JP3755105B2 - 超音波振動系 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は超音波振動系に関し、なかでも超音波加工、超音波溶接、超音波塑性加工などのような超音波の応用技術に使用する超音波振動系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、超音波システムを応用した超音波振動加工が広く行われるようになつた。超音波システムは電子装置である超音波発振器と機械装置である超音波振動系から構成されている。そして超音波振動系1は、図14にその概略を示すように超音波振動子2、コーン3及びホーン4からなり、これらが継ぎねじ5で順次結合されて構成されている。超音波振動子2は通常圧電素子2aを2本の棒で挟み、これをボルト6で締めたランジュバン形の超音波振動子(BLTと言うことがある)が用いられている。
超音波の振動の変位ループと変位ノードは、図15に示す通りであり、超音波振動子、コーン及びホーンはそれぞれ超音波の波長の2分の1の長さを有し、それぞれ端面に変位ループL1、L2、L3、L4、又中程に変位ノードN1、N2、N3を有している。各長さはλ/2の数倍のこともある。
特許公報昭36ー1682に開示された電気機械的勢力伝達装置では、圧電素子を2本の棒で挟み、2本の棒の中心孔を通るボルトをナットで締め、2本の棒を緊締することが開示され、併せて緊締装置が外部に配置せれることが開示されている。しかしどのように緊締するかについて何も示唆するところはない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の超音波振動系では、超音波振動子の破損、コーンとホーンとの緊締部分の破損等螺合に起因する問題があった。
即ち、ランジュバン形の超音波振動子は圧電素子を2本の棒で挟み、これをボルトで締めている。ボルトと棒の雌ねじが高応力領域にあるために、ボルト又は棒にクラックが進展して破損するという問題があった。圧縮荷重の不均一性に起因する性能の制約もあった。併せて作動中温度が上昇するが冷却が不十分であるために破損するという問題があった。
又、セラミック製のホーンを使用する場合、セラミック材にねじを螺刻するのは容易ではなく、また螺刻しても、コーンとねじで結合したとき振動の伝達に安定性を欠き、破損しやすいという問題があった。
又、管引き又は線引き等の塑性加工ではダイの取付け部分の形状や構造が複雑になり、取付け、交換が容易ではない。又ホーン間の係合がねじ止めによっているのでねじ螺合部にクラック発生が頻発する。そのために塑性加工の超音波振動の利用が制限され、ひいては環境汚染の一因ともなる他の加工法において大量に使用される潤滑油の使用の削減が進まない。環境保全の面からも改善が要望されているという問題があった。
又、比較的高周波の超音波応用技術では超音波振動系は一般に大きさが小さく、継ぎねじ方法の適用が困難となるという問題があった。
そもそも、ねじ止めによる緊締にはトルク管理の困難さとの問題が伴っている。即ち、ランジュバン形の超音波振動子では、締付けトルクの管理の精度を高めることができないので製品ごとの特性にばらつきが大きく、安定した品質を確保できない。コーンとホーンの結合では締付けトルクが過大なときはクラックの進展が助長され、過少なときは接触面に異常音の発生があるという問題があった。塑性加工用のダイの取付けでは、ダイの交換の際、締付けトルクを精度よく管理できないから超音波振動系の周波数が一定せず、安定した稼働が困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は上記の課題に鑑み、破損し難く、高性能且つ安定した品質の超音波振動系を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の単位導波棒と、第2の単位導波棒と、第1の単位導波棒の外周に係合する第1の係止部材と、第2の単位導波棒の外周に係合する第2の係止部材と、第1の挟持部材と、第2の挟持部材とを具備し、第1の挟持部材と第2の挟持部材は、第2の挟持部材を第1の係止部材と第2の係止部材との間に挿入して、第1の挟持部材を第1の単位導波棒と第2の単位導波棒との間にそれぞれ密着して挟持したとき、第1の係止部材と第2の係止部材との間に空隙が存在するように形成され、第2の挟持部材を介して第1の係止部材と第2の係止部材とが、前記空隙が消滅するように緊締されて互いに係止したとき、第1の挟持部材、第1の単位導波棒及び第2の単位導波棒に圧縮荷重が負荷されることを特徴とする超音波振動系を構成した。
【0006】
又、本発明は、第1の単位導波棒と、第2の単位導波棒と、第1の単位導波棒の外周に係合する第1の係止部材と、第2の単位導波棒の外周に係合する第2の係止部材と、挟持部材とを具備し、前記挟持部材は、前記挟持部材を第1の単位導波棒と第2の単位導波棒との間にそれぞれ密着して挟持したとき、第1の係止部材と第2の係止部材との間に空隙が存在するように形成され、第1の係止部材と第2の係止部材とが、前記空隙が消滅するように緊締されて互いに係止したとき、前記挟持部材、第1の単位導波棒及び第2の単位導波棒に圧縮荷重が負荷されることを特徴とする超音波振動系を構成した。
【0007】
又、本発明は、第1の単位導波棒と、第2の単位導波棒と、第1の単位導波棒の外周に係合する第1の係止部材と、第2の単位導波棒の外周に係合する第2の係止部材とを具備し、第1の係止部材と第2の係止部材とは、第1の単位導波棒と第2の単位導波棒を互いに密着したとき、第1の係止部材と第2の係止部材との間に空隙が存在するように形成され、第1の係止部材と第2の係止部材とが、前記空隙が消滅するように緊締されて互いに係止したとき、第1の単位導波棒及び第2の単位導波棒に圧縮荷重が負荷されることを特徴とする超音波振動系を構成した。
【0008】
又、本発明は、第1の係止部材は第1の単位導波棒のほぼ中間の外周に係合して前記外周に沿い端部に向って延伸し、第2の係止部材は第2の単位導波棒のほぼ中間の外周に係合して前記外周に沿い端部に向って延伸することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の超音波振動系を構成した。
【0009】
又、本発明は第1の係止部材は第1の単位導波棒の外周に係合し、外方に向かって翼出してから外周とほぼ平行に端部に向かい、第2の係止部材は第2の単位導波棒の外周に係合し、外方に向かって翼出してから外周とほぼ平行に端部に向かうことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の超音波振動系を構成した。
【0010】
又、本発明は、緊締手段を有し、前記緊締手段は第1の係止部材と第2の係止部材とを緊締することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の超音波振動系を構成した。
【0011】
又、本発明は、圧電素子と、保持手段と、第1の係止部材と、第2の係止部材と、間隔リングと、緊締手段とを具備し、前記保持手段は前記圧電素子を挟持する第1の保持部材と第2の保持部材とからなり、第1の係止部材は第1の保持部材の外周に係合し、第2の係止部材は第2の保持部材の外周に係合し、前記間隔リングは、前記間隔リングを第1の係止部材と第2の係止部材との間に挿入して、前記圧電素子を第1の保持部材と第2の保持部材との間にそれぞれ密着して挟持したとき、第1の係止部材と第2の係止部材との間に空隙が存在するように形成され、前記緊締手段は、第1の係止部材と第2の係止部材とを前記間隔リングを介して前記空隙が消滅するように緊締して互いに係止し、前記圧電素子、第1の保持部材及び第2の保持部材に圧縮荷重を負荷することを特徴とする超音波振動子を構成した。
【0012】
又、本発明は、圧電素子と、保持手段と、第1の係止部材と、第2の係止部材と、緊締手段とを具備し、前記保持手段は前記圧電素子を挟持する第1の保持部材と第2の保持部材とからなり、第1の係止部材は第1の保持部材の外周に係合し、第2の係止部材は第2の保持部材の外周に係合し、第1の係止部材と第2の係止部材は、前記圧電素子を第1の保持部材と第2の保持部材との間にそれぞれ密着して挟持したとき、第1の係止部材と第2の係止部材との間に空隙が存在するように形成され、前記緊締手段は、第1の係止部材と第2の係止部材とを前記空隙が消滅するように緊締して互いに係止し、前記圧電素子、第1の保持部材及び第2の保持部材に圧縮荷重を負荷することを特徴とする超音波振動子を構成した。
【0013】
又、本発明は、前記圧電素子及び前記一対の保持部材のそれぞれ中央部にに穿たれた孔が形成する貫通孔と、前記貫通孔に冷却用気体が流通する流入孔とを有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の超音波振動子を構成した。
【0014】
又、本発明は、圧電素子と、前面丸棒と、後面丸棒と、前面係止部材と、後面係止部材と、間隔リングと、緊締手段とを具備し、前記前面丸棒と前記後面丸棒とは前記圧電素子を挟持し、前記前面係止部材は前記前面丸棒の前記圧電素子に当接しない面側の外周に係合し、細隙を介して前記圧電素子に当接する面側に延伸してその端部に前面係止面を形成し、前記後面係止部材は前記後面丸棒の前記圧電素子に当接しない面側の外周に係合し、細隙を介して前記圧電素子に当接する面側に延伸してその端部に後面係止面を形成し、前記間隔リングは、前記間隔リングを前記前面係止面と前記後面係止面との間に挿入し、前記圧電素子を前記前面丸棒と前記後面丸棒との間にそれぞれ密着して挟持したとき、前記前面係止面と前記後面係止面との間に空隙が存在するように形成され、前記緊締手段は、前記前面係止部材と前記後面係止部材とを前記間隔リングを介して前記空隙が消滅するように緊締して互いに係止したとき、前記圧電素子、前記前面丸棒及び前記後面丸棒に圧縮荷重を負荷することを特徴とする超音波振動子を構成した。
【0015】
又、本発明は、圧電素子と、前面丸棒と、後面丸棒と、前面係止部材と、後面係止部材と、、緊締手段とを具備し、前記前面丸棒と前記後面丸棒とは前記圧電素子を挟持し、前記前面係止部材は前記前面丸棒の前記圧電素子に当接しない面側の外周に係合し、細隙を介して前記圧電素子に当接する面側に延伸してその端部に前面係止面を形成し、前記後面係止部材は前記後面丸棒の前記圧電素子に当接しない面側の外周に係合し、細隙を介して前記圧電素子に当接する面側に延伸してその端部に後面係止面を形成し、前記前面係止部材と前記後面係止部材は、前記圧電素子を前記前面丸棒と前記後面丸棒との間にそれぞれ密着して挟持したとき、前記前面係止面と前記後面係止面との間に空隙が存在するように形成され、前記緊締手段は、前記前面係止部材と前記後面係止部材とを前記空隙が消滅するように緊締して互いに係止し、前記圧電素子、前記前面丸棒及び前記後面丸棒に圧縮荷重を負荷することを特徴とする超音波振動子を構成した。
【0016】
又、本発明は、前記圧電素子、前記前面丸棒及び前記後面丸棒のそれぞれ中央部に穿たれ孔が形成する貫通孔と、前記前面丸棒及び前記後面丸棒と前記前面係止部材及び前記後面係止部材との間に形成された細隙層と、前記貫通孔又は前記細隙層に冷却用気体が流入する流入口とを有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の超音波振動子を構成した。
【0017】
【作用】
請求項1乃至請求項6に記載の発明では、コーン又はホーンは外周の外側に設けられた係止部材において緊締され、コーン又はホーンには圧縮の静荷重が負荷される。その際、緊締の力が寸法管理により極めて高い精度で管理されるから、負荷される静荷重は極めて高い精度で管理される。
請求項7乃至請求項12に記載の発明では、圧電素子は外周の外側に設けられた係止部材において緊締され、圧電素子と挟持する丸棒に圧縮の静荷重が負荷される。その際、緊締の力が寸法管理により極めて高い精度で管理されるから、負荷される静荷重は極めて高い精度で管理される。
請求項9及び請求項12に記載の発明では、圧電素子は充分に冷却される。
【0018】
第1の実施例について図1、図2及び図3により説明する。図1は超音波振動系の概念図、図2は緊締前の超音波振動系の中心軸を通る断面図、図3は緊締後の超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
超音波振動系1は超音波振動子11、コーン12及びホーン13が順次結合して構成されている。超音波振動子11は超音波を発生する振動子、コーン12は超音波振動を増速する単位導波棒で,ホーン13は超音波振動を増速する単位導波棒である。
超音波振動子11には圧電素子14が挿設され、超音波振動子11の一端11aは自由であるが他端11bにはコーン12がその一端12aで固設されている。コーン12の他端12bにはホーン13がその一端13aで固設されている。ホーン13の他端13bは自由端となっているが、工具が係合することもあるし、又更に他のホーンが係合することもある。発振器15よりの加振電圧を受け圧電素子14で発生した振動は、コーン12を経て、必要に応じてホーン13から振幅が増大して出力する。超音波振動子11とコーン12は超音波振動子11の取付け部材11cとコーン12の取付け部材12cとにより基台(不図示)に取り付けられる。
【0019】
コーン12はニッケルクローム鋼製の外径40mm、長さ170mmでほぼ円筒形をなしている。その一の端面12aと他の端面12bのほぼ中間の点12dより隙間4mmの細隙14を介してニッケルクローム鋼製の肉厚 4.5mmのスリーブ15がコーン12を内包するように形成され、コーン12の外周と平行に伸びている。スリーブ15は外径57mm、内径48mmである。スリーブ15の末端には外径75mm、内径48mm、厚さ8.0mmのフランジ16が形成され、フランジ16には孔16aが穿設されている。フランジ16の端面16bはコーン12の端面12bと同一面上にある。
【0020】
ホーン13はニッケルクローム鋼製の外径40mm、長さ170mmでほぼ円筒形をなしている。その一の端面13aと他の端面13bのほぼの点13dより隙間4mmの細隙17を介してニッケルクローム鋼製の肉厚 4.5mmのスリーブ18がホーン13を内包するように形成され、ホーン13の外周と平行に伸びている。スリーブ18は外径57mm、内径48mmである。スリーブ18の末端には外径75mm、内径48mm、厚さ8.0mmのフランジ19が形成され、フランジ19には孔19aが穿設されている。フランジ19の端面19bはホーン13の端面13aと同一面上にある。
コーン12とスリーブ15及びホーン13とスリーブ18はそれぞれ一体に形成することもできるし、個別に加工してから結合して形成することもできる。
【0021】
フランジ16及びフランジ19の端面は、即ちコーン12及びホーン13の端面は、平滑でそれぞれ面16b及び面19bを形成している。通常、面16b及び面19bはコーン12の面12b及びホーン13の面13aとそれぞれ同一面上に形成される。必ずしも同一面上に形成されなくてもよいが、同一の平面上に形成することにより加工上最も容易に平滑且つ平坦に面が形成できる。
薄板20は厚さ0.36mmを有するベリリウム銅製である。薄板20がコーン12の端面12bとホーン13端面13aの間に挿入され互いに当接しても、ボルト21とナット22による緊締が未だ行われない間は、フランジ16及びフランジ19の間には空隙23が存在する。空隙23は薄板20の厚さと等しい大きさを有し、締め代となっている。即ち、締め代の大きさは0.36mmである。フランジ16、19にはそれぞれ孔16a、19aが6個対応する位置に設けられている。対応する孔16a、19aを通してボルト21が挿設され、ナット22がボルト21に繋合する。
【0022】
次に動作について説明する。
薄板20をコーン12の端面12bとホーン13の端面13aとの間に挿入する。そのときフランジ16の端面16bとフランジ19の端面19aとの間にはは空隙23があり密着状態にはない。空隙23の大きさは薄板20の厚さ0.36mmに等しい。
孔16aと孔19aとを通したボルト21にナット22を螺合し締めつけ、先に存在した締め代の分を緊締し空隙23を消滅させる。このとき、コーン12、薄板20とホーン13は縮み同時にスリーブ15及びスリーブ18が伸び、空隙23が消滅する。フランジ16の端面16bとフランジ19の端面19bとが接触した状態は図3に示す通りである。
【0023】
コーン12bとホーン13aの間には圧縮荷重が、又スリーブ15及びスリーブ18の間には引張り荷重が加わる。締め代は予めこの圧縮荷重及び引張り荷重が許容される最大荷重を越えないように設定されている。
周波数15kHzの場合、コーン12及びホーン13はそれぞれ外径40mm、長さ170mm、細隙14及び細隙17はそれぞれ4mm、スリーブ15及びスリーブ18は外径57mm、内径48mm、肉厚4.5mm、長さ65mmとして、締め代が0.44mmのとき、ニッケルクローム鋼では、コーン12及びホーン13に発生する圧縮荷重はほぼ289×103N 、又 スリーブ15及びスリーブ18に発生する引張り応力はそれぞれ3.90×108 Pa、即ち40.0kgf/mm2 で、降伏点応力の約1/3となる。又上記圧縮荷重の大きさは正常動作を保証する。従ってクリープ発生の虞れはない。
【0024】
次に本実施例にかかる超音波振動体が、破損し難く、高性能を維持することについて説明する。
本実施例に係る超音波振動体では、緊締が、コーンとホーンの内部ではなく、外周外側で行われ、コーンとホーンに広い範囲で一様に圧縮荷重が負荷される。ボルト等の螺合の緊締が振動と無縁な外部で行われるから、内部の螺合に起因する破損はなく、破損し難いので性能の向上が可能となる。且つ緊締は変位ノードの外側でおこなわれるから緊締部位に損傷はない。
又、緊締は、コーンとホーン外周外側に設けられた両フランジが平滑且つ平坦に面で互いに密着し押圧することで行われる。従って、押圧力の大きさは、ボルトとナットを締付ける際に締付けトルクで管理するのではなく、予め部品加工段階において薄板厚さの寸法で管理するのである。言うまでもなく金属材料の機械加工ならびに圧延加工は極めて高い精度で行うことが可能である。寸法管理を採用することにより本実施例は高い精度でコーンとホーンとの緊締が可能であり、超音波振動体の性能が向上し且つ安定する。
【0025】
本発明の第2の実施例について図4及び図5により説明する。図4は超音波振動系の緊締前の中心軸を通る断面図、図5は緊締後の中心軸を通る断面図である。第1の実施例と同一又は類似の事項についての記述は省略する。
コーン26はほぼ円筒形をなし、両端に平滑な平行平面の端面を有している。その一の端面26aと他の端面26bのほぼ中間の点26dから細隙28を介して、円筒形中央部分26eの外周26fの外側にスリーブ29が形成され、外周26fと平行に伸びている。スリーブ29の端部にはフランジ30が形成され、フランジ30には孔30bが穿設されている。フランジ30の端面30bは平滑な平面で端面26bと平行であるが、微小量後退した位置にある。
ホーン27はほぼ円筒形をなし、両端に平滑な平行平面の端面を有している。その一の端面27aと他の端面27bのほぼ中間の27dから細隙31を介して、円筒形中央部分27eの外周27fのスリーブ32が形成され、ホーン27の外周27fと平行に伸びている。スリーブ32の末端にはフランジ33が形成され、フランジ33には孔33bが穿設されている。フランジ33の端面33bは平滑な平面で端面27aと平行であるが、微小量後退した位置にある。
孔30aと孔33aを通して、ボルト34が挿設され、ボルト34はナット35と螺合する。螺合するボルト34とナット35は6組である。
【0026】
次に動作について説明する。
コーン26の端面26bとホーン27の端面27aとを対向させ、密着させながら、フランジ30の端面30bとフランジ33の端面33bとを互いに対向させる。両端面の間には両微小量の合計に等しい空隙36が存在する。孔30aと孔33aとを貫通するボルト34にナット35を螺合し締めつける。コーン26の端面26bとホーン27の端面27aとが接触するようにし、6個のボルト34にナット35を締めつけて緊締する。端面30bと端面33bとの間は空隙36が消滅し、端面30bと端面33bとは密接する。
コーン26の端面26bとホーン27の端面27aとの間には圧縮静荷重が、又スリーブ29とスリーブ32の間には引張り静荷重が加わる。
【0027】
本発明の第3の実施例について図6により説明する。図6は超音波振動系の振幅を示す概念図である。上述した各実施例と同一又は類似の事項についての記述は省略する。
ホーン41はニッケルクローム鋼製のほぼ円筒形をなす棒であり、その一端面41aにおいてコーン(不図示)に結合されている。ホーン41には細隙43を介してスリーブ44が形成されている。スリーブ44の端部にはフランジ45が形成され、フランジ45には孔45aが穿設されている。フランジ45の端面45bは第1のホーン41の端面41bと同一平面上にある。
【0028】
ホーン46はセラミック製のほぼ円筒形ををなす棒であり、その長て方向のほぼ中間部に環状の突起49が形成されている。スリーブ48はニッケルクローム鋼製であり、中央に孔48aが穿設された底板48bを有する筒形状をなしている。孔48aにはホーン46が挿入され、底板48bが突起49に係合して、ホーン46の外周と平行に端面46aの方に細隙47を介して伸びている。スリーブ48の端部にはフランジ49が形成され、フランジ49には孔49aが穿設されている。フランジ49の端面49bはホーン46の端面46aと同一平面上にある。
薄板51はベリリウム銅製である。
6組のボルト52はナット53と螺合する。
【0029】
次に動作について説明する。
薄板51を端面41bと端面46aとの間に挟置し、孔45aと孔49aを通してボルト52を挿入し、ナット53をこれに螺合させ、締め付ける。するとホーン41は薄板51を介してホーン46と密着する。更に締め付けるとスリーブ44とスリーブ48は延伸し、端面45bと端面49bとが接触するに至り、ホーン41、薄板51、ホーン46に圧縮静荷重が負荷され、スリーブ44とスリーブ48には引張り静荷重が負荷される。
高温の液状物の攪拌・分散、例えばアルミニウム中への炭素繊維の分散等に使用するセラミック製のホーンの螺刻は極めて困難であるが、本実施例においては容易に他のホーン又はコーンに接続することができる。ホーンの振動の伝達は安定に行われ、破損し難いから、セラミックホーンの高性能化が図られる。このため新素材の開発などに超音波応用の道が拓かれる。
【0030】
尚他の実施態様では、一対のホーンの双方共環状の突起が形成されて、それぞれスリーブと係合するよう構成にされる。
又他の実施態様では、フランジとフランジとの緊定後係合部を溶接で固定するように構成される。
【0031】
次に第4の実施例について図7及び図8により説明する。図7は超音波振動系の中心軸を通る断面図、図8は中心軸を通る断面の部分図である。上述の実施例と同一又は類似の事項の詳細説明は省略する。
管引抜き用の超音波塑性加工機の超音波振動系61は高周波振動子62、コーン63、ホーン64、ダイ65、間隔リング66及びホーン67が順次結合して構成されている。
【0032】
コーン63は2本の円筒が1本の円錐に合体してなる三叉の形状をなしている。2本の円筒部71の端面72にはそれぞれ高周波振動子62が当接し、円筒部71と高周波振動子62とは継ぎねじ73により結合されている。他の1本の円錐部74の端面74aにはホーン64が端面64aで当接し、円錐部74とホーン64とは継ぎねじ75により結合されている。コーン63と継ぎねじ75には両者とも孔76が穿孔されている。
ホーン64とホーン67は共にニッケルクローム鋼製で、それぞれ孔64d、67dを有する円筒である
スリーブ80はホーン64の外周側に係合し、細隙79を介して、ホーン67に対向する面64bの向に円筒状に伸びて形成されている。ホーン64の面64bとスリブーブ80の面80aとは平滑に且つ同一平面上にあるように形成されている。
【0033】
スリブーブ82はホーン67の外周側に係合し、細隙81を介して、ホーン64に対向する面67aの向に円筒状に伸びて形成されている。ホーン67の面67aとスリーブ82の面82aとは平滑に且つ同一平面上にあるように形成されている。
スリーブ 80とスリーブ82にはそれぞれ孔80c、82cが設けられ、またボルト83とナット84と設けられている。
【0034】
スリーブ80の先端部には垂直方向に当板64eが突設され、当板64eが超音波振動系61を超音波塑性加工機の基台78に当接し支持される。
ダイ65は管引抜き用超硬合金製でその内側はダイ固有の形状をなし、外側は円筒形で、両面に平滑な平行平面を有する円環である。外径はホーン64の外径より小さい。中央に孔65d(ベアリングと呼ぶことがある)が穿設されている。間隔リング66はニッケルクローム鋼製で両面に平滑な平行平面を有する円環である。中央の孔の内径はダイ65の内径と等しい。
孔76及び孔67dは、コーン63、ホーン64及びホーン67を貫通する貫通孔61dを形成し、その中で管85は図中左より右に引抜かれる。
【0035】
間隔リング66はダイ65より薄い。従って図7に示すように、ダイ65をホーン64の面64bとホーン67の面67aとの間に、又間隔リング66をスリブーブ80の面80aとスリーブ82の面82aとの間に挿入する。この状態でボルト83とナット84を係合して締めると、やがて面64bと面67aとはダイ65を介して密着するが、面80aとの面82aとの間に空隙86が存在する。更に力を加え締めると次第にスリーブ80とスリーブ82とが延伸され、又ホーン64の一部とホーン67の一部が圧縮される。面80aとの面82aとの間の空隙86が消滅し、間隔リング66を介して密着する。更に締めようとしても、急激に抵抗が大きくなり、緊締は進められず終了する。
【0036】
スリーブ80とスリーブ82とに引張り静荷重が負荷され、ホーン64とホーン67とに圧縮静荷重が負荷される。ホーンの圧縮荷重とスリーブの引張り応力の大きさはつぎの結果が得られた。
周波数15kHz、速度1.25m/sで振動する質量1kgのダイは1.18×105N(12トンに相当する)の慣性力をホーンに及ぼす。又管の引き抜き力は、10トンに達する。直径60mmニッケルクローム鋼のホーンから同断面積のスリーブを引張りだす。スリーブの引張り応力を第1の実施例で例示した値、即ち40kgf/mm2 とする。このとき、ホーンの圧縮静荷重は1.10×106 Nであり、ダイの慣性力の10倍に近く、また静引抜き力の10倍以上である。
【0037】
本実施例において、ホーンの面が単純な一平面で構成可能であるから、ホーンとダイの接触面が極めて平滑且つ平坦に形成され、局部的なミクロの塑性流動の発熱がなく、性能の劣化乃至は破壊を免れることができ、性能が向上する。
そして前述した実施例と同様に螺合のトルク管理がなく、精度の高い寸法管理が行われるから、ダイの取付けが短時間に再現性よく安定して行われる。
又管の引抜き力を振動体外部の複数のボルトナットと厚いフランジを介し、当板によって直接基台が負担できるので、引抜き可能な管径寸法が増大する。
更に第6の実施例において後述する高周波振動子を使用すれば更に出力の向上が計られる。
【0038】
本発明の第5の実施例に係る超音波振動系を図9及び図10により説明する。上述の実施例と同一又は類似の事項の詳細説明は省略する。図9は超音波振動系の緊締前の中心軸を通る断面図、図10は超音波振動系の緊締後の中心軸を通る断面図である。
【0039】
ホーン91はチタン合金6A14V製のほぼ円筒形をなす長さ12.50mm、外径4.00mmの棒である。この長さは周波数200kHzのときの縦波波長25mmの2分の1に等しい。一つの端面91aで超音波振動子(不図示)に結合している。他の端面91bから2.50mmへだたつた点91cから外周方向にほぼ垂直に外方に向かい傘型にフランジ92が延伸して一体に形成されている。フランジ92の厚さは1.17mmである。フランジ92の外周にはリング93が形成され、端面91b側に伸びている。フランジ93の内径は8.28mmである。ホーン91の円筒部91dとリング93の間にはやや幅広の空孔94が環状に形成されている。リング93には孔93aが8個穿設されている。リング93の端面93bはホーン91の端面91bと共に平滑であり且つ同一平面上にある。
【0040】
ホーン95はチタン合金6A14V製のほぼ円筒形をなす長さ12.5mm、外径4.0mmの棒である。この長さは周波数200kHzのときの縦波波長25mmの二分の一に等しい。その端面95aから2.50mmへだたつた点95bから外周方向にほぼ垂直に外方に向かい傘型にのフランジ96が延伸して一体に形成されている。フランジ96の厚さは1.17mmである。フランジ96の外周にはリング97が形成され、端面95a側に伸びている。リング97の内径は8.28mmである。ホーン95の円筒部95cとリング97の間にはやや幅広の空孔98が環状に形成されている。リング97には孔97aが8個穿設されている。リング97の端面97bはホーン95の中心部95cの端面95aと共に平滑であり且つ同一平面上にある。
【0041】
薄板101はベリリウム銅製で厚さ0.116mmである。
各孔93aと孔97aを通して、ボルト99が計8本挿設され、ボルト99はナット100と螺合している。
【0042】
次に動作について説明する。
ホーン91の端面91bとホーン95の端面95aとの間に薄板101を挿入し、接触せしめながら、リング93の端面93bとリング97の端面97bとを互いに対向させる。この際端面93bと端面97bとの間に薄板101の厚さに等しい0.116mmの空隙があり、これが締め代である。次いで孔93aと孔97aにボルト99を通し、ナット100を螺合する。緊締し薄板101の厚さの締め代をだけ押圧すると端面93b端面97bとが接触する。更に緊締するとリング93の端面93bとリング97の端面97bを介して、フランジ92とフランジ96に曲げの静荷重が負荷される。そしてホーン91とホーン95には289Nの圧縮荷重が負荷される。
【0043】
本実施例は、200kHzの高周波、且つ大振幅での発振で良好な結果を得た。
【0044】
他の実施態様として、相対するホーンに係合する両フランジの端面の間に、薄板より薄い間隔リングを挿入することも可能である。
【0045】
第6の実施例に係る超音波振動子を図11、図12及び図13により説明する。上述の実施例と同一又は類似の事項の詳細説明は省略する。図11は緊締前の超音波振動子の中心軸を通る断面図、図12は緊締前の超音波振動子の中心軸を通る断面の一部の図、図13は緊締後の超音波振動子の中心軸を通る断面図である。
【0046】
超音波振動子110の圧電素子111は中央に円孔111aが穿たれた平滑な面をもち円板形状をなすジルコン酸チタン酸鉛系の圧電素子で、外径は40mm、厚さは5.0mm、円孔111aの内径は10mmである。圧電素子111は4枚の部材111b、111c、111d、111eからなり、陽極電極(不図示)、接地電極(不図示)に交互に挟まれている。ここで圧電素子111の機械振動パワーを消費する負荷方向を前面、裏側を裏面と言うことがある。
【0047】
前面丸棒112及び裏打丸棒113は高力アルミニウム合金A7075−T651製で、それぞれ中央に円孔112a、113aがそれぞれ穿たれた丸棒である。前面丸棒112は面112bで圧電素子111の前面111fに、及び裏打丸棒113は面113bで圧電素子111の裏面111gに当接し、押圧部材の一部を形成している。又円孔111a、112a、113aは貫通孔110aを形成している。前面丸棒112及び裏打丸棒113は共に外径は40mm、内径は10mm 、長さ73.46mmであり、周波数20kHzのとき圧電素子111を挟持した全長は166.9mmである。
【0048】
面112c及び面113cの外周の外側からは、それぞれ細隙112d及び細隙113dを介して、外周の外側に沿い、それぞれ面112b及び面113bに向かうスリーブ114及びスリーブ115がそれぞれ前面丸棒112及び裏打丸棒113を内包するように形成されている。前面丸棒112とスリーブ114及び裏打丸棒113とスリーブ115はそれぞれ一体に形成することもできるし、個別に加工してから結合して形成することもできる。
スリーブ114及びスリーブ115の端面は平滑でそれぞれ面114a及び面115aを形成している。通常面114a及び面115aは前面丸棒112の面112b及び裏打丸棒113の面113bとそれぞれ同一の平面上に形成されるのが平滑且つ平坦性から望ましが、必ずしも同一面上に形成されなくてもよい。スリーブ114及びスリーブ115はそれぞれ外径は57mm、内径は48mm、肉厚 4.5mmである。又細隙112d及び細隙113dはそれぞれ4mmである。
【0049】
スリーブ114、115の外径側にはそれぞれフランジ116、117が設けられている。フランジ116、117はスリーブ114、115に比べ相対的に大きい質量を有している。フランジ116、117にはそれぞれ孔116a、117aが6個対応する位置に設けられている。対応する孔116a、117aを通してボルト118が貫通し、ナット119がボルト118に繋合している。
【0050】
間隔リング120は平滑な両面を有し、スリーブ114及びスリーブ115の間に挿入されて間隔を保つ円環である。高力アルミニウム合金A7075−76製で外径はフランジ116、117の外径に等しく96mmで、その厚さは後述の如く、適当な締め代を得るように決められる。即ち前面丸棒112、圧電素子111及び裏打丸棒113が互いに当接しても、上記したボルト118とナット119による緊締が未だ行われない間は、スリーブ114及びスリーブ115の間に空隙121をもって挿入されている。空隙121が締め代であり、その大きさは0.371mmである。
【0051】
電気端子122は加振電圧印加用の電気端子で電気装置(不図示)から加振電圧を受ける。電気端子123は接地用の電気端子である。
流入孔124には冷却用乾燥空気の供給管125が接続している。また孔126は細隙112dと貫通孔110aとを連絡する孔、孔127は細隙112dと系外とを連絡する孔でそれぞれ4本穿設されている。
【0052】
ここで諸元の関連について説明する。
外径40mm、内径10mm、厚さ5mmの圧電素子111の部材111b、111c、111d、111eを変位ノード面を挟んで左右に二枚づつ配置し、20kHzで共振するようにA7075−T651製の前面丸棒112、裏打丸棒113の長さは計算すると73.46mmである。従って超音波振動子110の全長は166.9mmである。圧電素子111の両面で許容範囲にある速度0.45m/sで振動させると前面丸棒112により3.80倍に増速され、端面112eでは速度1.72m/sとなる。圧電素子111が長期にわたり劣化しない圧縮応力は 0.689×108 Paであるから、負荷すべき圧縮荷重は0.812×105 Nである。スリーブ114、115の外径57mm、内径48mm,肉厚4.5mmとして計算すると、締め代は0.371mm、スリーブ114、115に発生する応力は1.180×108 Pa、即ち12.0kgf/mm2 で、これはA7075−T651の0.2%クリープ値の約4分の1に過ぎない。従ってクリープ発生の虞れはない。
【0053】
次に動作について説明する。
圧電素子111を間隔リング120の中央空間におき、圧電素子111の前面111fに前面丸棒112の面112bを、又裏面111gに裏打丸棒113の面113bをそれぞれ当接する。電気配線を完了した後、間隔リング120はスリーブ114とスリーブ115の間に挿入される。その際、前面丸棒112、圧電素子111及び裏打丸棒113が互いに密着しても、ボルト118とナット119による緊締が未だ行われないから、スリーブ114、間隔リング120及びスリーブ115の間には空隙121があり、密着状態にはない。
次に、ボルト118とナット119とを螺合し、スリーブ114とスリーブ115とを間に間隔リング120を挿入した状態で、先に存在した締め代の分を緊締し空隙121を消滅させる。前面丸棒112、圧電素子111及び裏打丸棒113に比べてスリーブ114、間隔リング120及びスリーブ115の方が断面積が小さく、容易にスリーブ114及びスリーブ115が間隙121の長さだけ伸び、スリーブ114、間隔リング120及びスリーブ115は互いに密着状態になる。
【0054】
前面丸棒112、圧電素子111及び裏打丸棒113は既に互いに密着してをり、更にスリーブ114、間隔リング120及びスリーブ115が互いに密着状態になると、前面丸棒112、圧電素子111及び裏打丸棒113に圧縮荷重が負荷される。締め代は予めこの圧縮荷重が圧電素子111に許容される圧縮最大荷重に等しくなるように設定されている。
【0055】
電気端子122を介し圧電素子111に加振電圧が加わり、圧電素子111は前面丸棒112、裏打丸棒113、スリーブ114、スリーブ115を伸縮させて励振し、面112cから大振幅が結合された単位振動体(不図示)に出力する。接地は電気端子123を通じて行われる。
【0056】
供給管125からの冷却用乾燥空気は流入孔124より流入し、細隙112dに、更に孔126から貫通孔110aに流入し、圧電素子111、前面丸棒112及び裏打丸棒113を含む超音波振動子110の全体を冷却し且つ乾燥させ、貫通孔110aから流出する。細隙112d及び113dに流入した空気は孔127からも流出する。
【0057】
次に本実施例にかかる超音波振動子が、破損し難く、高性能を維持することについて説明する。
本実施例に係る超音波振動子では、緊締が、圧電素子、前面丸棒、裏打丸棒の内部ではなく、外周外側で行われる。圧電素子は中央の孔部を除き、広い範囲で一様に丸棒の端面により押圧され、又丸棒にも一様に圧縮荷重が負荷されている。ボルト等の螺合の緊締が内部で行われると、これが破損の大きな原因となることは従来例から明らかであった。緊締が外周外側で行われるから破損の大きな原因の一つがなく、破損し難いのは明白である。更に圧縮荷重が一様に負荷されるから振動力の増加によるパワーの増大で機能強化が可能となる。
【0058】
又、緊締は、前面丸棒と裏打丸棒の外周外側に設けられた両スリーブが間隔リングを介して密着し押圧することで行われる。従って、押圧力の大きさは、ボルトとナットを締付ける際に締付けトルクで管理するのではなく、予め部品加工段階において平滑且つ平坦な面で、両スリーブ及び間隔リングの寸法で管理するのである。言うまでもなく金属材料の機械加工は極めて高い精度で行うことが可能だが、締付けトルクの管理は1桁以下低い精度でしか行うことができないのは周知のことである。本実施例では高い精度で各部品の寸法を管理することが圧電素子に過大な圧縮荷重を負荷することもなく、性能が安定し品質の向上が可能となる。
【0059】
又、貫通孔、更には細隙に乾燥冷却空気が流入し冷却するから、誘電体損失に基づく圧電素子の温度上昇を抑制するなどしてパワーの増大が可能となり、又湿気による絶縁低下を防ぎ安定性及び安全性の向上が可能となる。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、破損し難く、高性能且つ安定した品質の超音波振動系及び超音波振動子がが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る超音波振動系の概念図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
【図7】本発明の第4の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面の部分図である。
【図9】本発明の第5の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
【図10】本発明の第5の実施例に係る超音波振動系の中心軸を通る断面図である。
【図11】本発明の第6の実施例に係る超音波振動子の中心軸を通る断面図である。
【図12】本発明の第6の実施例に係る超音波振動子の中心軸を通る断面の部分図である。
【図13】本発明の第6の実施例に係る超音波振動子の中心軸を通る断面図である。
【図14】従来の例に係る超音波振動系の概念図である。
【図15】超音波振動系の振動を説明する概念図である。
【符号の説明】
1・・・超音波振動系、11・・・超音波振動子、12・・・コーン、13・・・ホーン、14、17・・・細隙、15、18・・・スリーブ、16、19・・・フランジ、20・・・薄板
Claims (3)
- 圧電素子、裏打丸棒、及び前面丸棒とからなる超音波振動子より発生した超音波を伝導する第1の単位導波棒及び第2の単位導波棒と薄板とを有し、第1の単位導波棒の外周の変位ノードに対応した位置に設けられ、細隙を介し外縁に沿って伸長する第1の係止部材と、第2の単位導波棒の外周の変位ノードに対応した位置に設けられ、細隙を介し外縁に沿って伸長する第2の係止部材と、第1の緊張手段とを具備し、第1の単位導波棒と第2の単位導波棒とが前記薄板を介して互いに当接したときには、第1の係止部材と第2の係止部材との間に所定の空隙を存在させ、第1の緊張手段が第1の係止部材と第2の係止部材とを伸張させて前記空隙が消滅するように緊締すると、第1の単位導波棒及び第2の単位導波棒に圧縮荷重が負荷されることを特徴とする超音波振動系。
- 圧電素子、裏打丸棒、及び前面丸棒とからなる超音波振動子より発生した超音波を伝導する第1の単位導波棒及び第2の単位導波棒と間隔リングとを有し、第1の単位導波棒の外周の変位ノードに対応した位置に設けられ、細隙を介し外縁に沿って伸長する第1の係止部材と、第2の単位導波棒の外周の変位ノードに対応した位置に設けられ、細隙を介し外縁に沿って伸長する第2の係止部材と、第1の緊張手段と、引抜きダイとを具備し、前記引抜きダイを第1の単位導波棒と第2の単位導波棒の間に挿入して三者が互いに当接したときには、第1の係止部材と第2の係止部材との間に所定の空隙を存在させ、前記間隔リングを介して第1の緊張手段が第1の係止部材と第2の係止部材とを伸張させて前記空隙が消滅するように緊締すると、第1の単位導波棒及び第2の単位導波棒に圧縮荷重が負荷されることを特徴とする超音波振動系。
- 圧電素子と、裏打丸棒と、前面丸棒と、前記裏打丸棒の外周の変位ノードに対応した位置に設けられ、細隙を介し外縁に沿って伸長する第3の係止部材と、前記前面丸棒の外周の変位ノードに対応した位置に設けられ、細隙を介し外縁に沿って伸長する第4の係止部材と、第2の緊張手段と、
間隔リングとを具備し、前記圧電素子を前記裏打丸棒と前記前面丸棒との間に三者互いに当接して挟持し、前記間隔リングを第3の係止部材と第4の係止部材との間に挿入して三者が互いに当接したときには第3の係止部材と第4の係止部材との間に所定の空隙を存在させ、第2の緊張手段が、第3の係止部材と第4の係止部材とを伸張させて前記空隙が消滅するように緊締すると、前記裏打丸棒及び前面丸棒に圧縮荷重が負荷されることを特徴とする超音波振動系。
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