JP3758000B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という)に係り、特に、高均一度の高周波磁場を効率良く発生し、被検体の検査部位の核スピンを均等に励起して、検査結果の精度を向上するMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置では、被検体に高周波電力を照射して、被検体内に発生した核磁気共鳴信号(以下、NMR信号という)を受信する。この高周波電力の照射、NMR信号の受信には高周波コイルが用いられている。ここで、高周波コイルには2つの基本的な機能が要求される。1つは被検体の検査部位の核スピンを効率よく励起することで、他の1つは励起結果としての核スピンの歳差運動を効率良く検出することである。被検体に効率良く高周波電力を照射するための方法としてクオドラチャー照射(以下、QD照射という)がある。
【0003】
核スピンの励起時を考えると、励起に必要な磁場は核スピンと同じ方向に回転する高周波磁場である。しかし、高周波コイル単独で発生する高周波磁場は直線偏向の磁場である。直線偏向の磁場は互いに反対方向に回転する2つの回転磁場に分解できるから、核スピンの励起に寄与するのは照射した高周波磁場の半分だけである。残りの半分は無効になる。従って、最初から高周波磁場を回転磁場として与えれば、このような無駄は生じないことになる。これがQD照射で、互いに幾何学的及び電磁気的に直交する2組の高周波コイルに、互いに90度位相のずれた電流を流すことで回転磁場が発生する。QDコイルにより被検体に照射する高周波電力を1/2に低減できることは、装置構成上有利であるばかりでなく、被検体に対する高周波磁場の曝射を同じ程度に低減できることでもある。この効果は、高磁場のMRI装置においてメリットが大きい。
【0004】
上記の如きQD照射を行うためには、照射用高周波コイルに高周波電力を印加するにあたり、照射用高周波コイルの電磁気的に直交する2つの給電ポートに電力を2分配し、一方の給電ポートにはそのままの位相の電力を、他方の給電ポートには位相の90度遅れた電力を印加する。以上の操作を以下において高周波電力のQD分配と呼ぶ。2つの給電ポートに独立の高周波電力増幅器を置いて、電力及び位相制御する方法もあるが、コストが高くなるのであまり行われていない。比較的小電力の分配器としては、構成の単純な抵抗分配器、フェライト・コアを用いたハイブリッド分配器などが一般的である。MRI装置の分配器は、大電力で、かつ強磁場中で使用されるので、大電力に耐えなければならないこと、また磁場中でフェライトの磁気飽和が発生することなどの問題があり、上記の分配器の使用は困難である。また、MRI装置で使用される高周波磁場の照射周波数の帯域幅は狭帯域であるので、同軸ケーブルを用いた狭帯域分配器が使用されている。
【0005】
以下に、同軸ケーブルを用いてQD分配を行うための従来技術を列挙する。
1.λ/4ケーブル4本を組み合わせたブランチライン形のハイブリッドリング回路を使用する。
2.ラットレース回路を使用する。この方法については、ジャーナル・オブ・マグネティック・レゾナンス誌(J.Magn.Reson.)第69巻、第236〜242頁(1986年)に報告されている。
3.λ/8ケーブル2本とコンデンサ2個を組み合わせたQD分配/結合回路を使用する。この基本構成については、1991年のSMRM(Annual Meeting of The Society of Magnetic Resonance in Medicine)予稿集、第124頁で報告されている。
【0006】
これらの従来技術は、いずれも同軸ケーブルの受電端を開放したり短絡したりすると、所望の周波数の波長に対応したある長さにおいて、同軸ケーブルの送電端からのインピーダンスが0や無限大になったり、あるいは送電端と受電端の電圧の位相がずれたり反対になったりする波長整合ケーブル(λ/4ケーブルやλ/8ケーブル)の性質を利用している。また、いずれの場合にも、高周波電力を2分配しており、分配比率は1:1である。
【0007】
従来技術の高周波大電力(10kw以上)分配器として良く知られているものに、Wilkinson形の電力分配器がある。これは特性インピーダンスWを持つλ/4変成器を用いた分配器である。このタイプの分配器は、通常マイクロストリップ線路(分布定数回路)で構成され、複数個の出力端子に入力の高周波電力を等分配することが多い。異なる任意の出力電力を与える2分配器としては、図3に示すような構成が、「マイクロ波回路の基礎とその応用」(小西良弘著、総合電子出版社、1990)に示されている。この場合は、4本のマイクロストリップラインで分配器が構成され、出力電力は任意の分配比率で分配されているが、位相は同位相で分配される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
先に、QD照射により被検体に効率良く高周波電力を照射できることを述べた。QD照射する高周波コイルの2つの給電ポートから、負荷である被検体を見た場合、照射部位が頭部のように形状の比較的対称な場合には、各々の給電ポート間の照射効率差(感度差)は無い。しかし、全身用QDコイルのように、照射部位が腹部や胸部のように形状が対称でない場合には、各々の給電ポート間の照射効率に差が生じる場合がある。このような時には、効率良くQD照射を行うことができない。
【0009】
そこで、腹部や胸部の場合には、予め各々の給電ポート間の照射効率の差(感度差)に応じた分配比率で高周波電力を分配して、言い換えれば、全身用QDコイルへの感度補正のための重み付けを行って照射(重み付け照射)すれば、効率良くQD照射を行うことができる。
【0010】
上記の従来技術で列挙した3種類のQD分配器は、高周波電力を2分配しており、分配比率は1:1であり、重み付け照射はできない。また、図3のようなマイクロストリップラインで構成される分配器では、出力電力間の位相が90度ずれていない。また、所望の周波数が例えば64MHzの場合、λ/4に対応する長さは約1m弱で、このケーブルが4本必要となり大形の構成となっている。
【0011】
そこで、本発明では、全身用QDコイルの照射効率補正のために、高周波電力の重み付けQD分配ができ、非磁性で小形の電力分配手段を備えたMRI装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のMRI装置は、静磁場、傾斜磁場及び高周波磁場の各磁場を発生する各磁場発生手段と、被検体からの核磁気共鳴信号(以下、NMR信号という)を検出する信号検出手段と、前記NMR信号を受信する受信器と、該受信器からのNMR信号に基づき画像再構成のための信号処理、演算を行う信号処理手段と、該信号処理手段の演算結果を出力する出力手段とを備えた磁気共鳴イメージング装置において、前記高周波磁場発生手段は、少なくとも2個以上の電力供給端子を有して、該電力供給端子のそれぞれに電力を分配して供給する電力分配手段を備え、前記電力分配手段は、複数段の低域通過フィルタと、前記電力供給端子間のアイソレーションを行うための吸収抵抗と、少なくとも前記電力分配の分配比率を調整する調整手段と、を有して構成され、前記低域通過フィルタは、集中定数回路を用いて構成された位相推移器であることを特徴とするものである。
【0013】
この構成では、照射用QDコイルに供給する高周波電力について、所望の分配比率及び位相で電力分配できるので、被検体の検査部位及び照射用QDコイルの特性を考慮して、被検体への高周波磁場の照射がより効率良く行えるように分配比率と位相を決定することができる。
【0014】
更に、前記電力分配手段が複数段の低域通過フィルタにより構成されており、各々の低域通過フィルタはインダクタンスとコンデンサとから成る位相推移器としての機能を果たしている。この結果、電力分配手段としてはインダクタンス値やコンデンサ容量値の選択、低域通過フィルタの接続段数の選択をより良く行うことにより、高周波磁場の照射効率を向上させることができる。
【0015】
更に、前記電力分配手段が集中定数部品で構成されているので、小形化をはかることができる。
【0016】
本発明のMRI装置では更に、前記電力分配手段が非磁性の素子で構成されているものである。この構成では、電力分配手段が非磁性の素子から成るので、静磁場中での使用も可能となり、照射用高周波コイルとの一体化も実現できる。
【0017】
本発明のMRI装置では更に、前記電力分配手段が少なくとも1個以上の可変容量素子を含むものである。この構成では、電力分配手段が可変容量素子を含むことにより、電力分配比、位相及び特性インピーダンスを素子の付け替えなしに容易に調整することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図2は、本発明が適用されるMRI装置のブロック図である。図2において、被検体4の置かれる計測空間内に静磁場を発生させる静磁場コイル1、各々直交するX,Y,Z方向の傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイル3、被検体4に照射する高周波回転磁場を発生させるために電磁気的に直交する2つの高周波コイルから構成される照射用高周波コイル8が備えられ、更に照射用高周波コイル8から発せられる高周波磁場により被検体4から生じるNMR信号を検出する信号検出手段として受信用高周波コイル21及び検出されたNMR信号を増幅する前置増幅器9が備えられ、検出されたNMR信号は受信器17に伝送される。
【0019】
上記の各コイルを駆動する駆動系としては、静磁場コイル1を駆動する静磁場コイル駆動電源2、傾斜磁場コイル3を駆動し、被検体4の置かれている計測空間の磁場分布を所望の傾斜を有する分布とする傾斜磁場コイル駆動電源14、照射用高周波コイル(QDコイル)8から高周波磁場を発生させるための高周波パルスを発生する高周波パルス発生器6、高周波パルスを増幅する電力増幅器7、並びに傾斜磁場コイル駆動電源14及び高周波パルス発生器6に接続され、各装置に種々の命令を一定のタイミングで出力する制御装置5を備えている。
【0020】
受信器17は、高周波パルス発生器6に接続され、互いに90度位相の異なる2つの参照信号を発生させる検波信号発生器15と、2つの検波器10A,10Bとを備えており、検波器10A,10Bは前置増幅器9からの受信信号及び検波信号発生器15からの検波信号を受け、直交検波を行い、実部及び虚部からなるアナログ信号を出力する。
【0021】
信号処理系は、2つの検波器10A,10Bから送られてくる実部及び虚部からなるアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換するA/D変換器11A,11B,実部デジタル信号及び虚部デジタル信号から画像再構成のための演算処理を行う信号処理装置12、及び演算処理の結果を表示する出力手段としての表示装置13を備えている。
【0022】
このMRI装置においては、高周波パルス発生器6の出力が電力増幅器7で増幅され、QD分配器20にてこの出力電力が一方に対し他方の位相が90度ずれるように分配され、照射用QDコイル8が励振され、照射用QDコイル8から高周波回転磁場が被検体4に発せられる。また、3軸方向の傾斜磁場コイル3が傾斜磁場コイル駆動電源14によって駆動されることにより、傾斜磁場がパルス状に静磁場に重畳される。これらの高周波磁場及び傾斜磁場の印加は制御装置5の制御により所定のパルスシーケンスで繰り返される。このようなパルスシーケンスに基づき、被検体4に発生するNMR信号は、信号検出手段の受信用高周波コイル21に受信され、その信号成分は、前置増幅器9で増幅された後、受信器17に伝送される。
【0023】
次に、本発明の電力分配手段の詳細な説明をする前に、本発明の背景となるマイクロストリップラインで構成する分配器について図3を用いて説明する。図3はマイクロストリップラインで構成する分配器31を示す。図3において、分配器31に入力した入力電力は入力端子32で所望の分配比率で出力端子33と34に分配される。図中の記号Z0は入力端子及び出力端子の特性インピーダンス、Z2,Z3,Z2’,Z3’はマイクロストリップラインの各部の特性インピーダンスである。また、Rは吸収抵抗35である。吸収抵抗35は、各々の出力端子間のアイソレーションのために必要である。この場合のアイソレーションとは、一方の出力端子に高周波信号を加えた場合に他方の出力端子の負荷抵抗が伝送線路の特性インピーダンスからずれても、他の出力端子の出力には影響を与えないということである。
【0024】
このような構成において、出力端子33と34の電力配分を1:K2に設計する場合、各特性インピーダンス及び吸収抵抗の値は下式で与えられる。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【0025】
また、広帯域化を図る場合は、下式で設計することができる。
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【0026】
Z2,Z3,Z2’,Z3’の特性インピーダンスをもつ各々のマイクロストリップラインは、対象とする周波数の波長の4分の1(λ/4)の長さになるようにする。このことから、各々のマイクロストリップラインは対象とする周波数で各々Z2,Z3,Z2’,Z3’の特性インピーダンスをもつ90度位相推移器で置き換えることができる。従って、分配器31もマイクロストリップラインの組み合わせであることから90度位相推移器の組み合わせとして置き換えることが可能である。
【0027】
そこで、次に任意の特性インピーダンスを有する90度位相推移器の設計について説明する。図4は定K形低域通過フィルタ(以下、フィルタと略称する)の基本回路である。このフィルタのカットオフ周波数(入力信号の減衰量が−3dB(1/√2)となる周波数)をfc、特性インピーダンスをZ0とすると、コンデンサCとインダクタンスLを下式の如く選択すると所望のフィルタ36が設計できる。
【数11】
【数12】
【0028】
このフィルタ36を基本として、90度位相推移器はコンデンサC’とインダクタンスL’を下式の如く選択すると設計できる。
【数13】
【数14】
例えば、入力信号の周波数を64MHz,特性インピーダンスを50Ωとした場合、
C’=35.2pF, L’=176nH
が得られる。
【0029】
上記の如く、任意の特性インピーダンスを有するλ/4長のマイクロストリップラインは集中定数回路で置き換えることができる。同軸ケーブルを用いた90度位相推移器ではその特性インピーダンスが限定されるが、集中定数回路を用いたものでは、任意の特性インピーダンスの90度位相推移器が容易に実現できる。
【0030】
以上の考えを導入して、任意の電力分配器を集中定数回路で構成する方法について述べる。図1は本発明の電力分配器の第1の実施例である。本実施例は、4本のλ/4長のマイクロストリップラインを用いた分配器を4段の低域通過フィルタの組み合わせの集中定数回路で置き換えたものである。図1において、L1〜L4はインダクタンス101〜104,C1〜C8はキャパシタンス105〜112,Rは吸収抵抗113を表わす。この分配器では、入力端子120に入力した電力が出力端子121と122で任意の分配比率で分配される。図中破線で囲った部分(以下、ブロックという)は1つのλ/4長のマイクロストリップラインに対応するものである。図1と図3を比較すると、ブロック130は特性インピーダンスZ2の、ブロック131はZ2’の、ブロック132はZ3の、ブロック133はZ3’のマイクロストリップラインにそれぞれ対応している。
【0031】
そこで、各々のブロックを1つの90度位相推移器と考えると、その構成であるインダクタンスL1〜L4,キャパシタンスC1〜C8の値は【数1】〜【数4】及び【数13】【数14】を用いて下式のように求められる。
【数15】
【数16】
【数17】
【数18】
【数19】
【数20】
【数21】
【数22】
ただし、電力配分比1:K2,対象周波数f0,分配器入出力の特性インピーダンスZ0とする。
【0032】
例えば、電力配分比1:4(K=2),対象周波数f0=63.8MHz,分配器入出力の特性インピーダンスZ0=50Ωとすると、上記の値は次のようになる。
【0033】
広帯域化の場合も、同様に、インダクタンスL1〜L4,キャパシタンスC1〜C8の値は【数6】〜【数9】及び【数13】【数14】を用いて下式のように求められる。
【数23】
【数24】
【数25】
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【数30】
【0034】
広帯域化の場合の一例として、電力配分比1:9(K=3),対象周波数f0=63.8MHz,分配器入出力の特性インピーダンスZ0=50Ωとすると、上記の値は次のようになる。
【0035】
本実施例で使用されるキャパシタンスは、既製のコンデンサを用いてその容量値を組み合わせれば近い値のものが選択できる。また、可変容量コンデンサも使用可能であり、この場合には微調整が可能となる。インダクタンスは、MRI装置で使用されるので非磁性で高周波特性の良いものが適しており、空芯のソレノイドコイルが好適である。
【0036】
図5にソレノイドコイルの模式図を示す。図示の如く、コイルの半径をr、コイルのピッチをa、コイルの全長をbとした場合、ソレノイドコイルのインダクタンス値の目安は
【数31】
を用いて求められる。長さの単位はcmである。
【数31】
ただし、
【数32】
【数33】
【0037】
実際にソレノイドコイルを作る場合には、製作したコイルについて所望の周波数でのインダクタンス値を正確に測定した後、コイル間の間隙を広げてコイルピッチを変えるなどして微調整を行う。好適には、測定器として例えばヒューレット・パッカード社、4195A−NETWORK/SPECTRUM・ANALYZERを用い、等価回路モードでのインピーダンス測定を行い、直列抵抗RS,並列容量CPも合わせてインダクタンス値を調整するのが望ましい。
【0038】
なお、照射用全身QDコイルに給電する際の分配器への入力電力は、最大時には、15kW以上にも及ぶ場合がある。従って、使用するコイル及びコンデンサの所望の周波数における絶縁耐力及び電流容量を十分考慮する必要がある。コンデンサに関しては、MRI装置用として非磁性で電流容量の大きなタイプのものがある(例えば、米国ATC社製ATC100Eシリーズ等)。コイルに関しては、入力電力が15kWの時に最大20A以上の高周波電流が流れる可能があり、電流容量を大きくするためにはコイルの線径を太くする必要がある。特に、高周波電流による表皮効果のためコイル導体の表面部分に電流が集中し、コイル導体の有効断面積が小さくなるので、十分に大きな線径の線材を選択する必要がある。図6はコイルの絶縁補強方法を示したもので、図示の如くコイルの線材141に絶縁強化のための保護チューブ142をかぶせることにより絶縁耐力を大きくすることができる。
【0039】
図7に、本発明の電力分配器の第2の実施例を示す。この実施例では、図1の第1の実施例の構成を基本として、微調整の可能な構成としたものである。図7においては、図1におけるコンデンサ105と109の容量値の和C1+C5をコンデンサ155の容量値VC1で、コンデンサ106と107の容量値の和C2+C3をコンデンサ156の容量値VC2で、コンデンサ110と111の容量値の和C6+C7をコンデンサ158の容量値VC3で、コンデンサ108の容量値C4をコンデンサ157の容量値VC4で、コンデンサ112の容量値C8をコンデンサ159の容量値VC5でそれぞれ置き換え、各々のコンデンサとして可変容量コンデンサを用いたものである。このような構成にすることにより、入力端子161への入力電力を出力端子162と163に分配するにあたり、可変コンデンサを調整して、電力分配比、位相及び特性インピーダンスの微調整を行うことができる。
【0040】
以上においては、任意の分配比率の2分配器を集中定数回路にて構成する方法について述べた。これをQD分配器に適用するためには、分配器の片方の出力の位相を90度遅らせれば実現できる。所望の周波数での90度位相推移器の構成方法については前述したので、両者を組み合わせることにより、所望のQD分配器が得られる。
【0041】
図8は、本発明のQD分配器の第1の実施例を示す。図8においては、分配器171の上側の出力端子176に90度位相推移器172が接続されている。例えば分配器171の分配比率が1:4(K=2)で出力端子176に20%、出力端子175に80%で分配するとした場合、分配された出力の位相は、出力端子175の80%の出力の位相に対し、出力端子174の20%の出力の位相が90度遅れることになる。
【0042】
図9は、本発明のQD分配器の第2の実施例を示したものである。本実施例においては、分配器181の下側の出力端子186に90度位相推移器182が接続されている。この場合には、分配器の分配比率は1:4(K=2)で第1の実施例と同じであるが、分配された出力の位相は出力端子184の20%の出力の位相に対し、出力端子185の80%の出力の位相が90度遅れることになる。どちらの出力端子(出力ポート)の位相を遅らせるかは、照射用QDコイルで発生する磁場の回転方向との関係で決定する。図8あるいは図9のQD分配器を用いることにより照射用QDコイルへの感度補正のための重み付け照射を行うことができ、効率良くQD照射を行うことができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、QD照射をする高周波コイルの各々の給電ポート間の照射効率に差がある場合、その感度補正を考慮した高周波電力の重み付けQD分配を行うことにより効率の良いQD照射を行うことができる。また、λ/4長のマイクロストリップライン及び90度位相推移器を集中定数回路に置き換えた構成にすることによりQD分配器の小形化を図ることができ、非磁性部品で構成することができるので、任意の位置に分配器を設置できる。更に、コンデンサに容量可変タイプを使用することにより、電力分配比,位相及び特性インピーダンスを素子の付替なしに容易に調整することができ、調整時間を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電力分配器の第1の実施例。
【図2】本発明が適用されるMRI装置のブロック図。
【図3】マイクロストリップラインで構成する分配器。
【図4】定K形低域通過フィルタの基本回路。
【図5】ソレノイドコイルの模式図。
【図6】コイルの絶縁補強方法。
【図7】本発明の電力分配器の第2の実施例。
【図8】本発明のQD分配器の第1の実施例。
【図9】本発明のQD分配器の第2の実施例。
【符号の説明】
6 高周波パルス発生器
7 電力増幅器
8 照射用高周波コイル
20 QD分配器
36 フィルタ
101〜104,151〜154 インダクタンス
105〜112 コンデンサ
113,160 吸収抵抗
120,161,173,183 入力端子
121,122,162,163,174,175,184,185 出力端子
130〜133 ブロック(低域通過フィルタ)
141 線材
142 保護チューブ
155〜159 可変容量コンデンサ
171,181 分配器
172,182 90度位相推移器
Claims (6)
- 静磁場、傾斜磁場及び高周波磁場の各磁場を発生する各磁場発生手段と、被検体からの核磁気共鳴信号(以下、NMR信号という)を検出する信号検出手段と、前記NMR信号を受信する受信器と、該受信器からのNMR信号に基づき画像再構成のための信号処理、演算を行う信号処理手段と、該信号処理手段の演算結果を出力する出力手段とを備えた磁気共鳴イメージング装置において、
前記高周波磁場発生手段は、少なくとも2個以上の電力供給端子を有して、該電力供給端子のそれぞれに電力を分配して供給する電力分配手段を備え、
前記電力分配手段は、複数段の低域通過フィルタと、前記電力供給端子間のアイソレーションを行うための吸収抵抗と、少なくとも前記電力分配の分配比率を調整する調整手段と、を有して構成され、
前記低域通過フィルタは、集中定数回路を用いて構成された位相推移器であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記複数段の低域通過フィルタの各々は可変容量素子を含むことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記調整手段は、分配される電力の位相と前記電力分配手段の特性インピーダンスの内の少なくとも一方を調整することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記電力分配手段が非磁性の素子で構成されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記調整手段が少なくとも1個以上の可変容量素子を含むことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記電力供給端子の数は2つであり、それぞれに供給される電力の位相が90°異なることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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