JP3777333B2 - 磁気クラスターの製造方法とそれを利用した非磁性体を有する磁気クラスターの製造方法 - Google Patents
磁気クラスターの製造方法とそれを利用した非磁性体を有する磁気クラスターの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気クラスターの製造方法とそれを利用した磁気ゴム等の非磁性体を有する磁気クラスターの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
μmサイズあるいはnmサイズの粒子を溶媒に、一様分散させたコロイド溶液について、粒子同士がファンデアワールス力により凝集して、クラスターを形成することは以前より知られている。また、強磁性粒子を含む磁性流体やMR流体、更に、誘電体粒子を含む電気粘性流体などの機能性流体にみられるように、磁場や電場を外部から印加することにより、それらの粒子がクラスターを形成することも知られている。
【0003】
しかしながら、これらのサイズは、一般に、μmサイズあるいはnmサイズであるため、工業的に即利用するという点ではあまりにも小さすぎ、また、磁場や電場を一旦取り去ると、クラスターが崩れてしまい、磁場や電場で継続保持してやらなければクラスターを形成させておくとことができないという欠点を有している。
【0004】
また、磁場や電場を印加しなくても、粒子がクラスターを形成することもあるが、それとても、そのクラスターのサイズは、工業的に即利用するという点ではあまりにも小さすぎ、しかも、そのクラスターを形成、保持させておくことはできない。
【0005】
もし、磁気クラスターをmmサイズからnmサイズまでの幅広い寸法で作成することができ、しかも、磁場や電場で保持してやらなくてもクラスターを形成させておいたままにできるとしたら、その磁気クラスターを使った様々な工業製品や工学応用が提案されていく筈である。しかしながら、現在のところ、そのような磁気クラスター作成の技術は、国内外ともに報告されていない。
【0006】
更に、種々の異なる材質の粒子が混ざった磁気クラスターを作成することができたとしたら、その磁気クラスターを使った様々な工業製品や工学的応用がさらに広がるが、現在のところ、そのような磁気クラスター作成については国内外共にあまりみられない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の磁気クラスターは、幅広い寸法で作成することが不可能で、かつ磁場や電場で継続保持しなければクラスターを形成させておくとことができず、また、種々の異なる材質の粒子が混ざった磁気クラスターを作成できないという問題があった。そこで本発明は、磁気クラスターをmmサイズからnmサイズまでの幅広い寸法で作成することができ、しかも、磁場や電場で保持しなくてもクラスターを形成させておくことができる磁気クラスターの製造方法と、その製造方法を利用した種々の異なる材質の粒子が混ざった磁気クラスターの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明の請求項1に係る磁気クラスターの製造方法は、6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、固体として分離し磁気クラスターを得るような構成とした。
【0009】
これにより、磁気クラスターをmmサイズからnmサイズまでの幅広い寸法で作成することができ、しかも、磁場や電場で保持してやらなくてもクラスターを形成させておいたままにできるので、工業的及び工学的価値の点で非常に高く、その磁気クラスターを使った様々な工業製品や工学応用、例えば、磁気記録媒体としての活用や、磁気ブラシとしてレーザープリンターへの利用に適用できる。
【0010】
この発明の請求項2に係る所定の長さの磁気クラスターの製造方法は、6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、固体として分離し磁気クラスターを得る工程と、更に混合溶液2の溶媒を加える工程と、振動を与え、又は攪拌して強制的に磁気クラスターをバラバラの粒子に崩す工程と、所定の大きさの磁場強度をもつ磁力を印加し、磁気クラスターを得るような構成とした。
【0011】
この発明の請求項3に係る所定の長さの磁気クラスターの製造方法は、6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、7μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合でケロシンベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、固体として分離し磁気クラスターを得る工程と更に混合溶液2の溶媒を加える工程と、振動を与え強制的に磁気クラスターをバラバラの粒子に崩す工程と、所定の大きさの磁場強度をもつ磁力を印加し、磁気クラスターを得るような構成とした。
【0012】
これにより、磁場強度に応じて磁気クラスターの大きさが決まるので、一様な大きさをもつ定常磁場であれば、同じ大きさをもつ磁気クラスターを得ることができる。通常、磁気クラスターには長さの異なる磁気クラスターが混在しているが、所定の長さの磁気クラスターを得ることができ、磁気特性の安定したものを得ることができる。
【0013】
この発明の請求項4に係る非磁性体を有する磁気クラスターの製造方法は、6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%、粒径3μmのアルミナAl2O3を3〜4wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、固体として分離し磁気クラスターを得るような構成とした。
【0014】
これにより、磁気クラスター中に材質の異なる粒子を含ませる手法を応用して、特に、薬剤と磁気クラスターを含むマイクロカプセルの磁気的誘導への医学的利用や、マイクロマシーンやナノマシーンへの様々な工業製品や工学的応用に適用できる。
【0015】
この発明の請求項5に係る磁性ゴムの製造方法は、6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、ゴム溶液を上限100wt%の割合で混合、撹作する工程と、0〜4000ガウスの磁力を印加しながら乾燥させることにより磁性ゴムを得るような構成とした。
【0016】
この発明の請求項6に係る磁性ゴムの製造方法は、6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合でケロシンベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、作成した混合溶液2に対して、ゴム溶液を上限100wt%の割合で、ケロシンベース磁性流体と混合して撹伴する工程と、0〜4000ガウスの磁力を印加しながら乾燥させることにより磁性ゴムを得るような構成とした。
【0017】
これにより、伸張性のあるゴムに、磁気クラスターを混合することにより、磁気的に等方性や異方性を自由に設定して作成でき、厚みのある固体や薄い膜まで自由な成型で作成することが可能な、磁石に反応するゴムを得ることができ、工業的に広範な分野に応用することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気クラスターの製造方法は、磁性を有し、かつμmとnmのサイズの異なる粒子を混合することにより、更に、表面活性剤を混合することにより、mmサイズからnmサイズまでの幅広い寸法でクラスターを作成する必要性を満たすために、表面活性剤が被覆されているnmのサイズの粒径をもつ磁性流体に、鉄粉を混合することにより作成されたクラスターは、外部からクラスターを固定するのに要する磁場や電場がなくても、クラスターの形成を常時保持させることができるという見地に立ったものである。
【0019】
次に、図1を参照して本発明の磁気クラスターの製造方法を工程順に説明する。ステップ1で、6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して 1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する。ここで、鉄粒子の径を1〜2μmとしたのは、クラスターの形成を維持するのには最適な鉄粒子の径であることによる。
【0020】
また、オレイン酸ナトリウム水溶液を用いる理由は、磁気クラスターは水ベース磁性流体を用いて作成したとき、攪拌時に空気が混在し、その空気に鉄粒子が酸化反応し、出来上がりの磁気クラスターが錆びてしまうので、これを防止するためである。
【0021】
ステップ2で、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する。磁性流体として水ベース磁性流体を用いるのは、マグネタイト粒子を被覆しているオレイン酸と水は疎水結合しているため、互いの粒子同士の結びつきが強くなることによっている。
【0022】
ステップ3で、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から、磁石を用いて500〜4000ガウスの磁束密度の磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける。
【0023】
ステップ4で、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次にステップ5で、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、ステップ4とステップ5を交互に行ない、この作業を繰り返す。そしてステップ6で、最後に残った磁気クラスターを固体として分離し、磁気クラスターのみを得る。
【0024】
こうして、得られた磁気クラスターの構造を電子顕微鏡で観察した結果を図2に示す。図2(A)は1つの磁気クラスターの概要を示し、図2(B)は部分拡大図である。磁気クラスターが長短構造になるのは一方向磁力を印加するためと考えられる。図示された構造は、鉄を中心にしてその周りにオレイン酸と、オレイン酸に被覆されたマグタイト(Fe3O4)とから構成され、鉄粒子を繋げているていることが認識できる。
【0025】
本発明の磁気クラスターの製造方法によると、幅広い寸法で磁気クラスターを作成することができることから、mmサイズという目に見えるほどの大きなクラスターを作成することが可能となり、この磁気クラスターを使った様々な工業製品や工学応用が可能となる。
【0026】
次に、図1製造方法で作成された磁気クラスターを所定の長さにするための手法として、第1実施形態を図3に示す。磁気クラスターの作成工程は上記した通りであり、ステップ6で得られた磁気クラスターに、ステップ7で、更に混合溶液2の溶媒を加える。このときの溶媒の量は適当でよい。
【0027】
ステップ8で、振動を与え磁気クラスターをバラバラの粒子に崩す。このときの振動は、粒子がバラバラになればよいので、大きさは適当であるが、攪拌して強制的に粒子をバラバラにしてもよい。
【0028】
そしてステップ9で、所定の大きさの磁場強度をもつ磁力を再び印加し、磁気クラスターを得る。この時、磁場強度に応じて磁気クラスターの大きさが決まるので、一様な大きさをもつ定常磁場であれば、同じ大きさをもつ磁気クラスターを得ることができる。通常、磁気クラスターには長さの異なる磁気クラスターが混在しているが、所定の長さの磁気クラスターを得ることができる。
【0029】
この図3の製造工程において、印加する磁場強度(この場合、最大磁場強度)に対する、得られる磁気クラスターの長さLと太さWについての、平均値(mean)、標準偏差(ばらつき、σ)、最大値(max)、最小値(mim)の関係を図4に示す。
【0030】
図4のグラフから判断すると、どの部位においても完全な一様磁場をもつ永久磁石はこの世に存在しないので、若干の非一様磁場となるため、磁気クラスターの長さと太さにはある程度のばらつきがある。しかしながら、強磁場になると、磁場強度の変化によるばらつきの変化は一定になることが理解できる。
【0031】
ここで、長さと太さの測定において、電子顕微鏡による観察では、μmオーダーの磁気クラスターを確認することができたため、最小値は、粒子のサイズまで読み取ることができる。また、図中の磁場の強さHmaxとLやWの関係式を利用すれば、磁気クラスターを工学的に作成する上で便利であり、かつ重要である。
【0032】
次に、所定の長さの磁気クラスターを製造する第2実施形態を説明する。基本的に図1の作成手順と同様であるが、1〜2μmより大きい7μmの径の鉄粒子を使用したり、ケロシンベース磁性流体を用いて作成したりすると、出来上がりの磁気クラスターは、少しの振動ですぐにバラバラの粒子に崩れてしまう現象を利用するものである。以下に、作成手順を説明する。
【0033】
まず、(1)6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、7μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する。次に、(2)この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合でケロシンベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する。(3)この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける。
【0034】
この状態で、(4)容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す。次に、(5)固体として分離し磁気クラスターを得て、(6)更に混合溶液2の溶媒を加え、(7)振動を与え強制的に磁気クラスターをバラバラの粒子に崩し、(8)所定の大きさの磁場強度をもつ磁力を印加し、最終的に、所定の長さの磁気クラスターを得ることができる。
【0035】
種々の異なる材質の粒子が混ざった磁気クラスターを使うことにより、様々な工業製品や工学的応用がさらに広がり有用である。そこで、磁性流体と鉄粉、非磁性体を混合することにより非磁性体を有する磁気クラスターを製造する方法について次に説明する。
【0036】
材質の異なる粒子が混ざった磁気クラスターを作成するには、図1の磁気クラスターの作成手順で、材質の異なる粒子を混ぜるだけでよいが、これらの粒子が混在して磁気クラスターを形成するのは、表面活性剤によることであることが判明した。
【0037】
まず、(1)6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%、粒径3μmのアルミナAl2O3を3〜4wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成し、(2)この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する。
【0038】
次に、(3)この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける。この状態で、(4)容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す。そして、(5)固体として分離し磁気クラスターを得て、最終的に、非磁性体を取り込んだ磁気クラスターを得ることができる。
【0039】
作成した磁気クラスターの電子顕微鏡による観察写真(図示せず)によると、中央にアルミナAl2O3があり、その周りを鉄粒子が取り囲んだ状態で、非磁性体を磁気クラスターに取り込んだ磁気クラスターが確認できた。
【0040】
これにより作成された磁気クラスターは、工学的応用性が非常に高い。例えば、磁気記録媒体としての活用や、磁気ブラシとしてレーザープリンターへの利用、磁性ゴムなどが考えられる。
【0041】
本発明者は、その一例として、伸張性のあるゴムに、この磁気クラスターを混合することにより、磁気的に等方性や異方性を自由に設定して作成でき、厚みのある固体や薄い膜まで自由な成型で作成することが可能な、磁石に反応するゴムを作成することに成功した。
【0042】
次に、磁気クラスターの工業的応用例として、磁気クラスターを含む磁性ゴムを製造する方法について、第1の実施形態の作成手順を説明する。
【0043】
まず、(1)6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成し、(2)この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する。次に、(3)この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける。
【0044】
この状態で、(4)容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す。更に、(5)ゴム溶液を0〜100wt%の割合で混合、撹作し、(6)0〜4000ガウスの磁力を印加しながら乾燥させることにより磁性ゴムを製造することができる。
【0045】
この場合、ゴム溶液は、一例として、磁気クラスターに対して、SH9550(東レ・ダウコーニング社(株)製)を45〜55wT%の割合で混合し、攪拌した。その結果、厚さ0.292mmの磁性ゴム膜を作成することができ、この磁性ゴムは、実体顕微鏡によると、磁気クラスターが整列しているのが確認できた。
【0046】
次に、磁気クラスターを含む磁性ゴムを製造する方法について、第2の実施形態の作成手順を説明する。まず、(1)6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成し、(2)この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する。
【0047】
(3)作成した混合溶液2に対して、ゴム溶液を上限100wt%の割合で混合し、同時に、ゴム溶液と溶解性をもたせるためケロシンベース磁性流体を混合して撹伴する。次に、(4)0〜4000ガウスの磁力を印加しながら乾燥させることにより磁性ゴムを製造することができる。
【0048】
この場合、ゴム溶液は、一例として、磁気クラスターに対して、SH9550(東レ・ダウコーニング社(株)製)を45〜55wT%の割合で混合し、撹作した。但し、このとき、ゴム溶液と溶解性をもたせるため、ケロシンベース磁性流体を使用した。その結果、厚さ0.242mmの磁性ゴム膜を作成することができた。
【0049】
この磁性ゴムは、実体顕微鏡によると、磁気クラスターが整列しているのが確認できた。但し、第1の実施形態のものに比して磁気クラスターの濃度が濃かった。これは磁気クラスターの作成方法の相違によるものであるが、磁石に引き寄せられる力がより大きいことを示している。。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の磁気クラスターの製造方法とそれを利用した非磁性体を有する磁気クラスターの製造方法は、磁気クラスターをmmサイズからnmサイズまでの幅広い寸法で作成することができ、しかも、磁場や電場で保持してやらなくてもクラスターを形成させておいたままにできるので、工業的及び工学的価値の点で非常に高く、その磁気クラスターを使った様々な工業製品や工学応用、例えば、磁気記録媒体としての活用や、磁気ブラシとしてレーザープリンター、磁性ゴム等に適用できる。
【0051】
また、本発明の非磁性体を有する磁気クラスターの製造方法は、磁気クラスター中に材質の異なる粒子を含ませる手法を応用して、特に、薬剤と磁気クラスターを含むマイクロカプセルの磁気的誘導への医学的利用や、マイクロマシーンやナノマシーンへの様々な工業製品や工学的応用に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気クラスターの作成手順図。
【図2】本発明の磁気クラスターの構造の電子顕微鏡での観察図。
【図3】本発明の所定の長さをもつ磁気クラスターの作成手順図。
【図4】印加する磁場強度と磁気クラスターの長さLと太さWとの関係図。
Claims (6)
- 6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、固体として分離し磁気クラスターを得る工程とからなることを特徴とする磁気クラスターの製造方法。
- 6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、固体として分離し磁気クラスターを得る工程と、更に混合溶液2の溶媒を加える工程と、振動を与え、又は攪拌して強制的に磁気クラスターをバラバラの粒子に崩す工程と、所定の大きさの磁場強度をもつ磁力を印加し、磁気クラスターを得る工程と、からなることを特徴とする所定の長さの磁気クラスターの製造方法。
- 6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、7μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合でケロシンベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、固体として分離し磁気クラスターを得る工程と更に混合溶液2の溶媒を加える工程と、振動を与え強制的に磁気クラスターをバラバラの粒子に崩す工程と、所定の大きさの磁場強度をもつ磁力を印加し、磁気クラスターを得る工程と、からなることを特徴とする所定の長さの磁気クラスターの製造方法。
- 6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%、粒径3μmのアルミナAl2O3を3〜4wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、固体として分離し磁気クラスターを得る工程と、からなることを特徴とする非磁性体を有する磁気クラスターの製造方法。
- 6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合で水ベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、この混合溶液2が入っている容器に対して外部から500〜4000ガウスの磁力を印加することにより、容器の外側の磁石に混合溶液2を吸い付ける工程と、この状態で、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、次に、混合溶液2の溶媒と同一の溶媒を新たに添加して攪拌した後、容器中の混合溶液2の溶媒を除去し、容器中に残存する混合溶液2の色が透明になるまで、この作業を繰り返す工程と、ゴム溶液を上限100wt%の割合で混合、撹作する工程と、0〜4000ガウスの磁力を印加しながら乾燥させる工程と、からなることを特徴とする磁性ゴムの製造方法。
- 6〜22wt%のオレイン酸ナトリウムを含む水溶液に対して、1〜2μmの鉄粒子を50〜65wt%の割合で混合し攪拌して混合溶液1を作成する工程と、この混合溶液1に対して35〜40wt%の割合でケロシンベース磁性流体を混合し攪拌して混合溶液2を作成する工程と、作成した混合溶液2に対して、ゴム溶液を上限100wt%の割合で、ケロシンベース磁性流体と混合して撹伴する工程と、0〜4000ガウスの磁力を印加しながら乾燥させる工程と、からなることを特徴とする磁性ゴムの製造方法。
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