以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図20は本発明の一実施形態にかかり、図1は蛇管を説明する図、図2は蛇管形成装置の説明及び作業者との位置関係を説明する上面図、図3は蛇管形成装置の説明及び作業者との位置関係を説明する側面図、図4は蛇管形成装置の固定側ユニット及び移動側ユニットを説明する図、図5は蛇管受けの構成例を説明する図、図6はピッチコンベアの構成を説明する側面図、図7はピッチコンベアの構成を説明する上面図、図8は受渡装置の構成を説明する上面図、図9は受渡装置の構成を説明する側面図、図10は受渡装置の作用を説明する図、図11は保持移動装置の構成を説明する正面図、図12は保持移動装置の構成を説明する側面図、図13は保持移動装置の公転モータ及び自転モータと保持部公転板及び保持部回転用歯車との関係を説明する図、図14は各装置の配置位置関係を説明する図、図15は加熱装置を説明する図、図16はフラックス塗布装置を説明する図、図17は半田付け装置を説明する図、図18は蛇管排出装置を説明する図、図19は蛇管形成装置を説明するブロック図、図20は公転モータ及び自転モータと各装置との動作関係を説明する図である。
なお、図1(a)は被覆蛇管を説明する図、図1(b)は図1(a)で示す所定部位に半田接合部を設けた蛇管の断面図、図16(a)はフラックス塗布装置のフラックス塗布部を説明する図、図16(b)はフラックス塗布装置と被覆蛇管との位置関係を説明する図、図17(a)は半田付け装置の半田付け部及び半田供給部を説明する図、図17(b)は半田付け装置の張力調整部を説明する図、図20(a)は公転モータの動作制御を説明する図、図20(b)は自転モータの動作制御を説明する図、図20(c)は受渡位置における動作制御を説明する図、図20(d)は加熱位置における動作制御を説明する図、図20(e)はフラックス塗布位置における動作制御を説明する図、図20(f)は半田付け位置における動作制御を説明する図、図20(g)は冷却位置における動作制御を説明する図、図20(h)は配置出位置における動作制御を説明する図、図20(i)は蛇管排出装置の動作制御を説明する図、図20(j)は受渡装置の動作制御を説明する図、図20(k)はピッチコンベアの動作制御を説明する図である。
図2以下で詳細に説明する本実施形態の蛇管形成装置は、図1(a)に示す被覆蛇管1の所定部位2a、2bに、図1(b)に示すような半田接合部3を設け、螺旋管4と網状管5とを一体的に接合固定した蛇管6を形成する装置である。
前記被覆蛇管1は螺旋管4の外周に網状管5を被覆配置して形成したものであり、両端部には図1(a)に示すように加工工程の際に使用するための輪部7が設けられている。この輪部7は、例えばステンレス製細線を編み込んで所定の剛性を持たせて開口を有するように形成したものであり、この開口が略同方向を向くように、両端部にかしめ固定等で一体的に固設してある。
前記蛇管形成装置で加工される被覆蛇管1の直径寸法及び長さ寸法は内視鏡の使用用途毎に異なっており、直径寸法は3mm〜15mmの範囲で複数種類ある。長さ寸法Lについては900mm〜3000mmの範囲である。
また、図中の寸法L0は先端側半田接合部3aの後端側と後端側半田接合部3bの先端側との間の半田部間長を示し、公差が厳しく設定されている。この半田部間長L0も使用用途毎に異なり、100種類以上の設定値の中から所定寸法が指示されるものである。なお、この半田部間長は蛇管6を所定の引張力で引っ張った状態における長さ寸法をいう。
さらに、前記所定部位2aに設ける半田接合部3aの幅寸法は3種類の中から設定され、前記所定部位2bに設ける半田接合部3bの幅寸法は所定の幅寸法に限定されている。
又、以下の説明で図中の寸法L1を先端長と記載し、図中の寸法L2を後端長と記載する。そして、この先端長についても内視鏡の使用用途によって異なるものであり、長・短の2種類がある。一方、後端長L2は蛇管長L3によって変化するものであり、この蛇管長L3は設定値に対して0mmから例えば200mmの範囲に収まる寸法で設定される。
図2及び図3に示すように蛇管形成装置10は、被覆蛇管1の所定部位2a、2bに半田接合部3a、3bを形成する半田接合部形成装置11と、前工程で形成された被覆蛇管1が配置される蛇管供給装置であるピッチコンベア12と、このピッチコンベア12によって供給される被覆蛇管1を前記半田接合部形成装置11に受け渡す受渡装置13と、前記半田接合部形成装置11で形成された蛇管6を収容する蛇管受け14とで主に構成されている。なお、前記被覆蛇管は作業者の手によってピッチコンベア12に配置される。
前記蛇管形成装置10は、900mmないし3000mmの長さ寸法の被覆蛇管1の所定部位2a、2bに半田接合部3a、3bを形成するため、所定位置に固定配置される固定側ユニット21と、この固定側ユニット21に対して移動可能な移動側ユニット31とで構成されている。
前記ユニット21、31にはそれぞれユニット本体22、32が設けられており、それぞれのユニット本体22、32の一側方側に、一対のピッチコンベア12及び受渡装置13が対向する位置関係で一体に取り付けられている。また、前記蛇管受け14も前記ピッチコンベア12及び受渡装置13と同様、前記ユニット本体22、32の一側方側に設けられている。さらに、前記ユニット本体22、32には半田接合部3a、3bを形成する接合装置本体20がそれぞれ設けられている。又、前記ユニット本体22、32には前記ピッチコンベア12、受渡装置13及び接合装置本体20を所定制御する各種電子部品等を配設した制御盤15が一体に設けられている。
前記固定側ユニット本体22には操作指示入力や操作状態の確認を行える操作部16が設けられ、この操作部16近傍に配置された作業机17上には所定の加工寸法の蛇管6を形成するための作業情報を後述する主コンピュータから選択して後述するPLCに転送する作業用パソコン(以下、作業用PCと略記する)17aやこの作業用PC17aに接続されて作業指示書に記載又は添付されている情報が記載されたラベルを読みとる例えばバーコード等の情報読み取り装置17b等が設置されている。符号18は作業テーブルであり、符号19は集塵装置である。
図2ないし図4に示すように前記固定側ユニット21は、前記固定側ユニット本体22と、この固定側ユニット本体22が載置固設される固定側設置台23とで構成されている。一方、前記移動側ユニット31は、移動側ユニット本体32と、この移動側ユニット本体32が摺動載置されるレール部35及びこのレール部35に載置された前記移動側ユニット本体32を移動させる例えばボールネジ機構部34を設けた移動側設置台33とで構成されている。
前記ボールネジ機構部34は、サーボユニット34a内に配置されている図示しないサーボモータの駆動力によって、前記移動側ユニット本体32がこの移動側設置台33上の長手軸方向であるX軸方向の任意の位置まで自在に移動する。
なお、前記移動側ユニット本体32が前記移動側設置台33上を移動するとき、この移動側ユニット本体32に一体に設けられている前記ピッチコンベア12、受渡装置13、蛇管受け14及び接合装置本体20も移動する。そして、本実施形態の蛇管形成装置10では、前工程から持ち込まれた被覆蛇管1を加工する前に、これら被覆蛇管1とともに持ち込まれる前記ラベルを情報読み取り装置17bで読みとることによって、前記移動側ユニット本体32が前記移動側設置台33上を所定位置まで移動した後、停止保持される構成になっている。
ここで、蛇管形成装置10を構成する前記蛇管受け14、前記ピッチコンベア12、前記受渡装置13、前記接合装置本体20の構成を順に説明する。
図5を参照して蛇管受け14を説明する。
前記蛇管受け14は、例えば図に示すようにユニット本体22、32にそれぞれ固定される蛇管受け本体部14aと、それぞれの蛇管受け本体部14aに一端部が固定されて、複数の受け部材で伸縮自在に構成された中間受け部14bとで構成されている。
したがって、前記移動側ユニット本体32が前記移動側設置台33上を所定位置まで移動することによって、前記中間受け部14bの長さを変化させて長さ寸法の異なる蛇管6を収容できるようにしている。なお、中間受け部14bを伸縮自在な蛇腹部材等で構成するようにしてもよい。
図6及び図7を参照してピッチコンベア12を説明する。
図に示すように一対のピッチコンベア12は、それぞれ固定側ユニット本体22及び移動側ユニット本体32に設けられたコンベア取付部50に取付板51を介して固定されている。
具体的に、前記ピッチコンベア12は、前記取付板51と、この取付板51の所定位置に配設された駆動側スプロケット52及び回動自在な従動側スプロケット53と、これらスプロケット52、53に噛合する輪状に形成したローラチェーン54と、このローラチェーン54の所定位置に一体的に設けられて前記被覆蛇管1の輪部7が引っかけ配置される複数の被覆蛇管配設部59とで主に構成されている。
前記被覆蛇管配設部59は、前記ローラチェーン54に規則的に固設された複数の固定用ブロック59aと、この固定用ブロック59aから鉛直に立設した先端部を先細に形成したピン部材59bとで構成されている。
したがって、前記移動側ユニット本体32が前記移動側設置台33上を所定位置に移動配置させることによって、この移動側ユニット本体32に固設されているピッチコンベア12も所定位置に移動する。
前記駆動側スプロケット52は、駆動量を電気的に制御することが可能な例えばコンベア用インダクションモータ(以下、コンベアモータと略記する)55で駆動される。このコンベアモータ55の駆動力は、駆動力伝達用のベルト56を介して駆動軸52aに一体に設けられているプーリー57に伝達されるようになっており、このプーリー57が回転することによってローラチェーン54が回転移動する構成になっている。
したがって、前記コンベアモータ55を所定の制御で駆動させることによって、前記ピッチコンベア12のローラチェーン54に固設されている被覆蛇管配設部59が所定量ずつ前記X軸に直交するY軸方向の接合装置本体20側に移動していく。
そして、作業者によって作業テーブル18に載置されている被覆蛇管1の両端部に設けられている輪部7を、前記ユニット本体22、32に固設されている前記ピッチコンベア12の対向する被覆蛇管配設部59のピン部材59bにそれぞれ引っ掛け配置しておくことによって、前記コンベアモータ55を繰り返し駆動させることによって前記被覆蛇管配設部59が規則的に移動する。
そして、この被覆蛇管配設部59が移動を繰り返して供給位置に到達すると、前記受渡装置13によって供給位置に到達した被覆蛇管配設部59のピン部材59bに引っ掛け配置されている被覆蛇管1が、このピッチコンベア12から半田接合部形成装置11側に移動されるようになっている。
なお、前記ピッチコンベア12には被覆蛇管1の有無や、配置状態等を検出する各種センサー、スイッチ類が設けてあり、前記プーリー57にはこのプーリー57の回転量を計測するエンコーダ58が設けてある。そして、このエンコーダ58の計測値と前記コンベアモータ55の回転量とを常時比較して、前記ローラチェーン54の動作状態が正常であるか否かの監視を常に行い、異常を検知したときには異常検知信号を出力して作業者に異常状態であることを報知するようになっている。
また、前記輪部7をピン部材59bに引っかけ配置したとき、前記被覆蛇管1の被覆蛇管配設部59への配設状態は、被覆蛇管1の長さ寸法が異なるため、略張った状態で配設されるものや、やや弛んだ状態で配設される等の違い生じる。
図2ないし図4及び図8、図9を参照して受渡装置13を説明する。
図2ないし図4に示すように一対の受渡装置13は、それぞれ固定側ユニット本体22及び移動側ユニット本体32に設けられた2つの固定台60上に固定配置されている。
図8及び図9に示すように前記受渡装置13は、前記固定台60に固定配置されて前記Y軸方向に摺動するように摺動部を有する細長な摺動部本体61と、この摺動部本体61に摺動自在に配置されてピッチコンベア12の供給位置と半田接合部形成装置11の受渡位置との間を受渡用サーボモータ(以下、受渡モータと記載する)62aの駆動力によって矢印Aに示すように往復移動される移動部本体62と、この移動部本体62に対して矢印Bに示すように上下方向に空気圧によって摺動される把持用シリンダ64と、この把持用シリンダ64の下端側に設けられ、空気圧によって開閉動作して前記被覆蛇管1の所定位置を把持する把持部63とで主に構成されている。
したがって、前記移動側ユニット本体32が前記移動側設置台33上を所定位置に移動配置させることによって、この移動側ユニット本体32に固設されている受渡装置13も所定位置に移動する。
前記把持部63の所定位置には、前記ピン部材59bの先端部及び蛇管保持部(以下、保持部と略記する)40を構成する先端部が先細のフック(符号121)の先端部分が係入される先端面凹部である凹部65aを有する位置決め部材である位置決めピン65と、空気圧制御によって上下方向に移動自在で先端面が前記輪部7に当接するように幅広に形成した押し出し部材66とが配設されている。
前記位置決めピン65は上下方向に摺動する構成であり、本実施形態においては無負荷状態のとき図示しないバネ等の付勢力によってこの位置決めピン65が下方に押し出されるようになっている。したがって、図9に示すように前記把持部63によって破線に示すように被覆蛇管1を把持している状態のとき、前記位置決めピン65が前記被覆蛇管1に設けられている輪部7の開口を通過して突出した状態になる。
前記受渡装置13は、前記移動部本体62が前記摺動部本体61の半田接合部形成装置11側の受渡位置に位置して、前記把持用シリンダ64の下端に設けられている把持部63が上側位置に位置し、かつ前記把持部63を閉状態になっているときが待機状態である。
図9及び図10を参照して受渡装置13の動作を説明する。
図9に示すように把持部63で被覆蛇管1を把持して待機状態に位置している把持部63は、まず、把持用シリンダ64の摺動によって下降を開始する。そして、前記把持部63が所定高さまで降下したことを図示しない例えばタッチスイッチ等によって検出されると、前記把持部63が図9の破線に示すように所定位置に停止する。このとき、図9中の拡大図に示すように位置決めピン65の凹部65aにフック121の先端が係入配置された状態になる。
この状態で、その後、前記把持部63が閉状態から開状態になるとともに、押し出し部材66が下方に向かって移動する動作を行う。このとき、前記把持部63が閉状態から開状態に変わるとともに、前記押し出し部材66が下方に向かって移動することにより、前記被覆蛇管1がスムーズに鉛直下向に落下して、確実に輪部7がフック121に配置される。
そして、前記押し出し部材66が下方所定位置まで移動したことを図示しないセンサが検知すると、前記把持用シリンダ64が摺動を開始して開状態の把持部63を初期位置まで上昇させていく。この後、前記把持部63が待機状態位置に到達すると、図10に示すように受渡位置に配置されていた移動部本体62が供給位置に向かって移動する。
移動を開始した移動部本体62が供給位置に到達して停止すると、把持用シリンダ64が摺動して把持部63を下降させる。そして、この把持部63が所定高さまで降下したことを図示しないタッチスイッチ等で検知することによって所定位置に停止する。このとき、前記位置決めピン65の凹部65aに前記ピン部材59bの先端が係入配置された状態になる。その後、把持部63が開状態から閉状態になってピッチコンベア12の供給位置に配置されている被覆蛇管1の所定位置を把持する。
そして、この把持部63による被覆蛇管1の把持が図示しないセンサによって確認されると、前記把持用シリンダ64が摺動して被覆蛇管1を把持した状態の把持部63を待機状態位置の高さまで上昇させた後、移動部本体62を供給位置から受渡位置に移動させて待機状態に戻る。なお、前記把持部63によって被覆蛇管1を把持しているとき、位置決めピン65は輪部7の開口を通過して突出した状態になっている。
なお、符号69は前記摺動部本体61に固定されて、前記移動部本体62の移動範囲を設定するセンサーであり、供給位置設定用及び受渡位置設定用の2つが移動設置可能に設けられている。また、この受渡装置13には前記センサー69の他にも把持部63の把持状態、押し出し部材66の没位置、把持部63の上下方向位置等を検出する各種センサー、スイッチ等が設けられている。さらに、前記把持部63を摺動部68に矢印Cに示すように摺動自在に配置してX軸方向に対して移動自在な構成にしている。
図2ないし図4及び図11ないし図17を参照して接合装置本体20を説明する。
前記図2ないし図4で示すように前記接合装置本体20は、前記受渡装置13から受け渡される被覆蛇管1を後述する保持部自転手段で回転状態で保持する6つの保持部40と、これら保持部40の配置位置を同心円上で所定方向に所定角度ずつ回転移動させる保持部公転移動手段である保持移動装置41と、前記保持部40に保持された被覆蛇管1の所定部位2a、2bを加熱する加熱装置42と、この加熱装置42で加熱された所定部位2a、2bにフラックスを塗布するフラックス塗布装置43と、このフラックス塗布装置43でフラックスの塗布されている所定部位2a、2bに所定幅寸法の半田付けを行う半田付け装置44と、この半田付け装置44によって設けられた半田接合部3a、3bを冷却する冷却装置45とで主に構成されている。
これら保持移動装置41、加熱装置42、フラックス塗布装置43、半田付け装置44及び冷却装置45は、前記Y軸を挟んで対向する位置関係となるように前記固定側ユニット本体22及び前記移動側ユニット本体32にそれぞれ配置されている。
まず、図11ないし図13を参照して保持移動装置41について説明する。
図に示すように前記保持移動装置41には6つの保持部40が同心円周方向に所定角度間隔で配設されている。具体的に、保持移動装置41は、前記保持部40が規則的に配置される、例えば貫通孔を有する、円板状の保持部取付板122と、この保持部取付板122を所定角度ずつ回転移動させるための回転量を電気的に制御することが可能な公転駆動手段である取付板用サーボモータ(以下、公転モータと記載する)123と、前記保持部取付板122に取り付けられている保持部40のフック121を回転させる回転量を電気的に制御可能な保持部駆動手段である保持部回転用モータ(以下、自転モータと記載する)124と、この自転モータ124の駆動力を前記フック121に伝達するための駆動力伝達手段である伝達用歯車136とで主に構成されている。
これら保持部40は、前記公転モータ123によって同心円上を所定方向に所定角度ずつ回転移動することによって、加熱作業位置(以下、加熱位置とも記載する)、フラックス塗布作業位置(以下フラックス塗布位置とも記載する)、半田付け作業位置(以下、半田付け位置とも記載する)及び冷却作業位置(以下、冷却位置とも記載する)に加えて、半田接合部を設けて一体に接合固定された蛇管6を前記蛇管受け14に向けて落下させる蛇管排出作業位置(以下、排出位置とも記載する)、前記被覆蛇管1を受渡装置13からこの保持移動装置41に受け渡す受渡作業位置(以下、受渡位置とも記載する)に順次、移動配置されるようになっている。
なお、図中の停止位置はそれぞれ、上方作業者側が排出位置、上方奥側が受渡位置、中央作業者側が冷却位置、中央奥側が加熱位置、下方作業者側が半田付け位置、下方奥側がフラックス塗布位置である。そして、それぞれの保持部40は正面から見たとき矢印Dに示すように図中時計方向に回転移動されて作業位置を次々に変えていく。また、前記排出位置に保持部40が停止しているとき、蛇管排出装置46の後述する取り出し部は矢印Eに示すように斜め所定方向に移動するようになっている。さらに、前記受渡位置に保持部40が停止しているとき、受渡装置13の把持部63は矢印Fに示すように鉛直方向に移動するようになっている。
図12に示すように前記保持部取付板122に配設される前記保持部40は、レール部126aを有する保持部本体126と、この保持部本体126のレール部126aに摺動自在に配設されて、前記フック121を先端部に固設した細長な軸部材125の先端部が固定配置される先端側保持部127と、前記保持部本体126の基端部に設けら、後述するエアーシリンダの取付部を兼ねる軸受部128と、この軸受部128に回動自在に配設されて、前記軸部材125を回転させるフック回転用歯車135とで主に構成されている。
前記保持部40は、固定側ユニット本体22に設けるものと移動側ユニット本体32に設けるものとで構成が異なっている。つまり、前記移動側ユニット本体32側に設ける保持部40では、前記軸受部128にエアーシリンダが固設される。このエアシリンダーは、第1張力保持手段となる前記軸部材125の先端部に固設されているフック121のX軸方向に対する位置を変化させてフック121に配置された被覆蛇管1を所定の張力で張った状態することを主目的とする引張用シリンダ129であり、前記先端側保持部127をレール部126a上で進退移動させる。
また、この移動側ユニット本体32側の保持部40を構成する前記保持部取付板122及び前記軸受部128には、前記軸部材125を前記引張用シリンダ129によって摺動可能な状態又は所定位置に移動させた状態で保持固定して前記軸部材125を回転可能に軸支するボールスプラインと呼ばれる軸支持部材130が設けられており、この軸支持部材130に前記軸部材125は挿通配置されるとともに軸受部128に設けた軸支持部材130には前記フック回転用歯車135が固設されている。
つまり、図4に示すように前記固定側ユニット本体22に設けた保持部40ではフック121が摺動することなく固定配置された構造であるのに対し、前記移動側ユニット本体32に設けた保持部40では引張用シリンダ129によって先端側保持部127を軸受部128側に移動させてフック121の位置を変えられる構造になっている。このことによって、移動側ユニット本体32に設けられる保持部40のフック121の位置を変化させることで、ユニット本体22、32の保持部40のフック121に配置されている被覆蛇管1の張り状態の調整を行える。
一方、前記保持部40が配設される保持部取付板122は、所定長さ寸法のスペーサー131を介して保持部公転板132に一体的に固定されている。この保持部公転板132は、前記公転モータ123によって回転される第1中空軸133の先端側に設けられているフランジ部133aに一体的に固定されている。
この保持部公転板132の所定位置には前記保持部取付板122側に突出する軸部134が6箇所設けられている。これら軸部134には前記フック回転用歯車135に噛合する駆動力伝達手段である伝達用歯車136が回動自在に取り付けられている。この伝達用歯車136は、前記第1中空軸133の内孔に配置されている第2中空軸140の先端部に配置されている保持部回転用歯車138とも噛合している。
前記第2中空軸140は、自転モータ124の回転駆動力によって回転されるようになっており、この自転モータ124が回転することによって、図11の矢印Gに示すように前記保持部回転用歯車138が回転して、伝達用歯車136がそれぞれ矢印H方向に回転して、フック回転用歯車135によって回転されるフック121が矢印J方向に回転状態になる。
図13に示す前記公転モータ123はサーボモータであり、この公転モータ123の駆動力はベルト123aを介して第1中空軸133の中間部に一体固定されている取付板回転用プーリー137に伝達される。したがって、この取付板回転用プーリー137に所定方向に回転する駆動力が伝達されて第1中空軸133が所定量回転することによって、この第1中空軸133のフランジ部133aに一体な保持部公転板132が回転する。
そして、この保持部公転板132を、矢印D方向に60度ずつ回転させるように公転モータ123を駆動制御することよって、この保持部公転板132に一体な保持部取付板122も同方向に向かって所定角度回転して、全ての保持部40の位置が次の作業位置に変化する。
一方、前記自転モータ124もまた、前記公転モータ123と同様、サーボモータであり、この自転モータ124の所定方向に回転する駆動力はベルト124aを介して保持部回転用プーリー139に伝達される。この保持部回転用プーリー139は、前記第1中空軸133の内孔に配置されている第2中空軸140の後端部に一体固定されている。したがって、前記保持部回転用プーリー139に駆動力が伝達されて前記第2中空軸140が回転することによって、前記保持部回転用歯車138が回転する。
なお、前記プーリー137、139には前記プーリー57と同様に、プーリー137、139の回転量を計測する図示しないエンコーダが設けてある。そして、このエンコーダの計測値と前記モータ123、124の回転量とを常時比較して、動作状態が正常であるか否かの監視を常に行い、異常を検知したときには異常検知信号を出力して作業者に異常状態であることを報知するようになっている。
この保持部回転用歯車138の回転は、6つの伝達用歯車136を介して前記保持部40を構成するフック回転用歯車135へ伝達されて、全ての軸支持部材130が同時に回転される。このとき、この軸支持部材130が軸部材125を固定保持している状態であれば、この軸部材125が軸支持部材130によって回転されて、前記フック121が回転状態になる。
そして、前記自転モータ124の回転を停止させたとき、前記図11に示したように受渡位置に位置する保持部40のフック121先端が、前記把持部63に設けられた位置決めピン65の凹部65aに対向するように停止制御される。なお、この停止制御を行うことによって、他の作業位置に停止した保持部40のフック121先端は、前記受渡作業位置に位置するフック121先端の向く方向とは異なる所定方向を向くようになっている。
図14ないし図17を参照して移動側ユニット本体32側に設けられる加熱装置42、フラックス塗布装置43、半田付け装置44及び冷却装置45について説明する。
図14及び図15に示すように加熱装置42は、カートリッジヒーター71を箱体72内に配設したヒーター部73と、このヒーター部73を構成する箱体72の一端部側に配置され、この箱体72の他端部側に形成されている吹き出し口72aから前記ヒーター部73の熱を加熱位置に位置する被覆蛇管1の接合箇所近傍に熱風を吹きつける送風機74と、この送風機74及び前記ヒーター部73を一体に取り付ける第1取付板75とで構成されている。なお、この第1取付板75と、送風機74及び前記ヒーター部73との間には断熱板79が配置される。また、この加熱装置42は、後述するフラックス塗布装置43を構成する単軸ロボット150の筐体部151に第2取付け板152を介して所定の位置に一体に固設されている。このことによって、前記吹き出し口72aが被覆蛇管1の所定部位2a、2bに対向する。
次に、フラックス塗布装置43について説明する。
図14及び図16に示すようにフラックス塗布装置43は、フラックス塗布部80Aと、このフラックス塗布部80Aにフラックスを供給するフラックス供給部80Bと、フラックス塗布部80Aを上下方向に移動させるフラックス用単軸ロボットである第1単軸ロボット150とで主に構成されている。
前記フラックス塗布部80Aは、前記被覆蛇管1を配置させるための凹部81aを対向する側面部に形成した容器体81と、この容器体81の所定位置に突出するように設けられ、フラックス供給孔82aに連通してフラックスを塗布するノズル寸法を所定値に設定したフラックス用ノズル82と、前記容器体81の外側の少なくとも反フック121側に配置されて被覆蛇管1を支持する配置凹部83aを有する上下方向に移動自在に構成された前記被覆蛇管1が振れるのを防止する被覆蛇管支持体83とで主に構成されている。
前記容器体81の底部には前記フラックス用ノズル82から所定量隆起するように噴出して容器体81の底部に零れ落ちるフラックスを回収するフラックス回収孔84が形成されている。一方、この容器体81の側部には容器内に充満するフラックスから発生するガスを外部に排気する排気用孔85が形成されている。前記フラックス供給孔82aには前記フラックス供給部80Bから延出するフラックス供給管86が接続され、前記フラックス回収孔84には前記フラックス供給部80Bから延出するフラックス排出管84aが接続され、前記排気用孔85には排気チューブ85aが接続されている。
前記容器体81は、容器取付部材89を介して前記第1単軸ロボット150の上下方向に摺動自在な摺動部153に固設されている。したがって、第1単軸ロボット150によって容器体81の位置を上下方向に摺動させることによって、この容器体81に設けられているフラックス用ノズル82を被覆蛇管1の径寸法に対して最適なフラックス塗布位置に配置制御することができる。そして、この容器体81は、被覆蛇管1の径寸法によって異なる上位置であるフラックス塗布位置と、下位置であるフラックス待機位置との間を往復移動するように制御される。
一方、前記フラックス供給部80Bには、前記フラックス供給管86及びフラックス排出管84aが接続されている。このフラックス供給部80Bにはフラックスを貯溜するフラックスタンク87が設けられており、このフラックスタンク87に貯溜されているフラックスはフラックス供給用ポンプ88を駆動することによって前記フラックス供給管86を介して供給することができるようになっている。前記フラックス供給管86にはフラックス制御バルブ86bが設けられており、このフラックス制御バルブ86bを制御することによって、フラックス供給状態と、供給停止状態とに切り換えられるようになっている。つまり、フラックス制御バルブ86bを制御してフラックス供給状態にすることによって、フラックス用ノズル82からフラックスが流れ出るようになっている。
図14及び図17(a)に示すように半田付け装置44は、半田付け部90Aと、前記半田付け部90Aに半田を供給する半田供給部90Bと、前記半田付け部90Aを上下方向に移動させる半田用単軸ロボットである第2単軸ロボット160と、図17(b)に示す前記被覆蛇管1の張力を所定の値に保持する張力調整部90Cとで主に構成されている。
前記半田付け部90Aは、前記フラックス塗布装置43でフラックスの塗布されている被覆蛇管1が略接触配置されるノズル幅寸法を所定の幅寸法に設定した半田付け用ノズル91と、前記被覆蛇管1を支持する少なくとも前記半田付け用ノズル91の反フック121側に配置される配置凹部92aを有し上下方向に移動自在に構成された前記被覆蛇管1が振れるのを防止する被覆蛇管支持体92と、前記被覆蛇管1に対して矢印Kに示すように複数回回動移動して当接することにより所定部位2a、2bに塗布された余分な半田を滴下させる半田量調整部材93とで構成されている。なお、符号94は前記半田付け用ノズル91の周囲を覆うように配置された箱体である。
前記半田用ノズル91の先端面からは溶融状態の半田がわずかに隆起するように噴出する構成であり、前記半田付け用ノズル91に配置された被覆蛇管1が所定回数回転することによって、接合部分2a、2bに所定量の半田が塗布される。
前記半田供給部90Bは、溶融状態の半田が貯溜される図示しない半田槽と、この半田槽に貯溜されている半田を供給する前記半田用ノズル91に連結された半田供給パイプ98と、この半田供給パイプ98を介して前記半田用ノズル91から半田を噴流させる半田噴流ポンプ部99とで主に構成されている。この半田噴流ポンプ部99はON/OFF制御が可能であり、ON制御することによって半田用ノズル91から半田が噴流した状態になり、OFF制御することによって半田用ノズル91からの半田噴流が停止される。なお、前記半田用ノズル91は半田接合部3aの幅寸法に合わせて交換自在な構成になっている。また、前記半田槽には半田を溶融させるヒーターが備えられており、このヒーターはタイマーによってON制御されるようになっている。そして、蛇管形成装置10をオフ状態にすることによって半田槽のヒーターもオフ状態になって生産終了後の半田槽の不要な加熱が防止される。なお、蛇管形成装置10をオフ状態にした場合でも前記タイマーは動作する構成であり、作業開始時には半田が溶融状態になって、段取り時間の短縮を図っている。
前記半田付け部90A及び半田供給部90Bは、ノズル取付部材95を介して前記記第2単軸ロボット160に上下方向に摺動自在に構成された摺動部163に固設されている。第2単軸ロボット160によって半田付け用ノズル91の位置を上下方向に摺動させることによって、この半田付け用ノズル91を被覆蛇管1の径寸法に対して最適な半田付け位置に配置制御することができる。そして、前記半田付け用ノズル91は径寸法によって異なる上位置である半田付け位置と、下位置である半田付け待機位置との間を往復移動するように制御される。
図17(b)に示すように前記張力調整部90Cは、支柱181と、この支柱181に配設されるレール部182aを備えた調整部本体182と、この調整部本体182のレール部182a上に摺動自在に配置されて半田作業位置に配置されている保持部40を構成する前記先端側保持部127を係止する係止部183aを有する係止部材183と、この係止部材183を所定の制御空気圧で移動させて前記被覆蛇管1の半田付け作業時の張力を所定の値に高精度に設定することが可能な第2張力保持手段である低摩擦シリンダ184とで構成し、この低摩擦シリンダ184による張力値が所定の値であるか否かを電気的に判定するロードセル等のセンサを前記掲示部材183aに一体に設けている。
図14に示すように冷却装置45は、いわゆるファンを有する送風機101であり、この送風機101から送られる空気の流れによって半田接合部3a、3bに設けられた半田を冷却する。なお、この送風機101は第3取付板102によって前記半田付け装置44を構成する単軸ロボット160の筐体部161に第4取付け板162を介して一体に固設されている。
なお、前記ユニット本体22、32に配設されている前記第1単軸ロボット150及び第2単軸ロボット160は、X軸方向に対して移動するように配置されている第3単軸ロボット170の摺動部173に固定されている固定板174上に配置されている。したがって、この第3単軸ロボット170の摺動部173を移動させることによって、前記固定板174上に配置されている第1単軸ロボット150及び第2単軸ロボット160のX軸方向の位置を変化させられる。つまり、前記第3単軸ロボット170を制御することによってノズル82、91のX軸方向の配置位置が変化する。
図2ないし図4及び図18を参照して蛇管排出装置46を説明する。
図に示すように蛇管排出装置46は、前記ユニット本体22、32にそれぞれ固定される矢印Lに示すように所定角度回動移動する回転ハンド111を有する排出装置本体112と、この排出装置本体112の回転ハンド111に矢印Mに示すように進退自在に設けられ、先端部に開閉自在な取り出し部113を備えたスライドテーブル114とで構成されている。なお、前記排出装置本体112には前記回転ハンド111をX軸方向所定側に移動させて前記取り出し部113を所定量スライド移動させるX軸方向スライドテーブル(不図示)が設けられている。なお、図の実線に示す状態が待機位置であり、このとき、取り出し部113は閉状態になっている。
前記取り出し部113が開状態になって、半田接合部3a、3bが形成された蛇管6を保持した保持部40が蛇管排出位置に停止すると、前記蛇管排出装置46では、待機位置に位置していた取り出し部113を移動させるためスライドテーブル114を前記蛇管6に向けて前進移動させる。そして、この取り出し部113が所定位置まで移動されて停止すると、開状態の取り出し部113が閉状態に切り替わる。このことによって、取り出し部113によって蛇管6の所定位置が把持される。
ここで、この取り出し部113が蛇管6を把持したことを図示しないセンサが検知すると、前記X軸方向スライドテーブルが駆動される。このことによって、前記取り出し部113によって把持されていた蛇管6が図中手前側にスライド移動する。このとき、前記保持部40の引張用シリンダ129及び軸支持部材130はフリー状態であり、軸部材125が摺動自在な状態になっている。
次に、把持位置に停止していたスライドテーブル114が後退移動を開始することによって、フック121から蛇管6の輪部7が取り外される。この後、前記スライドテーブル114が待機位置まで戻り、その後、回転ハンド111が蛇管落下位置まで回動移動していく。そして、停止後、再び前記スライドテーブル114を前進移動させ、このスライドテーブル114が所定位置まで移動して停止すると略同時に閉状態であった取り出し部113を開状態にする。このことによって、前記取り出し部113によって把持されていた蛇管6が落下して蛇管受け14に収容される。
ここで、蛇管形成装置10の制御系を説明する。
図19に示すように前記蛇管形成装置10には、操作スイッチ等を設けた前記操作部16と、固定側ユニット本体22及び移動側ユニット本体32に設けられた制御盤15と、作業机17に配置された前記作業用PC17aや前記情報読み取り装置17bと、この作業用PC17aに接続された記憶手段である主コンピュータ(以下、主PCと記載)100と、図示しない副操作部等が設けられている。
前記制御盤15には各種センサーやスイッチから出力される信号が入力される信号検知部や、これら検出信号を基に各装置を構成する各種シリンダや、サーボモータ等の駆動部を駆動する駆動制御部が設けられている。これら駆動制御部は前記固定側ユニット本体22の制御盤15に設けられているプログラマブル・ロジック・コントローラ(以下、PLCと略記する)110と呼ばれる制御部によって制御される。つまり、前記蛇管形成装置10の一連動作は、前記PLC110によって行われるようになっており、このPLC110から出力される指示信号に基づいて、移動側ユニット本体32の位置制御から始まって、この移動側ユニット本体32及び固定側ユニット本体22に設けられているピッチコンベア12、受渡装置13、接合装置本体20等の動作が制御される。
ここで、前記PLC110によって制御される蛇管形成装置10の公転モータ123の駆動が停止されてから、駆動され、再び停止するまでの1サイクルの間の各装置の動作を説明する。
まず、公転モータ123と自転モータ124との間の動作関係を説明する。
図20(a)に示すように公転モータ123は1サイクルの間、所定時間駆動制御された後、所定時間停止制御される。そして、この制御が繰り返し行われることによって前記保持部40が次々と作業位置を変えていく。前記1サイクルの時間は、前記ラベルを読みとって主PC100から選択した全長、先端長、半田部間長、外径寸法等の半田接合部情報に対応する加熱時間、フラックス塗布時間、半田付け時間、冷却時間等の加工情報と、受渡作業時間又は排出作業時間とによって決定される。そして、図20(b)に示すように自転モータ124は、前記公転モータ123が停止すると略同時に所定時間停止制御された後、所定時間駆動制御されるようになっている。
前記自転モータ124が停止している時間は、被覆蛇管1の保持部40への受渡し及び保持部40からの蛇管6の取り出しを行うためのものである。つまり、この自転モータ124の停止時間は、実際の作業を考慮して決められるもので、半田接合部情報や加工情報によって設定されるものではない。
前記ユニット本体22、32に設けられている公転モータ123は、PLC110によって電気的に同期制御される。つまり、PLC110からユニット本体22、32の公転モータ123に駆動指示信号を同時に出力して、同時に回転を開始させるとともに、同時に回転を停止させて、ユニット本体22、32に設けられている保持部40を回転移動させて作業位置を変える動作を行う。
これに対して、自転モータ124については、固定側ユニット本体22に設けられている自転モータ124だけがPLC110から出力された駆動信号によって電気的に制御される。そして、移動側ユニット本体32に設けられている自転モータ124の制御を、前記固定側ユニット本体22の自転モータ124の実際の回転動作を検出し、その検出信号を基に移動側ユニット本体32の自転モータ124を動作させて同期をとるようにしている。したがって、ユニット本体22、32にそれぞれ設けられている自転モータ124は厳密には同期制御ではなく、電気信号が固定側ユニット本体22から移動側ユニット本体32に伝送される分だけ遅延していることになる。しかし、この制御によって、ユニット本体22、32にそれぞれ設けられている自転モータ124は略同時に回転を開始するとともに略同時に回転を停止するばかりでなく、確実に同じ量だけ回転する。このことによって、保持部40を受渡作業位置に配置したとき、この保持部40のフック121の先端が、前記把持部63の下降線に対向した同じ方向必ず向くように停止制御される。また、フック121に引っ掛け配置されている被覆蛇管1及び蛇管6が捻れた状態になることを確実に防止している。
次に、モータ123、124と各装置の動作関係を説明する。
図20(a)、(b)に示すように、公転モータ123が停止状態になると、自転モータ124も停止状態になる。すると、この停止している間に、接合装置本体20の受渡作業位置、フラックス作業位置、半田付け作業位置、排出作業位置では前記PLC110を通して以下の動作制御が行われる。
図20(c)に示すように受渡作業位置では、まず、軸支持部材130をフリー状態にして引張用シリンダ129を動作させ、移動側ユニット本体32の保持部40の軸部材125を最先端側に移動配置させ、その後、この軸支持部材130が摺動することのないように固定保持する。次に、受渡装置13を駆動させて受渡作業を開始する。つまり、受渡装置13では待機状態である把持部63を下降させた後、把持状態を解除するとともに押し出し部材66を動作させて、受渡装置13で保持していた被覆蛇管1を受渡作業位置に停止している保持部40のフック121に受け渡す。次いで、被覆蛇管1のフック121への受渡し及び前記把持部63の受渡し作業位置からの待避を確認したならば、前記引張用シリンダ129によってフック121を引く方向に移動させてフック121に引っ掛け配置されている被覆蛇管1を所定の張力で引っ張った状態にする。
このとき、図20(e)に示すようにフラックス作業位置では第1単軸ロボット150を上方向所定位置まで移動させて、被覆蛇管支持体83で被覆蛇管1を支持するとともに、この被覆蛇管1の径寸法に対して最適な位置に容器体81を配置する。
図20(f)に示すように半田付け作業位置では、被覆蛇管1にかける張力を引張用シリンダ129による負荷から低摩擦シリンダ184の負荷に切り換えるとともに、第2単軸ロボット160を上方向所定位置まで移動させて、被覆蛇管支持体92で被覆蛇管1を支持するとともに、被覆蛇管1の径寸法に対して最適な位置に半田付け用ノズル91を配置する。
また、図20(h)に示すように排出作業位置では、配置された保持部40の引張用シリンダ129による引っ張り状態を解除するとともに、前記軸部材125を進退自在な状態にする。このとき、蛇管排出装置46では取り出し部113を前進、把持、X軸方向移動、後退動作を行って、前記保持部40のフック121に引っ掛けられていた蛇管6のフック121からの取り外しを行う。
なお、この自転モータ124が停止しているとき、加熱作業位置、フラックス塗布位置、冷却作業位置に配置されている保持部40の引張用シリンダ129は引っ張り状態である。
そして、前記自転モータ124が停止してから所定時間が経過すると、図20(b)に示すように自転モータ124が再駆動されてフック121が回転状態になる。つまり、フック121に引っ張り保持された被覆蛇管1及び蛇管6が回転を開始する。このとき、排出作業位置では、前記フック121に蛇管6及び被覆蛇管1が配置されていない状態で回転する。
前記自転モータ124が再駆動されると略同時に、回転状態になった被覆蛇管1に対して加熱作業、フラックス塗布作業、半田付け作業が同時に開始されるとともに、半田接合部を設けて形成された蛇管6に対する冷却作業が同時に開始される。
すなわち、加熱作業位置では加熱装置42から所定時間熱風が吹き出されて回転する被覆蛇管1の所定部位を加熱していく。そして、予め設定された所定時間が経過することによって、吹き出し遮蔽板によって熱風の吹き出しが停止される。
フラックス塗布作業位置では所定時間、ノズルからフラックスが隆起した状態でノズルが上昇する。このことによって、回転する被覆蛇管1の所定部位にフラックスが塗布される。そして、所定時間が経過することによってフラックスのノズルが下降し、その後、第1単軸ロボット150が下方向所定位置まで移動して待機状態になる。
半田作業位置では所定時間、ノズルから半田が噴出した状態でノズルが上昇する。このことによって、回転する所定部位に対して半田付けが行われる。そして、所定時間が経過することによって、半田のノズルが下降し、その後、第2単軸ロボット160が下方向所定位置まで移動して待機状態になる。
冷却作業位置では冷却装置45のファンが所定時間回転して半田接合部に風を送って冷却を行う。
それぞれの作業位置で各作業が行われている間、図20(i)に示すように前記蛇管排出装置46では蛇管6を蛇管受け14に排出する作業を行った後、再び待機位置まで戻る動作を行う。また、図20(j)に示すように前記受渡装置13では把持部63を移動させてピッチコンベア12の供給位置にある被覆蛇管1を把持して受渡位置まで移動させて再び待機状態になるまでの動作を行う。さらに、図20(k)に示すように前記ピッチコンベア12では供給位置に被覆蛇管1を配置するための作業を行った後、再び停止状態になる。
そして、前記情報読み取り装置17bによって読みとって設定された作業時間が経過すると、前記公転モータ123が再駆動される。すると、フック121が回転したままの状態で各保持部40が次の作業位置へ回転移動を開始し、次の作業位置に各保持部40が到達すると、各作業位置で上述した動作が再び行われる。これを繰り返し行うことによって、蛇管6が連続的に形成される。
上述のように構成した蛇管形成装置10によって被覆蛇管1から蛇管6が形成されるまでを順を追って説明する。
まず、複数の被覆蛇管1が蛇管形成装置10に運ばれてきたなら、作業者は、半田接合部及び加工に関する情報を取得するため、前記被覆蛇管1とともに移動された作業指示書に例えば印刷されているラベルを前記作業用PC17aに接続されている情報読み取り装置17bで読み取る。
すると、前記作業用PC17aを介して主コンピュータ100に格納されている複数の情報群の中から前記ラベルによって指定された情報番号に対応する情報を選択し、その選択した情報を作業用PC17aを介して前記PLC110に出力する。このことによって、PLC110には半田接合部情報である被覆蛇管1の全長、先端長、半田部間長、外径寸法及び加工情報である加熱時間、フラックス塗布時間、半田付け時間、冷却時間等が組み込まれる。
これら各種情報が前記PLC110に組み込まれると、このPLC110からまず、前記半田接合部情報に対応するように各種サーボモータが駆動される。つまり、ボールネジ機構部34の図示しないサーボモータが駆動されて移動側ユニット本体32がX軸方向所定位置まで移動されるとともに、第3単軸ロボット170が駆動させてユニット本体22、32に設けられている固定板174のX軸方向位置の調整が行われる。そして、前記ラベルに対応する半田接合部情報に基づく移動が完了すると、操作部16の画面上に半田接合部情報の少なくとも一部が表示されるとともに、加工開始を促すように例えば、この操作部16近傍に設けられている図示しない作業開始指示ランプが点灯状態になる。
ここで、作業者は操作部16の画面上の半田接合部情報を確認し、その後、作業テーブル18に載置されている被覆蛇管1の輪部7をピッチコンベア12の対向する被覆蛇管配設部59のピン部材59bに引っ掛けていく。そして、複数の被覆蛇管1のピン部材59bへの引っかけ配置を行って、複数の被覆蛇管1が隙間なく被覆蛇管配設部59に配列された状態になったところで、操作スイッチを操作して蛇管形成装置10の運転を開始する。すると、ピッチコンベア12、受渡装置13、接合装置本体20が動作を開始する。
前記蛇管形成装置10の運転が開始されると、ピッチコンベア12の被覆蛇管配設部59が所定時間間隔で1ピッチずつ移動していく。そして、前記被覆蛇管1が配置されている被覆蛇管配設部59が供給位置に停止していることが検知されると、前記受渡装置13の受渡位置に停止していた移動部本体62が供給位置方向へ向かって移動を開始する。
そして、前記移動部本体62の移動が供給位置設定用センサによって検出されると移動を停止して、把持用シリンダ64が下方に移動を開始し、図示しないタッチスイッチ等に接触して下方向所定位置で移動を停止する。このとき、前記位置決めピン65の凹部65a内に前記ピン部材59bの先端部が入り込んだ状態になる。
この停止状態のとき、前記把持部63が開状態から閉状態に切り替わる。すると、供給位置に停止していた前記被覆蛇管1の両端部所定位置がこの把持部63によって把持された状態になる。ここで、この把持状態を図示しないセンサが検知すると、把持部63が被覆蛇管1を把持した状態で前記把持用シリンダ64が上方所定位置まで上昇移動する。その後、前記移動部本体62を供給位置から受渡位置まで移動されて待機状態になる。
一方、前記ピッチコンベア12では、前記把持部63によって被覆蛇管1が移動されている間に、被覆蛇管1が配設されている被覆蛇管配設部59を1ピッチ移動させて、供給位置に次の被覆蛇管1を配置して停止状態になる。
前記受渡装置13が待機状態であるときに、前記接合装置本体20の保持部40が回転移動されて受渡作業位置に停止すると、被覆蛇管1を把持した状態の把持部63がこの保持部40に向かって下降を開始する。
そして、前記把持部63が下降を続けていくと、突出するように付勢されていた前記ピン部材56bの先端部に設けられている凹部にフック121の先端部が挿入配置され、このピン部材56bが後退していき、しばらくすると、図示しないセンサ等によって下方向所定位置で移動が停止される。このことによって、この把持部63によって把持されていた被覆蛇管1の輪部7の開口の中にフック121が配置されて、受渡し状態になる。
ここで、前記把持部63の把持状態を解除するとともに、押し出し部材66を突出動作させる。このことによって、前記被覆蛇管1の輪部7が確実にフック121に引っかかるように落下する。前記輪部7がフック121に引っ掛け配置されると、移動側ユニット32側の保持部40では、前記軸支持部材130の固定保持状態を摺動可能な状態に切り換えるとともに、前記引張用シリンダ129を引き動作状態に切り換えて、先端側保持部127を軸受部128側に移動させる。このことによって、フック121に引っ掛けられた前記被覆蛇管1の張力が変化していく。そして、前記被覆蛇管1が所定の張力で引っ張られた状態になったところで、前記軸支持部材130を再び固定保持状態に切り換える。
そして、受渡しのための所定時間が経過したところで、前記自転モータ124が駆動を開始する。このことによって、フック121が回転状態になって被覆蛇管1が回転する。この回転状態で所定停止時間が経過すると、フック121が回転したままの状態で前記公転モータ123が回転を開始する。すると、このフック121が回転状態の保持部40が受渡作業位置から加熱作業位置に向かって移動していく。
一方、前記押し出し部材66を突出させて被覆蛇管1のフック121への受渡しを完了した受渡装置13では、前記把持用シリンダ64及び移動部本体62を適宜移動させてピッチコンベア12の供給位置に配置されている被覆蛇管1を再把持して待機状態になる。なお、これら受渡装置13の一連の動作は、保持部が停止している間に行われる。
前記保持部40が回転移動されて加熱作業位置に停止すると略同時に、前記フック121の回転が一時的に停止される。つまり、自転モータ124の駆動が停止状態になる。この一時停止の間、加熱装置42も熱風を吹き出さない停止状態で、カートリッジヒーター71だけが発熱制御状態になっている。その後、前記フック121が回転状態に復帰すると同時に、送風機74が駆動状態になって、箱体72の吹き出し口から熱風が吹き出される。このことによって、回転状態の被覆蛇管1の所定部位が熱風によって加熱されていく。そして、所定加熱時間が経過すると前記送風機74の駆動が停止される。また、所定停止時間経過後、フック121が回転した状態で前記公転モータ123が回転を開始して、このフック121が回転状態の保持部40が加熱作業位置からフラックス塗布作業位置に向かって移動していく。
前記保持部40が回転移動されてフラックス塗布作業位置に停止すると略同時に、前記フック121の回転が一時的に停止される。この一時停止の間、待機位置に位置していた第1単軸ロボット150が駆動されて被覆蛇管支持体83及び容器体81が上方所定位置まで移動されて停止状態になる。その後、前記フック121が回転状態に復帰すると同時に、フラックスの供給が開始されて、フラックス用ノズル82からフラックスが所定量隆起した状態になる。このことによって、回転状態の前記被覆蛇管1の所定部位へフラックスが塗布されていく。そして、所定フラックス塗布時間が経過すると、フラックスの供給が停止され、その後、前記容器体81及び被覆蛇管支持体83が下方向に移動されて待機位置に戻る。また、所定停止時間経過後、フック121が回転した状態で前記公転モータ123が回転を開始して、このフック121が回転状態の保持部40がフラックス塗布作業位置から半田付け作業位置に向かって移動していく。
前記保持部40が回転移動されて半田付け作業位置に停止すると略同時に、前記フック121の回転が一時的に停止される。この一時停止の間、引張用シリンダ129による被覆蛇管引っ張り状態が、低摩擦シリンダ184による引張状態に切り換えられるととともに、待機位置に位置していた前記第2単軸ロボット160が駆動されて、被覆蛇管支持体92及び半田付け用ノズル91が上方所定位置まで移動されて停止状態になる。その後、前記フック121が回転状態に復帰すると同時に、半田の供給が開始されて、半田付け用ノズル91から半田が噴流されていく。このことによって、回転状態の被覆蛇管1の所定部位へ半田が付けられていく。そして、所定半田付け時間が経過すると、半田の供給が停止され、その後、前記半田付け用ノズル91及び被覆蛇管支持体92が下方向に移動されて待機位置に戻るとともに、低摩擦シリンダ184による被覆蛇管引っ張り状態が再び引張用シリンダ129による引っ張り状態に切り換えられる。また、所定停止時間経過後、フックが121が回転した状態で前記公転モータ123が回転を開始して、このフック121が回転状態の保持部40が半田付け作業位置から冷却作業位置に向かって移動していく。
前記保持部40が回転移動されて冷却作業位置に停止すると略同時に、前記フック121の回転が一時的に停止される。この一時停止の間、冷却装置45は送風機101を駆動しない停止状態である。その後、前記フック121が回転状態に復帰すると同時に、送風機101が駆動されて送風を開始する。このことによって、回転状態の被覆蛇管1の所定部位に塗布された半田接合部が冷却される。そして、所定冷却時間が経過すると、送風機101の駆動が停止される。また、所定停止時間経過後、フック121が回転した状態で前記公転モータ123が回転を開始して、このフック121が回転状態の保持部40が冷却作業位置から排出作業位置に向かって移動していく。
前記保持部40が回転移動されて蛇管排出位置に停止すると略同時に、前記フック121の回転が一時的に停止される。この一時停止の間、まず、移動側ユニット本体32の保持部40の軸部材125が摺動するように軸支持部材130が摺動可能状態に切り換える。一方、蛇管排出装置46では、待機位置に位置していた開状態の取り出し部113が蛇管6に向けて移動させる。その後、開状態の取り出し部113を閉状態に変化させて蛇管6の所定位置を把持する。この把持状態を図示しないセンサが検知すると、前記X軸方向スライドテーブルが駆動されて蛇管6が所定方向にスライド移動する。この後、スライドテーブル114を待機位置側に戻すように移動させることにより、フック121から蛇管6の輪部7が取り外される。その後、前記スライドテーブル114及び取り出し部113が所定の動作を行って蛇管6を蛇管受け14に排出する一方、再び待機位置に戻って待機状態になる。
前記蛇管6のフック121からの取り外しは所定排出時間内に行われる。所定排出時間が経過すると、前記軸支持部材130の摺動可能な状態を固定保持状態に切り換えるとともに、前記引張用シリンダ129を押し動作状態に切り換えて、先端側保持部127を固定側ユニット本体22側に移動させておく。また、所定停止時間経過後、フック121が回転した状態で前記公転モータ123が回転を開始して、このフック121が回転状態の保持部40が蛇管排出位置から受渡位置に向かって移動していく。
そして、これら上述した動作が繰り返し行われることによって、蛇管受け14に次々と蛇管6が収容されていく。そして、所定数の蛇管6が完成したなら蛇管形成装置10の動作が停止状態になる。ここで、作業者は、蛇管受け14から蛇管6を取り出し、図示しない運搬台等を使用してこれら蛇管6を作業指示書とともに次工程に運搬する。
このように、半田接合部形成装置を構成する接合装置本体に設ける加熱装置、フラックス塗布装置、半田付け装置、冷却装置の配設位置を考慮する一方で、受渡作業位置、加熱作業位置、フラックス塗布作業位置、半田付け作業位置、冷却作業位置及び蛇管排出作業位置の6つの作業位置を同一円周上に配置させるとともに、円周上に配置させた各作業部位に被覆蛇管を保持した蛇管保持部を、電気制御可能な2つの公転モータを電気的に同期制御して移動させる構成にしたことによって、半田接合部形成装置の外形寸法の大幅な小型化を実現することができる。
また、前記蛇管排出作業位置、受渡作業位置、加熱作業位置、フラックス塗布作業位置、半田付け作業位置、冷却作業位置を、操作部が設けられている作業者側の上側を基準にして正面から見て時計回りに順に蛇管排出作業位置、受渡作業位置、加熱作業位置、フラックス塗布作業位置、半田付け作業位置、冷却作業位置を等間隔で配置させたことによって、操作部を操作する作業、前工程で形成された被覆蛇管をピッチコンベアに配設する供給作業、この蛇管形成装置を通して加工されて蛇管受けに収容された蛇管をひとまとめにして次工程に運搬するための作業を同方向に位置して行うことができる。
これらのことによって、半田接合部形成装置の一方側にピッチコンベア及び蛇管受けを配置して設置スペースの省スペース化及び作業性の大幅な向上が実現される。
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。