JP3783424B2 - 天秤 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、秤量のための荷重検出部を収容するケースと水平調節の足を配設したベースを備えた天秤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、精度の高い電子天秤では、図9に示すように、秤量室1と称する風防ケース12に囲われた室内に秤量皿11を収容して風の影響を避け、また、秤量室1の下方に設置した荷重検出部3を設計上意図した水平位置に正確に調節(実際には、ハウジング部2に設置した水平調節用足24で調節)できる構成となっていて、専用の天秤設置台でなくても精度のよい測定が可能である。
このような構成の天秤においては、ハウジング部2は、同図に示すようにケース21をベース22に連接、固着するために、複数のケース固定ネジ25を利用する方法が多用されている。また、天秤の水平調整には、通常、同図に示すようにベース22に直接固設された固定足23を基準点とし、他の2か所に配設された水平調節用足24を用いて前記基準点との関係から水平調節を行う方法が利用されている。もちろん、特別な天秤では、このような水平調節用足が3か所あるいはそれ以上設けられているものもある。
【0003】
これらの場合、図9に示すようにそれらの固着箇所はベース22に配設された水平調節用足24と固定足23の双方或いはいずれかとは距離的に離れた位置関係に置かれており、ベース22は荷重検出部3を支承する関係もあって変形を受けやすい構造をしている。それらの状況は、例えば図7に示すように3か所(25−A、25−B及び25−C)のケース固定ネジ25とケース21に配設された2か所の水平調節用足24と1本の固定足23との位置関係を見れば明らかである。
実際にベース22に作用する荷重や力は、ベース22の剛性が十分でなければベース22に変形を生じさせ、そのことが結果的に測定精度に何らかの悪影響を与え、特に電磁力平衡方式の荷重検出部のように精度の高い測定においては、致命的な誤差を与えてしまうこととなる。図7は、従来の一実施例としてのベース22の平面図であるが、ケース21とベース22との連結に3か所のケース固定ネジ25−A、25−B及び25−Cを配設した方式において、天秤のケース21部の一端面に外力を仮想的に加えた場合のベース22部に作用する荷重モデルとその力の作用状況を示している。また、図8は、図7の場合の荷重モデル図を示すものである。
【0004】
これらの図に示すように、ケース21の一端面に外力としてFなる荷重が加えられると、前記3本のケース固定ネジ25−A、B、Cを介して加えられた荷重Fがベース22に伝達され、ベース22にはケース固定ネジ25−Aと25−Bと25−Cとの中点を結ぶ線を中心としたモーメントMなる力の作用が及ぶこととなり、それによりベース22は容易にねじれの変形を受け、ベース22に連接固着された荷重検出部3にもその影響を与えてしまうこととなる。
なお、図8の荷重モデル図は、このようなベース22における外力Fの作用点や外力Fによって生じるモーメントMの状況、並びに、ベース22に連接、固着された固定足23や水平調節用足24と上記外力Fの作用点やモーメントMとの位置関係をモデル化して明示している。
【0005】
したがって、被秤量物である試料そのものや秤量室1、ハウジング部2などの全荷重を支えるベース22は、そのような全荷重に対して十分な剛性を備えねばならず、それらの静荷重に対しては勿論、秤量室1の開閉や試料の乗せ下ろし、或いは、輸送や外部振動などに起因する動荷重に対しても天秤の精度に影響を与えるような変形が生じないよう十分な機械的強度が要求される。すなわち、上記ベース22に生じる前記のような原因に起因する変形は、ベース22に連結保持された荷重検出部3に悪影響を与え、天秤の精度上致命的な測定誤差を生じるので、ベース22の剛性を十分高くとるようにしてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ベース22に十分な剛性を持たせるには、天秤設計段階においてベース22に関する強度計算を行う必要があるが具体的に実際の天秤に荷重モデルを適用するには、モデルが複雑なため正確な計算を行うことは困難である。また、有限要素法などの最近の手法を用いれば比較的正確な強度を算出することができるが、そのような手法は膨大な時間と専門知識を必要とするので、設計時間やコストの面から対費用効果上の問題を抱えているのが現状である。
本発明は、このような課題を、簡便な方法で解決した天秤を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の天秤においては、秤量皿に係合する荷重検出部を載架収容するケース部を水平調節用足と固定足の上部に係架させ、ケース部の荷重をこの水平調節用足と固定足にて支承させるようにしたものである。さらに、ケース部とベース部との結合部を水平調節用足と固定足の近傍に配置しケース部の荷重を水平調節用足と固定足の近傍のベースを介して、水平調節用足と固定足にて支承させるようにしたものである。
このような構成によって、ケース部の荷重を水平調節用足や固定足により直接的に支承することができ、ケース部の荷重が偏荷重としてベースに加わるのを軽減することができる。
【0008】
【実施の形態】
本発明の実施例を、以下、図1から図4に基づいて説明する。
図1は本発明実施例の内部構造を示す正面断面図、図2は側面断面図、図3は詳細説明用拡大図、そして図4はベース平面図である。
これら図面に示す本発明の天秤は、電磁力平衡方式或いは歪み計方式などを採用した荷重検出部3を収容する電子天秤で、荷重検出部3を収容するハウジング部2とハウジング部2の上部に配した秤量作業を行う秤量室1を有する実施例が示されている。
【0009】
この秤量室1は、試料載荷用の皿11、測定場所の空気の流動等による測定値への影響を防ぐ風防ケース12などから構成され、ハウジング部2は、その上部に配された秤量室1を支え、かつ、荷重検出部3への対流等による外部風や熱的影響を排除する機能をも兼ね備えたケース21、秤量物そのものやハウジング部2に加わる全荷重を支えるためのベース22、天秤設置台上に天秤を固定するときの水平用基準点となる固定足23、その基準点に対し荷重検出部3の水平を調節するための水平調節用足24、ケース21とベース22とを連結、固着するケース固定ネジ25などから構成される。
【0010】
また、31は秤量室1に配された皿11への試料の軽重による荷重変化を荷重検出部3に伝達するための皿受け支柱であり、32は荷重検出部3をベース22に設置するための荷重検出部固定ネジである。
以上の構成において、ハウジング部2そのものに起因する荷重とそのハウジング部2が支える必要のある秤量室1の風防ケース12に起因する荷重とを合わせた全荷重は、ケース固定ネジ25を介してベース22に直接加わることとなる。さらに、ベース22には、例えば実際の試料測定に見られるように天秤ハンドリング等に起因する力が上記のような定常的な荷重に加えて、外乱要因としてベース22に作用する。
【0011】
このようなベース22に加わる荷重は、水平調節用足24、固定足23、もしくは、これらの近傍のベース22を介して支承されるようケース21とベース22とが連結、固着される。
すなわち、図3は、本発明によるケース21とベース22の止め方(ネジ止めによる)を開示するもので、図2におけるA部の詳細説明用拡大図である。図示例ではベース22に配設された水平調節用足24の近傍で、ケース21に設けられたケース固定ネジ25を用いて、ケース21とベース22の連結、固着を構成する一例で、図4からも明らかなように水平調節用足24は、ケース固定ネジ25に近接した位置にてベース22に貫設されている。そして、この水平調節用足24の円盤部を回転操作することで、ベース22への螺合部が上下動し水平調節が行われる。
【0012】
このようなケース21とベース22との連結、固着法は、ケース21部の荷重がベース22に偏荷重として加わり、ベース22がそれにより変形を起こすのを軽減し、天秤の測定精度向上に於ける課題である天秤のベース22に起こる変形による精度上への影響(結果的に荷重検出部3に伝達された前記変形による天秤の精度上への影響)を排除することができる。すなわち、ケース21の荷重を水平調節用足24と固定足23とで、ベース22に作用する荷重を直接的に受け止める。したがって、ベース22にはそれら荷重による変形を受けることもなく、ベース22の剛性をそれほど必要とはしなくても、高精度な天秤を提供できる。その結果、ベース22は材料等で安価なものとなり、かつ、前述のごとき開発段階での複雑な強度計算も必要としなくなると言う大きなメリットを有する。
【0013】
本発明は、以上詳述したとおりであるが、上記ならびに図示の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を生かした他の変形実施例を包含するものである。例えば、図5は本発明の変形実施例を示す部分断面図で、秤量室1やハウジング部2等のベース22に加わる全荷重を、図のようにケース21に突設したボス26に対して、水平調節用足24のネジ部を捩じ込んだ構成のものである。すなわち、ケース21を水平調節用足24や固定足23の上部に係架させる形で両者を連結したものである。この実施例では、ケース22の荷重が水平調節用足24に直接負荷されることになり、前記荷重によるベース22への荷重の押圧を軽減し、ベース22の変形が阻止される。
また、他の変形実施例として、図6のような実施例を挙げることもできる。この方式では、水平調節用足24と固定足23の上部がベース22を貫通し、ケース21に係架(具体的には螺合)している。さらに、図示例では、秤量室を有するもの、或いは、電磁力平衡方式のいわゆる電子天秤を例として説明したが、歪み計方式の電子天秤にも適用できるし、また、電子天秤以外の種々の天秤にも適用可能である。
【0014】
【発明の効果】
本発明の天秤は、以上に詳述したように構成されているので、ベースへのケース部の荷重を作用させることが軽減され、ベースの変形を防止もしくは極力押さえる構造を簡単な方法で実現できる。したがって、ベースの剛性を余り大きく取らなくても、また、そのために必要な複雑な強度計算をしなくても、所定の天秤精度を確保でき、かつ、安価な天秤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例の内部構造を示す正面断面図である。
【図2】本発明による実施例の内部構造を示す側面断面図である。
【図3】本発明による実施例の内部構造の詳細説明用拡大図である。
【図4】本発明による実施例のベース部平面図である。
【図5】本発明による変形実施例の内部構造を示す側面部分断面図である。
【図6】本発明による変形実施例の内部構造を示す側面部分断面図である。
【図7】従来天秤のベース部における外力押圧状況説明図である。
【図8】従来天秤のベース部への外力押圧による荷重モデル図である。
【図9】従来天秤の内部構造を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1……秤量室
11…皿
12…風防ケース
2……ハウジング部
21…ケース
22…ベース
23…固定足
24…水平調節用足
25…ケース固定ネジ
26…ボス
3……荷重検出部
31…皿受け支柱
32…荷重検出部固定ネジ
Claims (2)
- 被秤量物を載置し秤量する秤量皿と、秤量皿に係合する荷重検出部を載架収容するケース部と、水平調節用足と固定足を配設したベースとからなる天秤において、前記ケース部を前記水平調節用足と固定足の上部に係架させ、ケース部の荷重をこの水平調節用足と固定足にて支承させることを特徴とする天秤。
- 被秤量物を載置し秤量する秤量皿と、秤量皿に係合する荷重検出部を載架収容するケース部と、水平調節用足と固定足を配設したベースとからなる天秤において、前記ケース部とベース部との結合部を前記水平調節用足と固定足の近傍に配置し、ケース部の荷重を水平調節用足と固定足の近傍のベースを介して、水平調節用足と固定足にて支承させることを特徴とする天秤。
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JP24391998A Expired - Lifetime JP3783424B2 (ja) | 1998-08-28 | 1998-08-28 | 天秤 |
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