圧力は、ケース14の拘束を受けることなく他方のセンサ部材11に伝達される。また、この他方のセンサ部材11はその長手方向に沿って基壁141に固定されているので、センサ部材11に作用する押圧力が、センサ部材11,13間を密着させる力として確実に伝達される。したがって、押鍵により作用する押圧力の大小をより正確に出力することが可能になる。
【0035】
更に、図1に示した圧力センサ1のように対向するセンサ部材を相互の接着により一体化したものに比し、可動部分が小さいので、より小さい力で可動部分を移動させることができ、精緻なタッチコントロールを実現し易い。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態に係る圧力センサについて説明する。図4は、本発明の第3の実施形態に係る圧力センサの縦断面図である。この実施形態及び以下に説明する実施形態において、図3の実施形態のものと同様の部分には図3と同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0037】
図4に示す圧力センサ1bは、図3に示す圧力センサ1aの可動側のセンサ部材13を、それぞれ独立して移動可能な2つの帯状の可動部材133,134からなるセンサ部材13bとしたものであり、その他の部分については図3の圧力センサ1aと同様である。
【0038】
センサ部材13bは、可動部材133,134のそれぞれの対向面に、導電層135,136が設けられており、可動部材133における導電層111との対向面に、導電層131が設けられている。また、導電層135,136は、比較的小さい押圧力で導電性を明確に変化させ、導電層111,131は、比較的大きい押圧力で導電性を明確に変化させるように構成されている。即ち、前者は小さい押圧力、後者は大きい押圧力に対し、良好な感度を示すようにしている。このように良好な感度を示す押圧力をそれぞれ異なるものとする方法としては、各導電層が設けられているフィルムの厚さ、素材剛性や導電層のインクの種類を変えることが挙げられる。また、本実施形態において、センサ部材11と可動部材133との間、及び可動部材133と可動部材134との間に、それぞれ一対のスペーサを設けることも可能であり、この場合には、スペーサの高さ、間隔をそれぞれの対で異なるようにして、押圧力に対する感度を変えることができる。尚、可動部材133,134の間にスペーサを介在させた場合には、可動部材133,134を必ずしも独立に可動とする必要はなく、可動部材133,134及び介在するスペーサが一体となるように接着しても良い。
【0039】
この圧力センサ1bによれば、可動側のセンサ部材13bに作用する押圧力が、図3の圧力センサ1aと同様に、導電層111,131間に作用する力として正確に伝達されるだけでなく、可動部材133,134における導電層135,136間に作用する力としても正確に伝達される。そして、センサ部材13bに作用する押圧力が微小であれば、この押圧力を導電層135,136間の導電性変化として出力することができ、一方、大きな押圧力が作用すれば、この押圧力を導電層111,131間の導電性変化として出力することができる。したがって、幅広い大きさの押圧力に対応することができ、楽音を広範囲で変化させることができる。
【0040】
この実施形態において、センサ本体10bに代えて図2に示したセンサ本体30を用いる場合には、複数のセンサ本体30をケース14内に収容し、基壁141に接するセンサ本体30の背面31aを基壁141に接着などにより固定し、他の部分及びそれに重ねられるセンサ本体30は、固定せずにケース14内に保持する。
【0041】
次に、本発明の第4の実施形態に係る圧力センサについて説明する。図5は、本発明の第4の実施形態に係る圧力センサの縦断面図である。図5に示す圧力センサ1cは、図3に示す圧力センサ1aの固定側センサ部材11に、可動側センサ部材13に向けて突出する一対の弾性部材138を設けてなるものであり、その他の部分については図3の圧力センサ1aと同様である。
【0042】
一対の弾性部材138は、センサ部材13との対向面における長手方向両側縁部に平行に設けられている。そして、図5(a)に示すように可動側センサ部材13が弾性部材138と接触している状態で、このセンサ部材13に押圧力が作用すると、図5(b)に示すように、弾性部材138が圧縮されて、導電層131が固定側センサ部材11の導電層111と接触するようになっている。
【0043】
この圧力センサ1cによれば、可動側センサ部材13に作用する押圧力が除去されると、このセンサ部材13は弾性部材138の反発力を受けて元の位置に戻るので、センサ部材11,13同士の接触状態が確実に解除される。特に、フィルム状のセンサ部材の場合は、相互の密着状態がある時間続くと(夏期のような高温高湿状態で2〜3分程度)、自己接着状態となることがあるので、弾性部材による確実な接触状態の解除が有効である。
【0044】
この実施形態において、弾性部材138は、固定側のセンサ部材11に設ける代わりに可動側のセンサ部材13に設けても良く、或いは、センサ部材11,13の双方に設けても良い。また、弾性部材138を導電性ゴムとして、押圧によるこの導電性ゴム自体の抵抗値変化を検出するように、圧力センサを構成することも可能である。
【0045】
更に、固定側センサ部材11の表面における一対の弾性部材138間に一対のスペーサを固定して、押圧により弾性部材138が圧縮されると、可動側センサ部材13が前記スペーサと接触するように構成しても良い。この場合には、押圧力を受けた可動側センサ部材13が、スペーサに接触した状態で固定側センサ部材11と密着するので、弾性部材138に弾性係数のバラツキ等が存在する場合でもこの影響を受けにくくなり、押圧力をより正確に楽音に反映させることができる。
【0046】
このような、弾性部材介在により得られる効果は、センサ部材そのものに弾性を付与することによっても得られる。すなわち、固定側センサ部材及び可動側センサ部材の少なくとも一方に、弾性を有する突出部を形成し、押圧力により圧縮されたときに他方のセンサ部材を離反方向に付勢するものとされる。例えば、センサ部材の一つを導電ゴムで形成し、図5に示した弾性部材と同様の形態の突出部を備えたものとすることができる。また、センサ部材の一つを幅方向に湾曲させてセンサ部材全体で突出部を形成し、これを上方又は下方に凸となる状態で他のセンサ部材に対向させたものとすることができる。これにより、湾曲したセンサ部材は、押圧力解除時に発揮される湾曲状態への復帰力により、対向するセンサ部材との分離を確実にする。
【0047】
尚、センサ本体10cに代えて、図2に示したセンサ本体30を用いる場合には、フィルム31の対向面の間に一対の突状弾性部材を設け、押圧力が除去された後の導電層32,33間の距離が一定となるようにする。
【0048】
次に、本発明の第5の実施形態に係る圧力センサについて説明する。図6は、本発明の第5の実施形態に係る圧力センサの縦断面図である。図6に示す圧力センサ1dは、図3に示す圧力センサ1aを上下逆向きにして用いたものに相当し、その構造自体は図3の圧力センサ1aと同じである。
【0049】
この圧力センサ1dは、ケース10の基壁141が上で対向壁143が下となるように電子鍵盤楽器に取り付けられたものであり、押鍵によって可動側のセンサ部材13に鉛直上向きの押圧力が作用する。
【0050】
この圧力センサ1dによれば、可動側センサ部材13に作用する押圧力が除去されると、このセンサ部材13は、固定側センサ部材11と接触した状態から自重によって下方へ移動し、ケース10の対向壁143に保持される。したがって、図5に示す圧力センサ1cと同様に、センサ部材11,13同士の接触状態が確実に解除され、それらの間の距離を常に一定にすることができるので、押鍵による押圧力をより正確に楽音に反映することができる。
【0051】
この実施形態において、図7に示すように、保持面142aが形成されるように側壁142が折り曲げられたケース14を使用しても良く、センサ部材11の長手方向両側縁部を基壁141と保持面142aとの間で狭持することにより、センサ部材11をより確実に固定することができる。
【0052】
また、センサ本体10dに代えて、図2に示したセンサ本体30を用いる場合には、フィルム31に撓み易い性質ものを用い、押圧力が除去されると緩衝部材101の自重により導電層32,33の間隔が拡がって、フィルム31が対向壁143で保持されるようにする。
【0053】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明に係る圧力センサにおいては、ケースの基壁と対向壁との相互に向き合う面の間の距離がセンサ本体の厚さより大きくされているので、ケース内でセンサ本体との間にセンサ本体厚さ方向の空隙sが形成される。この空隙sの大きさは、センサ本体とケースとのセンサ本体厚さ方向の接触が生じないか、生じても接触圧がセンサ機能上問題とならない程度となるように、且つ、センサ本体の保持を確実に行えるように決められる。前述の各実施形態における寸法の一例としては、ポリエステルフィルムに導電層を設けた幅20mm、厚さ0.2mmのセンサ本体、及び、ABS製の幅20mm、厚さ0.8mmのケースを用いる場合に、空隙を0.2mmとしたものが挙げられる。
【0054】
また、前述の各実施形態では、センサ本体に緩衝部材が接合されているが、緩衝部材を、鍵と連動してセンサ本体に作用する動作部材(アクチュエータ)に設けること、或いは、直接に動作部材がセンサ本体に接するようにすることもでき、これらの場合は、センサ本体に緩衝部材は接合されない。
【0055】
また、本発明は、以上に示したように、導電性インク及び金属層がそれぞれ設けられたセンサ部材からなるセンサ本体の他、従来技術の説明に例示したもの等、種々の形態のセンサ本体を使用することが可能である。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、押鍵よる押圧力を検出する際に、センサ本体がケースから拘束を受けるおそれがないので、押圧力の正確な検出が可能となる。したがって、この検出結果を電子鍵盤楽器の楽音に正確に反映することができ、微妙で繊細なタッチの変化にも応答し得る圧力センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチコントロール用圧力センサを示す縦断面図である。
【図2】センサ本体の他の形態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るタッチコントロール用圧力センサを示す縦断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るタッチコントロール用圧力センサを示す縦断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係るタッチコントロール用圧力センサを示す縦断面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係るタッチコントロール用圧力センサを示す縦断面図である。
【図7】図6に示すタッチコントロール用圧力センサの変形例を示す縦断面図である。
【図8】従来のタッチコントロール用圧力センサを示す縦断面図である。
【図9】図8のタッチコントロール用圧力センサにおける矢示X−X方向の断面図である。
【図10】従来のタッチコントロール用圧力センサを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 圧力センサ
10 センサ本体
11 センサ部材
111 導電層
12 スペーサ
13 センサ部材
131 導電層
138 弾性部材
14 ケース
141 基壁
142 側壁
143 対向壁
Claims (5)
- 押鍵により鍵と連動する部分から押圧力を受けたときに、該押圧力に応じたセンサ出力を呈するセンサ本体と、該センサ本体を収容するケースとを備えた電子鍵盤楽器のタッチコントロール用圧力センサであって、
前記ケースは、基壁と、該基壁上で対をなして延び、各々基壁から起立して内側に向かって突出し、中央部に開口部を形成する対向壁とを有しており、
前記センサ本体は、その厚さ方向に変位可能としつつ、その範囲が前記基壁と前記対向壁との間における遊隙により、規制されていることを特徴とする電子鍵盤楽器のタッチコントロール用圧力センサ。 - 前記センサ本体が、積層された複数のセンサ部材を備え、前記センサ部材の内、少なくとも1つが前記基壁に固定された固定センサ部材とされ、
他の前記センサ部材は、前記基壁、固定センサ部材及び対向壁のいずれかの間における遊隙により、厚さ方向に可動な可動センサ部材とされていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。 - 前記固定センサ部材及び可動センサ部材を含むセンサ部材のいずれかの間に弾性部材を設け、
該弾性部材は、圧縮状態において、隣り合うセンサ部材を相互に遠ざける方向へ付勢することを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。 - 前記固定センサ部材及び可動センサ部材を含むセンサ部材のいずれかの間における対向面の少なくとも一方に、弾性を有する突出部を形成し、
該突出部は、押鍵時の押圧力により圧縮されて、隣り合うセンサ部材を相互に遠ざける方向へ付勢することを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。 - 前記ケースの前記基壁側が上で前記対向壁側が下となるように配置したとき、前記可動センサ部材が自重によって下方へ移動し、前記対向壁に保持されることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
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