JP3764766B2 - ローラレスコンベヤベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ローラレスコンベヤベルトに係わり、更に詳しくはローラレスコンベヤに用いるベルト本体の幅方向両端部の反り返りを有効に防止させたローラレスコンベヤベルトの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、駆動プーリと従動プーリとに掛け回されたエンドレス状のトラフ型のベルト本体は、駆動プーリと従動プーリとの間に配設された複数本のガイドローラにより支持されて回転駆動している。
このため、ベルト本体はガイドローラとの接触摩擦により走行抵抗があり、定期的に給油をしたり、ガイドローラが摩耗した場合にはローラの交換を行う等、定期的なメンテナンスを行う必要があった。
【0003】
そこで、メンテナンスフリーを目的として、例えば、図6に示すように、内管1と外管2との内部にキャリア側(搬送側)のベルト本体3とリターン側(戻り側)のベルト本体4とを内装し、キャリア側及びリターン側のベルト本体3,4の底面側から、給気源5から供給される空気Aを吹き付け、その空気Aの圧力によりベルト本体3,4を浮上させた状態で搬送させるローラレスコンベヤベルトが知られている。
【0004】
ところで、従来のローラレスコンベヤのベルト本体3,4は、ガイドローラ上を走行するトラフ型のコンベヤベルトと同様なものを使用しているため、キャリア側のベルト本体3では、ベルト本体3の幅方向両端部3a(所謂、耳部と言う)の反り上がり部Qaが起きて、エアー漏れが発生し、またリターン側のベルト本体4では、トラフ状に形成しないためにエアー溜Qbまりが発生して、走行抵抗が増加する等の問題があった。
【0005】
即ち、ベルト本体の幅方向両端部の反り上がり等が起きる原因として、図7に示すようにベルト本体6の断面が、運搬物を載置する表面側の耐摩耗性や耐久性を考慮して、芯体帆布7を挟んで下面側の肉厚tに対して上面側の肉厚Tを厚くして構成していることが考えられ、一般に市販されているトラフ型のコンベヤベルトの場合には、上面側の肉厚Tと下面側の肉厚tの比率は、3:1,4:1,5:1等で構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、かかる従来の課題に着目して案出されたもので、従来のトラフ型のコンベヤベルト内の所定位置に、超高分子量ポリエチレンシートを埋設して一体的に形成することで、キャリア側ではベルト本体の幅方向両端部の反り上がりを防止させることにより、エアー漏れの発生を有効に防止し、またリターン側では、エアー溜まりの発生を防止させて、走行抵抗が増加するのを防止することでベルト本体の蛇行等を有効に防止させたローラレスコンベヤベルトを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、ベルト本体に埋設される芯体帆布と下面カバーゴムとの間に、表面に複数の穴を形成した分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンシートを配設し、ベルト本体の加硫成形時に前記超高分子量ポリエチレンシートに形成した複数の穴に溶融したベルト材料を穴に食い込ませて硬化させることにより投錨効果を持たせ、ベルト本体全体を一体的に形成したことを要旨とするものである。
ここで、前記超高分子量ポリエチレンシートの厚さを、0.05 mm 〜1.0 mm に範囲に設定するものである。
【0008】
前記ベルト本体は、加硫成形時に、超高分子量ポリエチレンシートを、芯体帆布の下面側と下面カバーゴムとに一体的に成形加硫したり、超高分子量ポリエチレンシートの表面に、接着剤を塗付して芯体帆布の下面側と下面カバーゴムとに一体的に接着させて形成したり、更に超高分子量ポリエチレンシートの表面に、複数の穴を形成し、ベルト本体の加硫成形時にベルト材料を穴に食い込ませて投錨効果を持たせることにより一体的に形成することが可能である。
【0009】
また前記超高分子量ポリエチレンシートの厚さは、0.05mm〜1.0mmの範囲に設定することが好ましく、0.05以下では、ベルト本体の幅方向両端部の反り上がりを防止させる効果が少なく、また1.0mm以上の場合には、トラフ性が悪くなるからである。
また、分子量は100万以上、更には400万〜800万が好ましい。
この発明は上記のように構成され、ベルト本体に埋設される芯体帆布の下面側と、下面カバーゴムとの間に、超高分子量ポリエチレンシートを配設して、一体的に形成することで、キャリア側及びリターン側ともに、内管と外管に沿ってベルト本体がトラフするため、エアー漏れや、エアー溜まりが無くなり、走行抵抗が低下して安定した走行を図ることが出来るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施例を説明する。
なお、従来例と同一構成要素は、同一符号を付して説明は省略する。
図1は、一部切欠したローラレスコンベヤ10の平面図、図2は図1の正面図、図3は図2のX部の拡大斜視図、図4は図2のAーA矢視拡大断面図を示し、前記ローラレスコンベヤ10のベルト本体11は、ヘッドプーリ12とテールプーリ13とにエンドレス状に掛け回されて、ヘッドプーリ12とテールプーリ13との間は、内管1と外管2とから成る二重管が設置され、内管1内にはキャリア側(搬送側)のベルト本体11aが内装され、また内管1と外管2との間の空間部には、リターン側(戻り側)のベルト本体11bが内装されている。
【0011】
前記キャリア側及びリターン側のベルト本体11a,11bは、その底面側から、ブロア等の給気源5からエアーダクト5a及び内管1及び外管2に形成された複数のエアー吹き出し穴5bを介して吹き付けられる空気Aの圧力によりベルト本体11a,11bを浮上させた状態で搬送させるように構成されている。
なお、上記図1及び図2において、15は運搬物の投入口,16はエアーの排出口,17はダンパ,18は運搬物のシュート,19は運搬物の排出口を示している。
【0012】
前記ローラレスコンベヤ10のベルト本体11は、図5に示すように芯体帆布7を挟んで上面カバーゴム8と下面カバーゴム9とで構成され、上面側の上面カバーゴム8の肉厚Tと下面側の下面カバーゴム9の肉厚tの比率が、例えば、3:1,4:1,5:1等で構成され、芯体帆布7と下面カバーゴム9との間に、超高分子量ポリエチレンシート20を配置して一体的に形成されている。即ち、芯体帆布7の下面カバーゴム9側と下面カバーゴム9の芯体帆布7側の面との間に、厚さを、0.05 mm 〜1.0 mm にで分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンシートを配設して一体的に形成してある。
【0013】
前記超高分子量ポリエチレンシートの厚さは、0.05mm〜1.0mmの範囲に設定することが好ましく、0.05以下では、ベルト本体の幅方向両端部の反り上がりを防止させる効果が少なく、また1.0mm以上の場合には、トラフ性が悪くなるからである。
また、分子量は100万以上、更には400万〜800万が好ましい。
前記超高分子量ポリエチレンシート20を一体的に成形する方法としては、例えば、ベルト本体11の加硫成形時に、超高分子量ポリエチレンシート20を、芯体帆布7の下面側と下面カバーゴム9とに一体的に成形加硫したり、または超高分子量ポリエチレンシート20の表面に、接着剤または粘着剤を塗付して芯体帆布7の下面側と下面カバーゴム9とに一体的に接着させて形成したり、更に超高分子量ポリエチレンシート20の表面に、複数の穴を形成し、ベルト本体10の加硫成形時にベルト材料を穴に食い込ませて投錨効果を持たせることにより一体的に形成することが可能である。
【0014】
前記高分子量ポリエチレンシート20と、芯体帆布7の下面側及び下面カバーゴム9とを一体的に接着させる場合の未加硫ゴム組成物としては、例えば、天然ゴム,SBR,BR,IR,EPDMの組成物を用いることが出来、また接着剤としての粘着付与剤としては、一般の粘着剤,接着剤等に用いられる任意のものを、例えば、10〜100phr程度用いることが出来る。
【0015】
具体的には、例えば、(a)ロジン系樹脂(ガムロジン,トール油ロジン,ウッドロジン等のロジン;水添ロジン,不均化ロジン,重合ロジン,マレイン化ロジン等の基性ロジン;)ロジングリセリンエステル(エステルガム)、水添ロジン・グリセリンエステル等のロジンエステル;及び(b)テルペンフェノール樹脂等の極性基を有する樹脂、や極性基を有しない樹脂、例えばαピネン主体、βピネン主体、ジペンテン(リモネン)主体等のテルペン樹脂;及び芳香族炭化水素変性テルペン樹脂等の天然物及びその誘導体並びに、例えば(c)脂肪族系,脂環族系,芳香族系等の石油樹脂;(d)クロマン・インデン樹脂;(e)スチレン系,置換スチレン系等のスチレン系樹脂等の複合系樹脂や、例えば(f)アルキルフェノール樹脂,ロジン変性フェノール樹脂等フェノール樹脂系樹脂;(g)キシレン樹脂等の縮合系樹脂をあげることが出来る。
【0016】
また溶剤としては、一般的な溶剤が使用でき、具体例としては、芳香族溶剤(ベンゼン,トルエン,キシレン等)、芳香族・脂肪族混合物(M.S.P.,S.B.P., スワゾール100,スワゾール200,ベンゾールアロー40,H.A.W.S、ホワイトスピリット等) 、脂肪族エステル(ゴム揮発油,酢酸エチル等)、アルコール・ケトン(メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)等を挙げることが出来、かかる溶剤の中から特定の溶剤の選択は蒸発速度に従って選ぶことが出来る。
【0017】
これらの溶剤は、2種類またはそれ以上を混合して使用してもよい。溶媒の添加量は、粘接着剤としての粘度に合わせて決めれば良い。粘度は10cps〜1000cps、好ましくは50〜500cpsであり、粘度が10cps未満では、塗布量が少なく、接着力が不足し、逆に1000cpsを超えると、塗布時に取扱い難くなるので好ましくはない。
【0018】
この発明の実施例において使用されるポリエステルポリオール/イソシアネート系の粘着剤としては、例えば以下のものを挙げることが出来る。
即ち、ポリエステルポリオールとしては、例えば縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等があるが、一般的には、縮合系ポリエステルポリオールが多く使用される。
【0019】
具体的には、アジピン酸とグリコール、トリオールとの脱水縮合反応で得られたものでエチレンアジペート、ブチレンアジペート、ジエチレンアジペート等がある。分子量は3000以上であるのが好ましく、分子量が3000未満では、粘着性が不足する傾向にあるので好ましくない。
次に、ベルト本体の平坦性の評価(耳部反り上がり量測定)試験結果と、超高分子量ポリエチレンシートの厚さによるベルト本体の反り上がりの実験結果を、以下の表1,表2に示す。
【0020】
表1におけるベルト本体の平坦性の評価(耳部反り上がり量測定)試験条件としては、一般の耐摩耗性カバーゴムを使用した幅600 mm, 長さ150 mm, 4プライの補強層から成るベルト本体において、厚さ0.25mmの超高分子量ポリエチレンシートを使用した場合である。
【0021】
【表1】
【0022】
次に、表2における超高分子量ポリエチレンシートの厚さによるベルト本体の反り上がりの実験条件としては、幅500 mm, 長さ100 mm, 4プライの補強層から成るベルト本体において、厚さ0.130 mm,0.250mm,0.400mmの超高分子量ポリエチレンシートを使用した場合である。なお、+側はベルト本体の耳部が上側に反り上がる場合、−側はベルト本体の耳部が下側に反りる場合を示している。
【0023】
【表2】
【0024】
以上の表1及び表2に示す実験結果から、芯体帆布7の下面側と、下面カバーゴム9との間に、超高分子量ポリエチレンシート20を配設して一体的に形成することで、ベルト本体の耳部が上側に反り上ったり、ベルト本体の耳部が下側に反り量が少なくなることが判る。
【0025】
【発明の効果】
この発明は、上記のようにベルト本体に埋設される芯体帆布と下面カバーゴムとの間に、表面に複数の穴を形成した分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンシートを配設し、ベルト本体の加硫成形時に前記超高分子量ポリエチレンシートに形成した複数の穴に溶融したベルト材料を穴に食い込ませて硬化させることにより投錨効果を持たせ、ベルト本体全体を一体的に形成したので、キャリア側ではベルト本体の幅方向両端部の反り上がりを防止させることにより、エアー漏れの発生を有効に防止することが出来、またリターン側では、エアー溜まりの発生を防止させて、走行抵抗が増加するのを防止することでベルト本体の蛇行等を有効に防止させることが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一部切欠したローラレスコンベヤの平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2のX部の拡大斜視図である。
【図4】図2のAーA矢視拡大断面図である。
【図5】ベルト本体の断面斜視図である。
【図6】従来のローラレスコンベヤの断面図である。
【図7】従来のベルト本体の断面斜視図である。
【符号の説明】
1 内管 2 外管
3,4 ベルト本体 5 給気源
5a エアーダクト 5b エアー吹き出し穴
10 ローラレスコンベヤ 11 ベルト本体
12 ヘッドプーリ 13 テールプーリ
14 ベルト本体 15 運搬物の投入口
16 エアーの排出口 17 ダンパ
18 運搬物のシュート 19 運搬物の排出口
20 超高分子量ポリエチレンシート
Claims (2)
- 内管内に収容されたキャリア側のベルト本体と、内管と外管との間に収容されたリターン側のベルト本体との底面側に、給気源から供給される空気を吹き付け、その空気の圧力によりベルト本体を浮上させた状態で搬送させるローラレスコンベヤベルトにおいて、
前記ベルト本体に埋設される芯体帆布と下面カバーゴムとの間に、表面に複数の穴を形成した分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンシートを配設し、ベルト本体の加硫成形時に前記超高分子量ポリエチレンシートに形成した複数の穴に溶融したベルト材料を穴に食い込ませて硬化させることにより投錨効果を持たせ、ベルト本体全体を一体的に形成したことを特徴とするローラレスコンベヤベルト。 - 前記超高分子量ポリエチレンシートの厚さを、0.05 mm 〜1.0 mm に範囲に設定した請求項1に記載のローラレスコンベヤベルト。
Priority Applications (1)
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JP25896595A JP3764766B2 (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | ローラレスコンベヤベルト |
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JPH0999495A JPH0999495A (ja) | 1997-04-15 |
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ID=17327486
Family Applications (1)
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JP25896595A Expired - Fee Related JP3764766B2 (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | ローラレスコンベヤベルト |
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-
1995
- 1995-10-05 JP JP25896595A patent/JP3764766B2/ja not_active Expired - Fee Related
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