JP3769473B2 - 徐放性材料の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質材料、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、ガラス等の無機材料等の多孔質材料に、芳香若しくは消臭用の香り成分、薬効成分、防虫用若しくは殺虫用の成分、肥料成分、その他徐放性を奏するように使用される成分を担持させた徐放性材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、木質材料、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、ガラス等の無機材料等の多孔質材料に、香り成分等を担持させる技術としては、香り成分を含有する原料から抽出されたエキス或いは人工的に合成した香り成分を、材料に塗布し、或いは含浸させる溶液含浸法が主として採用されている。また、真空含浸法による香り成分の付着も行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶液含浸法では、塗布あるいは含浸用に香り成分を有機溶剤に溶解させる前工程と、その香り成分を材料に付着する工程が別工程になっており、工程が複雑である上に、工程で多量に発生する廃液の処理工程も別途必要となっていた。
【0004】
また、真空含浸法であっても、工程が複雑であるという欠点を有していた。
【0005】
さらに、従来の木質材料への香り成分の担持方法では、木質材料の細孔の深部まで香り成分を浸透させることができず、また複雑な形状をした製品に、均一に香り成分を担持させることが困難であった。
【0006】
さらに、香り成分と製品母材との密着性が弱く、香りが持続しないという欠点があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、多孔質材料に、有機溶剤等の環境への負荷を増大させる溶剤を使用することなく、簡単な操作で効率的に、且つ少ない工程で徐放成分を担持させることができ、しかも、持続性のある徐放性材料を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、木質材料、又は木質材料と、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、若しくはガラス等の無機材料との複合材料である多孔質材料に、超臨界流体若しくは亜臨界流体を接触させることによって前記多孔質材料のポーラス内に付着している油分や水分等の不純物を除去する工程と、徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させて抽出することによって得られた徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体前記不純物が除去された多孔質材料に接触させることにより該多孔質材料のポーラス内に前記抽出された徐放成分を担持させる工程とを含むことを特徴とする。
また請求項記載の発明は、木質材料、又は木質材料と、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、若しくはガラス等の無機材料との複合材料である多孔質材料に、超臨界流体若しくは亜臨界流体を接触させることによって前記多孔質材料のポーラス内に付着している油分や水分等の不純物を除去する工程と、不純物の除去工程の後に系内の超臨界流体又は亜臨界流体の供給を停止し、系内を解放状態にして超臨界流体又は亜臨界流体を系外に排出する工程と、徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させて抽出することによって得られた徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体前記不純物が除去された多孔質材料に接触させることにより該多孔質材料のポーラス内に前記抽出された徐放成分を担持させる工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
さらに請求項記載の発明は、徐放成分含有原料を一方の高圧容器1a内に収容するとともに、木質材料、又は木質材料と、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、若しくはガラス等の無機材料との複合材料である多孔質材料を他方の高圧容器1b内に収容した状態で、超臨界流体若しくは亜臨界流体を形成する流体を前記他方の高圧容器1b内に供給した後、系内の圧力、温度を調整し、前記流体を超臨界流体若しくは亜臨界流体にして前記他方の高圧容器1b内の多孔質材料に接触させることによって、該多孔質材料のポーラス内に付着している油分や水分等の不純物を除去する工程と、前記他方の高圧容器1bへの流体の供給を停止するとともに、系内を解放状態にして前記高圧容器1b内の超臨界流体又は亜臨界流体を系外に排出する工程と、超臨界流体若しくは亜臨界流体を形成する流体を前記一方の高圧容器1a内に供給した後、系内の圧力、温度を調整し、前記流体を超臨界流体若しくは亜臨界流体にして前記一方の高圧容器1a内の徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させて抽出することによって得られた徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体前記高圧容器1bに供給して前記不純物が除去された多孔質材料に接触させることにより該多孔質材料のポーラス内に前記抽出された徐放成分を担持させる工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
さらに請求項記載の発明は、徐放成分含有原料を一方の高圧容器1a内に収容するとともに、木質材料、又は木質材料と、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、若しくはガラス等の無機材料との複合材料である多孔質材料を他方の高圧容器1b内に収容し、超臨界流体又は亜臨界流体を形成する流体の流路となる前記一方の高圧容器1aヘの流入流路及び排出流路を閉鎖するとともに前記流体を系内で循環させる循環路11を閉鎖した状態で、前記流体を前記他方の高圧容器1b内に前記流入経路を介して供給した後、系内の圧力、温度を調整し、前記流体を超臨界流体若しくは亜臨界流体にして前記他方の高圧容器1b内の多孔質材料に接触させることによって該多孔質材料のポーラス内に付着している油分や水分等の不純物を除去する工程と、前記他方の高圧容器1bへの流体の供給を停止し、系内を解放状態にして前記高圧容器1b内の超臨界流体又は亜臨界流体を系外に排出する工程と、前記循環路11を閉鎖した状態で、超臨界流体若しくは亜臨界流体を形成する流体を前記一方の高圧容器1a内に流入経路を介して供給した後、系内の圧力、温度を調整し、前記流体を超臨界流体若しくは亜臨界流体にして前記一方の高圧容器1a内の徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させて抽出することによって得られた徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体、流入経路を介して前記他方の高圧容器1bに供給する工程と、前記一方及び他方の高圧容器1a、1bへの流体の供給を停止した状態で、系内に残存している前記徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体を、前記循環路11、一方の高圧容器1a、及び他方の高圧容器1bに循環させ、前記抽出された徐放成分を前記不純物が除去された多孔質材料に接触させることにより該多孔質材料のポーラス内に前記抽出された徐放成分を担持させる工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
多孔質材料としては、木質材料、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、ガラス等の無機材料、又はこれらの複合材料等が用いられる。
【0012】
また、多孔質材料には、製品化される前の狭義の材料のみならず、製品自体も含まれる。従って、木製の製品、プラスチック製の製品等であって、成形後の各種の製品も含まれる。
【0013】
従って細かい彫刻が施されたような製品(たとえば仏像)の細部や、繊維やその繊維で作成された織布の間隙等に超臨界流体又は亜臨界流体を徐放成分とともに浸透させるような場合も含まれる。
【0014】
また、超臨界流体又は亜臨界流体としては、たとえば二酸化炭素、亜酸化窒素、トリフルオロメタン、又はそれらのうちの2種以上の混合物が用いられる。
【0015】
さらに、徐放成分含有原料としては、たとえば芳香用若しくは消臭用の香り成分を含有する原料、薬効成分を含有する原料、防虫用若しくは殺虫用の成分を含有する原料、又は肥料成分を含有する原料等が使用される。
【0016】
ここに徐放成分とは、上記のような香り成分等の各種の成分であって、徐放性を奏させるように使用される成分を意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に従って説明する。
【0018】
(実施形態1)
図1は、一実施形態としての香り成分担持木質材料の製造に用いる装置の概略ブロック図を示す。
【0019】
本実施形態の香り成分担持木質材料の製造方法に使用する装置は、図1に示すように、香り成分含有原料9と、その香り成分含有原料を付着させる木質材料8とを収容する高圧容器1を具備している。
【0020】
この高圧容器1は、ステンレス製であり、同図に示すように容器本体2と蓋体3とで構成されている。
【0021】
本実施形態の香り成分担持木質材料の製造装置は、さらに、ボンベ4と、高圧ポンプ5と、圧力計6と、背圧弁7とを具備している。
【0022】
ボンベ4は、超臨界流体又は亜臨界流体を形成する流体を貯留するためのボンベであり、流体としては、本実施形態では、二酸化炭素が用いられる。
【0023】
高圧ポンプ5は、前記ボンベ4内の流体を前記高圧容器1へ供給するためのポンプであり、その高圧ポンプ5の圧力が前記圧力計6で測定される。
【0024】
背圧弁7は、所定の圧力で開閉させることができ、操作圧力を所定値に一定に保つためのものである。
【0025】
さらに、背圧弁7を完全に開いて減圧することにって、高圧容器1から超臨界流体が減圧分離されることとなる。
【0026】
その他、本実施形態の香り成分担持木質材料の製造装置には、配管部(線図で図示している)等が具備されている。
【0027】
次に、このような装置を用いて、香り成分担持木質材料を製造する方法の実施形態について説明する。
【0028】
先ず、香り成分付着の対象となる木質材料8と、香り成分原料9としての漢方生薬を高圧容器1内に封入する。
【0029】
次に、高圧容器1を装入している恒温槽(図示せず)を目的の温度に設定し、さらに、背圧弁7の解放圧力を、目的の圧力に設定した後、ボンベ4から二酸化炭素を高圧ポンプ5を用いて高圧容器1へ供給する。
【0030】
二酸化炭素は、温度31.1℃(臨界温度)、圧力73atm(臨界圧力)以上の温度と圧力の条件下で超臨界流体となり、上記のような恒温槽の温度設定並びに背圧弁7での圧力設定によって超臨界状態を維持することができる。
【0031】
高圧容器1内の温度と圧力が所定の値に到達した後、所定の時間放置する。これによって、香り成分が木質材料8に担持される。
【0032】
これをより詳細に説明すると、先ず超臨界二酸化炭素によって、香り成分原料から、香り成分が抽出され、次に、超臨界二酸化炭素と香り成分の混合流体が、木質材料8の細孔の深部に浸透する。
【0033】
この場合、木質材料8のポーラス内には、樹脂や樹液のような油分や水分等の不純物が残存しているが、超臨界二酸化炭素が木質材料8に接触することによって、ある程度の不純物がポーラスの内部から除去された上で、そのポーラスの内部に香り成分が浸透する。
【0034】
所定の時間放置することによって、木質材料8のポーラスの深部に香り成分を浸透させた後、背圧弁7を解放状態にする。
【0035】
これによって、流路が減圧状態となり、圧力低下によって超臨界二酸化炭素が気体の状態に戻り、超臨界二酸化炭素は木質材料から自然に放散除去される。
【0036】
その一方、香り成分は、ポーラス内部に吸着補足され、木質材料に残留する。
【0037】
このようにして、香り成分が担持された香り成分担持木質材料が製造されることとなるが、二酸化炭素は、上述のように温度31.1℃(臨界温度)、圧力73atm(臨界圧力)以上の温度と圧力の条件下で超臨界流体となるため、温度を比較的低温に設定することができ、従って木質材料8および香り成分原料9の熱による劣化を防止することができる。
【0038】
(実施形態2)
図2は、他の実施形態としての香り成分付着木質材料の製造に用いる装置の概略ブロック図を示す。
【0039】
本実施形態の製造方法に用いる装置においては、高圧容器が2個具備されている。
【0040】
一方の高圧容器1aには香り成分原料9が収容され、他方の高圧容器1bには木質材料8が収容されている。
【0041】
流体貯留ボンベ4から背圧弁7に至る流路10の他に、超臨界流体を循環させる循環路11が設けられている。
【0042】
この循環路11には、ポンプ12が設けられている。
【0043】
ボンベ4、高圧ポンプ5、圧力計6、及び背圧弁7が具備されている点は、上記実施形態1と同じである。
【0044】
流路10における高圧ポンプ5と圧力計6間には、バルブ13が設けられている。
【0045】
また、一方の高圧容器1aへの往路14と復路15には、それぞれバルブ16、17が設けられている。
【0046】
さらに、他方の高圧容器1bへの往路18と復路19には、それぞれバルブ20、21が設けられている。
【0047】
さらに、一方の高圧容器1aへの往路14と復路15間の流路10にはバルブ22が設けられ、他方の高圧容器1bへの往路18と復路19間の流路10にはバルブ23が設けられている。
【0048】
さらに、循環路11には、2個のバルブ24、25が設けられている。
【0049】
次に、上記のような装置を用いて、本実施形態の香り成分担持木質材料の製造方法について説明する。
【0050】
先ず、木質材料8のポーラス内に残存する不純物の除去を行う。
【0051】
この乾燥工程では、バルブ13、22、20、21を「開」の状態にするとともに、バルブ16、17、23、24、25を「閉」の状態にする。また、背圧弁7は所定の圧力で開くように設定する。
【0052】
これによって、香り成分原料9が収容された高圧容器1aへの往路14、復路15が閉鎖されるとともに循環流路11が閉鎖され、それによって、二酸化炭素は木質材料8が収容された高圧容器1bへ供給される。
【0053】
高圧容器1bへ二酸化炭素が注入された後、所定の温度と圧力に調製し、超臨界二酸化炭素にすることによって、木質材料8のポーラスに含まれている樹脂成分や水分等の不純物が除去され、木質材料8から不純物が除去されることになる。
【0054】
次に、注入された超臨界二酸化炭素を、高圧容器1bから除去する操作を行う。
【0055】
この吸引除去工程では、上記の乾燥工程における各バルブの開閉状態はほぼ同じであるが、バルブ13を「閉」の状態にする点で相違する。また、背圧弁7は全開の状態とする。
【0056】
これによって、ボンベ4からの二酸化炭素の供給は停止され、高圧容器1b内の超臨界二酸化炭素は、復路19から高圧容器1bの外部に排出され、さらに背圧弁7から系外に排出される。
【0057】
この結果、高圧容器1b内の超臨界二酸化炭素が除去されたことになる。
【0058】
次に、香り成分原料9が収容された高圧容器1aへ二酸化炭素を供給するとともに、香り成分を超臨界二酸化炭素とともに高圧容器1bへ供給する。
【0059】
この抽出供給工程では、バルブ13、16、17、20、21を「開」の状態にするとともに、バルブ22、23、24、25を「閉」の状態にする。また、背圧弁7は所定の圧力で開くように設定する。
【0060】
これによって、ボンベ4から二酸化炭素が高圧容器1aへ供給されて香り成分原料9から香り成分が抽出され、その香り成分が超臨界二酸化炭素とともに、木質材料8が収納された高圧容器1bへ供給される。
【0061】
次に、木質材料8への香り成分の担持を行う。
【0062】
この担持工程では、バルブ16、17、20、21、24、25を「開」の状態にするとともに、バルブ13、22、23を「閉」の状態にする。また、背圧弁7の設定は前工程と同じである。
【0063】
これによって、二酸化炭素は、ボンベ4から新たに供給されることなく、香り成分は超臨界二酸化炭素とともに循環流路11、高圧容器1a、高圧容器1bを循環する。
【0064】
この結果、抽出された香り成分が木質材料8に担持されることとなる。より詳細には、上記乾燥工程で図3に示すように樹脂成分や水分等の不純物が除去された木質材料8のポーラス内に、上記のような香り成分の粒子が担持されることとなるのである。
【0065】
その後、香り成分が担持された木質材料8を、高圧容器1bから取り出す。
【0066】
以上のようにして、香り成分が担持された香り成分担持木質材料の製造が完成する。
【0067】
本実施形態においても、上記実施形態1と同様に、超臨界二酸化炭素を用いることで温度を比較的低温に設定することができ、木質材料8および香り成分原料9の熱による劣化を防止することができる。
【0068】
本実施形態では、さらに、香り成分含有原料9を収容する高圧容器1aと、木質材料8を収容する高圧容器1bとの2つの高圧容器を具備させたため、超臨界二酸化炭素で先ず木質材料8のポーラス内の樹脂成分や水分等の不純物を除去させる操作と、香り成分含有原料9から香り成分を抽出させる操作を別々の容器で行うことができ、従って、木質材料8のポーラス内の樹脂成分や水分等の不純物を確実に除去させた上で、そのポーラス内に、超臨界抽出された二酸化炭素を注入することができるので、香り成分を木質材料により確実に担持させることができるのである。
【0069】
(その他の実施形態)
尚、上記各実施形態では、香り成分原料から香り成分を抽出するために超臨界二酸化炭素を用いたが、操作温度が臨界温度以下、あるいは操作圧力が臨界圧力以下であるがそれに近い、いわゆる亜臨界二酸化炭素を用いることも可能である。
【0070】
さらに、上記実施形態では、超臨界二酸化炭素を用いたが、二酸化炭素以外の超臨界流体又は亜臨界流体を使用することも可能である。
さらに、香り成分の抽出効果を挙げるために、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、あるいはアセトン、クロロホルム等の有機溶媒を、超臨界流体に対して数%の微量を添加することも可能である。
【0071】
さらに、上記実施形態では、木質材料を使用したが、これに限らず、セラミック材料を使用することも可能であり、また有機高分子材料を用いることも可能である。
また、材料の形態としては、球状、板状、及びその他の形状の固体、繊維、織布、紙を使用することができる。
【0072】
さらに、香り成分の種類も上記実施形態に限定されるものではなく、その種類は問わない。また、香り成分以外の徐放成分、たとえば薬剤成分、防虫剤、殺虫剤、肥料等の成分を用いることも可能である。要は、対象となる多孔質材料から、徐放的に揮散される成分が用いられていればよい。
【0073】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0074】
(実施例1)
木質材料として、木製の数珠10.30gを準備し、香り成分原料として、玉初堂製の十種香5.2gを準備し、内容積50mlのステンレス製高圧セルに封入した。
【0075】
尚、前記十種香は、白檀、丁子、桂皮、山奈、かっ香、甘松、大茴香、竜脳、香木沈降から構成されている。
【0076】
次に、温度を50℃に設定するとともに圧力を20MPaに設定し、二酸化炭素を高圧セルに供給した後、超臨界二酸化炭素の状態にし、この状態を3時間放置して、数珠への香り成分の担持を行った。
【0077】
香り成分担持後、背圧弁を解放し圧力を低下させることによって超臨界二酸化炭素を気体の状態に戻し、木質材料から放散除去した。
【0078】
実験の結果、香り成分が担持された木製の数珠を得ることができた。
【0079】
(実施例2)
木質材料として、36.34gの木製の仏像を準備し、香り成分原料として玉初堂製の十種香18.19gを準備し、内容積300mlのステンレス製高圧セルに封入した。
【0080】
尚、本実施例の操作条件は、前記実施例1と同じであるため、その説明は省略する。
【0081】
実験の結果、微細に彫刻化工を施した木質仏像の細部まで香り成分を付着させることができた。
【0082】
(試験例)
本試験例では、温度、圧力、乾燥時間を可変因子として試験した。
【0083】
先ず、数珠玉を約12gを秤量し、50ml高圧セル内に封入した。次に、二酸化炭素を所定の送液速度で流通するとともに、恒温槽の温度を設定した。
【0084】
その後、二酸化炭素を継続して流通し、数珠内に残存する不純物の除去を開始した。所定の時間経過後、減圧して数珠を取り出した。
【0085】
得られたサンプルは、島津製作所製、AEG-45SM型の電子天秤を用いて、重量を測定し、乾燥前後の重量を比較した。重量減少率は次式で表すことができる。
【0086】
重量減少率[%] = {(原料[g]−乾燥後[g])÷ 原料[g] }×100
【0087】
試験の結果、図4のグラフに示すように、時間の増加に伴って、重量減少率は増加している傾向があるが、乾燥時間2時間以上では、それほど増加しないことが分かった。また、本実験の条件範囲においては、温度が40℃の条件での重量減少量が最も多い結果になった。
【0088】
さらに、重量減少率の温度依存性を調べる目的で、圧力20MPa、二酸化炭素3ml/min、乾燥時間1hr条件一定での重量減少率を温度に対してプロットした。
【0089】
図5のグラフに示すように、40℃近辺をピーク(最大)にして、その両側の温度範囲では重量減少率が下がる傾向があることが分かった。これは、超臨界状態においては、同一圧力条件下で、温度が低いほど二酸化炭素の密度が高く、有機物を溶解する効果が高いことに起因すると考えられる。臨界温度以下の25℃の条件では、二酸化炭素は超臨界状態になっていないため、流体の密度が高くても、有機物の溶解効果、木材への浸透効果が、減少したためであると考えられる。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、多孔質材料と、香り成分原料とに、超臨界流体又は亜臨界流体を接触させることにより、超臨界流体又は亜臨界流体によって香り成分原料から香り成分が抽出され、さらに超臨界流体又は亜臨界流体と香り成分の混合流体を多孔質材料の細孔内部の深部に浸透させることができる。
【0091】
さらに、超臨界流体等の優れた浸透効果により、平滑面は勿論のこと、複雑な形状の面全体に香り成分を担持させることができる。
【0092】
さらに、多孔質材料の内部に香り成分が深く浸透しているため、香り効果を長期間持続させることができる。
【0093】
さらに、本発明では、水あるいは有機溶剤等の液体溶剤を多量に用いることがないため、香り成分担持工程後、製品の乾燥工程等を実施する必要がない。
【0094】
さらに、工程中に廃液が発生しないため、廃液の処理の工程等も不要となる。
【0095】
さらに、既に製品として完成しているものに対して、その形状を壊すことなく二次工程としての香り付着工程を実施し、香りを付着させることができる。
【0096】
多孔質材料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させることによって、多孔質材料のポーラス内に残留する油分や水分等の不純物を除去し、その後、徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させることによって、徐放成分含有原料から徐放成分を抽出し、抽出された徐放成分を多孔質材料に担持させて、徐放性材料を製造する場合には、超臨界二酸化炭素で多孔質材料のポーラス内の油分や水分等の不純物を除去させる操作と、香り成分含有原料から香り成分を抽出させる操作を別々の工程で行うことができ、従って、多孔質材料のポーラス内の油分や水分等の不純物を確実に除去させた上で、そのポーラス内に、超臨界抽出された成分を浸透させることができるので、香り成分を木質材料により確実に担持させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態としての芳香成分付着多孔質材料の製造装置の概略ブロック図。
【図2】他の実施形態の芳香成分付着多孔質材料の製造装置の概略ブロック図。
【図3】多孔質材料に香り成分が付着する作用を示す説明図。
【図4】重量減少率と乾燥時間の相関関係を示すグラフ。
【図5】重量減少率と乾燥温度の相関関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…高圧容器 4…ボンベ
7…背圧弁

Claims (4)

  1. 木質材料、又は木質材料と、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、若しくはガラス等の無機材料との複合材料である多孔質材料に、超臨界流体若しくは亜臨界流体を接触させることによって前記多孔質材料のポーラス内に付着している油分や水分等の不純物を除去する工程と、徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させて抽出することによって得られた徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体前記不純物が除去された多孔質材料に接触させることにより該多孔質材料のポーラス内に前記抽出された徐放成分を担持させる工程とを含むことを特徴とする徐放性材料の製造方法。
  2. 木質材料、又は木質材料と、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、若しくはガラス等の無機材料との複合材料である多孔質材料に、超臨界流体若しくは亜臨界流体を接触させることによって前記多孔質材料のポーラス内に付着している油分や水分等の不純物を除去する工程と、不純物の除去工程の後に系内の超臨界流体又は亜臨界流体の供給を停止し、系内を解放状態にして超臨界流体又は亜臨界流体を系外に排出する工程と、徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させて抽出することによって得られた徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体前記不純物が除去された多孔質材料に接触させることにより該多孔質材料のポーラス内に前記抽出された徐放成分を担持させる工程とを含むことを特徴とする徐放性材料の製造方法。
  3. 徐放成分含有原料を一方の高圧容器(1a)内に収容するとともに、木質材料、又は木質材料と、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、若しくはガラス等の無機材料との複合材料である多孔質材料を他方の高圧容器(1b)内に収容した状態で、超臨界流体若しくは亜臨界流体を形成する流体を前記他方の高圧容器(1b)内に供給した後、系内の圧力、温度を調整し、前記流体を超臨界流体若しくは亜臨界流体にして前記他方の高圧容器(1b)内の多孔質材料に接触させることによって、該多孔質材料のポーラス内に付着している油分や水分等の不純物を除去する工程と、前記他方の高圧容器(1b)への流体の供給を停止するとともに、系内を解放状態にして前記高圧容器(1b)内の超臨界流体又は亜臨界流体を系外に排出する工程と、超臨界流体若しくは亜臨界流体を形成する流体を前記一方の高圧容器(1a)内に供給した後、系内の圧力、温度を調整し、前記流体を超臨界流体若しくは亜臨界流体にして前記一方の高圧容器(1a)内の徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させて抽出することによって得られた徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体前記高圧容器(1b)に供給して前記不純物が除去された多孔質材料に接触させることにより該多孔質材料のポーラス内に前記抽出された徐放成分を担持させる工程とを含むことを特徴とする徐放性材料の製造方法。
  4. 徐放成分含有原料を一方の高圧容器(1a)内に収容するとともに、木質材料、又は木質材料と、プラスチック等の有機高分子材料、セラミック、若しくはガラス等の無機材料との複合材料である多孔質材料を他方の高圧容器(1b)内に収容し、超臨界流体又は亜臨界流体を形成する流体の流路となる前記一方の高圧容器(1a)ヘの流入流路及び排出流路を閉鎖するとともに前記流体を系内で循環させる循環路(11)を閉鎖した状態で、前記流体を前記他方の高圧容器(1b)内に前記流入経路を介して供給した後、系内の圧力、温度を調整し、前記流体を超臨界流体若しくは亜臨界流体にして前記他方の高圧容器(1b)内の多孔質材料に接触させることによって該多孔質材料のポーラス内に付着している油分や水分等の不純物を除去する工程と、前記他方の高圧容器(1b)への流体の供給を停止し、系内を解放状態にして前記高圧容器(1b)内の超臨界流体又は亜臨界流体を系外に排出する工程と、前記循環路(11)を閉鎖した状態で、超臨界流体若しくは亜臨界流体を形成する流体を前記一方の高圧容器(1a)内に流入経路を介して供給した後、系内の圧力、温度を調整し、前記流体を超臨界流体若しくは亜臨界流体にして前記一方の高圧容器(1a)内の徐放成分含有原料に超臨界流体又は亜臨界流体を接触させて抽出することによって得られた徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体、流入経路を介して前記他方の高圧容器(1b)に供給する工程と、前記一方及び他方の高圧容器(1a)、(1b)への流体の供給を停止した状態で、系内に残存している前記 徐放成分を含む超臨界流体又は亜臨界流体を、前記循環路(11)、一方の高圧容器(1a)、及び他方の高圧容器(1b)に循環させ、前記抽出された徐放成分を前記不純物が除去された多孔質材料に接触させることにより該多孔質材料のポーラス内に前記抽出された徐放成分を担持させる工程とを含むことを特徴とする徐放性材料の製造方法。
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