JP3759168B2 - 内皮単球活性ポリペプチドiii - Google Patents

内皮単球活性ポリペプチドiii Download PDF

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Description

本発明は、新規に同定されたポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド、このようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドの使用、ならびにこのようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドの産生に関する。より詳細には、本発明のポリペプチドは、内皮単球活性ポリペプチドIIIとして推定的に同定され、本明細書以下では時には「EMAP III」という。本発明はまた、このようなポリペプチドの作用を阻害することに関する。
マウスメト(meth)A線維肉腫のような免疫原性腫瘍は、慢性炎症性浸潤(chronic inflammatory infiltry)を含む周縁の領域を特徴的に有する(Dvorak, H., New Engl. J. Med., 315:1650-1658(1986))。これらの炎症性細胞(これらはしばしば、腫瘍間質のいたるところに広がり得るフィブリンの網状組織に入り込む)の存在は、腫瘍が治癒しない損傷であると考えられ得るという概念の一助となる(同上)。宿主の応答を開始(prime)し、内皮の特性を変化させ、そして腫瘍へ炎症性細胞を誘引する、腫瘍由来のメディエーターが同定されている。Empa Iは、トリプシン感受性の、他のサイトカインおよび増殖因子とは異なる約40kdaのポリペプチドであり、そして内皮細胞および単球を活性化し得る。別のポリペプチドが同定されているが、これは、vpf/vegfのマウスホモログである。vpf/vegfは、血管透過性を亢進し、そして内皮細胞についてマイトジェン性であることが以前に示されている因子である。最近、別のポリペプチドが、メトA腫瘍細胞の上清において同定されている(EMAP II)。EMAP IIは、マウスの肉趾に注入された場合、内皮細胞(EC)および単核細胞を活性化し、組織因子の誘導によって凝集促進反応へのこれらの細胞の関与を増加させ、単球および多形核白血球の遊走を促進し、そして炎症発生反応を導く。
本発明のポリペプチドは、EMAP IIに対するアミノ酸配列相同性の結果、EMAP IIIとして、推定的に同定されている。
本発明の1つの局面によれば、新規な成熟ポリペプチドならびに生物学的に活性で、かつ診断または治療に有用なそのフラグメント、アナログおよび誘導体が提供される。本発明のポリペプチドはヒト起源である。
本発明の別の局面によれば、本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供され、核酸分子は、mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNA、ならびに、アナログおよび生物学的に活性で、かつ診断または治療に有用なそれらのフラグメントを含む。
本発明のなおさらなる局面によれば、前記タンパク質の発現およびその後の前記タンパク質の回収を促進する条件下で、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含む、組換え原核宿主細胞および/または組換え真核宿主細胞を培養する工程を包含する組換え技術により、このようなポリペプチドを産生するための工程が提供される。
本発明のなおさらなる局面によれば、例えば癌における腫瘍のような新生物の治療目的のために、このようなポリペプチドをコードするこのようなポリペプチドまたなポリヌクレオチドを利用するための工程が提供される。
本発明のなおさらなる局面によれば、このようなポリペプチドに対する抗体が提供される。
本発明の別の局面によれば、EMAP IIIを模倣しそしてEMAP IIIレセプターに結合して反応を誘発するアゴニストが提供される。
本発明のなおさらなる局面によれば、本発明の核酸配列に特異的にハイブリダイズするに十分な長さの核酸分子を含む核酸プローブがまた、提供される。
本発明の別の局面によれば、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列における変異に関連する疾患またはこの疾患に対する感受性を検出するための診断アッセイが提供される。
本発明のなおさらなる局面によれば、このようなポリペプチド、またはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、科学的研究(例えば、DNAの合成およびDNAベクターの製造)に関連するインビトロ目的のために利用するための工程が提供される。
本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書中の教示から当業者に明らかであるはずである。
以下の図面は、本発明の実施態様の例示であり、そして請求の範囲により包含される、本発明の範囲を限定することを意味しない。
図1は、cDNA配列、および本発明のポリペプチドの対応する推定アミノ酸配列を示す。配列決定を、373自動化DNAシーケンサー(Applied Biosysytems, Inc.)を使用して実施した。
図2は、本発明のポリペプチド(上列)とEMAP III(下列)との間のアミノ酸配列の比較である。
本発明の1つの局面によれば、図1(配列番号2)の推定のアミノ酸配列を有する成熟ポリペプチド、または1995年5月26日に寄託されたクローンのcDNAによりコードされる成熟ポリペプチドをコードする単離された核酸(ポリヌクレオチド)が提供される。
本発明のポリペプチドは、休止T細胞由来のcDNAライブラリーにおいて発見された。これは、168アミノ酸残基のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む。168アミノ酸配列は、タンパク質溶解的に切断されたプロ配列由来であるEMAP IIIの活性ドメインを示す。このタンパク質は、150アミノ酸伸長にわたる60%の同一性、および75%の類似性でのEMAP IIに対する高い相同性を示す。図1(配列番号2)のコード配列は、このポリペプチドの活性ドメインを図示し、そしてこのポリペプチドはさらなるアミノ酸残基を含み得る。本発明のポリペプチドはリーダー配列を有するとは考えられていないが、これは分泌配列である。
本発明のポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNA(このDNAは、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含む)の形態であり得る。DNAは二本鎖または一本鎖であり得、そして一本鎖の場合には、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。成熟ポリペプチドをコードするコード配列は、図1(配列番号1)に示すコード配列または寄託したクローンのコード配列と同一であり得るか、あるいはそのコード配列が、遺伝コードの重複または縮重の結果として、図1(配列番号1)のDNAまたは寄託したcDNAと同じ成熟ポリペプチドをコードする異なるコード配列であり得る。
図1(配列番号2)の成熟ポリペプチドまたは寄託したcDNAによりコードされる成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下を包含し得るが、これらに限定されない:成熟ポリペプチドのコード配列のみ;成熟ポリペプチドのコード配列、ならびに分泌配列、またはプロタンパク質配列のような付加的コード配列;成熟ポリペプチドのコード配列(および必要に応じて付加的コード配列)および非コード配列(例えば、イントロンあるいは成熟ポリペプチドのコード配列の5'および/または3'非コード配列)。
従って、用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、ならびに付加的コード配列、および/または非コード配列を含むポリヌクレオチドを含む。
本発明はさらに、図1(配列番号2)の推定アミノ酸配列を有するポリペプチド、または寄託したクローンのcDNAによりコードされるポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体をコードする本明細書中上記のポリヌクレオチドの変異体に関する。ポリヌクレオチドの変異体は、ポリヌクレオチドの天然に存在する対立遺伝子変異体、またはポリヌクレオチドの天然に存在しない変異体であり得る。
従って、本発明は、図1(配列番号2)に示すものと同じ成熟ポリペプチド、または寄託したクローンのcDNAによりコードされる同じ成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびにそのようなポリヌクレオチドの変異体を包含する。この変異体は、図1(配列番号2)のポリペプチドまたは寄託したクローンのcDNAによりコードされるポリペプチドのフラグメント、誘導体またはアナログをコードする。このようなヌクレオチド変異体は、欠失変異体、置換変異体、および付加または挿入変異体を包含する。
本明細書中上記で示したように、ポリヌクレオチドは、図1(配列番号1)に示すコード配列、または寄託したクローンのコード配列の、天然に存在する対立遺伝子変異体であるコード配列を有し得る。当該分野で公知なように、対立遺伝子変異体は、1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失または付加を有し得るポリヌクレオチド配列の別の形態であり、これはコードされるポリペプチドの機能を実質的に変化させない。
本発明はまた、ポリヌクレオチドを含み、ここで、成熟ポリペプチドについてのコード配列は、同一のリーディングフレームにおいて、宿主細胞からのポリペプチドの発現および分泌を補助するポリヌクレオチド配列(例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための、分泌配列)に融合し得る。これらのポリヌクレオチドはまた、付加的5'アミノ酸残基を加えた成熟タンパク質であるプロタンパク質をコードし得る。プロ配列を有する成熟タンパク質は、プロタンパク質であり、そしてタンパク質の不活性な形態である。一旦プロ配列が切断されると、活性な成熟タンパク質が残る。従って、例えば、本発明のポリヌクレオチドは、成熟タンパク質、あるいはプロ配列を有するタンパク質をコードし得る。
本発明のポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列にインフレームで融合されたコード配列を有し得る。マーカー配列は、細菌宿主の場合には、マーカーに融合された成熟ポリペプチドの精製を提供する、pQE-9ベクターにより供給されるヘキサヒスチジンタグであり得る。あるいは、例えばマーカー配列は、哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)が使用される場合は、血球凝集素(HA)タグであり得る。HAタグは、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する(Wilson, I.ら、Cell, 37:767 (1984))。
本発明はさらに、配列間に少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、そしてより好ましくは少なくとも95%の同一性が存在する場合、本明細書中上記の配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本発明は特に、本明細書中上記のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本明細書中で用いられる用語「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーションが、配列間に少なくとも95%、そして好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合のみに生じることを意味する。好ましい実施態様において、本明細書中上記のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドは、図1(配列番号1)のcDNAまたは寄託したcDNA(単数または複数)によりコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活性のいずれかを保持するポリペプチドをコードする。
あるいは、このポリヌクレオチドは、少なくとも20塩基、好ましくは30塩基、そしてより好ましくは少なくとも50塩基を有し得る。これらは、本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズし、そして、本明細書上記のように、それに対する同一性を有し、そして活性を保持していてもしていなくてもよい。例えば、このようなポリヌクレオチドは、配列番号1のポリヌクレオチドのプローブとして、例えば、そのポリヌクレオチドの回収のために、あるいは診断プローブとして、またはPCRプライマーとして使用され得る。
従って、本発明は、配列番号2のポリペプチドならびにそのフラグメント(このフラグメントは少なくとも30塩基、そして好ましくは50塩基である)をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも70%同一性、好ましくは少なくとも90%、そしてより好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチド、およびこのようなポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドに関する。
本明細書中でいう寄託物(単数または複数)は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の下に維持される。これらの寄託物は、当業者に対する便宜として提供されるにすぎず、そして米国特許法第112条の下で寄託が必要とされることを認めたわけではない。寄託物に含まれるポリヌクレオチドの配列、ならびにそれによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書中に参考として援用され、そして本明細書中の配列のいかなる記載とのいかなるコンフリクトの事象も制御する。寄託物を製造し、使用し、または販売するためには実施許諾が必要とされ得、そしてそのような実施許諾はこれによって与えられるわけではない。
本発明はさらに、図1(配列番号2)の推定のアミノ酸配列を有するか、または寄託したcDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびにそのようなポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体に関する。
用語「フラグメント」、「誘導体」、および「アナログ」は、図1(配列番号2)のポリペプチドまたは寄託したcDNAにコードされるポリペプチドをいう場合、そのようなポリペプチドと本質的に同じ生物学的機能または活性を保持するポリペプチドを意味する。従って、アナログは、プロタンパク質部分の切断により活性化されて活性な成熟ポリペプチドを生成し得るプロタンパク質を包含する。
本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然のポリペプチドまたは合成ポリペプチドであり得、好ましくは組換えポリペプチドであり得る。
図1(配列番号2)のポリペプチドまたは寄託したcDNAによりコードされるポリペプチドのフラグメント、誘導体、またはアナログは、(i)1つ以上のアミノ酸残基が保存的アミノ酸残基または非保存的アミノ酸残基(好ましくは保存的アミノ酸残基)で置換され、そしてこのような置換されるアミノ酸残基は遺伝コードによりコードされるアミノ酸残基であってもよく、またはそうでなくてもよいもの、あるいは(ii)1つ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、あるいは(iii)成熟ポリペプチドが、ポリペプチドの半減期を増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)のような別の化合物と融合されているもの、あるいは(iv)付加的アミノ酸(例えば、分泌配列、または成熟ポリペプチド、またはプロタンパク質配列の精製に使用される配列)が、成熟ポリペプチドに融合されているものであり得る。このようなフラグメント、誘導体、およびアナログは、本明細書中の教示から、当業者の範囲内にあると考えられる。
本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、そして好ましくは均一に精製される。
用語「単離された」は、物質が、その元の環境(例えば、それが天然に存在する場合は、天然の環境)から取り去られることを意味する。例えば、生きている動物中に存在する、天然に生じるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、天然の系において共存する物質の一部または全てから分離されている、同一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であり得、および/またはこのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であり得、そしてなお、このようなベクターまたは組成物がその天然の環境の一部でないという点で、単離されている。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、本発明のベクターで遺伝子操作された宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの生成に関する。
宿主細胞は、本発明のベクター(これは、例えば、クローニングベクターまたは発現ベクターであり得る)を用いて遺伝子操作される(形質導入されるか、または形質転換されるか、またはトランスフェクトされる)。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であり得る。操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化するか、形質転換体を選択するか、または本発明の遺伝子を増幅するために適切に改変した従来の栄養培地中において培養され得る。培養条件(例えば、温度、pHなど)は、発現のために選択される宿主細胞に以前使用された条件であり、そして当業者には明らかである。
本発明のポリヌクレオチドは、組換え技術によりポリペプチドを産生するために用いられ得る。従って、例えば、このポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現するための種々の発現ベクターのいずれか1つに含まれ得る。このようなベクターは、染色体DNA配列、非染色体DNA配列、および合成DNA配列を包含する。このようなベクターは、例えば、SV40の誘導体;細菌性プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母プラスミド;プラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクター、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、および仮性狂犬病)である。しかし、宿主中で複製可能で、かつ存続可能である限り、他の任意のベクターも使用され得る。
適切なDNA配列は、種々の手順によりベクターに挿入され得る。一般に、DNA配列は、当該分野で公知の手順により適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(単数または複数)に挿入される。このような手順および他の手順は、当業者の範囲内であると考えられる。
発現ベクター中のDNA配列は、適切な発現制御配列(単数または複数)(プロモーター)に作動可能に連結され、mRNAの合成を指向する。このようなプロモーターの代表的な例としては、以下が挙げられ得る:LTRまたはSV40プロモーター、E.coli lacまたはtrp、λファージPLプロモーター、および原核細胞または真核細胞あるいはそのウイルス内で遺伝子の発現を制御することが公知の他のプロモーター。発現ベクターはまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネーターを含む。そのベクターはまた、発現を増幅するための適切な配列を含み得る。
さらに、発現ベクターは、好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型特性(例えば、真核細胞培養物についてはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性、あるいは例えばE.coliにおいてはテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性)を提供する1つ以上の選択マーカー遺伝子を含む。
本明細書中上記のような適切なDNA配列ならびに適切なプロモーター配列または制御配列を含むベクターは、適切な宿主を形質転換して宿主にタンパク質を発現させるために用いられ得る。
適切な宿主の代表的な例としては、以下が挙げられ得る:細菌細胞(例えば、E.coliStreptomycesSalmonella typhimurium);真菌細胞(例えば酵母);昆虫細胞(例えば、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9);動物細胞(例えば、CHO、COSまたはBowes黒色腫);アデノウイルス;植物細胞など。適切な宿主の選択は、本明細書中の教示から当業者の範囲内であると考えられる。
さらに詳細には、本発明はまた、上記で広範に記載した1つ以上の配列を含む組換え構築物を含む。構築物は、ベクター(例えば、プラスミドベクターまたはウイルスベクター)を包含し、このベクターの中に、本発明の配列が正方向または逆方向に挿入されている。この実施態様の好ましい局面において、構築物はさらに、配列に作動可能に連結された調節配列(例えば、プロモーターを含む)を含む。非常に多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者には公知であり、そして市販されている。以下のベクターが例として提供される。細菌性:pQE70、pQE60、pQE-9(Qiagen)、pBS、pD10、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene);ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)。真核性:pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。しかし、他の任意のプラスミドまたはベクターも、それらが宿主中で複製可能で、かつ存続可能である限り、使用され得る。
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選択マーカーを有する他のベクターを使用して、任意の所望の遺伝子から選択され得る。2つの適切なベクターは、pKK232-8およびpCM7である。特によく知られた細菌プロモーターとして、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPR、PLおよびtrpが挙げられる。真核生物プロモーターは、CMV即時型、HSVチミジンキナーゼ、初期SV40および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、およびマウスメタロチオネインIを包含する。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者のレベル内である。
さらなる実施態様では、本発明は上記の構築物を含有する宿主細胞に関する。宿主細胞は、高等真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)または下等真核細胞(例えば、酵母細胞)であり得るか、あるいは宿主細胞は原核細胞(例えば、細菌細胞)であり得る。構築物の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、またはエレクトロポレーションにより達成され得る(Davis,L., Dibner,M., Battey,I., Basic Methods in Molecular Biology, 1986)。
宿主細胞中の構築物を用いて、従来の様式で組換え配列によりコードされる遺伝子産物を産生し得る。あるいは、本発明のポリペプチドは、従来のペプチド合成機により合成的に産生され得る。
成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌、または他の細胞中で適切なプロモーターの制御下で発現され得る。無細胞翻訳系もまた、本発明のDNA構築物に由来するRNAを使用して、このようなタンパク質を産生するために用いられ得る。原核生物宿主および真核生物宿主で使用される適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1989)(この開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
本発明のポリペプチドをコードするDNAの高等真核生物による転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することにより増大される。エンハンサーはDNAのシス作動エレメントであり、通常は約10〜300bpであり、これはプロモーターに作用してその転写を増大させる。例として、複製起点のbp100〜270の後期側のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
一般に、組換え発現ベクターは、複製起点および宿主細胞の形質転換を可能とする選択マーカー(例えば、E.coliのアンピシリン耐性遺伝子、およびS.cerevisiaeのTRP1遺伝子)、ならびに下流の構造配列の転写を指向する高発現遺伝子由来のプロモーターを含む。このようなプロモーターは、解糖酵素(例えば、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK))、α因子、酸性ホスファターゼ、または熱ショックタンパク質などをコードするオペロンに由来し得る。異種構造配列は、翻訳開始配列および翻訳終止配列、および好ましくは翻訳されたタンパク質のペリプラズム空間または細胞外の培地への分泌を指向し得るリーダー配列と適切な相内で組立てられる。必要に応じて、異種配列は、所望の特徴(例えば、発現された組換え産物の安定化または簡略化された精製)を与えるN末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードし得る。
細菌の使用に有用な発現ベクターは、機能的なプロモーターを有する作動可能な読み取り相で、適切な翻訳開始シグナルおよび翻訳休止シグナルと共に所望のタンパク質をコードする構造DNA配列を挿入することにより構築される。ベクターは、1つ以上の表現型選択マーカー、およびベクターの維持を確実にし、かつ所望により宿主内での増幅を提供するための複製起点を含む。形質転換のために適切な原核生物宿主は、E.coliBacillus subtilisSalmonella typhimurium、ならびにPseudomonas属、Streptomyces属、およびStaphylococcus属内の種々の種を包含するが、他の種もまた選択対象として用いられ得る。
代表的な、しかし限定しない例として、細菌での使用に有用な発現ベクターは、周知のクローニングベクターpBR322(ATCC 37017)の遺伝子エレメントを含む市販のプラスミドに由来する選択マーカーおよび細菌性の複製起点を含み得る。このような市販のベクターは、例えば、pKK223-3(Pharmacia Fine Chemicals, Uppsala, Sweden)およびGEM1(Promega Biotec, Madison, WI, USA)を包含する。これらのpBR322「骨格」部分は、適切なプロモーターおよび発現されるべき構造配列と組み合わされる。
適切な宿主株の形質転換および適切な細胞密度までの宿主株の増殖に続いて、選択されたプロモーターは、適切な手段(例えば、温度シフトまたは化学的誘導)により誘導され、そして細胞はさらなる期間培養される。
細胞は、代表的には遠心分離により収集され、物理的手段または化学的手段により破砕され、そして得られた粗抽出物はさらなる精製のために保持される。
タンパク質の発現において用いられる微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破砕、または細胞溶解剤の使用を包含する任意の簡便な方法により破砕され得る。このような方法は当業者に周知である。
種々の哺乳動物細胞の培養系もまた、組換えタンパク質を発現するために用いられ得る。哺乳動物発現系の例には、Gluzman, Cell, 23: 175 (1981)に記載されるサル腎臓線維芽細胞のCOS-7株、および適合性のベクターを発現し得る他の細胞株(例えば、C127、3T3、CHO、HeLa、およびBHK細胞株)が含まれる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適切なプロモーターおよびエンハンサー、ならびにまた任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー部位およびスプライスアクセプター部位、転写終結配列、および5'フランキング非転写配列を含む。SV40スプライス部位、およびポリアデニル化部位に由来するDNA配列は、必要な非転写遺伝子エレメントを提供するために使用され得る。
ポリペプチドは、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを包含する方法により組換え細胞培養物から回収され、そして精製され得る。必要に応じて、タンパク質の再折りたたみ工程が、成熟タンパク質の配置を完全にするために使用され得る。最終的に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が、最終的な精製工程に用いられ得る。
本発明のポリペプチドは、天然の精製された産物、または化学合成手順の生成物であり得るか、あるいは原核生物宿主または真核生物宿主(例えば、培養物中の細菌、酵母、高等植物、昆虫、および哺乳動物細胞により)から組換え技術により産生され得る。組換え産生手順に用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化され得るか、またはグリコシル化され得ない。本発明のポリペプチドはまた、最初のメチオニンアミノ酸残基を含み得る。
本発明のEMAP IIIポリペプチドは、癌における腫瘍のような新生物を退行させるために使用され得る。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、ヒトの疾患に対する処置および診断の発見のための研究試薬および材料として使用され得る。
本発明は、EMAP IIIのレセプターを同定するための方法を提供する。このレセプターをコードする遺伝子は、例えば、リガンドパニング、およびFACSソーティング(Coliganら、Current Protocols in Immun., 1(2),第5章(1991))などの当業者に公知の多数の方法によって同定され得る。好ましくは、発現クローニングを使用し、ここで、ポリアデニル化されたRNAをEMAP IIIに応答性の細胞から調製し、このRNAから作製したcDNAライブラリーをプールに分割し、そしてこれを使用してCOS細胞またはEMAP IIIに応答しない他の細胞をトランスフェクトする。トランスフェクトした細胞を、スライドガラス上で増殖させ、そして標識したEMAP IIIに曝す。EMAP IIIは、部位特異的タンパク質キナーゼの認識部位のヨウ素化または封入を含む種々の手段によって標識され得る。固定およびインキュベーションに続いて、スライドをオートラジオグラフィー分析に供する。陽性のプールを同定し、そしてサブプーリングと再スクリーニングとの反復工程を使用して、サブプールを調製しそして再度トランスフェクトし、最終的に推定のレセプターをコードする、単一のクローンを生じさせる。レセプター同定のための別のアプローチとして、標識されたリガンドを、レセプター分子を発現する細胞膜または抽出調製物と光親和性結合させ得る。架橋した物質を、PAGEにより分解し、そしてX線フィルムに曝す。リガンド-レセプターを含む標識された複合体を切除し得、ペプチドフラグメントに分解し得、そしてタンパク質微小配列決定に供し得る。微小配列決定から得たアミノ酸配列を使用して、cDNAライブラリーをスクリーニングし、推定のレセプターをコードする遺伝子を同定するための縮重オリゴヌクレオチドプローブのセットを設計する。
本発明は、EMAP IIIの生物学的作用を増強する化合物(アゴニスト)を同定するために化合物をスクリーニングする方法を提供する。例として、EMAP IIIレセプターを発現する哺乳動物細胞または膜調製物を、標識した化合物と共にインキュベートする。次いで、EMAP IIIレセプターに結合するこの化合物の能力を測定する。レセプターに結合する能力を、化合物とレセプターとの相互作用に続く既知のセカンドメッセンジャー系の応答によって測定する。このようなセカンドメッセンジャー系として、cAMPグアニル酸シクラーゼ、イオンチャネル、またはホスホイノシチド加水分解が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリペプチドおよびアゴニストは、適切な薬学的キャリアと組み合わせて使用され得る。このような組成物は、治療的有効量のポリペプチドまたはアゴニスト、および薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有する。このようなキャリアとして、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。処方物は、投与の様式に適合しなければならない。
本発明はまた、本発明の薬学的組成物の1つ以上の成分で満たされた1つ以上の容器を含む、薬学的パックまたはキットを提供する。このような容器(単数または複数)に添付されるのは、薬学的製品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関により定められる様式の注意書であり得、この注意書はヒト投与のための製造、使用、または販売の機関による承認を反映する。さらに、本発明のポリペプチドまたはアゴニストは、他の治療的化合物に関連して使用され得る。
薬学的組成物は、経口、直接注入、非経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、または皮内経路によるような、簡便な様式において投与され得る。薬学的組成物は、特定の症状の処置および/または予防についての有効量において投与される。一般に、これらは、少なくとも約10μg/kg体重の量で投与され、そしてほとんどの場合、約8mg/kg体重/日を超過しない量で投与される。ほとんどの場合、投与経路、症状などを考慮に入れて、その用量は1日約10μg/kg〜約1mg/kg体重である。
EMAP IIIポリペプチド、およびポリペプチドであるアゴニストはまた、このようなポリペプチドのインビボでの発現により本発明に従って使用され得、そしてこれは「遺伝子治療」としばしばいわれる。
従って、例えば、患者由来の細胞は、エクスビボでポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)で操作され得、次いで操作された細胞をこのポリペプチドで処置されるべき患者に提供する。そのような方法は、当該分野で周知であり、本明細書中の教示から明らかである。例えば、細胞は、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含むレトロウイルスプラスミドベクターの使用により操作され得る。
同様に、細胞は、例えば、当該分野で公知の手順により、インビボでのポリペプチドの発現のためにインビボで操作され得る。例えば、パッケージング細胞を、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含むレトロウイルスプラスミドベクターを用いて形質導入し、その結果、ここでこのパッケージング細胞は、目的の遺伝子を含む感染性レトロウイルス粒子を産生する。これらのプロデューサー細胞は、インビボで細胞を操作するためおよびインビボでのポリペプチドの発現のために患者に投与され得る。このような方法による本発明のポリペプチドを投与するためのこれらおよび他の方法は、本発明の教示から当業者に明らかであるはずである。
上記で述べたレトロウイルスプラスミドベクターが誘導され得るレトロウイルスとして、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルスのようなレトロウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳癌ウイルスなどが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施態様において、レトロウイルスプラスミドベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス由来である。
ベクターは1つ以上のプロモーターを含む。使用され得る適切なプロモーターとして、レトロウイルスLTR;SV40プロモーター、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(Millerら、Biotechniques,第7巻、No.9, 980-990(1989)に記載される)、または他の任意のプロモーター(例えば、真核細胞プロモーターのような細胞プロモーター(ヒストン、pol III、およびβアクチンプロモーターを含むが、これらに限定されない))が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得る他のウイルスプロモーターとして、アデノウイルスプロモーター、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、およびB19パルボウイルスプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。適切なプロモーターの選択は、本明細書中に含まれる教示から、当業者に明らかである。
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、適切なプロモーターの制御下にある。使用され得る適切なプロモーターとして、アデノウイルス主要後期プロモーターのようなアデノウイルスプロモーター;またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのような異種プロモーター;呼吸性シンシチウムウイルス(RSV)プロモーター;MMTプロモーター、メタロチオネインプロモーターのような誘導性プロモーター;熱ショックプロモーター;アルブミンプロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーターのようなウイルスチミジンキナーゼプロモーター;レトロウイルスLTR(上記の改変レトロウイルスLTRを含む);βアクチンプロモーター;およびヒト成長ホルモンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。プロモーターはまた、ポリペプチドをコードする遺伝子を制御する天然のプロモーターであり得る。
レトロウイルスプラスミドベクターは、プロデューサー細胞株を形成するために、パッケージング細胞株を形質導入するために使用され得る。トランスフェクトされ得るパッケージング細胞株の例として、PE501、PA317、ψ-2、ψ-AM、PA12、T19-14X、VT-19-17-H2、ψCRE、ψCRIP、GP+E-86、GP+envAm12、およびDAN細胞株(Miller, Humman Gene Therapy,第1巻、5-14頁(1990)に記載される)が挙げられるが、これらに限定されず、そしてこれらはその全体が本明細書中で参考として援用される。ベクターは、当該分野で公知の任意の手段によりパッケージング細胞を形質導入し得る。このような手段として、エレクトロポレーション、リポソームの使用、およびCaPO4沈殿が挙げられるが、これらに限定されない。別の手段において、レトロウイルスプラスミドベクターは、リポソーム中にカプセル化され得るか、または脂質と結合され得、次いで宿主に投与され得る。
プロデューサー細胞株は、このポリペプチドをコードする核酸配列(単数または複数)を含む感染性レトロウイルスベクター粒子を産生する。次いで、このようなレトロウイルスベクター粒子が、インビトロまたはインビボのいずれかで、真核細胞を形質導入するために使用され得る。形質導入された真核細胞は、このポリペプチドをコードする真核配列(単数または複数)を発現する。形質導入され得る真核細胞として、胚性幹細胞、胚性癌細胞、ならびに造血幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、ケラチン生成細胞、内皮細胞、および気管支上皮細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、診断法としての本発明の遺伝子の使用に関する。この遺伝子の変異形態の検出によって、EMAP IIIの過少発現に起因する疾患または疾患に対する感受性の診断が可能になる。
本発明の遺伝子において変異を有する個体は、種々の技術によりDNAレベルで検出され得る。診断のための核酸は、患者の細胞(例えば、血液、尿、唾液、組織生検、および剖検材料が含まれるが、これらに限定されない)から得られ得る。ゲノムDNAが、検出のために直接使用され得るか、または分析の前にPCR(Saikiら、Nature, 324:163-166(1986))を使用して酵素的に増幅され得る。RNAまたはcDNAもまた、同じ目的のために使用され得る。例として、EMAP IIIをコードする核酸に相補的なPCRプライマーが、変異を同定しそして分析するために使用され得る。例えば、欠失および挿入が、正常遺伝子型との比較において増幅産物のサイズの変化によって検出され得る。点変異は、増幅DNAを放射性標識されたRNAまたは放射性標識されたアンチセンスDNA配列とハイブリダイズすることによって同定され得る。完全に適合した配列は、RNaseA消化によりまたは融点の違いにより、適合していない2本鎖と区別され得る。
対照遺伝子と変異を有する遺伝子との間の配列の差異は、直接DNA配列決定法によって示され得る。さらに、クローン化されたDNAセグメントをプローブとして使用して、特異的DNAセグメントを検出し得る。この方法の感度は、PCRと組み合わせた場合、顕著に増強される。例えば、配列決定プライマーを、改変PCRにより作製した2本鎖PCR産物または1本鎖テンプレート分子と共に使用する。配列決定は、放射性標識したヌクレオチドを用いる従来の手順によって、または蛍光タグを用いる自動化配列決定手順によって実施される。
DNA配列の差異に基づく遺伝的試験は、変性試薬を用いてまたは用いずに、ゲル中でのDNAフラグメントの電気泳動移動度の変化の検出によって達成され得る。小さな配列欠失および挿入は、高分解能ゲル電気泳動によって可視化され得る。異なる配列のDNAフラグメントは、異なるDNAフラグメントの移動度がゲルにおいてそれらの特異的融解温度または部分的融解温度に従って異なる位置に遅らせられる、変性ホルムアミド勾配ゲル上で識別され得る(例えば、Myersら、Science, 230:1242(1985)を参照のこと)。
特定の位置での配列の変化はまた、RNase、およびS1防御のようなヌクレアーゼ防御アッセイ、または化学的切断法(例えば、Cottonら、PNAS, USA, 85:4397-4401(1985))によって示され得る。
従って、特異的DNA配列の検出は、ハイブリダイゼーション、RNase防御、化学的切断、直接的DNA配列決定、または制限酵素の使用(例えば、制限酵素断片長多型性解析(RFLP))、およびゲノムDNAのサザンブロットのような方法によって達成され得る。
より簡便なゲル電気泳動およびDNA配列決定に加えて、変異はインサイチュ分析によってもまた検出され得る。
本発明はまた、正常コントロール組織サンプルと比較してタンパク質の過剰発現がEMAP IIIの存在を検出し得るので、種々の組織における本発明のポリペプチドのレベルの変化を検出するための診断アッセイに関する。宿主由来のサンプル中の本発明のポリペプチドのレベルを検出するために使用されるアッセイは、当業者に周知であり、そしてこのようなアッセイとして、放射免疫アッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロット分析、および好ましくはELISAアッセイが挙げられる。ELISAアッセイは、最初に、EMAP III抗原に特異的な抗体(好ましくはモノクローナル抗体)を調製する工程を含む。さらに、レポーター抗体をモノクローナル抗体に対して調製する。レポーター抗体に、放射活性、蛍光、または本実施例中では、西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素のような、検出可能な試薬と結合させられる。ここで、サンプルを宿主から取り出し、そしてサンプル中のタンパク質と結合する固体支持体(例えば、ポリスチレンディッシュ)上でインキュベートする。次いで、ディッシュ上の任意の遊離のタンパク質結合部位を、ウシ血清アルブミンのような非特異的タンパク質と共にインキュベートすることによって覆う。次に、モノクローナル抗体をディッシュ内でインキュベートし、その間にモノクローナル抗体がポリスチレンディッシュに結合した本発明の任意のポリペプチドに結合する。全ての結合していないモノクローナル抗体を、緩衝液で洗浄して除去する。ここで、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたレポーター抗体をディッシュ内に配置し、その結果、レポーター抗体が本発明のポリペプチドに結合した任意のモノクローナル抗体に結合する。次いで、結合していないレポーター抗体を洗浄して除去する。次いで、ペルオキシダーゼ基質をディッシュに添加し、そして所定の時間内の発色の量が、標準曲線と比較した場合に患者のサンプルの所定の用量内に存在する本発明のポリペプチドの量の測定値となる。
競合アッセイが使用され得、ここでは本発明のポリペプチドに特異的な抗体が固体支持体に結合され、そして標識されたEMAP IIIおよび宿主由来のサンプルが固体支持体を通過し、そして固体支持体に結合した検出された標識の量が、サンプル中の本発明のポリペプチドの量に相関付けられ得る。
本発明の配列はまた、染色体の同定のために有用である。この配列は、個々のヒト染色体上の特定の位置に特異的に標的化され、そしてこれとハイブリダイズされ得る。さらに、現在、染色体上の特定の部位を同定する必要がある。実際の配列データ(反復多型)に基づく染色体マーキング試薬は、現在、染色体位置をマーキングするためにはほとんど利用されていない。本発明の染色体に対するDNAのマッピングは、これらの配列の疾患に関連する遺伝子への関連づけにおける重要な第1段階である。
簡潔にいうと、配列は、cDNA由来のPCRプライマー(好ましくは15〜25塩基対)の調製により、染色体にマッピングされ得る。遺伝子の3'非翻訳領域のコンピューター分析を用いて、ゲノムDNAにおいて1つ以上のエクソンに及ばず、従って増幅工程を複雑にしているプライマーを迅速に選択する。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使用される。このプライマーに対応するヒト遺伝子を含むハイブリッドのみが、増幅したフラグメントを生じる。
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定のDNAを特定の染色体に割り当てるための迅速な手順である。同一のオリゴヌクレオチドプライマーと共に本発明を使用して、副位置づけ(sublocalization)が、類似の様式において、特定の染色体または大きなゲノムクローンのプール由来のフラグメントのパネルを用いて達成され得る。その染色体に対するマッピングするために同様に使用され得る他のマッピング戦略として、インサイチュハイブリダイゼーション、標識フローソーティッドした染色体を用いる予備スクリーニング、および構築染色体特異的cDNAライブラリーとのハイブリダイゼーションによる予備選択が挙げられる。
cDNAクローンの分裂中期染色体スプレッドへの蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)が、1つの工程における正確な染色体の位置づけを提供するために使用され得る。この技術は、少なくとも50または60塩基を有するcDNAを用いて使用され得る。この技術の総説については、Vermaら、Human Chromosomes: a Manual of Basic Techniques, Pergamon Press, New York (1988)を参照のこと。
一旦配列が正確な染色体位置にマッピングされると、染色体上の配列の物理的位置は、遺伝的マップデータに相関され得る。このようなデータは、例えば、V. McKusick, Mendelian Inheritance in Man(Johns Hopkins University Welch Medical Libraryのオンライン入手可能である)に見出される。次いで、同一の染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との関係は、連鎖分析(物理的に隣接する遺伝子の同時遺伝)によって同定される。
次に、罹患個体と非罹患個体との間のcDNA配列またはゲノム配列における差異を決定する必要がある。変異が罹患個体のいくつかまたは全てで認められるが正常な個体においては認められないならば、その変異がその疾患の原因であるようである。
現在の物理的マッピングおよび遺伝的マッピング技術の分解能を用いて、疾患に関連する染色体領域に正確に位置づけられるcDNAは、50と500との間の潜在的な原因遺伝子の1つであり得る(このことは、1メガベースマッピング分解能および20kbあたり1つの遺伝子を想定する)。
このポリペプチド、それらのフラグメントまたは他の誘導体、あるいはそれらのアナログ、もしくはそれらを発現する細胞が、それらに対する抗体を産生するための免疫原として使用され得る。これらの抗体は、例えば、ポリクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。本発明はまた、キメラの、1本鎖の、そしてヒト化された抗体、ならびにFabフラグメント、もしくはFab発現ライブラリーの産物を含む。当該分野で公知の種々の手順が、このような抗体およびフラグメントの産生のために使用され得る。
本発明の配列に対応するポリペプチドに対して産生される抗体は、このポリペプチドの動物への直接注入により、またはこのポリペプチドの動物(好ましくはヒトでない動物)への投与によって得られ得る。次いで、こうして得られた抗体はポリペプチドそれ自身に結合される。この様式において、このポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列さえも、天然のポリペプチド全体に結合する抗体を産生するために使用され得る。次いで、このような抗体は、ポリペプチドを発現する組織からこのポリペプチドを単離するために使用され得る。
モノクローナル抗体の調製のために、連続的な細胞株培養物により産生される抗体を提供する任意の技術が使用され得る。例として、ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein、1975, Nature, 256:495-497)、トリオーマ(trioma)技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983, Immunology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を作製するためのEBVハイブリドーマ技術(Coleら、1985, in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 77-96頁)が挙げられる。
1本鎖の抗体の産生のために記載された技術(米国特許第4,946,778号)が、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対する1本鎖抗体を作製するために適合され得る。また、トランスジェニックマウスが、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対するヒト化抗体を発現するために使用され得る。
本発明は、以下の実施例についての参考と共にさらに記載される;しかし、本発明はこのような実施例に限定されないことが理解されるべきである。全ての部分または量は、特に記載のない限りは、重量によるものである。
以下の実施例の理解を容易にするために、特定の頻繁に生じる方法および/または用語を記載する。
「プラスミド」は、大文字および/または数字に先行するおよび/またはそれに続く小文字のpによって示される。本明細書中の出発プラスミドはいずれも市販されており、制限されない基準においては公的に入手可能であるか、または入手可能なプラスミドから公表されている手順で構築され得る。さらに、記載されるプラスミドと等価のプラスミドが、当該分野で公知であり、そして当業者に明らかである。
DNAの「消化」は、DNA中の特定の配列にのみ作用する制限酵素を用いるDNAの触媒的切断をいう。本明細書中で使用される種々の制限酵素は市販されており、そしてその反応条件、補因子、および他の必要条件は、当業者に公知のように使用された。分析的目的のために、代表的には1μgのプラスミドまたはDNAフラグメントが、約20μlの緩衝液中の約2単位の酵素と共に使用される。プラスミド構築のためにDNAフラグメントを単離する目的のためには、代表的には5〜50μgのDNAがより大きな用量において20〜250単位の酵素で消化される。特定の制限酵素についての適切な緩衝液および基質の量は、製造業者によって特定される。約1時間、37℃のインキュベート時間が通常使用されるが、供給者の指向により変化し得る。消化後、反応物はポリアクリルアミドゲル上で直接電気泳動され、所望のフラグメントが単離される。
切断されたフラグメントのサイズ分離が、Goeddel, D.ら、Nucleic Acids Res.,8:4057(1980)に記載の8%ポリアクリルアミドゲルを使用して実施される。
「オリゴヌクレオチド」は、化学的に合成され得る1本鎖のポリデオキシヌクレオチド、または2つの相補的なポリデオキシヌクレオチド鎖のいずれかをいう。このような合成オリゴヌクレオチドは、5'リン酸を有さず、従ってキナーゼの存在下でATPと共にリン酸塩を付加しなければ別のオリゴヌクレオチドと結合しない。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸化されていないフラグメントと結合する。
「直結反応」は、2本鎖核酸フラグメントの間にホスホジエステル結合を形成する工程をいう(Maniatis, T.ら、同上,146頁)。他に提供されなければ、連結反応は、0.5μgの連結されるべきDNAフラグメントの約当モル量あたり10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて、公知の緩衝液および条件を使用して達成され得る。
他に述べない限りは、形質転換は、Graham, F.およびVan der Eb., A., Virology, 52:456-457(1973)の方法に記載のように実施された。
実施例1
EMAP IIIの細菌発現および精製
EMAP IIIをコードするDNA配列を、プロセスされたEMAP IIIタンパク質(シグナルペプチド配列を除く)の5'配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーおよびEMAP III遺伝子に対するベクター3'配列を用いて最初に増幅する。EMAP IIIに対応するさらなるヌクレオチドを、それぞれ5'および3'配列に付加した。5'オリゴヌクレオチドプライマーは、BamHI制限酵素部位を含む配列5'GATCGGATCCGAGGAGGTCATCCCATCC3'(配列番号3)を有し、それにプロセスされたタンパク質の最初のアミノ酸(Glu)から始まるEMAP IIIコード配列が続く。3'配列、5'GATCAAGCTTCTAGATAATGTTCCCCCC3'(配列番号4)は、HindIII部位に相補的な配列を含み、そしてそれに末端アミノ酸から始まるEMAP IIIコード配列のヌクレオチドが続く。この制限酵素部位は、細菌発現ベクターpQE-9(Quagen, Inc. Chatsworth, CA, 91311)上の制限酵素部位に対応する。pQE-9は、抗生物質耐性(Ampr)、細菌の複製起点(ori)、IPTG調節可能プロモーターオペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6-Hisタグ、および制限酵素部位をコードする。次いで、pQE-9を、BamH1およびHindIIIで消化した。増幅した配列をpQE-9に連結し、そしてヒスチジンタグおよびRBSをコードする配列でインフレームに挿入した。次いで、連結混合物を用いて、E. coli株M15/rep4(Qiagen,Inc.)をSambrook, J.ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Laboratory Press, (1989)に記載の手順により形質転換した。M15/rep4は、プラスミドpREP4の複数のコピーを含み、これはlacIリプレッサーを発現し、そしてまたカナマイシン耐性(Kanr)を付与する。形質転換体をLBプレート上で増殖するそれらの能力により同定し、そしてアンピシリン/カナマイシン耐性コロニーを選択した。プラスミドDNAを単離し、そして制限酵素分析により確認した。所望の構築物を含むクローンを、Amp(100μg/ml)とKan(25μg/ml)との両方を補充したLB培地での液体培養で一晩(O/N)増殖させた。O/N培養物を用いて、1:100〜1:250の比で大きな培養物に接種した。細胞を、0.4と0.6との間の600の光学密度(O.D.600)で増殖させた。次いで、IPTG(「イソプロピル-B-D-チオガラクトピラノシド」)を加えて最終濃度を1mMにした。IPTGは、lacIリプレッサーを不活性化することにより、遺伝子発現の増加を導くP/Oを解放(clear)し誘導する。細胞を、さらに3〜4時間増殖させた。次いで、細胞を遠心分離により回収した。細胞ペレットをカオトロピック薬剤6MグアニジンHCl中で可溶化した。澄明化後、可溶化されたEMAP IIIを、6-ヒスタグを含むタンパク質による堅い結合を可能とする条件下で、ニッケル−キレートカラム上でのクロマトグラフィーによりこの溶液から精製した(Hochuli, Eら、J. Chromatography 411: 177-184(1984))。EMAP IIIタンパク質(>90%純度)をpH5.0でカラムから溶出し、そしてプールし、そしてGnHClの減少する濃度に対して透析し、次いで最終的に20mMのトリスHCl(pH8.0);59mMのNaCl;0.1%w/vのオクチル-β-グリコシドを含む緩衝液中で透析した。可溶性タンパク質の濃度を、BioRadアッセイを使用して決定し、そして細菌LPS汚染をアッセイした。
実施例2
バキュロウイルス発現系を用いるEMAP IIIのクローニングおよび発現
全長のEMAP IIIタンパク質をコードするDNA配列を、この遺伝子の5'および3'配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する:
5'プライマーは、
Figure 0003759168
を有し、そしてBamHI制限酵素部位(太字)、EMAP III遺伝子の最初の18ヌクレオチドを含む。
3'プライマーは、配列5'GATCGGATCCCTAGATAATGTTCCCCCC3'(配列番号6)を有し、制限エンドヌクレアーゼBamHIの切断部位、およびEMAP III遺伝子の3'配列に相補的な18ヌクレオチドを含む。増幅配列を、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc., La Jolla, Ca.)を用いて、1%アガロースゲルより単離する。次いで、フラグメントをエンドヌクレアーゼBamHIで消化し、そして再び1%アガロースゲルにより精製する。このフラグメントを、F2と称する。
ベクターpRG1(pVL941ベクターの変異体、下記)を、バキュロウイルス発現系を用いるEMAP IIIタンパク質の発現のために用いる(総説について:Summers, M.D.およびSmith, G.E. 1987, A manual of methods for baculovirus vectors and insect cell culture procedures, Texas Agricultural Experimental Station Bulletin No. 1555を参照のこと)。この発現ベクターは、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcMNPV)の強いポリヘドリンプロモーター、それに続く制限エンドヌクレアーゼBamHIの認識部位を含む。シミアンウイルス(SV)40のポリアデニル化部位を、効率的なポリアデニル化のために用いる。組換えウイルスを容易に選択するために、E. coli由来のβガラクトシダーゼ遺伝子を、ポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルが続くポリヘドリンプロモーターと同方向に挿入する。ポリヘドリン配列を、コトランスフェクト野生型ウイルスDNAの細胞媒介性相同組換えのためにウイルス配列により両端で隣接させる。多くの他のバキュロウイルスベクターが、pRG1の代わりに用いられ得る。例えば、pAc373、pVL941、およびpAcIM1である(Luckow, V.A.およびSummers, M.D., Virology, 170:31-39)。
プラスミドを制限酵素BamHIで消化し、そして当該分野で公知の手順により仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化する。次いで、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc. La Jolla, Ca)を使用して、DNAを1%アガロースゲルより単離する。このベクターDNAをV2と称する。
フラグメントF2および脱リン酸化プラスミドV2を、T4 DNAリガーゼを用いて連結する。次いで、E. coli HB101細胞を形質転換し、そして酵素BamHIを用いて、EMAP III遺伝子を有するプラスミド(pBac EMAP III)を含む細菌を同定する。クローン化フラグメントの配列を、DNA配列決定により確認する。
5μgのプラスミドpBac EMAP IIIを、リポフェクション法(FelgnerらProc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:7413-7417 (1987))を用いて、1.0μgの市販の線状化したバキュロウイルス(「BaculoGoldTM baculovirus DNA」,Pharmingen, San Diego, CA.)とともにコトランスフェクトする。
1μgのBaculoGoldTMウイルスDNAおよび5μgのプラスミドpBac EMAP IIIを、50μlの血清非含有グレース培地(Life Technologies Inc., Gaithersburg, MD)を含むマイクロタイタープレートの無菌ウェル中で混合する。その後、10μlリポフェクチンおよび90μlのグレース培地を添加し、混合し、そして室温にて15分間インキュベートする。次いで、そのトランスフェクション混合物を、血清非含有グレース培地1mlを有する35mm組織培養プレート内に播種されたSf9昆虫細胞(ATCC CRL 1711)に滴下して加える。プレートを、新たに加えられた溶液を混合するために、前後に振とうする。次いでプレートを、27℃で5時間インキュベートする。5時間後、トランスフェクション溶液をプレートから除去し、そして10%ウシ胎児血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加する。プレートをインキュベーターに戻し、そして27℃で4日間培養を続ける。
4日後、上清を回収し、そしてSummersおよびSmith(前出)による記載と同様にプラークアッセイを行う。改変法として、青く染色されたプラークの容易な単離を可能にする、「Blue Gal」(Life Technologies Inc., Gaithersburg)を含むアガロースゲルを用いる。(「プラークアッセイ」の詳細な記述はまた、Life Technologies Inc.、Gaithersburg、で配布される昆虫細胞培養法およびバキュロウイルスの使用者ガイド(9〜10頁)においても見い出され得る)。
連続希釈の4日後、ウイルスを細胞に添加し、そして青く染色されたプラークをエッペンドルフピペットのチップで拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を、200μlのグレース培地を含むエッペンドルフチューブに再懸濁する。寒天を、簡単な遠心分離により除去し、そして組換えバキュロウイルスを含む上清を使用して、35mmディッシュに播種されたSf9細胞を感染する。4日後、これらの培養ディッシュの上清を回収し、次いで4℃で保存する。
Sf9細胞を、10%熱失活化FBSを補充したグレース培地中で増殖させる。細胞を、感染多重度(MOI)2で組換えバキュロウイルスV-EMAP IIIで感染させる。6時間後、その培地を除去し、そしてメチオニンおよびシステインを除いたSF900 II培地(Life Technologies Inc., Gaithersburg)に置き換える。42時間後、5μCiの35S-メチオニンおよび5μCiの35Sシステイン(Amersham)を添加する。細胞を、さらに16時間インキュベートし、その後細胞を遠心分離により採集し、そして標識されたタンパク質をSDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーにより可視化する。
実施例3
COS細胞における組換えEMAP IIIの発現
プラスミド、EMAP III HAの発現を、ベクターpcDNAI/Amp(Invitrogen)から誘導する。ベクターpcDNAI/Ampは以下を含む:1)SV40複製起点、2)アンピシリン耐性遺伝子、3)E. coli複製起点、4)ポリリンカー領域、SV40イントロンそしてポリアデニル化部位が続くCMVプロモーター。完全なEMAP III前駆体、およびその3'末端にインフレームで融合されたHAタグをコードするDNAフラグメントを、ベクターのポリリンカー領域にクローン化する。それゆえ、組換えタンパク質発現はCMVプロモーター下で指向される。HAタグは、先に記載されたようなインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する(I. Wilson、H. Niman、R. Heighten、A Cherenson、M. Connolly、およびR. Lerner、1984, Cell 37, 767)。標的タンパク質へのHAタグの融合により、HAエピトープを認識する抗体を用いる組換えタンパク質の容易な検出が可能になる。
プラスミド構築戦略を以下に記述する:
EMAP IIIをコードするDNA配列を、2つのプライマーを用いたPCRにより構築する:
Figure 0003759168
は、BamHI部位、それに続く開始コドンから始まるEMAP IIIコード配列の18ヌクレオチドを含む;3'配列5'GATCAAGCTTCTAGATAATGTTCCCCCC3'は、BamHI部位、翻訳終止コドン、HAタグ、およびEMAP IIIコード配列の最後の18ヌクレオチドに相補的な配列を含む。それゆえ、PCR産物は、BamHI部位、インフレーム融合したHAタグが続くEMAP IIIコード配列、およびHAタグに隣接する翻訳終止停止コドンを含む。PCR増幅DNAフラグメントおよびベクター(pcNDAI/Amp)を、BamHI制限酵素により消化し、そして連結する。連結混合物を、E. coli SURE株(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA 92307)に形質転換し、形質転換培養物をアンピシリン培地プレートに播種し、そして耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを形質転換体より単離し、そして正しいフラグメントの存在を制限分析で試験する。組換えEMAP IIIの発現のために、COS細胞をDEAE-DEXTRAN法により発現ベクターでトランスフェクトする(J. Sambrook、E. Fritsch、T. Maniatis、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Laboratory Press, (1989))。EMAP III HAタンパク質の発現を、放射性標識および免疫沈降法により検出する(E. Harlow, D. Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1988))。細胞を、トランスフェクションの2日後、35S-システインで8時間標識する。次いで培養培地を回収し、そして細胞を界面活性剤(RIPA緩衝液(150mM NaCl、1% NP-40、0.1% SDS、1% NP-40、0.5% DOC、50mM Tris(pH7.5))で溶解する(Wilson, I.ら、同上37:767 (1984))。細胞溶解物および培養培地の両方を、HA特異的モノクローナル抗体により沈降させる。沈降したタンパク質を15%SDS-PAGEゲルによって分析する。
実施例5
遺伝子治療を介する発現
線維芽細胞を、被験体から皮膚生検によって得る。得られた組織を組織培養培地中に入れ、そして小さい切片に分けた。組織の小さな切片を、組織培養フラスコの湿った表面上に置き、各フラスコ中に約10切片を入れる。フラスコを上下に逆さにし、しっかりと密閉し、室温に一晩放置する。室温で24時間後、フラスコを逆転させ、そして組織塊がフラスコの底に付着したまま維持し、そして新鮮な培地(例えば、10% FBS、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むハムF12培地)を添加する。次いで、これを37℃で約1週間インキュベートする。この時点で、新鮮な培地を添加し、そしてその後数日ごとに交換する。さらに2週間の培養後、線維芽細胞の単層が生じる。単層をトリプシン処理し、そしてより大きなフラスコに拡大(scale)する。
モロニーマウス肉腫ウイルスの長末端反復に隣接するpMV-7(Kirschmeier, P.T.ら、DNA, 7: 219-25(1988))をEcoRIおよびHindIIIを用いて消化し、続いて仔ウシ腸ホスファターゼで処理する。直鎖状ベクターをアガロースゲル上で分離し、そしてガラスビーズを用いて精製する。
本発明のポリペプチドをコードするcDNAを、それぞれ5'および3'末端配列に対応するPRCプライマーを用いて増幅する。5'プライマーは、EcoRI部位を含み、そして3'プライマーは、HindIII部位を含む。等量のモロニーマウス肉腫ウイルス直鎖状骨格および増幅されたEcoRIおよびHindIIIフラグメントを、T4 DNAリガーゼの存在下で一緒に加える。得られた混合物を、2つのフラグメントの連結に適切な条件下で維持する。連結混合物を使用して、細菌HB101を形質転換し、次いで、これを、ベクターが適切に挿入された目的の遺伝子を有することを確認する目的のために、カナマイシン含有寒天プレート上にプレーティングする。
両栄養性pA317またはGP+am12パッケージング細胞を、10%仔ウシ血清(CS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)における組織培養物中で、コンフルエントな密度に増殖させる。次いで、この遺伝子を含むMSVベクターを培地に添加し、そしてパッケージング細胞をベクターで形質導入する。ここでパッケージング細胞は、この遺伝子を含有する感染性ウイルス粒子を産生する(ここでパッケージング細胞は、プロデューサー細胞と呼ばれる)。
新鮮な培地を、形質導入されたプロデューサー細胞に添加し、その後、コンフルエントなプロデューサー細胞の10cmプレートから培地を回収する。感染性ウイルス粒子を含む消費された培地を、milliporeフィルターで濾過し、剥離したプロデューサー細胞を除去し、そして次いでこの培地を用いて線維芽細胞を感染させる。培地を、線維芽細胞のサブコンフルエントなプレートから除去し、そして直ちにプロデューサー細胞からの培地に置き換える。この培地を除去し、そして新鮮な培地と置き換える。ウイルスの力価が高い場合、事実上全ての線維芽細胞が感染され、そして選択は必要ではない。力価が非常に低い場合、選択マーカー(例えば、neoまたはhis)を有するレトロウイルスベクターを使用することが必要である。
次いで、操作された線維芽細胞を、単独、あるいはサイトデックス3マイクロキャリアービーズ上でコンフルエントに増殖させた後のいずれかで、宿主に注入する。ここで、線維芽細胞は、タンパク質産物を産生する。
本発明の多くの改変および変形が、上記の教示を考慮すれば可能であり、従って、特に記載がなければ、添付の請求の範囲の範囲内で本発明は実施され得る。
配列表
(1)一般的情報:
(i)出願人:コールマン,ら
(ii)発明の名称:内皮単球活性ポリペプチドIII
(iii)配列数:
(iv)連絡住所:
(A)名称:カレラ,バーン,ベイン,ギルフィラン,ケッチ,スチュワート アンド オルステイン
(B)番地:ベッカー ファーム ロード 6
(C)市:ローズランド
(D)州:ニュージャージー
(E)国:アメリカ合衆国
(F)郵便番号:07068
(v)コンピューター読み出し形態:
(A)媒体型:3.5インチ ディスケット
(B)コンピューター:IBM PS/2
(C)OS:MS-DOS
(D)ソフトフェア:ワードパーフェクト5.1
(vi)現在の出願データ:
(A)出願番号:
(B)出願日:同日
(C)分類:
(vii)先願データ:
(A)出願番号:
(B)出願日:
(C)分類:
(viii)代理人/事務所情報:
(A)氏名:フェラロ,グレゴリー ディー.
(B)登録番号:36,134
(C)照会/記録番号:325800-
(ix)電話回線情報:
(A)電話:201-994-1700
(B)テレファックス:201-994-1744
(2)配列番号1の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:636塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号1:
Figure 0003759168
(2)配列番号2の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:168アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号2:
Figure 0003759168

Claims (22)

  1. 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
    (a)配列番号2のアミノ酸1〜アミノ酸168を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
    (b)該ポリヌクレオチド(a)とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする能力を有し、かつ、単球の移動を促進するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    から成る群から選択されるメンバーを含む、単離されたポリヌクレオチド。
  2. 前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 配列番号1に示す配列のヌクレオチド1〜ヌクレオチド636を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  4. 配列番号1に示す配列のヌクレオチド94〜ヌクレオチド636を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  5. 配列番号1に示す配列のヌクレオチド94〜ヌクレオチド600を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  6. 請求項1に記載のDNAを含む、ベクター。
  7. 請求項6に記載のベクターで遺伝操作された宿主細胞。
  8. 請求項7に記載の宿主細胞から、前記DNAによってコードされるポリペプチドを発現させる工程を包含する、ポリペプチドを産生する方法。
  9. 請求項6に記載のベクターで細胞を遺伝操作する工程を包含する、ポリペプチドを発現し得る細胞を生成する方法。
  10. 配列番号2の推定アミノ酸配列を有するポリペプチド、またはそのフラグメントを含む、ポリペプチド。
  11. 請求項10に記載のポリペプチドに対する抗体。
  12. 異種ポリヌクレオチドに融合した、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  13. 前記異種ポリヌクレオチドが異種ポリペプチドをコードする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  14. 前記異種ポリペプチドが前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに融合される、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  15. 前記ポリヌクレオチドが調節制御配列に作動可能に連結される、請求項6に記載のベクター。
  16. 前記宿主細胞が、原核生物細胞、真核生物細胞、脊椎動物細胞、Cos細胞、CHO細胞、またはE.coli細胞である、請求項7に記載の宿主細胞。
  17. 前記ポリペプチドが、標識される、またはポリエチレングリコールに融合される、請求項10に記載のポリペプチド。
  18. 前記ポリペプチドが異種ポリペプチドに融合される、請求項10に記載のポリペプチド。
  19. 前記ポリペプチドがN末端メチオニンを欠く、請求項10に記載のポリペプチド。
  20. 前記ポリペプチドがN末端メチオニンを有する、請求項10に記載のポリペプチド。
  21. 前記抗体が請求項10に記載のポリペプチドに特異的に結合する、請求項11に記載の抗体。
  22. ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、単鎖FvまたはFabフラグメントである、請求項11または2のいずれかに記載の抗体。
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