JP3752227B2 - Or(オーバーラン)付香技術 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、気泡を含有する食品において、フレーバーのトップ立ちが非常に良好な冷菓・デザート、チョコレート、菓子を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および本発明が解決しようとする課題】
食品には、そのものが本来有する香り(アロマ)に対し、それを増強、もしくはまったく新たな香りを付加することにより、より風味を好ましいものにする技術が古来よりあった。酒や果汁を振り掛けるのも、その香りを食品に移す目的がある場合がある。
近年に至って、食品に香りをつける目的のみの添加物が食品製造に対し提供されるようになった。たとえば、バニラは古くはその豆そのものやそれをすりつぶしたものを食品に添加していたが、近年はアルコール等の適当な溶媒にバニラの香りを抽出し、その抽出液を食品に添加することが行われている。
【0003】
たとえば、冷菓・デザートを製造する場合、原料を混合・溶解し、必要に応じ油脂を乳化させた通常ミックスと呼ばれる液体に対し、あらかじめ液状もしくは固形状の香料を添加したのち、フリーザーと呼ばれる冷却装置で固化させ、製品化している。香料に液状、もしくは固形のものを選択するのは、気体の香料を添加することができなかったことに加え、その性状が輸送・保存に便利であることによる。
【0004】
しかしながら、消費者が食品を摂取する際に感じる香気はもともとは気体であり、前記液体または固形状の香料では、その製品の温度における蒸気圧により、気化する香料成分を感じ取るに過ぎなかった。
【0005】
しかしながら、食品の香気に多大な影響を及ぼしている製品品温で気体である香気成分は、この方法では製品の品温に大きく影響されることとなる。また、製品の香りの貴重な部分を左右する製品の香りの最初に感じる部分、所謂トップと呼ばれている部分が通常の、出来出たてのものより弱くなる。
【0006】
とりわけ、喫食時の製品温度が低い冷菓においては、香気成分の蒸気圧が低いため、液状や固形状の香料を添加しても、香気成分のうち沸点の低い部分は添加出来なかった。
【0007】
つまり、液状や固形状の香料を添加する方法だとフレーバーのトップ立ちを良くしようとしても限界があった。添加量を多くしてもトップ立ちのよさにはつながらない。
【0008】
製品の中に香料を閉じ込め、喫食事まで、香料が発散しないように工夫する技術としてはゼラチン等でカプセルを作成し、その中に香料を封入したカプセル型の香料製剤を作成し、これを製品にまぶすという技術がある。(特許文献1および2)
【0009】
しかしながら、カプセルによる賦香も、液体または固体の香料でなされるのみであり、本発明のごとく気化した香料を閉じ込めるものではなかった。そのため、当該技術によって賦香された製品も沸点の低い成分が長く持続する効果はあっても、はじめから気体である香料を閉じ込め、トップの香りがよいものを作るには至らなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−328556号
【特許文献2】
特公平5−59688号
【0011】
【解決しようとする課題】
本発明は、通常アイスクリームの中にある空気(オーバーラン)に気化させた香料を用い付香することによりこれまでに無いトップ立ちの良い冷菓・デザートを製造可能にしようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はフリーザー内でオーバーランを生成させる工程でその空気に付香する。通常はフリーザーのシリンダー内に除菌された空気を圧入しているが、本方法はその空気に香料を気化させクリーム内に圧入、その付香空気をオーバーラン生成用として使用する。
【0013】
以下、詳細にその方法を説明する。
【0014】
本願において冷菓とは冷凍で流通、喫食される菓子を意味し、 冷凍下で固体であればよく特に乳等省令でいうアイスクリーム類および氷菓に限定されない。本願の目的を達成するためには気泡が含有されていなければならない。
【0015】
本願においてデザートとは常温およびチルドで流通、喫食される菓子を意味し、ヨーグルト、プリン、ムース等を指すものである。本願の目的を達成するためには気泡が含有されていなければならない。
【0016】
本願において、チョコレートとは一般的に常温で固体である、油脂および糖が必須の原料として配合され、場合によって、粉乳、乳化剤などが配合されている油脂食品を指す。本願の目的を達成するためには気泡が含有されていなければならない。
【0017】
本願において 冷菓、またはデザートへの香料配合量としては、通常方法ではミックス重量に対し重量比で0.01〜2.00%の香料を直接ミックスに投入しており、本発明による方法でもミックス重量に対し重量比で0.01〜2.00%程度、好ましくは0.1−0.5%の香料(気化させた量として)を付香する。
また冷菓、またはデザート以外でも製品内に空気を入れる工程で、上記と同様の方法にて製品に付香空気を採り込ませることが可能となる。
【0018】
用いる香料としては、加熱・減圧など何らかの手段で気体となる香料であれば、特に種類は問わない。喫食時に気体であれば製造時に固体または液体である必要はなく、もちろん常温で液体または固体である必要はない。たとえば、冷菓製造時は氷点下で液体である香料であれば常温で気体となっても本発明の目的を達成できる。好適には表1にあるような、香気成分を含有する香料が沸点が低い、または常温における蒸気圧が低いなどの理由で用いられる。しかしながら、香気は空気中における含有量が微量のものであっても、閾値が低いものであれば本発明において効果があるので、一概に蒸気圧や沸点などで限定することはできない。
【0019】
【表1】
【0020】
本発明に用いるミックスは通常の冷菓を製造するときに用いられるものであればよく、その製造原料としては砂糖に代表される糖類・牛乳やクリームに代表される乳製品に加え、適宜乳化剤、安定剤を加えたものを用いる。もちろん、この段階で別途液体や固体の香料を添加してもよい。
【0021】
なお、通常の冷菓で用いる原料混合後、乳化を安定させる操作(エージング)を行ってもよい
【0022】
気化させた香料をミックスに含ませる手段としてはミックスを凍結させる装置であるフリーザーに気化させた香料を気体として送り込むことによって行う。
より具体的には純然とした気体ではなく、気体と固体もしくは気体と液体の混合物であるエアゾールの状態でもよい。
【0023】
香料を気体とする装置を図1および図2に例示する。
図1においては 密閉されたチャンバー内に香料を入れ、香料内にコンプレッサーからの空気を吹き込む。
チャンバー内は陽圧となり、上部の気化した香料はフリーザーのシリンダー内へ送られる。途中のレギュレーターでシリンダー内への空気流入量を調節する。
また香料の気化量は経時的に変化するので随時香料を添加し、気化量を一定にする。
チャンバーを暖める事により、気化の効率を上げる事も可能である。
【0024】
図2においてはコンプレッサーからフリーザーに送られる空気配管にオリフィス部を設ける。そのオリフィス部に香料の入った密閉チャンバーを接続する。空気がオリフィス部を通過する時、チャンバー出口部は陰圧となり、気化した香料はフリーザーへと送られる。図1と同様、チャンバーを暖める事により、気化の効率を上げる事も可能である。
【0025】
次に、チャンバーなどによって気体もしくはエアーゾルとなった香料をフリーザー内でオーバーランを生成させる工程でその空気に付香する方法について説明する。
図3が冷菓を製造する装置であるフリーザーの概略図である。シリンダーと呼ばれる2重構造の筒の外層に冷媒(液体アンモニアなど)が循環し、内層の奥から冷菓等の原料であるミックスが出てくる。ミックスは冷媒によって冷やされた内層外壁に触れることによって固化しつつ、ダッシャーと呼ばれる掻き取り装置で掻き取られながら、前面に移っていき、クリーム配管によって取り出される。そのとき、OR用空気配管によって、空気が送り込まれることにより、シリンダー内層は大気圧より高い圧力に設定し、(1ないし3Kg/平方センチメートル)ダッシャーでミックスが固化されるときに気泡が含まれる。したがって、シリンダー内層における圧力を調節することによって、ミックスのORを加減することができる。
【0026】
本発明では、上記段落0020の説明におけるOR用空気配管に充填する空気に上記段落0019および0020に説明するチャンバーによって気化またはエアーゾルとなった香料を含ませることにより、目的を達成する。
【0027】
【実施例】
表2にしめす 一般的なラクトアイス配合に通常付香とオーバーラン付香の2種類のサンプルを作った。ついでその評価を、良く訓練されたパネリスト8名で行った。
上記の結果より、オーバーラン付香したものは通常付香したものに比べトップの香り立ちが良く、非常に軽い風味が得られるという評価が得られた。なお、表2にある香料としては明治屋のレモンエッセンスを使用した。通常付香配合は表2のラクトアイス配合にあるとおり、香料を直接ミックス中に添加した。一方オーバーラン付香配合は事前テストで、気化によって時間によって香料の重量が減少する割合を測定し、通常付香の香料配合比 0.2%と同じ重量の香料が減少する時間、気化香料を投じた。試食評価の結果を表3にしめす。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】香料を気体とする装置のうち、密閉されたチャンバー内に香料を入れ、香料内にコンプレッサーからの空気を吹き込む方式を略記したものである。
【図2】図2は香料を気体とする装置のうち、コンプレッサーからフリーザーに送られる空気配管にオリフィス部を設け、そのオリフィス部に香料の入った密閉チャンバーを接続することにより、空気がオリフィス部を通過する時、チャンバー出口部は陰圧となり、気化した香料はフリーザーへと送られる方式を略記したものである。
【図3】図3は冷菓を製造する装置であるフリーザーの概略図である。
Claims (3)
- 気泡を含有する食品において、当該気泡が気化した香料を含有した気体を加えて作られたことを特徴とする食品を製造する製造方法
- 食品が冷菓またはデザートである請求項1にいう食品を製造する製造方法
- 気泡を含有する食品において、気泡を含有させる工程の雰囲気を気化した香料で覆うことにより、製造される請求項1または2にいう食品を製造する製造方法
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