JP3753342B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料に関し、更に詳しくは、色再現性が忠実であり、かつ、保存安定性が良好であるハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、「カラー感光材料」又は単に「感光材料」とも言う)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー感光材料に要求される性能は益々厳しく、中でも色再現性は最も重要な特性の一つである。忠実な色相再現性は勿論、同系色の弁別性も重要な要素であり、特に、緑色系、紫色系の色弁別に対する要求は強い。
【0003】
緑色系(青みがかった緑色、黄緑色等)の弁別性を高める手段としては、例えばインターイメージ効果をコントロールする方法が特開昭61−34541号で開示されている。しかし、この技術を用いると、感光材料が高湿度下に放置された時の写真性能が大きく劣化することが明らかになった。
【0004】
又、紫色系(青紫色、赤紫色等)の弁別性を高める手段としては、例えば赤感性乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤の分光感度分布をコントロールする方法が、特開平7−140602号で開示されている。しかし、この技術を用いると紫色の弁別性は高まるものの、明度が暗く再現されてしまうという欠点を有することが明らかとなった。
【0005】
従って、緑色系、紫色系の色弁別性に優れ、かつ、充分な明度で再現され、更には高湿度下での保存安定性が高いカラー感光材料が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、緑色系、紫色系の弁別性に優れ、同時に、充分な明度で再現でき、更に、高湿度下での保存安定性が高いハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0008】
(1)支持体上に、それぞれ少なくとも1層の青感性層、緑感性層及び赤感性層を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxと緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxの中間波長λ〔(λGmax+λBmax)/2〕が490nmより短い波長にあるハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0009】
(2)前記青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxが445nmより短い波長である(1)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0010】
(3)前記緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxが535nmより短い波長である(1)又は(2)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0013】
以下、本発明を更に具体的に説明する。
【0014】
本発明で言う分光感度分布とは、ハロゲン化銀カラー写真感光材料に、400nmから700nmまで数nm間隔でスペクトル光で露光を与え、各波長で一定濃度を与える露光量の逆数を各波長での感度とし、その感度を波長の関数としたものである。
【0015】
本発明で言う分光感度分布の重心波長は次式で与えられる。
【0016】
【数1】
Figure 0003753342
【0017】
B(λ),SG(λ),SR(λ)は、それぞれ、青感性層、緑感性層、赤感性層の分光感度分布曲線であり、特定の波長におけるSB(λ),SG(λ),SR(λ)は図1のa点に対応する露光量の逆数の相対値で求められる(図1において、縦軸Dは濃度を、横軸logEは露光量の対数を示す)。
【0018】
本発明において、青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxと緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxの中間波長λ〔(λGmax+λBmax)/2〕は490nmより短い波長であるが、485nmより短い波長であることが好ましい。
【0019】
又、青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxは、445nmより短い波長であることが好ましく、特に好ましくは440nmより短い波長である。
【0020】
更に、緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxは、535nmより短い波長であることが好ましく、特に好ましくは530nmより短い波長である。
【0021】
本発明においては、青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxが445nmより短い波長であり、かつ、緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxが、535nmより短い波長であることが好ましい。特に好ましくは、青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxが440nmより短い波長であり、かつ、緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxが、530nmより短い波長である。
【0022】
本発明において、赤感性層の分光感度分布の重心波長λRmaxは640nmより短い波長であることが好ましく、更に600〜630nmが特に好ましい。
【0023】
本発明においては、緑感性層に含有されるハロゲン化銀乳剤が少なくとも1種のモノメチンシアニン色素と少なくとも1種のトリメチンシアニン色素で分光増感されていることが好ましい。このモノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素としては、下記一般式(S−I)で表されるシアニン色素が好ましい。
【0024】
【化1】
Figure 0003753342
【0025】
式中、Z1及びZ2は、各々5又は6員複素環を形成するに必要な非金属原子群を表し、それぞれが同じでも異なってもよい。R1及びR2は、各々アルキル基又は置換アルキル基を表し、同じでも異なってもよい。L1、L2及びL3は、各々メチン基又は置換メチン基を表す。m、p及びqは、各々0又は1を表す。X-はアニオンを表し、nは0又は1を表す。
【0026】
上記一般式(S−I)で表される増感色素は、特開平3−54547号に一般式〔S−1〕として記載される増感色素であり、各置換基の詳細は同公報(4)頁左下欄〜(7)頁左下欄に述べられており、化合物例は(8)頁右上欄〜(13)頁左上欄にS−1〜S−73として記載されている。
【0027】
本発明において、モノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素の添加量の合計は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-5〜1×10-2モルが好ましく、より好ましくは5×10-5〜5×10-3モルである。又、モノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素の使用割合はモル比で1:50〜50:1の範囲が好ましく、より好ましくは1:20〜20:1、特に好ましくは1:10〜10:1である。
【0028】
モノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素は、ハロゲン化銀乳剤中に同時に添加されても別々に添加されてもかまわない。又、モノメチンシアニン色素を2種以上、又はトリメチンシアニン色素を2種以上併用してもよく、同時にモノメチンシアニン色素を2種以上、トリメチンシアニン色素を2種以上用いてもよい。
【0029】
モノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素の添加方法は、通常良く知られた方法を用いることができ、例えば適当な溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、弗化アルコール、1−メトキシエタノール、水あるいは適当なpH値を有する酸又はアルカリ水溶液等)に溶解し、溶液の形で乳剤へ添加する方法、米国特許3,469,987号等に記載される如く揮発性有機溶媒に溶解し、親水性コロイド中に分散した分散物を乳剤に添加する方法、特公昭46−24185号に記載される如く水不溶性色素を溶解することないし水溶性溶媒中に分散させ、乳剤に添加する方法などがある。
【0030】
本発明においては、モノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素を固体状態でハロゲン化銀乳剤中に添加することが好ましい。色素を固体状態で乳剤中に添加するには、これらを顆粒の状態で添加する方法、適当な液体中に分散させ分散液として添加する方法などがある。
【0031】
本発明においては、色素を実質的に有機溶媒を含まない状態で水中に分散させ、分散液として乳剤に添加する方法が好ましい。この為には、種々の分散法が有効に用いられる。具体的には、高速撹拌機、ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、超音波分散機などが用いられる。本発明においては高速撹拌機が好ましい。
【0032】
本発明において、有機溶媒とは炭素原子を含む室温で液体の溶剤をいう。従来、特に増感色素の溶剤としては水混和性有機溶媒、例えばアルコール類、ケトン類、ニトリル類、アルコキシアルコール類等が用いられて来た。具体的に、メタノール、エタノール、プロパノール、i−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、アセトン、アセトニトリル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等が挙げられる。
【0033】
本発明は、これらの有機溶媒を実質的に含まないものである。実質的に含まないとは、上記有機溶媒が水に対し重量比で10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下の状態を指す。
【0034】
高速撹拌型分散機としては、例えば図2(a)に示す如くタンク1、ディゾルバー2及び垂直軸3から成るものがある。図2(b)にはディゾルバー2を示す。高速撹拌型分散機は、垂直軸に複数個のインペラーを装着したディゾルバーあるいは複数の垂直軸を設けた多軸ディゾルバーを有したものであってもよい。又、ディゾルバー単独のものの他、アンカー翼を有した高速撹拌型分散機はより好ましいものである。
【0035】
具体的作業例としては、温度調節が可能なタンクに水を入れた後、増感色素の粉体を一定量入れ、高速撹拌機にて温度制御下に一定時間撹拌し、粉砕・分散する。又、増感色素を機械的に分散する時のpHや温度は特に問わないが、低温下では長時間分散を行っても所望の粒径に達せず、高温下では再凝集又は分散を生じて所望の写真性能を得ることができないという問題や、温度を上げると溶液系の粘度低下による固体の粉砕及び分散効率の大きな低下などの問題が生じる。よって、分散温度は15〜60℃であることが好ましい。更に、分散時の撹拌回転数は、低回転数では所望の粒径を得るのに長時間を要し、又、余りに高回転数では気泡を巻き込み分散効率を低下させるので、100〜6000rpmでの分散が好ましい。
【0036】
本発明でいう分散物とは、分光増感色素の懸濁液を指し、好ましくは懸濁液中の増感色素の重量比率が0.2〜5.0%のものである。
【0037】
上記のように調製された増感色素分散物は、ハロゲン化銀乳剤に直接添加してもよいし、適当に希釈して添加してもよいが、この時の希釈には水を使用する。増感色素を水中に分散させる際には界面活性剤を用いることもできるが、用いない方が好ましい。界面活性剤としてはアニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤、両イオン性界面活性剤がある。
【0038】
モノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素は、同時に水中で分散されても別々に分散されても構わない。
【0039】
本発明において、青感性層に含有されるハロゲン化銀乳剤は少なくとも2種のモノメチンシアニン色素で分光増感されていることが、色再現性を更に向上させる上で好ましい。特に、二つのベンゾオキサゾール環を有するモノメチンシアニン色素と、一つのベンゾオキサゾール環と一つのベンゾチアゾール環を有するモノメチンシアニン色素との組合せが好ましい。
【0040】
本発明に用いられるハロゲン化銀については、特に制限されることなく、例えばRD308119,993頁I−A項〜995頁II項に記載されているものを用いることができる。
【0041】
ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤は、リサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure、RDと略す)17643,23頁III項〜24頁VI−M項、RD18716,648〜649頁及びRD308119,996頁III−A項〜1000頁VI−M項に記載されている。
【0042】
本発明に使用できる公知の写真用添加剤も、同じくRD17643,25頁VIII−A項〜27頁XIII項、RD18716,650〜651頁、RD308119,1003頁VIII−A項〜1012頁XXI−E項に記載のものを用いることができる。
【0043】
本発明には種々のカプラーを使用することができ、その具体例は、RD17643,25頁VII−C〜G項、RD308119,1001頁VII−C〜G項に記載されている。
【0044】
本発明に使用する添加剤は、RD308119,1007頁XIV項に記載されている分散法などにより添加することができる。
【0045】
本発明においては、前述RD17643,28頁XVII項、RD18716,647〜8頁及びRD308119,1009頁XVII項に記載される支持体を使用することができる。
【0046】
感光材料には、前述RD308119,1002頁VII−K項に記載されるフィルター層や中間層等の補助層を設けることができる。
【0047】
感光材料は、前述RD308119,VII−K項に記載の順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成を採ることができる。
【0048】
本発明のカラー感光材料を現像処理するには、例えばT.H.ジェームス著:ザ・セオリイ・オブ・ザ・フォトグラフィク・プロセス第4版(The Theory of the Photographic Process 4thEdition),291〜334頁及びジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.),73巻,3100頁に記載されている。それ自体公知の現像剤を使用することができ、又、前述のRD17643,28〜29頁、RD18716,615頁及びRD308119,XIXに記載される通常の方法によって現像処理することができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。
【0050】
実施例1
下引層を設けたセルローストリアセテートフィルム支持体上に、以下の組成物を塗布して多層カラー感光材料である試料101を作製した。
【0051】
以下の全ての実施例において、感光材料中の添加剤量は特に記載のない限り1m2当たりのグラム数を示す。又、ハロゲン化銀及びコロイド銀量は、銀に換算して示し、増感色素は同一層に含まれるハロゲン化銀1モル当たりのモル数で示した。
【0052】
第1層:ハレーション防止層
黒色コロイド銀 0.18
紫外線吸収剤(UV−1) 0.30
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.17
ゼラチン 1.59
第2層:中間層
イエローカプラー(Y−1) 0.02
イエローカプラー(Y−2) 0.05
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.01
ゼラチン 1.27
第3層:低感度赤感性層
沃臭化銀乳剤A 0.26
沃臭化銀乳剤B 0.39
増感色素(SD−1) 5.1×10-5
増感色素(SD−2) 9.0×10-5
増感色素(SD−3) 1.9×10-5
増感色素(SD−4) 2.0×10-4
増感色素(SD−5) 2.8×10-4
シアンカプラー(C−1) 0.42
カラードシアンカプラー(CC−1) 0.02
高沸点溶媒(Oil−1) 0.35
ゼラチン 1.02
第4層:中感度赤感性層
沃臭化銀乳剤C 0.53
増感色素(SD−3) 1.8×10-5
増感色素(SD−4) 2.4×10-4
増感色素(SD−5) 4.5×10-4
シアンカプラー(C−1) 0.26
カラードシアンカプラー(CC−1) 0.05
DIR化合物(D−1) 0.01
高沸点溶媒(Oil−1) 0.31
ゼラチン 0.78
第5層:高感度赤感性層
沃臭化銀乳剤D 1.27
増感色素(SD−3) 1.8×10-5
増感色素(SD−4) 3.1×10-4
増感色素(SD−5) 2.7×10-4
シアンカプラー(C−2) 0.11
カラードシアンカプラー(CC−1) 0.02
DIR化合物(D−2) 0.04
高沸点溶媒(Oil−1) 0.17
ゼラチン 1.15
第6層:中間層
イエローカプラー(Y−1) 0.02
イエローカプラー(Y−2) 0.06
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.02
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.17
ゼラチン 0.69
第7層:中間層
ゼラチン 0.80
第8層:低感度緑感性層
沃臭化銀乳剤B 0.28
沃臭化銀乳剤E 0.09
増感色素(SD−8) 1.5×10-4
増感色素(SD−6) 9.0×10-4
マゼンタカプラー(M−1) 0.20
カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.05
DIR化合物(D−1)0.01
汚染防止剤(AS−1) 0.06
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.27
ゼラチン 1.34
第9層:中感度緑感性層
沃臭化銀乳剤E 0.82
増感色素(SD−8) 1.2×10-4
増感色素(SD−6) 7.8×10-4
マゼンタカプラー(M−1) 0.21
カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.05
DIR化合物(D−3) 0.04
DIR化合物(D−4) 0.02
汚染防止剤(AS−1) 0.06
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.33
ゼラチン 0.89
第10層:高感度緑感性層
沃臭化銀乳剤D 0.99
増感色素(SD−6) 3.6×10-4
増感色素(SD−7) 7.0×10-5
増感色素(SD−8) 4.8×10-5
マゼンタカプラー(M−1) 0.05
マゼンタカプラー(M−2) 0.06
カラードマゼンタカプラー(CM−2) 0.03
汚染防止剤(AS−1) 0.03
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.25
ゼラチン 0.88
第11層:中間層
高沸点有機溶媒(Oil−1) 0.25
ゼラチン 0.50
第12層:イエローフィルター層
黄色コロイド銀 0.11
色汚染防止剤(SC−1) 0.12
高沸点溶媒(Oil−2) 0.16
ゼラチン 0.36
第13層:中間層
ゼラチン 0.36
第14層:低感度青感性層
沃臭化銀乳剤A 0.11
沃臭化銀乳剤F 0.11
増感色素(SD−11) 2.0×10-4
増感色素(SD−12) 0.39
イエローカプラー(Y−2) 0.14
DIR化合物(D−5) 0.01
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.11
ゼラチン 1.02
第15層:中感度青感性層
沃臭化銀乳剤D 0.46
沃臭化銀乳剤F 0.10
増感色素(SD−11) 1.9×10-4
増感色素(SD−12) 5.6×10-4
イエローカプラー(Y−1) 0.28
イエローカプラー(Y−2) 0.10
DIR化合物(D−5) 0.02
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.08
ゼラチン 1.12
第16層:高感度青感性層
沃臭化銀乳剤D 0.04
沃臭化銀乳剤G 0.28
増感色素(SD−11) 8.4×10-5
増感色素(SD−12) 2.3×10-4
イエローカプラー(Y−1) 0.04
イエローカプラー(Y−2) 0.12
高沸点有機溶剤(Oil−2) 0.03
ゼラチン 0.85
Figure 0003753342
第18層:第2保護層
アルカリ可溶性マット剤(平均粒径2μm) 0.15
ポリメチルメタクリレート(平均粒径3μm) 0.04
滑り剤(WAX−1) 0.02
ゼラチン 0.54
尚、上記組成物の他に、強色増感剤SD−13、分散助剤SU−1,SU−2,SU−3,SU−4、粘度調整剤V−1、硬膜剤H−1,H−2、安定剤ST−1,ST−2、カブリ防止剤AF−1,AF−2,AF−3(重量平均分子量1万及び110万の2種)、染料AI−1,AI−2,AI−3、ホルマリンスカベンジャーFS−1,FS−2及び防腐剤DI−1を各層に適宜添加した。
【0053】
上記試料に用いた乳剤は、下記の通りである。尚、平均粒径は立方体に換算した粒径で示した。又、各乳剤は、金、硫黄、セレン増感を最適に施した。更に、乳剤A,B,Fは、イリジウムを1×10-7モル/1モルAg含有している。
【0054】
Figure 0003753342
試料101の青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxは450nm、緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxは544nm、青感性層の分光感度分布の重心波長と緑感性層の分光感度分布の重心波長の中間波長λは497nmであった。
【0055】
使用した添加剤の構造は以下の通りである。
【0056】
SU−1:スルホ琥珀酸ジオクチル・ナトリウム
SU−2:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
H−1:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
H−2:ジ(ビニルスルホニルメチル)エーテル
ST−1:4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
AF−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
AF−2:1−(4−カルボキシフェニル−5−メルカプトテトラゾール
AF−3:N−ビニルピロリドン
FS−1:1−ウレイドヒダントイン
FS−2:ヒダントイン
Oil−1:ジオクチルフタレート
Oil−2:トリクレジルホスフェート
Oil−3:ジブチルフタレート
AS−1:N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−t−オクチルアニリン
SC−1:2,5−ジ(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニルブチル)ハイドロキノン
【0057】
【化2】
Figure 0003753342
【0058】
【化3】
Figure 0003753342
【0059】
【化4】
Figure 0003753342
【0060】
【化5】
Figure 0003753342
【0061】
【化6】
Figure 0003753342
【0062】
【化7】
Figure 0003753342
【0063】
【化8】
Figure 0003753342
【0064】
【化9】
Figure 0003753342
【0065】
【化10】
Figure 0003753342
【0066】
【化11】
Figure 0003753342
【0067】
【化12】
Figure 0003753342
【0068】
上記試料101に対して、第9層及び第15層の増感色素の添加量を表1のように変化させて試料102〜105を作製した。
【0069】
【表1】
Figure 0003753342
【0070】
試料101〜105を、それぞれ通常の135サイズ規格に裁断し、パトローネに収納してカメラ(コニカヘキサー:コニカ社製)に装填して、標準C光源下でマクベス社製カラーチェッカー及び図3〜図6に示した分光反射率を有する緑系、紫系の色票を撮影した。
【0071】
撮影済み各試料は後述のカラー現像処理で現像処理を行った。
【0072】
処理済み各試料をカラープリンター(KCP−5N3II:コニカ社製)にてカラー印画紙(コニカカラーペーパーQAタイプA6)にプリントし、現像処理(コニカCPK−20P−1)を行って、それぞれ2Lサイズのカラープリントを得た。ただし、プリント条件として、カラーチェッカーのニュートラルNo.5のカラーパッチの色がオリジナルと同じになるように調整した。
【0073】
得られたプリントの緑色系と紫色系の色票の再現性を10人の評価者により官能的に評価した。
【0074】
結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
Figure 0003753342
【0076】
表2より、本発明の試料103〜105は、緑色系、紫色系の弁別性が高く、又、紫色の明度が高く再現されることが判る。又、青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxと緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxの中間波長λがそれぞれ485nm、484nmである試料104、105が、青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxと緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxの中間波長λが490nmである試料103より更に優れていることが判る。
【0077】
現像処理は以下の通りである。
【0078】
(カラー現像処理)
処理工程 処理時間 処理温度 補充量*
発色現像 3分15秒 38±0.3℃ 780cc
漂 白 45秒 38±2.0℃ 150cc
定 着 1分30秒 38±2.0℃ 830cc
安 定 60秒 38±5.0℃ 830cc
乾 燥 1分 55±5.0℃ −
*補充量は感光材料1m2当たりの値である。
【0079】
発色現像液、漂白液、定着液、安定液及びその補充液は、以下のものを使用した。
【0080】
Figure 0003753342
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いて現像液はpH10.06に、補充液はpH10.18に調整する。
【0081】
Figure 0003753342
水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いて共にpH4.4に調整する。
【0082】
Figure 0003753342
アンモニア水または氷酢酸を用いて定着液はpH6.2に、定着補充液はpH6.5に調整後、水を加えて1リットルとする。
【0083】
Figure 0003753342
水を加えて1リットルとした後、アンモニア水又は50%硫酸を用いてpH8.5に調整する。
【0084】
実施例2
実施例1の試料103に対して、第9層,第15層の増感色素の添加量を表3のように変化させて試料201,202を作製した。
【0085】
【表3】
Figure 0003753342
【0086】
実施例1の試料103と試料201,202に対し、実施例1と同様の色再現性の評価を行ったところ、どの試料も緑色、紫色の弁別性は優れていた。しかし、試料103が試料201,202よりも僅かにオリジナルに近い再現性を示した。
【0087】
実施例3
実施例1の試料103に対して、第9層の増感色素を表4のように変化させて試料301,302を作製した。
【0088】
【表4】
Figure 0003753342
【0089】
試料103,301及び302に対し、実施例1と同様の色再現性の評価を行った結果、どの試料も緑色、紫色の弁別性に優れていた。
【0090】
又、試料101,103,301及び302に対して、40℃・相対湿度80%の雰囲気下に1週間放置して強制劣化処理を行った試料と未処理の試料を、常法に従い、ウェッジ露光を行って実施例1と同様の現像処理を行った。
【0091】
各条件での感度は、緑色濃度でカブリ+0.3の光学濃度を与える露光量の逆数で表し、各試料とも未処理の試料の値を100とした時の相対値で示した。結果を以下に示す。
【0092】
Figure 0003753342
これより、緑感性層に含有されるハロゲン化銀乳剤がモノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素で分光増感されている試料301,302は、101,103に比べて高湿度下での保存安定性が高まっていることが判る。
【0093】
【発明の効果】
本発明により、緑色系、紫色系の色弁別性に優れ、かつ、保存安定性の優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で言う重心波長を求めるための分光感度分布曲線を示す。
【図2】(a)は高速撹拌型分散機の断面図、(b)はディゾルバー翼部の拡大図である。
【図3】本発明の感光材料試料の実写に用いた緑系色票の分光反射率曲線を示す。
【図4】本発明の感光材料試料の実写に用いた緑系色票の分光反射率曲線を示す。
【図5】本発明の感光材料試料の実写に用いた紫系色票の分光反射率曲線を示す。
【図6】本発明の感光材料試料の実写に用いた紫系色票の分光反射率曲線を示す。
【符号の説明】
1 タンク
2 ディゾルバー翼
3 垂直軸
4 分散すべき液
5 インペラー
6、7 羽根

Claims (3)

  1. 支持体上に、それぞれ少なくとも1層の青感性層、緑感性層及び赤感性層を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxと緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxの中間波長λ〔(λGmax+λBmax)/2〕が490nmより短い波長にあることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  2. 前記青感性層の分光感度分布の重心波長λBmaxが445nmより短い波長であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  3. 前記緑感性層の分光感度分布の重心波長λGmaxが535nmより短い波長であることを特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
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