JP3776843B2 - データ解析方法及び装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体試験におけるデータ解析に関し、特に、測定器から配列の組み合わせとして取得した測定結果と、測定器からスカラー表現データとして取得した測定結果とを組み合わせて解析する技術に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ウエハ上のダイあるいはパッケージされたIC（集積回路）（以降被測定素子（DUT）と呼ぶ）、の測定を行う場合には、様々なパラメータを設定してデータが収集される。例えば、特開平１１−１６３０６３号公報に示される半導体測定システムでは、様々なパラメータをテストスペック７ｄに与えて、大量の測定データを取得し、評価することが記載されている。このような測定は、例えば、アジレント・テクノロジー社製Agilent 4072半導体パラメータテスターと同社製Semiconductor Process Evaluation Core Software (SPECS) テストシェルソフトウエアとの組み合わせ、あるいは同社製Agilent 4155半導体パラメータアナライザなどを使って行うことができる。
【０００３】
これらの測定装置を用いて、各DUTに対し、所定の条件での電圧−電流特性（Ｉ−Ｖ特性）を測定をする場合、得られるデータは、各DUT毎に１つまたは複数の条件における電圧値対電流値を表す配列の複数の組み合わせとして取得され、ユーザ所望の形式でファイルに格納される。ファイルに格納されたデータは、専用のデータ解析プログラムあるいはマイクロソフト社製Excel（登録商標）などの汎用スプレッドシートプログラムによって演算処理される。その結果、それぞれの配列データからVTHなどの特徴値が抽出されていた。
【０００４】
ところで、専用のデータ解析プログラムでこれらの演算処理をする場合、複数の配列データを取り扱って複雑な演算を行うが、演算対象のデータの大きさに合わせてプログラムを常に修正しなければならなかった。あるいは、このような修正をしないで済むように、配列の大きさやその組み合わせの数に左右されないように柔軟に取り扱うことのできる専用のデータ解析プログラムを用意すると、プログラムのコストが高くなるという欠点があった。また、解析の際に特徴値を抽出するアルゴリズムを修正する必要が後ででできたときには、再コンパイルが必要となり、柔軟に修正できなかった。
【０００５】
他方、汎用スプレッドシートプログラムで演算処理をする場合は、上述のＩ−Ｖ特性のような複数の配列データからの特徴値抽出を、個別のスプレッドシート毎に行う。さらに、抽出された特徴値は、他の測定項目の結果と共にDUT毎に表示された２次元の表、すなわちメインのスプレッドシートに挿入されて評価される。しかし、上述の個別のスプレッドシート毎に得られた特徴値を、メインのスプレッドシートのセルに挿入するのは手作業となり、手間と時間のかかる作業となる。さらに、メインのスプレッドシートと特徴値抽出用の各スプレッドシートとの間のデバッグは、十分な知識がないと容易ではない。また、従来の汎用スプレッドシートプログラムでは、配列を一旦別のスプレッドシートに展開して取り込むことなく、容易に配列を表示あるいは演算する機能はなかった。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決し、データ解析において、測定項目として単一の測定値で表現される項目（スカラー表現データ）と、測定項目として測定値の配列で表現される項目（配列表現データ）を、統合して取り扱い、表現及び処理できるデータ解析環境を提供することである。
【０００７】
本発明の別の目的は、測定項目として測定値の配列で表現される項目からの特徴値の抽出及び表示及び検証及び評価及びを、測定項目として単一の測定値で表現される項目が表現されるスプレッドシート上で行うことができるデータ解析環境を提供することである。
【０００８】
本発明のさらに別の目的は、配列データを一旦スプレッドシートの別の部分に展開して取り込むことなく、容易に取り扱える機構を上記のデータ解析環境において提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明では、データ解析において、測定項目として単一の測定値で表現される項目（スカラー表現データ）と、測定項目として測定値の配列で表現される項目（配列表現データ）を、統合して取り扱い、表現及び処理できる解析方法を提供する。
具体的には、スプレッドシートにおいて、第１のセルに配列表現データの定義を割り当てるステップと、前記第１のセルに配列表示ボタンを表示するステップと、前記配列表示ボタンが選択された場合には、配列データ表示手段により、前記配列表現データをグラフまたは表として表示するステップとを含むスプレッドシートにおけるデータ解析方法を提供する。
ここで、第２のセルに、前記第１のセルに割り当てられた配列表現データを対象とする特徴値抽出関数を含む式を割り当てるステップと、前記第２のセルに前記特徴値抽出関数を含む式の演算結果を表示または割り当てるステップとを含んでいる態様も含む。
【００１０】
さらに本発明の別の実施態様では、スプレッドシート上の第１のセルに配列表現データの定義を割り当てるスプレッドシート定義手段と、前記第１のセルに配列表示ボタンを表示し、該配列表示ボタンが選択された場合には、前記配列表現データを表あるいはグラフとして表示する配列データ表示手段とを有するデータ解析装置も提供される。
ここで、前記スプレッドシート定義手段は、前記スプレッドシート上の第２のセルに、前記第１のセルに割り当てられた配列表現データを対象とする特徴値抽出関数を含む式を割り当てる機能を有し、前記データ解析装置は、前記第２のセルに前記特徴値抽出関数を含む式の演算をする配列データ演算手段をさらに備え、前記配列データ表示手段は、前記第２のセルに割り当てられた式の演算結果が配列表現データの場合には、新たな配列表示ボタンを表示し、該演算結果がスカラー表現データなら、数値を表示する機能を有することを特徴とする態様も含む。
【００１１】
本発明のさらに別の実施態様では、スプレッドシート上の第１のセルにデータを表示する際に、前記第１のセルに割り当てられたデータがスカラー表現データの場合には数値を表示し、前記第１のセルに割り当てられたデータが配列表現データの場合には配列表示ボタンを表示するデータ解析方法が提供される。
ここで、前記スカラー表現データには、測定項目として単一の測定値で表現される項目のデータを含み、前記配列表現データには、測定項目として測定値の一つまたは複数の配列で表現される項目のデータを含んでいる態様や、前記配列表現データが選択されたら、別のウインドウに前記第１のセルに割り当てられた配列表現データを表あるいはグラフとして表示する態様や、第２のセルに、前記第１のセルに割り当てられた配列表現データを対象とした特徴値抽出関数を含む式が記述されていた場合には、該関数を計算し、その計算結果がスカラー表現データならば数値として表示し、前記計算結果が配列表現データならば配列表示ボタンを表示する態様も含まれる。
【００１２】
さらに、本発明は、上記のいずれかのデータ解析方法あるいはデータ解析装置をコンピュータに実行させることができるコンピュータプログラムを提供する。
【００１３】
【発明の実施の形態】
本発明では、各DUT毎のデータ解析には、大きく分けて、DUTのロット／ウエハ／ダイ情報あるいは測定項目として単一の測定値（例えば特定の端子間の開放時の抵抗値）しか持たないようなスカラー表現のデータ（以下スカラーデータと記す場合もある）と、測定項目として、一つあるいは複数の配列として表現される配列表現データ（以下配列データと記す場合もある）とがあることに注目し、２次元の表すなわちスプレッドシートとしてこれらの結果を整理および表現する際に、統合的に表示及び演算処理できる環境を提供する。さらに説明するならば、この配列表現データは、一つまたは複数の設定値の組み合わせに対して得られた一つまたは複数の測定値を、データの組とすることで測定項目の特徴を保持し、取り扱う場合に用いられ、結果を整理して表示することを容易にする。
【００１４】
すなわち、本発明では、メインのスプレッドシートにおいて、配列表現データがスプレッドシートの一つのセルとして代表される。すなわち、そのセルには割り当てられた配列表現データの定義が記憶されている。そのセルを選択することにより、ユーザは配列のデータ表示あるいは配列のグラフ表示を得ることができる。これにより、メインスプレッドシート上のＤＵＴ毎のスカラー表現データを考慮しながら、直感的な操作で関連する配列表現データを参照し、解析をすることができる。
【００１５】
次に、本発明による解析環境では、スプレッドシートの各セルの定義をする際に、指定セルに代表される配列表現データを対象として、統計などの各種演算を行う特徴値抽出関数を用意した。これにより、該関数を目的のセルの定義中の式に利用することにより、指定された配列表現データから特徴値を計算した値を目的のセルに表示することができる。そのため、メインのスプレッドシートから、配列表現データとその特徴値を容易に参照／評価できるため、オペレータの解析操作を著しく容易にするものである。
【００１６】
なお、本明細書では、例示のために、配列表現データを抽象化してセルに割り当てられたスプレッドシートを、解析時におけるメインのスプレッドシートと呼んで理解を容易にしている場合があるが、これは、必ずしも本発明において、解析時のメインのスプレッドシートだけが配列表現データをセルに抽象化して割り当てられると限定するものではない。
【００１７】
本発明による好適な実施形態であるデータ解析装置１００について、図１ないし図3を用いて説明する。図１に示すように、データ解析装置１００は、コンピュータ１０１と表示部１０３と入力部１０３とを備える。コンピュータ１０１は、各種プログラムやデータを格納するメモリやハードディスクを含む記憶部１０８と、システム制御プログラムやユーザのテストプログラムなどの各種プログラムを実行したり、表示部や入力部を制御する機能を含む制御部１０７とを備える。表示部１０２はＣＲＴあるいは液晶ディスプレイなどを含み、それらに表示をする機能を備える。コンピュータ１０１は、測定器１０４から取得したデータをデータベース１０５あるいはファイル１０６として格納したものから受け取る機能を備える。矢印１２０，１２２，１２４はデータの流れを示す。
【００１８】
制御部１０７には、図２に示すように、スプレッドシート定義部２１０と、スカラーデータ表示制御部２０２と、配列データ表示制御部２０４と、スカラーデータ演算部２０６と、配列データ演算部２０８とを備える。スプレッドシート定義部２１０はスプレッドシート上のセルの定義の入力をつかさどる機能を備える。スカラーデータ表示制御部２０２はスカラーデータをスプレッドシート上に表示制御する機能を備え、配列データ表示制御部２０４は、配列データをボタンあるいは表あるいはグラフとして表示制御する機能を備える。スカラーデータ演算部２０６は、スカラーデータのセルやそのようなセルを記述した式に対する演算制御をする機能を備え、配列データ演算部２０８は、セルに定義された配列表現データを対象として数式がセルに記述されたときに、演算制御する機能を備える。
【００１９】
制御部１０７は、スプレッドシートのセルの取り扱いに関して、図３に示すフローチャートに従って動作する。すなわち、ステップ３０２において、スプレッドシート定義部２１０により、表示するスプレッドシートの各セルの定義を取得し、各セルに割り当てる。ここで、スプレッドシート定義部２１０によるセルからの定義の取得形態は、ユーザがセルの定義を入力する形態及び記憶部に格納されたセルの定義を読込む形態を含む。さらに、セルに配列表現データを割り当てる場合には、当該セルに割り当てられるべき配列表現データの定義を対応付けて記憶する。表示されるセルがスカラーデータの項目の場合には、数値データを当該セルに表示する（ステップ３０４）。表示されるセルが配列データの項目の場合、配列表示ボタンをセルに表示する（ステップ３０６）。表示されるセルに定義された式が配列データの特徴値抽出関数を含むなら、計算の対象となる配列データに対して該関数の演算を行い、結果をセルに表示する（ステップ３０８）。ここで、該結果のセルへの表示形態としては、該結果がスカラーデータか配列データかにより、数値あるいは配列表示ボタンが表示される。次に、表示されるセルがスカラーデータだけの演算を含む場合なら、該演算を行い結果をセルに表示する（ステップ３１０）。以上のセルへの表示の後、制御部１０７はキー入力待ちをし、ステップ３０６で表示した配列表示ボタンが押されたら、別のウインドウに配列データを表示する（ステップ３１２）。なお、この時の配列データの表示形態は、表あるいはグラフ、またはその双方を表示する表示手段と、一旦表示された表あるいはグラフの一方から、さらに残りの他方を表示する追加表示手段を含む。
【００２０】
次に具体的な表示を図４ないし図６を用いて説明する。図４に本発明によるデータ解析装置１００によって表示されるメインのスプレッドシートの例を示す。４００がこのスプレッドシートの表示ウインドウであり、ここに表示される表は、表示される項目名を列ごとに表示したタイトル行部分４０１と、データ表示行部分４０２を備える。列については、ロットＩＤなどの測定対象物を特定する情報（４０３）、端子間抵抗値などのスカラーデータの測定結果（４０４）、配列表現データの列の例として、一つの２次元配列を含むＩＤＶＧ特性４０５および複数の２次元配列データを含むＩＤＶＤ特性などの測定データ４０７、一つの２次元配列データ４０５を対象として特徴値抽出の結果としてスカラーデータを表示する電圧ＶＴＨ４０６、複数の２次元配列データ４０７を対象として特徴値抽出の結果として特徴値の配列表現データである、電圧ＶＧごとの飽和領域でのドレイン電流ＩＤＳ４０８が表示されている。ここで、図には示していないが、配列表現データが特徴値であっても、その配列データを示すセルを指定して、スカラーデータの特徴値を抽出して、別のセルに表示する形態も含まれる。
【００２１】
さらに、ＩＤＶＧ特性４０５の列の各セルには配列表示ボタンが表示されており、例えば、ロットＩＤがＬ０１、ウエハＩＤがＷ０５，ダイのＸ座標が９、ダイのＹ座標が９のＤＵＴのＩＤＶＧ特性セルの配列表示ボタン４１０をクリックすると、別ウインドウに表１に示されるデータ表示、あるいは、図５に示されるグラフ表示が表示される。
【００２２】
【表１】
【００２３】
同様に、複数の２次元配列データを含むＩＤＶＤ特性の配列表示ボタン４１２を押すと、別ウインドウに表２に示されるデータ表示、あるいは、図６に示されるグラフ表示が表示される。
【００２４】
【表２】
【００２５】
配列表現データを持つ特徴値抽出結果を持つ列ＩＤＳ４０８の配列表示ボタン４１４を押した場合も、上記同様に配列データのデータ表示あるいはグラフ表示が行われる。
【００２６】
以上のように本発明の好適実施形態を説明したが、これらは説明のための例示に過ぎず、当業者には明らかなように、様々な変形が考えられよう。例えば、セルの内容が配列表現データを含む場合には、ボタンの代わりにセルに文字や記号を表示する変形や、セルに特別な色を表示する変形など、様々な表示の変形が考えられる。また、このようなセルから配列表現データの内容を表示する方法についても、マウスによるクリック以外にも様々な形態が考えられよう。さらに、上記の説明では、ＩＤＶＧ特性４０５を一つの２次元配列、ＩＤＶＤ特性４０７を複数の２次元配列データと表現したが、装置内部の取り扱いにおいて、これらの配列データを分解または統合して１次元または多次元のデータとして扱う変形も、本発明には含まれるものである。
【００２７】
【発明の効果】
以上のように、本発明を用いると、データ解析において、測定項目として単一の測定値で表現される項目と、測定項目として測定値の配列で表現される項目を、統合して取り扱い、表現及び処理できる解析環境を提供することができる。また、測定項目として測定値の配列で表現される項目からの特徴値の抽出及び表示及び検証及び評価を、測定項目として単一の測定値で表現される項目が表示されるスプレッドシート上で行うことができる。そのため、ユーザは効率よく配列表現を含むデータの解析及び評価を行うことができる。 さらに、配列表現データを一旦スプレッドシートの別の部分に展開して取り込む必要がないので、ユーザは容易に配列表現データを含んだ解析及び評価をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好適実施形態に関するブロック図である。
【図２】図１の制御部１０７に関するブロック図である。
【図３】本発明による実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図４】本発明によるスプレッドシートの表示例である。
【図５】図４のボタン４１０を押したときに表示されるグラフ表示の例である。
【図６】図４のボタン４１２を押したときに表示されるグラフ表示の例である。
【符号の説明】
１００：データ解析装置
１０１：コンピュータ
１０２：表示部
１０３：入力部
１０４：測定器
１０５：データベース
１０６：ファイル
１０７：制御部
１０８：記憶部
２０２：スカラーデータ表示制御部
２０４：配列データ表示制御部
２０６：スカラーデータ演算部
２０８：配列データ演算部
２１０：スプレッドシート定義部
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体試験におけるデータ解析に関し、特に、測定器から配列の組み合わせとして取得した測定結果と、測定器からスカラー表現データとして取得した測定結果とを組み合わせて解析する技術に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ウエハ上のダイあるいはパッケージされたIC（集積回路）（以降被測定素子（DUT）と呼ぶ）、の測定を行う場合には、様々なパラメータを設定してデータが収集される。例えば、特開平１１−１６３０６３号公報に示される半導体測定システムでは、様々なパラメータをテストスペック７ｄに与えて、大量の測定データを取得し、評価することが記載されている。このような測定は、例えば、アジレント・テクノロジー社製Agilent 4072半導体パラメータテスターと同社製Semiconductor Process Evaluation Core Software (SPECS) テストシェルソフトウエアとの組み合わせ、あるいは同社製Agilent 4155半導体パラメータアナライザなどを使って行うことができる。
【０００３】
これらの測定装置を用いて、各DUTに対し、所定の条件での電圧−電流特性（Ｉ−Ｖ特性）を測定をする場合、得られるデータは、各DUT毎に１つまたは複数の条件における電圧値対電流値を表す配列の複数の組み合わせとして取得され、ユーザ所望の形式でファイルに格納される。ファイルに格納されたデータは、専用のデータ解析プログラムあるいはマイクロソフト社製Excel（登録商標）などの汎用スプレッドシートプログラムによって演算処理される。その結果、それぞれの配列データからVTHなどの特徴値が抽出されていた。
【０００４】
ところで、専用のデータ解析プログラムでこれらの演算処理をする場合、複数の配列データを取り扱って複雑な演算を行うが、演算対象のデータの大きさに合わせてプログラムを常に修正しなければならなかった。あるいは、このような修正をしないで済むように、配列の大きさやその組み合わせの数に左右されないように柔軟に取り扱うことのできる専用のデータ解析プログラムを用意すると、プログラムのコストが高くなるという欠点があった。また、解析の際に特徴値を抽出するアルゴリズムを修正する必要が後ででできたときには、再コンパイルが必要となり、柔軟に修正できなかった。
【０００５】
他方、汎用スプレッドシートプログラムで演算処理をする場合は、上述のＩ−Ｖ特性のような複数の配列データからの特徴値抽出を、個別のスプレッドシート毎に行う。さらに、抽出された特徴値は、他の測定項目の結果と共にDUT毎に表示された２次元の表、すなわちメインのスプレッドシートに挿入されて評価される。しかし、上述の個別のスプレッドシート毎に得られた特徴値を、メインのスプレッドシートのセルに挿入するのは手作業となり、手間と時間のかかる作業となる。さらに、メインのスプレッドシートと特徴値抽出用の各スプレッドシートとの間のデバッグは、十分な知識がないと容易ではない。また、従来の汎用スプレッドシートプログラムでは、配列を一旦別のスプレッドシートに展開して取り込むことなく、容易に配列を表示あるいは演算する機能はなかった。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決し、データ解析において、測定項目として単一の測定値で表現される項目（スカラー表現データ）と、測定項目として測定値の配列で表現される項目（配列表現データ）を、統合して取り扱い、表現及び処理できるデータ解析環境を提供することである。
【０００７】
本発明の別の目的は、測定項目として測定値の配列で表現される項目からの特徴値の抽出及び表示及び検証及び評価及びを、測定項目として単一の測定値で表現される項目が表現されるスプレッドシート上で行うことができるデータ解析環境を提供することである。
【０００８】
本発明のさらに別の目的は、配列データを一旦スプレッドシートの別の部分に展開して取り込むことなく、容易に取り扱える機構を上記のデータ解析環境において提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明では、データ解析において、測定項目として単一の測定値で表現される項目（スカラー表現データ）と、測定項目として測定値の配列で表現される項目（配列表現データ）を、統合して取り扱い、表現及び処理できる解析方法を提供する。
具体的には、スプレッドシートにおいて、第１のセルに配列表現データの定義を割り当てるステップと、前記第１のセルに配列表示ボタンを表示するステップと、前記配列表示ボタンが選択された場合には、配列データ表示手段により、前記配列表現データをグラフまたは表として表示するステップとを含むスプレッドシートにおけるデータ解析方法を提供する。
ここで、第２のセルに、前記第１のセルに割り当てられた配列表現データを対象とする特徴値抽出関数を含む式を割り当てるステップと、前記第２のセルに前記特徴値抽出関数を含む式の演算結果を表示または割り当てるステップとを含んでいる態様も含む。
【００１０】
さらに本発明の別の実施態様では、スプレッドシート上の第１のセルに配列表現データの定義を割り当てるスプレッドシート定義手段と、前記第１のセルに配列表示ボタンを表示し、該配列表示ボタンが選択された場合には、前記配列表現データを表あるいはグラフとして表示する配列データ表示手段とを有するデータ解析装置も提供される。
ここで、前記スプレッドシート定義手段は、前記スプレッドシート上の第２のセルに、前記第１のセルに割り当てられた配列表現データを対象とする特徴値抽出関数を含む式を割り当てる機能を有し、前記データ解析装置は、前記第２のセルに前記特徴値抽出関数を含む式の演算をする配列データ演算手段をさらに備え、前記配列データ表示手段は、前記第２のセルに割り当てられた式の演算結果が配列表現データの場合には、新たな配列表示ボタンを表示し、該演算結果がスカラー表現データなら、数値を表示する機能を有することを特徴とする態様も含む。
【００１１】
本発明のさらに別の実施態様では、スプレッドシート上の第１のセルにデータを表示する際に、前記第１のセルに割り当てられたデータがスカラー表現データの場合には数値を表示し、前記第１のセルに割り当てられたデータが配列表現データの場合には配列表示ボタンを表示するデータ解析方法が提供される。
ここで、前記スカラー表現データには、測定項目として単一の測定値で表現される項目のデータを含み、前記配列表現データには、測定項目として測定値の一つまたは複数の配列で表現される項目のデータを含んでいる態様や、前記配列表現データが選択されたら、別のウインドウに前記第１のセルに割り当てられた配列表現データを表あるいはグラフとして表示する態様や、第２のセルに、前記第１のセルに割り当てられた配列表現データを対象とした特徴値抽出関数を含む式が記述されていた場合には、該関数を計算し、その計算結果がスカラー表現データならば数値として表示し、前記計算結果が配列表現データならば配列表示ボタンを表示する態様も含まれる。
【００１２】
さらに、本発明は、上記のいずれかのデータ解析方法あるいはデータ解析装置をコンピュータに実行させることができるコンピュータプログラムを提供する。
【００１３】
【発明の実施の形態】
本発明では、各DUT毎のデータ解析には、大きく分けて、DUTのロット／ウエハ／ダイ情報あるいは測定項目として単一の測定値（例えば特定の端子間の開放時の抵抗値）しか持たないようなスカラー表現のデータ（以下スカラーデータと記す場合もある）と、測定項目として、一つあるいは複数の配列として表現される配列表現データ（以下配列データと記す場合もある）とがあることに注目し、２次元の表すなわちスプレッドシートとしてこれらの結果を整理および表現する際に、統合的に表示及び演算処理できる環境を提供する。さらに説明するならば、この配列表現データは、一つまたは複数の設定値の組み合わせに対して得られた一つまたは複数の測定値を、データの組とすることで測定項目の特徴を保持し、取り扱う場合に用いられ、結果を整理して表示することを容易にする。
【００１４】
すなわち、本発明では、メインのスプレッドシートにおいて、配列表現データがスプレッドシートの一つのセルとして代表される。すなわち、そのセルには割り当てられた配列表現データの定義が記憶されている。そのセルを選択することにより、ユーザは配列のデータ表示あるいは配列のグラフ表示を得ることができる。これにより、メインスプレッドシート上のＤＵＴ毎のスカラー表現データを考慮しながら、直感的な操作で関連する配列表現データを参照し、解析をすることができる。
【００１５】
次に、本発明による解析環境では、スプレッドシートの各セルの定義をする際に、指定セルに代表される配列表現データを対象として、統計などの各種演算を行う特徴値抽出関数を用意した。これにより、該関数を目的のセルの定義中の式に利用することにより、指定された配列表現データから特徴値を計算した値を目的のセルに表示することができる。そのため、メインのスプレッドシートから、配列表現データとその特徴値を容易に参照／評価できるため、オペレータの解析操作を著しく容易にするものである。
【００１６】
なお、本明細書では、例示のために、配列表現データを抽象化してセルに割り当てられたスプレッドシートを、解析時におけるメインのスプレッドシートと呼んで理解を容易にしている場合があるが、これは、必ずしも本発明において、解析時のメインのスプレッドシートだけが配列表現データをセルに抽象化して割り当てられると限定するものではない。
【００１７】
本発明による好適な実施形態であるデータ解析装置１００について、図１ないし図3を用いて説明する。図１に示すように、データ解析装置１００は、コンピュータ１０１と表示部１０３と入力部１０３とを備える。コンピュータ１０１は、各種プログラムやデータを格納するメモリやハードディスクを含む記憶部１０８と、システム制御プログラムやユーザのテストプログラムなどの各種プログラムを実行したり、表示部や入力部を制御する機能を含む制御部１０７とを備える。表示部１０２はＣＲＴあるいは液晶ディスプレイなどを含み、それらに表示をする機能を備える。コンピュータ１０１は、測定器１０４から取得したデータをデータベース１０５あるいはファイル１０６として格納したものから受け取る機能を備える。矢印１２０，１２２，１２４はデータの流れを示す。
【００１８】
制御部１０７には、図２に示すように、スプレッドシート定義部２１０と、スカラーデータ表示制御部２０２と、配列データ表示制御部２０４と、スカラーデータ演算部２０６と、配列データ演算部２０８とを備える。スプレッドシート定義部２１０はスプレッドシート上のセルの定義の入力をつかさどる機能を備える。スカラーデータ表示制御部２０２はスカラーデータをスプレッドシート上に表示制御する機能を備え、配列データ表示制御部２０４は、配列データをボタンあるいは表あるいはグラフとして表示制御する機能を備える。スカラーデータ演算部２０６は、スカラーデータのセルやそのようなセルを記述した式に対する演算制御をする機能を備え、配列データ演算部２０８は、セルに定義された配列表現データを対象として数式がセルに記述されたときに、演算制御する機能を備える。
【００１９】
制御部１０７は、スプレッドシートのセルの取り扱いに関して、図３に示すフローチャートに従って動作する。すなわち、ステップ３０２において、スプレッドシート定義部２１０により、表示するスプレッドシートの各セルの定義を取得し、各セルに割り当てる。ここで、スプレッドシート定義部２１０によるセルからの定義の取得形態は、ユーザがセルの定義を入力する形態及び記憶部に格納されたセルの定義を読込む形態を含む。さらに、セルに配列表現データを割り当てる場合には、当該セルに割り当てられるべき配列表現データの定義を対応付けて記憶する。表示されるセルがスカラーデータの項目の場合には、数値データを当該セルに表示する（ステップ３０４）。表示されるセルが配列データの項目の場合、配列表示ボタンをセルに表示する（ステップ３０６）。表示されるセルに定義された式が配列データの特徴値抽出関数を含むなら、計算の対象となる配列データに対して該関数の演算を行い、結果をセルに表示する（ステップ３０８）。ここで、該結果のセルへの表示形態としては、該結果がスカラーデータか配列データかにより、数値あるいは配列表示ボタンが表示される。次に、表示されるセルがスカラーデータだけの演算を含む場合なら、該演算を行い結果をセルに表示する（ステップ３１０）。以上のセルへの表示の後、制御部１０７はキー入力待ちをし、ステップ３０６で表示した配列表示ボタンが押されたら、別のウインドウに配列データを表示する（ステップ３１２）。なお、この時の配列データの表示形態は、表あるいはグラフ、またはその双方を表示する表示手段と、一旦表示された表あるいはグラフの一方から、さらに残りの他方を表示する追加表示手段を含む。
【００２０】
次に具体的な表示を図４ないし図６を用いて説明する。図４に本発明によるデータ解析装置１００によって表示されるメインのスプレッドシートの例を示す。４００がこのスプレッドシートの表示ウインドウであり、ここに表示される表は、表示される項目名を列ごとに表示したタイトル行部分４０１と、データ表示行部分４０２を備える。列については、ロットＩＤなどの測定対象物を特定する情報（４０３）、端子間抵抗値などのスカラーデータの測定結果（４０４）、配列表現データの列の例として、一つの２次元配列を含むＩＤＶＧ特性４０５および複数の２次元配列データを含むＩＤＶＤ特性などの測定データ４０７、一つの２次元配列データ４０５を対象として特徴値抽出の結果としてスカラーデータを表示する電圧ＶＴＨ４０６、複数の２次元配列データ４０７を対象として特徴値抽出の結果として特徴値の配列表現データである、電圧ＶＧごとの飽和領域でのドレイン電流ＩＤＳ４０８が表示されている。ここで、図には示していないが、配列表現データが特徴値であっても、その配列データを示すセルを指定して、スカラーデータの特徴値を抽出して、別のセルに表示する形態も含まれる。
【００２１】
さらに、ＩＤＶＧ特性４０５の列の各セルには配列表示ボタンが表示されており、例えば、ロットＩＤがＬ０１、ウエハＩＤがＷ０５，ダイのＸ座標が９、ダイのＹ座標が９のＤＵＴのＩＤＶＧ特性セルの配列表示ボタン４１０をクリックすると、別ウインドウに表１に示されるデータ表示、あるいは、図５に示されるグラフ表示が表示される。
【００２２】
【表１】
同様に、複数の２次元配列データを含むＩＤＶＤ特性の配列表示ボタン４１２を押すと、別ウインドウに表２に示されるデータ表示、あるいは、図６に示されるグラフ表示が表示される。
【００２４】
【表２】
配列表現データを持つ特徴値抽出結果を持つ列ＩＤＳ４０８の配列表示ボタン４１４を押した場合も、上記同様に配列データのデータ表示あるいはグラフ表示が行われる。
【００２６】
以上のように本発明の好適実施形態を説明したが、これらは説明のための例示に過ぎず、当業者には明らかなように、様々な変形が考えられよう。例えば、セルの内容が配列表現データを含む場合には、ボタンの代わりにセルに文字や記号を表示する変形や、セルに特別な色を表示する変形など、様々な表示の変形が考えられる。また、このようなセルから配列表現データの内容を表示する方法についても、マウスによるクリック以外にも様々な形態が考えられよう。さらに、上記の説明では、ＩＤＶＧ特性４０５を一つの２次元配列、ＩＤＶＤ特性４０７を複数の２次元配列データと表現したが、装置内部の取り扱いにおいて、これらの配列データを分解または統合して１次元または多次元のデータとして扱う変形も、本発明には含まれるものである。
【００２７】
【発明の効果】
以上のように、本発明を用いると、データ解析において、測定項目として単一の測定値で表現される項目と、測定項目として測定値の配列で表現される項目を、統合して取り扱い、表現及び処理できる解析環境を提供することができる。また、測定項目として測定値の配列で表現される項目からの特徴値の抽出及び表示及び検証及び評価を、測定項目として単一の測定値で表現される項目が表示されるスプレッドシート上で行うことができる。そのため、ユーザは効率よく配列表現を含むデータの解析及び評価を行うことができる。 さらに、配列表現データを一旦スプレッドシートの別の部分に展開して取り込む必要がないので、ユーザは容易に配列表現データを含んだ解析及び評価をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好適実施形態に関するブロック図である。
【図２】図１の制御部１０７に関するブロック図である。
【図３】本発明による実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図４】本発明によるスプレッドシートの表示例である。
【図５】図４のボタン４１０を押したときに表示されるグラフ表示の例である。
【図６】図４のボタン４１２を押したときに表示されるグラフ表示の例である。
【符号の説明】
１００：データ解析装置
１０１：コンピュータ
１０２：表示部
１０３：入力部
１０４：測定器
１０５：データベース
１０６：ファイル
１０７：制御部
１０８：記憶部
２０２：スカラーデータ表示制御部
２０４：配列データ表示制御部
２０６：スカラーデータ演算部
２０８：配列データ演算部
２１０：スプレッドシート定義部
Claims (2)
- ＤＵＴの測定値データをスプレッドシート形式で表示画面に表示するデータ解析装置において、
前記表示画面上に表示されたスプレッドシートの第１のセルに、配列表現された前記測定値データの定義を割り当てるスプレッドシート定義手段と、
前記第１のセルに配列表示ボタンを表示し、前記配列表示ボタンが選択されるとき、前記配列表現された測定値データを表あるいはグラフとして前記表示画面に表示する配列データ解析手段と
を有するデータ解析装置。 - 前記スプレッドシート定義手段が、前記スプレッドシートの第２のセルに、前記第１のセルに割り当てられた前記配列表現された測定値データを対象とする特徴値抽出関数を含む式を割り当てる機能を有し、
前記データ解析装置が、前記式の演算を行う配列データ演算手段をさらに備え、
前記配列データ解析手段が、前記演算の結果が配列表現されたデータであれば新たな配列表示ボタンを表示し、前記演算の結果がスカラー表現されたデータであれば数値を表示する機能を有する
ことを特徴とする請求項１に記載のデータ解析装置。
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