JP3782060B2 - トレーサ製造方法及びトレーサを使用した地下水流動測定方法 - Google Patents

トレーサ製造方法及びトレーサを使用した地下水流動測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設工事に関わる各種調査・例えば亀裂の発達した岩盤内の地下水流動、止水壁の漏水調査・山留め壁による流況阻害調査・環境調査・河川の塩水くさびの流動測定等において三次元的な地下水流動(流向・流速)を測定する地下水流動測定に係り、特に、その測定に使用されるトレーサ及び当該トレーサを使用した地下水流動測定方法に関するものである。
【従来の技術】
近年、建設工事に伴う地下水流動阻害や井戸枯れの問題のほか、止水壁・止水シートからの漏水や産業廃棄物などによる地下水・土壌汚染が深刻な社会問題となっている。
【0002】
これら地盤環境保全問題に対して、精度の高い影響予測や効果的な対策工事を実施するためには地盤の透水係数だけでなく地下水の流向や流速を精度よく得ることがきわめて重要とされている。
【0003】
ここで、地下水の流向や流速の測定手法としては大きく分けると多孔法と単孔法とがあり、最近では若干課題が残るものの経済性や測定作業性に優れた単孔法が多用されている。
【0004】
単孔式で地下水流向流速を計測する手法としては、ほう素水溶液や熱をトレーサとして用い、トレーサの希釈濃度を計測するポイントダイリューション法を応用した方法と、地下水中に浮遊する浮遊物をトレーサとして利用し、該トレーサをカメラで捉えて水流等を直接観察する方法がある。
【0005】
そして、この水中浮遊するトレーサをCCDカメラで直接捉える方法としては、水中の微細粒子あるいはトレーサ物質として投入した粒子が拡大されて投影できる画像観察装置により、微細粒子の流れ方向および単位時間当たりの移動距離を測定して地下水の流れを観察するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−257943号公報 P.3 段落<0020>
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の手法は、今後有望な手法の一つであるとは考えられるが、従来は、トレーサとして腐植物を使用し、それら腐植物等からなる浮遊物を追跡観察する等比較的存在が不確実で不正確なものに頼っている面があった。
【0007】
これに対処するため、トレーサの素材自体を牛乳の凝集タンパク質からなる人工の粒状物等を使用するものとしたが、該トレーサは親水性に乏しく、また地下水の比重と浮遊物の比重が異なると、特に鉛直方向の正確な流向や流速の計測ができないとの課題があった。
【0008】
すなわち前記トレーサが水中浮遊することなく特に自重で沈んだりする場合があり、この場合には鉛直方向からの計測につき、数値に誤差が生じていたのが実態であった。
【0009】
かくして、本発明は前記従来の課題に対処すべく創案されたものであり、CCDカメラやテレビカメラで水中のトレーサ(水中浮遊物)を追跡してその動きから地下水の流向と流速を計測する方法にあって、測定対象の地下水と同じ比重のトレーサを提供するとともに、地下水の三次元的な流向、流速を精度よく測定するために、地下水へのトレーサの投入時に初速度を与えることのないトレーサを使用した地下水流動測定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
本発明によるトレーサ製造方法およびトレーサを使用した地下水流動測定方法は、
比重が1.0に近似する複数個の略粒状をなすトレーサ原体と、
前記複数個のトレーサ原体を収納する収納容器と、
前記収納容器内に充填される流動測定対象物となる地下水と、
少なくとも内部の減圧と当該減圧の解除とを繰り返し行える脱気装置と、
を備え、
前記流動測定対象物となる地下水を満たした収納容器内に複数個のトレーサ原体を収納してなり、
前記複数個のトレーサ原体が収納された収納容器を脱気装置内に配置して少なくとも減圧と減圧の解除とを繰り返し、前記トレーサ原体内に前記流動測定物となる地下水を浸透飽和させ、
前記地下水を浸透させたトレーサ原体を前記流動測定物となる地下水に浸して水中浮遊するトレーサ原体のみを抽出して流動測定対象物となる地下水と同じ比重のトレーサを形成した、
ことを特徴とし、
または、
比重が1.0未満の高分子化合物と比重が1.0より大きい天然鉱物とにより形成し比重が1.0に近似する複数個の略粒状をなすトレーサ原体と、
前記複数個のトレーサ原体を収納する収納容器と、
前記収納容器内に充填された流動測定対象物となる地下水と、
内部の減圧と減圧の解除とを繰り返し行える脱気装置と、
を備え、
前記流動測定対象物となる地下水を満たした収納容器内に複数個のトレーサ原体を収納してなり、
前記複数個のトレーサ原体が収納された収納容器を脱気装置内に配置して減圧と減圧の解除とを繰り返し、前記トレーサ原体内に前記流動測定物となる地下水を浸透飽和させ、
前記地下水を浸透させたトレーサ原体を前記流動測定物となる地下水に浸して水中浮遊するトレーサ原体のみを抽出して流動測定対象物となる地下水と同じ比重のトレーサを形成した、
ことを特徴とし、
または、
地下水内に水中浮遊させたトレーサの流動状態を流動測定手段で測定し、流動するトレーサから地下水の流速と流向を測定する地下水流動測定方法であり、
前記トレーサとして請求項1又は請求項2記載の製造方法により製造されたトレーサを使用すると共に、該トレーサを液体内で消失するカプセル内に収納し、
前記カプセルを前記地下水内に挿入される測定用機器内に固定すると共に該測定用機器を地下水内に挿入し、次いで、地下水内で前記カプセルを消失させ、内部のトレーサを地下水内に水中浮遊させた、
ことを特徴とし、
または、
地下水内に水中浮遊させたトレーサの流動状態を撮像手段で撮影し、流動するトレーサの撮影像から地下水の流速と流向を測定する地下水流動測定方法であり、
前記トレーサとして請求項1又は請求項2記載の製造方法により製造されたトレーサを使用すると共に、該トレーサを液体内で消失するカプセル内に収納し、
前記カプセルを前記地下水内に挿入される測定用機器内に固定すると共に該測定用機器を地下水内に挿入し、次いで、地下水内で前記カプセルを消失させ、内部のトレーサを地下水内に水中浮遊させた、
ことを特徴とするものである。
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0010】
比重が1.0よりも軽い素材である、たとえばポリエチレン,ポリプロピレンなどの高分子化合物と、比重が1.0よりも重い材料である、たとえば炭酸カルシウム(石灰岩)などの天然鉱物とによりトレーサ原体1を作製する。
【0011】
すなわち、比重が1.0になるように限りなく近づけた値でのトレーサ原体1とする。そして、トレーサ原体1はその一つ一つを略小粒状にして大量に形成するものとする。
【0012】
しかして、複数大量のトレーサ原体1は図1に示すように、ビーカー状をなす収納容器2に収納され、その後、前記トレーサ原体1が収納された収納容器2中には流向、流速を測定すべき現地で採集した地下水3が充填される。
【0013】
ここで、一般に水の比重は1.0とされるが、地下水3のすべてが比重1.0であるとは限らない。たとえば塩分の濃度あるいは温度の影響などで比重1.0から変動することもある。
【0014】
よって、測定すべき地下水3と同様の比重とすべく収納容器2内の地下水3内に複数大量のトレーサ原体1を浸すのである。
【0015】
トレーサ原体1が測定すべき地下水の比重よりも軽い場合には、収納容器2内では地下水3に浸された複数大量のトレーサ原体1は上方から押圧部材5によって浮き上がることなく絶えず係止された状態とされる。なお、複数大量のトレーサ原体1をなるべく均等に係止できるよう押圧部材5と前記トレーサ原体1との間には網などで形成された仕切部材6が設けられている。なお、この仕切部材6は錆などが発生しないようアルミニウム、黄銅、ステンレス製あるいは高分子材料系のネット部材で形成するのが好ましい。
【0016】
なお、図15に示すように、高分子系材料で形成した網状の袋部材33に複数のトレーサ原体1を収納し、それを測定すべき地下水内に浸すと共に、浮き上がらないようおもり32で係止した構成のものでも構わない。
【0017】
前記のように構成された収納容器2は脱気装置4内に配置される。
【0018】
該脱気装置4は脱気装置4の内部を強制的に脱気して真空状態にし、その後その真空状態を解除して大気圧状態とする構成のものが用いられるが、前記強制脱気の方法は何ら限定されるものではない。一般的にはポンプ等で内部の空気を吸気し、真空状態を形成する構成のものが考えられる。
【0019】
しかして、前記脱気装置4内では前記の収納容器2を内部に配置した状態で内部での真空状態と大気圧状態が数回繰り返される。
【0020】
すると、前記トレーサ原体1の微小な空隙内に前記測定すべき地下水3が徐々に浸透する。そしてトレーサ原体1の空隙内に測定すべき地下水3を浸透させた後、図2から理解されるように測定すべき地下水3が充填された容器7に前記の地下水3を浸透させた複数大量のトレーサ原体1を入れる。
【0021】
すると、図2から理解されるように、トレーサ原体1は比重が地下水3より軽くて上方に浮いてしまうものと、比重が地下水より重くて下に沈んでしまうものと、地下水3と同等の比重となり地下水3内を水中浮遊するものにおのおの分かれる。
【0022】
ここで、水中浮遊するトレーサ原体1のみをスポイト8などで採取し、この採取されたトレーサ原体1が本発明におけるトレーサ9として選択、決定されるのである。
【0023】
測定すべき地下水3の比重は、その地下水を測定すべき場所での環境等によって微妙に異なり、すべての場所での地下水が、決して同じ値の比重になるとは限らない。
【0024】
比重1.0より微妙に重い場合もあるし、軽い場合もある。よって、この地下水3内で水中浮遊させるトレーサも比重1.0のものに固定する必然性はないのである。測定すべき地下水3の比重とすべきなのである。
【0025】
従って、本件発明によるトレーサであればどのような地下水3内でも浮かばず、沈まず、水中浮遊することが可能とされる。よって、特に垂直方向の流向、流速の測定がきわめて精度よく測定できるものとなる。
【0026】
なお、トレーサ9の沈降あるいは上昇が地下水の測定すべき流速に影響を及ぼさない場合、例えば地下水が水平方向に流れている場合には、若干トレーサ9の沈降あるいは上昇があったとしても精度よく流速の測定を行えることは言うまでもない。
次に、前記のトレーサ9を使用しての地下水の流向、流速測定方法につき説明する。
【0027】
ここで、流速測定手段については、何ら限定されるものではなく、以下に説明するCCDカメラ12を用いた場合のみならず、例えば超音波をトレーサ9に向かって送信し、その反射波を測定する構成であっても構わない。
【0028】
しかして、図3に示すように、視差光学系であるプリズム11と撮像手段であるCCDカメラ12等を内蔵したプローブ13をボーリング孔14内に挿入し、CCDカメラ12からケーブル15を通じて送信される映像を、地上システム16で監視しながら測定する。
【0029】
プローブ13は、例えば耐圧でかつ密封されたケース状のプローブ本体17に、プリズム11を下側に、CCDカメラ12をその上に配置して内蔵するとともに、更にボーリング孔14内を照らす照明装置18及び電源19を内蔵して構成される。
【0030】
CCDカメラ12は、例えば下向きにしてプローブ本体17内の中央部に固定され、プリズム11は、プローブ本体17内の底部付近側に設置される。
【0031】
このプリズム11は、例えば、角錐形の外形に形成され、その角錐形の角度が約60度をなす様に2個のプリズム体11a,11bを互いに上下背合わせにして重ね合わせたもので構成される。
【0032】
ここで、図7に前記2個のプリズム体11a,11b内を通過する光の進行経路を示す。
【0033】
このプリズム1を通過した状態を上方から見ると、図8に示すように、視差(見る角度)が異なる2つの画面領域がA、Bに分かれて並んで同時に現れることとなる。
【0034】
つまり図7から理解されるように、左下方と右下方の像が2つの画面領域A、Bに分かれて並んで同時に現れるのである。
【0035】
従って、プリズム11を通してCCDカメラ12で撮影される画像は、ボーリング孔14内の下方を見た、互いに視差が異なる左下方像と右下方像が同時に現れ、しかも左下方像と右下方像とはある一定の領域が重複しているため、同じ物体の像が左右に同時に現れることになる。
【0036】
プローブ本体17の透明な底部には、4本の連結棒20が図9に示すように正方形の隅角位置に4点配置にして垂直に垂設され、これら4本の連結棒20の下側に円形の先端治具21が固着されている。
【0037】
この先端治具21の外周及びプローブ本体17の外周中途には、膨張・収縮するパッカー22,23がそれぞれ設けられ、これらパッカー22,23を膨張させてボーリング孔14の周壁に圧接させ、プローブ本体17をボーリング孔14内の所望位置に安定して固定してある。
【0038】
また、プローブ本体17の外周の下端と先端治具21の外周の上端とには、ゴム等の弾性材質のリング状の遮断板24,25が固着され、これら上下の遮断板24,25とプローブ本体17の底部及び先端治具21の上面において、ボーリング孔14の中でトレーサ9の遊動空間を上下に区画する空間区画部27が形成される。しかしてこの空間区画部27としてはボーリング孔14の直径方向全体が使用される。
【0039】
ところでトレーサ9は、前述したように、測定すべき地下水3と同等の比重に形成されたものが使用される。これにより、トレーサ9は、前記の如くどのような地下水3内でも浮かばず、沈まず、水中浮遊することが可能とされ、特に鉛直方向の流向、流速の測定がきわめて精度よく測定できるものとなる。
【0040】
先端治具21の上面には、図9に示すように、極めて薄い透明板で形成された円状をなすスケール28が付設されている。なお、前記スケール28の形状については何ら限定されない。
【0041】
スケール28上には、図10に拡大して示すように、寸法点30が数mm程度の等間隔のピッチPで複数列に、また列と列の間隔も数mm程度の間隔Lとして設けられている。
【0042】
一方、地上システム16には、図示していないが、プローブ17の方位を指示する方位指示器や、深度を指示する深度指示器や、CCDカメラ12の撮影画像を処理する画像処理システム(ハードウェア及びソフトウェア)を組み込んだパソコンや、監視及び測定データ表示用のディスプレイなどが含まれている。
【0043】
画像処理システムは、上記のようにCCDカメラ12で撮影された2つの画面領域の撮影画像を、ボーリング孔14内の下方画像に基づいて画像処理することとなる。
【0044】
次に、このように構成された装置によっての測定を順を追って説明する。
【0045】
プローブ13を吊り下げてボーリング孔14内に挿入し、測定個所を選定する。
【0046】
測定個所を決めたら、パッカー22・23を膨張させてプローブ13をボーリング孔14内に固定し、空間区画部27内にトレーサ9を投入する。
【0047】
ここで、本発明におけるトレーサ9の投入につき述べる。
【0048】
本発明では前記プローブ13内において、しかも測定すべき地下水の流れ上流側位置にトレーサ9をあらかじめ仮止めして配置されている。
【0049】
なお、地下水の流れ方向が不明の場合はプローブ13内において、幅方向の両側及び上下方向等全方位の方向にトレーサ9を配置しても構わない。
【0050】
ところで、図4から理解されるように、本発明ではトレーサ9をカプセル10の中にあらかじめ封入しておくものとする。このカプセル10の材質については何ら限定されないが、少なくとも地下水3内で迅速に溶解したりして消失する材質であることを要する。例としてゼラチン等の材質が考えられる。
【0051】
なお、溶解など消失するのを待つまでもなく、前記カプセル10を所定の治具によって機械的に破壊しても構わないものである。
【0052】
そして、前記カプセル10は図4に示すように、地下水3の流れの上流側位置に仮止めされる。図4において、空間区画部27における左側の連結棒20の中間位置と遮蔽板25の左隅に接着剤等により仮止めしてある。
【0053】
そして、地下水3の中で溶解等で消失したカプセル10内からフリーとなったトレーサ9は矢印で示す如く地下水3内を移動するものとなる(図5,図6参照)。
【0054】
そして、この移動するトレーサ9をプリズム11を通じてCCDカメラ12で撮影する。地下水流によって移動するトレーサ9は、撮影された下方画像の中の視差が異なる左右2つの画面に同時に現れ、またこれと同じ画面にスケール28も現れる。
【0055】
図11に、プリズム1の光線の透過経路と、トレーサ9が時点t1から時点t2までの時間経過中に移動した移動軌跡とを示し、図12にその移動の平面的な軌跡を示す。
【0056】
また、図13にt1時点における下方画像の視差が異なる2つの画面の画像を示し、図14にt2時点における同様の左右2つの画面の画像を示す。
【0057】
トレーサ9は、地下水3の移動に伴ってゆっくりと移動するため、図13に示すように、トレーサ9の像は、視差が異なる左右2つの画面に同時に現れ、スケール28の寸法点30の像も同様に現れる。
【0058】
また、図13から理解されるように、左右2つの画面は視差が異なるため、同じトレーサ9がその像の位置を相違させて映ることになり、トレーサ9が移動すれば、その移動は図13と図14との相関から三次元的に捉えることができる。
【0059】
そこで、任意の時点t1、t2、t3・・・・・tnにおいての撮影を繰り返し、各時点ごとにトレーサ9の像の三次元座標をパソコンで算出し、各時間ごとに移動量を把握することで三次元的な流速を求めることができる。
【0060】
また、トレーサ9の像の移動方向も平面的な移動とともに、鉛直方向の移動も把握できることから、三次元的な流向も算出できるのである。
【0061】
しかして、前記本発明によるトレーサ9の投入方法であれば、トレーサ9投入時の初速度を全く無視できるため、すなわち、トレーサ9を上方からプローブ本体17に投げ入れる方法でないためトレーサ9に初速度が発生せず、もって精度の高い流向、流速測定が行えるものとなる。また、カプセル10を機械的に破壊させたときでも、前記初速度はほとんど無視できるものと考えられる。
【0062】
なお、上記の測定をプローブ13の設置位置を変え、また必要な個所、深度ごとに繰り返すことにより測定精度は格段に向上する。
【発明の効果】
かくして本発明は以上の構成よりなる。
【0063】
そして本発明によるトレーサ及びトレーサを使用した地下水流動測定方法であれば、測定対象の地下水と同じ比重のトレーサをいかなる比重の地下水であったとしても提供できる。
【0064】
また、地下水へのトレーサの投入時に初速度を与えることのないトレーサを使用した地下水流動測定方法であるため地下水の三次元的な流向、流速をきわめて精度よく測定することができるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】トレーサの作製状態を示す構成説明図(その1)である。
【図2】トレーサの作製状態を示す構成説明図(その2)である。
【図3】本発明による地下水流動測定方法の構成を示す構成説明図(その1)である。
【図4】本発明による地下水流動測定方法の構成を示す構成説明図(その2)である。
【図5】本発明による地下水流動測定方法の構成を示す構成説明図(その3)である。
【図6】本発明による地下水流動測定方法の構成を示す構成説明図(その4)である。
【図7】プリズム内を通過する光の進行経路を説明する説明図である。
【図8】画像領域を説明する説明図である。
【図9】図3のI−I線断面図である。
【図10】スケールの拡大図である。
【図11】プリズムを通過する光の通過経路と、トレーサが時点t1から時点t2までの時間経過中に移動した移動軌跡とを示す説明図である。
【図12】トレーサ移動の平面的な軌跡を示す説明図である。
【図13】t1時点における下方画像の視差が異なる2つの画面の画像の説明図である。
【図14】t2時点における下方画像の視差が異なる2つの画面の画像の説明図である。
【図15】トレーサの作製状態を示す構成説明図(その2)である。
【符号の説明】
1 トレーサ原体
2 収納容器
3 地下水
4 脱気装置
5 押圧部材
6 仕切部材
7 容器
8 スポイト
9 トレーサ
11 プリズム
11a、11b プリズム体
12 CCDカメラ
13 プローブ
14 ポーリング孔
15 ケーブル
16 地上システム
17 プローブ本体
18 照明装置
19 電源
20 連結棒
21 先端治具
22 パッカー
23 パッカー
24 遮蔽板
25 遮蔽板
27 空間区画部
28 スケール
30 寸法点
31 亀裂位置
32 おもり
33 袋部材

Claims (4)

  1. 比重が1.0に近似する複数個の略粒状をなすトレーサ原体と、
    前記複数個のトレーサ原体を収納する収納容器と、
    前記収納容器内に充填される流動測定対象物となる地下水と、
    少なくとも内部の減圧と当該減圧の解除とを繰り返し行える脱気装置と、
    を備え、
    前記流動測定対象物となる地下水を満たした収納容器内に複数個のトレーサ原体を収納してなり、
    前記複数個のトレーサ原体が収納された収納容器を脱気装置内に配置して少なくとも減圧と減圧の解除とを繰り返し、前記トレーサ原体内に前記流動測定物となる地下水を浸透飽和させ、
    前記地下水を浸透させたトレーサ原体を前記流動測定物となる地下水に浸して水中浮遊するトレーサ原体のみを抽出して流動測定対象物となる地下水と同じ比重のトレーサを形成した、
    ことを特徴とするトレーサ製造方法
  2. 比重が1.0未満の高分子化合物と比重が1.0より大きい天然鉱物とにより形成し比重が1.0に近似する複数個の略粒状をなすトレーサ原体と、
    前記複数個のトレーサ原体を収納する収納容器と、
    前記収納容器内に充填された流動測定対象物となる地下水と、
    内部の減圧と減圧の解除とを繰り返し行える脱気装置と、
    を備え、
    前記流動測定対象物となる地下水を満たした収納容器内に複数個のトレーサ原体を収納してなり、
    前記複数個のトレーサ原体が収納された収納容器を脱気装置内に配置して減圧と減圧の解除とを繰り返し、前記トレーサ原体内に前記流動測定物となる地下水を浸透飽和させ、
    前記地下水を浸透させたトレーサ原体を前記流動測定物となる地下水に浸して水中浮遊するトレーサ原体のみを抽出して流動測定対象物となる地下水と同じ比重のトレーサを形成した、
    ことを特徴とするトレーサ製造方法
  3. 地下水内に水中浮遊させたトレーサの流動状態を流動測定手段で測定し、流動するトレーサから地下水の流速と流向を測定する地下水流動測定方法であり、
    前記トレーサとして請求項1又は請求項2記載の製造方法により製造されたトレーサを使用すると共に、該トレーサを液体内で消失するカプセル内に収納し、
    前記カプセルを前記地下水内に挿入される測定用機器内に固定すると共に該測定用機器を地下水内に挿入し、次いで、地下水内で前記カプセルを消失させ、内部のトレーサを地下水内に水中浮遊させた、
    ことを特徴とする地下水流動測定方法。
  4. 地下水内に水中浮遊させたトレーサの流動状態を撮像手段で撮影し、流動するトレーサの撮影像から地下水の流速と流向を測定する地下水流動測定方法であり、
    前記トレーサとして請求項1又は請求項2記載の製造方法により製造されたトレーサを使用すると共に、該トレーサを液体内で消失するカプセル内に収納し、
    前記カプセルを前記地下水内に挿入される測定用機器内に固定すると共に該測定用機器を地下水内に挿入し、次いで、地下水内で前記カプセルを消失させ、内部のトレーサを地下水内に水中浮遊させた、
    ことを特徴とする地下水流動測定方法。
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