JP3784885B2 - 切削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は切削工具に関する。より詳細には、コンクリート板の穴あけ、岩盤の穿孔、円柱状の試料(コア)採取等のために用いられる穴開け用のドリルと、コンクリート製品、アスファルト舗装、石材、瓦、タイル、煉瓦、プラスチック製品等の切断のために用いられる切断用の丸鋸とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ドリルは、円筒状の本体と、前記本体の端面に周方向へ互いに間隔をおいて取り付けられた複数のチップとを備える。これらのチップはそれぞれ前記本体の肉厚より大きい厚さ寸法を有し、また、前記本体と同軸の両周面上にあって前記厚さ寸法を規定する内外両周面を有する。
【0003】
また、丸鋸は、円盤状の本体と、前記本体の周面に周方向へ互いに間隔をおいて取り付けられた複数のチップとを備える。これらのチップはそれぞれ前記本体の肉厚より大きい厚さ寸法を有し、また、前記本体の両面に平行な両面上にあって前記厚さ寸法を規定する両面を有する。
【0004】
前記切削工具は、使用の際、その本体が回転駆動手段に接続され、前記回転駆動手段の作動により前記本体の軸線の回りに回転される。前記本体とともにその軸線の周りに回転する前記複数のチップはその先端面で被切削物に切削作用を及ぼす。
【0005】
切削の間、冷却水が供給される。前記ドリルにあっては、冷却水は前記筒状の本体の内部に供給される。冷却水は、前記チップにより形成された切削溝の内周壁面と前記本体の内周面との間を流れ、次いでチップ相互間の隙間に受け入れられ、該隙間を経て、前記切削溝の外周壁面と前記本体の外周面との間を通って前記切削溝の外部に流れ出る。前記チップ相互間の隙間に受け入れられた前記冷却水はその流動の間に前記チップを冷却し、また、前記切削溝の互いに相対する両周壁面および底壁面と前記チップとに付着した切削粉を運び去る。
【0006】
また、前記丸鋸にあっては、冷却水は円板状の本体の中心部から供給される。冷却水は、前記本体の両面から、前記チップにより形成された切削溝の各側壁面と前記本体の各面との間に流入し、次いで前記チップ相互間の隙間に受け入れられ、該隙間を経て、前記切削溝の各側壁面と前記本体の各面との間を通って前記切削溝の外部に流れ出る。前記チップ相互間の隙間に受け入れられた冷却水はその流動の間に前記チップを冷却し、また、前記切削溝の互いに相対する側壁面および底壁面と前記チップとに付着した切削粉を運び去る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記チップ相互間の隙間への冷却水の供給量は前記チップ相互間の隙間すなわち相互間隔の大きさによって定まるところ、他方では、前記チップの相互間隔は切削抵抗を低減のためにできる限り小さいものであることが望ましいという要請があるため、前記チップ相互間隔の大きさには限度があり、十分な量の冷却水を確保することは困難であった。
【0008】
過少の冷却水のもとでは、前記チップの冷却が十分とはいえず、また、前記冷却水中の前記切削粉の混合濃度が高く、したがって前記冷却水と前記切削粉との混合流体は粘度が高く、前記チップと被切削物との間にあって前記チップの切削作用を著しく阻害する。その結果、不十分な冷却効果に伴う前記チップの低寿命化、前記チップの切削作用の阻害に伴う回転動力の損失、切削時間の増大等の問題があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、十分な冷却水を供給することができる切削工具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る切削工具は、円筒状の本体と、前記本体の端面に取り付けられた複数の第1のチップおよび少なくとも1つの第2のチップとを備える。第1および第2の両チップは前記本体の周方向へ互いに間隔をおいて配置され、それぞれ前記本体と同軸の内外両周面を有し、前記第2のチップの両周面は前記第1のチップの内外両周面の両延長面間にある。前記第1のチップは、その内外両周面の相互間隔が該第1のチップの先端から前記本体に向けて漸減する。
本発明に係る他の切削工具は、円筒状の本体と、前記本体の端面に取り付けられた複数の第1のチップおよび少なくとも1つの第2のチップとを備える。第1および第2の両チップは前記本体の周方向へ互いに間隔をおいて配置され、それぞれ前記本体と同軸の内外両周面を有し、前記第2のチップの両周面は前記第1のチップの内外両周面の両延長面間にある。前記第1のチップは、前記本体が回転されるときの回転方向に関する前方および後方の両端面を有し、前方の端面が前記回転方向に関する前方から後方へ向けて伸びる傾斜面からなる。
【0011】
本発明に係るさらに他の切削工具は、円板状の本体と、前記本体の周面に取り付けられた複数の第1のチップおよび少なくとも1つの第2のチップとを備える。第1および第2の両チップは周方向へ互いに間隔をおいて配置され、それぞれ、前記本体の厚さ方向に関する両面を有し、前記第2のチップの両面は前記第1のチップの両面の両延長面間にある。前記第1のチップはその両面の相互間隔が該第1のチップの先端から前記本体に向けて漸減する。
本発明に係るさらに他の切削工具は、円板状の本体と、前記本体の周面に取り付けられた複数の第1のチップおよび少なくとも1つの第2のチップとを備える。第1および第2の両チップは周方向へ互いに間隔をおいて配置され、それぞれ、前記本体の厚さ方向に関する両面を有し、前記第2のチップの両面は前記第1のチップの両面の両延長面間にある。前記第1のチップは、前記本体が回転されるときの回転方向に関する前方および後方の両端面を有し、前方の端面が前記回転方向に関する前方から後方へ向けて伸びる傾斜面からなる。
【0012】
いずれの切削工具においても、好ましくは、複数の前記第1のチップと複数の前記第2のチップとが前記周方向に交互に配置される。
【0013】
【発明の作用および効果】
本発明によれば、円筒状の本体を有する切削工具にあっては、被切削物に穴を開けるべく前記本体をその軸線の周りに回転させ、第1および第2のチップを前記被切削物に押し当ててこれに切削作用を及ぼすと、前記被切削物に環状の切削溝が形成される。前記第2のチップの両周面が前記第1のチップの内外両周面の両延長面間にあることから、前記切削溝の互いに相対する両周壁面が前記第1のチップの切削作用により生じ、また、前記切削溝の底面が第1および第2のチップの切削作用により生じる。このとき、前記第2のチップは前記切削溝の両周壁面間にあって、前記第2のチップの各周面と前記切削溝の各周壁面との間に空間を規定する。両空間は前記チップ相互間の隙間を介して連通する。
【0014】
したがって、切削の間に前記本体の内部に供給される冷却水は、前記本体の内周面と前記切削溝の内周面との間を経て、前記切削溝の内壁面と前記第2のチップの内周面との間の空間、前記隙間および前記切削溝の外壁面と前記第2のチップの外周面との間の空間に受け入れられ、前記本体の外周面と前記切削溝の外周壁面との間を経て該切削溝の外部に流出する。
【0015】
前記冷却水を受け入れる両空間および前記両チップ相互間の隙間は、前記従来の切削工具における冷却水の受入空間である両チップ相互間の隙間と比べて大きい体積を有し、このため、前記チップは多量の冷却水に接し、また、前記チップおよび前記切削溝に付着する切削粉は多量の冷却水中に混合する。したがって、従来に比べて、前記チップの冷却はより促進され、また、前記切削粉の前記冷却水中の混合濃度が低く、粘性が低いため、前記チップと前記被切削物との間の前記混合物による切削妨害の程度は小さい。その結果、前記チップの高い冷却効果が得られ、これにより前記チップの長寿命化を図ることができ、また、前記混合濃度を小さくすることができるため、前記チップの被切削物に対する切削抵抗を低減し、回転動力の損失を軽減し、また、切削時間を短縮することができる。
【0016】
また、円板状の本体を有する切削工具にあっては、被切削物を切断すべく前記本体をその軸線の周りに回転させ、第1および第2のチップを前記被切削物に押し当ててこれに切削作用を及ぼすと、前記被切削物に切削溝が形成される。前記第2のチップの両面が前記第1のチップの両面の両延長面間にあることから、前記切削溝の互いに相対する両壁面が前記第1のチップの切削作用により生じ、また、前記切削溝の底面が第1および第2のチップの切削作用により生じる。このとき、前記第2のチップは前記切削溝の両壁面間にあって、前記第2のチップの各面と前記切削溝の各周壁面との間に空間を規定する。両空間は前記チップ相互間の隙間を介して連通する。
【0017】
したがって、切削の間に前記本体の中心部から供給され該本体の各面を伝って流れる冷却水は、前記本体の各面と前記切削溝の各側壁面との間を経て、前記切削溝のいずれか一方の側壁面と前記第2のチップのいずれか一方の面との間の空間、前記隙間および前記切削溝の他方の側壁面と前記第2のチップの他方の面との間の空間に受け入れられ、前記本体の各面と前記切削溝の各側壁面との間を経て該切削溝の外部に流出する。
【0018】
前記冷却水を受け入れる両空間および前記両チップ相互間の隙間は、前記従来の切削工具における冷却水の受入空間である両チップ相互間の隙間と比べて大きい体積を有する。このため、前記チップはより多くの冷却水に接し、また、前記チップおよび前記切削溝に付着した切削粉は多量の冷却水と混合する。したがって、従来に比べて、前記チップの冷却はより促進され、また、前記切削粉の前記冷却水中の混合濃度が低く、粘性が低いため、前記切削粉と前記冷却水との混合流体による前記チップの前記被切削物に対する切削作用の妨害の程度は小さい。その結果、前記チップの高い冷却効果が得られ、これにより前記チップの長寿命化を図ることができ、また、前記混合濃度を小さくすることができるため、前記チップの被切削物に対する切削抵抗を低減し、回転動力の損失を軽減し、また、切削時間を短縮することができる。
【0019】
前記いずれの切削工具にあっても、厚さ寸法が先端から前記本体に向けて漸減する第1のチップを使用すれば、切削の間、前記第1のチップはその先端を除く他の大部分が前記切削溝の側壁面に接しない。このことから、厚さ寸法が一定のものと比べて、前記第1のチップの切削抵抗を小さいものとすることができる。
【0020】
また、前記いずれの切削工具にあっても、前記第1のチップについて、前記本体の回転方向に関する前方の端面を回転方向前方から後方へ向けて伸びる傾斜面とすれば、前記傾斜面はこれに当る切削粉と前記冷却水との混合物を前記回転方向の前方から後方へ案内する作用をなす。これにより、前記第1のチップの回転方向前方の端面の前方すなわち両チップ相互間の隙間における前記冷却水の淀みを少なくし、前記冷却水を前記第1のチップと前記切削溝の壁面との間に円滑に導き、これらの間の混合物の移動と前記第1のチップの冷却とをより促進することができる。前記第1および第2のチップはこれらの複数個を前記周方向に交互に配置することが望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、切削工具の一つである、コンクリート板の穴あけ、岩盤の穿孔、コンクリート板や岩盤からのコア採取等のために用いられるドリルが全体を符号10で示されている。
【0022】
ドリル10は、鋼製の円筒状の本体12と、本体12に取り付けられた複数のビットすなわちチップ14,16とを有する。ドリル10は、使用の際、モータのような駆動手段(図示せず)に取り付けられ、本体12の軸線の周りに回転、駆動される。本体12の直径およびチップ14,16の大きさおよび数量は、前記コンクリート板、岩盤等からなる被切削物24の種類、穿孔の規模等に応じて選択される。
【0023】
本体12は、前記駆動手段との接続のための接続端部18と、チップ14,16が取り付けられた、接続端部18に相対する開放端面20とを有する。
【0024】
本体12の接続端部18は、内ねじが設けられた管状の接続部分22を有する。接続部分22は本体12と同軸的に伸びかつその中空部が本体12の内部に連通している。ドリル10による被切削物24の切削時、接続部分22を通して本体12の内部に冷却水を供給することができる。
【0025】
各チップ14,16は、ダイヤモンドの粉末に金属、炭化物、窒化物等の粉末を結合材として添加し、高圧・高温で燒結してなる燒結ダイヤモンド、超硬合金、セラミックのような燒結体からなる砥石、レジノイド切断砥石、電着砥石等からなる。各チップ14,16は、本体の端面20に、ろう付け、接着剤等により取り付けられている。
【0026】
図2に示すように、複数のチップ14,16すなわち複数の第1のチップ14と複数の第2のチップ16とは、本体12の端面20にその周方向へ互いに間隔をおいて、また、交互に配置されている。
【0027】
第1および第2の各チップ14,16は板状、より詳細には湾曲板状を呈し、本体12の端面20に沿って周方向へ伸びる。各第1のチップ14は、本体12の軸線と同軸の2つの仮想円筒面内にある内周面および外周面を有し、また、各第2のチップ16は、本体12の軸線と同軸の他の2つの仮想円筒面(図示の例では本体の内外両周面を含む2つの仮想円筒面)内にある内周面および外周面を有する。
【0028】
第1および第2の各チップ14,16は同じ高さ寸法(本体12の軸線方向に関する長さ寸法)および同じ周方向長さを有する。また、第1のチップ14は本体12の肉厚および第2のチップ16の肉厚のそれぞれより大きい肉厚を有する。また、第2のチップは本体12と同じ肉厚を有する。したがって、第1のチップ14の内外両周面26,28間の距離は、第2のチップ16の内外両周面30,32間の距離より大きい。
【0029】
本体12より大きい肉厚を有する第1のチップ14は、その内外両周面26,28がそれぞれ本体12の内外両円筒面より該本体の半径方向内方および外方に位置するように配置されている。また、本体12と同じ肉厚を有する第2のチップ16は、その内外両周面30,32がそれぞれ本体12の内外両円筒面と整列するように配置されている。
【0030】
これにより、第2のチップ16の両周面30,32は、第1のチップ14の両周面26,28の両延長面34,36間に位置する。図示の例では、第2のチップの内周面30と内方の延長面34との間の間隔と、外周面32と外方の延長面36との間の間隔が同一の大きさに設定されている。しかし、第2のチップ16の両周面30,32が両延長面34,36間にあれば、これらの間隔は同一でなくてよく、また、第2のチップ16の厚さ寸法は本体12の肉厚よりも大きいものまたは小さいものであってもよい。
【0031】
したがって、被切削物24に穴を開けまたは被切削物24から円柱状のコアをくり抜くべく、本体12をその軸線の回りに回転させ、この間にチップ14,16を被切削物24に押し付けると、各チップ14,16の先端が被切削物24に切削作用を及ぼし、被切削物24には第1のチップ14の厚さ寸法にほぼ等しい幅寸法を有する環状の切削溝38(図3)が形成される。
【0032】
切削の間に本体12の端部の接続部分22からその内部に冷却液が供給される。冷却液は、図1に複数の矢印39で示すように、切削溝38の内側の周壁40と、切削溝38内における本体12の内筒面42との間を通り、本体12の端面20に至る。
【0033】
第2のチップ16の内外両周面30,32は、第1のチップ14の内外両周面26,28の両延長面34,36または実質的に切削溝の両周壁40,44間にあることから、第2のチップ16の内周面30と切削溝の内周壁40との間に空間46が存し、また、第2のチップ16の外周面32と切削溝の外周壁44との間に空間48が存する。これらの空間46,48は、互いに隣接する第1および第2のチップ14,16相互間の両隙間50に連通している。
【0034】
したがって、前記冷却液は、次に、空間46、隙間50および空間48を順次に経て、切削溝38の外周壁44と本体12の外筒面52との間を通り、切削溝38の外部に流れ出る。また、前記冷却液はその一部が第1のチップ14と切削溝38の両側周壁40,44との間の狭い空間を満たす。
【0035】
第1および第2のチップ14,16は、空間46,48および隙間50を流動し、また、第1のチップ14と切削溝38の両周壁40,44との間を流動する前記冷却液に接してこれに冷却される。また、被切削物24の切削により生じ、各チップ14,16の表面および切削溝38の底壁面54(図1)に付着した切削粉は空間46,48および隙間50を満たす前記冷却水に混合し、前記冷却水を搬送媒体として切削溝38外に運び去られる。
【0036】
本発明にあっては、チップ相互間の隙間50のほかに両空間46,48を冷却水で満たすことができることから、前記切削粉は多量の冷却水と混合され、その混合濃度および粘度は低い。このため、冷却水と前記切削粉との混合流体は円滑に、したがってまた多量に流れる。したがって、前記チップは多量の冷却水に接し、また、各チップ14,16と切削溝38の両壁40,44および底壁54との間における混合流体の滞留が防止される。その結果、各チップ14,16を十分に冷却することができ、これにより、各チップ14,16の過度の温度上昇およびこれに伴う寿命の低下を防止することができ、また、切削能率を高めることができることから、回転動力の損失を少なくし、切削時間を短縮することができる。
【0037】
前記空間46,48はチップ相互間の隙間50を実質的に増大するものであり、図示のように、これらの空間46,48を得るため、また、第1のチップ14による切削能力を考慮して、第1のチップ14と第2のチップ16とを同数としかつ交互に配置することが最も望ましいが、これに代えて、第2のチップ16の数量を第1のチップ14より少ない1以上の数量に設定することができる。また、複数の第2のチップ16を周方向に互いに隣接するように配置することも可能である。
【0038】
ところで、第1の各チップ14の周方向に関する各端面は本体12の端面20に直交する直交面からなるが、一方の端面(直交面)すなわち本体12の回転方向(図3に矢印で示す。)に関する前方の端面56を傾斜面58に設定することができる。傾斜面58は、本体12の回転方向(図3に矢印で示す時計方向)に関する前方から後方へ、第1のチップのいずれか一方の周面から他方の周面に向けて伸びている。傾斜面58は、本体12の回転のために該傾斜面に当たる前記混合流体を前記回転方向に関する前方から後方へ円滑に案内する案内面の作用をなす。これにより、前記直交面の場合に生じやすい該直交面の直前における前記混合流体のよどみを防止し、前記混合流体したがって前記冷却水をより円滑に流動させることができる。
【0039】
さらに、図7に示すように、各チップ14,16をその厚さ寸法が本体12の軸線方向に関する先端59から本体12に向けて漸減するように設定することができる。
【0040】
これによれば、切削の間、切削作用を及ぼすチップの先端59以外の部分が切削溝38の両側周壁40,44に接しないため、接する場合における摩擦の発生が防止され、これにより、切削抵抗および回転動力の消費を低減することができる。
【0041】
次に、図4〜図6を参照すると、切削工具の他の一つである丸鋸が全体を符号60で示されている。丸鋸60はコンクリート製品、アスファルト舗装、石材、瓦、タイル、煉瓦、プラスチック製品等からなる被切削物61の切断等に使用される。
【0042】
丸鋸60は、鋼製の円板状の本体62と、本体62に取り付けられた複数のセグメントすなわちチップ64,66とを有する。丸鋸60は、使用の際、モータのような駆動手段(図示せず)に取り付けられ、本体12の軸線の周りに回転、駆動される。本体62の直径およびチップ64,66の大きさおよび数量は被切削物61の種類、穿孔の規模等に応じて選択される。
【0043】
本体62は、チップ64,66が取り付けられた周面68と、接続部材70を介して前記駆動手段に取り付けられる、貫通孔を有する中央部72とを備える。丸鋸60による被切削物61の切削時、接続部材70を通して本体62の中央部72の両側に冷却水を供給することができる。前記冷却水は、本体62の回転の間、その中央部72から周面68に向けて、すなわち放射方向へ、本体62の各面74,76上を移動する。冷却水の移動方向を複数の矢印78で示す。
【0044】
各チップ64,66は、図1〜図3に示すチップ14,16と同様、ダイヤモンドの粉末に金属、炭化物、窒化物等の粉末を結合材として添加し、高圧・高温で燒結してなる燒結ダイヤモンド、超硬合金、セラミックのような燒結体からなる砥石、レジノイド切断砥石、電着砥石等からなり、本体62の周面68に、ろう付け、接着剤等により取り付けられている。
【0045】
図4および図5に示すように、複数のチップ64,66すなわち複数の第1のチップ14と複数の第2のチップ16とは、本体62の周面68にその周方向へ互いに間隔をおいて、また、交互に配置されている。
【0046】
第1および第2の各チップ64,66は板状、より詳細には本体62の周面68に沿ってその先端面が湾曲して伸びる湾曲板状を呈する。各第1のチップ64は、本体62の平坦な両面74,76と平行な2つの仮想面内にある2つの面80,82を有し、また、各第2のチップ66は、本体62の両面74,76と平行な他の2つの仮想面(図示の例では本体の両面74,76を含む2つの仮想面)内にある2つの面84,86を有する。
【0047】
第1および第2の各チップ64,66は同じ高さ寸法(本体62の半径方向に関する長さ寸法)および同じ周方向長さを有する。また、第1のチップ64は本体62の肉厚および第2のチップ66の肉厚のそれぞれより大きい肉厚を有する。また、第2のチップ66は本体62と同じ肉厚を有する。したがって、第1のチップ64の両面80,82間の距離は、第2のチップ66の内外両周面84,86間の距離より大きい。
【0048】
本体62より大きい肉厚を有する第1のチップ64は、その両面80,82がそれぞれ本体62の厚さ寸法内にないように配置されている。また、本体62と同じ肉厚を有する第2のチップ66は、その両面84,86がそれぞれ本体62の両面74,76と整列するように配置されている。
【0049】
これにより、第2のチップ66の両面84,86は、第1のチップ64の両面80,82の両延長面88,90間に位置する。図示の例では、第2のチップの一方の面84と一方の延長面88との間の間隔と、他方の面86と他方の延長面90との間の間隔が同一の大きさに設定されている。しかし、第2のチップ66の両周面84,86が両延長面88,90(図5)間にあれば、これらの間隔は同一でなくてよく、また、第2のチップ66の厚さ寸法は本体62の肉厚よりも大きいものまたは小さいものに設定することができる。
【0050】
したがって、被切削物61を切断すべく、本体62をその軸線の回りに回転させ、この間にチップ64,66を被切削物61に押し付けると、各チップ64,66の先端が被切削物61に切削作用を及ぼし、被切削物67には第1のチップ64の厚さ寸法にほぼ等しい幅寸法を有する切削溝92(図6)が形成される。
【0051】
切削の間に前記冷却液が供給される。冷却液は、図1に複数の矢印78で示すように、切削溝92の相対する両側壁94,96と、切削溝92内における本体62の両面74,76との間を通り、本体62の端面68に至る。
【0052】
第2のチップ66の両面84,86は、第1のチップ64の両面80,82の両延長面88,90または実質的に切削溝の両側壁94,96間にあることから、第2のチップ66の一方の面84と切削溝の一方の側壁94との間に空間98が存し、また、第2のチップ66の他方の面86と切削溝の他方の側壁96との間に空間100が存する。これらの空間98,100は、互いに隣接する第1および第2のチップ64,66相互間の両隙間102に連通している。
【0053】
したがって、前記冷却液は、次に、空間98、隙間102および空間100を順次に経て、切削溝92の各側壁94,96と本体62の各面74,76との間を通り、切削溝92の外部に流れ出る。また、前記冷却液はその一部が第1のチップ64と切削溝92の両側壁94,96との間の狭い空間を満たす。
【0054】
第1および第2のチップ64,66は、空間98,100および隙間102を流動し、また、第1のチップ64と切削溝92の両周壁94,96との間を流動する前記冷却液に接してこれに冷却される。また、被切削物61の切削により生じ、各チップ64,66の表面および切削溝92の底壁104(図6)に付着した切削粉は空間98,100および隙間102を満たす前記冷却水に混合し、前記冷却水を搬送媒体として切削溝92外に運び去られる。
【0055】
本発明にあっては、チップ相互間の隙間102のほかに両空間98,100を冷却水で満たすことができることから、前記切削粉は多量の冷却水と混合され、その混合濃度および粘度は低い。このため、冷却水と前記切削粉との混合流体は円滑に、したがってまた多量に流れる。したがって、前記チップは多量の冷却水に接し、また、各チップ64,66と切削溝92の両壁94,96および底壁104との間における混合流体の滞留が防止される。その結果、各チップ64,66を十分に冷却することができ、これにより、各チップ64,66の過度の温度上昇およびこれに伴う寿命の低下を防止することができ、また、切削能率を高めることができることから、回転動力の損失を少なくし、切削時間を短縮することができる。
【0056】
前記空間98,100はチップ相互間の隙間102を実質的に増大するものであり、図示のように、これらの空間98,100を得るため、また、第1のチップ64による切削能力を考慮して、第1のチップ64と第2のチップ16とを同数としかつ交互に配置することが最も望ましいが、これに代えて、第2のチップ16の数量を第1のチップ64より少ない1以上の数量に設定することができる。また、複数の第2のチップ16を周方向に互いに隣接するように配置することも可能である。
【0057】
ところで、第1の各チップ64の周方向に関する各端面は本体12の周面68直交する直交面からなるが、一方の端面(直交面)すなわち本体12の回転方向(図5に矢印で示す。)に関する前方の端面106を傾斜面108に設定することができる。傾斜面108は、本体12の回転方向に関する前方から後方へ、第1のチップ64のいずれか一方の面82から他方の面80に向けて伸びている。傾斜面108は、本体12の回転のために該傾斜面に当たる前記混合流体を前記回転方向に関する前方から後方へ円滑に案内する案内面の作用をなす。これにより、前記直交面の場合に生じやすい該直交面の直前における前記混合流体のよどみを防止し、前記混合流体したがって前記冷却水をより円滑に流動させることができる。
【0058】
さらに、図1〜図3に示すチップ14,16について説明したと同様、各チップ64,66をその厚さ寸法が本体12の軸線方向に関する先端59から本体12に向けて漸減するように設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドリルの縦断面図である。
【図2】ドリルの底面図である。
【図3】ドリルのチップの部分拡大横断面図である。
【図4】丸鋸の正面図である。
【図5】丸鋸の部分拡大平面図である。
【図6】丸鋸の縦断面図である。
【図7】他の断面形状を有するチップの拡大縦断面図である
【符号の説明】
10,60 ドリルおよび丸鋸
12,62 本体
14,64 第1のチップ
16,66 第2のチップ
20,68 本体の端面および周面
26,28 第1のチップの内外両周面
30,32 第2のチップの内外両周面
38,92 切削溝
80,82 第1のチップの両面
84,86 第2のチップの両面
Claims (5)
- 円筒状の本体と、前記本体の端面に周方向へ互いに間隔をおいて取り付けられた、内外両周面を有する複数の第1チップおよび少なくとも1つの第2のチップであって前記第2のチップの内外両周面が前記第1のチップの内外両周面の両延長面間にある第1のチップおよび第2のチップとを含み、前記第1のチップの内外両周面の相互間隔が前記第1のチップの先端から前記本体に向けて漸減する、切削工具。
- 円筒状の本体と、前記本体の端面に周方向へ互いに間隔をおいて取り付けられた、内外両周面を有する複数の第1チップおよび少なくとも1つの第2のチップであって前記第2のチップの内外両周面が前記第1のチップの内外両周面の両延長面間にある第1のチップおよび第2のチップとを含み、前記第1のチップは、前記本体が回転されるときの回転方向に関する前方および後方の両端面を有し、前方の端面が前記回転方向に関する前方から後方へ向けて伸びる傾斜面からなる、切削工具。
- 円板状の本体と、前記本体の周面に周方向へ互いに間隔をおいて取り付けられた、前記本体の厚さ方向に関する両面を有する複数の第1のチップおよび少なくとも1つの第2のチップであって前記第2のチップの両面が前記第1のチップの両面の両延長面間にある第1のチップおよび第2のチップとを含み、前記第1のチップの両面の相互間隔が前記第1のチップの先端から前記本体に向けて漸減する、切削工具。
- 円板状の本体と、前記本体の周面に周方向へ互いに間隔をおいて取り付けられた、前記本体の厚さ方向に関する両面を有する複数の第1のチップおよび少なくとも1つの第2のチップであって前記第2のチップの両面が前記第1のチップの両面の両延長面間にある第1のチップおよび第2のチップとを含み、前記第1のチップは、前記本体が回転されるときの回転方向に関する前方および後方の両端面を有し、前方の端面が前記回転方向に関する前方から後方へ向けて伸びる傾斜面からなる、切削工具。
- 複数の前記第1のチップおよび複数の前記第2のチップが前記周方向に交互に配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の切削工具。
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