JP3756686B2 - 所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める方法および装置、ならびに信号抽出装置のパラメータ制御方法および装置 - Google Patents

所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める方法および装置、ならびに信号抽出装置のパラメータ制御方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号抽出装置の所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める方法および装置、ならびに、求められた評価値により信号抽出装置の制御パラメータを制御する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、音声信号を収音する場合に、なんらかの事情で不必要な音響信号が混入して収音された場合、収音された信号から所望の音声信号のみを抽出したい場合がある。
【0003】
この場合に使用されるのが(音声)信号抽出装置であるが、従来、性能的に満足すべきものはなかった。
【0004】
そこで、本発明者らは、この点に鑑みて、音声が非音声とは時間的相関の性質が異なることを利用し、高域強調信号を定数倍する際のゲインや、入力信号を所定時間遅延させる遅延回路の遅延時間、および一次元適応フィルタのタップ数と収束係数からなるパラメータを聴感上最も聴き取りやすいように調整し、リアルタイムに所望の音声を抽出し得るように構成した信号抽出方法(特願平10−348064号)を発明した。
【0005】
上記出願に係る特許出願明細書においては、第1の発明と第2の発明が記載されている。まず、第1の発明は、同出願の図面中図1(本出願では、図5)を参照して説明されているが、これは、時間的相関の低い所望信号と時間的相関の高い非所望信号とが混合された1チャンネルのディジタル入力信号から、前記時間的相関の低い所望信号を抽出する信号抽出方法であって、前記ディジタル入力信号を2分岐し、該2分岐された前記ディジタル入力信号の一方の信号を指定されたサンプル数Nだけ遅延し(S3)、該サンプル数Nだけ遅延されたディジタル入力信号(xj)を1サンプル間隔で指定されたタップ数kからなる適応フィルタに入力して、該適応フィルタの出力信号を該適応フィルタの各タップ出力信号の組と逐次更新されるフィルタ係数の組とを用いて所定の演算式に基づき演算し、該演算結果を前記2分岐された前記ディジタル入力信号の他方の信号(yj)から減算し(S4)、該減算結果を前記時間的相関の低い所望信号(ej)として出力し、そして前記ディジタル入力信号の逐次入力に同期して、該減算結果、前記適応フィルタの各タップ出力信号の組、前記フィルタ係数の組、および指定された収束係数μに基づき、前記減算結果が小さくなるように前記フィルタ係数の組を新たに生成することによる前記フィルタ係数の組の逐次更新、ならびに、前記演算、前記減算、前記出力を繰り返して行うようにしたものである。
【0006】
次に、第2の発明は、同出願の図面中図3(本出願では、図6)を参照して説明されているが、これは、時間的相関の高い所望信号と時間的相関の低い非所望信号とが混合された1チャンネルのディジタル入力信号から、前記時間的相関の高い所望信号を抽出する信号抽出方法であって、前記ディジタル入力信号を3分岐し、該3分岐された前記ディジタル入力信号の第1の信号に高域強調処理と指定されたゲイン倍(A)とを施して高域強調信号として出力し(S10)、前記3分岐された前記ディジタル入力信号の第2の信号を指定されたサンプル数Mだけ遅延し(S11)、前記3分岐された前記ディジタル入力信号の第3の信号を指定されたサンプル数Lだけ遅延し(S12)、前記サンプル数Mだけ遅延されたディジタル入力信号(xj)を1サンプル間隔で指定されたタップ数kからなる適応フィルタに入力して、該適応フィルタの出力信号を該適応フィルタの各タップ出力信号の組と逐次更新されるフィルタ係数の組とを用いて第1の演算式に基づき演算し、該第1の演算式に基づく演算結果を前記高域強調信号(yj)から減算し、該減算結果(wj)、前記適応フィルタの各タップ出力信号の組、前記フィルタ係数の組、および指定された収束係数μに基づき、該減算結果が小さくなるように前記フィルタ係数の組を新たに生成して前記フィルタ係数の組を逐次更新し、前記サンプル数Lだけ遅延されたディジタル入力信号(pj)を前記適応フィルタと同一構成のマッチドフィルタに入力して、該マッチドフィルタの出力信号を該マッチドフィルタの各タップ出力信号の組と前記フィルタ係数の組とを用いて第2の演算式に基づき演算し(S15)、該第2の演算式に基づく演算結果を前記時間的相関の高い所望信号(qj)として出力し、前記逐次更新される前記適応フィルタのフィルタ係数の組を、前記マッチドフィルタのフィルタ係数の組にコピーし、そして前記ディジタル入力信号の逐次入力に同期して、前記第1の演算式に基づく演算、前記減算、前記適応フィルタのフィルタ係数の組の逐次更新、前記第2の演算式に基づく演算、前記出力および前記フィルタ係数の組のコピーを繰り返して行うようにしたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の本発明者らによる第1の発明および第2の発明のいずれにおいても、信号抽出装置の複数の制御パラメータ(第1の発明の場合:遅延量(サンプル数で表される)N、適応フィルタのタップ数kおよび収束係数μ、第2の発明の場合:遅延量(サンプル数で表される)M,L、高域強調信号ゲインA、適応フィルタのタップ数kおよび収束係数μ)の設定は、信号抽出装置から得られる音声を聞きながら、聴感上、それが最も聴き取りやすくなるように人手で調整することにしている。しかし、実際、耳で聞きながら、複数の制御パラメータを操作し、聴感上最も聴き取りやすい状態に調整することは、時間と熟練度が必要である。
【0008】
また、信号抽出装置の音声信号抽出の度合は聴感で評価するのみで、客観的なデータとして得られず、例えば、表示装置等に表示することはできなかった。
【0009】
さらに、信号抽出装置の音声信号抽出の度合いが客観的なデータとして得られない以上、信号抽出装置の制御パラメータを、音声信号抽出の度合が最も高くなるような最適値に自動設定することもできなかった。
【0010】
本発明の目的は、信号抽出装置の音声信号抽出(普遍して言えば、所望信号抽出)の度合を評価する評価値を客観的なデータとして得、そして、その得られたデータに基づいて、信号抽出装置の制御パラメータを自動的に最適値に設定し得るようにした所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める方法および装置、ならびに信号抽出装置のパラメータ制御方法および装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める方法は、信号抽出装置の入力信号列と出力信号列から一対一に対応するそれぞれ一定長のデータを順次に切り出し、該順次に切り出した入力信号列と出力信号列の各一定長のデータについて、それぞれ短時間パワーを算出し、該算出したそれぞれの短時間パワーに関し、出力信号列の短時間パワーを入力信号列の短時間パワーで除算して短時間パワーの比を求め、前記順次に切り出した入力信号列と出力信号列の各一定長のデータに対し、それぞれヒルベルト変換を行い、該ヒルベルト変換結果から入力信号列と出力信号列の振幅エンベロープをそれぞれ算出し、該算出したそれぞれの振幅エンベロープに対してフーリエ変換を行い、入力信号列と出力信号列のそれぞれの振幅エンベロープの基本周波数を算出し、該算出したそれぞれの基本周波数に関し、出力信号列の基本周波数を入力信号列の基本周波数で除算して基本周波数の比を求め、そして該求めた基本周波数の比と前記求めた短時間パワーの比を所定の評価関数の式に代入して所望信号抽出の度合いを評価する評価値を算出するの各ステップからなることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める装置は、信号抽出装置の入力信号列と出力信号列から一対一に対応するそれぞれ一定長のデータを順次に切り出す手段、該手段によって順次に切り出した入力信号列と出力信号列の各一定長のデータについて、それぞれ短時間パワーを算出する手段、該手段によって算出したそれぞれの短時間パワーに関し、出力信号列の短時間パワーを入力信号列の短時間パワーで除算して短時間パワーの比を求める手段、前記順次に切り出す手段によって前記順次に切り出した入力信号列と出力信号列の各一定長のデータに対し、それぞれヒルベルト変換を行い、該ヒルベルト変換結果から入力信号列と出力信号列の振幅エンベロープをそれぞれ算出する手段、該手段によって算出したそれぞれの振幅エンベロープに対してフーリエ変換を行い、入力信号列と出力信号列のそれぞれの振幅エンベロープの基本周波数を算出する手段、該手段によって算出したそれぞれの基本周波数に関し、出力信号列の基本周波数を入力信号列の基本周波数で除算して基本周波数の比を求める手段、および該手段によって求めた基本周波数の比と前記短時間パワーの比を求める手段によって求めた短時間パワーの比を所定の評価関数の式に代入して所望信号抽出の度合いを評価する評価値を算出する手段の各手段を具えてなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明信号抽出装置のパラメータ制御方法は、制御パラメータの予め定められた初期値に予め定められた移動値を加減算した2つの制御パラメータ値を生成する第1のステップと、該生成された2つの制御パラメータ値のそれぞれに対して求められた前記評価値の大小関係に基づき、前記2つの制御パラメータ値のうちから1つの制御パラメータ値を選択する第2のステップと、該選択された1つの制御パラメータ値を前記初期値として予め定められた回数だけ前記第1乃至第2のステップを繰り返して最終的に選択された1つの制御パラメータ値を前記信号抽出装置の制御パラメータ値として出力する第3のステップとを少なくとも具えたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明信号抽出装置のパラメータ制御装置は、制御パラメータの予め定められた初期値に予め定められた移動値を加減算して2つの制御パラメータ値を生成する生成手段と、該生成された2つの制御パラメータ値のそれぞれに対して得られた前記評価値の大小関係に基づき、前記2つの制御パラメータ値のうちから1つの制御パラメータ値を選択する選択手段と、該選択された1つの制御パラメータ値を前記初期値として予め定められた回数だけ前記生成および前記選択を繰り返して最終的に選択された1つの制御パラメータ値を前記信号抽出装置の制御パラメータ値として出力する出力手段とを少なくとも具えたことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照し、発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、上述した本願人の出願(特願平10−348064号)に係る信号抽出装置(符号1で示す)を自動調整するための部分を含めた本発明信号抽出装置のパラメータ制御装置をブロック図にて示している。
【0016】
図1においては、所望信号(例えば、音声)に楽音または雑音が混入した1チャンネルの信号が信号抽出装置1に入力されたとき同装置から所望信号のみが出力されるように、リアルタイムで同装置1の所望信号抽出の度合を評価し、その評価結果に基づいて、同装置の制御パラメータであるタップ数k、遅延量L,M,N、ゲインA、収束係数μなどを制御するよう制御系を構成している。
【0017】
特願平10−348064号明細書に記載された信号抽出装置には、時間的相関の低い所望信号と時間的相関の高い楽音とが混合された1チャンネルの信号から時間的相関の低い所望信号を抽出する信号抽出装置と、時間的相関の高い所望信号と時間的相関の低い雑音とが混合された1チャンネルの信号から時間的相関の高い所望信号を抽出する信号抽出装置とが記載されているが、これらの両信号抽出装置とも、実際には、所望信号の種類、所望信号に対するそれ以外のもの(楽音や雑音)の混合の度合いなどケースバイケースで異なるため、本発明信号抽出装置では、信号抽出装置の入力信号と出力信号の振幅レベルの相対値や変調度から、所望信号抽出の度合いを評価し、その評価結果に基づいて信号抽出装置の各制御パラメータを自動設定するようにする。
【0018】
以下に具体的に説明する。
図1に示すブロック図において、信号抽出装置1(これ自体は、特願平10−348064号明細書に記載された発明で、本発明装置ではない。)に入力される信号列をIN(t)、同装置から出力される信号列をOUT(t)で示している。また、図2は、それら入力および出力の信号列が供給されて実行される短時間パワー処理および変調度処理の流れを示している。
【0019】
以下では、所望信号が音声である場合について説明する。
図1および図2に示すように、まず、ある時刻(ti)の入力信号から始まる入力信号列とその入力信号列に対応した出力信号列とから、同期をとってそれぞれフレームと呼ばれるjサンプルからなる一定長(例えば、100msec)のデータを音声入力部1と2(それぞれ、符号2と3で示す)において切り出す。
【0020】
それら切り出された各フレームは次段の短時間パワー処理部4に送られ、両フレームの短時間パワーが算出される。入力フレームの短時間パワーをPi、出力フレームの短時間パワーをPoとすると、これらは、次式
【数1】
Figure 0003756686
によって表される。なお、ここでは、時刻(ti ) における入力信号列およびその入力信号列に対応した出力信号列、ならびに、入力フレームの短時間パワーおよび出力フレームの短時間パワーを時刻(ti ) における入力信号のサンプル番号nを引数として表している。
ここで、入出力フレームの短時間パワーの比Rpow (n) を次式で定義し、
Rpow (n) =Po(n) /Pi(n)
この式に基づいて算出された短時間パワーの比をいったん短時間パワー処理部4内のバッファメモリに保存する。
【0021】
また、信号抽出装置1の制御パラメータ(前述したk,L,M,N,A,μなど)をすべて一定値に固定したまま、データの切り出しをm回繰り返し、切り出された各フレームごとの短時間パワーの比Rpow (n) を算出してバッファメモリにいったん保存するとともに、m個の入力フレームのデータを入力バッファメモリに、また、m個の出力フレームのデータを出力バッファメモリ(ともに、パワー処理部4内に存在する)にそれぞれいったん保存する。
【0022】
これら保存された入力バッファのデータおよび出力バッファのデータは変調度処理部5に送られ、変調度処理部5において、入力バッファのデータ(データ数=j×m)と出力バッファのデータ(データ数=j×m)に対し、それぞれヒルベルト変換を用いて解析信号を作成し、振幅エンベロープを求める(図2参照)。ここで、ヒルベルト変換結果から振幅エンベロープを算出するアルゴリズムとしては、例えば、J. S. Bendat, “The Hilbert Transform and Applications to Correlation Measurements”, Bruel & Kjer(published 1985)
【0023】
上記得られた各振幅エンベロープINenv(t), OUTenv(t)に対して、同じ変調度処理部5内でフーリエ変換を行い、INenv(t), OUTenv(t)の基本周波数を抽出する。ここで、INenv(t)の基本周波数をfin,OUTenv(t)の基本周波数をfoutとする(図2参照)。
【0024】
図2から分かるように、雑音成分が混合した音声信号(信号抽出装置入力データ)の場合、混合信号の時間的変動が少なくなり、従って、振幅エンベロープの変動も小さくなる。これに対し、雑音成分がなく音声信号のみが存在する(信号抽出装置出力データ)ときには、ポーズや有声、無声の変化により、振幅エンベロープ自身の基本周波数は高くなる傾向にある。所望信号抽出の度合いが大きくなると、次式で定義される基本周波数の比Reは大きな値を持つ。
Re=fout/fin
【0025】
本発明においては、振幅エンベロープの短時間的な変動を短時間パワーの比Rpow として、比較的長い区間の変動を基本周波数の比Reとして所望信号抽出の度合いを評価する評価値を算出する評価値算出部6に取り込み、次の評価関数の式に従って評価値Oを算出する。
【数2】
Figure 0003756686
ここに、mはフレームの繰り返し回数(図2参照)、αは短時間変動要素、すなわち短時間パワーの比Rpow(n)の寄与率であり、例えば、それぞれ20および0.3に設定した。
【0026】
以上のようにして求めた評価値を視覚的にわかるよう表示装置7に出力して表示させる。また、信号抽出装置1の制御パラメータを自動制御する場合には、この求めた評価関数の値を自動制御装置8に供給して、評価値が常に最高の値となるように信号抽出装置1の自動追従を行わせる。
【0027】
次に、以上のハードウェアの構成のもとに、上述した信号抽出の度合を求める手法を用いて、信号抽出装置の各制御パラメータを自動的に最適値に収束させる本発明方法(信号抽出装置のパラメータ制御方法)の処理の流れを述べる。本発明方法は、評価関数が最適値を最高に、その近辺では比較的なだらかな2次曲線を形成していることに着目している。
【0028】
特願平10−348064号明細書に記載の第1の発明の場合、操作できる制御パラメータの種類は以下の3種類である。
タップ数k:1サンプルスパンの適応フィルタのタップ数
遅延量N:適応フィルタへ入力する信号の遅延サンプル数
収束係数μ:適応信号処理部の収束速度を調整するための係数
【0029】
また、同明細書に記載の第2の発明の場合、操作できる制御パラメータの種類は以下の5種類である。
タップ数k:1サンプルスパンの適応フィルタのタップ数
遅延量M:適応フィルタへ入力する信号の遅延サンプル数
遅延量L:マッチドフィルタへ入力する信号の遅延サンプル数
ゲインA:入力信号の隣接サンプル間の差分信号のゲイン(高域強調信号ゲイン)
収束係数μ:適応信号処理部の収束速度を調整するための係数
【0030】
以下では、上記第2の発明において、その中でも特に収束係数μを最適値に自動設定する本発明による方法に関し、図3に示す処理の流れと図4に示すフローチャートを用いて説明する。
収束係数μは、その可変幅が0.1が0.00001までと大きいため、図3の縦軸に示すように、−10dBから−50dBまでの範囲の対数表示で処理を行う。
また、図3においては、この収束係数μを最適値に近づけるための、時刻ti からti+1 にかけて行う制御の各段階をSTEP(i)で示している。
【0031】
次に、図3に示すように、時刻t1 における収束係数μ(初期値)を可変幅の中央値である−30dB(0.001)からスタートさせ、各STEP(i)で上昇系列と下降系列とに分け、両系列について評価値を前述の方法で算出する。算出した結果は、STEP(1) では、上昇系列ではμ(t2 )=−20dB、下降系列ではμ(t2 )=−40dBである。この場合、STEP(1) でのμの移動量は、±10dBである。また、時刻ti における上昇系列の評価値をOu(ti ) 、時刻ti における下降系列の評価値をOd(ti ) で表記するものとする。
【0032】
この約束のもとで、i≧1でのμの制御の規則は、STEP(1) での移動量の絶対値をwとする評価値は以下の通りである。本例の場合、w=10である。
Ou(ti ) ≧Od(ti ) のとき、
μ(ti+1)=μ(ti ) +w/2(i-1)
Ou(ti ) <Od(ti ) のとき、
μ(ti+1)=μ(ti ) −w/2(i-1)
【0033】
時刻ti をt1 (スタート時)から順次増加させていきt6 になるまでμの計算を繰り返し行うが、その都度評価値Ou(ti ) とOd(ti ) の大小比較を行い、その比較結果に基づいて、上記2つの式のうち一方が選択されてμが計算される。
【0034】
本例の場合、STEP(6) まで計算を行い、μの最適値は、
μopt =μ(t7 )
であるとして求まる。そして、次に説明するμの更新が行われるまでこの値により信号抽出装置を制御する。
時刻t7 以降は、入力信号の性質が時間的に変化するため、時刻t7 から再度STEP1〜STEP6の処理(図3参照)を行い、μopt を繰り返し算出し、μopt が求まる度に信号抽出装置の制御パラメータμを更新する。
【0035】
以上のμの最適値μopt を求める手順をフローチャートで示すと図4のようになる。
図4において、手順S1,S2はμの初期値を−30dBに設定するもので、この初期値のまま手順S3において評価値に関するOu(t1 )≧Od(t1 )の判断を行う。判断の結果により、手順S4か手順S5が選択され、式の計算が行われる。なお、計算結果は記憶されて次の時刻(今がt1 ならばt2 )におけるμの計算に使用される。
【0036】
次に、手順S6において、時刻ti がt6 以下であるかの判断がなされ、以下であれば、手順S7で時刻を1つ増加して同じ処理を繰り返す。また、以上であれば、手順S8に進みμ(t7 )を収束係数μの最適値μopt であるとして出力する。これと同時に次のt1 からの手順、すなわち、手順S1に戻って同じ処理を繰り返す。
【0037】
また、同様の手法により、タップ数k、遅延量M、遅延量L、ゲインAの4種類の制御パラメータについて、それぞれ最適値kopt ,Mopt ,Lopt ,Aopt を求める。ただし、ある1つの制御パラメータの最適値を求めるときには、他の制御パラメータは固定し、できれば最適値に固定した状態で求めるものとする。
【0038】
以上により5種類の最適な制御パラメータを求めた後には、再び収束係数μの2回目の最適値を求めることから始めて、順次他の制御パラメータについても2回目の最適値を求めるようにする。
【0039】
しかし、特願平10−348064号明細書に記載の第1および第2の発明では、上述した制御パラメータのうち、実験結果から特に収束係数μとタップ数kは評価値に与える影響が大きいことが判明したため、この2種類の制御パラメータの最適値を求めて、以下、順次繰り返すのも有効である。
【0040】
以上の説明においては、所望信号抽出の度合いを評価する対象となる信号抽出装置として、特願平10−348064号明細書に記載の信号抽出装置を想定して、この装置の所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求め方、ならびに求めた評価値により信号抽出装置の制御パラメータの自動制御について述べたが、図1中の信号抽出装置1はこれに限られるものでなく、広く一般に、これと同一目的をもって所望信号の抽出を行う信号抽出装置に適用可能であること勿論である。その場合には、制御パラメータも使用する信号抽出装置特有のものとなることは自明であろう。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、楽音や雑音が混入した所望信号から所望信号のみを抽出する信号抽出装置の、所望信号抽出の度合いを評価する客観的な評価値を得ることが可能になる。
【0042】
また、この評価値を用いて信号抽出装置の制御パラメータを制御することにより、複数の制御パラメータを人間系で操作することなく、自動的に、楽音、雑音が混入した所望信号から所望信号のみを抽出することが可能となる。
【0043】
また、上記複数の制御パラメータを人間系で操作する場合であっても、表示装置に表示された評価値を見ながら制御パラメータを操作することができるため、最適な制御パラメータに設定することが可能となる。
【0044】
なお、本発明は、音声確認の前処理や、高齢者、聴覚障害者などが使用する補聴器など、さまざまな分野での応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明信号抽出装置のパラメータ制御装置をブロック図にて示している。
【図2】 短時間パワー処理および変調度処理の流れを示している。
【図3】 本発明により収束係数μを最適値に自動設定する処理の流れを示している。
【図4】 図3に示す処理の流れをフローチャートにて示している。
【図5】 特願平10−348064号明細書に第1の発明として記載された信号抽出方法をフローチャートにて示している。
【図6】 特願平10−348064号明細書に第2の発明として記載された信号抽出方法をフローチャートにて示している。
【符号の説明】
1 信号抽出装置
2 音声入力部1
3 音声入力部2
4 短時間パワー処理部
5 変調度処理部
6 評価値算出部
7 表示装置
8 自動制御装置

Claims (4)

  1. 信号抽出装置の所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める方法であって、該方法は、
    前記信号抽出装置の入力信号列と出力信号列から一対一に対応するそれぞれ一定長のデータを順次に切り出し、
    該順次に切り出した入力信号列と出力信号列の各一定長のデータについて、それぞれ短時間パワーを算出し、
    該算出したそれぞれの短時間パワーに関し、出力信号列の短時間パワーを入力信号列の短時間パワーで除算して短時間パワーの比を求め、
    前記順次に切り出した入力信号列と出力信号列の各一定長のデータに対し、それぞれヒルベルト変換を行い、該ヒルベルト変換結果から入力信号列と出力信号列の振幅エンベロープをそれぞれ算出し、
    該算出したそれぞれの振幅エンベロープに対してフーリエ変換を行い、入力信号列と出力信号列のそれぞれの振幅エンベロープの基本周波数を算出し、
    該算出したそれぞれの基本周波数に関し、出力信号列の基本周波数を入力信号列の基本周波数で除算して基本周波数の比を求め、そして
    該求めた基本周波数の比と前記求めた短時間パワーの比を所定の評価関数の式に代入して所望信号抽出の度合いを評価する評価値を算出する
    の各ステップからなることを特徴とする所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める方法。
  2. 信号抽出装置の所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める装置であって、該装置は、
    前記信号抽出装置の入力信号列と出力信号列から一対一に対応するそれぞれ一定長のデータを順次に切り出す手段、
    該手段によって順次に切り出した入力信号列と出力信号列の各一定長のデータについて、それぞれ短時間パワーを算出する手段、
    該手段によって算出したそれぞれの短時間パワーに関し、出力信号列の短時間パワーを入力信号列の短時間パワーで除算して短時間パワーの比を求める手段、
    前記順次に切り出す手段によって前記順次に切り出した入力信号列と出力信号列の各一定長のデータに対し、それぞれヒルベルト変換を行い、該ヒルベルト変換結果から入力信号列と出力信号列の振幅エンベロープをそれぞれ算出する手段、
    該手段によって算出したそれぞれの振幅エンベロープに対してフーリエ変換を行い、入力信号列と出力信号列のそれぞれの振幅エンベロープの基本周波数を算出する手段、
    該手段によって算出したそれぞれの基本周波数に関し、出力信号列の基本周波数を入力信号列の基本周波数で除算して基本周波数の比を求める手段、および
    該手段によって求めた基本周波数の比と前記短時間パワーの比を求める手段によって求めた短時間パワーの比を所定の評価関数の式に代入して所望信号抽出の度合いを評価する評価値を算出する手段
    の各手段を具えてなることを特徴とする所望信号抽出の度合いを評価する評価値を求める装置。
  3. 請求項1記載の方法で求められた評価値に基づき前記信号抽出装置の制御パラメータを制御する方法であって、該方法は、
    前記制御パラメータの予め定められた初期値に予め定められた移動値を加減算した2つの制御パラメータ値を生成する第1のステップと、
    該生成された2つの制御パラメータ値のそれぞれに対して求められた前記評価値の大小関係に基づき、前記2つの制御パラメータ値のうちから1つの制御パラメータ値を選択する第2のステップと、
    該選択された1つの制御パラメータ値を前記初期値として予め定められた回数だけ前記第1乃至第2のステップを繰り返して最終的に選択された1つの制御パラメータ値を前記信号抽出装置の制御パラメータ値として出力する第3のステップと
    を少なくとも具えたことを特徴とする信号抽出装置のパラメータ制御方法。
  4. 請求項2記載の装置から得られた前記評価値に基づき前記信号抽出装置の制御パラメータを制御する装置であって、該装置は、
    前記制御パラメータの予め定められた初期値に予め定められた移動値を加減算して2つの制御パラメータ値を生成する生成手段と、
    該生成された2つの制御パラメータ値のそれぞれに対して得られた前記評価値の大小関係に基づき、前記2つの制御パラメータ値のうちから1つの制御パラメータ値を選択する選択手段と、
    該選択された1つの制御パラメータ値を前記初期値として予め定められた回数だけ前記生成および前記選択を繰り返して最終的に選択された1つの制御パラメータ値を前記信号抽出装置の制御パラメータ値として出力する出力手段と
    を少なくとも具えたことを特徴とする信号抽出装置のパラメータ制御装置。
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