JP3763712B2 - 無線アクセスシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信事業者の通信網に対して加入者端末から無線によりアクセスする無線アクセスシステムに関し、詳しくは、無線アクセス時の干渉を低減するための使用周波数の選択配置及び該選択配置に際しての周波数変更を容易化するための加入者端末の無線装置の構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信事業者の交換局と一般家庭などで用いる加入者端末を結ぶ回線網は、アクセス網と呼ばれ、その最も一般的な構築形態としては、回線網から多数の加入者端末に対してそれぞれワイヤを引く方式が知られている。
【0003】
ところが、この方式では、多数の加入者端末に対してそれぞれワイヤを引くためのコストがかかわる割には、加入者端末との間での通信量が少なく、通信料金の競争が激化する中、事業として成り立ち難い。
【0004】
このような背景から、今日では、ワイヤを敷設するコストがかからず通信料金の低減に有利な方法として、上記アクセス網を例えば準ミリ波を使用した無線により新規に整備する方向に進展しつつある。
【0005】
この種の無線アクセスシステムでは、サービスエリア全体をセル単位に区分けし、各セル毎に基地局と複数の加入者無線局を配置し、基地局と各加入者無線局間でポイント・ツウ・マルチポイント(P−MP)通信を行うという構成が基本となっている。
【0006】
システムの拡張にあたっては、上記基本構成を保ちながら、複数の基地局を一定の距離を離して配置して面的な展開を広げていく。その際、隣接する基地局同士は異なる周波数を使用して混信が発生しないよう配慮される。
【0007】
しかしながら、事業者が使用できる周波数は限られており、できるだけ干渉が小さくて済むように、各基地局が使用する周波数をどのように配置するかが(P−MP)システムを構築するうえでの重要なポイントとなる。
【0008】
この種の従来システムにおける干渉について、図11を参照して説明する。図11において、200A,200B,200Cは、それぞれ、所定距離離間したセルA,B,C内に配置される基地局である。また、セルA,B,C内には、それぞれ、加入者無線局100A,100B,100Cが配置される。
【0009】
なお、図11では、各セルA,B,C毎に1つの加入者無線局しか開示していないが、P−MPシステムの性格上、実際には、当該各セルA,B,C毎にそれぞれ複数の加入者無線局が配置されている。
【0010】
各セルA,B,C内は、例えばビル等の建物の屋上に設置された基地局200と、一般家庭内に設置された加入者無線装置100とが、上り回線(加入者無線局100から基地局200方向)と下り回線(基地局200から加入者無線局100方向)を介して相互に通信を行う。
【0011】
上り回線、下り回線は、共に、それぞれ異なる周波数帯域を持つ複数の無線チャネルを時分割で繰り返し利用するTDMA(時分割多元接続)方式の回線で構成される。
【0012】
このシステムにおいて、基地局200のアンテナに関しては、上り回線による複数の対向局(セル内の各加入者無線局100)との通信に対処すべくブロードな指向特性が与えられ、加入者無線局100のアンテナに関しては、下り回線による1つの対向局(基地局200)との通信に対処すべくシャープな指向特性が与えられる。
【0013】
基地局200のアンテナがブロードな指向特性を持つことで、該基地局200への上り回線の干渉については、当該指向特性が及ぶ範囲内にある多数の加入者無線局からの干渉波の着信を考慮しなければならない。
【0014】
例えば、図11において、基地局200Aの上り回線については、自サービスエリア(セルA)内の加入者無線局100Aからの着信に加え、自サービスエリア外の遠方のエリア(セルB,C)にて同一周波数を利用する加入者無線局100B,100Cからの干渉波も着信する。
【0015】
これに対し、下り回線の干渉については、加入者無線局100のアンテナがシャープな指向特性のため、加入者無線局100から見た基地局200方向の延長線上にある1つの与干渉局からの干渉だけを考えれば良い。
【0016】
例えば、図11において、加入者無線局100Bへの下り回線については、基地局200Aの干渉波は着信するが、基地局200Cからの干渉波は着信しない。
【0017】
以上のように、このシステムでは、上り回線の方が下り回線に比べてより干渉が厳しいものとなっている。
【0018】
このような環境下において、従来システムでは、各セル毎に、上り回線と下り回線共に、同じ繰り返し周波数を使用していた。図12は、同一セル内における4セクタ4周波繰り返しの場合の上り回線〔同図(a)〕と下り回線〔同図(b)〕の周波数配置イメージを示す図である。
【0019】
この周波数配置は、例えば、干渉の厳しい上り回線の所要C/I(希望波/干渉波比)を満足するように繰り返し周波数を決定し、下り回線で同じ繰り返し周波数とする方法により実現される。
【0020】
この場合、下り回線の干渉が上り回線よりも小さいことに起因して、上り回線と下り回線のC/Iが不均衡となる。これを解消するためには、下り回線の伝送容量も上り回線の伝送容量と同じように小さくしなければならず、例えば、インターネットサービス等、下りの回線が上りの回線よりも大きな伝送容量を必要とするシステムへの適用が困難となる。
【0021】
ところで、従来システムにおける無線基地局200では無線周波数は予め周波数配置を考慮して決められた無線周波数に固定化されて運用される。このため、上述した如くの無線基地局200を新たに設置しようとする場合には、基地局200の周波数割当が確定した後に無線装置を分解し、割り当てられた無線周波数を選択可能なフィルタ部品と交換することで対処する以外になかった。
【0022】
かかる従来システムの構成では、基地局200を追加するなどにより発生する加入者無線局100の再配置にあたって、加入者無線局100の無線装置に実装するフィルタ部品を作成するためにコストがかかり、しかも、このフィルタ部品を既存のフィルタ部品と交換するために多くの手間と時間を必要としていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記従来システムでは、干渉の厳しい上り回線で所要のC/Iを満足すべく繰り返し周波数を決定し、下り回線でも同じ繰り返し周波数としていたため、上り回線と下り回線のC/Iは不均衡となり、これを回避するためには下り回線の伝送容量も上り回線と同じに小さくする必要があり、下りの回線が上りの回線よりも大きな伝送容量を必要とするシステムへの適用が困難であるという問題点があった。
【0024】
また、上記従来システムでは、加入者無線局の無線装置の使用周波数を変更する要求が生じた場合、無線装置内部の既存のフィルタ部品を目的とする無線周波数を選択可能なフィルタ部品と交換することで対処していたため、目的とする無線周波数を選択可能なフィルタ部品を作成するためのコストがかさみ、しかもこのフィルタ部品を交換するために多くの手間と時間を要する等、基地局の追加等に伴う加入者無線局の再配置を容易に行えないという問題点があった。
【0025】
本発明は上記問題点を除去し、上り回線と下り回線のC/Iをほぼ等しく保ちつつ、下り回線が上り回線よりも大きな伝送容量を必要とする各種通信サービスにも適合し得る無線アクセスシステムを提供することを目的とする。
【0026】
また、本発明は、フィルタ部品を交換する等の煩雑な作業を要せずに加入者無線局の無線装置の使用周波数を簡単に変更でき、基地局の追加等に伴う加入者無線局の再配置を容易に実現可能な無線アクセスシステムを提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、サービスエリア全体をセルに区分けし、基地局と、該基地局と無線回線によりポイント−マルチポイント通信を行う複数の加入者無線局を前記セル毎に配置して成る無線アクセスシステムにおいて、前記加入者無線局から前記基地局方向への上りの無線回線を小容量かつ多周波数繰り返しによる無線チャネルで構成すると共に、前記基地局から前記加入者無線局方向への下りの無線回線を、前記上りの無線回線よりも大容量かつ少周波数繰り返しによる無線チャネルで構成し、前記上りの無線回線と前記下りの無線回線の繰り返し周波数を非対称にしたことを特徴とする。
【0028】
請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、加入者無線局は、それぞれ異なる帯域通過特性を有する複数の帯域通過フィルタと、前記帯域通過フィルタとアンテナとの接続を切り替える切替スイッチとをアンテナ共用器内に備えると共に、前記切替スイッチを切替制御し、前記複数の帯域通過フィルタのいずれかを選択的に前記アンテナに接続するフィルタ選択制御手段を具備することを特徴とする。
【0029】
請求項3の発明は、上記請求項2の発明において、加入者無線局は、送信部及び受信部が中間周波数と無線周波数間の周波数変換を行うために用いるローカル信号を発生する周波数シンセサイザと、前記周波数シンセサイザの発振周波数を可変設定する周波数可変設定制御手段とを具備することを特徴とする。
【0030】
請求項4の発明は、上記請求項3の発明において、加入者無線局は、外部装置との通信の処理を行う通信処理手段と、前記外部装置から送出される周波数設定信号を前記通信処理手段を介して受信し、前記フィルタ選択制御手段及び前記周波数可変設定制御手段に転送する信号転送手段とを具備し、前記フィルタ選択制御手段及び前記周波数可変設定制御手段は前記周波数設定信号に基づき前記フィルタ選択及び前記発振周波数可変設定の制御を行うことを特徴とする。
【0031】
請求項5の発明は、上記請求項4の発明において、加入者無線局は、前記外部装置から受信される前記周波数設定信号を保持する保持手段を具備することを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明に係わる無線アクセスシステムの全体構成を示す図である。図1において、セルA、セルBは、それぞれ、本システムのサービスエリア全体の内の1サービスエリアである。
【0036】
セルA内には、1つの基地局200Aと複数の加入者無線局100−1,100−2,100−3,100−4が配置されている。
【0037】
基地局200Aと各加入者無線局100−1、100−2、100−3、100−4間には、それぞれ、上り回線(加入者無線局100から基地局200方向)と下り回線(基地局200から加入者無線局100方向)が設定され、これら両回線を利用して、基地局200Aと各加入者無線局100−1、100−2、100−3、100−4間のP−MP通信が行われる。
【0038】
同様に、セルB内には、1つの基地局200Bと複数の加入者無線局100−11,100−12,100−13,100−14が配置され、基地局200Aと各加入者無線局100−1、100−2、100−3、100−4間で、それぞれ、上り回線と下り回線を利用したP−MP通信が行われる。
【0039】
セルA,セルB内の点線は、それぞれ、当該セルA,セルBに設定されるセクタの境界線を示している。本システムでは、セルA,セルBが、それぞれ、セクタ1〜セクタ4の4つのセクタに区切られ、各セクタ毎に、上り回線と下り回線の使用周波数が配置されている。
【0040】
更に、本システムでは、基地局200A、200Bが、通信回線300、交換機400を介して通信網に接続されている。
【0041】
なお、図1ではセルA及びセルBのみしか示していないが、実際には、これらセルA,セルBに加えて当該各セルと同じ態様(1つの基地局200と複数の加入者無線局100が設置される)から成る複数のセルが存在し、これら全セルによって上述したサービス提供可能エリア全体をカバーするようになっている。
【0042】
このように、本発明に係わる無線アクセスシステムは、加入者通信サービスを提供するエリア全体を複数のセルに分割すると共に、各セル毎に1つの基地局200と複数の加入者無線局100を配置し、各セル毎に、基地局200と対向する各加入者無線局100間でP−MP通信を行う構成を基本としている。
【0043】
上述した、各セル内でのP−MP通信において、第1の実施形態に係わるシステムでは、上り回線を小容量でかつ多周波繰り返しの無線チャネルで構成し、下り回線を上り回線に比べて大容量でかつ少周波数繰り返しの無線チャネルで構成している。
【0044】
図2は、第1の実施形態に係わるシステムでの上り回線及び下り回線の周波数割当プランの一例を示すものである。なお、この例では、被割当帯域として、特に、上り回線と下り回線とに、それぞれ、180MHzの連続した帯域が与えられた場合を想定している。
【0045】
この条件の中で、下り回線には、図2(a)に示すように、それぞれ28MHzの帯域幅を持つ4つの周波数(fd1,fd2,fd3,fd3:現用チャネル)と、同帯域幅を持つ更に1つの周波数(予備チャネル)とが割り当てられ、両端には20MHzずつのガードバンドが確保されている。
【0046】
また、上り回線には、図2(b)に示すように、10MHzの帯域幅を持つ16の周波数(fu1,fu2,fu3,fu4,fu5,fu6,〜,fu14,fu15,fu16:現用チャネル)と、同帯域幅を持つ更に1つの周波数(予備チャネル)が割り当てられ、両端に、5MHzずつのガードバンドが確保されている。
【0047】
この周波数割当プランに沿って、上り回線と下り回線とに周波数を配置するには、システム全体のセル及び該セル内のセクタの構成を把握し、できるだけ干渉が生じないように周波数を決定する必要がある。
【0048】
図3は第1の実施形態に係わるシステムでの下り回線の周波数配置の一例を示す概念図であり、図4は同システムでの上り回線の周波数配置の一例を示す概念図である。
【0049】
図3及び図4に共通な事項として、実線で囲まれる領域は、それぞれ、図1におけるセルA,セルB等の各セルに相当し、該領域内の黒丸は、それぞれ、該当セルの各基地局200に相当する。
【0050】
また、点線は各セル内における4つのセクタ領域の境界線に相当する。更に、この境界線によって仕切られる各セクタ内の数字は、図2で述べた割当プランにより決定された周波数に相当する。
【0051】
図3からも分かるように、本実施形態では、下り回線が、従来(図12参照)と同様、4セクタ4周波繰り返しのチャネル構成により実現される。図3において、1セル内の4つのセクタには、それぞれ、上述した周波数割当プランに沿った各周波数(数字の1,2,3,4)が配置されている。
【0052】
具体的な例として、数字の1は、例えば、図2(a)における周波数fd1に相当する。同様に、数字の2,3,4は、それぞれ、図2(a)における周波数fd2,fd3,fd4に相当する。
【0053】
これに対し、上り回線は、図4に示すように、4セクタ16周波繰り返しのチャネル構成により実現される。図4において、1セル内の4つのセクタには、それぞれ、上述した周波数割当プランに沿った各周波数(数字の1〜16)が配置されている。
【0054】
具体的な例として、数字の1は、例えば、図2(b)における周波数fu1に相当する。同様に、数字の2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16は、それぞれ、図2(b)における周波数fu2,fu3,fu4,fu5,fu6,fu7,fu8,fu9,fu10,fu11,fu12,fu13,fu14,fu15,fu16に相当する。
【0055】
このように、第1の実施形態では、下り回線(図3参照)を4セクタ4周波の周波数割当配置とする一方、上り回線(図4参照)を4セクタ16周波の周波数割当配置とし、上り回線と下り回線の周波数割当を不均衡としたものである。
【0056】
ここで、上記周波数配置に着目し、本実施形態に係わるシステムと従来システムとのC/I値について比較してみる。
【0057】
従来システムでは、下り回線のみならず上り回線も図3に示すような4セクタ4周波繰り返しの周波数配置であった。
【0058】
今、図3を便宜的に従来システムの上り回線の周波数配置として見た場合、例えば右から2つ目で下から2つ目のセル内の基地局200は、該セル内で数字の3の周波数が割り当てられたセクタ方向からの干渉として、例えば右から4つ目で下から4つ目のセル内の数字の3の周波数からの干渉を受ける。
【0059】
ここで、各セルの基地局200からセルエリア端までの距離をRと仮定すれば、右から2つ目で下から2つ目のセル内の基地局から与干渉局までの距離は5Rとなる。
【0060】
これに対して、本実施形態では、下り回線は図3に示した4セクタ4周波繰り返しの周波数配置のまま、上り回線には図4に示す4セクタ16周波繰り返しの周波数配置が適用される。
【0061】
これにより、本実施形態では、例えば、右から2つ目で下から2つ目のセル内の基地局200は、該セル内で数字の1の周波数が割り当てられたセクタ方向からの干渉として、右から6つ目で上から2つ目のセル内の数字の1の周波数からの干渉を受ける。
【0062】
この場合、右から2つ目で下から2つ目のセル内の基地局200から与干渉局までの距離は9Rとなり、従来システムより長い距離となる。従って、上り回線の干渉については本実施形態のシステムの方が従来システムより小さくなり、C/I値も本実施形態のシステムの方が従来システムより良好となる。
【0063】
本発明の発明者の測定結果によれば、4セクタ4周波繰り返しを上り回線と下り回線共に適用してした従来システムでは、上り回線の干渉が下り回線よりも厳しいことを反映して、上り回線4.7dB、下り回線10.9dBという不均衡なC/I値を得た。
【0064】
これに対し、上り回線を16周波繰り返しとし、下り回線を4周波繰り返しとした本実施形態に係わるシステムの場合、上り回線で12.0dB、下り回線で10.9dBとなり、両者でほぼ等しいC/I値を得た。
【0065】
また、この時、上り回線と下り回線の帯域は、図2に示すように、上り回線に対して下り回線の帯域(伝送容量)が大きい、非対称な帯域配分となる。従って、本実施形態では、例えば、インターネットサービス等、下りの回線が上りの回線よりも大きな伝送容量を必要とする通信サービスを効率的に行うのに有用なものとなる。
【0066】
ところで、この種のシステムでは、上述した180MHzの被割当帯域が、常に図2に示すような連続した帯域として与えられるとは限らず、離散した帯域として与えれることもあり得る。
【0067】
この場合、例えば下り回線に対して図2(a)に示すような帯域レベルのチャネルを4つ確保することができず、該帯域レベルでの4周波繰り返しのチャネル配置ができなくなる。
【0068】
かかる環境下での4周波繰り返しのチャネル配置は、1チャネル当たりの帯域幅を小さくすることで対処可能であるが、この場合、伝送容量が小さくなり過ぎ、上述した理由で、インターネットサービス等に適応できなくなる。
【0069】
このような観点から、第2の実施形態では、使用可能な帯域が離散的に与えられた場合、上り回線を小容量でかつ多周波繰り返しの無線チャネルで構成する一方、下り回線を異偏波を利用した無線チャネルで構成するものである。
【0070】
図5は、第2の実施形態に係わるシステムでの上り回線及び下り回線の周波数割当プランの一例を示すものである。なお、この例では、被割当帯域として、特に、上り回線と下り回線とに、それぞれ、60MHz相当のブロック(ブロック1,ブロック2,ブロック3:全体で180MHz)が3つずつ離散的に割り当てられた場合を想定している。
【0071】
この条件の中で、下り回線については、図5(a)に示すように、上記各ブロック1,2,3よりそれぞれ28MHz帯域の周波数を割り当て、この都合3つの周波数(f1,f2,f3)を、各々、水平偏波(f1H,f2H,f3H)と垂直偏波(f1V,f2V,f3V)として利用するチャネル構成を採用している。
【0072】
この場合、28MHz帯域幅の2周波(f1,f2)で4周波相当(f1H,f1V,f2H,f2V)を確保できるため、28MHz帯域幅の4周波繰り返しの周波数配置が実現できる。
【0073】
残りの1周波(f3)は、異偏波による2つの予備チャネル(f3H,f3V)として利用する。更に、各ブロック1,2,3毎に、両端に1/2BWずつのガードバンドを確保する。ここで、BWは、同偏波におけるチャネル間隔とし、このガードバンド確保条件は上り回線においても適用するものとする。
【0074】
これに対し、上り回線には、図5(b)に示すように、上記各ブロック1,2,3よりそれぞれ10MHz帯域の5つの周波数、都合15の周波数を割り当てている。このうち、12の周波数(f1,f2,f3,〜,f11,f12)は現用チャネルとして利用し、残りの3つの周波数(予備1,予備2,予備3)は予備チャネルとして利用する。更に、各ブロック1,2,3毎に、前後に、例えば、5MHzのガードバンドを確保する。
【0075】
なお、上り回線において、1チャネルあたりの帯域幅を30MHzとすると、上記ガードバンド確保条件によって、両端で15MHzずつのガードバンドが必要となり、3ブロックを用いても3チャネル(1ブロックあたり1チャネル)しか確保できず、4セクタ方式に必要な4チャネルを確保できない。
【0076】
そこで、第2の実施形態では、上述の如く、1チャネルあたり10MHzとしている〔図5(b)参照〕。この場合、ガードバンドは5MHzで済み、1ブロックあたり5チャネル、3ブロックで都合15チャネルを確保できる。
【0077】
この15チャネルの中から3チャネルずつを1つのセクタに対して割り当てる〔図5(b)において、数字の(1)〜(5)が付された各周波数の内、数字が同一のものは同一セクタに割り当てられる〕ことで、1セクタ毎に30MHzの帯域を確保でき、結果として、30MHz帯域幅を持つ5周波相当を確保することができる。
【0078】
図6は第2の実施形態に係わるシステムでの下り回線の周波数配置の一例を示す概念図であり、図7は、同システムでの上り回線の周波数配置の一例を示す概念図である。
【0079】
図6及び図7の見方は、図3及び図4と同様である。すなわち、図6及び図7において、実線で囲まれる領域は、それぞれ、図1におけるセルA,セルB等の各セル相当し、該領域内の黒丸は、それぞれ、該当セルの各基地局200に相当する。
【0080】
また、点線は各セル内における4つのセクタ領域の境界線に相当する。更に、この境界線によって仕切られる各セクタ内の数字は、図5で述べた割当プランにより決定された周波数に相当する。
【0081】
図6からも分かるように、本実施形態では、下り回線が、4セクタ4チャネル繰り返しのチャネル構成により実現される。図6において、1セル内の4つのセクタには、それぞれ、図5(a)に示した周波数割当プランに沿った各チャネル(1H,1V,2H,2V)が配置されている。
【0082】
ここで、1Hは、例えば、図5(a)におけるブロック1より割り当てられる28MHz帯域の周波数を水平偏波により利用するチャネルであり、1Vは、同周波数を垂直偏波により利用するチャネルである。また、2Hは、例えば、図5(a)におけるブロック2より割り当てられる28MHz帯域の周波数を水平偏波により利用するチャネルであり、2Vは、同周波数を垂直偏波により利用するチャネルである。
【0083】
これに対し、上り回線は、図7に示すように、4セクタ4周波繰り返しのチャネル構成により実現される。図7において、1セル内の4つのセクタには、それぞれ、図5(b)に示した周波数割当プランに沿った各周波数(数字の1〜4)が配置されている。
【0084】
但し、本実施形態において、上記各数字1〜4で示される周波数は、それぞれ3つの周波数帯域を組み合わせて成るものである。
【0085】
具体的な例として、数字の1に相当する周波数は、例えば、図5(b)における周波数fu1,fu2,fu3を組み合わせた周波数帯域を持ったものである。同様に、数字の2、3、4は、それぞれ、図5(b)における周波数(fu4,fu5,fu6)、(fu7,fu8,fu9)、(fu10,fu11,fu12)を組み合わせた周波数帯域を持ったものである。
【0086】
このように、第2の実施形態では、使用可能な帯域が複数の離散ブロックとして与えられた場合、上り回線(図7参照)については小容量で多周波繰り返しとしかつ各セクタあたり複数の周波数を組み合わせて使用する無線チャネル構成とする一方、下り回線(図6参照)については異偏波を利用した無線チャネル構成としたものである。
【0087】
この第2の実施形態では、上り回線の1チャネル当たりの帯域幅を小さくしつつも各セクタ毎に複数のチャネルを割り当てるようにしたため、当該上り回線の伝送容量を常にある程度以上の値に維持できる。
【0088】
また、下り回線については異偏波を使用するようにしたため、1離散ブロックあたりの使用可能帯域を広くとることができ(該帯域に見合った十分な伝送容量を確保できる)、インターネットサービス等、下りの回線が上りの回線よりも大きな伝送容量を必要とするシステムへの適用性も維持できる。
【0089】
また、本実施形態では、上り回線を小容量多周波繰り返しとし、下り回線に異偏波を利用した場合においても、上り回線及び下り回線共に所要のC/Iを確保することができる。
【0090】
本発明の発明者によれば、異偏波を利用した下り回線での交差偏波識別度を15dBとし、半径10Km以内の干渉を前提としてC/I値の測定を行った結果、上り回線の4周波繰り返しに関しては23.2dB、下り回線の2周波(異偏波)繰り返しに関しては22.2dBの測定結果を得た。
【0091】
すなわち、本実施形態によれば、異偏波を使った場合でも、所要C/I(本システムの所要C/Iは、例えば、22.1dBに設定されている)を満足することが確かめられた。
【0092】
なお、使用可能帯域が離散的に与えられた場合、下り回線のみならず、上り回線についても異偏波を利用することが考えられるが、この場合には、以下のような危険が伴う。
【0093】
この点について、図6を参照して説明する。今、図6を上り回線に対する2周波4異偏波繰り返しのチャネル配置図として見るものとする。
【0094】
ここで、同図に斜線で示す2Vのセクタに着目すると、該セルの基地局200(黒丸)からセルエリア端までの距離をRとした場合、最短の与干渉局は該基地局200から3.5Rの距離にあることになる。
【0095】
しかし、遠方(同図上方)にて2Hを使用している加入者無線局100のアンテナが例えば人の接触等により傾くと、この加入者無線局100が上記2Vのセクタを管轄する基地局200への与干渉局となり、当該基地局200からの最短の与干渉局の距離が2.1Rに変化する。
【0096】
1つの与干渉局からの干渉を考えると、上記距離Rを1Kmとしかつアンテナによる干渉の抑圧を考慮した場合のC/I値は、3.5Rの距離の場合は23.5dB、2.1Rの距離の場合は13.9dBとなる。
【0097】
ここで、本システムの所要C/I値は22.1dBとすると、上述した人の接触等の不慮の事故によるアンテナの傾き等に起因して、当該所要C/I値を達成できない状況に陥る。
【0098】
このように、上り回線では、加入者無線局100が上述した不慮の事故等に遭遇し易く、これによりC/I値が低下する危険性が高いため、異偏波を使用しないものとする。
【0099】
一方、下り回線については、通常、基地局200のアンテナはビル等の建物の屋上等、普段、人が立ち入らない所に設置されるケースが多く、上述した不慮の事故等に遭遇し難い環境にあり、異偏波を使用してもC/I値の低下の危険性が極めて低いことから、図5(a)等に示す周波数プランに沿って異偏波を使用するものとする。
【0100】
ところで、この様なポイント−マルチポイント(P−MP)のシステムでは、システムの運用開始後、サービスエリアの拡大や、加入者無線局100の増加により、基地局200を増設することが考えられる。ここで、基地局200を増設する場合は、他の基地局200や加入者無線局100への干渉を防ぐため、図2、図5で述べたような周波数プランに沿って、周波数割当を決定してから、基地局200の設置を行うことになる。ここで、基地局200の増設は、増設の決定後速やかに行う必要があるため、無線周波数の設定が容易に設定できることが必要になる。
【0101】
また、基地局200の増設により、加入者無線局100の中には、加入者無線局100の設置位置等の関係で、今まで通信を行っていた基地局200よりも新たに増設された基地局200と通信を行うように変更した方が良い場合が考えられる。この場合、加入者無線局100の使用周波数を変更する必要が生ずる。
【0102】
この点に鑑み、第3の実施形態では、基地局200または加入者無線局100における使用する周波数の設定または変更を行う場合に、フィルタ部品の交換によらず、使用周波数変更が行える構成としたものである。以下、加入者無線局100の周波数変更の場合を例として説明するが、基地局200の周波数設定についても同様である。
【0103】
図8は、第3の実施形態に係わる加入者無線局100の構成を示すブロック図である。
【0104】
図8において、加入者無線局100は、無線装置10と端局装置30とにより構成される。無線装置10は、アンテナ11、送信フィルタ部123及び受信フィルタ部124を備えたアンテナ共用器12、送信ミキサ134等を備えた送信部13、受信ミキサ143を備えた受信部14、合成/分配器15、周波数設定信号復調部16、シンセサイザ171,分配器172,発振制御部173等から成るローカル発生部17により構成される。
【0105】
また、端局装置30は、合成/分配器31、復調部32、変調部33、ベースバンド処理部34、中央処理装置(CPU)35、メモリ部36、周波数設定信号変調部37、通信処理部38、外部インタフェース部(I/F)39、CPU35とメモリ部36や通信処理部38等との間に設けられる制御バス40を具備して構成される。
【0106】
端局装置30では、通信処理部38を介して外部端末50と通信を行うことができる。本実施形態では、外部装置50は使用周波数設定用の端末であり、例えばパーソナルコンピュータ(PC)が用いられる。
【0107】
また、端局装置30は、外部インタフェース部39を介して、例えば、PC、電話機(TEL)、構内交換機(PBX)等の機器や、ローカルエリアネットワーク(LAN)等の伝送路に接続可能である。
【0108】
この加入者無線局100において、アンテナ11は、基地局200との間で電波の受信及び送信を行う。アンテナ共用器12は、アンテナ11で受信した基地局200からの電波に相当する受信信号を受信フィルタ部124を介して受信部14に送る他、後述するように、送信部13からの送信信号を送信フィルタ部123を介してアンテナ11に送る。
【0109】
受信部14は、アンテナ共用器12からの出力信号を、受信ミキサ143にて、ローカル発生部17内のシンセサイザ171から分配器172を介して与えられるローカル信号にミキシングしてIF(Intermediate Frequency)周波数を有する信号に変換し(ダウンコンバージョン)、更に、IF周波数に変換した信号を増幅して出力する。
【0110】
合成/分配器15は、送信部14からの出力信号を端局装置30に送る。端局装置30では、無線装置10からの出力信号が合成/分配器31で復調部32に分配され、更に。復調部32は、当該合成/分配器31からの出力信号を復調してベースバンド処理部34に送出する。
【0111】
ベースバンド処理部34は、復調部32での復調信号を制御バス40を介してCPU35に送出すると共に、外部インタフェース部39を介して、該外部インタフェース部39に接続された機器に送出する。
【0112】
外部インタフェース部39に接続された機器は、外部インタフェース部39からの復調信号を用いて当該機器に備わる機能に従った所要の処理を行う。例えば、当該機器が電話機あった場合、上記復調信号を受話アンプで増幅し、レシーバにより音響出力に変換し、使用者に音声として伝える等の処理を行う。
【0113】
また、マイクにて使用者の音声を集音して電気信号に変換し、送話アンプにより該音声信号を増幅し、外部インタフェース部39を介してベースバンド処理部34に出力する等の処理を行う。
【0114】
外部インタフェース部39から送られてくる上記音声信号はベースバンド処理部34を通じて変調部33に送出される。変調部33は、ベースバンド処理部34の出力信号を変調し、合成/分配器31を介して無線装置10に送出する。
【0115】
無線装置10では、端局装置30から送られてくる信号を合成/分配器15で受信し、送信部13に分配する。
【0116】
送信部13は、合成/分配器15からの出力信号を増幅し、次いでこの信号を、送信ミキサ134にて、ローカル発生部17内のシンセサイザ171から分配器172を介して与えられるローカル信号にミキシングしてIFから所定の送信周波数に変換し(アップコンバージョン)、更に当該信号を増幅してアンテナ共用器12に出力する。
【0117】
アンテナ共用器12では、送信部13からの信号を送信フィルタ部123を介してアンテナ11に出力し、アンテナ11は、アンテナ共用器12から出力された信号を電波として送出する。
【0118】
なお、上記動作中、無線装置10の送信部13と受信部14では、それぞれ、例えば、26GHz程度の無線周波数(RF)と70MHz程度の中間周波数(IF)との間でアップコンバージョン処理とダウンコンバージョン処理を行い、端局装置30の復調部32と変調部33では、それぞれ、上記IFで復調処理と変調処理を行う。
【0119】
本実施形態に係わる加入者無線局100では、上述した送受信機能に加えて、使用周波数を必要に応じて変更(設定)する機能を有している。この使用周波数変更機能を実現するための構成要素として、端局装置30側には、通信処理部38、周波数設定信号変調部37が設けられ、無線装置10側には、周波数設定信号復調部16、発振制御部173が設けられる。
【0120】
次に、本実施形態の加入者無線局100における使用周波数変更動作について説明する。
【0121】
この加入者無線局100において、使用周波数を変更する場合、まず、外部端末50から使用周波数帯域設定操作を行う。この設定操作により、外部端末50から使用周波数設定信号が出力され、該信号は通信処理部38、制御バス41を通じてCPU35に送られる。
【0122】
CPU35は、この信号を例えばメモリ部36に保持すると共に、周波数設定信号変調部37に送出する。
【0123】
なお、外部端末50からの使用周波数設定信号を保持する手段(メモリ部36)を持つことで、例えば、電源がONされる毎に、毎回、CPU35がメモリ内容を読み取り、無線装置10に該信号を送出して周波数をその都度設定するというシーケンスを追加することも可能になる。
【0124】
周波数設定信号変調部37は、上記設定操作に基づく周波数設定信号を所定の方式で変調し、合成/分配器31を介して無線装置10の合成/分配器15に送出する。
【0125】
無線装置10では、端局装置30から送られてくる上記周波数設定信号を合成/分配器15により周波数設定信号復調部16に送出する。周波数設定信号復調部16は、合成/分配器15から送られてくる周波数設定信号を所定の方式により復調し、この復調された周波数設定信号をアンテナ共用器12及びローカル発生部17に送出する。
【0126】
アンテナ共用器12は、送信フィルタ部123と受信フィルタ部124内にそれぞれ通過帯域が異なる複数のフィルタ(バンドパスフィルタ)を持ち、周波数設定信号復調部16から送られてくる、復調された周波数設定信号に基づき、該当するバンドパスフィルタを選択しアンテナ11に接続するフィルタ選択切替制御を行う。
【0127】
また、ローカル発生部17では、発振制御部173が、周波数設定信号復調部16から送られてくる、復調された周波数設定信号に基づき、発振源であるシンセサイザ171の発振周波数を可変制御する。
【0128】
この制御からも分かるように、本実施形態では、複数のフィルタの選択信号として、端局装置30が周波数シンセサイザ171の発振周波数を設定する周波数設定信号を用いるようにしている。この場合、フィルタ選択制御用として別の周波数をわざわざ使わないため、構成を簡略化でき、誤動作に対する信頼性も高めることができる。
【0129】
上記制御によりシンセサイザ171より発振されたローカル信号は、分配器172により分配され、それぞれ、送信部13内の送信ミキサ134と受信部14内の受信ミキサ143に送出される。
【0130】
以後、この加入者無線局100では、アンテナ11に切り替え接続された送信フィルタ部123内の該当フィルタ及び受信フィルタ部124内の該当フィルタによる周波数選択動作と、ローカル発生部17に新たに設定されたローカル信号に基づく周波数変換処理(アップコンバージョン及びダウンコンバージョン)とによって、外部端末50の使用周波数設定操作に応じた周波数変更に伴う無線送受信を実行できるようになる。
【0131】
次に、アンテナ共用器12におけるフィルタ選択動作についてより詳しく説明する。
【0132】
図9は、図2における加入者無線局100のアンテナ共用器12の詳細構成を示すブロック図である。このアンテナ共用器12は、サーキュレータ121、切替スイッチ122−1,122−2,122−3,122−4、送信フィルタ部123、受信フィルタ部124を具備して構成される。
【0133】
送信フィルタ部123は、それぞれ異なる周波数通過帯域特性を有するバンドパスフィルタ123a,123b,123cから成り、同じく、受信フィルタ部124は、それぞれ異なる周波数通過帯域特性を有するバンドパスフィルタ124a,124b,124cから成る。
【0134】
切替スイッチ122−1,122−2は、周波数設定信号復調部16から送られてくる周波数設定信号に基づき協調して動作し、送信フィルタ部123内のフィルタ123a,123b,123cの内のいずれか1つをサーキュレータ121への送信経路中に介挿せしめるようフィルタ選択動作を行う。
【0135】
同様に、切替スイッチ122−3,122−4は、周波数設定信号復調部16から送られてくる周波数設定信号に基づき協調して動作し、受信フィルタ部124内のフィルタ124a,124b,124cの内のいずれか1つをサーキュレータ121からの受信経路中に介挿せしめるようフィルタ選択動作を行う。
【0136】
なお、アンテナ共用器12では、切替スイッチ122−1,122−2によるフィルタ選択動作と、切替スイッチ122−3,122−4によるフィルタ選択動作は、周波数設定信号復調部16から送られてくる周波数設定信号に基づき、送信フィルタ部123、受信フィルタ部124が、その中にある送受フィルタA,B,Cのいずれか1つを送受セットで選択するという方法で実施される。
【0137】
図10は、図9における共用器12内部のフィルタ特性を示す図である。特に、同図(a)は、送信フィルタ部123におけるフィルタ123a,123b,123cのフィルタ特性を示すものであり、それぞれ、送信帯域a,送信帯域b、送信帯域cの周波数信号を通過させ得るものとなっている。
【0138】
また、同図(b)は、受信フィルタ部124におけるフィルタ124a,124b,124cのフィルタ特性を示すものであり、それぞれ、受信帯域a,受信帯域b、受信帯域cの周波数信号を通過させ得るものとなっている。
【0139】
図9に示す構成のアンテナ共用器12を備えた加入者無線局100では、外部端末50との通信手段(通信処理部38)を備え、この外部端末50からの使用周波数設定操作によって、図10に示すフィルタ特性の範囲内で送信周波数及び受信周波数を容易に変更させることができる。
【0140】
かかる構成においては、予め全周波数帯域での特性試験を行っておくことで、一旦、加入者無線局100を製造した後であっても、使用周波数の変更要求に対して、該加入者無線局100を分解してフィルタ部品を交換する等の作業は行う必要が無く、また、新たに周波数特性試験を行うことなく、転用することが可能となる。
【0141】
なお、第3の実施形態では、送信及び受信共に3つのフィルタ(図9参照)を用意し、選択帯域も図10に示す特性を与えているが、フィルタの数及び選択帯域はこれらの組み合わせに限られるものでない。
【0142】
これにより、例えば、図2あるいは図5に示した周波数プランに沿ったフィルタ数及び帯域選択特性を有するフィルタ構成とした場合には、外部端末50から使用周波数の設定操作を行うのみで、同周波数プラン沿った周波数配置を容易に実現できるようになる。
【0143】
なお、上記実施形態では、送信系と受信系とで周波数シンセサイザ171を共用しているが、周波数シンセサイザ171を送信系と受信系とにそれぞれ対応して設け、発振周波数可変設定制御を独立に行うようにしても良い。
【0144】
また、上記実施形態では、周波数シンセサイザ171の発振周波数可変設定に係わる制御系と、アンテナ共用器内のフィルタ選択に係わる制御系とを共用化しているが、これら制御系を別々に設ける(送信フィルタ部123,受信フィルタ部124内の各フィルタを選択するためのフィルタ選択制御信号を、周波数シンセサイザ171の発振周波数を可変設定するため信号(周波数設定信号)とは独立して配布する)ようにしても良い。
【0145】
このように、第3の実施形態では、加入者無線局100の無線装置10において、中間周波数から無線周波数への周波数変換を行うローカル発振器をシンセサイザとし、端局装置30からの制御信号によりローカル周波数を可変設定するようにしたため、加入者無線局100の増加などに伴って基地局200の追加に迫られた時に、基地局200と加入者無線局100の再配置を極めて容易に行うことが可能となる。
【0146】
また、上記無線装置10を、異なる通過帯域特性を持つ複数のフィルタを選択的に切り替えることにより周波数選択を行う構成としたため、従来のように、装置を分解してフィルタ部品を交換する等の面倒な作業を行わなわずに、外部装置50からの通信機能を用いて簡単に周波数を変更でき、この点も、上述した基地局200の再配置の容易化に貢献することになる。
【0147】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基地局と加入者無線局間の上りの無線回線を小容量かつ多周波数繰り返しによる無線チャネルで構成すると共に、下りの無線回線を、上りの無線回線よりも大容量かつ少周波数繰り返しによる無線チャネルで構成し、上りの無線回線と下りの無線回線の繰り返し周波数を非対称にしたため、上りの無線回線と下りの無線回線のC/Iをほぼ等しくしつつ、下りの無線回線の伝送容量を大きくでき、インターネットサービス等、下り回線が上り回線よりも大きな伝送容量を必要とする各種通信サービスにも容易に適合できる。
【0150】
また、本発明によれば、加入者無線局は、アンテナ共用器内における複数の帯域通過フィルタを選択的にアンテナへ接続する制御、及び送信部及び受信部での周波数変換に用いるローカル信号を発生する周波数シンセサイザの発振周波数を可変設定する制御を、外部端末との通信機能を利用して行える構成を有するため、フィルタ部品を交換する等の煩雑な作業を要せずに加入者無線局の無線装置の使用周波数変更に簡単に対処でき、基地局の追加等に伴う加入者無線局の再配置を容易に実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる無線アクセスシステムの全体構成を示す図。
【図2】第1の実形態に係わる周波数割当プランの一例を示す図。
【図3】第1の実施形態に係わる下り回線の周波数配置を示す概念図。
【図4】第1の実施形態に係わる上り回線の周波数配置を示す概念図。
【図5】第2の実形態に係わる周波数割当プランの一例を示す図。
【図6】第2の実施形態に係わる下り回線の周波数配置を示す概念図。
【図7】第2の実施形態に係わる上り回線の周波数配置を示す概念図。
【図8】第3の実施形態に係わる加入者無線局の構成を示すブロック図。
【図9】図8における加入者無線局のアンテナ共用器の構成を示す図。
【図10】図9のアンテナ共用器内に実装された各フィルタのフィルタ特性を示す図。
【図11】無線アクセスシステムにおける干渉の様子を示す概念図。
【図12】4セクタ4周波繰り返しの場合の周波数配置イメージを示す図。
【符号の説明】
100,100−1,100−2,100−3,100−4,100−11,100−12,100−13,100−14 加入者無線局
10 無線装置
11 アンテナ
12 アンテナ共用器
121 サーキュレータ
122−1,122−2,122−3,122−4 切替スイッチ
123 送信フィルタ部
123a 送信フィルタA
123b 送信フィルタB
123c 送信フィルタC
124 受信フィルタ部
124a 受信フィルタA
124b 受信フィルタB
124c 受信フィルタC
13 送信部
134 送信ミキサ
14 受信部
143 受信ミキサ
15 合成/分配器
16 周波数設定信号復調部
17 ローカル発生部
171 シンセサイザ
172 分配器
173 発振制御部
30 端局装置
31 合成/分配器
32 復調部
33 変調部
34 ベースバンド処理部
35 中央処理装置(CPU)
36 メモリ部
37 周波数設定信号変調部
38 通信処理部(COM)
39 外部インタフェース部(I/F)
40 制御バス
50 外部端末
200,200A,200B,200C 基地局
300 通信回線
400 交換機

Claims (5)

  1. サービスエリア全体をセルに区分けし、基地局と、該基地局と無線回線によりポイント−マルチポイント通信を行う複数の加入者無線局を前記セル毎に配置して成る無線アクセスシステムにおいて、
    前記加入者無線局から前記基地局方向への上りの無線回線を小容量かつ多周波数繰り返しによる無線チャネルで構成すると共に、
    前記基地局から前記加入者無線局方向への下りの無線回線を、前記上りの無線回線よりも大容量かつ少周波数繰り返しによる無線チャネルで構成し、
    前記上りの無線回線と前記下りの無線回線の繰り返し周波数を非対称にした
    ことを特徴とする無線アクセスシステム。
  2. 加入者無線局は、
    それぞれ異なる帯域通過特性を有する複数の帯域通過フィルタと、
    前記帯域通過フィルタとアンテナとの接続を切り替える切替スイッチと
    をアンテナ共用器内に備えると共に、
    前記切替スイッチを切替制御し、前記複数の帯域通過フィルタのいずれかを選択的に前記アンテナに接続するフィルタ選択制御手段
    を具備することを特徴とする請求項1記載の無線アクセスシステム。
  3. 加入者無線局は、
    送信部及び受信部が中間周波数と無線周波数間の周波数変換を行うために用いるローカル信号を発生する周波数シンセサイザと、
    前記周波数シンセサイザの発振周波数を可変設定する周波数可変設定制御手段と
    を具備することを特徴とする請求項2記載の無線アクセスシステム。
  4. 加入者無線局は、
    外部装置との通信の処理を行う通信処理手段と、
    前記外部装置から送出される周波数設定信号を前記通信処理手段を介して受信し、前記フィルタ選択制御手段及び前記周波数可変設定制御手段に転送する信号転送手段と
    を具備し、
    前記フィルタ選択制御手段及び前記周波数可変設定制御手段は前記周波数設定信号に基づき前記フィルタ選択及び前記発振周波数可変設定の制御を行う
    ことを特徴とする請求項3記載の無線アクセスシステム。
  5. 加入者無線局は、
    前記外部装置から受信される前記周波数設定信号を保持する保持手段
    を具備することを特徴とする請求項4記載の無線アクセスシステム。
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